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M&A(一般)(その1)(5億で売れたはずの会社を2億円で売却! 億単位でピンハネするM&A悪徳業者の「甘い罠」、沖縄・オリオンビール「第2創業」に至った舞台裏 県民が育てるビール会社はなぜ売られたのか、昭和電工 「小が大を飲む」9640億円買収の成否 社運賭け 「御三家」日立化成を公開買い付け) [企業経営]

今日は、M&A(一般)(その1)(5億で売れたはずの会社を2億円で売却! 億単位でピンハネするM&A悪徳業者の「甘い罠」、沖縄・オリオンビール「第2創業」に至った舞台裏 県民が育てるビール会社はなぜ売られたのか、昭和電工 「小が大を飲む」9640億円買収の成否 社運賭け 「御三家」日立化成を公開買い付け)を取上げよう。

先ずは、アドバンストアイ株式会社 代表取締役社長の岡本行生氏が7月16日付けダイヤモンド・オンラインに掲載した「5億で売れたはずの会社を2億円で売却! 億単位でピンハネするM&A悪徳業者の「甘い罠」」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/207643
・『今、企業を売り買いするM&A市場は大活況です。 売り手側にとって有利な時代です。 しかし一方で、悪条件でだまされて安く買い叩かれたり、不利な条件で会社を手放したりといった不幸な案件も増えています。 M&Aの「仲介会社」は、 売り手企業側と買い手企業側の双方と契約を交わします。 成功したときの手数料も、売り手企業と買い手企業の双方から受け取ります。 このような、「双方から手数料を徴収する取引形態」を逆手に取った悪質なケースも…。 『あなたの会社は高く売れます』の著者が、このカラクリについて解説します』、テレビでもM&Aアドバイザリー・仲介会社のコマーシャルが流れるほど、中小企業の「M&A市場は大活況」なのは確かなようだ。
・『両手取引を逆手に取った悪質なケース  私の会社はM&Aの助言会社なので、一つの案件で売り手企業側か買い手企業側のどちらかにしかアドバイスをしません。 売り手企業と買い手企業は利益が相反しますので、どちらも満足させるアドバイスなどできないからです。 一方、仲介会社は、売り手企業側と買い手企業側の双方と契約を交わします。売り手企業と買い手企業を引き合わせ、双方に取引に関してのアドバイスを行います。 そもそもこの仕組みが健全ではないのですが、成功したときの手数料も、売り手企業と買い手企業の双方から受け取ります。 普通に考えれば、利益相反となります。ただ現在の日本において、この仕組みは商道徳的な問題を内包するものの、広く見受けられます。仲介会社が悪だと言っているわけではありません。だからといって問題がないともいえません。 次にご紹介するのは、双方から手数料を徴収する取引形態を逆手に取った悪質なケースです』、「売り手企業側と買い手企業側の双方と契約を交わします」、「利益相反となります。ただ現在の日本において、この仕組みは商道徳的な問題を内包するものの、広く見受けられます」、欧米では利益相反にうるさいが、日本ではまだまだのようだ。
・『悪徳業者の甘い誘惑 タダより高いものはない  「売り手さんからは1円も報酬はいただきません」「手数料は買い手からいただくので、売り手さんには無料で誠心誠意尽くします」 この営業トークは、売り手企業には魅力的に映ります。 この誘惑に勝てる売り手企業がいるでしょうか。 無料で買い手企業を探してくれる仲介会社は、事情があって会社を売却せざるを得ない中小企業のオーナーや経営者にとっては、救世主のようです。それこそが、悪徳業者がつけ込むワナなのです。 たとえば、売り手企業と買い手企業の手数料がともに5%だったとします。仲介会社が売り手企業から徴収する5%を放棄し、買い手企業から5%の手数料だけを徴収する場合、取引条件が適正に交渉されるという前提があれば良心的な業者と言えるかもしれません。 売り手企業から受領しない5%を買い手企業に上乗せし、買い手企業から10%を徴収する仲介会社も、買い手企業との合意があれば問題にならないと思います。 しかし、本来徴収できる手数料を放棄してまでクライアントのために尽くす仲介会社は、そうはいません。彼らは、こんな仕組みで依頼先をだましてきました。 はじめに、買い手企業との間で通常では考えられない契約を結びます。 それはあらかじめ「売却想定価格」を設定し、その想定価格より安い金額で買収できた場合には、想定価格と実際の買収価格の差額のうち、半分を成功報酬として受け取るという内容です。 定価3000円のシャツを、セールで2000円で買ってきたとしたら、値引き分の1000円の半額、500円を成功報酬として払ってください、ということです。 具体的に説明しましょう』、「売却想定価格」が問題だが、「想定価格と実際の買収価格の差額のうち、半分を成功報酬として受け取る」、というのは巧みなやり方だ。
・『売り手企業を手玉に取るからくり  仲介会社が売り手企業の会社内容を大まかに調査し、売却想定価格として提示します。仮に営業利益が5000万円で純現預金が1億円ある会社をマルチプル(8倍とします)で求めた場合、個別の事情を考慮しないとすると、株式価値の市場価格の目安は5億円という数字になります。 この数字を、買い手企業との間であらかじめ定める売却想定価格と設定するのです。この金額で売買が成立した場合、通常の仲介会社の報酬体系であれば、株式の譲渡対価である5億円の5%の2500万円を、売り手企業と買い手企業から受領し、合計5000万円の手数料を稼ぐことになります。 しかし、悪徳業者は違います。売り手企業は仲介会社の算出した「本来の」売却適正価格を知らされないので、5億円という数字は知りません。悪徳業者はそれをいいことに巧みな話術で売り手企業を煙に巻き、こう言い放ちます。 「当社と取引のある買い手さんをくまなく回ったのですが、どうしても2億円以上で買ってくれる会社が出てこないんです。でも、この会社は良心的ですよ。ここで決断しなければ、市場価格はどんどん下がっていってしまいますよ」 その会社しか好条件での買い手企業がいないように錯覚させ、その金額で合意しないと損をするような気になる心理状態に置き、追い詰めて契約を結ばせるのです。 売り手企業の経営者は、M&Aを経験したことがない素人です。どのような金額が相場なのか判断基準を持っていません。 「手数料はいらない」と言ってくれた良心的な業者なので、その言葉に嘘はないと信じ込み、うっかり契約書にサインしてしまう。 その結果、売り手企業は5億円で売れたはずの会社を、たった2億円で売却してしまうことになります』、「売り手企業の経営者」が「素人」であることにかこつけた悪辣な商法だ。
・『差額の3億円はどこへ…?  では差額の3億円はどこにいくのでしょうか。 この詐欺まがいの仕組みは買い手企業も承諾していないと成立しないので、実質的には仲介会社と買い手企業で「山分け」することになります。 買い手企業は3億円の半分、1億5000万円を仲介会社に払い、買収価格の2億円と合わせて3億5000万円で売り手企業を手に入れた計算になります。5億円の価値がある企業を3億5000万円で買収できたのですから、買い手企業にとってはお得な買い物です。 仲介会社は、3億円の半額の1億5000万円を手にします。売り手企業と買い手企業双方から5%ずつの手数料を受け取る通常の仲介会社としての手数料契約に比べると、当初の予想通り5億円で売買が成立していたときに受領する手数料総額5000万円の3倍の金額を手にするのですから、笑いが止まらないはずです。売り手企業だけが、一人で大損したということになります。 ちなみに、仲介会社へ支払う手数料の算式もしっかり確認しましょう。 株式の譲渡対価に対して料率が生じているのか、移動する総資産の金額に料率を乗じているのか、この違いは決定的です。 たとえば、負債10億円を有し、総資産が12億円の会社のM&Aにおいて、株式の譲渡対価が3億円であった場合、手数料が5%とすると、株式の譲渡対価を基準にすると、3億円×5%=1500万円となる一方、総資産額を基準にすると12億円×5%=6000万円となってしまいます。 M&Aの成果は株式の譲渡対価に集約されることを考えると、売り手にとっては、株式の譲渡対価に対する手数料率とするのが合理的です。総資産に対する料金体系となると、手数料が過大になりがちですので、十分留意しましょう。当然ながら、大手企業に対する助言会社の報酬体系は、基本的に株式の譲渡対価が基準となっています』、「売り手企業だけが、一人で大損したということになります」、「売り手」がやがて真相を知れば、やりきれないだろう。
・『詐欺まがいの行為に引っかからないために  基本的には、売り手企業か買い手企業の一方としか契約しない助言会社を選んでおけば、間違いは起こりません。ただ、仲介会社はそれなりの強みもあるので、仲介会社を選ぶ場合は、買い手企業との契約内容を確認するようにしてください。 守秘義務を盾にされたら、売り手企業は何も言えません。それでも、開示してくれない仲介会社を不誠実とみなし、契約しない自由があります。私は、買い手企業との契約を隠す仲介会社とは契約してはいけないと考えています。 もし、契約内容を開示してくれなければ、仲介会社を選択する場合には少なくとも特定の1社と契約する「専任契約」ではなく、複数の仲介会社と契約することで、売買条件を客観的に知ることができる状態に近づけておくべきです。 一方、助言会社は、売り手企業と契約すると売り手企業の利益しか考えません。 売り手企業の利益には、さまざまな利益があります。コンペにして複数の買い手企業に条件を出させることで売却価格を少しでも高くします。 売却価格以外にも、たとえば「技術を守ってほしい」といった経営者の望みを叶えるのも重要な利益です。 「安過ぎるからもう1年待ったほうがいい」「この買い手企業は高い価格を出しているけれど、事業をぞんざいに扱い、従業員もリストラしそうだからやめたほうがいい」「この買い手は安い価格しか出してきていないけれど、真剣にシナジーを考えている。事業の発展を考えれば、受けたほうがいい」 価格だけではない売り手企業の利益をアドバイスし買い手と交渉できるのは、売り手企業側だけについた助言会社です。 仲介会社は、どちらかを立てればどちらかが引っ込むことになるため、売り手企業の価値を最大化するアドバイスや、買い手企業の要望に沿ってできる限り安い価格での買収に持ち込む交渉は、基本的には実現困難なはずです。それができないことこそがまさに利益相反であり、仲介会社の根底にある問題点だと思います。 また、売り手企業とのお付き合いは売るとき1回だけですが、買い手企業はたくさんの企業を買ってくれる「お得意さま」である可能性も高いはずです。となると、売り手と買い手、どちらを向いて商売をするか、容易に想像がつくはずです。 日本の中小企業のM&A市場におけるこの構造問題は、M&Aがより身近になり、さまざまな業者のトラブルが顕在化するなかで、時間をかけて解消されていくかもしれません。ぜひ少なくともそうしたリスクがあることを認識したうえで業者を選び、M&Aのプロセスを進めていただきたいと思います』、「売り手企業とのお付き合いは売るとき1回だけですが、買い手企業はたくさんの企業を買ってくれる「お得意さま」である可能性も高いはずです。となると、売り手と買い手、どちらを向いて商売をするか、容易に想像がつくはずです」、確かにその通りだろう。業者選びには気をつける必要がありそうだ。

次に、8月5日付け東洋経済オンライン「沖縄・オリオンビール「第2創業」に至った舞台裏 県民が育てるビール会社はなぜ売られたのか」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/295031
・『「沖縄の皆様の中には『オリオンビールが沖縄のビールではなくなる』という懸念があるようだが、オリオンのDNAは変わらない」 7月22日、オリオンビールの社長兼最高経営責任者(CEO)就任が決まった早瀬京鋳(けいじゅ)氏は会見でこう述べた。今年1月、野村ホールディングスとアメリカの投資ファンド、カーライル・グループに買収されることが発表され、県民には「外資にのっとられてしまうのか」という不安の声が広がっていた』、どういう事情があったのだろうか。
・『「ワッター自慢の」オリオンが買収される  オリオンビールの2018年3月期の売上高は283億円、経常利益37億円。ビール業界では大手4社(キリン、アサヒ、サントリー、サッポロ)に次ぐ国内5位ではあるものの、売上数量の実に約8割を沖縄県内が占める。沖縄の歌手グループBEGINが「ワッター(私たち)自慢のオリオンビール」と歌うほどに、地元にとっては1つのアイデンティティとなっている。 カナダのスポーツ用品大手「ルルレモン・アスレティカ」の日本法人社長を務めていた早瀬氏に社長就任の打診があったのは、今年の春先だった。以前から地域貢献につながる仕事がしたいと公言していた早瀬氏は、当時の心境を「チャレンジするしかないと思った」と振り返る。 早瀬氏が「オリオンのDNAは変わらない」と強調したのは、ひとえに「県民感情」への配慮だ。創業者の具志堅宗精(故人)は「沖縄財界四天王」の1人に数えられる沖縄が誇る偉人。1959年、「オリオンビール」という商品名を公募によって決めたのも、「県民が育てるビール会社」になることを宗精が重視したからだ。それだけにオリオン株の売却には、県民の反発が大きかった。 新社長就任が発表される約2週間前の7月5日、オリオンビール創業の地である名護市で開かれた「具志堅宗精を語る会」では、株売却に怒りの声が飛び交った。 オリオンビールのOBは「宗精が築き、県民が育ててきた会社を勝手に売り払うなんて、経営陣はいったい何を考えているんだ」と憤る。別のOGは「(売却は)新聞記事で初めて知った。何が起きていたのか、真相を知りたいのに会社からは何も知らされない」と嘆いた。 オリオン経営陣への不満の声が飛び交う中に、1人、居心地の悪そうな顔をした男がいた。身の置き所がなく、そそくさとその場を離れてしまったが、創業家一族であるこの男こそ、オリオン売却を誘導した張本人だ。東洋経済の取材には「こうするより仕方がなかった……」と釈明する。何があったというのか――』、「「オリオンビール」という商品名を公募によって決めた」、初めて知ったが、「ワッター自慢の」、も頷ける。ただ、「売上数量の実に約8割を沖縄県内が占める」、とローカルブランドに留まっているようだ。
・『創業家と経営陣の対立  オリオンビール本社(沖縄県浦添市)の5階に、幸商事という会社がある。オリオンの本社ビルなどを所有する資産管理会社で、経営するのは具志堅宗精の子たち。オリオン株の約8.5%を保有し、同社に対する影響力を保持してきた。 オリオンの筆頭株主は2002年に業務提携を結んだアサヒビール(10%保有)だが、歴代の経営陣は幸商事、すなわち創業家との関係に神経を磨り減らしてきた。 「この人(自分に近い人)を社員にしてやってくれ」「この保険を買いなさい」といった“天の声”が降りてくれば、経営陣は無下にはできない。「とくに苦しかったのが、創業家の人間をオリオン役員に迎え入れなさいというプレッシャーだった」と役員経験者の1人は述懐する。 一方、創業家の側にも「株主である自分たちの存在が軽んじられている」という不満があった。配当は長い間1株当たり50円に据え置かれ、その後70円、2016年度には100円へと増額されたものの、3%前後の配当性向に「非上場企業とはいえ、低すぎる」という不満があった。 創業家と経営陣のにらみあいは、県民の目の届かぬところで深刻度を深めていた。約10年前には、幸商事の財務資料や実印が入った金庫が何者かに持ち去られるという騒動まで起きている。警察は「身内同士のケンカ」と判断して事件化しなかったが、事態が泥沼化する中、創業家から「もう、オリオン株と幸商事を売却したい」という声が上がりはじめる。 先の創業家の男は「宗精の子たちの平均年齢が80歳を超えている。1人亡くなるだけでも後始末が大変だ」と遺産相続問題を理由に挙げるが、理由はそれだけではない。「創業家の中には事業に失敗して多額の負債を抱えた人間もいた」(同)。 しかし、オリオン株と幸商事売却の協議は順調にはいかなかった。5年前の当初、オリオン経営陣が提示した幸商事の買収額は約25億円だったが、これに創業家は「安すぎる」と受け入れを拒んだのだ。 オリオン本社ビルなどの不動産のほか、同社株8.5%の売却額は県内企業の株価などを参考にして算出されたが、創業家は納得しなかった。実際、今回の野村・カーライルによる株式公開買い付け(TOB)価格は、1株当たり7万9200円。幸商事の持ち株数を単純に掛け合わせると、それだけでも48億円を超える。オリオン経営陣は、はなから創業家との交渉を行うつもりはなかったのかもしれない。 経営陣を見限った創業家は、沖縄県内の有力ゼネコンや外資ファンドなどいくつかの門をたたき、2016年、カーライルにたどりついた。「オリオンビール株を買い取ってもらえないか」。オリオンのブランド価値、成長可能性に着目したカーライルは興味を示した』、「オリオン経営陣が提示した幸商事の買収額は約25億円だった」、のであれば、「創業家」が「カーライル」に打診したのは当然だ。
・『野村に駆け込んだ経営陣  翌2017年、創業家はカーライルの担当者とともにオリオン株主のもとを訪れ始める。カーライル単独でオリオンのTOBを実施しようと画策したのだ。カーライルをバックにつけた創業家による「敵対的買収」準備だった。創業家の動きを察知したオリオン経営陣は慌て2018年2月、ホワイトナイト(買収防衛策)の要請のため野村證券那覇支店に駆け込んだ。 互いの動きを探り合っていた2018年の10月下旬、創業家側に一本の連絡が入る。銀行出身のオリオン取締役、亀田浩氏による面会の要請だった。11月3日、東京・中央区の野村證券本社で実現した面会で、亀田氏は創業家に「(野村の力を借りて)幸商事を買い取りたい」と告げる。それであれば、創業家にとっても株の現金化という目的は達せられる。 カーライルと野村による買収合戦は、こうして両者の「共同TOB」にかたちを変えることになった。 そのスキームはこうだ。野村の投資ファンド「野村キャピタル・パートナーズ」(NCAP)が51%、カーライルが49%出資するSPC(特別目的会社)であるオーシャン・ホールディングスがオリオンのTOBを実施する。オーシャンHDは、あわせて幸商事も買収する。創業家は今回のTOBですべての保有株式を売却する。 その後、アサヒビールがオーシャンHDに約10%出資、筆頭株主の地位を維持する。さらに、オリオンの嘉手苅義男会長がオーシャンHDに出資し、形式上「MBO(マネジメントバイアウト=経営者による買収)」となるようにした。つまり、会社は買収されるが、対外的には「オリオンは自主独立を維持した」と言えるようにする。創業家・経営陣・そしてファンド。これら3者による妥協の産物が、今回のスキームといっていいだろう。 今年3月、オーシャンHDによるTOBが終了し、予定どおり嘉手苅会長が「ほんの少しだけ」(オリオン幹部)出資をしたことでMBOは成功した。かろうじて「自主独立」の形を守ったオリオンは5年後をメドにIPO(新規上場)を目指す。 カーライルや野村は5年後に向け、今回の買収価格を上回る価格で売却するためのイグジット戦略を描かなくてはならない。そのために招聘したのが早瀬新社長だが、オリオンには大きな難題がある。酒税減免措置とどう向き合うかだ』、「3者による妥協の産物が、今回のスキーム」、なかなかよく出来ている。
・『47年間も続く酒税減免措置  1972年に沖縄が本土復帰をした際、市場環境の激変を緩和するための措置として敷かれたのが酒税軽減措置。沖縄県産の酒類に対して酒税を20%軽減する措置だ。本来であれば2~3年で終了すべき減免措置が47年間も続いていることに、県内からも疑問の声が絶えない。 2018年3月期のオリオンの純利益は23億円だが、このうち約20億円は減税効果とされている。つまりオリオンは、国の補助支援策に大きく依存した収益構造になっているのだ。 減免措置から脱却し、正当な競争力の下でIPOできるよう汗を流すのか。それとも、旧経営陣がやってきたように、減免措置維持のための政界ロビー活動に汗を流すのか。早瀬氏は22日の会見で酒税減免措置について「勉強中」と明言を避けたが、いずれその具体的な対処策を示さなければならない時がくる。 創業者が「県民が育てるビール会社」になるよう志したオリオンビールは、皮肉にも、子や孫たちの「現金ニーズ」によって県外、国外に売却された。「オリオン経営陣が示す買収額が低いから、こうするより仕方がなかった」という創業家の理屈に、心から納得する県民は少ないだろう。 一方、新生オリオンは「創業家の影響がなくなり、カーライルの企業価値向上の手腕と野村の金融の知見、両方を使えることになった」(オリオン幹部)。しかしそれは、経済合理性がより厳しく求められることを意味する。そこに、沖縄における「身内の論理」が入り込む余地がないことだけは確かだろう』、「身内の論理」による甘えを排して、自立してほしいものだ。

第三に、12月19日付け東洋経済オンライン「昭和電工、「小が大を飲む」9640億円買収の成否 社運賭け、「御三家」日立化成を公開買い付け」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/320701
・『日立グループ「御三家」の一角、日立化成の売却先が昭和電工に決まった。 昭和電工は2020年2月にTOB(株式公開買い付け)を始め、日立化成の全株式を約9640億円で買い取る。日立化成に51.2%を出資する日立製作所は現在、矢継ぎ早に事業ポートフォリオの見直しを進めている最中で、その中でも重要な案件に決着がつくことになる』、「日立グループ」が選択と集中で「事業ポートフォリオの見直しを進めている」のはいいことだ。
・『社運を賭けた9640億円の買収劇  「100年を超える歴史の中でも重要な転換点。日立化成を仲間として、新しい歴史に踏み出す」 12月18日、東京都内で会見した昭和電工の森川宏平社長は力強く語った。同社の時価総額は4521億円(12月18日時点)。対する日立化成は売上、利益規模こそ昭和電工に劣るもものの、時価総額は8501億円、従業員数約2万3000人と、いずれも昭和電工の2倍近い大所帯だ。 9640億円もの買収費用も巨額だが、いわば「小が大を飲み込む」M&Aによって昭和電工は社運を賭けた大勝負に打って出る。 買収スキームは、買収のために設立する特別目的会社(SPC)がみずほ銀行からノンリコースローンとして4000億円を借り入れ、みずほ銀行と日本政策投資銀行から2750億円の優先株出資も受ける。昭和電工本体もSPCに普通株出資するが、その資金2950億円もみずほ銀行が融資する。 日立化成株の親会社である日立製作所はTOBに応募する契約を昭和電工とすでに結んでおり、TOBが成立するのは確実だ。 昭和電工の業績は現在、絶好調だ。2018年12月期の営業利益は1800億円と過去最高を記録し、2017年12月期に引き続いて2期連続で最高益を更新している。それ以前は年数百億円の利益を稼ぎ出すのがやっとで、2009年12月期にはリーマンショックの影響を受けて営業赤字に沈んだこともある。まして、時価総額で2倍近い日立化成を買収できるほどの体力はなかった。 その昭和電工が飛躍のきっかけをつかんだのは、2年前に打って出た、ある買収があった。 2017年当時、昭和電工は構造不況にあえいでいた電炉向け黒鉛電極事業で、世界2位のSGLカーボン(ドイツ)を約150億円で買収した。黒鉛電極とは、鉄スクラップを溶かして鋼を作る電炉で使われ、世界の粗鋼の4分の1が電炉で生産されている。 ただ、中国で蔓延していた「地条鋼」と呼ばれる粗悪な鉄鋼の影響で、鉄の値段が下がる「鉄冷え」が発生。電炉用黒鉛電極の市況もそのあおりを受けていた。昭和電工の黒鉛電極事業は2013年から2016年の間は赤字で、「そろそろ市況は回復する」(森川社長)との読みのもと、打って出たのが、当時「無謀」と評された2017年の買収だった』、「昭和電工」が赤字続きの「電炉向け黒鉛電極事業」で、「SGLカーボン(ドイツ)を約150億円で買収」とは思い切った英断をしたものだ。
・『読みがぴたり的中、黒鉛電極で業績急回復  昭和電工の「読み」はぴたりと的中する。買収直後に中国政府が地条鋼の取り締まりを強化。その結果、中国各地で電炉を使用した粗鋼生産が増え、高品質な黒鉛電極の需要が急増した。昭和電工の2018年12月期の営業利益1800億円の7割以上、1324億円を黒鉛電極を中心とする「無機」事業部門が稼ぎ出した。 それにつれて財務体質も大幅に改善し、2015年12月期に1.2倍だったD/Eレシオ(株主資本に対する負債の比率)は0.62倍まで改善した。 ただ、今回の日立化成の買収額は約9640億円。2017年当時とは桁違いの財務リスクを取ることになる。買収相手である日立化成の資産を担保にしたノンリコースローンでの借り入れが多いため、昭和電工は「無理のない借り入れだ」と主張する。 買収後のD/Eレシオは1.6~1.7倍程度に悪化。昭和電工は早期に1倍未満にできる見通しだと説明するが、頼みの黒鉛電極市況が再び悪化しつつあり、2019年12月期の業績は減益を予想している。 巨額買収成功のカギを握るのは、「個性派事業」というものさしだ。昭和電工が2018年に発表した中期経営計画では、「適正な市場規模(数百~数千億円市場)でトップシェアを獲得」できる事業を個性派事業として育成していく方針を示した。それを超える巨大市場だと、設備投資にかかる費用が膨大になり、競争力を維持できないことが理由だ。 実際、昭和電工の事業を見ると、ハードディスクと電子材料用高純度ガス、黒鉛電極の3事業がそれぞれ数千億円程度の市場規模で世界シェアのトップを握っている。 買収後の日立化成に対しても、同様の指標をもとに事業ポートフォリオの再編に乗り出す。日立化成が高いシェアを握るのは封止材や配線板などの半導体向け材料や、自動車向けリチウムイオン電池負極材など。これらは個性派事業の要件を満たすと考えられる』、「日立化成」のなかで「個性派事業の要件を満た」さない事業は売却されるのだろうか。
・『トップ企業になるチャンスを逃したくない  ただ、裏を返せば、このものさしに当てはまらなければ、切り捨てられる可能性がある。18日の会見で森川社長は、「個性派事業を目指ざせる限りは昭和電工にとって必要な事業である。経営陣がそういうふうに考えられない場合、必要ない事業になると常々言ってきた」と説明し、今後の事業再編については、「まだ何も決まっていない。聖域を設けずにやっていく」と語るにとどめた。 子会社の売却を決めた日立製作所とは「日立化成の雇用を守る」約束しているため、買収後すぐに大規模なリストラに踏み出すとは考えづらい。しかし、今後1~2年のうちに日立化成の一部事業を売却する可能性は消えない。 もう1つは、今回の買収が「高値づかみ」だったとの批判をはね返すことができるかどうか。2019年初めに1600円程度だった日立化成の株価は日立製作所が売却の手続きを進めてから右肩上がりに上昇し、12月18日の終値は4080円に達した。今回のTOBの買い付け価格は4630円で、昭和電工は「直近の株価値上がりだけを見ているわけではなく、もう少し長い目でみるとこの価格は妥当だ」と説明したが、「高すぎる。とても手を出すような金額ではない」(化学メーカーの幹部)という声もあがる。 「これから10年、20年、うち単独でやっていくということも考えたが、世界のトップ企業になれるチャンスを逃したくなかった」。森川社長は会見で巨額買収に踏み切った心情を率直に吐露した。 目の前に転がり込んだ「おいしそうな果実」に目がくらんで安易に手を出したのなら今後数年間、その結果が厳しく問われるのは間違いない。今後1年ほどかけて新しい中期経営計画を策定する予定だといい、まずはその内容が問われることになる』、株価の推移から見る限り、やはり「高値づかみ」のようだ。「新しい中期経営計画」で無理のない将来像を描けるのか、注目したい。
タグ:オリオンビール 東洋経済オンライン M&A 昭和電工 日立化成 ダイヤモンド・オンライン 利益相反 (一般) (その1)(5億で売れたはずの会社を2億円で売却! 億単位でピンハネするM&A悪徳業者の「甘い罠」、沖縄・オリオンビール「第2創業」に至った舞台裏 県民が育てるビール会社はなぜ売られたのか、昭和電工 「小が大を飲む」9640億円買収の成否 社運賭け 「御三家」日立化成を公開買い付け) 岡本行生 「5億で売れたはずの会社を2億円で売却! 億単位でピンハネするM&A悪徳業者の「甘い罠」」 M&A市場は大活況 「仲介会社」は、 売り手企業側と買い手企業側の双方と契約を交わします 両手取引を逆手に取った悪質なケース 仲介会社は、売り手企業側と買い手企業側の双方と契約を交わします 現在の日本において、この仕組みは商道徳的な問題を内包するものの、広く見受けられます 悪徳業者の甘い誘惑 タダより高いものはない 「売り手さんからは1円も報酬はいただきません」 あらかじめ「売却想定価格」を設定し、その想定価格より安い金額で買収できた場合には、想定価格と実際の買収価格の差額のうち、半分を成功報酬として受け取るという内容 売り手企業を手玉に取るからくり 売り手企業の経営者は、M&Aを経験したことがない素人です。どのような金額が相場なのか判断基準を持っていません 差額の3億円はどこへ…? 仲介会社と買い手企業で「山分け」 売り手企業だけが、一人で大損したということになります 契約内容を開示してくれなければ、仲介会社を選択する場合には少なくとも特定の1社と契約する「専任契約」ではなく、複数の仲介会社と契約することで、売買条件を客観的に知ることができる状態に近づけておくべき 売り手企業とのお付き合いは売るとき1回だけですが、買い手企業はたくさんの企業を買ってくれる「お得意さま」である可能性も高いはずです。となると、売り手と買い手、どちらを向いて商売をするか、容易に想像がつくはずです 「沖縄・オリオンビール「第2創業」に至った舞台裏 県民が育てるビール会社はなぜ売られたのか」 野村ホールディングスとアメリカの投資ファンド、カーライル・グループに買収される 「ワッター自慢の」オリオンが買収される 「県民感情」への配慮 「オリオンビール」という商品名を公募によって決めたのも、「県民が育てるビール会社」になる 売上数量の実に約8割を沖縄県内が占める 創業家と経営陣の対立 オリオン経営陣が提示した幸商事の買収額は約25億円だった 「創業家」が「カーライル」に打診 野村に駆け込んだ経営陣 会社は買収されるが、対外的には「オリオンは自主独立を維持した」と言えるようにする。創業家・経営陣・そしてファンド。これら3者による妥協の産物が、今回のスキーム 47年間も続く酒税減免措置 「昭和電工、「小が大を飲む」9640億円買収の成否 社運賭け、「御三家」日立化成を公開買い付け」 日立化成の全株式を約9640億円で買い取る 社運を賭けた9640億円の買収劇 時価総額は4521億円( 時価総額は8501億円 「小が大を飲み込む」M&A 昭和電工が飛躍のきっかけをつかんだのは 構造不況にあえいでいた電炉向け黒鉛電極事業で、世界2位のSGLカーボン(ドイツ)を約150億円で買収 読みがぴたり的中、黒鉛電極で業績急回復 巨額買収成功のカギを握るのは、「個性派事業」というものさし 「適正な市場規模(数百~数千億円市場)でトップシェアを獲得」できる事業を個性派事業として育成していく方針 日立化成が高いシェアを握るのは封止材や配線板などの半導体向け材料や、自動車向けリチウムイオン電池負極材など トップ企業になるチャンスを逃したくない 今回の買収が「高値づかみ」だったとの批判 2019年初めに1600円程度だった日立化成の株価 TOBの買い付け価格は4630円
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