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鉄道(その6)(国が画策 運賃「値上げ」で駅ホームドアを設置 利用者の過半数が賛成?鉄道会社の意見は?、マッキンゼーが指摘する「日本の鉄道の改善点」 現在の鉄道業界に足りないものは何か?、鉄道に忍び寄る人材難 駅の安全確認を警備員に委託する事業者も) [社会]

鉄道については、昨年12月19日に取上げた。久しぶりの今日は、(その6)(国が画策 運賃「値上げ」で駅ホームドアを設置 利用者の過半数が賛成?鉄道会社の意見は?、マッキンゼーが指摘する「日本の鉄道の改善点」 現在の鉄道業界に足りないものは何か?、鉄道に忍び寄る人材難 駅の安全確認を警備員に委託する事業者も)である。

先ずは、2月12日付け東洋経済オンライン「国が画策、運賃「値上げ」で駅ホームドアを設置 利用者の過半数が賛成?鉄道会社の意見は?」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/264856
・『昨日の夜、駅に降り立ったときにはホームドアが設置されていなかったのに、今朝になったら設置されていた。こんな経験をした人が少しずつ増えているだろう。 国土交通省は2020年度までにホームドア設置駅数を約800駅とする目標を掲げている。2018年3月末時点で725駅に設置済みであり、さらに2020年度までに183駅に設置計画があるという。つまり2020年度時点で900を超える駅にホームドアが設置されるわけだ。この数字だけ見ると、ホームドア設置計画は極めて順調に見える。 「転落事故の約半数を占める、1日の利用者が10万人以上の駅を優先的に整備する」と、国交省は方針を決めている。ところが、JR新宿駅やJR渋谷駅を見てわかるとおり、利用者が多いにもかかわらずホームドアが設置されていない駅も目立つ』、興味深そうだ。
・『設置を阻む「費用の壁」  利用者が10万人以上いる275駅のうち、2018年3月末時点でホームドアが整備されているのは105駅にすぎない。未整備駅が6割を占めていることになる。 設置されていない170駅については2020年度までに57駅で整備予定があるというが、それを合わせてもようやく過半数。2021年度以降の計画も含めると、新型ホームドアの導入や駅改良に合わせて101駅で整備され、ようやく263駅に設置されるという。ホームドアを本当に必要とする駅への設置については、なかなか思うようには進まないというのが実情だ。 ホームドア設置を阻む理由の1つが費用の壁だ。機器の費用、設置に伴う人件費だけでなく、駅ホームを改良したり、ドア位置を統一した新型車両を導入したりするといった費用がかかる場合もある。 駅のバリアフリー化に際しては国や自治体が3分の1ずつ補助を行うことになっているが、国も自治体も財政事情は厳しく、現実には鉄道事業者の負担割合が3割を超える事例も少なくないようだ。 ホームドアを設置したからといって、鉄道事業者の収入が増えるわけではない。そのため、鉄道事業者が消極的になっているという見方も国交省内にはある。 そんな矢先、設置駅数を増やすために、費用を利用者に負担させてはどうか――。国交省内の検討会でこんな意見が飛び出した。 2017年7月から鉄道事業者や学識関係者などを交えて「都市鉄道における利用者ニーズの高度化等に対応した施設整備促進に関する検討会」が行われている。16回にわたって行われた検討会の結果として、2018年9月に出された報告書には「利用者の利便性、安全性及び快適性向上に著しく寄与すると認められるものを、『更なるバリアフリー化』と位置づけ、これに係る料金制度を導入する」ことが提案された。 バリアフリー設備費用は輸送の対価ではないため、その費用は運賃とは切り分けて考える必要がある。そのため、新線建設に係る加算運賃制度のように、バリアフリーに使われることが明確になるような制度を検討しているという。 ただ、運賃に含めるのではないにしても、利用者の金銭的な負担が増えるのであれば、実質的な運賃の値上げにほかならない』、利用客が多い駅で「ホームドア」を導入促進するためには、「実質的な運賃の値上げ」も甘受せざるを得ないだろう。
・『アンケートでは「賛成」優位  この提案を利用者はどう受け止めているのか。同報告書では複数の消費者団体にも意見を求め、「財源の確保が課題であることは理解できるため、(中略)利用者負担を求めることは、更なるバリアフリー化を推進するための選択肢の一つになるのではないか」というコメントを得ている。 さらに、国交省が鉄道利用者を対象に行ったアンケート調査の結果も掲載されている。同アンケートでは、整備費用のすべてを利用者が負担することについて、非高齢者(20~64歳)で「賛成」「どちらかといえば賛成」と回答した人の割合は52%、「反対」「どちらかといえば反対」と回答した人の割合は18%だった。 また、整備費用の一部を利用者が負担することについて、非高齢者で「賛成」「どちらかといえば賛成」と回答した人の割合は58%、「反対」「どちらかといえば反対」と回答した人の割合は13%だった。アンケート結果を見る限り、利用者の多くが整備費用の負担に賛成の意思表示をしている。 また、整備費用のすべてを利用者が負担することに対して「賛成」「どちらかといえば賛成」と回答した人に「1乗車あたり10円の上乗せは妥当か」聞いたところ、非高齢者の74%、高齢者の80%が妥当と回答している。 ただ、具体的に料金を徴収するとなると、駅ごとに負担するのか、路線ごとに負担するのかといった制度設計に加え、IC乗車券のシステム改修といった課題が出てくる。国交省の担当者は「現在は報告書で指摘された課題を解決すべく、具体化に向けて検討を進めている段階」と説明する。制度がスタートする時期は未定としながらも、「値上げ」に向けて着々と準備が進んでいる。 では、もしホームドア整備費用を利用者に負担させる仕組みが導入されたら、鉄道各社はそのような料金制度を導入するのだろうか。首都圏の主要な鉄道会社に確認したところ、多くの会社は「制度が決まっていない以上、検討もしていない」と明言を避けるが、中には個人的な意見と前置きしながらも「せっかくそのような制度が導入されたら、前向きに考えたい」という会社もあった。 また、別の鉄道会社からは、「個々の利用者から直接徴収するのではなく、通勤定期券の割引率を引き下げる形で資金を捻出する方法はどうか」というアイデアを紹介する発言があった。通勤定期券代は企業が負担しているケースが多いことを踏まえた発言だ。確かに利用者の懐が直接痛むことはないが、企業の負担増が従業員にはね返らないとも限らない』、利用者「アンケートでは「賛成」優位」、のようだが、具体的な制度設計には課題も多そうだ。気になるのは、既に自力である程度整備した会社と、まだ未整備な会社の間で、公平性を如何に確保するかも考慮する必要があるが、これは難題だろう。
・『収益力が高ければ自力でできる  東急電鉄は国の新たな制度を待つことなく自力でホームドア設置を進めており、2019年度中に東横線、田園都市線、大井町線の全駅にホームドアを設置する。東京メトロも全路線全駅へのホームドア導入計画を策定済みだ。このように自力でホームドアの設置を進めている会社がある中で、もし新制度を活用する会社が出てくるとしたら、それはホームドアをを自力で設置する余裕がなく経営が厳しいと認めるようなものだ。 上場会社を見渡すと、JR東日本、JR西日本、JR東海、相鉄ホールディングス、京急電鉄、京王電鉄、京成電鉄、近鉄グループホールディングス、阪急阪神ホールディングス、京阪ホールディングス、名古屋鉄道、そして東急など、2017年3月期または2018年3月期に最高純益を達成した鉄道会社の名前が続々と出てくる。 その稼ぎの余剰分を配当として株主に還元する余裕があるなら、ホームドアを自力で整備するほうが、はるかに社会的責任を果たしていることになる』、総論では賛成でも、実際に導入する上では、解決すべき課題も多いようだ。

次に、9月2日付け東洋経済オンライン「マッキンゼーが指摘する「日本の鉄道の改善点」 現在の鉄道業界に足りないものは何か?」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/300275
・『マッキンゼー・アンド・カンパニーといえば、世界最高峰のコンサルティングファームとして、ビジネスの世界で知らない者はいないだろう。提供する知見の領域は自動車、ハイテク、金融など多様な産業に広がり、アメリカの『フォーブス』誌が発表する「世界の有力企業2000社ランキング」上位100社の9割が同社の顧客とされる。 鉄道業界に対しても、世界中でコンサルティングを行っている。はたして、世界最高峰のコンサルティング会社は鉄道業界にどのような戦略を授けているのか。その全貌に迫った』、鉄道は各国や路線による固有の事情が大きいとはいえ、世界的の共通する部分もあるだけに、「世界中でコンサルティングを行っている」とはさすが「マッキンゼー」はいいところに目をつけたものだ。
・『各国の鉄道でコンサル事例  マッキンゼーは世界60カ国以上に拠点を持ち、約3万人のスタッフが働いている。鉄道分野においては過去5年間、常時約520人規模のスタッフが鉄道コンサルティングに従事しており、ドイツ鉄道やイタリア鉄道をはじめとする欧州の多数の鉄道会社や鉄道車両メーカーへのコンサルティング実績がある。 アジアでは「台湾新幹線」を運行する台湾高速鉄路のほか、香港の鉄道会社MTRと共同で新規路線と不動産開発に関するリサーチを発表している。日本の鉄道業界へのコンサルティング事例もあるというが、顧客名は開示していない。 では、鉄道業界に対してどのようなコンサルティングを行っているのか。 「従来は戦略立案が支援の中心でしたが、2000年代後半から戦略にとどまらず、売り上げを伸ばす、コストを削減するといった目に見える支援にシフトしています。鉄道においてもそれは変わりません」と、同社の小松原正浩シニアパートナーが話す。 コスト削減といってもいろいろあるが、中でも多いのが調達コスト削減に関するものだという。同社には世界各国に購買専門のコンサルタントが常駐しており、詳細なサプライヤー・データベースを作成している。これらを活用することで品目別の購買戦略立案の基盤を作るほか、取るべき購買活動や契約形態についてアドバイスする。 鉄道分野での調達コスト削減事例も多数有しており、過去事例からコスト削減の可能性を割り出すことが可能だという。小松原氏によれば、購買品目別で削減ポテンシャルが高いのはブレーキ装置、エアコン、電気機器、台車など。逆に乗車情報システム、衛生設備などは削減ポテンシャルが低い。 また、削減ポテンシャルが高いとされる電気機器やエアコンでも、どの側面からコスト削減できるかというアプローチの仕方が異なる。電気機器はケーブル配線の変更など技術的側面からのコスト削減、空調機器はサプライヤーが多いのでサプライヤー間での価格交渉によるコスト削減といった具合に、購買品目によって打つ手が変わってくる。 サプライヤーとの交渉においては、購買品目をパーツ別に分解して、投入された人件費や物流費などを分析して製造原価を割り出し、価格引き下げ交渉に使うことも行われる。欧州のある高速鉄道運営会社では、調達する高速鉄道車両をモジュールごとに分解し、30%のコスト削減可能性を特定できたという。おそらく、鉄道会社が新型車両を調達する際に、車両メーカーが部品を調達する際に、マッキンゼーが価格交渉のための理論構成を指南しているのだろう。 従来のマッキンゼーは戦略立案が中心で、その後の実行やスキル構築は顧客企業が実践したが、現在はコスト削減スキルを会社に定着させるため、交渉トレーニングやロールプレイを通じてバイヤー全員を底上げして調達のプロを育成し、全社に調達マインドを浸透させ、最終的には関連会社への活動の横展開まで行っているという』、従来は顧客企業任せになっていた実践的分野にまでコンサルティングの範囲を広げているとは、驚きだ。
・『日本の鉄道「将来もトップかは疑問」  マッキンゼーのコンサルティングは鉄道会社や車両メーカーだけでなく、政府機関の交通政策にも及ぶ。 例えば、ウーバーなどライドシェアの増加により交通渋滞が増加しているアメリカのイリノイ州シカゴ市では、その現状を分析して、市政が誘導する場合、しない場合のシミュレーションを行い、通勤時間短縮やCO2排出に関する提言を行った。また、ロシアのモスクワ市でもビッグデータを活用して、自動車による移動を鉄道に置き換えるなど、市民に最適な交通ルートを案内できるようにする設計を行っている。 では、日本の鉄道業界の状況をマッキンゼーはどう捉えているのだろうか。 同社ハンブルグ支社でドイツ公共事業担当のトップを努め、世界の鉄道業界の取り組みにも詳しいシニアパートナーのセバスチャン・スターン氏は、「日本の鉄道は世界でもっとも優れているが、デジタル技術が鉄道業界で大いに活用される将来においても日本がトップでいることができるかどうかは疑問だ」と話す。 日本は鉄道会社各社が自前主義をとっていて、保守も運行もインフラ建設も自前で行っているが、この状況をスターン氏は非効率だと考える。「各社はデジタル技術を使って新しいモデルを構築する必要がある」。 では、デジタル技術で解決できる日本の課題とは何か。この点について、「労働力の問題だ」と語るのは、日本支社で世界各国の交通・運輸・物流を担当するシニアパートナーのデトレフ・モーア氏である。「日本の鉄道会社は大量退職の時代を迎えようとしている。新規雇用で代替するだけではなくデジタル技術による自動化によって、安全面や顧客サービス水準をキープしつつ、人手を減らすことが必要だ」と話す。 デジタル化の時代においては、「自前主義にこだわらず、ソフト開発やビジネスモデル構築などでは外部の人材活用も重要だ」という。また、「時間をかけて完璧に行うだけではなく、トライ・アンド・エラーの考え方を取り入れてスピード感を重視した仕事のやり方も必要だ」という。むろんスピード感を重視しつつも安全性の維持が必要であることは言うまでもない。 最近は、故障が起きてから機器交換などのメンテナンスを行うのではなく、故障が起きる前にメンテナンスを行うCBM(予防保全)という考え方を鉄道の保守業務に取り入れ始めている。この動きについても、「日本の鉄道は世界の流れと比べると遅れている。航空業界などCBMが進んでいるほかの業界の動きも参考にするべき」とスターン氏は話す。 最近目立つ、鉄道車両の台車に亀裂が入るトラブルなども、理屈のうえではCBMを活用すれば発生前にメンテナンスを施すことができるはずだ』、「日本は鉄道会社各社が自前主義をとっていて、保守も運行もインフラ建設も自前で行っているが、この状況をスターン氏は非効率だと考える」、「自前主義にこだわらず、ソフト開発やビジネスモデル構築などでは外部の人材活用も重要だ」、その通りなのだろう。
・『新時代の鉄道ビジネスモデルは  世界の鉄道業界の事例や、他産業の事例に精通したマッキンゼーの知見には、日本の鉄道業界が参考にできる部分もいろいろとありそうだ。ただ、気になるのは、マッキンゼーのコンサルティング料だ。 この点については、「以前は固定フィーだったが、最近は成功報酬モデルも導入している」(小松原氏)。売り上げアップやコスト削減で成果が出たら、その一部がマッキンゼーへの報酬になるわけだ。 日本は人口減少時代に突入しており、現在は人口増が続く首都圏も早晩、人口減少が避けられない。これまでのビジネスモデルが通用しない時代に入りつつある。同時に急速に進化するデジタル技術は経営改革の大きな武器になる。マッキンゼーの言うとおり、新しい時代にふさわしい経営手法を取り入れた鉄道会社が業界の勝ち組になるのかもしれない』、「日本の鉄道会社」も「新しい時代にふさわしい経営手法を取り入れ」て、世界の潮流から遅れないようにしてもらいたいものだ。

第三に、鉄道ジャーナリストの枝久保達也氏が10月28日付けダイヤモンド・オンラインに掲載した「鉄道に忍び寄る人材難、駅の安全確認を警備員に委託する事業者も」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/218611
・『インフラ産業の中でも労働集約型といわれる鉄道事業。若い世代の人口減や大量採用だった国鉄時代入社組の退職を受けて、あの手この手での省力化を進めている。今や、東京圏のそれなりの規模の駅でも、券売機のネットワーク化などを進め、早朝深夜は駅員不在で営業するケースが増えている』、最近は通勤とは縁がなくなったこともあり、実態を知りたいものだ。
・『早朝深夜は駅員のいない駅も…人口減を見据えた省力化が加速  鉄道事業者の人口減少に備えた省力化の取り組みが加速している。券売機や自動改札機のネットワーク化、インターホンなど連絡手段の整備が進み、首都圏でもローカル線区はほとんどが無人駅になっている。東京圏のそれなりの規模の駅でも、早朝深夜は駅員のいない時間帯が増えている。また定期券や企画乗車券などを発行する有人窓口は集約され、多機能券売機への置き換えが進んでいる。 省力化の波は駅から列車にも波及している。「JR東『ワンマン運転拡大』に見る、鉄道乗務員レス化の未来」で取り上げたようにJR東日本は、これまで1~2両の「短編成」に限って実施していたワンマン運転を、3~6両の「中編成」、7両以上の「長編成」にも拡大する方針だ。 またJR九州は、9月18日に国土交通省で行われた「第3回鉄道における自動運転技術検討会」で、現在開発中の新型ATSをベースとした自動運転の検討状況を報告している。10月8日の西日本新聞は、JR九州は駅にホームドア未設置かつ踏切のある路線でのドライバーレス運転の実現を目指し、今年度中に福岡県内の路線で実証実験を開始し、実用化を目指すと報じた。 鉄道事業は、インフラ業の中でも労働集約型産業の側面が強いという特徴を持つが、その中でも機械化や電子化、IT化など、時代の変化に応じた省力化が進められてきた。 例えばJR東日本の鉄道事業に関係する社員数(本体)は、1987年の民営化時に7万1800人だったのが、1997年は5万5680人、2007年は4万5680人、2017年には3万9890人と30余年で4割以上も減少している(いずれも4月1日時点)。とはいえ、合理化と称して社員を解雇していったわけではなく、基本的には退職者数に対して採用者数が少ない状態が続いたことによる自然減である。 JR各社社員の年齢構成は非常にいびつで、年代別に見ると国鉄時代に採用された55歳以上が最多で、国鉄末期からJR初期に一時新規採用を停止していた影響で40代後半から50代前半が極端に少ない。その後は新卒採用と中途採用を計画的に行ったので、ようやく40代以下の年齢構成は安定するようになったが、今後は別の問題に直面する。若年層の減少である』、「JR九州は駅にホームドア未設置かつ踏切のある路線でのドライバーレス運転の実現を目指し、今年度中に福岡県内の路線で実証実験を開始」、ここまでの省力化は、行き過ぎのような気がする。
・『再雇用、IT化…新卒人口減をどう補うか  新成人人口は1995年に201万人だったのが、2005年に150万人になり、2015年には126万人まで減少した。2025年の新成人は106万人と予測されている。ちなみに、2016年には統計開始以来、初めて出生数が100万人を割っており、今後はますます減少していくことが確定している。労働集約型の鉄道業にとって、働き手の確保は今後大きな問題となっていくのである。 労働力は「数×質」であるから、これを調整するいくつかの解決策が考えられる。一番簡単な方法は、現状の数を保つことだ。 JR東日本は2008年度から定年退職者を再雇用する「エルダー社員制度」を導入しているが、2018年度に制度を改正して、グループ会社のJR東日本ステーションサービス(JESS)に出向して、引き続き現場業務に就かせる方針に転換した。経験と技術を持つ定年退職者を同数の新入社員ですぐに置き換えることはできないから、再雇用したエルダー社員を、若手社員の人材育成、技術継承に活用することで、数と質を確保しようというもくろみだ。 もうひとつは、数を確保するために新規採用の母数を増やすことだ。かつては鉄道の現業職の採用は高卒の男子に限られていたが、やがて大学生、女性も対象に含まれるようになり、中途採用も拡大した。新成人200万人が100万人になっても、その分応募者数が増えれば同等以上の人材を確保できることになる。 しかし働き手不足が加速して数の補充が追いつかなくなると、業務の余裕がなくなり、質はあっという間に低下してしまう。そうなれば事業そのものを縮小せざるを得なくなるため、その前に仕事のやり方を抜本的に変える必要が出てくる。 前述の機械化や電子化、IT化のさらなる進展は言うまでもない。ただしこれは、昔は5人でやっていた仕事を1人でできるようにする代わりに、その分、仕事の専門性が高まるということになりやすい。高い知識と技量を持つ人材を採用しようとすると、当然だが人数の確保は難しくなり、解決策としては不十分になる』、そうではあっても、「IT化のさらなる進展」を目指すべきだろう。
・『駅業務の一部を警備員に委託する鉄道も  そこで必要になるのが、専門的な仕事を誰でもできるようにするか、業務範囲を限定することだ。JR東日本は、信号の取り扱いがない駅の業務をグループ会社のJESSに委託しており、今後委託範囲を拡大する方針だ。また、ホーム上の安全確認など、駅業務の一部を警備員に委託する事業者も増えている。この流れは乗務員にも及んでいく。その取り組みの一つが冒頭で紹介した、電車の運転士を機械に置き換えて、運転士の資格を持たない者でも乗務できるようにするドライバーレス運転だ。 運転士が車掌業務も兼ねるワンマン運転と大きく違うのは、知識、技量、健康の厳しい基準をクリアしなければならない狭き門である電車の運転免許「動力車操縦者」の必要性だ。運転士に車掌を兼務させるワンマン運転は、ますます専門性が高くなるため、根本的な解決にはなり得ないからである。 しかしこれは、一面では乗務員の質を落として数を確保するということを意味するため、安全を低下させるのかといった非難・不安が想定される。だが人間が減っていく中でも、鉄道の利便性を維持していくのなら、考え方を根本から変えるしかない。 例えば、かつての蒸気機関車は機関士1人と機関助士2人で運転していた。機関助士はボイラーに水を補給し、石炭を火室に投じ、火力を調整する。この腕前で燃費はもちろん、けん引できる客車や貨車の数が変わったというほどの職人芸だった。運転士はボイラーが生み出した蒸気をシリンダーに送り込み、車輪を空転させないように速度を調整する。しかも車両の状態や気温、湿度によって、生き物のように運転特性が変わるという。蒸気機関車を運転するためには、長い下積みと高い技術が必要とされたのだ。 現在の日本に、蒸気機関車を操縦できる運転士はわずかしか存在しないが、それは技術の退化を意味しているわけではなく、安全意識が低下したわけでもない。機械のバックアップを得て、運転士の役割が変わっただけの話である。 肝心なことは、こうした取り組みを、サービス水準を死守するための悲壮な戦いにしないことだ。蒸気機関車から電車に転換したことで、険しい坂を登れるようになり、線路のルートの自由度が上がった。また、加速がよくなり運転間隔を縮小することができたし、運転士の養成が容易になり、運転本数を増やすことができるようになった。 同様に自動運転の普及が、鉄道のサービスを革新するという希望もあるはずだ』、ただ、始めの方にあった「駅にホームドア未設置かつ踏切のある路線でのドライバーレス運転」、というのは行き過ぎだ。ホームからの転落、踏切でのトラブルなどに、運転士が事故防止にどの程度貢献したのかの分析がないまま、自動運転に踏み切るのはどうかと思う。
タグ:収益力が高ければ自力でできる 各国に購買専門のコンサルタントが常駐しており、詳細なサプライヤー・データベースを作成 国土交通省は2020年度までにホームドア設置駅数を約800駅とする目標 駅業務の一部を警備員に委託する鉄道も 再雇用、IT化…新卒人口減をどう補うか (その6)(国が画策 運賃「値上げ」で駅ホームドアを設置 利用者の過半数が賛成?鉄道会社の意見は?、マッキンゼーが指摘する「日本の鉄道の改善点」 現在の鉄道業界に足りないものは何か?、鉄道に忍び寄る人材難 駅の安全確認を警備員に委託する事業者も) 従来は戦略立案が支援の中心でしたが、2000年代後半から戦略にとどまらず、売り上げを伸ばす、コストを削減するといった目に見える支援にシフト ダイヤモンド・オンライン 枝久保達也 新時代の鉄道ビジネスモデルは 自前主義にこだわらず、ソフト開発やビジネスモデル構築などでは外部の人材活用も重要だ JR九州は駅にホームドア未設置かつ踏切のある路線でのドライバーレス運転の実現を目指し、今年度中に福岡県内の路線で実証実験を開始し、実用化を目指すと報じた 「台湾新幹線」を運行する台湾高速鉄路 鉄道業界に対しても、世界中でコンサルティングを行っている 早朝深夜は駅員のいない駅も…人口減を見据えた省力化が加速 マッキンゼー 「マッキンゼーが指摘する「日本の鉄道の改善点」 現在の鉄道業界に足りないものは何か?」 「実質的な運賃の値上げ」 費用を利用者に負担させてはどうか――。国交省内の検討会 設置を阻む「費用の壁」 日本の鉄道「将来もトップかは疑問」 「転落事故の約半数を占める、1日の利用者が10万人以上の駅を優先的に整備する」 東洋経済オンライン ドイツ鉄道やイタリア鉄道をはじめとする欧州の多数の鉄道会社や鉄道車両メーカーへのコンサルティング実績 既に自力である程度整備した会社と、まだ未整備な会社の間で、公平性を如何に確保するか 鉄道 「国が画策、運賃「値上げ」で駅ホームドアを設置 利用者の過半数が賛成?鉄道会社の意見は?」 鉄道分野においては過去5年間、常時約520人規模のスタッフが鉄道コンサルティングに従事 各国の鉄道でコンサル事例 利用者が10万人以上いる275駅のうち、2018年3月末時点でホームドアが整備されているのは105駅にすぎない。未整備駅が6割 「鉄道に忍び寄る人材難、駅の安全確認を警備員に委託する事業者も」 アンケートでは「賛成」優位 品目別の購買戦略立案の基盤を作るほか、取るべき購買活動や契約形態についてアドバイス 日本は鉄道会社各社が自前主義をとっていて、保守も運行もインフラ建設も自前で行っているが、この状況をスターン氏は非効率だと考える 「日本の鉄道は世界でもっとも優れているが、デジタル技術が鉄道業界で大いに活用される将来においても日本がトップでいることができるかどうかは疑問だ」
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