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冤罪(その2)(虐待か冤罪かを見極める 臨床法医学の「恐い」現状、「史上最悪の殺人教師」は“でっちあげ”だった! なぜ戦慄の冤罪劇が生まれたのか、驚愕の真相は――、「無罪」ほぼ確実な滋賀の呼吸器外し事件 女心につけ込んだ刑事のでっちあげか) [社会]

冤罪については、2017年7月30日に取上げたままだった。久しぶりの今日は、(その2)(虐待か冤罪かを見極める 臨床法医学の「恐い」現状、「史上最悪の殺人教師」は“でっちあげ”だった! なぜ戦慄の冤罪劇が生まれたのか、驚愕の真相は――、「無罪」ほぼ確実な滋賀の呼吸器外し事件 女心につけ込んだ刑事のでっちあげか)である。

先ずは、医療ジャーナリストの木原洋美氏が2018年5月17日付けダイヤモンド・オンラインに掲載した「虐待か冤罪かを見極める、臨床法医学の「恐い」現状」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/170190
・『法医学といえば、遺体の解剖を行って死因を決定する学問だと思う人も多い。しかし実際には、法律に関しての医学的諸問題を広く扱うもので、医学的に公正に判断を行うための学問であり、対象には生きている人間も含まれる。臨床法医学の現状について取材してみた』、「対象には」死者だけでなく、「生きている人間も含まれる」とは意外だ。
・『「死人に口無し」だが 話せないのは死人だけではない  千葉大学附属法医学教育研究センターの医師、本村あゆみさんが診察するのは、ご遺体だ。警察や海上保安庁等から依頼を受け、異状死体(確実に診断された内因性疾患で死亡したことが明らかである死体以外の、全ての死体)を解剖し、死因を究明する。 「もちろん、死因を明らかにしても、そのご本人に対して、してあげられることは何もありません。でも、原因を究明することで、次に似たような状況の人が救命救急に搬送されたとき、より適切な治療が行えて、命を救うことができるかもしれません。私は、亡くなられた方の死因を究明した結果を、生きている人や社会に還元していく医学だと思っています」 本村さんには忘れられないご遺体がある。 「数年前になりますが、無理心中で、お母さんにマンションの高層階から突き落とされて亡くなったお子さんのご遺体を解剖したことがありました(医学的な死因とは別に)。『なぜ、この子たちは殺されなければならなかったのだろう。こうなる前に、できることがあるはずだ』と思いました。このような経験から、当教室では小児科の臨床医などと協力して、心中や虐待死が起きる前に察知して、保護するような活動をしています」 昔から「死人に口無し」というが、世間には死者以外にも、自分の身に起きたことを訴えられない人がいる。幼子や認知症を患った高齢者などだ。法医なら、そういう人たちの言葉にできないピンチを察知し、手を差し伸べることができる』、「世間には死者以外にも、自分の身に起きたことを訴えられない人がいる。幼子や認知症を患った高齢者などだ。法医なら、そういう人たちの言葉にできないピンチを察知し、手を差し伸べることができる」、なるほどと思わされるが、もう少し具体的に知りたい。
・『臨床医はケガを治す 法医学は原因を判断する  2014年、同センターが立ち上げた「臨床法医学」部門は、“生きている人間”も扱う法医学だ。 大学内に臨床法医学を専門にした研究・教育部門ができたのは全国初。海外、特に欧州などでは、このような臨床法医学は、確立された一つの分野として認識されているが、日本においては、実務的にも学問的にも、まとまった体系をなしていないのが現状だ。センター長の岩瀬博太郎教授は説明する。 「例えば虐待を受けた可能性があるお子さんについて、実際に虐待を受けたのかどうかをケガの状態から判断し、保護に結びつけたり、診察記録をもとにセカンドオピニオンを提供したりします。千葉大病院の小児科医とも連携し、ネグレクト(育児放棄)による虫歯や栄養不足の見逃し防止などにも対応するほか、実際に診察することもあります。 今のところ、児童相談所の依頼による虐待対応がメインにはなっていますが、それプラス、千葉地検や警察から持ち込まれる傷害事件の鑑定にもあたっています。傷害事件の被害者でも、うそをつく人もいます。殴られてもいないのに殴られたという人もいるので、客観的な証拠保全をしておく必要があるのです」 生きている人間のケガや健康状態を診るのなら、法医でなくともよいと思われがちだが。 「臨床医はケガを治すのが仕事ですが、解剖を通じて死者から学ぶ法医は、人体に傷ができた原因を探ることに慣れている。そこは大きな違いです」』、「「臨床法医学」部門は、“生きている人間”も扱う法医学」、「臨床医はケガを治す 法医学は原因を判断する」、「児童相談所の依頼による虐待対応がメインにはなっていますが、それプラス、千葉地検や警察から持ち込まれる傷害事件の鑑定にもあたっています」、存在意義が漸く理解できた。重要な機能なのに千葉大学にしかないのでは、冤罪を生む温床になりかねないようだ、
・『冤罪のリスクが高い揺さぶられっ子症候群  こんなニュースに、覚えはないだろうか。 休日。育児に不慣れな夫に赤ちゃんを任せて妻が買い物に出かけ、帰宅したら、赤ちゃんがぐったりしていた。慌てて救急車を呼び、病院に搬送したが赤ちゃんは死亡。脳の損傷を示す“三徴候”が見られたことから、「揺さぶられっ子症候群」と診断した医師は警察に通報。乳児を虐待死させた疑いで夫は逮捕。「泣きやまないので、何度か強く揺さぶった」と話している。 岩瀬教授によると、近年、子どもの虐待をめぐるケガで「揺さぶられっ子症候群」が注目されているという。 正式には「乳幼児揺さぶられ症候群」。頭を前後や左右に大きく揺さぶられることによって脳が損傷され、頭蓋内に出血が起こる。この出血が原因となって言語障害や学習障害、歩行困難などの後遺症が残る可能性があり、最悪の場合死に至るケースもある。 人間の脳は頭蓋骨に収まっているが、脳の下には硬膜という膜があり、その下に脳がある。脳と硬膜の間には血管があり、脳と硬膜の間にズレが生じると血管が破綻し硬膜下出血が発生する。赤ちゃんの場合、大人に比べ脳が非常にやわらかいのだが、そうした子どもの頭を激しく揺さぶったらどうなるか。想像してみてほしい。 乳幼児が救急搬送されてきた際「網膜出血」「硬膜下出血」「脳損傷を示唆する何らかの症状」という「三徴候」が診られた場合、医師は「強い揺さぶりで虐待を受けた」と診断し、警察に通報することが増えてきた。 「しかしこの数年間の研究では、網膜出血と硬膜下血腫があったとしても、必ずしも、強く揺さぶられたとは限らない。ちょっと転んだだけでも出血が起きている例があることが分っています。 臨床医には特有の正義感があり、目の前にいる患者さんのためになろうとして、客観性を見失ってしまうケースがあるように思います。それは実は、非常に危険なことで、冤罪を作ってしまう可能性がある。 実際、虐待していないのに逮捕され、有罪にされているケースも起きているようです」』、「虐待していないのに逮捕され、有罪にされているケースも起きている」、恐ろしいことだ。「虐待」に世論はヒステリックな反応をするが、警察・検察までが冷静さを失って冤罪を生んでいるとすれば、困ったことだ。
・『むろん、親は否定していても、かなり虐待が疑わしい場合もある。 「児相(児童相談所)から『虐待が疑われるが、決めかねている』との理由で持ち込まれた案件でした。最初に診察した小児科医のカルテには、『急性硬膜下血腫』と記載されており、頭を強く打ったとみられましたが、体にあざはなく、親は虐待を否定していました。 レントゲンとCTを見るとと腕の骨が折れており、肋骨の骨折が治った形跡も見つかりました。そこで乳児はかなり以前から暴行を受けていたのではと診断し、保護するよう促しました」 冤罪を防ぐのと虐待死を防ぐのと、臨床法医学には2つの役割があり、その診断は、臨床医には難しい。 「虐待死を防ぐためには、硬膜下血腫があるだけでも疑って、お子さんを保護することは大事です。しかし同じ調子で、親を責めて刑事責任まで問うと冤罪だらけになる可能性がある。そこは思い込みを排除して、謙虚に、科学的に、見極めていかなければなりません。目の前の患者さんのためだけでは務まらない」』、「臨床法医学」の重要性をさらに再認識した。
・『交通事故の相手が鞭打ち症 安易な診断で刑事罰の危機  子どもの虐待死も冤罪も、あってはならないとは思っても、「正直、他人事でしかない」人もいるに違いない。ならば、次のような場面ではどうだろう。 「例えば交通事故があったとします。通常、臨床医は、自分の診断が関係者の人生にどのような影響を及ぼすかなんて、あまり考えません。 交通事故で追突されたという患者さんが来ると、『むち打ち損傷』などと診断し、コルセットを与えて、『1ヵ月ぐらい通ってください』と言うことがありますが、追突したとされる相手は、下手すると、『自動車運転過失傷害』という罪になる。安易な診断は、無実の人に罪をかぶせることになるのに、その辺のことはあまり考慮されていない。 実際、追突事故によるむち打ち症のほとんどが、もしかしたら、実在していないのではないかという説もあるほどです」 ヨーロッパでは、患者の訴える症状が、本当にその事故によるものなのか、本当に首に異常があるのかどうかなど、事故の内容や程度に鑑みて、法医が診断するという。) 「そうしないとちょっとした事故でも、いつ自分が加害者にされて、刑事罰を受けるか、恐い状況があります。私のところにも、気の毒な依頼が舞い込みます。 ただ車がかすっただけの事故で、最初は相手も痛いともなんとも言っていなかったのに、示談がこじれて1ヵ月くらいたったあたりで急に首が痛いと訴えだし、整形外科にかかってむち打ち症の診断書を出してきた。 自動車運転過失致傷で略式起訴されたため、『そんなバカな』と反論したら正式に起訴され、有罪にされてしまった、何とかしてほしいとか。ひどい話です」 事故が起きてからだいぶ日数がたった後で、障害が起きてきた…という話はよく聞くが、それが本当に、その事故に起因するものなのかどうかは、ケガを治すのが専門の臨床医には難しそうだ。さらに、首や腰の痛みは心因的な要因によるものも多いので、考慮するべきだろう。 「臨床医は、加害者にされる相手のことは考えず、自分の患者さんの訴えだけを聞いて診断してしまいがちです。日本でも今後、交通事故や傷害事件に関する訴訟は増えていくでしょう。ケガの原因を究明する、臨床法医学の必要性はこれからますます高まっていくと思います」 子どもの虐待に加え、高齢社会のなかで、今後は老人虐待の案件も増えてくるはず。 ところが、日本全国で、臨床法医学の分野に臨床医も交え組織だって取り組んでいるところは、今のところ千葉大の法医学教育研究センター1ヵ所だけ。それよりも何より、法医学者の数自体、全国に140人程度(2018年4月現在)しかいないことをご存じだろうか。 これは相当恐ろしいことなのだ』、確かにその通りだが、日本で「臨床法医学」が軽視されてきた経緯も知りたいところだ。

次に、2018年12月11日付けデイリー新潮「「史上最悪の殺人教師」は“でっちあげ”だった! なぜ戦慄の冤罪劇が生まれたのか、驚愕の真相は――」を紹介しよう。
https://www.dailyshincho.jp/article/2018/12110650/?all=1
・『「日本は島国で純粋な血だったのに、だんだん外国人が入り穢れた血が混ざってきた」「血の穢(けが)れている人間は生きている価値がない。早く死ね、自分で死ね」――。 2003年に福岡市で起こった「教師によるいじめ事件」を覚えているだろうか。一人の男性教諭が、アメリカ人を先祖にもつとされる男児に対し、人種差別や体罰などのいじめを行ったという事件である。教師は「史上最悪の殺人教師」と呼ばれ、マスメディアも扇情的に報道した。福岡市教育委員会は全国で初めて教師によるいじめを認め、男性教諭を懲戒処分。男児の両親は、福岡市と教諭個人を被告とし、民事訴訟を起こした。だがこの事件、実はクレーマーの親による「でっちあげ」、つまり冤罪だったのである。 「史上最悪の殺人教師」は覚えていても、これが冤罪だったことまで知っている方は少ないのではないか。裁判が進むにつれ、男児や男児の親側の証言に信憑性が薄いことが明るみになる。2008年に結審した裁判では、原告の証言はほとんど認められず、2013年には福岡市人事委員会が教諭の懲戒処分を取り消す裁決をした。 なぜこのような冤罪劇が起こってしまったのか。ノンフィクションライターの福田ますみさんは独自にこの事件を追った。著書『でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相』には、冤罪が引き起こされるまでの戦慄の経緯が記されている。(以下、同書を参照、引用)』、両親による「民事訴訟」で、逆に真相が明らかになり、「教諭の懲戒処分を取り消す裁決をした」から良かったが、さもなければ不当な「冤罪」のままで葬り去られるところだった。
・『きっかけは家庭訪問だった。母親との雑談の中で男児の曾祖父がアメリカ人という話になり、男性教諭は「アメリカの方と血が混ざっているから、(男児は)ハーフ的な顔立ちをしているんですね。目や鼻がはっきりしているんですね」と返す。母親は「3世代目ですから特徴が出ているんでしょうね」と応える。ごく普通の会話として、そのやりとりは行われた。 だがその後、事態は一変する。男児の両親が学校にやってきて、家庭訪問の時に男性教諭が男児のことを「血が穢れている」と言って傷つけたと抗議してきたのだ。また、学校内での体罰や言葉の暴力なども同時に訴えてきた。全く身に覚えがない男性教諭はそれを否定するが、学校側は保護者の言うことを鵜呑みにし、全く聞く耳を持たない。なぜ男児の両親はありもしない話をでっちあげるのか。その理由は分からないが、学校側の強い圧力もあり、男性教諭は身に覚えのない「いじめ」について認め、両親に謝罪してしまうのだった。 それでも、騒ぎは収まらなかった。マスコミがこのことを「史上最悪の殺人教師」としてセンセーショナルに報じ始めたのだ。そこから男性教諭の人生は転がり落ちるように進む。担任交代、停職6カ月、そして裁判へ――。しかし、その裁判は意外な展開を迎えるのだ。 詳しくは同書に譲るが、男性教諭の「いじめ」によってPTSDになったという男児を詳しく検査したところ症状が見られず、母親の証言の中でのみPTSD症状が存在しているという疑いがもたれ始める。また一番注目を集めていた「血が穢れている」発言の発端となった「男児の曾祖父がアメリカ人」という親の言葉自体が虚偽だと発覚する。 なぜ男児の両親はありもしない話で男性教諭を追い詰めようとしたのか。なぜ学校側は、男性教諭の話をろくに聞かずに処分を下したのか。男性教諭はなぜやってもいないことを謝ってしまったのか。それは現代の教育現場が抱える複雑な問題を浮き彫りにしているようにも思える。 福田さんは同書の中で「教諭に降りかかった災難は決して他人(ひと)ごとではない。“子供という聖域”を盾に理不尽な要求をする保護者が増え、それとともに、教師がますます物を言えなくなる状況が続けば、容易に第2、第3の被害者があらわれても不思議はない」と語る。 また、マスメディアの誤報がこの冤罪を過熱させた大きな原因のひとつだが、福田さんはその流れに乗らず、真相に迫ることが出来た理由を以下のように明かす。 「私が、この事件の真相に少しでも肉迫することができたとすれば、男性教諭に長時間話を聞けたことが大きい。さらに、それに先立つ聞き込みによって、既存の報道から受けた先入観を払拭(ふっしょく)し、ニュートラルな気持ちで取材に臨めたことも幸いした。この幸運がなければ、私もまた、男性教諭を体罰教師と決めつけた記事を書いていたかもしれない。その差はほんの紙一重だ」(同書より) 「殺人教師」のレッテルを貼られ、それでも冤罪と戦い続けた男性教諭は、2013年の懲戒処分取り消しの判決について「この10年間私は、筆舌に尽くせない苦しみを味わってきました。今回やっと私の言い分を全面的に認めてもらい、ようやく溜飲が下がる思いです」(同書より)と言う。 福田さんはこの冤罪事件について以下のように語り、同書を締めくくっている。 「公平性を欠いたずさんで理不尽な懲戒処分が、一人の善良な教師の教師生命、いや、その人生さえもめちゃくちゃにしようとしていたことを、関係者はどの程度の深刻さで受け止めているだろうか。判定はあらためて、この事件が『でっちあげ』以外にあり得ないことを証明している」、モンスターペアレントの典型例だが、マスコミや学校、教育委員会も深く反省すべきだろう。

第三に、事件ジャーナリストの戸田一法氏が本年10月31日付けダイヤモンド・オンラインに掲載した「「無罪」ほぼ確実な滋賀の呼吸器外し事件、女心につけ込んだ刑事のでっちあげか」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/218818
・『滋賀県東近江市の湖東記念病院で人工呼吸器を外して患者の男性(当時72)を殺害したとして、殺人罪で懲役12年が確定し、服役後に再審開始が決定した元看護助手西山美香さん(39)の再審公判で、検察側は新たな証拠を提示しない方針が明らかになった。事実上の“敗北宣言”で無罪がほぼ確実になった。一方で検察側は求刑放棄や無罪論告はせず、曖昧な姿勢を貫いており、関係者から疑問や批判の声も上がっている』、この事件も当初、捜査当局側情報をマスコミはタレ流し、西山美香さんは極悪人に仕立てられていた。
・『検察側の手詰まり  「事実上の有罪立証断念だが、趣旨が曖昧で分かりにくい。はっきりと無罪を認めるべきだ」 23日、記者会見した西山さんの井戸謙一弁護団長は語気を強めた。検察側が、再審公判で新証拠による立証をしないと書面で通告してきたという。 弁護団によると、検察側は従来の証拠に基づき有罪主張そのものは取り下げないが、弁護側の無罪主張には積極的に反論しないというスタンスらしい。 また検察側は確定判決で有罪の決め手となった「呼吸器のチューブを外して殺害した」という自白調書を再審公判で証拠として維持するかは、裁判所の判断に委ねるとした。 何とも煮え切らない検察側の姿勢だが、本年度内の再審公判開始や即日結審を希望し、弁護団の証拠請求にも同意する方針だという。 どういうことか分かりやすく言うと、検察側は「間違っていたとは認めないが、裁判所が『無罪』というなら、それに従ってあげますよ。それでいいでしょ」「面倒くさいことはさっさと終わらせたい」ということだ。 当時、事件を担当した検察官は身内であるし、積極的に不手際を指摘したくない気持ちは理解できないでもない。 そして、昨今は検察のレベルとモラルが低下しているのはいうまでもないことだが、公判をゲームか何かと勘違いし、人の人生などどうでもいいと考えるエリートらしいリアクションでもある。 井戸弁護団長は検察側の姿勢に「積極的に有罪を立証する証拠はないが、はっきり無罪といえる証拠もないのだろう」と検察側が手詰まりになったと推測した。 記者会見した西山さんは「裁判が早く終わるのはうれしい」と喜びを語った一方、公判が1回だけの可能性が濃厚になったことに「検察側に直接聞きたかったこともあるが、それができないのは残念」と心境を吐露した』、「検察側の姿勢」は、自らの誤りは認めたくないのだろうが、無責任の極みだ。
・『女性の心につけ込んだ刑事  確定判決によると、看護助手だった西山さんは2003年5月、巡回中に男性患者の人工呼吸器を外し、殺害したとされる。 任意捜査の段階で自白したが、公判では一貫して無罪を主張。07年に懲役12年の判決が確定し、10年に大津地裁に第1次再審請求。地裁、高裁、最高裁ともに再審は認めなかった。 17年8月に服役を終え、同年12月、大阪高裁が再審開始を決定し、風向きが変わる。今年3月、最高裁が検察側の特別抗告を棄却し、再審開始が確定。この時点では、検察側は有罪主張を表明していた。 この事件は「自白」が証拠の決め手とされたが、実はデタラメでいい加減な調書が作成されていた。 本審では、大津地裁から最高裁まで一貫して自白調書の信用性や任意性を認定し、男性患者の死因を「酸素供給が途絶えたことによる心停止」として有罪としたが、大阪高裁の再審開始決定では確定審の医師の鑑定で、カリウムイオンの血中濃度から「致死性の不整脈」による自然死の可能性があるとされた。 実は、西山さんの「供述調書」が問題なのだが、でっちあげた警察側は仕方ないにしても、検察も、裁判所も見抜けなかったのはあまりにお粗末だった。 実は西山さんの自白は二転三転しており、検察側が証拠として示す調書と、公判での西山さんの供述がちぐはぐだったとされる。 大阪高裁の再審開始決定でも「自白はめまぐるしい変遷があり、体験に基づく供述ではない疑いがある」と疑問視。取り調べた刑事に好意を抱いた末に迎合し、虚偽の自白をした可能性があり「信用性は高くない」と結論付けた。 最高裁の決定も、裁判官3人全員一致で高裁決定を支持し、再審開始が確定した』、裁判で無罪を主張しても、「自白調書」さえあれば、安易に有罪判決を下した裁判所の姿勢は特に問題だ。
・『好意につけ込んだ刑事  今回の事件で問題となったのは、この取り調べを担当した男性刑事の存在と、でっちあげられたストーリーだ。 弁護団によると、西山さんから自供を引き出したのは、威圧感ある怖さと優しさを使い分ける巧妙な刑事のトークだった。 当時30代だった男性刑事は呼吸器が外れたことを知らせるアラームが鳴ったかどうか執拗(しつよう)に尋ね「なめたまねしたら痛い目に遭うで」。机を蹴り、睨(にら)みつけた。 アラームが鳴ったと認めると別人のように優しくなり、親身に話を聞いてくれた。近所でも「優秀」といわれた兄と比べられ、コンプレックスもあった。「うん、うん」と自分の話を聞いてくれる刑事に、好意を抱いてしまった。 「逃げるな。否認したら裁判官の心証が悪くなる」「弁護士は信用するな」 刑事の言葉を信じた西山さん。公判での「やっていない」という訴えは、判事の耳に届かなかった。 服役後、西山さんは精神科医に「人に迎合しやすい傾向があり、軽度の知的障害と発達障害がある」と診断されていた。 実は捜査や公判の段階で、検察や裁判所が「違和感」に気付く局面はあった。 アラームが同僚に気付かれないよう1分間数え、消音ボタンを押したという供述調書だ。 弁護団によると、西山さんは「私は20秒しか数えられない。1分数えたとは言っていない」と主張。大阪高裁決定もこの供述調書について「誘導された疑いがある」と指摘していた。 この事件を巡っては、弁護団が「違法な捜査があった。自白に至った経緯を明らかにしたい」として捜査段階の供述調書など約350点の証拠を新たに開示請求した。 おそらく、見るに堪えないお粗末で杜撰(ずさん)な調書が披露されるだろう。 早ければ年内にも「無罪」が言い渡されるが、西山さんが謳歌(おうか)すべきだった20~30代の青春は戻らない。 その原因を作った警察や検察、各裁判所の関係者は誰も謝罪せず、責任を問われることもない』、「軽度の知的障害と発達障害がある」西山さんを騙して「自白調書」をでっち上げた警察官の責任は重大だ。しかし、それが問われることはないとすれば、日本の司法の闇の1つになるだろう。
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