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アベノミクス(その32)(日本人の給料がほとんど上がらない5つの要因 90年代以降の平均上昇額はわずか7万円程度、アベノミクスと原子力政策における「失敗の本質」、「失われた10年」を「30年」に拡大させた戦後の無責任体制、ついに景気悪化を認めた内閣府 消費増税後に「春から不況だった」と示唆するズルさ=斎藤満) [経済政策]

アベノミクスについては、2月16日に取上げた。今日は、(その32)(日本人の給料がほとんど上がらない5つの要因 90年代以降の平均上昇額はわずか7万円程度、アベノミクスと原子力政策における「失敗の本質」、「失われた10年」を「30年」に拡大させた戦後の無責任体制、ついに景気悪化を認めた内閣府 消費増税後に「春から不況だった」と示唆するズルさ=斎藤満)である。

先ずは、経済ジャーナリストの岩崎 博充氏が3月2日付け東洋経済オンラインに掲載した「日本人の給料がほとんど上がらない5つの要因 90年代以降の平均上昇額はわずか7万円程度」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/267883
・『厚生労働省の「毎月勤労統計調査」に対する不正調査の問題が、相変わらず国会で審議されている。問題の本質は、官僚が統計を操作してでも「賃金上昇」を演出しなければならなかったことだ。 なぜ、日本の賃金は上昇しないのか。周知のように、1990年代以降の日本の賃金はほとんど上昇してこなかった。バブル崩壊による景気後退の影響があったとはいえ、欧米の先進国と比較して日本の賃金が低迷を続けていることは明らかだ。その原因はどこにあるのか』、興味深そうだ。
・『27年間で上昇した年収はわずか7万円?  実際に、日本の賃金上昇の推移を見てみると、平成の30年間で上昇した賃金はわずかしかない。国税庁の「民間給与実態統計調査」によると、1990年の平均給与は425万2000円(1年勤続者、以下同)。1990年以降、平均給与はしばらく上昇するのだが、1997年の467万3000円をピークに下がり始める。 その後、ずるずると下がり続けて、2017年は432万2000円となる。1990年からの27年間で、上昇した平均給与はわずか7万円ということになる。 実際に、日本の実質賃金の下げは国際比較をしてみるとよくわかる。1997年=100とした場合の「実質賃金指数」で見た場合、次のようなデータになる(2016年現在、OECDのデータを基に全労連作成)。 ・スウェーデン……138.4 ・オーストラリア…… 131.8 ・フランス……126.4 ・イギリス(製造業)……125.3 ・デンマーク……123.4 ・ドイツ……116.3 ・アメリカ……115.3 ・日本……89.7 1997年から2016年までの19年間で、先進7カ国のアメリカやドイツでも1割以上上昇しているにもかかわらず、日本は1割以上も下落している。 安倍政権は、史上最長の好景気によって有効求人倍率を大幅にアップさせ、新規雇用者数も増加させたと胸をはるが、それが本当であれば、実質賃金の下落は説明できない』、日本だけ「実質賃金」がこれほどまでに下落しているとは、アベノミクスの不都合な真実だ。
・『「労働組合」の弱体化と「非正規雇用」の増加?  日本の賃金が上昇しない原因については、さまざまなシンクタンクやエコノミストが分析しているが、大きく分けて5つの段階に分けて考えればわかりやすいかもしれない。次の通りだ。 ①労働組合の弱体化 ②非正規雇用者の増加 ③少子高齢化の影響 ④内部留保を貯め込んで賃金を上げない経営者 ⑤規制緩和の遅れがもたらした賃金低迷 順に見ていこう。 <①労働組合の弱体化>  日本はバブル崩壊によって1990年代以降、景気後退を余儀なくされた。欧米のように、景気低迷に対しては人員カットで対応するのではなく、雇用を維持しながらも賃金で調整する、という方法がとられた。 労働組合も、クビにされるよりも給料を下げることに同意し、ここで日本特有の労使関係ができあがったといっていい。 周知のように、アメリカでは景気が悪くなれば20年勤続の従業員であろうと、即座に人員をカットする。欧州もアメリカほどではないが、必要とあれば労働組合も整理解雇を認めるというスタンスだ。日産自動車を救ったカルロス・ゴーン元会長が、コストカッターとして数多くの従業員のクビを切ったように、日本とは違って欧米諸国は「問題を先送りにしない」という姿勢を持っている。 要するに、日本の労働組合は自分たちの組合員を守るために、戦う牙をなくし、会社側=経営陣に忖度し、会社側の要望を聞き入れる体質になってしまった側面が否定できない。 こうした背景には、労働組合の構造的な問題があるといわれている。日本の労働組合は、企業ごとに組合が設立されている合「企業内組」が一般的であり、欧州などの「産業別労働組合」とは異なる。企業内組合の場合、どうしても経営陣との交渉の中できちんとした行動を起こせないという構造的な弱点がある。業績が悪化すれば、素直にベースアップの減額にも応じてしまうのだ』、「企業内組合」のマイナス面が如実に表れたようだ。
・『<②非正規雇用者の増加>  小泉政権時代に行われた「労働者派遣法の改正」によって、日本の雇用形態は大きな変革を迫られた。企業は賃金の低い非正規雇用者を雇いやすくなった。実質賃金低迷の原因の1つとして、見逃すことはできない。 これには人件費を削減して、業績悪化から企業を守った面はある。しかし、今となっては日本企業があの時期にもっと海外にきちんと進出していれば、日本企業はもっと成長できた可能性はあるし、グローバルな企業に成長していたかもしれない。 携帯電話などの製造拠点は部品のみになり、日本の製造業のシンボル的な存在だった家電業界も、東芝やシャープは海外企業に買収され、シェアは海外企業に奪われてしまった』、「非正規雇用者の増加」が「実質賃金低迷の原因の1つ」、というのはその通りだが、「家電業界も、東芝やシャープは海外企業に買収され、シェアは海外企業に奪われてしまった」、にまで結びつけるのは無理がある。
・『少子高齢化、低賃金で放置されたパートタイマー  <③少子高齢化の影響>  日本の少子高齢化の影響は、重大であり、未来に大きな後悔を残すかもしれない。 内閣府がまとめた「データで見るアベノミクス」(平成31年1月25日)は、成果を大きくアピールしている。例えば、雇用環境の成果として次のような項目が列記されている。 ●完全失業率……4.3%(2012年12月)→2.5%(2018年11月)、25年ぶりの低い水準 ●有効求人倍率……0.83倍(同)→1.63倍(同)、1974年1月ぶりの高水準 ●正社員の有効求人倍率……0.50倍(同)→1.13倍(同)、データ収集以来初の1倍 ●就業者数……6271万人(2012年)→6522万人(2017年)251万人増、5年連続で増加 さらに、「所得環境」も大きく改善されたとしている。 ●名目雇用者報酬……252.7兆円(2012年10-12月期)→282.7兆円(2018年7-9月期)30兆円増 ●賃金改定でベースアップを行った企業の割合(一般職)……12.1%(2012年)→29.8%(2018年)。2.5倍、春闘の賃上げ率は5年連続で今世紀に入って最高水準 ●最低賃金(加重平均額)……749円(2012年度)→874円(2018年度)125円増 ●パート時給(前年比)……0.6%(2012年)→2.4%(2017年)1.8%上昇、9年ぶりの高い伸び 安倍首相と菅官房長官の力が最も強い内閣府がまとめたものだが、マイナス材料はほぼひとつもない「アベノミクス礼賛」のレポートだ。実際に、プラスにならない実質賃金や目標に達していない消費者物価指数はスルーしている。 新規雇用者数の伸びは、人口減少に対応するために非正規雇用や女性のパートタイマー従業員を増やした結果であり、完全失業率の低下や有効求人倍率の上昇は人手不足の表れといっていい。 外国人労働者を受け入れる枠を拡大したことで、政府もすでに人手不足が深刻であることは認めている。さらに、近年の特徴として挙げられるのが、かつては60歳もしくは65歳でリタイアしていた高齢者が、ここにきて60歳で低賃金の雇用者に格下げされ、本来なら65歳で完全リタイアだった高齢者が、格安の賃金でいまだに働き続けている、という現実がある。 とりわけ、自営業や中小企業の従業員だった人は、低賃金のまま働き続けることを余儀なくされている。ここでもまた実質賃金の伸びは抑えられてしまう』、「データで見るアベノミクス」は安倍政権に都合がいい部分だけをつまみ食いしたもので、作成した「内閣府」には良心のかけらもないようだ。
・『経営者や行政の怠慢が招く賃金低下?  <④内部留保を貯め込んで賃金を上げない経営者>  人手不足といわれる業界は、サービス業など生産性が低迷している業界に多い。例えば、コンビニ業界で24時間営業の見直しが進められているが、粗利益の6割も取るような高いロイヤルティーは、従業員の低賃金や人手不足問題の要因であろう。 競争が激化しているコンビニ業界にとって、ロイヤルティーの引き下げは難しい課題だが、日本の少子高齢化の流れから見て、いずれは人手不足で改革を迫られる可能性はある。 バブル崩壊以前は、社員こそ最大の資源、という具合に会社も賃上げに積極的だった。優秀な人間は、一生をかけてでも育て上げていく、というのが日本企業の大きな特徴だった。それが、バブル崩壊以後は雇用さえ確保しておけば、賃上げなんていう贅沢は言わせない、という雰囲気に変わってきた。 そうして労働組合が弱体化したのをいいことに、企業は内部留保を貯め込んだ。貯めた内部留保で、人口減が予想される日本を飛び出して、新たなビジネスを求めて海外に進出すればよかったが、そうしなかった企業も多い。 いまや日本の内部留保は2017年度の法人企業統計によると、企業が持つ利益剰余金は446兆4844億円(金融業、保険業を除く)に達しており、金融、保険業を含めれば507兆4454億円となり、初めて500兆円の大台を超えている。1年分のGDPに匹敵する余剰金だ』、安倍政権の法人税引下げは、設備投資に向かうよりも利益剰余金積み増しに流れたようだ。
・『<⑤規制緩和の遅れがもたらした賃金低迷>  通信や交通エネルギーなどの公共料金分野は、規制緩和の遅れで現在も新規参入を阻害し価格の抑制や引き下げが遅れてしまった。価格が上がらなかったことで顧客満足度が増し、製品やサービスの価格が低く抑えられたまま日本経済は推移している。 そのツケが、従業員の賃金の上昇を抑えてきたといっていい。スーパーやコンビニ、スマホ(通信)、宅配便、外食産業といった業種では、価格が低く抑えられてきたために、賃金がいつまでたっても上昇しない。 企業経営者や行政の怠慢によって、適正な価格競争が起こらなかった結果といえる。 私たちの生活に根付いているスーパーやコンビニ、スマホ、宅配便、外食産業といったサービスは、極めて便利で安価なサービスなのだが、その背景にあるのが低賃金で働く従業員でありパートタイマーというわけだ。 以上、ざっと日本の賃金が上昇しない原因を考えてきたが、日本国民は極めて素直で、従順な民族だから、政府が一定の方向性を示すと素直に従う習慣がある。キャッシュレスもここにきて一気に拡大することでもわかる。 実質賃金が上昇しない背景には、過去の雇用政策や法改正が大きな影響を与えている。賃金より雇用という大きな流れの中で、我慢し続けている国民がいるわけだ。日本の景気回復は、まだまだ道半ばといえる』、確かに日本国民の「我慢」強さは美徳ではあるが、マクロ的には日本経済の低迷をもたらしているようだ。

次に、ジャーナリストの高野孟氏が4月18日付け日刊ゲンダイに掲載した「アベノミクスと原子力政策における「失敗の本質」」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/252083
・『アベノミクスがなぜ失敗に終わったのかを考える上で、原真人の近著「日本銀行『失敗の本質』」(小学館新書)は示唆に富んでいる。書名から分かるとおり、太平洋戦争における軍部の失敗とアベノミクスにおける黒田日銀の失敗とを並べて、奇襲・転機・強行・誤算・泥沼・終局という迷走の揚げ句に破滅に転がり込んでいく軌跡がピッタリと重なり合っていることを指摘していて、納得させられる。 原に言わせれば、「短期決戦」は力のない者が強力な相手に挑む時に取る戦術で、だから緒戦のワンチャンスに賭け、イチかバチかの真珠湾奇襲攻撃に出た。しかし、それで戦争の帰趨を決められず、長期戦となって次第に形勢を悪化させ敗戦に至った。日銀も「2年で物価上昇2%達成」という期間限定の奇襲作戦に打って出たが、賭けに失敗し、ズルズルと6回も期限を延期してなお目標を達成できず、ついに6年目に至って目標を立てるのをやめて「長期戦化」を宣言した。目標設定そのものが間違っていたとは死んでも言いたくないので、無期延期するしかないわけだが、これでは破綻した時の国民生活へのダメージは余計に酷いことになるに決まっている』、「太平洋戦争における軍部の失敗とアベノミクスにおける黒田日銀の失敗とを並べて、奇襲・転機・強行・誤算・泥沼・終局という迷走の揚げ句に破滅に転がり込んでいく軌跡がピッタリと重なり合っていることを指摘」、まさにピッタリだ。
・『同じことを「持たざる国の精神主義」という言い方で論じているのは、片山杜秀著「平成精神史」(幻冬舎新書)である。領土・資源・人口・工業力・科学力などトータルな国力で見劣りする日本は、日露戦争までは「やる気」に頼って何とか勝ったが、第1次大戦以降、物量の多寡で勝敗が決するようになるともうダメで、「なるべく速戦即決で全面長期戦争にならないように、奇襲による短期決戦を考え」たがる。ところがそれも行き詰まると、精神力信仰が合理的判断を狂わせ、体当たり攻撃で長期戦にも勝てるという壮絶な思想にのめり込んでいく。片山はこれをアベノミクスではなく、原子力政策とその福島原発事故による破局と重ね合わせ、「日本は背伸びをして世界に冠たる国となり、無理して転んだときの怪我の度合いも世界に冠たるものだということの証明」と断じている。 戦略不在ゆえにその場限りの奇襲や短期決戦に頼り、それで失敗しても絶対に非を認めないで何とか言い抜けてごまかし続けるという刹那主義。その史上最悪の見本が安倍政治である』、「戦略不在ゆえにその場限りの奇襲や短期決戦に頼り、それで失敗しても絶対に非を認めないで何とか言い抜けてごまかし続けるという刹那主義。その史上最悪の見本が安倍政治である」、その通りだが、それを許している野党やマスコミの姿勢にも問題がありそうだ。

第三に、慶応義塾大学経済学部教授の金子勝氏が4月24日付け日刊ゲンダイに掲載した「「失われた10年」を「30年」に拡大させた戦後の無責任体制」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/252507
・『自民党の萩生田光一幹事長代行が先週、6月の日銀短観次第で10月の消費増税を先送りし、「信を問う」解散・総選挙を示唆した。2016年の伊勢志摩サミットで、安倍首相は「世界経済はリーマン・ショック前に似ている」と発言し、国際的な批判を浴びながら2度目の増税延期を決めた。萩生田発言の通りになれば、6月短観の発表は参院選直前で、アベノミクスの失敗批判をかわせるタイミングだ。どこか、「狼がきた」と始終嘘をつき、最後は狼に食べられてしまうイソップ物語に似ている。いま必要なのはアベノミクスの失敗を認めることだ。 先週上梓した拙著「平成経済 衰退の本質」(岩波新書)でこの間の経済衰退の本質について分析したが、アベノミクスは「失われた30年」をもたらした失敗経済政策の集大成にすぎない。 衰退の原因に戦後の無責任体制があるのは明らかだ。90年代のバブル崩壊後、経営責任を曖昧にして抜本的な不良債権処理を怠った。財政拡大と金融緩和でごまかし続け、97年の金融危機に帰結した。その後も財政赤字は拡大する一方だが、GDPは横ばい。平均所得や家計消費は低下し、非正規雇用が急増。生産年齢人口(15~64歳)も97年をピークに減少に転じた。原発事故でも同じ無責任が繰り返された。結局、日本は「失われた30年」になった』、「アベノミクスは「失われた30年」をもたらした失敗経済政策の集大成にすぎない。 衰退の原因に戦後の無責任体制があるのは明らかだ」、その通りなのだろう。
・『実際、スパコン、半導体、液晶、エネルギー、バイオ医薬品、太陽光発電、リチウムイオン電池……と、日本の産業衰退がひどくなっている。世界的な技術革新や産業の大転換期に、財政・金融政策でごまかすだけで、日本を「ゆでガエル」にしてしまったからだ。この根本的な間違いを正さない限り、消費増税を先送りしても財政赤字を拡大させるだけで、経済衰退は止まらない。 自民党は戦争責任を免罪してくれた米国に頼れば何とかなるという思考停止に陥っている。その無責任体質は、不良債権問題でも原発事故でも責任を棚上げし、産業構造の転換を進めず、先端産業での置いてけぼりを招いた。だが、緩やかに滅んでいけるほど、世の中はのどかではない。やがて大きな痛みとショックに見舞われるのは必定だ。いち早い政策転換が必要である』、「大きな痛みとショック」、としては、円の暴落、国債利回りの急騰、財政破綻、或は、既に発生している銀行の利ザヤ縮小による経営悪化、などだろう。なかでも、恐ろしいのは、国民が政治家よりはるかに信任を寄せている日銀が信任を失うことだ。最悪の場合、預金凍結などの強硬手段が登場する可能性もある。当面、量的緩和は「出口」に向かうどころか、欧米中央銀行の金融緩和を受けて、さらなる緩和の強化に向かおうとしている。もう正常化に向かう「出口」は、到達不可能なところへ行ってしまったようだ。

第四に、元東海東京証券チーフエコノミストを経て独立した斎藤満氏が10月10日付けMONEY VOICEに掲載した「ついに景気悪化を認めた内閣府、消費増税後に「春から不況だった」と示唆するズルさ=斎藤満」を紹介しよう。
https://www.mag2.com/p/money/786870
・『内閣府は7日、8月の景気動向指数の結果を公表。基調判断は再び「悪化」となり、すでに景気後退に陥っている可能性を示唆しました。その中での消費増税です。(『マンさんの経済あらかると』斎藤満)※本記事は有料メルマガ『マンさんの経済あらかると』2019年10月9日の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ』、景気の基調判断をどう見ているのだろう。
・『「緩やかな回復」はどこへ行った?増税前から景気は後退局面へ… ○景気動向指数はまた“悪化”  内閣府は7日午後、8月の「景気動向指数」の結果を公表しました。 これによると、景気「先行CI」(2015年平均=100)は91.7と、前月から2ポイント低下、3か月移動平均は14か月連続、7か月移動平均は15か月連続の低下となりました。 そして景気判断の基準となる「一致CI」は99.3で、前月から0.4ポイント低下、3か月移動平均は3か月連続、7か月移動平均は10か月連続の低下となりました。 この結果、景気動向指数が示す基調判断は再び「悪化」となり、景気はここまでにすでに「後退」に陥っている可能性を示唆しました。 この指標、春先に一旦「悪化」となったのですが、その後、生産の一時的な反発もあって「下げ止まり」となっていました。しかし、指標が改定され、いま見直すと、一致CIは「下げ止まり」の条件を満たしておらず、「悪化」が続いていたことが分かりました。 これは日本の景気がこの春までにすでに「景気後退」に入っていた可能性を示し、それが今なお続いていることになります。 政府は景気動向指数の落ち込み幅が小さいとして、景気後退ではないと言いたいようです。 しかし、景気先行指数は2017年11月の102.9から足元の91.7に11.2ポイント低下し、一致CIも2017年12月の105.3から今年8月の99.3まで6ポイント低下しています。 前回の景気後退となった2012年3月から2012年11月の間では、一致CIは97.1から91.2に5.9ポイントの低下となっていました。 現在の一致CIの低下幅はこれを上回ります。前回が民主党政権だったから「景気後退」と認定し、現在は自公の安倍政権だから「後退」ではない、というのであれば、あまりに恣意的すぎます。 景気悪化の主役は輸出の不振で、これが生産や投資の一部に波及していますが、その中でGDP(国内総生産)の半分以上を占める個人消費にも負担となる消費税の引き上げを強行しました。 景気認識とともに、消費税の影響についても政府の認識に甘さが伺えます』、「指標が改定され、いま見直すと、一致CIは「下げ止まり」の条件を満たしておらず、「悪化」が続いていたことが分かりました」、経済指標は後日、改定され、全く別の姿になってしまうことがあるので、厄介だ。「前回が民主党政権だったから「景気後退」と認定し、現在は自公の安倍政権だから「後退」ではない、というのであれば、あまりに恣意的すぎます」、客観的であるべき景気判断までが、「忖度」で歪められるのは問題だ。
・『○消費増税、最後に駆け込み  西村経済再生大臣は8日、「一部の家電で9月に駆け込みが見られたものの、全体でみると前回に比べると駆け込みは大きくない。消費税引き上げ後の食料品、日用品の売り上げは1−6日の間で前年比1.1%減で、前回引き上げ時の19%減に比べて影響が小さい」と述べました。 しかし、駆け込みは当初少なかったとしても、消費税引き上げ間際、特に9月最後の週末には結構、家族総出の買い出しも見られました。 大手百貨店の売り上げは9月に宝飾品や高額品を中心に2桁の増加となったと言い、スーパーでも最後の週末にはビールなどの酒類やトイレット・ペーパーなど、カートいっぱいに詰め込んで買う姿が見られました。 家電などは買い替えサイクルの影響もありますが、需要・購買力の面から駆け込みができなかった面があります。 そもそも食料品については軽減税率が適用されたので、この面では駆け込みも反落もありません。半面、日用品についてはできる範囲で最後に駆け込んだと見られます。 所得と置き場所の制約のなかで、できる範囲の「抵抗」は見せたようです』、「消費増税」の駆け込みが実際にどの程度あったのか、今後発表される指標を見るのが楽しみだ。
・『○ポイント還元に混乱  政府が消費税対策として胸を張るポイント還元については、随所で混乱が見られます。 そもそも、街を歩いても「5%ポイント還元」の赤いポスターを張ってあるお店があまりありません。 なんでも、全国200万の中小店舗のうち、ポイント還元を実施している店は50万店にすぎず、今申請中のお店を入れても80万店にすぎないと言います。 その中で、赤いポスターを張ってあるスーパーで買い物をしてみたのですが、キャッシュレスの支払い手段はクレジット・カードだけで、スマホ決済もパスモなども使えません。 そのクレジットも、VISAやマスターが使えず、間もなくJCBが使えるようになるといっていましたが、ほとんどの人が現金決済をしていました。唯一使えると言われたクレジット・カードで支払いましたが、明細にはどこにも5%のポイントの表示がありません。カスタマーサービスの人に聞いてみても、初めての試みで、どのように還元されるのかわからないと困惑気味でした。 カードの請求書が来た時によく見てみないと、本当に還元されるのかわかりません』、ポイント還元政策は、本当に複雑なので、実際の効果のほどがどうだったのか、今後、検証してほしいものだ。
・『○値引きと便乗値上げ  イートインと持ち帰りで税率を区別したり、同じ店の中に複数の税率の商品があってレジが対応できない店もあります。 中には手書きのレシートを用意して却って手間暇がかかるケースや、複数税率に対応できないとして、8%一本にして実質値下げで店が負担するケースも少なくありません。NHKの受信料も消費税は8%のままで、実質2%の値下げとなります。 その反面、消費税率の引き上げに伴う「便乗値上げ」も見られます。 ある公営図書館に併設されるレストランでは、先月まで税込み750円だったランチが800円になり、680円のメニューが720円に上がりました。他のメニューも同様に値上がりしていますが、どう見ても消費税の引き上げ分2%を大幅に超えた値上げです。 10月になってさすがに客足は鈍っています』、これも「検証」が必要だろう。
・『○最悪の環境で消費増税  今回の消費税引き上げ、実施のタイミングもやり方も多くの問題を露呈しています。 政府は「緩やかな景気回復」といっても、内閣府の景気動向指数が今年の春以降、「景気後退」の可能性を警告する中で決断し、実行してしまいました。 タイミングとしては最悪の時期で、輸出の弱さに個人消費まで落ち込めば、「緩やかな回復」は通用しなくなります。 しかも、消費税の影響を緩和したいとは言え、複雑にしてしまったため、企業のコスト負担を高め、それでも対応が間に合わなくて混乱するケースが見られます。 さらに消費者の間にもキャッシュレス決済に抵抗のない人・手段を持つ人と、セキュリティの不安からスマホ決済に躊躇して現金払いで高くつく人、家も車も買う予定がなく「減税」と無縁な人など、負担の度合いは人さまざまで、不公平感も伴います。 目立った事前の「駆け込み」的な消費の盛り上がりは見られなくても、精一杯駆け込んだ可能性も否定できません。 その場合、10月以降の消費が低迷し、景気の悪化が進む可能性がありますが、その時に、政府は何と抗弁し、どんな手を打つのでしょうか。 また一部の「お友達」への利益誘導型景気対策を打つのでしょうか・・・』、やはり「駆け込み」の反動減は出てこざるを得ず、「景気の悪化が進む」だろう。政府は財政支出拡大を図ろうとするだろうが、景気が本格的に落ち込む時には、焼け石に水だろう。
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