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災害(その9)(東京の江東5区 台風19号では見送られた250万人の広域避難、武蔵小杉の「高級タワマン」で起きた悲劇…その全貌が見えてきた あの日、何が起きたか、浸水リスクが高い「鉄道車両基地」は多数ある より綿密な減災計画の策定が必要だ) [社会]

昨日に続いて、災害(その9)(東京の江東5区 台風19号では見送られた250万人の広域避難、武蔵小杉の「高級タワマン」で起きた悲劇…その全貌が見えてきた あの日、何が起きたか、浸水リスクが高い「鉄道車両基地」は多数ある より綿密な減災計画の策定が必要だ)を取上げよう。

先ずは、在米作家の冷泉彰彦氏が10月28日付けNewsweek日本版に掲載した「東京の江東5区、台風19号では見送られた250万人の広域避難」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/reizei/2019/10/19250_1.php
・『<今後の豪雨災害の頻発を見越して、実際に広域避難が機能するためのPRや訓練が必要> 今月12日に関東に上陸した台風19号の際に、東京都東部の低地帯にある江東5区。つまり墨田、江東、足立、葛飾、江戸川の各区は、都の西部や他県などへの「広域避難」を一時検討していたことが分かった、と24日に時事通信(電子版)が報道しています。 この記事ではさらに、検討はされたものの、「首都圏の在来線全ての運休が決まったため住民への呼び掛けや勧告は見送った」と説明されていました。2018年8月に、この5区で構成する協議会は広域避難の計画を策定しました。具体的には「台風の中心気圧が930ヘクトパスカル以下」「荒川流域での3日間の積算雨量予測が500ミリ超」を目安として、この基準を超えた場合は広域避難の呼びかけをすることとされていたそうです。 今回はどうだったのかというと、台風上陸の72時間前の9日に「検討に着手」されて、上陸当日12日の朝には前年に決めた基準の「500ミリ」を超える雨量の予報が出たそうです。このため広域避難の呼びかけがされる可能性があったのですが、実際は計画運休の発表に加えて、予報が避難勧告基準の600ミリ超を下回る予報だったので、広域避難は見送られたとされています。 これは大変なニュースです。5つ大きな疑問があります。次の台風接近や大規模な豪雨の発生までに、こうした疑問を解いておく必要があります。なぜならば、温暖化がドンドン進む中で、今回の15号+19号+21号のような台風被災は、より深刻な形で繰り返されるということは想定しておかなければならないからです。 1つ目は、結果的に今回は荒川と江戸川の氾濫は発生しなかったし、また江東5区における内水氾濫も起きませんでした。その原因をしっかり検証しておくことが必要です。「500ミリ」という基準を決めておいて、その場合は広域避難の呼びかけをすると決めながら、結局できなかった中で結果的に「洪水にはならなかった」という事実が重なると、人間の心理は「500ミリなら大丈夫」という安易な判断に流れがちです。その判断が大きな禍根を残すことのないように、検証が必要と思います。 2つ目は、江東5区における降雨量だけで決めていいのかという問題です。利根川水系には、今回機能したと言われる八ッ場(やんば)ダムなど多くのダムで治水がされていますし、俗に言う「地下宮殿」などの洪水調整施設が機能しています。ですが、それでも想定を上回る降雨が上流で起きた場合は、利根川の支流である江戸川にしても、それとは別の河川ながら流域の重なる荒川についても、氾濫リスクがあるわけです。江東5区としては、内水氾濫だけでなく、そうした外水氾濫も想定して、その上で広域避難の検討をしているはずです。また東京湾の高潮被害の可能性も想定するべきです』、「前年に決めた基準の「500ミリ」」と「避難勧告基準の600ミリ超」、どちらが正しいのだろうか。「江東5区における降雨量だけで決めていいのかという問題です」とあるが、避難計画では「「荒川流域での3日間の積算雨量予測が500ミリ超」を目安」となっているので、問題はなさそうに思える。
・『3つ目はタイミングです。250万人の広域避難を想定するのであれば、そしてその場合に、公的交通機関を利用した避難になるのであれば、次のようなタイムラインを想定する必要があると思います。(台風上陸もしくは豪雨発生想定時刻から逆算して) ▼24時間前......避難完了、危険箇所への立ち入り禁止措置開始、公的交通機関順次ストップ。 ▼48時間前......避難ピーク、公的交通機関は臨時ダイヤに。 ▼72時間前......避難指示、公的交通機関の計画運休具体化。 交通事業者も行政も、「72時間前なんて無理」と言うかもしれませんが、どう考えても250万人を安全に誘導するにはこのぐらいの時間が必要です。ということは、「空振り覚悟」で行政も、交通機関もこの72時間前というタイムラインで進めると宣言をして、社会的な合意を作っておかなければなりません』、確かに計画運休は避難する住民のことも考慮すべきだろう。
・『4つ目は避難訓練です。できれば住民も全員参加で、とにかく行政と交通機関が協力して、避難訓練をしていくことは大切です。イザという時に、機能しなくなっては大変だからですし、また避難訓練をしておけば「広域避難」についての格好のPRになるからです。 5番目は、仮に江東5区について、万が一の場合は広域避難が発令されるという理解が徹底されるようになったとします。その場合に、「そんなに危険なエリアなら」と投資や購入の動きが鈍って、この5区の不動産価値が下がるようなことは望まれません。 このため、広域避難により人命を守り、また万が一の広域水害発生時には、それに耐えられるようにインフラも整備されており、またソフト面も充実していて、スピード復興が可能になっているということをPRして、また宣伝に違わぬ中身を実現させておくことで、不動産価値の下落を防ぐことが必要です。 いずれにしても、江東5区の広域避難というのは、大変にスケールの大きな問題です。万が一に備えて機能するようにしておかなければなりません。他にもあるかもしれませんが、この5点の論点について闊達な議論が行われることが必要でしょう』、「不動産価値の下落」防止策は、確かに必要だろうが、時間がかかるものが多く、即効性尾には乏しそうだ。となると、「広域避難」への住民の協力が覚束なくなる懸念もありそうだ。

次に、10月28日付け現代ビジネス「武蔵小杉の「高級タワマン」で起きた悲劇…その全貌が見えてきた あの日、何が起きたか」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/68039
・『つい2週間前まで、誰もが憧れる高級タワマンだった。停電、断水、果てはマンション前に悪臭を放つ汚泥が溜まった。なぜこんな事態になったのか。発売中の『週刊現代』では、「人気の街」を襲った悲劇を徹底検証する』、確かに「検証」の価値がありそうだ。
・『駅前が川のようになった  「台風19号が上陸した10月12日の夜から停電してしまい、すぐにトイレも使えなくなりました。台風が通過した後、毎日朝5時すぎから業者がクレーンなどの重機を使って復旧作業をしています。 各部屋の電気は徐々に使えるようになってきましたが、完全ではなく、共用部の電気は消えたまま。何より個々の部屋のトイレはまだ復旧していないのです」 そう話すのは、47階建ての高級タワーマンション「パークシティ武蔵小杉ステーションフォレストタワー」(以下、パークシティ武蔵小杉)に住む40代の女性だ。住民向けに携帯トイレが配布されたというが、使用している人は少ないようだ。 この女性が続ける。 「トイレが使えないこともあり、住民の中には近くのホテルや知り合いの家に泊まっている人たちも多いようです。 夜になっても明かりが点かない部屋が多いのは、まだ停電している部屋があるのと、そういった理由で不在の部屋があるためです(左頁写真)。タワマンに住んで、まさか台風でこんな事態になるなんて、想像していませんでした」 甚大な被害を及ぼした台風19号の上陸から2週間が経った。各地で大きな爪痕を残したが、中でも注目を浴びたのが川崎市武蔵小杉である。 武蔵小杉といえば、「SUUMO 住みたい街ランキング2019」でも、関東9位にランクインするなど、「住みたい街」ランキングの常連として知られている。街の中心にはJR南武線、東急東横線の駅があり、少し離れた場所にはJR横須賀線も走っている。 「グランツリー武蔵小杉」といった大型複合施設なども多く、共働きの高所得夫婦やファミリー層から高い支持を得ている。 そんな人気の街の中心に建っているタワマンが、冒頭のパークシティ武蔵小杉である。高さは約160m、'08年に完成した。 「武蔵小杉の各駅から、ちょうど徒歩2~3分ほどの場所に建っているという最高の立地です。外観や内装も高級感がありますが、その割に周囲の物件と比べて桁外れに高額というわけではないので、人気が高い。 10階~30階あたりの中層階だと、3LDKで約7000万円~9000万円が相場でしょう。 部屋数643戸という大型マンションですが、人気物件で、空きは少ない。『武蔵小杉ナンバーワンタワマン』と呼ぶ人もいます」(地元不動産業者) この高級タワマン周辺で異変が起き始めたのは、10月12日の深夜のこと。台風19号による暴風と大雨が猛威を振るうなか、突然街のあちこちから水があふれ出したのだ。 JR南武線、東急東横線の武蔵小杉駅の南側のエリアでは、大人の膝上ほどの高さまで水が流れ込み、一帯は冠水した。 冠水した水が暴風で東へ西へと流される様子は、まるで突然街中に大きな川が現れたようだったという。さらなる本当の悲劇は台風通過後にやってきた。 「台風翌日の13日のお昼頃には、水はずいぶん引きました。しかし、冠水したバスロータリーの辺りには大量の泥が溜まったままでした。周囲には汚泥の匂いが漂っていて、マスクをして歩く人の姿もありました」(川崎市市民自治財団事務局長の田澤彰氏))』、「パークシティ武蔵小杉」は「武蔵小杉の各駅から、ちょうど徒歩2~3分ほどの場所に建っているという最高の立地」、ということであれば、「10階~30階あたりの中層階だと、3LDKで約7000万円~9000万円が相場」というのも頷ける。
・『「分流式」か「合流式」か  普段から大混雑で知られるJR武蔵小杉駅の横須賀線ホームでは、水没した影響で一部の改札が使えなくなり、券売機やエスカレーター、エレベーターなどが故障した。駅から南へ徒歩8分ほどの場所にあるマンションの住民が話す。 「台風後すぐに停電してしまい、まだ復旧していません。ウチのマンションの1階にあるコンビニや銀行のATMも電気設備がやられてしまったようで、営業再開の目処は立っていないのです」 中でも特に甚大な被害を受けたのが、冒頭のタワマン、パークシティ武蔵小杉だった。地下3階にある電気設備が浸水し、完全に故障してしまった。 その結果、停電し、照明、エレベーターも停止。最上階の47階に住んでいる住民は、悲惨なことに、外出するためには一段一段、階段で上り下りするしかなくなってしまった。 トイレが使用できなくなったのは、配電盤が壊れてポンプで水を汲み上げられなくなったからだ。便意を催すたびに47階から1階まで階段を上り下りする―。そんな地獄を、高級タワマンの住民は味わうことになったのだ。 さらに、マンションの前には汚水を含んだ泥が大量に溜まり、悪臭を放った。一連の様子はテレビやネットを通じて全国に広まり、高級タワマンのイメージはガタガタに崩れることとなった。 今回の台風19号では、各地で堤防の決壊や越水(河川の水が堤防を越えてあふれること)が起きた。しかし、武蔵小杉駅は、一番近い多摩川の堤防でさえ1㎞弱もの距離がある。そして、その堤防付近では、決壊も越水も起きていない。 それなのに、なぜか武蔵小杉の中でもタワマンが林立する、駅の南側のエリアに浸水被害が集中した。 どうしてこのような事態になったのか。発生直後は不明だった多くのことが、2週間が経ち、徐々に明らかになってきた。水災害に詳しい神戸大学の大石哲教授が解説する。 「川崎市はエリアによって『分流式』と『合流式』という2種類の下水処理方式を採用しています。 分流式は汚水を下水処理場へ、雨水は川や海に直接放流する。合流式は、汚水と雨水の両方を一緒に下水処理場に送るのですが、雨が大量に降った場合は、ほとんどすべてを河川に放流するのです」 新設される下水管は分流式が主流で、国土交通省も分流式を推奨している。合流式は主に古い街などに、そのまま残っていることが多い方式だという。大石氏が続ける。 「実は武蔵小杉は、駅より北側のエリアは分流式、今回被害のあった駅より南側のエリアは合流式と、別の方式を採用しているのです。 南側のエリアでは、汚水と、台風で降った大雨を下水管から多摩川に放流しようとしたわけですが、その多摩川自体の水位が非常に高くなってしまっていた。 それで、下水管から河川の水が逆流し、汚水や雨水と一緒になって武蔵小杉の街にあふれたのだと考えられます」』、「パークシティ武蔵小杉・・・地下3階にある電気設備が浸水し、完全に故障してしまった」、地下に電気設備を設置するのはやむを得ないとしても、防水設備がなかったからだろう。
・『地下の電気設備がやられた  排水管から雨水が逆流し、市街地などに水があふれる現象は「内水氾濫」と呼ばれている。一方、河川の水は「外水」と呼ばれ、これが配水管から逆流して市街地に流れ込む現象を「外水氾濫」と呼ぶ。今回はこの内水氾濫と外水氾濫が同時に起こった。 「多摩川はいわゆる『天井川』といって、川床の高さのほうが、街の地面よりも高い位置にある河川です。水位が高くなれば、川につながっている排水管の水門を閉じる必要があった。 川崎市は今回のような規模の台風に慣れていなかったのか、内水氾濫を恐れ、水門を閉じなかったのです。 しかし、今回のように大量の雨が降って河川の水量が多くなると、河川水の逆流によって被害は大きくなります。水門を閉じなかった選択は、適切だったとはいい難いでしょう」(大石氏) タワマンが立ち並ぶ駅の南側のエリアには、地形的な弱点もあった。武蔵小杉の地元不動産会社「ケイアイ」の代表取締役・金子勇氏が語る。 「今回被害のあったタワマンがあるエリアは、かつて工場などが建っていましたが、地元では『昔、あの辺りは沼だった』と言われています。一帯が周囲より低い土地であることは間違いありません」 こうして、逆流した汚水、大量の雨水がこのタワマン地帯に流れ込んだというわけだ。 そしてこの水がパークシティ武蔵小杉の地下にある電気設備に襲いかかった。地域防災に詳しい、東北大学災害科学国際研究所の佐藤健教授が語る。 「電気設備や受水槽のような設備は、基本的に地下室などに納めてしまうのが一般的です。 限られた空間を有効に使いたいため、地上部分は住戸や商業施設で占められてしまう。そのような弱点が今回、武蔵小杉のタワーマンションで露呈してしまったのです」 『生きのびるマンション』などの著書がある、ノンフィクション作家の山岡淳一郎氏もこう話す。 「現在の建築基準法の単体規定(建物自体についての規定のこと)では、地震に対しては対策を義務付けていますが、浸水に対しては何か基準があるわけではありません。 そのため、地下の電気設備などには必ずしも浸水対策が施されているわけではないのです。 今回被害に遭った武蔵小杉のタワマンも停電対策として自家発電装置を備えていたようですが、浸水対策は講じられておらず、結果的に使えなくなってしまった」 たとえば、建築基準法では高さ60m超の建物を建てる場合、60m以下の建物に比べて、1・25倍の風速に耐えられる構造にすることなどを義務付けている。 しかし、水害対策の基準は存在しない。そのため、今回のような事態が起きてしまうのである。 被害を受けたパークシティ武蔵小杉の住民たちの口は重い。本誌はこのタワマンに出入りする住民に声をかけたが、一様に「話すことはない」といった反応だった。 なぜか? 彼らにとって今回のトラブルは生活難だけにとどまらない、一大事だからだ。住宅ジャーナリストの榊淳司氏が語る。 「今回被害を受けたタワマンは、不動産業界で言う『事故物件』になってしまったのです。武蔵小杉は近年人気が急上昇したエリアで、『ムサコマダム』という言葉も生まれました。 しかし、徐々に人気に陰りも見えはじめていたのです。というのも、2年ほど前に、武蔵小杉駅が大変混雑するため、朝の通勤ラッシュ時などは駅の改札を抜けるのに30分以上かかるといった事態が報道されました。 そこからじわじわと敬遠する人が増えていた。今回の事態は、その傾向にさらに拍車をかけるのではないでしょうか」 今回の一件で全国的に名が知られてしまったパークシティ武蔵小杉も値崩れ必至だ。 人気エリアだから簡単には値崩れしない―そう考え、投資目的も含めて購入した人も多いパークシティ武蔵小杉の住民は、今回の事態の深刻さを誰よりもよくわかっているはずだ』、「川崎市は今回のような規模の台風に慣れていなかったのか、内水氾濫を恐れ、水門を閉じなかったのです」、といのも問題だが、水門を閉じたとしても被害はでたのではなかろうか。「水害対策の基準は存在しない」のは問題だが、規制によらず重要な電気設備には、自発的に「浸水対策」を施しておくのがディベロッパーの責務だ。『昔、あの辺りは沼だった』危険な地域にも拘らず、規制がなかったので、何もせず、「自家発電装置」まで駄目にしてしまったというのは罪が深い。
・『地価が3割も下落  「仮に台風前に1億円で売っていた部屋が、急に9000万円になるといったことはないでしょう。しかし、これまで1億円で売りに出したら、2ヵ月で売れていた部屋が、半年~1年かかるという感じになる。 売れにくくなる、貸しにくくなるわけです。そうすると、売り急ぐ人は相場よりも低い価格で売りに出すようになるでしょう。そうして下落バイアスがかかってくるのです。 東日本大震災の時に、新浦安と海浜幕張の街で液状化現象が起きました。その直後はマンションなど不動産の価格に影響はありませんでしたが、2~3年かけてズルズルと下がりました。 海浜幕張などは3割以上価格が下落した物件もありました。同様の事態が武蔵小杉でも起きる可能性はあります」(榊氏) 住宅地に向いているとはいい難い場所を、古い下水システムが残ったまま、「人気の街」というイメージをつけて売りに出す。そうして今回のような悲劇を生んでしまった。 程度の差こそあれ、同様の事態は他の地域、他のマンションでも十分起こり得る。前出・佐藤氏が語る。 「武蔵小杉で起きた停電、断水はタワマンだけで起きる問題ではありません。これを教訓として、デベロッパーを始めとして、業界で対策を講じる動きとなるでしょう。 ただ、そこに任せるだけではなく、居住者自身が電気設備や給水設備がどうなっているかなどを事前に把握しておくのも重要だと思います」 武蔵小杉の事例は決して他人事ではない。そう胸に刻みたい』、浸水リスクを度外視したデベロッパーの責任は重大だ。

第三に、フリーライター、地形散歩ライターの内田 宗治氏が10月29日付け東洋経済オンラインに掲載した「浸水リスクが高い「鉄道車両基地」は多数ある より綿密な減災計画の策定が必要だ」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/311010
・『記録的大雨に襲われた場合、浸水が想定されている車両基地は、実は全国に数多い。台風19号で北陸新幹線車両が水没した長野新幹線車両センターの光景は、至る所で起きかねないのである。 東京の場合、台風19号では荒川堤防が大規模決壊とならず何とか持ちこたえてくれたが、最悪の場合、5m以上の浸水となる車両基地(地下車両基地の地表)も都内にある。3m未満の浸水となる車両基地はさらに数多い。車両がほぼ水没する深さの浸水である。 まずは新幹線を見てみよう。都内には、新幹線の車両基地が2カ所ある。東海道新幹線の大井車両基地(品川区八潮)と、東北・上越新幹線の基地である東京新幹線車両センター(北区東田端)である。この2カ所は、記録的大雨となった場合、浸水が想定されている。 各自治体が公表するハザードマップでは、この2つの新幹線基地は、最大規模の浸水想定で0.5m未満。車両基地内全面的ではなく、部分的に浸水する想定である。この程度ならば幸いにして浅いと言い切ることはできない。災害は想定外のことも起こりうる。「これより深い浸水となる可能性もまったくゼロではない」、といった主旨の注釈も付けられている』、「北陸新幹線車両が水没した長野新幹線車両センターの光景」は見るも無残だが、他にも同様のリスクを抱えたところが多いというのは驚きだ。
・『長野でもかさ上げはしたが・・・  全国の新幹線車両基地を見てみると、最大規模の浸水の場合5m未満となる車両基地が2カ所ある。東海道新幹線などの鳥飼車両基地(JR東海、大阪府摂津市)と、東北新幹線などの新幹線総合車両センター(JR東日本、宮城県利府町)である。 このほか、全国の新幹線基地では、同じく3m未満が8か所、0.5m未満が4カ所もある。 北陸新幹線車両が水没した長野新幹線車両センターの浸水想定(事前のもの)は、長野市のハザードマップによればなんと10~20mだった。こうした地に数mかさ上げして、車両基地が造られていた。 同車両センターが建設された時代では、ここまで深い浸水は想定されていなかったという。その後、想定外をなくそう、ということで見直され、「1000年に1回程度の降雨」を想定した上記の浸水想定となっている。) 地形を眺めると、いずれも共通した特徴がある。 大阪府の鳥飼車両基地の場合、近くを淀川が流れ、車両基地に寄り添うようにして安威川が流れている。川に囲まれた立地であるばかりでなく、1945年の空中写真を見ると、現在の車両基地は、旧安威川らしきものが蛇行する川の中となっている。そこが後に水大田となり、整地して車両基地となった。 宮城県の新幹線総合車両センターは、砂押川が車両基地を横切り、すぐ下流で名古曽川と合流している。周囲は水田が広がり、川中島のような立地である。 長野新幹線車両センターも千曲川と浅川に挟まれた低地に造られている。 東京新幹線車両センターも、北には隅田川が流れ、明治時代の地図を見ると、一体は水田、さらに大昔は隅田川の氾濫原だった所である。 車両基地は、まるで川の近く、湿地を選んで立地させているように感じてしまう。車両基地には、広く平らな土地が必要である。ただでさえ平地が少ない日本の国土で、広く平らで洪水の危険も少ない土地は、もともと開発の手が進み、人家が密集していたりする。後から車両基地を作るとすれば、取り残されていた湿地や水田をかさ上げし整地して作るしかなかったと考えられる』、「後から車両基地を作るとすれば、取り残されていた湿地や水田をかさ上げし整地して作るしかなかったと考えられる」、やむを得ない面がありそうだ。
・『大井に洪水の心配はないが・・・  もう1つの方法が、海岸の埋め立て地への建設である。前述の東海道新幹線の大井車両基地や東京メトロ有楽町線の新木場検車区などがそれにあたる。 大井車両基地の場合、東海道新幹線の車窓からは見えないのであまり知られていないが、東京モノレール大井競馬場前駅より約800m海側、首都高湾岸線よりさらに海側の場所に広がっている。東京駅から見て品川駅近くの地点で本線と分かれ、引き込み線によってこの車両基地へとつながっている。 大井車両基地の場合、海や運河に囲まれた人工島なので、洪水の心配はない。東京都建設局による高潮ハザードマップでも、高潮はやってこない想定だ。それでも0.5m浸水するのは、いわゆる内水氾濫、降った雨が排水しきれなくなるためだろう。排水ポンプの増強などいくつかの対策が考えられる。) 都内23区内で洪水、高潮で浸水が想定されている車両基地が十数か所ある(各自治体のハザードマップによる)。多くが東京下町に集中している。被害が甚大となるのは、万一荒川が決壊した場合で、その場合、最悪で23区の3分の1が浸水してしまう。 東京メトロ、都営地下鉄の車両基地では、中野(方南町)検車区の例(神田川など)を除けば、いずれも荒川の氾濫及び東京湾の高潮による被害想定だ』、「大井車両基地」は「人工島なので、洪水の心配はない。東京都建設局による高潮ハザードマップでも、高潮はやってこない想定」、とあるが、津波リスクはあるのではなかろうか。「都内23区内で洪水、高潮で浸水が想定されている車両基地が十数か所ある」、恐ろしい話だ。
・『地下に車両基地を造った例も  比較的初期に造られたものや、都心からやや離れている車両基地は地上にあり、近年建設のものは地下に設置したものが多い。 地上に広がるものでは、日比谷線千住検車区(3m未満)は、すぐ隣を隅田川が流れる。同地は大正時代くらいまでは沼田だった。目測では周囲の低い所より2m程度かさ上げして造られている。 高島平駅東方にある三田線志村車両検修場(5m未満)は、北側には荒川が流れていて、1970年頃までは水田で、一帯は都内有数の米蔵といわれていた。 地下のものでは、南北線王子検車区(5~10m)は隅田川に隣接している。神谷堀公園の下に立地するが、ここは大正時代くらいまで、水運のために造られた堀だった。そこを埋め立てた場所である。 新宿線大島車両検修場(5m未満)は、東京下町でも有数の地盤沈下の地で、周囲の標高はマイナス2.5m。東大島駅北側にあり、旧中川に隣接している。車両検修場の地上部分が大島小松川公園となり、公園は人工地盤として標高約5mある。) 東京の地下鉄は、車両基地に限らず、いわゆるゼロメートル地帯を行く区間が多くある。いずれにせよ、以前の記事「豪雨の『水没リスク』、都内地下駅の対策は?」(2018年8月29日付)で述べたように、地表が浸水した場合、防水扉や止水板などで地下への浸水を完全に防げるかが重要となる』、確かに浸水防止には十二分な対策が必要だろう。
・『綿密な減災計画が必要  JRの車両基地(東京23区の例)では、荒川ほか最寄の河川、高潮による被害想定となっている。 東北本線や高崎線などの車両が所属する尾久車両センターの浸水が、荒川が氾濫することにより3m未満と深い。南側には、東北・上越新幹線の東京新幹線車両センターがあり、こちらは0.5m未満なのだが、この違いは標高差によるようだ。 田町―品川間に広がる東京総合車両センター田町センターも1m未満の浸水想定である。こちらは洪水のほか近くの東京湾からの高潮も想定されている。 私鉄は、23区内に車両基地が少なく、下町にある京成電鉄高砂検車区が、高潮での3m未満(洪水では1m未満)だった。 台風襲来などでの荒川氾濫が危惧される場合、数日前から交通機関や行政が事前に取る行動として「荒川タイムライン」が検討されている。それには、水没のおそれのある車両の避難なども含まれる。 そのためには、より前倒しの計画運休なども必要となろう。その間に車両を浸水のおそれのない所に移動させるのである。場合によっては、計画運休したもののさほどの暴風雨とならず、計画運休が空振り、となる事例も出てくるかもしれない。だが今回の長野車両センターでの新幹線車両水没を機に、計画運休の社会的理解、関係機関でのより綿密な減災計画の策定が望まれる』、「長野新幹線車両センター」が「車両の避難など」もせず、水没したのは、信じられない職務怠慢だ。マニュアルにないというのは言い訳にはならない。あれだけ、マスコミが事前に警戒を呼びかけていたのだから、常識的な判断力さえあれば、対応可能だった筈だ。「綿密な減災計画が必要」というのは、正論だが、計画がなくても車両の避難などを自主的に判断することが、求められるのではなかろうか。
タグ:5つ大きな疑問 首都圏の在来線全ての運休が決まったため住民への呼び掛けや勧告は見送った 現代ビジネス 4つ目は避難訓練 都の西部や他県などへの「広域避難」を一時検討していた 「空振り覚悟」で行政も、交通機関もこの72時間前というタイムラインで進めると宣言をして、社会的な合意を作っておかなければなりません 災害 今回被害を受けたタワマンは、不動産業界で言う『事故物件』になってしまった 今後の豪雨災害の頻発を見越して、実際に広域避難が機能するためのPRや訓練が必要 2年ほど前に、武蔵小杉駅が大変混雑するため、朝の通勤ラッシュ時などは駅の改札を抜けるのに30分以上かかるといった事態が報道されました。 そこからじわじわと敬遠する人が増えていた。今回の事態は、その傾向にさらに拍車をかける パークシティ武蔵小杉 「トイレが使えないこともあり、住民の中には近くのホテルや知り合いの家に泊まっている人たちも多いようです 現在の建築基準法の単体規定(建物自体についての規定のこと)では、地震に対しては対策を義務付けていますが、浸水に対しては何か基準があるわけではありません 「住みたい街」ランキングの常連 武蔵小杉 3LDKで約7000万円~9000万円が相場 武蔵小杉の各駅から、ちょうど徒歩2~3分ほどの場所に建っているという最高の立地 (その9)(東京の江東5区 台風19号では見送られた250万人の広域避難、武蔵小杉の「高級タワマン」で起きた悲劇…その全貌が見えてきた あの日、何が起きたか、浸水リスクが高い「鉄道車両基地」は多数ある より綿密な減災計画の策定が必要だ) 『昔、あの辺りは沼だった』 地下の電気設備がやられた 「武蔵小杉の「高級タワマン」で起きた悲劇…その全貌が見えてきた あの日、何が起きたか」 3つ目はタイミングです 地下3階にある電気設備が浸水し、完全に故障してしまった 5番目は、仮に江東5区について、万が一の場合は広域避難が発令されるという理解が徹底されるようになったとします。その場合に、「そんなに危険なエリアなら」と投資や購入の動きが鈍って、この5区の不動産価値が下がるようなことは望まれません Newsweek日本版 「東京の江東5区、台風19号では見送られた250万人の広域避難」 冷泉彰彦 計画運休の社会的理解、関係機関でのより綿密な減災計画の策定が望まれる 地下に車両基地を造った例も 大井に洪水の心配はないが・・ 下水管から河川の水が逆流し、汚水や雨水と一緒になって武蔵小杉の街にあふれた 川崎市は今回のような規模の台風に慣れていなかったのか、内水氾濫を恐れ、水門を閉じなかった 長野でもかさ上げはしたが・・・ 長野新幹線車両センターの光景は、至る所で起きかねない 「浸水リスクが高い「鉄道車両基地」は多数ある より綿密な減災計画の策定が必要だ」 東洋経済オンライン 内田 宗治 海浜幕張などは3割以上価格が下落した物件もありました 地価が3割も下落 武蔵小杉は、駅より北側のエリアは分流式、今回被害のあった駅より南側のエリアは合流式と、別の方式を採用 トイレが使用できなくなったのは、配電盤が壊れてポンプで水を汲み上げられなくなったからだ。便意を催すたびに47階から1階まで階段を上り下りする 「分流式」か「合流式」か 2つ目は、江東5区における降雨量だけで決めていいのかという問題 1つ目は、結果的に今回は荒川と江戸川の氾濫は発生しなかったし、また江東5区における内水氾濫も起きませんでした。その原因をしっかり検証しておくことが必要 江東5区
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