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司法の歪み(その13)(伊藤詩織さんの判決から私たちが考えるべき「これだけのこと」 性犯罪について、日本は遅れている…、伊藤詩織さんの「勝訴」になぜ世界は騒ぐのか 日本人に感じる当事者意識の低さ、伊藤詩織さん ホテル側「重要証言」知らされず・・・捜査機関の「ブラックボックス」問題) [社会]

司法の歪みについては、昨年5月27日に取上げた。今日は、(その13)(伊藤詩織さんの判決から私たちが考えるべき「これだけのこと」 性犯罪について、日本は遅れている…、伊藤詩織さんの「勝訴」になぜ世界は騒ぐのか 日本人に感じる当事者意識の低さ、伊藤詩織さん ホテル側「重要証言」知らされず・・・捜査機関の「ブラックボックス」問題)である。伊藤詩織さんの事件については、昨年12月24日のこのブログでも取上げたが、今日は法律関係が中心である。

先ずは、筑波大学教授(犯罪心理学)の原田 隆之氏が12月21日付け現代ビジネスに掲載した「伊藤詩織さんの判決から私たちが考えるべき「これだけのこと」 性犯罪について、日本は遅れている…」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/69351
・『民事裁判での無罪判決(正しくは「勝訴」では?)  ジャーナリストの伊藤詩織さんが、元TBS記者の山口敬之氏から性的暴行を受けたと訴えた民事訴訟で勝訴した。 これまで刑事では不起訴(嫌疑不十分)となり、検察審査会でも不起訴相当との判断がなされていた。 刑事と民事での判断が大きく異なったわけだが、そこには性犯罪の立件の困難さ、強制性交罪についての刑法の矛盾点が大きく影響していると言えるだろう。 刑法では、強制性交罪、準強制性交罪について、きわめて厳格な基準を設けている。 強制性交罪であれば「暴行又は脅迫を用いて」性交をした場合に限定されるため、被害者が怪我を負ったり、 着衣が破れたりしているなど、明白な「暴行又は脅迫」の証拠がないと認められない。 また、準強制性交というのは、被害者が心神喪失又は抗拒不能な状態であることに乗じて性交をすることであり、被害者が精神障害であったり、極度な酩酊状態にあったりした場合がその一例である。 とはいえ、いずれもほとんどが密室で2人だけの場面で起こる犯罪であるから、暴行や脅迫があったかどうか、抗拒不能状態にあったかどうかの判断が非常に難しい。これが刑法での立件の大きな障害となっている。 もちろん、冤罪があってはならないことは当然であるが、犯罪の構成要件を厳しくするあまり、被害があっても法律そのものが被害の告発や成立を不可能にしているという批判は避けられない(「これで無罪なら性犯罪は…」強制性交事件「無罪判決」の衝撃を参照)。 一方、今回の民事裁判では、「不同意の性行為」を違法であると認めた。刑法が求める非現実的な要件ではなく、「不同意」があったことによって、重大な権利の侵害があるとされたのである。これは、来年にも予定されている刑法の見直しにも一石を投じることとなるだろう』、「刑法では・・・きわめて厳格な基準」、男性中心の社会で「冤罪」が生じないようガチガチにしたのでろう。
・海外からの関心  伊藤さんの事件に関しては、海外からの関心も非常に大きい。それは女性が性被害に対して異議申し立てを始めた「#MeToo」運動の世界的な潮流のなかで、伊藤さんの勇気ある行動を日本の「#MeToo」運動の象徴としてとらえてのことであろう。 イギリスのBBCは以前、伊藤さんの事件を取り上げ、「Japan’s Secret Shame」(日本の秘められた恥)と題するドキュメンタリーを制作し、そのなかで双方の主張を丹念に聞いている。そして、性被害に遭った女性が声を上げること、被害を警察に届けることさえ非常に困難であることを紹介している。 事実、内閣府の調査では、性被害に遭って被害を申告した人は、わずか18.5%しかいない。これはあらゆる犯罪被害のなかで一番低い数字である。 その背景には、「耐えること」「我慢すること」が美徳であるとする日本文化や、男性優位社会が背景にあると番組のなかで伊藤さんは指摘する。 具体的には、警察官の圧倒的多数は男性で、被害を受けた女性が男性警察官にいろいろと聞かれること、「なぜ抵抗をしなかった」「なぜそんなところに行った」などと、被害者の落ち度を責められることなどが挙げられる。実際に伊藤さんも等身大の人形を用いて、男性警察官の目前で事件を再現させられたのだという。 また番組のなかでは、衆議院議員の杉田水脈議員が伊藤さんを批判し、「男性の前でそれだけ飲酒して、記憶をなくすことには、女としての落ち度がある」と主張している。 しかも、彼女はご丁寧にツイッターでも同様の主張を繰り返しており、「伊藤詩織氏の事件が、(中略)被害者に全く落ち度がない強姦事件と同列に並べられることに女性として怒りを感じます」と書いている。 性犯罪事件において、このように被害者をことさら責める風潮は少なくない。そのような心理に対する研究がたくさんなされているほどである。 しかし、落ち度があったからといって性暴力を振るってもいいという議論にはならないのは明らかであるし、実際伊藤さんの事件に関して言えば、本人の意思で酩酊し意識がなくなったのかどうかもわからない』、「杉田水脈議員」による「伊藤さん批判」は、言論で傷つけるセカンド・レイプだ。
・『伊藤さんを攻撃する人々  今回の判決を受けて、世間では伊藤さんの勇気や気高さを賞賛する声があふれる一方で、このように彼女を貶めて非難する人々もいる。そうした卑劣な誹謗中傷に対しても、伊藤さんは法的措置を取ることを表明している。 それに関して、ネット上では誹謗中傷の代表格として杉田議員のほかに漫画家のはすみとしこさんの名前も頻繁に上がっている。 私は彼女のことを知らなかったが、検索してみると汚い言葉で伊藤さんを愚弄する漫画を描き、そのパネルを前にして杉田議員が笑っている画像が見つかった。またしても杉田水脈だ。 この人たちは、なぜここまでして伊藤さんを貶めたいのだろうか。何が彼女たちをそこまで突き動かすのだろうか。仮になんらかの意図や動機があったにしろ、このような誰もが眉を顰めるような行動を平気で取れることに言葉を失ってしまう。 そして、はすみさんは、開き直ってなおも中傷を続けているし、杉田議員に至っては、「だんまり」を決め込んでいる。杉田議員は、同性愛をめぐるヘイト発言の後もしばらく国会を欠席し、今に至るまで何の説明や釈明の会見を開いていない。 今回もあれほど饒舌に伊藤さんを批判していたにもかかわらず、一転民事で勝訴したら、まただんまりだ。これが国会議員の取る態度だろうか。いやしくも言論の府の議員であれば、自分の言動に責任を持つべきだ』、「卑劣な誹謗中傷に対しても、伊藤さんは法的措置を取ることを表明」、したことで杉田議員が「「だんまり」を決め込んでいる」。「いやしくも言論の府の議員であれば、自分の言動に責任を持つべきだ」、との原田氏の指摘は正論だ。
・『山口氏の会見  民事裁判の結果を受けて、外国人記者クラブで山口氏が会見を開いた。 もちろん、彼には自己弁護をする権利があるし、その声に耳を傾けることも重要である。 会見での本人の主張は、道義的には問題があったかもしれないし、後悔もしているが、自分の立場を利用して性行為を迫った事実はなく、合意の上でのことであり、法的に問題はないということであった。山口氏は控訴する方針だということなので、ここでは双方の主張や争いの内容にはこれ以上は立ち入らない。 しかし、別の会見のなかで、彼は実際に性被害に遭った女性からの証言だとして性被害に遭った人が、「記者会見の場で笑ったり上を見たり、テレビに出演してあのような表情をすることは絶対にない」と聞いたと述べ、伊藤さんの訴えの信用性に疑問を投げかけた。この点については、犯罪心理学的な観点から反論をしたい。 被害者はいつも下を向いて暗い顔をしていなければならないのだろうか。 百歩譲って、彼にそのような話をした被害者がいたとして、そしてその方がそうであったとしても、実際にごまんといる被害者たちは、大きな傷を負いながらも、卑劣な性暴力で自分の人生が根本から変えられてしまうことへの抵抗として、人前では気丈に振るまったり、できるだけ平常を取り戻そうと努力している。 あるいは、「何もなかったことと思いたい」という気持ちから、被害の事実に蓋をしてしまう人も少なくない。そのような力を振り絞っての笑顔があることに思いを馳せるべきだろう。 そして、そのような主張によって、さらに傷ついてしまうたくさんの被害者いることにも思いを馳せるべきである』、「山口氏」の主張に対する筆者の反論は、さすがよく練れており、その通りだ。
・『性犯罪とどのように向き合うべきか  性犯罪について、日本の対応は非常に遅れている。それはイギリスの番組で「恥」と言われても仕方ないほどに遅れている。 また、ワシントンポストも今回の裁判を報じるなかで、日本の刑法を「時代遅れ」だと断じている。 ここで強調したいことは、性暴力の問題を単なる男女の問題に矮小化してはならないということだ。性暴力の話になると、すぐに「男対女」の問題にすり替える人がいる。先ほどの杉田議員の発言も、その一例だ。 しかし、男性が被害者になることもあるし、冤罪を受ける危険もある。そして、自分の大切な人が被害を受けることもある。女性だけの問題ではもちろんない。 この点、伊藤さんも記者会見のなかで「性暴力は本人、家族、コミュニティを壊すものだ」と述べている。 もちろん、被害者本人に対する被害が甚大なことは言うまでもないが、同様に被害者を取り巻く人々、そしてわれわれの社会の安全への重大な侵害でもある。そして、われわれの基本的人権を大きく脅かすものでもある。 したがって、性暴力を行った当事者はもちろんのこと、被害者の「自己責任」を責め立てたり、被害者を中傷したりする人々は、われわれの人権を蹂躙するという意味で、社会の敵であり、反社会的なのだ。 われわれが闘うべきは、性加害者本人はもとより、このように人権を蔑ろにして、人を貶めたり平気で傷つけたりする人々だ。そして、その闘いを伊藤さん一人にそれを負わせていてはいけないのはもちろんのことだ。われわれ社会の一人ひとりが、性別や立場を超えて、自分自身の問題として闘っていくべきである』、極めて説得力溢れた主張で、全面的に同意する。

次に、『フランス・ジャポン・エコー』編集長、仏フィガロ東京特派員のレジス・アルノー氏が12月27日付け東洋経済オンラインに掲載した「伊藤詩織さんの「勝訴」になぜ世界は騒ぐのか 日本人に感じる当事者意識の低さ」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/321942
・『「日本における基本的な問題は、警察がまるでお決まりのように被害者の主張を疑うことから始めることだ。立証責任は被害者に課せられてしまう。フランスでは、まずその人を信じたうえで、調査を始める」と、日本で働いた経験のあるフランス人の男性警察官は説明する。 だが、伊藤氏はあきらめる代わりに、真っ向からこの事件を取り上げるよう高輪署の男性警察官たちを説得した。そしてそれを警察官たちは徹底的にやった。捜査を終えた警察官たちが達した結論は、山口氏は逮捕されるべきというものだった。 ところが、この努力は菅義偉官房長官に近しい中村格警視庁刑事部長(当時)によって阻止されることになる。中村氏は、山口氏に逮捕令状を出さないことを決定したのだ。これは前例のない決定だ。その唯一の理由として考えられるのは、山口氏を日本の司法からかくまうことである。 その後、検察は山口氏の準強姦容疑を嫌疑不十分として起訴を取り下げる。だが伊藤氏は追求をやめず、損害賠償を求める民事訴訟を起こしたのである。あれから4年――』、冒頭の「日本で働いた経験のあるフランス人の男性警察官」の指摘は正鵠を突いているようだ。
・『日本は性犯罪に対する認識が遅れている  今回の伊藤氏の勝訴は、日本のみならず、世界中で大きく取り上げられた。これは日本における性犯罪に対する意識を変える第一歩となるという見方もある。だが、ほかの先進国と比べると、日本ではまだ性犯罪は深刻な問題と見なされていない。当事者となりやすい女性自身でさえもこの問題に関してあまり考えが及んでいない、というか当事者意識が著しく低いと感じる。 実際、何年にもわたる日本人女性とのカジュアルな会話のなかで、筆者は女性たちがこの話題を大変軽視していると感じた。伊藤氏の名前を出しても、彼女の戦いに共感を覚えない女性が数多くいることに気づいた。若い女性は夜間に年上の男と一緒にいるべきではないとか、そうした態度だから伊藤氏は自らを危険にさらしているのだ、と女性たちは指摘する。 日本の女性誌は伊藤氏の名前を出すことすらしない。今回の判決が日本で大きく報道されたのは確かだが、それはおそらく伊藤氏が海外で有名であり、もはや無視できない存在となったからだろう。 事実、今回の見事な勝利の後でさえ、伊藤氏は自身の国においてはまるで追放された人であるかのようだ。彼女が手がける仕事のほとんどは海外向けで、他国における女性問題を取材することに自身の時間を費やしている。 筆者が知る限り、伊藤氏は女性の日本の政治家からも大きな支援は受けてこなかった。判決が出された夜、立憲民主党の参議院議員田島麻衣子は、筆者も参加した集会に参加した唯一の政治家だった。伊藤氏の戦いはすべての日本の女性に関わることなのに。 伊藤氏の例は、性被害を受けたり、セクシャルハラスメントにあっているすべての日本人に勇気を与えるものだ。伊藤氏の戦いで重要なのは、彼女が「恥の負担」を変えたことである。恥ずべきは、被害者でなく、加害者である、と』、「何年にもわたる日本人女性とのカジュアルな会話のなかで、筆者は女性たちがこの話題を大変軽視していると感じた」、「今回の見事な勝利の後でさえ、伊藤氏は自身の国においてはまるで追放された人であるかのようだ」、などは困った現象だ。「伊藤氏の戦いで重要なのは、彼女が「恥の負担」を変えたことである。恥ずべきは、被害者でなく、加害者である、と」、外国人ジャーナリストならではの鋭い指摘だ。
・『なぜ世界が注目するのか  伊藤氏の裁判が世界的に注目された理由は、起訴内容が揺るぎないものだからでもある。過去2年間にわたり、伊藤氏はその夜に何が起こったのかの供述において一貫性を示してきた。山口氏側の弁護団は、伊藤氏を嘘つきとか情緒不安定な女性として描写しようとしてきたが、伊藤氏の供述には重大な欠陥があると指摘することができなかった。 その夜に起こったことを証言して伊藤氏を支援しようという証人も何人か現れた。そのなかには、レイプが行われたとするホテルのドアマンもいる。このドアマンは、自分の仕事や評判にリスクが及ぶことを承知で、自分自身の目で見たことを供述しようと、伊藤氏の弁護団に連絡してきたのである。 伊藤氏の戦いに世界の関心が集まるより大きな理由は、彼女が自らの事件を日本における性犯罪をめぐる法的及び社会的状況を改善することを目的に用い、これを裁判所が認めたことである。伊藤氏は、「誰もが(性被害の)被害者、加害者、傍観者にならないよう考えなければならない」と訴え続けている。 さらに同氏は、性暴力の問題に集団的に取り組む方法も示している。伊藤氏が望んでいるのは、どちらか片方の性がもう片方の性を責めるのではなく、あらゆる人を巻き込んだ議論だ。実際、伊藤氏は山口氏に対して恨みは抱いてないと語っている。求めているのは復讐ではなく、正義だけだ、と。 こうした態度は、日本における性暴力への対応改善にあたって特に重要だと思われる。自白が非常に重視される日本の刑事司法制度では、不当な有罪判決のリスクは大変深刻なものだからだ。 日本で性暴力が過小評価されているのは確かだ。たとえばフランスでは、2017年に1万6400件のレイプ被害届が出されている。一方、警視庁の犯罪統計によると、日本で同じ年の強制性行等の認知件数は1109件。フランスでは日本の15倍近くのレイプ事件が起きているとまじめに信じる人がいるだろうか』、「フランスでは、2017年に1万6400件のレイプ被害届・・・日本で同じ年の強制性行等の認知件数は1109件」、日本での「レイプ被害届」が出し難い現状を余すところなく示している。
・『「自分ごと」として話し合えるかどうか  45人のボランティアによって運営されている24時間年中無休の性暴力救援ダイヤル「NaNa(ナナ)(Not alone, Not afraid=もう1人じゃないよ、恐れずに連絡して)」が1カ月に受ける相談数は約500件に上る。 こうした中、同ダイヤルを運営する性暴力救援センター・東京の平川和子理事は、「性暴力に関する法律は、10年という公訴時効をなくすべき。とくに未成年の場合、法廷に立つ勇気を持つまでに何十年もかかることがある」と主張する。 「また、日本の刑法は相手の同意のない不同意性行(正しくは「交」)についても処罰の対象とするべきだし、上下関係がある中でレイプが発生した場合、より厳罰を求められるようにしたほうがいい」(平川氏) 年の瀬に出た今回の判決は、間違いなく日本の性犯罪におけるランドマーク的な判決となるだろう。が、日本の実態を変えられるのは、この問題を日本人がより真剣にとらえ、「自分ごと」として話し合っていくかどうかにかかっている』、今後の刑法改正論議でも織り込んでほしいところだ。

第三に、12月30日付け弁護士ドットコム「伊藤詩織さん、ホテル側「重要証言」知らされず・・・捜査機関の「ブラックボックス」問題」を紹介しよう。
https://www.bengo4.com/c_1009/n_10610/
・『ジャーナリストの伊藤詩織さんが、元TBS記者のジャーナリスト・山口敬之さんから性暴力被害にあったという訴えに対し、12月18日の東京地裁判決は、山口さんが合意のないまま性行為に及んだと認定した。 山口さん側が控訴したが、伊藤さんは控訴審で新たに、ホテルの部屋に入る二人の姿を最後に見たドアマンの証言を提出する予定だという。 一体どうしてこんな重要な証拠が、今になって出てきたのだろうか。これには、捜査機関の「ブラックボックス」問題が関係している』、どういうことなのだろう。
・『不起訴事件の証拠開示「ブラックボックス」  伊藤さんは検察審査会で「不起訴相当」と議決され、2017年9月28日に民事訴訟を提起した。民事訴訟では、請求する側が請求の根拠となる主張と証拠を集めなければならない。 被害者は事件が不起訴となった場合、記録の開示請求ができる。伊藤さんも検察審査会に申し立てする前に開示請求を行い、著書『Black Box』では「不起訴にしては多くの証拠を出してもらえた」と記している。 代理人の西廣陽子弁護士によると、防犯カメラの解析結果、DNA対比結果、当日の衣類などの写真報告書、ホテル客室の宿泊記録や開錠記録などが開示され、民事訴訟で証拠として提出したという。 一方で、防犯カメラ映像や供述調書などは「あるはず」の記録だが、開示されなかった。防犯カメラ映像は、裁判所を介して提出された。 これらに加えて、請求で開示されず、伊藤さん側が存在することも知らなかった記録もある。それが冒頭で触れたドアマンの証言だ。 民事訴訟は2019年10月7日、全ての審理が終了し結審した。その報道を受け、新たに、事件の起こったホテルのドアマンから、伊藤さんの支援団体を通じて連絡があった。そのドアマンは、警察から調書も取られていたという。伊藤さんはいう。 「(調書を取り)ドアマンは捜査員から『これでいける』と言われていたが、それから何も連絡がなかった。裁判になったら、裁判所から呼ばれるんじゃないかと思っていたそうです。自分の調書が隠されてしまったのではないかと思い、支援団体のほうに連絡をくださったんですね。その方が、私たちを見た最後の人だったんです」 代理人の村田智子弁護士も18日の会見で「不起訴になったときに刑事記録の謄写をしたが、その中には(ドアマンの調書が)含まれてなかったので、私たちのほうは(検察審査会でドアマンの調書が使われたかどうか)分からないんです」と話す。 そもそも捜査権限のない一般人が証拠を集めようとしても限界がある。著書『Black Box』によれば、伊藤さんは検察審査会への申し立てにあたり、ホテルに対して陳述書を作成したいとお願いしたが、受け入れられなかった。 不起訴事件で被害者が証拠を開示しても、全てが開示されるわけではなかった。このあたりのさじ加減は「ブラックボックス」だ』、「「不起訴になったときに刑事記録の謄写をしたが、その中には(ドアマンの調書が)含まれてなかった」、検察側が不都合な「刑事記録」を隠蔽するのが許されているとすれば、大問題だ。
・『検察審査会の文書は黒塗り  伊藤さんが感じた「ブラックボックス」はこれだけではない。検察審査会では、そもそもどのような証拠をもとに審査がなされたのか。議決以外の情報がなかった。 伊藤さんが問い合わせたところ、出て来た文書は黒塗りだったという。伊藤さんは「なんのためにやったんだろうと思った」と吐露する。 「どんな証拠や証言が採用されたのか、何を見て判断するのか全くわからない。私も証人として呼ばれなかった。不起訴相当の議決以外の情報がない。不透明な部分があるからこそ、なかなか解決できないのではないか」 検察審査会法では、すでに議決があったときは、同じ事件について更に審査の申立をすることはできない規定があるため、一度「不起訴相当」と議決された伊藤さんは、この民事裁判の結果をもってしても、再び審査の申し立てをすることはできない。 今後は検察官が再び事件に着手しない限り、刑事事件化されることはない。 一度しかチャンスのない検察審査会でどのような審理がなされたのかわからず、民事訴訟を起こそうと不起訴事件記録の開示請求をしても、一部しか出てこない。刑事事件化を諦めた被害者にとって、あまりに酷な対応ばかりだ。被害者が納得できるよう、判断の根拠を説明すべきではないか。伊藤詩織さんの事件は、日本の捜査機関の「ブラックボックス」問題を浮き彫りにした』、「検察審査会の文書は黒塗り」、とは不当極まる。「審査会」の個人情報を保護する目的であれば、氏名だけを「黒塗り」にすれば済む話だ。「検察審査会」は「一度しかチャンスのない」のも納得できない。「日本の捜査機関の「ブラックボックス」問題」、刑法改正時には抜本的に見直す必要がありそうだ。
タグ:刑法改正 検察審査会の文書は黒塗り 不起訴になったときに刑事記録の謄写をしたが、その中には(ドアマンの調書が)含まれてなかった ドアマンは、警察から調書も取られていた 防犯カメラ映像や供述調書などは「あるはず」の記録だが、開示されなかった 不起訴事件の証拠開示「ブラックボックス」 「伊藤詩織さん、ホテル側「重要証言」知らされず・・・捜査機関の「ブラックボックス」問題」 弁護士ドットコム 「自分ごと」として話し合えるかどうか 日本での「レイプ被害届」が出し難い現状 日本で同じ年の強制性行等の認知件数は1109件 フランスでは、2017年に1万6400件のレイプ被害届 ホテルのドアマン なぜ世界が注目するのか 伊藤氏の戦いで重要なのは、彼女が「恥の負担」を変えたことである。恥ずべきは、被害者でなく、加害者である、と 今回の見事な勝利の後でさえ、伊藤氏は自身の国においてはまるで追放された人であるかのようだ 何年にもわたる日本人女性とのカジュアルな会話のなかで、筆者は女性たちがこの話題を大変軽視していると感じた 日本は性犯罪に対する認識が遅れている 日本で働いた経験のあるフランス人の男性警察官 日本における基本的な問題は、警察がまるでお決まりのように被害者の主張を疑うことから始めることだ。立証責任は被害者に課せられてしまう。フランスでは、まずその人を信じたうえで、調査を始める 「伊藤詩織さんの「勝訴」になぜ世界は騒ぐのか 日本人に感じる当事者意識の低さ」 東洋経済オンライン レジス・アルノー 被害者の「自己責任」を責め立てたり、被害者を中傷したりする人々は、われわれの人権を蹂躙するという意味で、社会の敵であり、反社会的なのだ 男性が被害者になることもあるし、冤罪を受ける危険もある。そして、自分の大切な人が被害を受けることもある。女性だけの問題ではもちろんない 日本の対応は非常に遅れている 性犯罪とどのように向き合うべきか そのような主張によって、さらに傷ついてしまうたくさんの被害者いることにも思いを馳せるべきである 彼は実際に性被害に遭った女性からの証言だとして性被害に遭った人が、「記者会見の場で笑ったり上を見たり、テレビに出演してあのような表情をすることは絶対にない」と聞いたと述べ、伊藤さんの訴えの信用性に疑問を投げかけた 山口氏の会見 いやしくも言論の府の議員であれば、自分の言動に責任を持つべきだ 杉田議員に至っては、「だんまり」を決め込んでいる 漫画家のはすみとしこ 卑劣な誹謗中傷に対しても、伊藤さんは法的措置を取ることを表明 伊藤さんを攻撃する人々 杉田水脈議員が伊藤さんを批判 「Japan’s Secret Shame」 イギリスのBBC 海外からの関心 刑法では、強制性交罪、準強制性交罪について、きわめて厳格な基準を設けている 民事裁判での無罪判決 「伊藤詩織さんの判決から私たちが考えるべき「これだけのこと」 性犯罪について、日本は遅れている…」 現代ビジネス 原田 隆之 (その13)(伊藤詩織さんの判決から私たちが考えるべき「これだけのこと」 性犯罪について、日本は遅れている…、伊藤詩織さんの「勝訴」になぜ世界は騒ぐのか 日本人に感じる当事者意識の低さ、伊藤詩織さん ホテル側「重要証言」知らされず・・・捜査機関の「ブラックボックス」問題) 司法の歪み
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