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恋愛・愛情・結婚(その2)(社会構造的に「結婚できない男女」がいる大問題 時代が変わっても根本は変わっていない、結婚遠ざける「生涯子育て」という日本的発想 いくつなっても責任から逃れられない、子ども部屋おじさんと揶揄する人に欠けた視点 個人的な感情は抜いて客観的な視点が重要だ) [社会]

難いテーマが続いたので、今日はソフトに。恋愛・愛情・結婚については、8月10日に取上げた。今日は、(その2)(社会構造的に「結婚できない男女」がいる大問題 時代が変わっても根本は変わっていない、結婚遠ざける「生涯子育て」という日本的発想 いくつなっても責任から逃れられない、子ども部屋おじさんと揶揄する人に欠けた視点 個人的な感情は抜いて客観的な視点が重要だ)である。

先ずは、8月10日付け東洋経済オンラインが掲載した 婚活アドバイザー、結婚相談所マリーミー代表の 植草 美幸氏と中央大学教授の 山田 昌弘氏の対談「社会構造的に「結婚できない男女」がいる大問題 時代が変わっても根本は変わっていない」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/296258
・『結婚したいのにできない――。この結婚困難社会はなぜ生まれたのか。生涯未婚率(50歳時点で結婚したことのない人の割合)は男性で23.4%、女性で14.1%と過去最高を記録した日本(2015年国勢調査)。 「それでも結婚したい」という生の声を聞き、年間100?150組のカップルを結婚に導いている結婚相談所・マリーミー代表で本連載筆者の植草美幸氏と、結婚をめぐる問題について社会学の視点から詳細に論じた『結婚不要社会』を5月に上梓した、中央大学文学部教授・山田昌弘氏が、最近の結婚事情について語り合った』、興味深そうだ。 
・『日本と欧米で「結婚不必要」な理由が違う(山田昌弘(以下、山田):『結婚不要社会』では、タイトルのとおり、日本は結婚が必要のないものになっているということが、大きなコンセプトになっています。欧米も結婚不要社会です。 しかし、欧米の不要の意味と日本の不要の意味は違う。欧米では性的なパートナーは人間の幸せにおいて必要だけど、パートナーと結婚する必要はないし、ずっと同じパートナーと一緒にいる必要もないと考えているという意味で、結婚は不要になっています。 一方、日本の近代社会は結婚しないと心理的に生きにくくなる「結婚不可欠社会」でした。それは現代も変わらず、結婚を望む人はいまだ多い。しかし、結婚が困難になりつつあるから、パートナーなしでも楽しく過ごす。そういう意味で不要になりつつあります。 植草美幸(以下、植草):確かに、昔は結婚していないと世間体が悪いと考える人が多かった。先日、うどん屋さんに入ったら6テーブル中5テーブルはおひとり様の女性でした。しかもその多くはおそらく独身。見ればだいたいわかります。 おひとり様を楽しんでいる女性は本当に多い。「いつでも結婚できるだろう」という人もいるのでしょうが、30代後半になって慌てて結婚相談所に駆け込んで来るケースは少なくありません。 山田:欧米だと、そういうところで女性が1人でいたら男性が声をかけますが、日本の場合、ナンパや偶然の出会いで付き合って結婚するケースは少数派。およそ5%程度です。これはずいぶん前から増えても減ってもいません。よく知らない人と付き合うのは危ないというリスク意識がすごく高いんです。 植草:その割には出会い系サイトに登録してしまう人が多い印象も受けます。出会い系サイトでは、異性に会うことができても、結婚までつながりにくいのでは、と思うのですが。 山田:いわゆる出会い系サイトで付き合ったり結婚したりする人は、5%以下でしょう。「遊び相手」を求める人が多いのでは』、『結婚不要社会』、とは言われてみれば、そうなってきたことは確かだ。
・『男性はモテる人とモテない人に二極化  植草:学生さんのような若い人も恋愛しなくなったと聞きます。どうしてだと思われますか? 山田:リスク回避ですね。問題のある人と付き合いたくないんです。 結婚がしにくくなっているという事実が知られてきたので、「恋愛相手=結婚する相手」という確率が高まってくる。そのため結婚相手にふさわしくない人と付き合うのは時間とお金の無駄だと考える。 「好きという一時的な感情で付き合ってはいけないと思います」と言う学生もいますよ。どんな調査においても、今の若い人は恋愛に対して消極的という結果になっています。 植草:弊社では、お互いのデータとしてはぴったりの相手とお見合いしても、恋愛経験がないので自分が相手からどう見えているかわからずうまくいかない、という例が結構あります。とくに男性に恋愛経験が少ないがゆえの失敗が、しばしば見られますね。 山田:男性は、モテる人とそうでない人に二極化しています。女性は恋愛経験がある人は結構いるようですが。 植草:そうなんですよ。女性は恋愛経験もあるし、見た目もきれいにしている。そういう女性に「20代、30代前半で付き合った人となぜ結婚しなかったの?」と聞くと、「結婚を前提とした恋愛をしなかった」と言う。 山田:それは1990年代までの恋愛が活発化していた時代の特徴ですね。男性もその頃は猫も杓子も女性に声をかけたけれども、今はかけない。断られるリスク回避です。自分の価値、プライドを下げたくない』、「結婚相手にふさわしくない人と付き合うのは時間とお金の無駄だと考える」、ふさわしいか否かを判断するためには、時間とお金をある程度かけざるを得ないとは考えないのだろうか。「「好きという一時的な感情で付き合ってはいけないと思います」と言う学生もいますよ」、そこまで抑制的になったのでは、本当に世も末だ。
・『女性が肉食化しても問題は解決しない  山田:スクールカーストという言葉がありますが、中学高校時代からモテる男性とモテない男性に分かれ、モテる男性はモテる男性同士と友達になり、モテない男性はモテない男性と友達になる。その構図が大人になってもずっと続く。 だからモテない男性は、友達からのアドバイスどころか、恋愛経験すら聞けない。それでいて恋愛のきっかけは相変わらず男性側から声をかけるのがほとんどで、女性から声をかけるケースは増えていません。だからモテない男性はずっとモテないままなんです。 植草:弊社では逆プロポーズが結構多い。いわゆる肉食系女性がリードをするとサッと結婚が決まります。だから、女性には「待っていないで積極的に気持ちを伝えてね」といつもアドバイスしています。 山田:男性は、女性側からプロポーズされれば結婚を決めるでしょうね。男性が相手にこだわるのは年齢くらいで、あとは細かい条件よりもフィーリングで結婚を決めがちなので。 ただ、結婚相談所ではそれでうまくいくと思うのですが、社会全体で見ると根本的な課題解決にはつながりません。というのも、女性から声をかけるに足る、つまり“条件がいい男性”の数が絶対的に少ない。 積極的に声をかける女性がその男性と結婚すれば、結局、声をかけない消極的な女性や“条件が悪い男性”は余る。そういう人たちが結婚できる条件を整えない限り、日本全体としての結婚のあり方は変わらないんです。 植草:なるほど。男性の経済力の問題は大きい』、「声をかけない消極的な女性や“条件が悪い男性”は余る。そういう人たちが結婚できる条件を整えない限り、日本全体としての結婚のあり方は変わらないんです」、さすが社会学の教授らしい冷静な見方だ。
・『山田:男性は経済的に条件に合わないと、民間の結婚相談所に入会すらさせてもらえないでしょう。日本の未婚男性のおよそ3割は非正規雇用か無職。日本の未婚男性で年収400万円以上は約25%しかいません。一方、「適齢期の男性で年収400万以上を希望する」という女性は6?7割。社会構造的に結婚は無理なんです。 女性側を調査すると、「自分が稼ぐから相手の収入はこだわらない」という人は2割程度。それは、高卒だろうと大卒だろうと同じ。どんな調査をしても2割。ちなみに、女性管理職比率もだいたい十数%、東京大学の女子学生比率も2割。不思議とこの数字は動かない。 結婚したら男性の収入で暮らすという考え方が、今もメジャーなんです。昭和の頃はそれでもよかったんです。収入が低かったとしても安定して将来アップする可能性が高かったから。 植草:弊社の会員さんにも、相手の希望年収を書いてもらうんですが、そこを空欄のままにしているのはだいたい2割ですね。ほとんどは自分の年収よりも多い男性を希望します。 ただ、最近はこだわらないという方が少しずつ増えてきたように思います。それに、年収400万円以下であっても結婚が不可能なわけではありません。そういう男性が弊社の会員さんにもいらっしゃいます。最初は女性に好かれるタイプではなかったのですが、「そのままじゃ結婚できないよ」という話をすると理解してくれて、身だしなみを整えるところから始めて、内面的にもどんどん変身しました。そういう人は結婚できる。 山田:前向きな努力が必要ですね。 植草:以前、農村のセミナーに呼ばれて行ったとき、セミナー後に婚活パーティーがあるというのに、普段着に長靴を履いてきた男性がたくさんいました。女性はきれいにしているんですよ。男女で意識に大きな違いを感じました。 山田:男性は「ありのままの自分を見てほしい」と考える人が多いんです。日本の男性の化粧がはやらないのもそのせい』、「農村のセミナー・・・セミナー後に婚活パーティーがあるというのに、普段着に長靴を履いてきた男性がたくさんいました」、いくら「ありのままの自分を見てほしい」とは言っても、ここまで居直る姿勢には驚かされた。
・『男女の意識が凝り固まっている  植草:「ありのまま」と言っても、若いうちはいいかもしれませんが、女性の目は厳しいですから……。 山田:女性は「自分を選んでくれる高収入の男性がいるかもしれない」と考え、男性は「ありのままの自分を選んでくれる女性がいるかもしれない」と信じているんでしょうね。その意識を変えないと。 植草:最近の男性のいい傾向を1つ言うとすると、「家事はおまかせください」とアピールする人が増えてきました。これは女性にはとても響くポイントだと思います。 山田:都市部や若い人はそうかもしれませんが、世代や地方によっては「父親が何もしないから自分も」という意識はまだ強いと思いますよ。でも、実際、男性は一人暮らし率が高いので、パラサイトしている女性と比較したら家事能力はあるはず。 植草:パラサイトと言えば、私は業界に入って間もない頃、山田先生の『パラサイト社会のゆくえ』などパラサイトに関する書籍を読んで衝撃を受けたのですが、現在のパラサイト問題はさらに深刻になっています。50歳を過ぎても親御さんが出てくる。 話がまとまりそうなときに、80代の母親が「その女性は家事どのくらいできるの?働いていて家事をする時間はあるの?」と言い出してくるのです。母親としては息子には家事はさせないことが前提なんです。 女性が「働いていてもできます」というと「反抗的だ」と言うし、さらに、その女性の母親が再婚していることが気に入らないと破談にしてきた。昔ながらの固定観念を、息子や娘に託して結果的に結婚の邪魔をするんです。 山田:それは息子を不幸にしていますね。息子は反抗しないんですか。 植草:反抗せず「母親がだめと言うのでやめます」と従っていました。その方は収入も学歴も高いのにもったいない』、「息子は・・・反抗せず「母親がだめと言うのでやめます」と従っていました」、そんなに弱い息子では、仮に結婚したとしても、嫁姑問題で離婚必至かも知れない。
・『本人の意思ではなく、親の意思で結婚  山田:妻よりも母親を選んだということですね。親御さんには何を言っても変わりませんから仕方がない。本人がそれで幸せならいいですが……。パラサイトを容認する親の心理は、「子どもが1人で苦労して生活するのを見るのはかわいそうだから一緒に住む」。でも、それが本人にとっていいこととは限らない。 植草:親と一緒に相談所に来る人は、男性も女性も本当に多く、だいたいそこで親子げんかが始まります。先日は娘さんと父親が2時間くらいけんか。総じて、女性は父親にも母親にも強い。それでも親と一緒じゃないと来られないんです、不思議と。 山田:「仕方なく親に連れてこられた」というスタンスをとりたいんでしょうね。見栄です。 植草:先に親御さんが1人で来るケースもあります。 山田:親が子どもに代わってお見合いするパーティーがあるくらいですもんね。 植草:そうですね。そこに本人の意見は入らない。でも残念ながら親同士が話して結婚するケースは少ないのが現状です。 山田:でも親の満足度は高いんですよ。自分の息子、娘の自慢話ができるから。欧米では、成人したら男性でも女性でも親元を放り出されて一人暮らしを始めます。だから経済的にパートナーを見つけて一緒に暮らさないと生活できない。日本も成人したら、子どもを手放すようにすれば結婚は増える方に変わると思いますよ』、「日本も成人したら、子どもを手放すようにすれば結婚は増える方に変わる」、その通りかも知れない。

次に、この続き、8月17日付け東洋経済オンライン「結婚遠ざける「生涯子育て」という日本的発想 いくつなっても責任から逃れられない」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/297366
・『生涯未婚率が上昇し続けている日本。なぜ日本の男女は結婚から遠ざかっているのか。結婚相談所マリーミーの代表で本連載の筆者、植草美幸氏と、『結婚不必要社会』の筆者、中央大学文学部教授・山田昌弘氏が、最近の婚活事情について徹底議論。 前回(社会構造的に「結婚できない男女」がいる大問題)は、結婚がしにくくなっている社会構造について議論を交わしたが、話はそこから婚活における男女の「変化」について及んでいく』、どんな「変化」なのだろう。
・『成人しても子育てが終わらない日本  植草美幸(以下、植草):結婚したい人が結婚できないという状況をどうすればいいでしょうか。女性の場合、やはり子どもを産むのにリミットを感じるので30代後半ごろから結婚を焦る人が多い。一方、男性は子どもに関してはいつまでも大丈夫と思っている。その意識のズレがあるように思います。 山田昌弘(以下、山田):やはり「女性のほうが、リミットが見えやすい」ということだと思います。どうしても子どもをもうけたければ養子という方法もあります。昔は多かったけれども激減しました。世界的に見ても日本は養父母になろうという夫婦は少ない。 植草:最近、ニューヨーク育ちで外資系企業に勤めている40代半ばの女性が、「もう自分で子どもを産むのは難しい年齢だから乳児院から養子を迎えたい。それでもいいという男性を紹介してほしい」と言って弊社に来ました。悲観的にならず前向きでうれしかったですね。彼女はアメリカ育ちだからこそそう考えたのかもしれません。日本ではまだまだ血のつながった子どもにこだわる人が一般的。 山田:血縁を重んじるのは、“世間体を考えて”と“成人すれば子育てが終わりではない”というところが大きな理由でしょう。2019年6月に大阪・吹田市で巡査が刃物で刺され拳銃が奪われた事件が起きました。強盗殺人未遂容疑で逮捕された30代の容疑者の父親は、放送局の役員だったのですが、責任を感じて退任した。 山田:このように、成人した子の責任を親が取る、親がたたかれるというケースは日本では多いですよね。欧米ではありえない。アメリカではむしろ犯罪者の親には激励や同情の手紙が届くそうですよ。日本は成人しても子育ては終わらない。だから、パラサイトシングル問題も起きるわけです。こうした意識が社会をマイナスの方向に回している。 植草:成人したら苦労しようが何しようが本人の責任と考えた方がいいですよね』、「成人した子の責任を親が取る、親がたたかれるというケースは日本では多いですよね。欧米ではありえない」、その通りだ。
・『増える「オタク同士」の結婚  山田:子育ては生涯にわたって責任がつきまとい、経済的にも負担が大きいという認識は、若い世代にも浸透しています。学生に「あなたは30年後、親以上の生活をしていますか」と質問したところ、「私は結婚しないつもりだから親以上の生活が送れているはず」「私は3人兄弟だけど、私自身は将来子どもは2人までと決めているから親よりいい生活ができるはず」という回答がありました。子どもがいること、子どもが多いことは生活が厳しくなるという考え方なんです。 植草:そういう意識では、養子を迎えようという夫婦はなかなか増えないでしょうね。男女の意識のズレでいうと、最近、40、50代の男性にゲームやアニメ、アイドル好きが増えてきたことも気になります。頭の中は20代の独身男性と同じ、人間的に成熟していないように思うんです。これでは婚活は厳しい。 山田:確かに、女性アイドルのコンサートに行くとファンが中年男性化しているそうですよ。日本はそれを恥ずかしいと思う社会ではない。むしろそれで1人の生活を楽しみ満足できてしまう。それが結婚不要社会の特徴です。 ただ、趣味やこだわりが強い人は、逆に婚活に有利な場合もあります。同じような趣味、こだわりを共有することでつながることができるからです。非正規雇用同士で結婚したカップルにインタビュー調査をしたら夫婦ともオタク的趣味の持ち主でした。県の結婚支援事業でお見合いをしたら、お互いの趣味で数時間も語り合いすっかり意気投合して結婚を決めたそうです。オタクで生活を楽しんでいれば結婚は不要ではあるんですが、逆にそれがきっかけで話があって結婚することもある。 植草:確かにそういうカップル、弊社の会員さんにもいました。デートは秋葉原。2人で向かい合ってただゲームをしているだけで会話がないのに、「ゲームで気持ちが通じた、結婚します」と。プロフィールにも、趣味の欄にアニメやゲームと書く人が増えています、男女とも。 山田:オタク的なことは日本社会では許容されつつあります。経済的な条件は合わなくても、趣味で意気投合して健康であれば、地方だったらそれなりの暮らしはできる。若い人の間にそういうカップルが増えているような印象を受けます』、「女性アイドルのコンサートに行くとファンが中年男性化しているそうですよ。日本はそれを恥ずかしいと思う社会ではない。むしろそれで1人の生活を楽しみ満足できてしまう。それが結婚不要社会の特徴です」、いやはや、嘆かわしい。
・『日本人が思うほど日本は裕福ではない  植草:外国人が今後ますます増えると思いますが、国際結婚は増えるとお思われますか? そうなったら状況が変わるのではないかと思うのですが。 山田:日本人女性が海外にいって国際結婚するケースは増えていますが、日本国内での国際結婚は減っているんですよ。というのも、日本の経済力が落ちているから。シンガポールの生活水準は日本の2倍、香港は1.5倍、台湾も日本より上と言われています。 中高年世代は、日本がアジアでいちばんと思っているかもしれませんが、海外での認識はそんなことはありません。ある地方都市に暮らす日本人男性と結婚した中国・上海出身の女性に「日本に来てどうですか」と聞いたら、「田舎」と言っていました。「日本は六本木のようなところばかりだと思っていたのに、こんな田舎があるのか」と。 つまり、外国人にとって日本は第1選択肢ではなく、生活水準の高い人は来なくなってきている。ですから、外国から来て働く人はある程度増えるとは思いますけど、それで結婚が増えるとは考えにくいと思います。 植草:なるほど。ではまた少し論点が変わるんですが、私は結婚したいという女性に対して「まず生活に必要な条件を優先的に考えて、夫婦の絆は結婚した後から築いていければいいんじゃないですか」とアドバイスしていますが、それについてはどう思われますか? 山田:他人から後ろ指差されないような生活をすることが第1、親密性は結婚に求めなくてもいいのではないか、という考えは確かにありますね。とくに前近代社会はそうでした。 植草:条件が合っていたほうがスムーズに結婚生活は進むと思うんですよ。「お金持ちと結婚したい」とハッキリ条件を言う女性もいます。「お金があれば、年齢は一回り上でもいいの?」と聞くと「いいです」と言う。そうやって自分にとって必要な条件が明確にわかっている人はご成婚に至りやすい。 山田:でもその場合、生活のリスクはなくても情緒面でのリスクはあるのではないですか? 経済的な条件を重視して結婚したために、結婚後、女性は親やペットとベッタリ、男性は風俗やキャバクラに走るというケースがあると聞きます。 ある婿養子に入った男性にインタビューしたことがあるのですが、彼は、「妻は僕が次男だから結婚したのだと思う。結婚後、妻は二世帯住宅に同居している実母と一緒に食事をして、僕はいつもひとり」と言う。ある日、奥さんに「僕と母親とどっちが大事なんだ?」と聞いたそうです。奥さんは「母親」と答えたので、結局離婚しました。奥さんは彼のことを好きでもないのに「次男」という条件だけで結婚したんでしょうね』、「日本人女性が海外にいって国際結婚するケースは増えていますが、日本国内での国際結婚は減っているんですよ。というのも、日本の経済力が落ちているから」、寂しい現実だ。
・『女性の意識が変わらないと状況は変わらない  植草:そういうケースもあるかもしれませんが、そもそも初婚の人は「結婚が生活である」ということを知らない場合が多いんです。結婚をすてきな結婚式を挙げる日、すなわち“点”だと思っている。実際には、結婚はこれから先、長い人生を一緒に生きていくという生活であり、点ではなく“線”です。 「条件を考える」というのは「自分がどういう生活をしたいか、どういう人生を生きたいかを考える」ということ。そうすると、男性として惹かれるかどうかというよりも、収入はいくらか、妻が働き続けることに肯定的かどうか、子どもはほしいかどうかといったことのほうが優先度が高くなる  山田:結婚相談所ではそうかもしれません。しかし、収入に関していえば、前回もお話ししたように低収入の男性が激増しました。女性が男性に経済的に依存するという状況が変わらなければ、社会全体としては未婚率の上昇を抑えることはできない。男性も家事をするという方向で意識改革が必要ですが、収入は男性に頼って当然という女性側の意もが大きく変わることが必要ですよね。 植草:その点については、私はこれからの新しい結婚の形として「尊敬婚」を提唱しています。年齢が上、年収も上の成熟した女性が、5歳とか10歳年下の自分よりも年収が低い男性と結婚する。 植草:弊社でも何組かありましたが、女医さんが特に多いですね。激務ですし、オペが入ればたとえ自分の子どもが発熱したとしても保育園に迎えに行けないので、旦那さんが迎えに行くことになる。そうすると、おのずと旦那さんはバリバリ働くタイプではなく育休が取れるくらいの余裕がある人がいい。そして、旦那さんが家事育児を中心的に担う。 山田:収入の低い男性と収入の高い女性が婚活市場では“余っている”状態なので、そうした結婚が増えるのはいいですね。でも、女性側はそれで本当にいいと考えているのでしょうか』、「これからの新しい結婚の形として「尊敬婚」を提唱しています。年齢が上、年収も上の成熟した女性が、5歳とか10歳年下の自分よりも年収が低い男性と結婚する」、との植草氏の提案は一考に値する。
・『35歳過ぎると鼻毛が出ている男性が多い  植草:「いい」と言う女性が、30代半ば以上から少しずつですが増えてきました。30代後半?40代の女性は一般的な婚活には不利かもしれない。でも、仕事で成功しているのであれば、こうした結婚のあり方を視野に入るれると、対象となる男性の幅は広がります。 先ほども言いましたが、結婚は自分がその後どういう人生を歩みたいかが重要で、そこに条件を絞るべき。にもかかわらず、まだ顔だの身長だの学歴だのあれこれこだわっている女性には、「どうしてその要素が重要なの?」「それは結婚生活に必要なの?」とひとつずつ確認して、「人生を共に歩めるかどうか」を基準にお互いの希望を絞ってご成婚に導いています。 山田:結婚相談所の方は条件を絞らせるのに一苦労、それが仕事のようなものらしいですね。ただ、女性が顔や身長にこだわるのは、単に当人の好みというだけでなく子どもに引き継ぐ遺伝子の問題があるからだとも思います。 女子学生に「女の子は父親に似るって言いますよね?女の子はかわいいかかわいくないかで扱われ方が全然違う。だから顔がいい男性がいい」と言われたことがあります。……そう考えると、男性の役割って遺伝子とATMしかない(笑)。 植草:確かに(笑)。まあ顔のよし悪しは置いといても、婚活男性は小ぎれいにすることは大切です。35歳を過ぎると、鼻毛が出ている男性が本当に多い。お見合いで女性に「どうだった?」と聞くと3人に2人は「鼻毛が出ていました」と答えますから。 山田:鼻毛(笑)。自動的に結婚できた時代は、奥さんが世話していたのでしょう。今はそういう時代じゃない。 植草:本当にそのとおりです。婚活男性はまず鼻毛耳毛カッターを買うべきですね(笑)』、「35歳を過ぎると、鼻毛が出ている男性が本当に多い」、困ったことだ。いずれにしても、婚活が活発化してほしいものだ。

第三に、10月28日付け東洋経済オンラインが掲載したソロもんラボ・リーダー、独身研究家の荒川 和久 氏による「子ども部屋おじさんと揶揄する人に欠けた視点 個人的な感情は抜いて客観的な視点が重要だ」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/309877
・『多くの人は、見たいと欲する現実しか見ない。 これは、古代ローマの礎を築いたユリウス・カエサル(シーザー)の言葉とされています。人間は自分が見たいものしか見ないし、たとえ目に入っていても記憶のフォルダーに残りません。信じたくない事実は無視し、信じたいと思う事実だけを脳内に取り入れようとします。心理学において、「確証バイアス」と呼ばれるものです』、まだ心理学が発達していない古代ローマ時代に、このような言葉を残した「シーザー」はやはり偉大だ。
・『確証バイアスとは?  世間の未婚者に対する偏見の多くは、この「確証バイアス」によって生まれています。例えば、孤独死についてもそうです。「結婚しないと孤独死するぞ」とよく言われます。「孤独死する人=未婚者」と思われがちですが、これも事実とは異なります。孤独死者の多くは高齢男性ですが、そもそも彼らはかつて皆婚時代を生きていた人たちです。 つまり、現在孤独死している多くの高齢男性は、妻との死別や離別で独身に戻った「元既婚者」たちということになります。 同様に、40歳を過ぎてなお親元に住み続ける未婚者を「子ども部屋おじさん」などと揶揄する言葉があります。「かつての親に依存するパラサイトシングルやニートと呼ばれる人がそのまま中高年化しているのだろう。未婚化は、こうした親元から自立できない中高年未婚者の増加のせいである」などというもっともらしい言説もささやかれます。 中には、「いつまで親離れできないのか、情けない」などと怒りをあらわにする人もいます。そうかと思えば、「これは子離れできない親の問題だ」などという人もいます。 子の問題にしても、親の問題にしても、個人の意識の問題として処理して納得する人があまりに多いようですが、はたしてそれは事実として正しいのでしょうか? 大前提として間違ってはいけないのは、親元に住む未婚者がすべて無業者であるはずもなく、パラサイトでもなければニートでもなく、ましてや引きこもりでもないということです。そもそも中高年で親元に住む未婚者は「おじさん」だけではありません。 2015年国勢調査では、20~50代のうち、親元に居住する全国の親元未婚数は、男性約723万人、女性約579万人で、それぞれ未婚者全体に対する親元未婚率は、男性60%、女性65%です。実に、6割以上の未婚男女が親元にいるということになります。男女合わせて約1300万人の未婚者が親元未婚なのです』、いいかげんな言説に乗せられるのではなく、統計に基づいた判断はやはり重要だ。
・『35歳以上の親元率は男女同一  20代に関しては、まだ学生である場合も多く、親元にいても不自然ではありません。しかし、40代前半になってもこの親元未婚率は6割台周辺をキープしています。 年代別に見ると、20~34歳の若年層に関しては、女性の親元率が上回っていますが、35歳以上を見ると、男女ともきれいに同一であることがわかります。男女で偏りがあるわけではないのです。実数で男のほうが多いのは、そもそも未婚者人口が男のほうが300万人以上も多いので当然です。 こういう事実を出すと、鬼の首を取ったように「ほら、1300万人もいるじゃないか。こんなに増えているなんて前代未聞だ。これが日本の未婚化の根本原因だ」などと言う人もいますが、15年前の2000年における20~50代の親元未婚者は約1364万人でした。 むしろ15年前より親元未婚者総数は少しだけ減っています。とはいえ、20代の未婚者の絶対数が2000年と比べると減少していることもあるので、実数ではなく、親元未婚率で比較してみましょう。 20代では、実数も減っていますが、親元未婚率も減っています。35歳以上で15年前より増加となり、40代、50代と年代が上がるごとに親元未婚率は大きく増えていることがわかります。とくに、大きく増加しているのが50代です。 しかし、こうなるのは当然で、そもそも50代の未婚者そのものが当時の1.8倍に増えていますし、未婚だけではなく全体の総同居率も増えています。これは、いわゆる「8050問題」(80代の親が50代の子どもの生活を支える問題)とも関係しますが、親の介護のための再同居という形の影響もあります』、「「8050問題」・・・親の介護のための再同居という形の影響もあります」、私はこの側面を忘れていた。統計のの読み方も当然ながら難しいものだ。
・『都道府県別の40~50代で親元未婚率を見てみる  2015年国勢調査から都道府県別の40~50代親元未婚率を男女別に見てみると、全国平均を上回って親元未婚が多い県は、男では37県、女では40県もあります。男女共通して親元未婚率が全国平均を下回るのは、東京・神奈川・大阪・福岡など流入人口の多いエリアでした。 つまり、親元を離れざるをえない物理的条件がない地方エリアにおいては、昔も今も未婚者が親元に住み続けることのほうがデフォルト行動と言えます。よくよく考えれば、親元を離れて独立するきっかけというのは、遠方への進学や就職および結婚によるものであり、未婚であり続ける場合、家を出る理由はないわけです。 「そうは言うが、結局いつまでも親元に住んでいるから結婚ができないんじゃないか」と反論される人もいるかもしれません。では、都道府県別に、2000年と2015年の国勢調査から40~50代親元未婚率と生涯未婚率(45~54歳の未婚率平均)との差分相関を見てみましょう。 男のほうの相関係数は、▲0.1653で親元への同居と未婚率との間には相関はほとんどありません。女のほうは▲0.5050で、むしろ親元に住んでいない一人暮らしのほうが未婚率は高いということになります。要するに、少なくとも親元に住んでいるから未婚率が上がるなんてことは言えないのです』、「親元を離れて独立するきっかけというのは、遠方への進学や就職および結婚によるものであり、未婚であり続ける場合、家を出る理由はないわけです」、「少なくとも親元に住んでいるから未婚率が上がるなんてことは言えないのです」、俗説の誤りは恐ろしいものだ。
・『経済的問題が大きい  ましてや、「中高年の親元未婚が増えたから未婚化が進んだ」という因果はなく、むしろ中高年の未婚化のほうが先で、結果として40~50代の親元未婚者数が増えたと見るべきです。決して、子どもの自立意識の問題ではないし、親が子離れできないからでもありません。自立する・しないや甘える・甘えないという問題以前に、子にしても親にしても、そもそも経済的問題が最も大きいのではないでしょうか。 一人暮らし未婚と、親元未婚とで所得にどれくらいの格差があるか、調べてみました。2017年就業構造基本調査には、親元未婚という指標は存在しないため、以下のような形で推計しました。 所得分布別有業未婚者総数から、同じく所得分布別有業単身世帯のうちの未婚者だけを引き算して、親元未婚の所得分布を推計、おのおのの平均所得を男女別に算出しています。全年代を対象としていますが、無業者は除くため、無業の高齢者や若年の学生などは含みません。 それによると、確かに、一人暮らし未婚のほうが親元未婚と比べると所得は全体的に上回っています。が、その差分は、男性で年間67万円、女性でも69万円で、月当りにすれば6万円弱の差にすぎません。むしろ、6万円程度の差にもかかわらず、その中から家賃・水道光熱費・日々の食費など必要経費を賄わなければならない一人暮らし未婚のほうが、財布状況は苦しいと言えるかもしれません。 親元未婚は、月6万円所得が少なくても実家にいる分、コストが削減されます。一人暮らし未婚が外食によって日々の食事に対応せざるをえないことに対して、その分の食費も浮きます。浮いたコストは、そのまま自分の趣味や関心領域に思う存分使えるということです。言うなれば、賢い生き方をしていると言えるでしょう』、「6万円程度の差にもかかわらず、その中から家賃・水道光熱費・日々の食費など必要経費を賄わなければならない一人暮らし未婚のほうが、財布状況は苦しいと言えるかもしれません」、見事な推論だ。
・『親も苦しい  ちなみに、2018年家計調査から35~59歳単身世帯における家賃・水道光熱費・外食を除く食費の月間平均費用は男女とも約7万円程度です。つまり、一人暮らし未婚の6万円分多い所得は、必要経費を支払ったら、親元未婚に対して逆に1万円の赤字であるということになります。 一方で親も苦しいのです。全国大学生活協同組合連合会による「第54回学生生活実態調査の概要報告」によれば、学生に対する親の仕送り額は、2018年で平均7万1500円です。2003年頃までは、月10万円以上の仕送りをする親の比率が過半数を超えていましたが、最近は3割を切っています。 未婚化の問題を「若者の草食化」などとする考え方同様、親元未婚に対して「社会の落伍者」であるかのようなレッテル貼りは正しくありません。 ましてや、「おじさん」という属性なら安心してたたいていいという風潮は、正しい事実をねじ曲げ、未婚化や少子化の本質的部分を曖昧にする危険性があると考えます。それでは、「見たいものしか見ない」というより「見てもいないものを見たと信じてしまう」ようなものです。個人的な不快感や怒りの感情に支配されて、不都合な真実を透明化してはいけないと思います』、説得力溢れ参考になる記事だった。
タグ:親も苦しい 経済的問題が大きい 35歳以上の親元率は男女同一 確証バイアスとは? 多くの人は、見たいと欲する現実しか見ない 植草 美幸 「子ども部屋おじさんと揶揄する人に欠けた視点 個人的な感情は抜いて客観的な視点が重要だ」 日本と欧米で「結婚不必要」な理由が違う 東洋経済オンライン (その2)(社会構造的に「結婚できない男女」がいる大問題 時代が変わっても根本は変わっていない、結婚遠ざける「生涯子育て」という日本的発想 いくつなっても責任から逃れられない、子ども部屋おじさんと揶揄する人に欠けた視点 個人的な感情は抜いて客観的な視点が重要だ) 生涯未婚率 荒川 和久 35歳過ぎると鼻毛が出ている男性が多い 恋愛・愛情・結婚 女性の意識が変わらないと状況は変わらない 日本人が思うほど日本は裕福ではない 増える「オタク同士」の結婚 成人しても子育てが終わらない日本 「結婚遠ざける「生涯子育て」という日本的発想 いくつなっても責任から逃れられない」 本人の意思ではなく、親の意思で結婚 男女の意識が凝り固まっている 女性が肉食化しても問題は解決しない 男性はモテる人とモテない人に二極化 「社会構造的に「結婚できない男女」がいる大問題 時代が変わっても根本は変わっていない」 山田 昌弘
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