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ベーシックインカム(その1)(「働かなくてもカネがもらえる」から働くんです 「労働の奴隷」からの脱却を ベーシックインカムを考える、「ベーシックインカム」の実験 フィンランド政府が無条件で月約7万円を配布 結果はどうなった?、日本で「ベーシックインカム」導入は果たして可能なのか 賛否が真っ二つに分かれるが…) [経済政策]

今日は、ベーシックインカム(その1)(「働かなくてもカネがもらえる」から働くんです 「労働の奴隷」からの脱却を ベーシックインカムを考える、「ベーシックインカム」の実験 フィンランド政府が無条件で月約7万円を配布 結果はどうなった?、日本で「ベーシックインカム」導入は果たして可能なのか 賛否が真っ二つに分かれるが…)を取上げよう。

先ずは、健康社会学者(PhD9の河合 薫氏が2018年2月13日付け日経ビジネスオンラインに掲載した「「働かなくてもカネがもらえる」から働くんです 「労働の奴隷」からの脱却を、ベーシックインカムを考える」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/opinion/15/200475/020900145/?P=1
・『「豊かになる」とはどういうことなのか。 ここ数日報じられた様々なニュースを見て、分からなくなった。一体どういうときに「豊か」という言葉を使えばいいのだろう。 1月31日の夜、札幌市の生活困窮者らの自立支援住宅「そしあるハイム」で起きた火災で、11人が死亡した。大半が生活保護の受給者で、身寄りのない高齢者らが暮らす「最後のとりで」だった。施設の運営会社によれば、「金銭的な余裕がなく、スプリンクラーを付けられなかった」とのこと。 亡くなった女性(82)は年金が少なく、生活保護を申請していたが、自分の趣味をいかして小物入れや置物のようなものを作り、生活の足しにしていたそうだ。 痛ましいというか、切ないというか、なんだか悲しすぎて。気の利いた言葉が思いつかない。 一方、2月7日には、「実質賃金指数が前年を0.2%下回り、2年ぶりに低下」と報じられた。 名目賃金に当たる現金給与総額(パートを含む)は4年連続で増加したにもかかわらず、だ(月平均額は31万6907円 前年比0.4%)。厚生労働省によれば「賃金の上昇がエネルギー価格の高騰など、物価上昇に追いついていない」のが原因というけど、どうも腑に落ちない。だって景気は拡大しているのだ。 内閣府が発表した2017年12月の景気動向指数は、それまで最高だったバブル経済期の1990年10月(120.6)を上回り、1985年以降で最高を記録している。 「一致指数は生産や出荷など製造業を中心とした企業活動の好調ぶりを反映しやすい。主要国が軒並みプラス成長する“グレートモデレーション(大いなる安定)”の下、企業の視点から見た景気回復は、バブル経済期並みの強さになったともいえる」(by 大和総研の長内智シニアエコノミスト)。 強さ? 強さってナニ?? 経済は門外漢なので戯言かもしれないけれど、日本の企業の多くは、ただ単に賃金を削って、利益を出す経営しかしてない、ってことなんじゃないのか? また、これは私の周りで起きた小さなニュースだが、契約社員で働いていた女性が妊娠したことで派遣会社から依願退職させられた。 女性は妊娠が分かったとき、派遣先企業の上司に相談したところ「産休・育休をとっていい。正社員もそうしているのだから問題ない」と言われ、安心したそうだ。 ところが、妊娠していることが派遣元に伝わると、「ゆっくり子育てに専念したほうがいいのでは?」と、依願退職を迫られたという』、企業は正規雇用から非正規雇用にシフトして、人件費を圧縮し、史上最高益を捻出している。
・『「夫も非正規で働いているのに、このままでは出産しても子どもを預けることもできない。ホントに子どもを育てていけるのか?」 出産という人生最大の幸せを目前に、メンタル不全に陥っている。 ……どれもこれも真っ暗闇で、私にはまったく希望が見えない。 景気がバブル並みと言われても、あの頃と今の日本の空気は全く異なる。 バブル時代の話をすると否定的に受け止められてしまうのだが、あの頃はみな「前」を向いていた。前に進めると信じることができた。光が見えた。とにかくみんな明るかった。 とはいえ、なにも「あの頃がよかった」とノスタルジーに浸っているわけじゃない。 報じられる「数字」と肌で感じる「空気」が違い過ぎて、いったい何のために私たちは働いているのだろう? と。生活を豊かにするために、必死に汗をかき、ときにやりがいを感じ、やるべき仕事があることに幸せを感じ、働いたんじゃないのか? 少しでも豊かになりたいと知恵を絞り、技術力を高めてきたはずなのだ。 なのに、働けど働けどちっとも潤わない。雇用形態の違いだけで子を授かるという“幸せ”な時間が不安に埋め尽くされ、“終の住処”は危険と背中合わせを余儀なくされ……。 さらには無期雇用ルール前に、雇い止めになった人たちの状況が次々と報じられている。 その上、今年10月からは、生活保護受給額のうち食費や光熱費など生活費相当分が、国費ベースで年160億円(約1.8%)削減され、母子加算(月平均2万1000円)は平均1万7000円に減額される方針が伝えられている( ※児童養育加算の対象は高校生に広げた上で、一律1万円になり、大学などへの進学時に最大30万円の給付金が創設される)。 かつて経団連の会長だった奥田碩氏は、 「人間の顔をした市場経済」という言葉を掲げ、 「これからの我が国に成長と活力をもたらすのは、多様性のダイナミズムだ。国民一人ひとりが、自分なりの価値観を持ち、他人とは違った自分らしい生き方を追求していくことが、こころの世紀にふさわしい精神的な豊かさをもたらす」(著書『人間を幸福にする経済―豊かさの革命』より) と、名言を吐いた。 にもかかわらず、うつ、過労死、過労自殺、孤独死、子どもの貧困……etc、etc。 社会問題が山積し、「人」の価値がとんでもなく軽んじられている気がして滅入ってしまうのである。そして、あまりにも問題が多すぎて、社会全体が思考停止に陥っている。私には、そう思えてならないのである。 そんな折、「インドのいくつかの州は、2年後までに「ベーシックインカム(最低保障制度)」を導入するかもしれない」とのニュースがあった。 ベーシックインカム(BI)は、小池百合子都知事が希望の党を立ち上げ、衆院選に向けた政策集を発表した際、「AIからBIへ」という文言のもと社会保障政策の転換案の一つとして盛り込み話題となった。だが、世界各地では既に実験的な試みが行われている。 今回報道のあったインドでは、2010年にマドヤ・バングラディッシュ州で試験的に行なわれた。その結果、健康の改善や学校に行く子どもが増加し、女性の雇用が増加したことから、本格的な導入が今回検討される、という運びになった』、これまでの仕事がAIに奪われようとするなかで、BIは検討すべき1つの解決策ではある。
・『他にも、ケニア、フィンランド、オランダ(ユトレヒト)、米国(カリフォルニア州オークランド)、カナダ(オンタリオ)、イタリア(ルボリノ)、ウガンダで、さまざまな条件下で試験的に導入実験を行なっている。今年はいくつかの実験期間が終了するので、結果が報じられる予定である。 そもそもベーシックインカムが世界中の関心を集めているのは、「労働の奴隷」となっている今の社会構造からの発想の転換である。 ルトガー・ブレグマン。「ピケティに次ぐ欧州の知性」と称されるブレグマン氏は、オランダ人歴史学者でベーシックインカムの圧倒的な支持者で、「豊穣の地の門を開いたのは資本主義」としながらも、「資本主義だけでは豊穣の地は維持できない」と説く。 様々な実証研究を歴史を振り返りながら紹介する著書、『Gratis geld voor iedereen(万人のための自由なお金)』はベストセラーとなり、日本では『隷属なき道 AIとの競争に勝つベーシックインカムと一日三時間労働」というタイトルで2017年5月に出版された。 とずいぶんと前置きが長くなってしまったのだが、今回はベーシックインカムをテーマに、「豊かさとは何か? 働くとは何か?」ってことをアレコレ考えてみたいと思う。 そして、今回はみなさんにも一緒に考えて欲しいのです。 ベーシックインカムが魔法の杖になるとは思わないけれども、何がしかの光を見いだすきっかけになりはしないか? 「現金をばらまけば飲み食いに使ってしまう」と最初からネガティブに捉えるのではなく、議論を交わすことが未来につながるのではないか? という思いがある。 なので、みなさまの知見、意見など、是非ともお寄せいただきたく。よろしくお願いいたします! まずはそもそも、ベーシックインカムとは? というお話から。 ベーシックインカムとは、単純・明解な一つの制度構想で、 ・性や年齢、社会的地位や収入に関係なくすべての個人を対象 ・無条件に ・社会が、あるいは社会を代表して国家が ・一定の生活保障金額を一律に貨幣で支給する制度 のこと。 生活保護や母子家庭手当などの社会保障は一切せず、人間の基本的欲求である「衣食住」を満たすお金をすべての人に一律で支給する。貨幣なので、フードクーポンなどは一切含まれない。 こういった考えが生まれたのは18世紀に遡り、1960年代後半には欧米で関心を集め、米国のニクソン大統領も1970年代にベーシックインカムの導入を検討していたとされている。 1980年代に入り再び、ベーシックインカムが注目を集めるようになったのだが、その理由のひとつが格差問題。そして、もうひとつが「労働の奴隷」になっていることだ。 さらに2000年代に入ってからは「導入実験」を検討する機運が高まった。 その火付け役となったのが、先のブレグマン氏なのだ』、なるほど。
・『ブレグマン氏は「Poverty is not a lack of character. Poverty is a lack of cash(貧困とは人格の欠陥によるものではない。貧困は現金の欠如によるもの)」と説き、ホームレスなどは最初から怠惰だったわけではないし、貧困層が薬物をより頻繁に使用するのは、基本的欲求(寝食住)が満たされていないからとしている。 私なりの解釈を加えれば、ベーシックインカムの根っこには、働くことは「生きている価値」と「存在意義」をもたらす、とても大切な行為だという思想が存在すると理解している。 「働く」という行為には、「潜在的影響(latent consequences)」と呼ばれる、経済的利点以外のものが存在する。潜在的影響は、自律性、能力発揮の機会、自由裁量、他人との接触、他人を敬う気持ち、身体及び精神的活動、1日の時間配分、生活の安定などで、この潜在的影響こそが心を元気にし、人に生きる力を与えるリソースである。 リソースは、専門用語ではGRR(Generalized Resistance Resource=汎抵抗資源)と呼ばれ、世の中にあまねく存在するストレッサー(ストレスの原因)の回避、処理に役立つもののことで、ウェルビーイング(身体的、精神的、社会的に良好な状態)を高める役目を担っている。 人は生理的欲求、安全的欲求が満たされれば、社会的欲求、承認欲求、自己実現欲求を満たそうとする。ニーチェが「職業は人生の背骨である」と説き、マズローが「仕事が無意味であれば人生も無意味なものになる」と著したように、人は仕事に自己の存在意義を求める。 いずれにせよ、ベーシックインカムの導入実験の最大の関心は「お金を配って、人はホントに働くのか?」という点だ。 ブレグマンは著書でこれまで行なわれた実証研究を紹介しているのだが、その中でもっとも私が「これだよ!」と感動したものを紹介する。 ミンカム(Mincome)──。1970年代にカナダで行なわれた大規模な社会実験で、舞台は人口1万3000人の小さな町ドーフィン。ミンカムとはプログラムの名称である。 実験は貧困線より下にいた30%の住民に相当する1000世帯に毎月小切手が送られ(4人家族の場合、現在の価値に換算すると年間1万9000ドル相当)、実験は4年間続けられた。 子どもが増えれば増えるだけ支給額が多くなるので、実験開始時には「年収が保障されると、人々は働くのやめ、家族を増やすのではないか」と懸念された。 が、実際には逆の結果になったのである。 ・結婚年齢は遅くなり ・出生率は下がり、 ・より勉強に励み、学業成績は向上した  また、・労働時間は男性で1%、既婚女性3%、未婚女性5%下がっただけで ・現金の補助を受けたことで、新生児を持つ母親は数カ月の育児休暇を取ることが可能となった  さらに ・学生はより長く、学校にとどまることができ、きちんとした教育を受けるようになった』、「人は仕事に自己の存在意義を求める」、その通りだ。「ミンカム」の実験は上手くいったのに、その後、導入されなかった理由は何なのだろう。
・『そして、何よりも特筆すべきは、「入院期間が8.5%減った」ってこと。 ・家庭内暴力は減少し、 ・メンタルヘルスの悩みは減り、 ・街全体がより健康になった。 医療費の大幅な削減につながる可能性が示唆されたのだ。 実はミンカムの実験はパイロットプログラムで、北米の4都市でも同様の実験が行われ、そこでは効果をきちんと検証するために実験群と対照群を用いて比較したのだ。 ここでもやはり研究者の問いは、 ・保障所得を受け取った人の労働量は減るか? ・費用はかかりすぎるだろうか? ・それらは政治的に実行可能か? ということだったが、実験の結果が示した答えは、ノー、ノー、イエス。つまり、ネガティブな結果にはつながらなかったのである。 具体的には、ドーフィン同様、労働時間は若干減ったのだが、それらは自分の能力開発の時間に当てられていたことが分かった。 ・高校中退歴のある母親は心理学の学位を取得したいと受験勉強の時間にあて、 ・別の女性は演劇のクラスを受講し、夫は作曲を始めた。 ・若者は労働時間を減らし、更に教育を受けることを選んだ。 人は「明日も生活ができるという安心感」があれば、学ぼうとか、今までできなかったことにチャンレジしようとか、自分の生活が豊かになるために自主的に行動することが示されたのである。 人は生活が保障されれば、自らの能力を高めるために、時間やカネを費やす。 それは来るべきAI時代に必要なんじゃないか、と。 研究者は研究に時間を費やし、芸術に興味あるものは生活の心配をせずに取り組むことができる。生活が保障されれば、人生の選択が増え、人間の、人間にしかできない発想と英知が発揮できるーー。 そんな可能性を秘めている「単純・明解な」制度構想がベーシックインカムなのだ。 ひょっとすると導入実験で報告されているのは、チェリーピッキング的なものなのかもしれないし、統計のマジックもあるかもしれない。だからこそ、みなさんにも考えて、意見をいただきたいのです。 以前、生活保護の方たちを取材したときの言葉が蘇る。 「生活保護が受けられれば、とりあえずは暮らしていける。なのに、どうしても働きたい、って必死に仕事を探すんだよ。仕事ができないっていうのは、『お前は生きている意味がない』って、社会から言われているような気持ちになる。『働くのはお金のため』なんてことを言うのは、自分が納得できるような仕事ができていないことの言い訳。そんなこと言えるのは、ぜいたくもんだけだ」ーー』、「北米の4都市でも同様の実験」、もプラスの結果になったようだが、最終的に導入されなかった理由が知りたいところだ。「『働くのはお金のため』なんてことを言うのは、自分が納得できるような仕事ができていないことの言い訳。そんなこと言えるのは、ぜいたくもんだけだ」、さすが上手い表現だ。

次に、本年2月15日付けHUFFPOSTが掲載したEditor, This New World Laura Paddison氏による「「ベーシックインカム」の実験 フィンランド政府が無条件で月約7万円を配布 結果はどうなった?」を紹介しよう。
https://www.huffingtonpost.jp/entry/finland-universalbasicincome_jp_5c63ecade4b00de7d2d035ac
・『2016年末、トゥオマス・ムラヤさんの人生に予期せぬ変化が訪れた。フィンランド政府から月々560ユーロ(約640ドル・約7万円)を2年間無条件で提供するという手紙が来た。 「宝くじに当たったような気持ちでしたよ」とムラヤさんは話した。彼は17万5000人(25歳から58歳)いる失業者の1人だが、フィンランドが実験した世界一有名なユニバーサル・ベーシックインカムの参加者2000人に選ばれた。 2013年にジャーナリストの職を失ってからムラヤさんは定職を見つけられずにいた。毎月2270ドル(約25万円)の家賃をなんとかかき集めるために、散発的で支払いも遅いフリーランスの仕事でしのいでいた。政府のベーシックインカムのおかげで自由が得られた。仕事を見つけた後でも手当は引き続き受けられ、フィンランドの複雑な福祉システムの閉鎖的な官僚主義と格闘せずに済んだ。 「自由になると創造性が高まり、創造性が高まると生産性も高まるので社会全体の役に立つ」とムラヤさんは話した。彼はこの実験の経験を元に本を執筆した。 フィンランドのユニバーサル・ベーシックインカムの実験は予算2270万ドル(約25億円)で、フィンランド政府の社会保障局(Kela)が計画・運営を担当している。この実験は政府が仕事のあり方の変化への対応と、失業率8%の現状を踏まえて労働市場へ人々を復帰させる方法を評価するためのものだ。 実験は12月に終了した。最終結果は2020年まで公表されないが暫定結果が2月始めに発表された。 雇用に関しては実験の初年度2017年度のフィンランドの所得記録に大きな効果は見られなかった。 本当の効果は健康と幸福面でみられた。2000人の参加者が5000人の対照群と共に調査を受けた。対照群と比較すると参加者は「健康、ストレス、気分と集中力に関する問題が明らかに少ない」と社会福祉局の研究員ミンナ・ウリカンノ氏は話した。また参加者の方が自分の将来への信頼と将来を変えられる自信度が高かった。 「継続的なストレス、長期的な経済的ストレスは耐え難いものだ。毎月収入を与えると、彼らはどれだけ入ってくるか分かる」とウリカンノ氏は話した。「毎月560ユーロ(約7万円)だけでも安心感が得られる。将来に対する安心感こそ幸福の基盤だ」 フィンランドの実験が国際的に注目を集める中、計画の科学的リーダーでありトゥルク大学のオッリ・カンガス教授は実験を暫定的な雇用の結果によって判断しないよう望んでいる。「全体的な真実はもっとずっと複雑だ。より多くの調査や研究を重ねないとわからない」と述べた』、「暫定結果」では「参加者は「健康、ストレス、気分と集中力に関する問題が明らかに少ない」」、とプラスの効果が確認されたようだ。
・『ユニバーサル・ベーシックインカムというアイデアは何世紀も前から存在し世界各地で試されている。様々な意味合いを持つようになったが、最も純粋な定義では、富や収入、雇用状態に関わらず最低限の収入が無条件で全ての人々に与えられる。 この政策には政治の両極に支持者がいる。左派は貧困問題対策、格差を是正して職のオートメーション化の脅威に対応できると主張する。右派の支持者は福祉支出の複雑なシステムを単純化でき、政府の縮小化を実現できると言う。 マーク・ザッカーバーグやイーロン・マスクのようなテクノロジー分野の億万長者は、自分たちの極端な富への怒りが高まる中この考えに支持を表明した。アレクサンドリア・オカシオ=コルテス下院議員(民主党 ニューヨーク)も関心を示し、グリーン・ニューディール(気候変動に対応し格差を減らすための一連の政策)の一環としてユニバーサル・インカムを提案している。 しかし、議論もある。まず、コストの問題だ。 ユニバーサル・ベーシックインカムに関する本も書いているジャーナリストのアニー・ローリーさんの試算では、月額1000ドル(約11万円)を支払うには年間3兆9000億ドル(約99億円???)かかる。他の反対派はユニバーサル・ベーシックインカムは仕事への意欲を削ぎ、怠け者を奨励する高価な補助金と見る。 このような「怠け者」の貧困層という言い方は、フィンランドの計画に参加した31才のタニヤ・カウハネンさんには通用しない。 現時点で雇用の改善は見られないが、彼女はユニバーサル・ベーシックインカムは苦しんでいる人々の助けになると考える。「考えてみてください。ともかく早く仕事を見つけるために、給料が低くても飛びついてしまうものです」 カウハネンさんはこの収入と複数の福祉援助を申請する必要がなくなったために浮いた時間を使ってテレマーケティングの仕事を始めた。給料は低いがベーシックインカムのおかげで生活の質が大きく変わった。彼女はとうとう財政(正しくは「債務」?)を整理できた。今までは一番安いパンとミルクとチーズを探してスーパーを回っていた。「レストランに行ってまともな食事ができて、この後はしばらくインスタントラーメンで我慢しなくちゃと思わずに済んだのです」と彼女は言った。 計画の終了は参加者全てにとってショックだったと彼女は言った。「正直言って本当に大変です。だって突然600ユーロ(約7万円)も収入が減ったらあなたならどうしますか」 彼女は今も仕事を続けているがすでに負債を抱えており、より給料の高い仕事を必死に探している。 フィンランドの計画の終了は実験が拡大し延長されると望んでいた人々にとっても衝撃だった。政治家は「フィンランドの社会政策の専門家たちが何十年も研究をつづけてきた実験をする絶好の機会を無駄にした」とシンクタンクのパレコン・フィンランドの所長アンッティ・ヤウヒアイネンさんは言った。 政府は本当は実験を応援していなかったと彼は話した。なぜならそれは「現在の補助金を減らしながら失業者への監視と管理を加えた」からだ。 フィンランド政府は現在「アクティベーション・モデル」を導入し、満額受け取るためには失業者への最低限の訓練の完了または仕事を義務付けている。 フィンランドのユニバーサル・ベーシックインカム中止の発表の前に、カナダのオンタリオ州での実験も中止になった。 2017年4月に開始された実験には4000人の低所得の人々が参加し、個人で年間1万3000ドル(約143万円)、カップルで年間最高1万8000ドル(約199万円)支給された。1ドルの収入ごとに50セントの減額が適用された。 このプログラムは2018年、右派の政治家ダグ・フォード氏の当選とともに中止となった。政府は「オンタリオ州納税者にかかる多大なコスト」に言及した。全ての支払いが3月までに終了する』、「政治の両極に支持者がいる。左派は貧困問題対策、格差を是正して職のオートメーション化の脅威に対応できると主張する。右派の支持者は福祉支出の複雑なシステムを単純化でき、政府の縮小化を実現できると言う」、現実には右派には反対者も多いようだ。フィンランドも、「政府は本当は実験を応援していなかったと彼は話した。なぜならそれは「現在の補助金を減らしながら失業者への監視と管理を加えた」からだ」、本来は「失業者への監視と管理」は不要になる筈なのに、逆のことをしたのは、公務員の組合の圧力からなのだろうか。
・『しかし、まだ継続中の実験も存在する。例えばケニアでは慈善団体ギブダイレクトリーが2016年以来国中の村で2万1000人以上に無条件で現金を渡している。初期の結果では参加者の生活状態が大幅に改善している。 今後も予定がある。アメリカではカリフォルニア州ストックトンで実験開始予定で、100世帯の低所得層の家族に月々500ドルが支払われる予定だ。オークランドではスタートアップ企業への投資会社Yコンビネーターが今年アメリカの2つの州で1000人に月々1000ドルを3年間無条件で支給する実験を開始した。 政策としてはベーシックインカムは確実にまだ消え去っていない。「ユニバーサル・ベーシックインカムが機能的かどうかはもちろんこのような実験の結果と政治状況による」とピープルズ・ポリシー・プロジェクトのマット・ブライナ氏は言った。 「アメリカにはすでに40年以上続くベーシックインカムのプログラムがある。アラスカ・パーマネント・ファンドだ。実はそれほど仮説的な話でもない」。アラスカ州は住民に毎年1000ドルから3000ドルの小切手を無条件に渡している。 フィンランドはあと2カ月で選挙なので、ユニバーサル・ベーシックインカムが再び議題になることを望む人々もいる。カウハネンさんもその一人だ。 「ベーシックインカムは素晴らしい経験です。フィンランド人全てに経験して欲しいと思います」と彼女は言った。「コストが高いのはわかりますが、必要だと思います。フィンランドでは今貧しい人々が切り捨てられているからです」』、「アメリカにはすでに40年以上続くベーシックインカムのプログラムがある。アラスカ・パーマネント・ファンド」、これについても、もう少し詳しく知りたいものだ。

第三に、同志社大学教授の山森 亮氏が6月27日付け現代ビジネスに掲載した「日本で「ベーシックインカム」導入は果たして可能なのか 賛否が真っ二つに分かれるが…」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/65163
・『前回(女性たちが『ベーシックインカム』を求め続けた歴史をご存知か)、フィンランドでの半世紀近いベーシックインカムをめぐる議論では、失業者を狭義の雇用に押し戻すことよりも、むしろ人びとをそうした狭義の雇用から解放し、育児やコミュニティワークなどのアンペイドワーク、発明や芸術、起業などの創造的な活動へ誘うことなどが期待されていたことを紹介した。 また20世紀イギリスの経済学者ケインズも(アンペイドワークへの視点はないものの)、人びとが社会的な必要を満たすための労働から解放され、自由な活動へと時間を使えるようになる未来を予想していた』、「ケインズも・・・人びとが社会的な必要を満たすための労働から解放され、自由な活動へと時間を使えるようになる未来を予想していた」、初めて知った。
・『創造性を解き放つ  第1回で、フェイスブック創業者のザッカーバーグがベーシックインカムに好意的であることを紹介した。 AI技術などの革新が雇用を減少させるのでベーシックインカムが必要になるといった論調のなかで、IT産業の起業家たちのベーシックインカム支持が紹介されることが多いが、実はザッカーバーグがベーシックインカムに賛成の理由は、そうしたいわゆる「雇用の危機」ではない。 彼の理由は、ベーシックインカムによって「新しいアイデアを試すときのクッション」を誰もが得ることができるようになるという点だ。 起業であれ、研究であれ、芸術であれ、新しいアイデアを試すときには、その間の所得をどうするかという問題が立ちはだかる。ベーシックインカムのような制度を導入することで、人びとの創造性を解き放つことができるというわけだ。 前回触れたように、フィンランドでのベーシックインカムをめぐる議論はそうした視点を持っていたにもかかわらず、政府の実験には反映されなかった。 フィンランドがベーシックインカムの給付実験を行うというニュースが世界を駆け巡ったころと同時期に、ベーシックインカムについてもう一つ世界が比較的大きく報じた出来事があった。 スイスで実施されたベーシックインカムの賛否を問う国民投票である。 スイスではある事柄について国民投票を求める署名を、18ヵ月以内に人口約800万人のうち10万筆以上集めて連邦議会に提出すると、連邦議会は国民投票を行うことが義務付けられている。 スイスではベーシックインカムへの認知を高めようとする人たちが、ベーシックインカムを権利として憲法に書き込むことへの賛否を問う国民投票の実施を求めて、12万筆あまりの署名を集め2013年に連邦議会に提出した。 連邦議会は、議会としてはベーシックインカムに反対だとの意見をつけたうえで、2016年6月に国民投票を行った。結果、賛成は20数%にとどまるものだった。 署名集めを行った人たちは、当初から賛成が多数に達しないことを予期していた。 署名集めに成功した直後に、筆者は招かれてバーゼルで講演を行ったが、そのときに活動家たちは、過去の国民投票を引き合いに出して、今回賛成が上回る可能性はないと断言していた。 女性に参政権をあたえるべきかについても過去国民投票にかけられ、3度目で可決されたが、第1回では賛成は20数%だった。 道程は長い、というわけだ。 ベーシックインカムの導入は長期的な目標だとして、では推進派の短期的な目標はなんだったのか。 それを端的に表しているのは国民投票前にジュネーブの広場につくられた巨大なポスターだ。そこには「お金のための働く必要がなくなったら、何をしますか?What would you do if your income were taken care of?」と書かれていた。 推進派は人びとの創造性が解き放たれ、自由に活動できる社会の実現をめざしている。 今回の投票は、第一に、いったい何のために生きているのか、どう生きたいのか、そのためにはどんな社会制度を一緒に形作っていくべきか、などについて、人びとが立ち止まり話し合う場をつくることにおかれていた。 スイスのベーシックインカム推進派の夢も、どこかで前回紹介したケインズの夢とつながっているように思う』、スイスの「推進派は人びとの創造性が解き放たれ、自由に活動できる社会の実現をめざしている」、ダメもとで「国民投票」にかけるとは、息が長い話のようだ。
・『有限の地球:経済成長を必要としないモデルへ  ケインズは経済成長がいつまでも続くとは考えておらず、いつか成長がとまる定常状態が来ると考えていた。経済学では19世紀のジョン・スチュワート・ミルまで遡ることができる考え方だ。 ケインズがそのように考えたのは、私たち一人ひとりのもつ必要の有限性による。 経済とは私たちの必要を満たすためのものであり、貧困に喘ぐ人が多数を占めている状態では、そうした人たちの必要を満たすために経済成長が求められるが、いつかすべての人の必要が満たされるときが来れば、経済成長は要らなくなる。 そのときには利己主義のような本来良くない考え方が必要悪として容認されてしまうような逆立ちした道徳律から私たちが解放されるだろうと考えた。) 21世紀の今、経済成長に批判的な人たちは、私たちの必要の有限性ではなく、別の有限性に焦点を当てているようだ。 すなわち私たちの住む地球という環境の有限性である。生物圏の限界を遵守するために、持続可能な成長というものがあるのか、それとも脱成長ないし定常経済を目指すべきなのか、あるいはそれでも不十分で縮小すべきなのかは意見が分かれるところだ。 それでも地球上の資源が無限であるという反事実的仮定にもとづいたこれまでの成長志向を変えないといけないことは、広く知られるようになってきている。 そうしたなかで、従来の雇用を通じた所得保障は、持続可能ではないという声がきかれるようになってきた。すべての人が雇用されるためには、しばしば経済成長が必要となる、というわけだ。 この文脈でベーシックインカムが、持続可能な経済の不可欠なピースだという主張が現れている(図1)。 1970年代前半にノーベル経済学者のジェイムズ・ミードが先駆的、萌芽的にそのような主張をしたときには、あまり賛同者はいなかった。 しかしその後ヨーロッパ各地での「緑の党」の結成、地球温暖化をめぐる議論の広まりなどのなかで、現在では、有限な地球のなかで私たちの必要をみたす経済システムの一部として、ベーシックインカムを考える人は増えている。 たとえば、地球温暖化についての著作『これがすべてを変える:資本主義vs.気候変動』などで知られるナオミ・クラインら、カナダで環境問題、貧困問題、労働問題、人種やジェンダーなどの差別問題などに取り組む活動家たちがあつまって、「地球とお互いをケアすることに基づいたカナダをつくろう」と呼びかけるマニフェストを2015年秋に発表した。 このマニフェストには、ベーシックインカムについての活発な議論を求めると書かれている。 また2018年秋のアメリカの下院議会選挙で当選し、最年少女性議員となって一躍著名となったアレクサンドリア・オカシオ・コルテスは、今年2月に「グリーン・ニューディール法案」を発表した。 政治的な反発が強く最終的に含まれなかったが、当初の草案ではベーシックインカムが含まれる予定だった』、「現在では、有限な地球のなかで私たちの必要をみたす経済システムの一部として、ベーシックインカムを考える人は増えている」、ただ、「コルテス」の「グリーン・ニューディール法案」にはBIは「政治的な反発が強く最終的に含まれなかった」、やはり過激な彼女ですら採用しなかったほど、反発が強いようだ。
・『全5回にわたって、ベーシックインカムをめぐる世界での動向を俯瞰してきた。日本ではどのような可能性があるだろうか。 フィンランド政府が実験の対象とした失業手当受給者は日本にはいない。フィンランドでは、大きく分けて3種類の失業手当があり、それぞれ直訳すると「稼得所得比例失業手当」「基本失業手当」「労働市場補助金」となる。 第一のものは、労働組合などを通じて加入していた人が期間を限って受け取れるもの。事前の加入を必要とせず税を財源としているのは第二と第三のものだ。 第二のものは通常400日を上限としており、その期限を超えてなお失業している人は第三のものを申請できる。こちらは受給期間に制限はないが、資力調査を受け、所得や資産が一定以下であることを証明する必要がある。実験の対象者となったのは第二と第三の制度の受給者だ。 日本の雇用保険給付金は、失業前に雇用保険に加入している必要があり、この意味でフィンランドの第一の制度に近い。第二、第三のタイプのものがないため、失業者に占める失業手当受給者の割合はとても低い(図2)。 図2:失業者に占める失業手当受給者の割合(出所:元は図中にあるILOによるもの。日本語の図は厚生労働省作成の資料より) 図2のデータは10年以上前のもの。厚労省はこのデータも使いながら雇用保険の適用範囲を拡大する努力をしてきているので若干は改善している可能性はあるが、国際的にみて低い水準であることは変わりないだろう。 日本では第二、第三のタイプの失業手当がないため、他の福祉となると生活保護となるが、これも生活保護基準以下の収入で生活している人のうち実際に保護を受給している人の割合は2割を切っているともいわれている。 また、受給者の半数強を高齢者が占めており、残りの半分も障害や病気を持っている人で、健康な労働者の失業時の所得保障としての機能はそれほど果たしていない。 その結果、ワーキングプアと呼ばれる、働きながらも国の貧困基準以下で暮らしている人が1千万人を超える規模でいるとみられる。 税を財源とするベーシックインカムの提案で、それほどの増税をしなくてもベーシックインカムの導入は可能だという議論がたまにある。 フィンランドのように貧困基準以下で生活している人への福祉制度がある程度整っている国では、既存の制度の合理化で、実質増税は避けながら(税額はあがってもその分ベーシックインカムで戻って来る形で)導入することも可能かもしれない。 しかし日本ではその可能性はない。 第3回で、税制を大きく変える提案や、貨幣・金融制度を大きく変えることでベーシックインカムを導入する提案について紹介した。ただこれらは長期的な展望となる。 短期・中期的にはどのような展望があるだろうか。 第一に、既存の制度をよりベーシックインカム的なものに近づけていくことである。例えば基礎年金を現行の社会保険による仕組みから税財源とする。児童手当を現行の世帯主への支給から、主に育児を行っている者への支給に変更し、所得制限を撤廃し、かつ増額していく。 第二に、いくつかの国で導入されている、部分的なベーシックインカム的制度を導入する。アメリカやイギリスなどで導入されている給付付き税額控除の導入が考えられてもよいだろう。 第三に、他の政策目標にベーシックインカム的発想を持ち込むこともできる。例えば過疎対策で、過疎地域の居住者に部分ベーシックインカムを給付することなどが考えられてもよいだろう。 ベーシックインカムは、ある人にとっては「私たちが当然にもっているはずの権利」だし、ある人にとってはその人にとっての「当たり前」を真っ向から否定する「荒唐無稽な提案」だ。 何をかくそう、筆者がベーシックインカムについて初めて触れたのはもう30年近く前だが、はげしく反発したのを覚えている。 私たちの社会には多くの「当たり前」がある。多くの人が共有している「当たり前」から、いまや永田町のなかにしかないかもしれない「当たり前」まで。 いわく「少子高齢化は子どもを産まない女性のせい」「過労死は自己責任」「子連れで通勤電車に乗らないで」「風邪くらいで会社休むな」「家事育児は女性の責任」「お金を稼ぐのは男性の責任」「経済成長がぜったい必要」などなど。 ベーシックインカムについて考えることは、これらの「当たり前」をいったん括弧にいれることでもある』、「短期・中期的」な「展望」は、現実的なアプローチだ。「ベーシックインカムについて考えることは、これらの「当たり前」をいったん括弧にいれることでもある」、言い得て妙だ。
タグ:(その1)(「働かなくてもカネがもらえる」から働くんです 「労働の奴隷」からの脱却を ベーシックインカムを考える、「ベーシックインカム」の実験 フィンランド政府が無条件で月約7万円を配布 結果はどうなった?、日本で「ベーシックインカム」導入は果たして可能なのか 賛否が真っ二つに分かれるが…) 河合 薫 ベーシックインカム 日経ビジネスオンライン 「「働かなくてもカネがもらえる」から働くんです 「労働の奴隷」からの脱却を、ベーシックインカムを考える」 うつ、過労死、過労自殺、孤独死、子どもの貧困……etc、etc。 社会問題が山積し、「人」の価値がとんでもなく軽んじられている気がして滅入ってしまう マドヤ・バングラディッシュ州で試験的に行なわれた 他にも、ケニア、フィンランド、オランダ(ユトレヒト)、米国(カリフォルニア州オークランド)、カナダ(オンタリオ)、イタリア(ルボリノ)、ウガンダで、さまざまな条件下で試験的に導入実験を行なっている ベーシックインカムが世界中の関心を集めているのは、「労働の奴隷」となっている今の社会構造からの発想の転換である ルトガー・ブレグマン ベーシックインカムが注目を集めるようになったのだが、その理由のひとつが格差問題。そして、もうひとつが「労働の奴隷」になっていることだ ベーシックインカムの根っこには、働くことは「生きている価値」と「存在意義」をもたらす、とても大切な行為だという思想が存在すると理解している 「働く」という行為には、「潜在的影響(latent consequences)」と呼ばれる、経済的利点以外のものが存在する リソースは、専門用語ではGRR(Generalized Resistance Resource=汎抵抗資源)と呼ばれ、世の中にあまねく存在するストレッサー(ストレスの原因)の回避、処理に役立つもののことで、ウェルビーイング(身体的、精神的、社会的に良好な状態)を高める役目を担っている ミンカム 1970年代にカナダで行なわれた大規模な社会実験 結婚年齢は遅くなり ・出生率は下がり、 ・より勉強に励み、学業成績は向上 ・現金の補助を受けたことで、新生児を持つ母親は数カ月の育児休暇を取ることが可能となった  さらに ・学生はより長く、学校にとどまることができ、きちんとした教育を受けるようになった 入院期間が8.5%減った ミンカムの実験はパイロットプログラムで、北米の4都市でも同様の実験が行われ、そこでは効果をきちんと検証するために実験群と対照群を用いて比較 人は生活が保障されれば、自らの能力を高めるために、時間やカネを費やす 『働くのはお金のため』なんてことを言うのは、自分が納得できるような仕事ができていないことの言い訳。そんなこと言えるのは、ぜいたくもんだけだ」 HUFFPOST Laura Paddison 「「ベーシックインカム」の実験 フィンランド政府が無条件で月約7万円を配布 結果はどうなった?」 フィンランド ユニバーサル・ベーシックインカム 実験は12月に終了した。最終結果は2020年まで公表されないが暫定結果が2月始めに発表された 雇用に関しては実験の初年度2017年度のフィンランドの所得記録に大きな効果は見られなかった 本当の効果は健康と幸福面でみられた。2000人の参加者が5000人の対照群と共に調査を受けた。対照群と比較すると参加者は「健康、ストレス、気分と集中力に関する問題が明らかに少ない」 政治の両極に支持者がいる。左派は貧困問題対策、格差を是正して職のオートメーション化の脅威に対応できると主張する。右派の支持者は福祉支出の複雑なシステムを単純化でき、政府の縮小化を実現できると言う 政府は本当は実験を応援していなかったと彼は話した。なぜならそれは「現在の補助金を減らしながら失業者への監視と管理を加えた」からだ 継続中の実験も存在する。例えばケニアでは慈善団体ギブダイレクトリーが2016年以来国中の村で2万1000人以上に無条件で現金を渡している。初期の結果では参加者の生活状態が大幅に改善している。 今後も予定がある。アメリカではカリフォルニア州ストックトンで実験開始予定で、100世帯の低所得層の家族に月々500ドルが支払われる予定だ。オークランドではスタートアップ企業への投資会社Yコンビネーターが今年アメリカの2つの州で1000人に月々1000ドルを3年間無条件で支給する実験を開始した アメリカにはすでに40年以上続くベーシックインカムのプログラムがある。アラスカ・パーマネント・ファンド 山森 亮 現代ビジネス 「日本で「ベーシックインカム」導入は果たして可能なのか 賛否が真っ二つに分かれるが…」 創造性を解き放つ スイスで実施されたベーシックインカムの賛否を問う国民投票 賛成は20数%にとどまる 推進派は人びとの創造性が解き放たれ、自由に活動できる社会の実現をめざしている 有限の地球:経済成長を必要としないモデルへ 現在では、有限な地球のなかで私たちの必要をみたす経済システムの一部として、ベーシックインカムを考える人は増えている アレクサンドリア・オカシオ・コルテス グリーン・ニューディール法案 政治的な反発が強く最終的に含まれなかったが、当初の草案ではベーシックインカムが含まれる予定だった 日本の雇用保険給付金は、失業前に雇用保険に加入している必要があり、この意味でフィンランドの第一の制度に近い。第二、第三のタイプのものがないため、失業者に占める失業手当受給者の割合はとても低い フィンランドのように貧困基準以下で生活している人への福祉制度がある程度整っている国では、既存の制度の合理化で、実質増税は避けながら(税額はあがってもその分ベーシックインカムで戻って来る形で)導入することも可能かもしれない。 しかし日本ではその可能性はない 既存の制度をよりベーシックインカム的なものに近づけていくこと いくつかの国で導入されている、部分的なベーシックインカム的制度を導入 他の政策目標にベーシックインカム的発想を持ち込むこともできる。例えば過疎対策で、過疎地域の居住者に部分ベーシックインカムを給付することなどが考えられてもよいだろう 「少子高齢化は子どもを産まない女性のせい」「過労死は自己責任」「子連れで通勤電車に乗らないで」「風邪くらいで会社休むな」「家事育児は女性の責任」「お金を稼ぐのは男性の責任」「経済成長がぜったい必要」などなど。 ベーシックインカムについて考えることは、これらの「当たり前」をいったん括弧にいれることでもある
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