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”右傾化”(その11)(古谷 経衡氏3題:1冊3000万円も ネット右翼のビジネスモデル――なぜ私は「愛国商売」と決別したか、「終身会員なら100万円!?」ネトウヨ向け“サロンビジネス”はどのくらい儲かるのか、「左翼に転向した」と叩かれる私が見た“愛国ビジネス”――「保守ムラ」底辺の人びとの金銭事情) [国内政治]

”右傾化”については、昨年10月16日に取上げた。今日は、(その11)(古谷 経衡氏3題:1冊3000万円も ネット右翼のビジネスモデル――なぜ私は「愛国商売」と決別したか、「終身会員なら100万円!?」ネトウヨ向け“サロンビジネス”はどのくらい儲かるのか、「左翼に転向した」と叩かれる私が見た“愛国ビジネス”――「保守ムラ」底辺の人びとの金銭事情)である。

先ずは、文筆家の古谷 経衡氏が11月14日付け文春オンラインに掲載した「1冊3000万円も ネット右翼のビジネスモデル――なぜ私は「愛国商売」と決別したか「保守系言論人」の財布の中身 #1」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/15454
・『現在、テレビ・ラジオなど多方面で活躍する文筆家・古谷経衡氏(37)が、およそ10年前、ブレイクする足場を築いたのがインターネットで新たな展開を見せていた保守論壇だった。いわゆる黎明期の「ネット右翼」である。その後、ヘイトスピーチの温床になった古巣に対し、深い反省をもとに小説として上梓したのが『愛国商売』(小学館文庫)である。現在は「2度とあの業界には戻らないし戻りたくない」と指弾する古谷氏が、小説の舞台となった「愛国ビジネス」の内実を明かす』、元祖「ネット右翼」が現在の「ネット右翼」を批判するこの3部作は、興味深そうだ。
・『「ネット右翼」最も多い職業は中小零細企業の自営業者  私の独自推計で日本全国に200万~250万人存在するネット右翼の中で、最も多い職業は中小零細企業の自営業者で、次に会社役員・管理職などが続く。社会的には中産階級が主流で、決して貧者の巣窟などではない。丸山眞男のいう「日本型ファシズム」を支えた「中間階級第一類(零細企業経営者、工場管理者や主任、独立自営農民、下級官吏など)」とうり二つなのが彼らの実態だ。 もはや「インターネットで右派的な言説やコメントをする人」と定義することが難しくなるほど肥大化したネット右翼は、現在では公道でのヘイトスピーチ、自治体や運営体への脅迫(逮捕者も)、はたまた選挙制度を利用して立候補も行なうなど、到底「インターネットの中で…」という風にくくることが難しくなった。 そこで私は(これまで再三再四様々な媒体で述べているが)ネット右翼の定義を、「保守系言論人(自称)」の言説に無批判にぶら下がる(寄生する)ファン、と再定義することによって解決している。星の数ほど存在する所謂「保守系言論人」は、右傾雑誌・SNS・ネット動画番組の「三位一体」の中で寡占的地位を占めることで、その下に膨大なファン層を獲得することにより、生活の糧にしている。まさにこの無批判に寄生するファン層こそがネット右翼の本体なのである。 では、そのネット右翼に「寄生される」側の保守系言論人が、いかにして彼らから生活の糧秣を搾り取っているのか。その実態はほとんど知られていない。 これは、所謂「保守論壇」に長年身を置いた私にしか書けない分野であろう、という事で今般、そのまさに「愛国商売」ともいえる赤裸々な「保守の世界」の生活構造をエンタメ的に面白おかしく長編小説に仕立て上げたのが拙著『愛国商売』であるが、こちらはあくまで登場人物・法人の全てがフィクションであるので、参考程度に楽しんでほしい。本稿では、保守系言論人の財布の中身の省察、として筆を進めることにしたい』、「日本全国に200万~250万人存在するネット右翼の中で、最も多い職業は中小零細企業の自営業者で、次に会社役員・管理職などが続く。社会的には中産階級が主流・・・丸山眞男のいう「日本型ファシズム」を支えた「中間階級第一類(零細企業経営者、工場管理者や主任、独立自営農民、下級官吏など)」とうり二つなのが彼らの実態」、「ネット右翼の定義を、「保守系言論人(自称)」の言説に無批判にぶら下がる(寄生する)ファン、と再定義」、なるほど。「そのネット右翼に「寄生される」側の保守系言論人が、いかにして彼らから生活の糧秣を搾り取っているのか。その実態はほとんど知られていない」、これは面白そうだ。
・『平均年収440万円よりももっと儲かる  結論を言えば、「愛国商売」は社会通念上、一般的な給与所得者(※平均年収440万円、2018年国税庁調査)よりももうかるし、うまくやればとんでもない額のゼニが転がり込んで来る世界だ。私は5、6年位前から「カネの為に左翼(ネット右翼用語ではパヨク)に転向した」とさんざん言われ続けてきて、その根拠のない謗りは現在進行形で散見される(とはいえ一時期よりはずいぶんと減ったようだが)――馬鹿を言ってはいけない。 純粋にカネのためならば私は保守業界に今でも身を置いていたであろう。彼らと永別したのは、彼らの表現者としての矜持の無さと、物書きや発信者としての知性レベルの貧弱さ、そして界隈全般に漂うむき出しの差別感情に対する、身体的な嫌悪からである。 数年前、ある右派ネット番組局と永別したときの話。局の某責任者に「古谷君は最近ウチを軽視しているようだ」からはじまって小言が多くなり、最終的には事実上のクビを宣告される段になって「古谷君、これから生活はどうするんだい?」などと嫌味を言われたことがあった。でも大丈夫。その後、なんとか生きているし猫3匹を養って庭いじりをやる余裕が出るくらいの仕事量はある。 あの時、平身低頭して右派ネット局に齧り付き、面従腹背でニコニコしながら「保守ムラ」の老人たちに追従する道を取っていたならば、私の財布の中身と貯金残高は潤っていただろうが、ニンゲン・古谷経衡はその時点で死んでいただろう』、「「愛国商売」は社会通念上、一般的な給与所得者・・・よりももうかるし、うまくやればとんでもない額のゼニが転がり込んで来る世界だ」、そんなボロイ商売の秘訣を知りたいものだ。「彼らと永別したのは、彼らの表現者としての矜持の無さと、物書きや発信者としての知性レベルの貧弱さ、そして界隈全般に漂うむき出しの差別感情に対する、身体的な嫌悪からである」、いさぎよい態度だ。
・『「愛国ビジネス」4パターン  さて、話を戻そう。ネット右翼に寄生される「保守系言論人」はどうやって生活をしているのか? 大きく分けて4パターンに分かれる。 (1)出版専業の保守系言論人として(地上波露出なし) (2)信者を囲い込む(各種勉強会、私塾等を主宰) (3)中小零細企業経営者などのパトロンを付ける (4)活動家方面に軸足を置いて任意団体を設立し、寄付や会費を募る である。多くの場合、(1)、(2)、(3)は単独では成立せず、これらの混合型が圧倒的である。(4)は、(1)~(3)にすらなれない、「保守業界(ムラ)」の中でも底辺に位置する言論人がとる常套パターンである。 では、(1)からみていこう。出版業界は1990年代中盤にその最盛期を迎えたが、いわゆる活字離れ・書籍離れと、書店数の漸減により往時の面影は無く、現在その市場規模はピーク時の半分以下(約1兆3000億円)にまで激減した。 こういった出版業界の大不況が「悪貨が良貨を駆逐する」のごとく、良質な本を滅失させ、トンデモ本やヘイト本を粗製乱造させる温床となっていった。嫌韓本もこの中に含まれるが、実際にこう言った類の本は、ゼロ年代後半~2010年代前半に雨後の筍のごとく出ては消え、おおむね2015年以降はヘイト本、嫌韓本ですらもなかなか売れないようになった。 とはいえ、韓国・中国・朝日新聞をぶっ叩くというスタイルの「ホシュの定番本」は、校閲もろくに通さないケースが散見され、筆者の主観と偏見によってスピード出版できるという観点から、現在でも重宝される傾向にあるのは事実である。 嫌韓本、ヘイト本の黄金期、「保守業界ではまだ前座」というレベルの著者でも印刷部数で1万部前後は余裕だった。さすがに現在では6000部くらいにまで落ちているだろうが、新人作家など3000部通すのも至難、というこの出版大不況の時代に「嫌韓」「ヘイト」を旗印に6000部で通すのはやはり優遇である。この場合の収入計算式は以下の通り。四六判(ソフトカバーで最も定番の部類)で定価1300円の場合、通常印税率は10%なので、 1,300円×0.1×10,000部=1,300,000円 1冊出せば130万円の単純収入になる(税等は除く)。また、ヘイト本・嫌韓本の原価は極めて安くつくのも特徴だ。本を書いている著者自身が、取材などに一切行かない場合が多く、ネットで拾ったコピペや妄想で書いているから、原稿執筆にあたって経費がかからないのである』、「原稿執筆にあたって経費がかからない」、というのは確かだろう。
・『訪韓経験ゼロで韓国経済を語って「3000万」  私など、韓国に一度も行ったことがないのに「韓国経済は崩壊する」という類の本を書いて20万部当てた自称経済評論家を知っている。韓国経済のことを一冊の本にするのに、一度も韓国に行かなくて良いのだから、取材費が全くかからない丸儲けである。実に羨ましい。この場合の推定収入計算式は以下の通り。 1400円×0.1×200,000部=28,000,000(本体定価を1400円、印税を10%として) テキトーにネットで拾い読みした嫌韓情報を現地に行かずに書いただけで、一発当てれば約3,000万円の世界である。これが印税を8%に下げて推定したとしても約2,240万円。千葉や埼玉なら新築が買える。そう、嫌韓本で一山当たれば家が買えた時代があったのである。これをボロ儲けといわずして何というのだろうか? むろん、印刷部数20万部、という数字は、さらにますます出版不況の度を増している現在にあってはなかなか出ない数字ではある。しかし、3万部以上8万部未満、というクリティカルヒットならば、まだまだこのヘイト本や嫌韓本の世界では「ありうる」部数であり、要するにみんなこの一発を狙って、必死なのである。 彼らは、一発当ててしまえば、次作、次次作は当然のこと、「売れる」企画に餓えた出版社から10冊くらいオファーが殺到するので、基本的には何年も食いっぱぐれがない。「愛国商売」とは本当に楽な稼業ときたものだ。実に羨ましい。(#2、#3に続く)』、「訪韓経験ゼロで韓国経済を語って「3000万」」とは、「「愛国商売」とは本当に楽な稼業」なようだ。

次に、この続きを、11月16日付け文春オンライン「「終身会員なら100万円!?」ネトウヨ向け“サロンビジネス”はどのくらい儲かるのか「保守系言論人」の財布の中身 #2」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/15529
・『・・・第2回は、保守系言論人が主催する各種勉強会、いわゆる「私塾」の旨みを解説する(全3回の2回目/#1、#3を読む)』、「各種勉強会」ごときで儲かるものなのだろうか。
・『「信徒囲い込みビジネス」こそ生活の中核  ネット右翼に寄生される「保守系言論人」はどうやって生活をしているのか? 前回4パターンを紹介した。 (1)出版専業の保守系言論人として(地上波露出なし) (2)信者を囲い込む(各種勉強会、私塾等を主宰) (3)中小零細企業経営者などのパトロンを付ける (4)活動家方面に軸足を置いて任意団体を設立し、寄付や会費を募る そして地上波テレビには滅多に出ない(出られない――ただしネット番組を除く)が、出版の世界の中では不況を救う救世主として大きな権勢を誇る(1)「出版専業の保守系言論人」の生活や収入について書いた。 前回、嫌韓本を20万部当てると推計で、その印税収入は約3,000万円としたが、正確に言えばここから翌年度以降、各種税金が差っ引かれるので、いかに原価がタダ同然だったとしても、3,000万円が丸々著者の手元に残るわけではない。 よしんば、ほぼ全額が残ったとしても、3,000万円の財貨で5年、10年は安泰だとしても、50年は持つまい。そこでこういった保守系言論人は、出版という一発屋的な「水モノ」に頼らない、「恒常的な集金装置」を創り出すことに躍起となる。それが、各種勉強会、私塾と名を打った(2)エンクロージャー(信徒囲い込み)ビジネスである。実はこの商法こそ、保守系言論人にとって最も重要な生活の中核なのである。 「貴方だけの」「特別な」「真実の」で勧誘(保守系言論人が主催する各種勉強会、私塾というのは、ちょっと前に流行った(――或いは今でも?)オンラインサロンの走りであると考えれば理解がしやすいであろう。勉強会に来たり、私塾の会員になれば「貴方だけに特別の情報を教えますよ。マスコミや学校では教えない、真実の歴史や社会や経済のことが分かりますよ」という点においてある種宗教的でもある。 特定の保守系言論人に無批判に追従するネット右翼は、磁石に張り付く砂鉄のように、こういった「貴方だけの」「特別な」「真実の」を謳う会や私塾の勧誘に弱い。元来ネット右翼は虫食い状の歴史知識しか持っておらず、体系的なオピニオンを自ら生成することができない。よってどこかで誰かが言っていた言説をコピペする性質があるから、まさしくこの勉強会・私塾は寄生者にとって格好の「カンダタの糸」(注)である』、「保守系言論人は、出版という一発屋的な「水モノ」に頼らない、「恒常的な集金装置」を創り出すことに躍起となる。それが、各種勉強会、私塾と名を打った(2)エンクロージャービジネスである。実はこの商法こそ、保守系言論人にとって最も重要な生活の中核」、上手いこと考えたものだ。
(注)カンダタの糸:芥川龍之介の小説「蜘蛛の糸」で、地獄に落ちたカンダタという名の泥棒の男が、蜘蛛を助けたことがあったことから、釈迦がこの男に手を差し伸べるという話(Wikipedia)
・『「私塾」はどのくらいの収入になるのか?  実際に保守系言論人のほとんどが、何らかの形でこの勉強会・私塾を運営しているのが現状である。その規模は数十名から数百名以上と幅広く、月会費も数千円から数万円など、中心価格帯を見出すのはなかなか至難の業であるが、多くの保守系言論人は、出版と併用して、自らの勉強会・私塾に会員を誘導するパターンが多い。 現在では、とりわけネット動画(ネット番組)への出演を一種の出演広告として、自らの勉強会・私塾に間接誘導するのが定石となっている。こういった込み入った利権事情は、拙著『愛国商売』のなかにエンタメとして縷々出てくるのだが、こちらは小説であるから本稿では真面目な省察として考える。私塾の会費が3,000円/月で会員が50名という、比較的小規模・低料金の勉強会の月額収入を想定すると、 3,000円×50人=150,000円 である。月に15万円。額としては小ぶりに思うかもしれないが、年に換算すると180万円。けっして馬鹿にできる金額ではない。そもそも、40年間国民年金保険料を毎月律義に遅滞なく納めて、やっとこさ老後貰える国民年金の満額が月額約65,000円なのだから、15万円/月というのは安定した収入だと言えるだろう』、「比較的小規模・低料金の勉強会の月額収入」が「15万円/月」、収入の下支えにはなるだろう。
・『私塾には明確な目標がない  またこれらの勉強会や私塾の運営費には、原価というものがほとんどかかっていない。オンラインサロンと同様、これらの会はネット上で会員入会から会費決済までを完結している場合が多く、かかるのはシステム運営費くらいのものである。 ただし、主催者である保守系言論人との交流が必須となってくるから、都内交通至便地域などに貸会議室を都度借りる室料というのがしいて言えば原価となろう。 また、学習塾や予備校と違って、保守系言論人の主催する私塾には明確な目標や目的が定まっていない。単なるネット右翼を相手としたファンサービスにすぎないからである。学習塾や予備校は、偏差値の向上、試験の結果、そして志望校の合否という、年限の定まった最終目標があるのでその消費者による査定はシビアにならざるを得ない』、「単なるネット右翼を相手としたファンサービスにすぎない」、それでも会費を払って集まる「ネット右翼」とは不思議なグループのようだ。
・『「終身会員100万円より」  私がリサーチしたところ、某保守系言論人の主催する勉強会は、一般会員年間12,000円(月額1,000円)、賛助会員年間5万円(月額約4,000円)というのがあって、まあ標準的な部類と思ったが、最後に「終身会員100万円より」と書いてあって思わずウーロン茶を吹き出してしまった。凄まじい商魂である。どこかの篤志家が1名入会するだけでただ100万円が降ってくるのだ。 この終身会員の「終身」というのは、篤志家の寿命を言うのか。はたまた保守系言論人の寿命を指すのか。篤志家よりも早く主催者が死んだらどうなるのだろうか? 大した説明もなく「100万円より」と書くところが私にはすさまじいエセ商人の魂魄を感じる処である。 そして当該勉強会はどうかわからないが、この手の勉強会や私塾では会費や追加費用をその場で現金にてやり取りするケースも多々見受けられる。その収入は税務申告されているのかどうか、私は知らない』、「大した説明もなく「100万円より」と書くところが私にはすさまじいエセ商人の魂魄を感じる処である」、同感だ。
・『「中小企業経営者」というパトロン  しかしまあ、適当に話して、アイドルでも何でもない右傾おじさんが、毎月ファンから15万とか20万とかが定期で入ってくるのだから、こんなに楽な商売はないとは思わないだろうか。 それは私塾の参加者の主体であるネット右翼が、何を隠そう中産階級だからに他ならない。こういう私塾に参加する中年のおじさんには中小零細企業経営者が多い。さらにその中から、熱狂的に保守系言論人を思慕し、既定の会費を超えて、自分から積極的に寄進し、金銭的便宜を図ることを名乗り出てくるものがいる。先に述べた「(3)中小零細企業経営者などのパトロンを付ける」だ。 中小零細企業経営者の中でも、社員が10名以上100名未満、という絶妙な規模であって、しかも自身は創業者ではなく、二代目、三代目、という経営者には、この手のエンクロージャー商法に嵌って、いわれもしないのにパトロン、スポンサーを買って出る人が少なくない。 私の知っているこの手の経営者には、わざわざ自社のウェブサイト1ページ目に保守系言論人の講演会情報などを堂々と載せていたりする例がある。その保守系言論人の講演会情報が、自社の製品と少しでも関連があるモノや話題ならばまだしもわかるが、自社と全く関係がないどころか、ガソリンとトマトジュースぐらい異質なものを堂々と併記して憚らないこの経営者の経営感覚の無さというか、異常な塩梅を疑う。 良く調べてみるとやはり、くだんの経営者は三代目で創業者ではなかった。創業者はきっと墓の下で泣いているだろう。 誰か1人でもパトロンを見つけさえすれば、ひょっとしたら一生食っていけるかもしれない。出版は二の次で、保守系言論人がせっせと私塾の経営に奔走するのはこうしたうま味が無尽蔵に広がっているからだ。「愛国商売」とは本当に楽な稼業ときたものだ。実に羨ましい。(#1を読む/#3に続く)』、「誰か1人でもパトロンを見つけさえすれば、ひょっとしたら一生食っていけるかもしれない。出版は二の次で、保守系言論人がせっせと私塾の経営に奔走するのはこうしたうま味が無尽蔵に広がっているからだ」、信じられないような世界だ。

第三に、この続き、11月21日付け文春オンライン「「左翼に転向した」と叩かれる私が見た“愛国ビジネス”――「保守ムラ」底辺の人びとの金銭事情「保守系言論人」の財布の中身 #3」を紹介しよう。
・『・・・最終回は、「保守ムラ」最底辺の人びとがいかに生業を営んでいるかを解説する(全3回の3回目/#1、#2より続く)』、興味深そうだ。
・『狙い目は「地方の市議会議員」  本稿では、保守系言論人の「愛国商売」下記4パターンのうち、 (1)出版専業の保守系言論人として(地上波露出なし) (2)信者を囲い込む(各種勉強会、私塾等を主宰) (3)中小零細企業経営者などのパトロンを付ける (4)活動家方面に軸足を置いて任意団体を設立し、寄付や会費を募る  「(4)活動家方面に軸足を置いて任意団体を設立し、寄付や会費を募る」という形態を見ていくことにしよう。#1で、私はこの手法を採るのは「保守業界(ムラ)の中でも底辺に位置する言論人」であると書いたが、実際にそうである。 保守系言論人の「夢」である出版媒体で一発も当たらず、「小ヒット(1万~3万部未満での重版等)」さえ出せず(そもそも筆が遅い&文章構成力がない)……それが故にと言うべきか、#2で書いた勉強会・私塾を運営するという方法でのエンクロージャー(信徒囲い込み)商法も上手くいかない、という鳴かず飛ばずの保守系言論人は、大体においてこの活動家方面に行く。 拙著『愛国商売』の中でもある男が、右派のネットワークを通じて地方の市議会議員に立候補する策謀をめぐらす場面が出てくる。現実にも、保守界隈(ムラ)の人的リソースを最大限に活用して、人口5万~50万人くらいの、中堅都市の市議会議員に立候補して生活を成り立たせようという者は大勢いる。 むろん、市議会議員への立候補=被選挙権の行使は国民に認められた権利だ。なぜ右派のネットワークを通じて地方の市議会議員に立候補する策謀をめぐらすのか。それは選挙告示時にポスターを張ったり、チラシを配ったりする、なんやかやのボランティアスタッフが、いくら小さな市であったとしても、最低限度必要だからである。 そのネットワークは、政治的イデオロギーで結びついている保守界隈から都合をつけるのが、一番手っ取り早い。そういう目論見で、出版人にも教祖にもなれない保守系言論人は、尖閣に公務員常駐とか、憲法改正して国防軍にとか、韓国に対して物言う姿勢をとか、およそ地方議会議員としては疑問符が付くようなことをまくしたてれば、ボランティアの5名や10名は集まってくるのだから楽ちんである。 そうしてこういった者が、あっけらかんと最下位付近で当選してしまうのも現実で、これはもう、右派がどうのという以前に、日本の地方自治のあり方が問われていると思う』、「尖閣に公務員常駐とか、憲法改正して国防軍にとか、韓国に対して物言う姿勢をとか、およそ地方議会議員としては疑問符が付くようなことをまくしたてれば、ボランティアの5名や10名は集まってくるのだから楽ちんである」、「地方議会議員」にこのような輩が紛れ込んでいるとは、思いのほか広がりがあるようだ。
・『右派の政治目標「ウ台在」とは  さらに、議員立候補の方面に行かない「保守業界の底辺」にいる保守系言論人は、右傾雑誌・SNS・ネット動画という「三位一体」の中で細々と原稿を書いて口を糊する場合が多いが、最も多いのが強烈なオピニオンを打ち出して政治活動のための寄付を募るというやり方である。 私が「ウ台在(うたいざい)」と呼んでいる右派特有の政治活動目標がある。ウはウイグル問題の「ウ」、台は台湾独立の「台」、在は在日コリアンの「在」で、この三つのどれか一つを政治目標として強烈にアピールすることにより、原稿やネット番組での出演収入と共に、支援者からの寄付で自らの生活を支えていこうという不埒な者が使う手である。 そもそも、これらは法人格を持たない任意団体が圧倒的で、自分のブログ兼ウェブサイトに堂々と寄付口座を明示している場合が多く、収入の実態がどうなっているかの監視体制はない。 むろん、ウイグル問題、台湾独立(――というか、反中国共産党)問題でまじめにやっている活動家もいるのだろうし、私は彼らの全てを否定するわけではないが、寄付の使途を公開している例を私は寡聞にして聞かないので、生活と混同してしまっていると疑われても仕方ないのではないか。 また「ウ台在」の最後の「在」については、在日コリアンへのヘイトスピーチが主体であり、政治活動ではなく単なる差別扇動であるが、寄付から生まれたのが在特会(在日特権を許さない市民の会)であることは知っておいたほうが良いだろう』、「寄付の使途を公開」しなくても、寄付が集まるのも不思議だ。
・『ほぼ寄付だけで運営されていたネット放送局  最後に、私は事実上支援者からの寄付だけで運営されていたネット放送局について小項を割かなければならないと思う。この局は、#1で「古谷君、これから生活はどうするんだい?」などと嫌味を言われた局と同一である。 この局の凄いところは、番組制作費の大半を寄付で賄っているばかりか、別口で政治団体を作り、そこでも寄付を募っていたことである。やれ「NHKを訴える」、やれ「尖閣諸島に行く船を買う」、やれ「朝日新聞を訴える」……。何か活動があると、必ず支援者から寄付を募り、しかもその額は数百万円ではなく、もっと上の、数千万円から億に到達する金額である。 ここでも、彼らを支えるのは中高年の中産階級の男性で、自営業者が極端に多い。私は政治活動をするのにカンパを集めるのが「まるで商売の様だ」と揶揄するつもりはない。だが、時としてそういった風に思える、思われてしまうことを誰が否定できようか、と問うているだけである。 当該局にしたところで、寄付先は番組と政治団体で厳格に分けられていると主張するが、寄付で賄われている政治団体の活動の様子を番組で紹介し、番組制作スタッフに給与が支払われているのだから自家消費といえなくもない。ようするに、民間の政治活動における寄付は、どこからが純然たる政治活動で、どこからが「商売的である」のかを線引きすることが極めて難しいという事だ』、「支援者から寄付を募り、しかもその額は数百万円ではなく、もっと上の、数千万円から億に到達する金額である」、よくぞカキ集められるものだ。「政治団体」であれば、本来は政治資金規正法に従って収支を届け出る必要があるが、もともとがザル法なので、実効性が乏しいのだろう。
・『なぜ私は「愛国商売」と決別したか  以上、3回にわたって、保守系言論人がどうやって生活しているのか、を省察してまとめて筆を進めてみた。実際にはもっと細かい類型があり、当然個々別々の事情が勘案されるので、私の書いたことが全ての事例に当てはまる、というものではない。 地上波に出ることはもとより、右傾雑誌に寄稿する事すらも筆不精で面倒だが、ネット番組では好き放題なトンデモ政権擁護発言をする、という正真正銘の「自称」保守系言論人の収入源を調べていくと、一生涯働く必要がない評価額の都内一等地の土地の所有権者であり、その上に建てたビルのテナント収入で何不自由なく暮らしていたり、或いは大手上場企業を退職して悠々年金暮らしをして後顧の憂いが無いから好き勝手に差別活動をやっています、という人物もいる。 100人の商人(あきんど)が居れば、100通りの商売がある。「愛国商売」にも、愛国の名をかさに着て、保守や祖国を叫ぶ人々の数だけ、独特の商法があると思ってよろしいが、大体が本稿で書いた通り、4つのパターンのどれかに当てはまるのが常である。しかしこの「愛国商売」を概観すると、はっきり言って他の商売よりも楽だと思う。商圏調査も要らない。客単価の向上に努める必要もない。なにより原価がかからない。 #1の記事冒頭で述べた通り、私は5、6年前から、かつて「同じ釜の飯を食」った人々から「カネの為に左翼(ネット右翼用語ではパヨク)に転向した」といわれる。私から言わせると、差別と品性下劣の宴会芸に堕落して転向したのはそっちの方で、私は小学生のころからタカ派で何も変わっていないと言いたい。 なにより、カネを優先するなら今でも我慢して保守論壇(ムラ)の辺境に居を構えていたであろう。 私は他人を騙し、或いは隣国人を傷つけてまで、ガラクタを高く売りつける商人にだけはなりたくないだけだ。そんなものは商人の風上にも置けぬ。(#1、#2を読む)』、さすが気骨のある「タカ派」の面目躍如だ。この連載を通じて「ネット右翼」の実態が掴めた気がする。
タグ:私は他人を騙し、或いは隣国人を傷つけてまで、ガラクタを高く売りつける商人にだけはなりたくないだけだ。そんなものは商人の風上にも置けぬ 差別と品性下劣の宴会芸に堕落して転向したのはそっちの方で、私は小学生のころからタカ派で何も変わっていないと言いたい なぜ私は「愛国商売」と決別したか 政治資金規正法 どこからが純然たる政治活動で、どこからが「商売的である」のかを線引きすることが極めて難しいという事だ 何か活動があると、必ず支援者から寄付を募り、しかもその額は数百万円ではなく、もっと上の、数千万円から億に到達する金額である ほぼ寄付だけで運営されていたネット放送局 右派の政治目標「ウ台在」とは 保守系言論人は、尖閣に公務員常駐とか、憲法改正して国防軍にとか、韓国に対して物言う姿勢をとか、およそ地方議会議員としては疑問符が付くようなことをまくしたてれば、ボランティアの5名や10名は集まってくるのだから楽ちんである 狙い目は「地方の市議会議員」 「「左翼に転向した」と叩かれる私が見た“愛国ビジネス”――「保守ムラ」底辺の人びとの金銭事情「保守系言論人」の財布の中身 #3」 誰か1人でもパトロンを見つけさえすれば、ひょっとしたら一生食っていけるかもしれない。出版は二の次で、保守系言論人がせっせと私塾の経営に奔走するのはこうしたうま味が無尽蔵に広がっているからだ 「中小企業経営者」というパトロン 「終身会員100万円より」 私塾には明確な目標がない 「私塾」はどのくらいの収入になるのか? 各種勉強会、私塾と名を打った(2)エンクロージャー(信徒囲い込み)ビジネスである。実はこの商法こそ、保守系言論人にとって最も重要な生活の中核 「信徒囲い込みビジネス」こそ生活の中核 「「終身会員なら100万円!?」ネトウヨ向け“サロンビジネス”はどのくらい儲かるのか「保守系言論人」の財布の中身 #2」 訪韓経験ゼロで韓国経済を語って「3000万」 著者自身が、取材などに一切行かない場合が多く、ネットで拾ったコピペや妄想で書いているから、原稿執筆にあたって経費がかからない 良質な本を滅失させ、トンデモ本やヘイト本を粗製乱造させる温床となっていった 出版業界の大不況 (4)活動家方面に軸足を置いて任意団体を設立し、寄付や会費を募る (3)中小零細企業経営者などのパトロンを付ける (2)信者を囲い込む(各種勉強会、私塾等を主宰) (1)出版専業の保守系言論人として(地上波露出なし) 「愛国ビジネス」4パターン 平均年収440万円よりももっと儲かる ネット右翼に「寄生される」側の保守系言論人が、いかにして彼らから生活の糧秣を搾り取っているのか 「ネット右翼」最も多い職業は中小零細企業の自営業者 『愛国商売』(小学館文庫) 「1冊3000万円も ネット右翼のビジネスモデル――なぜ私は「愛国商売」と決別したか「保守系言論人」の財布の中身 #1」 文春オンライン 古谷 経衡 (その11)(古谷 経衡氏3題:1冊3000万円も ネット右翼のビジネスモデル――なぜ私は「愛国商売」と決別したか、「終身会員なら100万円!?」ネトウヨ向け“サロンビジネス”はどのくらい儲かるのか、「左翼に転向した」と叩かれる私が見た“愛国ビジネス”――「保守ムラ」底辺の人びとの金銭事情) ”右傾化”
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