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リニア新幹線(その4)(リニア静岡問題 JR東海の「挽回策」はなぜ失敗? 他地域では進む工事 「次の一手」はあるか、リニア実験線出火事故の原因は何か?安全性への不安の声も、リニア新幹線「2027年開通」に漂う不安 JR東海に課題山積み) [国内政治]

リニア新幹線については、昨年9月20日に取上げたままだった。久しぶりの今日は、(その4)(リニア静岡問題 JR東海の「挽回策」はなぜ失敗? 他地域では進む工事 「次の一手」はあるか、リニア実験線出火事故の原因は何か?安全性への不安の声も、リニア新幹線「2027年開通」に漂う不安 JR東海に課題山積み)である。

先ずは、本年12月2日付け東洋経済オンライン「リニア静岡問題、JR東海の「挽回策」はなぜ失敗? 他地域では進む工事、「次の一手」はあるか」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/317109
・『折り合いが悪いJR東海と静岡の関係にも例外がある。静岡県の県庁所在地で政令指定都市でもある静岡市との関係は良好だ。 静岡に関してはリニア中央新幹線のルートはすべて静岡市内を通る。JR東海と静岡市は静岡工区の建設に向けて、現場に至る林道の改良工事に関する協定を2019年7月に締結した。 その前年の8月、JR東海の宇野護副社長の元に、静岡県から難波喬司副知事名で一通の文書が届いていた。そこにはこう書かれていた。「貴社との交渉等は静岡県中央新幹線対策本部が行います。ついては、貴社が関係利水者及び市町と個別に交渉等を行うことは、ご遠慮くださいますようお願い申し上げます」――。県が事務局となって、静岡市を除く島田市、焼津市、掛川市など流域の8市2町などで構成される「大井川利水関係協議会」を8月2日に設置し、JR東海との交渉は県に一本化すると決めたのだ。 県からの公式な要請では仕方がない。個別交渉をJR東海は控えた。 それから1年余りたった今年11月6日、JR東海と静岡県の関係改善に向け調整役となった国土交通省が市町を訪問してヒアリングしていることに対して、静岡県の川勝平太知事が、「5年前に当時の国土交通大臣がJR東海に“地元の理解と協力を得ることを確実に実施するように”と求めたのに、やってこられなかったから、今国交省の担当者が回られている。JR東海は反省すべきである」と言い出した。JR東海が地元に足を運んでいないとして批判したのだ』、「静岡県」には駅がないので冷淡なのは理解できるが、静岡市が前向きなのは「現場に至る林道の改良工事」が期待できるからなのだろうか。
・『完全にこじれた関係  県の要請を受けて、個別交渉を控えていたJR東海にしてみれば、心外な発言である。そもそも、県から要請がある以前は、JR東海は流域市町などへの個別説明を行っていた。知事の発言は、5年前からJR東海が地元への説明をまったく行っていなかったようにも聞こえる。 金子慎社長は、「知事がそうおっしゃるなら、流域の市町に個別にご説明にお伺いしようと思います」と、11月8日に発言した。JR東海はその翌週、静岡市および8市2町に面談を申し込んだ――。 JR東海と静岡県の関係はこじれきっている。そもそも水問題に関するこれまでの経緯という「事実」についても、両者の認識がまったく違うのだ。 JR東海の認識では、水問題を含めた環境問題について県や利水団体、沿線市町と以前から対話を重ねており、2014年10月の認可取得後は県が取りまとめ役となって工事着手に向けた基本合意の文書案作りを進めていた。ところが、合意案がほぼまとまり最終段階に入った2017年10月になって、川勝知事が突然、「JR東海の態度は極めて傲慢だ」と、協定締結に反対を表明したという。 これに対して、県側の認識では、工事認可前の段階から「トンネル湧水の全量を戻せ」と主張し続けているが、JR東海からは回答がなかった。そのため、トンネル湧水の全量を戻すよう何度もJR東海に要求している。 このように過去の経緯に関しても、両者の捉え方はまったく違う。 県はトンネル湧水の全量戻しを要求するが、JR東海は環境影響評価で論点になっているのは大井川における河川流量の確保だと考えてきた。そのためJR東海はトンネル工事によって発生する湧水の全量は戻せなくても、大井川の水量を維持できるだけの湧水は戻せると説明してきた。 だが、着工が遅れると2027年の開業が危うくなる。背に腹は変えられない。2018年10月、JR東海は県の主張を受け入れ、「原則としてトンネル湧水の全量を大井川に流す」と回答した。ようやく両者の間で意見が一致したかに見えた』、「工事認可前の段階から「トンネル湧水の全量を戻せ」と主張し続けているが、JR東海からは回答がなかった」、との「県側の認識」が正しいとすれば、「JR東海」もずいぶん不誠実だったようだ。
・『国交省も協議に加わったが…  ところが、一件落着とはならなかった。県が「全量を戻す方法」についてJR東海に対して詳細な説明を求めたのだ。 JR東海は、2019年9月に具体的な工法を提示したが、「静岡県内で工事中のトンネルが山梨、長野とつながるまでの間は静岡県の湧水が山梨、長野側に流出する可能性がある」として、県側はこの工法に反対。トンネル湧水を一滴たりとも県外には流させないというのが県の主張だ。 今年8月からは国交省が協議に加わった。しかし、川勝知事は、リニアを所管する鉄道局は環境問題の検討ができないとして、水管理・国土保全局、さらには環境省、農林水産省の協議参加を求めている。 赤羽一嘉国交相は11月22日の記者会見で川勝知事の発言を「ちょっといかがなものか」といさめたが、知事の剣幕に押されたのか、従来からの「国土交通省として必要な調整や協力を行っていく」という方針に加えて、「開業の遅れをJR東海が心配しているのであれば、まずは両者間で懸念をしっかりと議論してクリアしていただきたい」という発言が加わった。一歩引いた印象だ』、確かに「川勝知事の発言を「ちょっといかがなものか」」、という感じもするが、「川勝知事は、リニアを所管する鉄道局は環境問題の検討ができないとして、水管理・国土保全局、さらには環境省、農林水産省の協議参加を求めている」、これはもっともな主張だ。
・『赤羽大臣の記者会見と同じ11月22日、神奈川県相模原市に設けられるリニア神奈川県駅(仮称)起工式が行われた。リニアは東京都、神奈川県、山梨県、長野県、岐阜県、愛知県に1つずつ駅が設けられる。神奈川県駅はJR横浜線と相模線、京王相模原線が停車する橋本駅に隣接する形で設置される。 橋本駅北口は高層マンションが立ち並び、「イオン」などの商業施設もある。一方で、南口は駅前にあった県立相原高校が2019年4月に移転し、閑散とした雰囲気だ。この相原高校跡地の地下にリニア新駅が設置される。 新設される中間駅の中では、神奈川県が工事の先陣となる。JR東海の金子社長は、「地上に造られるほかの中間駅とは違い地下に駅を建設するため、早くスタートしたかった」と話す』、「神奈川県」が駅に前向きなのは、開発利益を享受できるので当然だろう。
・『期待高まる相模原市  開業後はリニアが横浜線や京王相模原線とも結ばれるため、東海道新幹線の新横浜駅のような利便性が期待される。市はリニア駅の地上部分を再開発して、オフィスビル、商業施設などの一般的な施設を造るだけでなく、宇宙開発、ロボット産業など次世代技術を創造する拠点としても活用したい考えだ。 「さがみロボット産業特区」を推進する神奈川県の黒岩祐治知事は、「未来の乗り物リニアと、新しい産業であるロボットは相性がいい。リニアが開業する2027年には町中にロボットがあふれるような、日常生活でロボットを体感できるまちづくりをしたい」と希望に満ちた将来像を描く。 相模原市の本村賢太郎市長も「多くの人が相模原の駅で降りたいと思ってくれるようにしたい」とリニアに期待をかける。市民の間には環境問題を心配する声もあるが、知事、市長ともに工事着工を祝い、開業を心待ちにしている。 それから4日後の11月26日には岐阜県内を走る日吉トンネルの建設現場が報道公開された。駅の建設現場やトンネル作業坑が公開されたことはこれまでにもあったが、リニアが走る本線トンネルの公開は今回が初めてという』、「相模原市」や「神奈川県」が夢を描くのは、当否は別として、彼らの勝手だろう。
・『全長14.5kmの日吉トンネルのうち、公開されたのは全長7.4kmの南垣外(みなみがいと)工区。トンネル本線は、山岳トンネルの工事でよく使われるNATM(ナトム)工法で掘削が行われている。1日およそ6mのペースで掘削が進んでいるという。現場周辺にはウラン鉱の存在も確認されているが、JR東海は「ウラン鉱を避けて掘削している。目下のところ基準値を超えたものは出ていない」とする。 トンネルから地上に出ると工事ヤードがあり、土砂の仮置き場が設けられている。発生土をすぐにベルトコンベアで運ぶのではなく、仮置き場で発生土の重金属含有量を毎日チェックして、基準値を超えていた場合は、環境影響対策を施した遮水タイプの別の仮置き場に運ぶ。現時点で、基準値を超えた発生土は約1万㎥あり、行政から許可を受けた専門業者を通じて処理をしているという。 また、全長約2kmのベルトコンベアが設置され、トンネル内の発生土を発生土置き場まで運搬する。通常なら発生土はダンプで運ぶが、「住民の皆様との話し合いの中で、騒音・振動や一般交通への影響を避けるためにベルトコンベアも活用してダンプの台数を削減することが決まった」とJR東海・岐阜工事事務所多治見分室の加藤覚室長が説明する』、これは「JR東海」が安全性や「騒音・振動や一般交通への影響を避ける」方策を講じているというPRだ。「神奈川県駅」や「日吉トンネル」の話をわざわざ入れたのは、取材させてもらった「JR東海」への「忖度」だろう。
・『個別交渉拒否のカラクリ  日吉トンネルは地元住民との話し合いが無事まとまり、工事も順調に進んでいる。神奈川県駅の工事もいよいよ始まる。 こうした状況を見ると、難工事であり一刻も早く着工する必要があるはずの静岡工区だけが手付かずという異常ぶりが際立つ。 さて、大井川流域の市町に面談を申し込んだJR東海はどうなったか。結論を先に言うと、静岡市を除く8市2町は会談を拒否した。 11月19日の記者会見で、川勝知事は、「8市2町、全会一致というのはすごいことです」「僕は正直感動しました」と8市2町の対応を手放しで称賛した。この件に県が関与しているのかという質問に対して、川勝知事は「まったくありません」と答えている。 そもそも、県や8市2町が参加する大井川利水関係協議会では、JR東海との交渉は県が行うと決定している。従って、もしこの決定が変更されていないのであれば8市2町がJR東海と個別交渉しないのは当然ということになる。その点で、確かに県は関与していないのだろう。地元テレビ局の情報番組で、掛川市の松井三郎市長や島田市の染谷絹代市長が「JR東海の説明を聞きたい」という趣旨の発言をしている様子が報じられたが、今回拒否した理由も協議会の決定に従った結果だと考えれば納得がいく。 地元と交渉してはどうかとも聞こえる川勝知事の「誘い」に乗って面談を申し込み、地元から門前払いを食らう結果に終わったJR東海。対して、川勝知事は静岡市の回答をなかったことにして、「全会一致でJR東海との面談を拒否したのは地元の不信感の表れ」という印象を作り出すことに成功した。川勝知事が一枚上手だった。 11月22日の神奈川県駅起工式後に金子社長、黒岩知事、本村市長らの記者会見が行われたが、質問は静岡県の水問題に集中した。 金子社長は「地元の皆様のご心配に対しては、”心配ないんですよ”ということをしっかりと説明したい」と述べ、8市2町と面談したいとの思いをにじませた。 本村市長に「川勝知事に会ったら何を話すか」と質問したところ、「“水の問題が重要であることは承知しているが、(リニアは)国家プロジェクトとして重要なので、ぜひご理解いただきたい”とお伝えしたい」と、金子社長を側面支援した。 川勝知事の強気の姿勢の背後には、「水問題は重要だ」と考える県民の支持がある。事態を打開するためには、JR東海は各地域で工事が環境に配慮して行われていることを実例として示すしかないし、静岡県以外のリニア沿線の各自治体も知恵を絞る必要がある。そして、何よりも金子社長と川勝知事が直接面談して、とことん議論することも必要なのではないか』、「川勝知事の強気の姿勢の背後には、「水問題は重要だ」と考える県民の支持がある」、のであれば、「直接面談」をやったところで、「水」掛論に終始するのではなかろうか。

次に、鉄道ジャーナリストの枝久保達也氏が12月2日付けダイヤモンド・オンラインに掲載した「リニア実験線出火事故の原因は何か?安全性への不安の声も」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/222024
・『10月に山梨県のリニア実験線で起きた、車両からの出火事故。リニアは線路の9割がトンネルだから、火災には不安を覚える人も少なくないだろう。しかし、JR東海の情報公開があまり積極的ではないことや、ローカルメディア以外は詳しく報じていないこともあって、真相がよく見えないままだ』、「JR東海」が不都合な情報公開に消極的な姿勢なのは確かに問題だ。
・『試験車両出火事故で安全性に疑問の声も  今年10月、山梨リニア実験線の車両基地で、車両から出火する事故が発生したことを覚えているだろうか。大手紙の地方版や地元紙、ローカル局が報じたほかは、産経新聞のweb版が多少詳しく取り上げた程度だったので、初耳という人もいるかもしれない。 事故の概要は次の通りだ。10月7日午後4時頃、山梨県都留市の車両基地に停車中のリニア試験車両の車内で、作業員3人が試験データを取得するために「断路器」と呼ばれるスイッチを切り、作業後に再びスイッチを入れたところ、断路器から発火。火花が作業員の衣服に燃え移り、2人が重傷、1人が軽傷を負い、病院に搬送された。 この事故に対し、静岡県の川勝平太知事は、10月11日の定例記者会見で「火災事故はリニア新幹線への信頼を揺るがしかねない事態ではないか」と記者から問われ、開口一番「いいご質問だと思います」と応答。「もしこれが走行中であったり、あるいはアルプスの下であったらどうなるのか」として、JR東海の危機管理体制を批判した。 川勝知事は、リニア中央新幹線のトンネル工事によって「大井川の流量が減少する」と主張しており、JR東海と対立している。このコメントは、いわば大井川を巡る対立が火災事故に“延焼”したものであり、中立な評価とはいえない。 しかし、リニア中央新幹線は全長286kmの9割でトンネルを走行する。さらに、出火した試験車両は、営業用仕様第1世代に位置付けられる「L0系」車両だから、川勝知事と同じような疑問や不安を抱く人がいても不思議ではない。 もっとも、原因となった断路器は、特定の機器を電気回路から切り離すためのスイッチであり、走行中に操作する機器ではない。したがって今回の出火事故を、そのままリニア運行の不安に結び付けるのは適切ではない。しかし、こうした基本的な情報も含め、JR東海の発信が消極的であるため、不安の「火種」がくすぶったまま時間だけが経過しているのが現状だ』、私も初耳だったが、「JR東海」を忖度して沈黙した主要マスコミの姿勢も問題だ。
・『出火した「断路器」は営業車両には搭載しない  リニアの安全性に問題はないのか。量産車両でも起こりうる事故なのか。ニュースの扱いは小さかったが、続報が気になっている人も多いはずだ。そこでJR東海に事故原因の調査状況について問い合わせたところ、「詳細は現在調査中」としながらも、東京広報室が取材に応じた。 今回筆者が確認したのは、(1)他の試験車両でも発生しうる問題か、(2)営業車両(量産型車両)でも発生しうる問題か、(3)そして発生時に被害が拡大しないか――の3点である。 まずは断路器で発生した火災が、他の車両でも発生するかという点である。断路器の役割を身近なものに例えるなら、家電におけるプラグとコンセントのようなものだ。ドライヤーやミキサーはコンセントにつながないと使用できないが、内部の清掃などの時はプラグを抜いておかないと、動き出してケガをしたり、感電する恐れがある。 安全のために切り離しできるようになっているプラグとコンセントだが、正しい取り扱いをしないと事故が発生する。例えばドライヤーが動いている状態でプラグを引き抜くと、コンセントとの間に火花が散ることがあるし、プラグが濡れていたり、ほこりが積もっているとショートして火災の原因となる。これは断路器も同様だ。 JR東海は火災の原因について、「復電作業時に、何らかの要因により断路器でショートし火花が発生したものと推定される」としながらも、機械的なトラブルであるか、人為的なミスであるかを含めて、詳細は明言を避けた。 2点目は、火災の原因となった断路器の位置付けである。JR東海は、当該断路器は一般的に使用されている断路器であるとした上で、「車両の照明や空調などに電気を供給するための回路に挿入されている」と説明した。役割や位置付けについては「技術情報」だとして明らかにしなかったが、「試験車両特有の電気機器のために取り付けられているもの」であり、「営業車両には搭載しない機器」であるという。 超電導リニアの基本的な走行技術は確立済みであるが、建設工事と並行してより安全・快適で、コスト低減・効率化に向けた車両の開発が続けられている。来年春には、改良型試験車両が投入され、2022年頃までに「量産型車両」の詳細な仕様を策定する方針だ。今後も試験の過程で、測定用機器の取り付けや、通常では行わない取り扱いが行われることだろう。営業車両に関係があろうとなかろうと、作業には慎重を期するよう改めて求めたい』、その通りだ。
・『説明不足が不信感を増大させる  そして、ある意味で最も重要な3点目は、出火した断路器から周辺への延焼の有無である。実はリニアには、火災にまつわるトラウマがある。1991年10月、鉄道総合技術研究所(JR総研)の宮崎リニア実験線で、走行試験中に出火し、実験車両が全焼する事故が発生しているのだ。山梨実験線の建設に着手した直後に起きたこの火災事故は、当時「実用化間近」と見られていた超電導リニア開発に冷や水を浴びせることとなった。今回の火災事故の一報を聞いて、28年前の事故を想起した人もいたことだろう。 宮崎の事故では、実験のためにタイヤに設置されていたパンク再現装置が誤作動し、タイヤを引きずったまま走行したことで、軽量化のために採用されていたマグネシウム製ホイールが摩擦熱で過熱して発火した。この事故を教訓として、以降の実験車両は営業車両に準じた難燃・不燃素材の使用など火災対策を講じている。 山梨リニア実験線では、営業用仕様と位置付けられる「L0系」車両は、実際に使われている鉄道車両と同じく、国交省令に基づく燃焼性規格における難燃性・不燃性の材料を使用している。 その甲斐があったのか、JR東海は今回の事故で、断路器から周辺機器、車体への延焼は発生せず、事故の一報から14分後には現場の管理者が火のないことを確認したと説明している。 もちろん、これでリニアの安全性に対する懸念が全て払拭されたと言いたいわけではない。火災対策だけでも他にさまざまな課題がある。ただ、そのうちどの部分が「超電導リニア」に起因するか(従来の鉄道とは異なるのか)、「実験線」特有の事情か、「営業線」でも起こりうる事象か、というように問題を仕分けないと、現実的なリスクの想定と対策に向けた議論が成り立たなくなってしまう恐れがある。 これを実現するためには、JR東海の積極的な情報公開と、メディアの取材と検証の両方向のアクションが必要になるが、現状では双方がコミュニケーションに及び腰であるかのようだ。しかし、それで取り残されてしまうのは社会の一般利用者である。 今回の事故の一報を聞いて「リニア」と「火災」のキーワードを結び付けたまま、不安の「火種」をくすぶらせている人もいることだろう。火種を放置すると、やがて不信感となって燃え盛り、消し止めることができなくなる。そうなってからは手遅れだ。 大井川の流量減少問題をはじめとするリニアを巡るさまざまな対立は、こうした構図の相似形ともいえないこともない。リニア建設が順調に進むか、地域と利用者に広く受け入れられるか、これらは全て、JR東海の姿勢にかかっているのではないだろうか』、「JR東海」や「メディア」双方の猛省が必要なようだ。

第三に、12月4日付けダイヤモンド・オンライン「リニア新幹線「2027年開通」に漂う不安、JR東海に課題山積み」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/222420
・『湧水で中断した名古屋の工事は11カ月ぶりに再開した  2018年12月末から中断していたリニア中央新幹線の名城非常口(名古屋市中区)の掘削工事が、11月26日に約11カ月ぶりに再開した。地下水が沸き出たために工事を中止していたものだ。 現場は名古屋城の南側に隣接していて、この辺りの地層はもともと地下水の水位が高い。着工前に入念な地質調査はしていたものの、一般に地中にトンネルや構造物を造る土木工事では、地下水の状況は「掘ってみないと分からない」(複数のゼネコン関係者)。 この地区の地層は、水を通さない粘性土の層と、水を通す砂礫層がランダムに積み重なる複雑な構造をしている。中でも特に複雑な地層となっている部分に高水圧がかかり、水みちが形成されたとJR東海は分析している。掘削作業を中断している間には、掘削面からの湧水を止めるため、非常口内に水を溜めて地下からの湧水を抑えた上で、止水工事を行った。 当初は16年4月から今年9月末までと予定されていた工期は、中断期間を除いて約7カ月間延び、竣工の予定は21年4月末となった。掘削工事の中断期間を除いても工期が延びたのは、工事開始前の地質調査で、一部から基準値以上の鉛(特定有害物質)が見つかり、それを取り除いていたためだ。鉛はリニア工事以前に発生していたものだった。 幸いなことに、同じように水が出やすい地質と言われているリニア新幹線の名古屋駅新設工事では、水の問題は起きていない。 JR東海は掘削中断や工期延長によるスケジュールの修正について、「全体工期へ影響しないよう進めていく」と説明するが、2027年に品川から名古屋間を開通させる目標はハードルが高そうだ。 「今はほかにも仕事がたくさんあるから困らないし、遅れても追加工事として補償されるだろう」とゼネコン幹部が言うように、掘削の中断期間中に、ゼネコンや専門工事業者の人員や機材は遊ぶことはなかったようだ。 ただ、ここから先の人材や資材のやりくりには難しさが伴うだろう。たとえ名城非常口工事の工期が守れても、遅れのしわ寄せは他の現場に生じかねない。全国でインフラ更新などの土木工事があり、建築でも再開発などが目白押しとなっている建設業界は、職人の高齢化と入職者の減少という慢性的な人手不足に長らく悩まされている』、平地でもこんなトラブルに見舞われるようでは、静岡県が問題視している中央アルプスでのトンネル工事ではトラブルが続出しそうだ。
・『工事の技術面よりも渉外に課題  「リニア中央新幹線関連の工事は、進み具合は遅れているけど、技術的な問題はあまりない」と工事に関係するゼネコンの幹部は言う。山岳トンネルの土被りの深さや営業中の新幹線や在来線に近接する工事を行うため失敗が許されないなど、工事の難易度の高さがよく話題に上るが、開業スケジュールを脅かす原因になりかねないのはそこではない。渉外関係に懸念がある。 代表的なのは静岡の水問題。リニアが通る山岳トンネルの掘削により、静岡県内に流れる大井川水系の河川水量が減るとして、川勝平太静岡県知事が水の全量を河に戻すようJR東海に求めており、合意するまで静岡県内では工事を始められない。 他にも懸念はある。山岳トンネル工事では、リニアが通る地下深くの本線トンネルまで、地表から斜めに掘った坑道が要る。この斜坑を使って建設機械などの工事車両が出入りしたり、湧水をくみ上げる排水ポンプ、電線、コンクリートなどの資材を運んだりする。 地上部分の森林の大半は、農林水産大臣または都道府県知事によって指定される保安林となっているため、保安林の指定を解除する行政手続きが必要だ。保安林解除には、申請開始から1年程度の時間が掛かる。この申請の動き出しが遅く、手続きが予定を押してしまい、ゼネコンが頭を悩ます工区があるのだ。 工事関係者は、「お客さんのことを悪く言いたくないけれど、JR東海は東海道新幹線以来、新幹線工事の新設経験がない。だから本体工事に取り掛かる前の段取りが悪かった」と明かす。 保安林解除申請は事業者がゼネコンに工事を発注する前に申請しておくべきところ。それをゼネコンに丸投げしてきたため、すぐに斜坑を掘る工事に取り掛かれず、現場は混乱。やむなく待機したり、他の工程を先に回したりしている。 また、トンネルを掘った際に出る大量の土(残土)の置き場がほとんど決まっていない。長野県を例に挙げると、トンネル工事で発生する残土は950万立方メートル。公共事業での活用を想定するものの、残土の大半の受け入れが決まっていない。受け入れが決まっている大鹿村でさえ、その量はわずか10万5000立方メートルだ。 約100万立方メートルを受け入れる有力な候補地になっているのは長野県南部にある下條村。村は道の駅とその周辺の整備に残土を使う計画を立てている。計画地の下流に人家はなく、仮に土砂崩れが起きたとしても人命被害に及ぶ可能性は低い。ただし、計画地は活断層の地形上にある。 長野県駅予定地から天竜川をはさんで北東にある豊丘村の元村議・唐澤啓六氏は「豊岡村でも16年や17年に計画があったが、住民の反対で中止になった。県内では下條村以外の残土受け入れ候補地のほとんどが『谷埋め盛り土』で、とても危険」と語る。谷を残土で埋めて均すと、一見、土地活用がしやすくなるように感じるが、大雨や地震が起きた時に盛り上げた残土が下滑りするリスクがあるというのだ。 用地買収も思うように進んでいない。工事の遅れがさらに拡大する可能性がある。「ある県では、駅に係る土地に建つ大規模マンションを管理する高齢の管理組合長がしぶとい。同じような問題は他県でもある」(JR東海関係者)。 27年の開通に向けて、複数の関係者を巻き込みどこまでスケジュールを推し進めることができるか。近年、JR7社の中でも新幹線を持つJR北海道、JR東日本、JR西日本、JR九州では新幹線新設・延伸工事の実績を積んでいるため、渉外経験や技術者のノウハウも新しい。大手民鉄でも新線や相互直通運転のための工事経験を積んでいる。それに比べて、1959年に開通した東海道新幹線以来、路線新設工事の経験が乏しいJR東海では、特に渉外力が試されている』、「残土の大半の受け入れが決まっていない」、というのは深刻だ。こんなのはもっと早く取り掛かるべきだったろう。「渉外力」が心もとないのであれば、他のJR各社に頭を下げて、出向、または転籍を依頼する手もあるだろうが、「JR東海」のプライドが許さないのかも知れない。まだ、プライドを気にするだけ余裕があるのだろうか。私自身は、かつてから、採算上の問題を指摘してきたが、それ以外にも問題山積のようだ。
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