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日本郵政(その13)(日本郵便「社員が社長にぶつけた不満」の全記録 返答はノルマ肯定、お付き合い容認 自爆放置、副社長が社長や総務次官より“偉い”「民営化郵政」の多重権力、保険不適切販売の背景としての「政治との関係」~政府は日本郵政を一体どうしようとしているのか) [国内政治]

日本郵政については、昨年8月12日に取上げたままだった。久しぶりの今日は、(その13)(日本郵便「社員が社長にぶつけた不満」の全記録 返答はノルマ肯定、お付き合い容認 自爆放置、副社長が社長や総務次官より“偉い”「民営化郵政」の多重権力、保険不適切販売の背景としての「政治との関係」~政府は日本郵政を一体どうしようとしているのか)である。

先ずは、8月27日付け東洋経済オンライン「日本郵便「社員が社長にぶつけた不満」の全記録 返答はノルマ肯定、お付き合い容認、自爆放置」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/299500
・『保険料の二重払いなど少なくとも18万件に上る不適切販売が発覚したかんぽ生命保険。そのかんぽの約9割を販売代行しているのが日本郵便だ。8月下旬には同じく委託販売しているアフラックのがん保険でも10万件の保険料の二重払いが発覚。事態は収束に向かうどころか悪化の一途をたどっている。 非常事態を受けて、日本郵便の横山邦男社長は8月23日に本社22階「前島ルーム」で、首都圏の現場社員のうち400人との対話集会を開催した。 『週刊東洋経済』は8月26日発売号で「かんぽの闇 金融商品の罠」を特集。契約獲得に伴って支払われる「募集手当」を目当てに郵便局員が行う悪質な営業実態に迫った。 「かんぽの闇 金融商品の罠」特集取材班は校了後に開かれたこの対話集会の模様を追った。質問は抽選方式。参加者には番号が振られていて、質問があろうがなかろうが、抽選に当たった社員は質問用のマイクを持ち、発言をした(質疑応答2.8万字全文はこちら)』、やや古い記事だが、営業現場とトップとの認識のズレが如実に表れているので、紹介した次第である。
・『「ノルマは個人も組織も育てる」?  南関東の郵便局員は、「1年前(の2018年4月)にNHK『クローズアップ現代プラス』で不適切営業が取り上げられた段階で対策していれば、ここまで問題が大きくならなかったのではないか」と横山社長に疑問を投げかけた。 横山社長は、「この(不適切販売の)問題は今、クローズアップされているけれども」と、番組名になぞらえて語り始めた。「これは何年も続いていた話ですよね。(不適切募集は)企業風土になっている面もあるかもしれない。一部の人(=販売実績が高い社員)がやっていたことだが、その一部の人を褒めてきた本社がよくなかった。(販売)品質がどんどん悪くなっていったというのはそういうことだ」と、問題は今に始まったことではなく、販売実績が高い一部の社員の仕業であり、それを本社も容認。その結果、営業の仕方が悪質化してきたという見方を示した。 不適切営業の原因として厳しい営業ノルマの存在が複数の報道で指摘されている。が、横山社長は営業ノルマを肯定するような発言をした。北関東の郵便局員から「何で目標が達成できないのかを(研修などで上司が保険販売担当者を)恫喝するのではなく、一緒に原因を掘り下げるような、風通しのよい環境があったらいい」と意見を言うと、横山社長は「恫喝」については言及せずに「ちょっとストレッチ(背伸び)をして、(ノルマの数字に)届くということが、組織や個人の成長につながる」と答えたのだ』、民間出身の実務家社長らしい建前論だ。
・『「お付き合いはどこにでもある」?  横山社長は「お付き合い(で買ってもらう)というのはどこにでもある。他の金融機関にも自動車(ディーラー)にもある。それは信頼関係だからね」と、顧客ニーズとは無関係に保険に加入してもらうことを肯定する発言もした。 「高齢者は郵便局のファンです。われわれを助けてくれる。ところが(高齢者が)お亡くなりになった瞬間に(家族から)『なんでこんな経済合理性のない取引をやっているのだ』ということになる。(信頼関係で入ってもらうにしても)ご家族の納得のうえでないといけない。それが今回の反省だと思う」(横山社長)。 「お付き合いで」ニーズのない保険に加入してもらうこと自体は問題ではなく、それを家族に納得してもらえていなかったことが反省点だという、世間の常識とはかけ離れた見解を示したのだ。かんぽの監督官庁である金融庁は、現在、顧客ニーズに沿ったリテール営業を推進している。この横山社長の「お付き合いはどこにでもある」発言が耳に入ったら、遠藤俊英・金融庁長官はどう思うだろうか。 さすがにまずいと思ったのだろうか、その後に、横山社長は「今、ゼロベースで見直している。(過去を)断ち切っていくから。新たな金融ビジネスを立ち上げていきます。よろしくね」と言葉をつないだ。「新たな金融ビジネス」とは何か。横山社長から具体的な発言はなかったので不明だが、ほかの質疑応答や集会冒頭の話から総合すると、不適切な営業をしなくても保険契約を取ってくる仕組みづくり、手数料稼ぎではなく、ストック(=預かっている資産)の増加を評価する仕組みづくりなどを指しているようだった。 南関東で保険販売を担当しているという郵便局員は「ここ2年くらい本当に売りづらかった。ほとんどの客に断られ続けている」と、かんぽ生命の保険商品がニーズに合っていないことを訴えた。 横山社長は「保険というのは非常に難しい。ライフプラン・コンサルタントも『家計のリストラはまず保険の見直しだ』と言う。今、『この商品が顧客ニーズに刺さるんだ』という商品は確かに必要ですね。機会をつくるから主要メンバーになってください」とした。 その後に横山社長は南関東の郵便局員と以下のやり取りをした。 横山社長「逆にどんな商品が欲しいですか?」 郵便局員「死亡保障はいらないとか、医療を充実してほしいと言われている」 横山社長「わかりました。やります」』、商品性で逃げ切れるような問題ではない筈だ。
・『現場には手応えがない  かんぽ問題が最大の課題であるにもかかわらず、かんぽ関連の質問はそう多くなかった。むしろ、荷物の集配作業や郵便作業をしている社員から不満が噴出する結果となった。 別の南関東の郵便局員が「先ほど社長は『私が就任してから3年で日本郵便は変わった』と言ったが、現場では手応えがない」と指摘すると、 横山社長「何も変わってない?」 郵便局員「現場にいる者としては(変化が)体感できない。給料も上がっていない。業績上がったならきちんと社員に還元すべき。年収は数十万円、下がっている。公務員時代に入社して『年収は35歳くらいから上がっていく』と聞いていたが、民営化で給料が上がらなくなった。もらえる退職金が減るのも不満だ」 横山社長「信賞必罰、(結果だけではなく)プロセスを評価する会社、のびのび働ける会社にしていく」 郵便局員「評価と言うが、(上司は)よく見ていないじゃないか」 横山社長「(上司が)好き嫌いで評価を決めることがあるということ?」 郵便局員「私が嫌われているということはある。短期間に3回転勤させられた」 横山社長「ちゃんと働いているのに?」 郵便局員「そうでないとこんな大きな口、たたけませんから」 「局長と私の2人だけでやっている」という山梨の別の郵便局員は「客が1日に5人くらいしか来ない。今日は午前中、1人も客が来なかった。新しい客を探すこと自体難しい。局外活動(郵便局の外に営業に出かけること)をしない局は、目標(=営業ノルマ)未達が慣れっこになってきている。悲しいことに、今回、(積極的な)営業をしてはいけないことになってよかったな、と思っている人もいるだろう。未達の局がだんだん増えてきている。私自身は仕事がつまらない、将来が不安だなと感じている。局長自体、(数人でやっている郵便局の)マネジメントができていないのかなとも思う」と訴えた。 横山社長は、「(局長たちを)ちゃんと指導しますけど、あなたも局長を突き上げてください。それでもダメなら電話をちょうだい。私が強烈な指導をしますから」と語気を強めた』、特に、縁故や世襲でなる特定郵便局の局長なら大いにあり得るだろう。
・『「自爆営業はかなり多いんだろうな」  営業ノルマを達成するために社員や社員の家族・親族が買う「自爆営業」。東京23区内の郵便局員から「社員は実需のあるなしにかかわらず、営業ノルマのある物販を当たり前のように買っている。社員がどのくらい買っているかを把握しているか」と質問すると、横山社長は「ごめん、私はわかっていない」と断ったうえで、「しかし、(社長就任から)この3年間で何となくかなり多いんだろうなという気はしている」とした。 そのうえで、「もちろん愛社精神で実需に基づいて買うのはいいことだと思うが、それを超えるものは異常だと思う。物販のビジネスモデルは合っているのか、他社やライバルと比べてどんな強みや弱みがあるのか。(自爆営業は)かなりのレート(比率)に上るということは認識しています。だから手をつけていきます」と回答した。 社員に自爆営業を事実上強いておき、それを認識しておきながら放置していた責任は軽くないだろう。 別の局員は退職者の多さを指摘した。「新人が毎年140?150人入ってくるが、10年後に10人しか残っていない。数字(=営業ノルマ)に追われて、結果が出ないから退職していった人がたくさんいる」。 横山社長は「保険会社に転職したの?」と聞き、社員が「まったく別の仕事です。辞めてよかったと皆、言っている」と答えると、 「(辞めた人は)損したね。これからいい会社になるよ。(今でも)異次元の業績になっている」と横山社長は強気の姿勢を崩さなかった。 北関東のほかの郵便局員は、「8年前に入社したが、7人いた同期で残っているのは私ともう1人の2人。残っている1人も先月から休んでいる」と訴えた。 横山社長は「『こいつ、いいな』というのが辞めている?」と逆質問。この郵便局員は「いい人材でも目標が達成できなくて辞めている。同じ職場の人間としてお互いに長くやっていきたいと思っているがそうなっていない。人材確保にもっとカネをかけてほしい」と回答した。 横山社長は「人件費をどうするかはいろんな変数要因があるが、意欲のある人間に長く愛社精神を持ってやっていただきたいというのがあるので、採用の仕方も見直しさせていきます。仕事の厳しさに応じた報酬体系にするのが企業として当たり前」とした。 対話集会の最後に、横山社長は1人だけ、挙手による質問を許した。東京23区内の局員だった』、「退職者の多さ」には改めて驚かされた。
・『「現場が知らないだけじゃないの?」  郵便局員「『(本社の人間を)必ず現場に行かせます』と歴代社長は言ったが、本社の人間は誰もこない。これでは面従腹背ではないか。面従腹背をしている本社の部長などを処分すべきではないか。それと、(壇上など前にいる本社の幹部で)かんぽに入っている人、どれだけいますか?手を挙げてください。半分もいないでしょう?(研修などで)『家族や恋人に勧めるつもりでかんぽの保険を勧めてください』とよく言われるが、あなた方の半分も入っていない保険をどうして家族や恋人に勧めるように勧められますか? 某国の野菜を勧めろと言われているのと一緒。農薬だらけで某国の国民は誰も食べていませんよ。当局は近隣他局との合併で、かつて倉庫だったところに保険担当者が押し込められている。現場に来てくださいよ、そうすればこうしたこともわかるはずだから」 横山社長「現場に行きます。約束しますよ」 郵便局員「そう言って誰も来ないじゃないか。本当はこの会だって、現場の局員が本社に集まるのではなくて、本社の人間が現場に来るのが筋ではないか」 横山社長「この人たち(=本社の人間)はつねに現場に行っています」 郵便局員「来ていません」 横山社長「それは(君が)知らないだけじゃないの?」 現場の声を虚心坦懐に聞くはずが、最後は「現場が知らないだけではないか」と横山社長が現場に疑問を呈して終わった今回の対話集会。質問に立った社員21人の話で目立ったのは「報道が先行している」「新聞に書いてあったことを局長に聞いても『わからない』と言われた」という意見だった。横山社長は「対応が後手後手に回っている。申し訳ない」と繰り返した。 顧客への全件調査(契約数約3000万件、加入者数約2000万人)は始まったばかり。郵送で確認書類を送り終えるのは9月下旬だという。「9月末までには中間報告をする」としているが、これでは中間報告までに全件調査の全容は見えてこないだろう。 「これから全国を回る」という横山社長だが、社員との対話集会を契機にウミを出し切れるのか。首都圏社員との対話集会のように冒頭で延々と社長自らが独演をし、質問は抽選とし、質問をしたくても抽選に当たらなかった人には紙に質問を書くように促すという運営では、問題の洗い出しは難しいように思える』、こんな「対話集会」では、出席した郵便局員たちのフラストレーションが、ますます高まったのではなかろうか。

次に、デモクラシータイムス同人・元朝日新聞編集委員の山田厚史氏が12月28日付けダイヤモンド・オンラインに掲載した「副社長が社長や総務次官より“偉い”「民営化郵政」の多重権力」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/224926
・『「処分」の情報を漏洩した相手は「郵政のドン」、天下りの先輩次官  郵便局職員によるかんぽ生命の保険不正販売をめぐる処分は、土壇場で、監督官庁の総務省次官のクビが飛ぶ「波乱」が起きた。 大臣室の密談を、次官が処分対象の日本郵政に漏らすという前代未聞の出来事だが、この一件で、誰が郵政の実力者なのか、はからずも明らかになった。 「民営化」は掛け声だけで、実権は社長より「偉い」、「郵政のドン」である副社長が握り、その背後に官邸の実力者がいる。 日本郵政グループは27日、3社長の辞任と、日本郵政の後継社長に増田寛也元務総相の就任を発表。この「実力副社長」も退任させて、政府は立て直しを図ろうとする。 だが民営化から12年たっても続く「旧体制」を変えるのは容易なことではない。 組織で力を握っているのは誰か。外からは見えにくいが、中に入ればすぐわかる。管理職が、誰を見て仕事をしているか、である。 日本郵政グループの場合は、民間から来た日本郵政や日本郵便の社長ではなく、要所に据えられている旧郵政官僚であり、その「ドン」が総務次官から天下った鈴木康雄副社長だった。 その「力」は、出身母体の総務省にまでいまだ及んでいたことが、今回の情報漏洩事件はわかりやすい形で示した。 事務次官といえば官僚組織の最高位で、見識・実績の申し分ない人物が就く役所を代表するポストだ。 その「ミスター総務省」である鈴木茂樹次官(すでに辞職)は、郵政グループの違法販売とその責任を高市総務相と話し合ってきたが、その密談の内容を逐一、先輩の次官でもある、鈴木副社長に報告していた。 天下った先輩に、行政情報をこっそり伝える不心得者が官僚組織にいるとは聞いていたが、事務次官が大臣の処分方針を相手側に漏らすのは前代未聞だ。 「断れない事情があったのでしょう」と高市早苗総務相は言う。だが相手が先輩であっても、「処分方針についてはご勘弁を」とやんわり断るのが普通の対応だ。 二人の間に、情実を超えた「力関係」があったとしか思えない』、図らずも日本郵政と監督官庁である総務省の本当の力関係を示してしまったようだ。
・『菅官房長官を後ろ盾に郵政の内外に威光  鈴木康雄氏は73年に旧郵政省入省。情報通信や放送行政を手がけ、2005年に郵政行政局長になる。小泉首相が郵政民営化をはげしく論じていた時期だ。 当時の総務相は竹中平蔵氏。その下で省内人事を握っていたのは、総務副大臣だった菅義偉官房長官だ。 郵政改革法案は自民党から造反者が出て否決されたが、小泉首相は「郵政解散」に打って出て勝利。翌年、菅氏が総務相になると鈴木は情報通信局長に就いた。 政権との良好な関係を追い風に09年に事務次官に就任したが、この年、民主党政権が誕生し、わずか半年で退職した。 自民党が政権に復帰すると、13年6月、日本郵政の取締役副社長として復帰する。 郵政人事は一新され、安倍政権は財務省出身の坂篤郎社長を外し、財界に顔が利く東芝出身の西室泰三氏を社長に据えた。 民間人による経営を印象つけようとしたが、西室氏は郵政との馴染みは薄く、複雑な組織問題に手を付ける意欲はなかったようだ。 補佐役として旧郵政官僚のボスだった鈴木を送り込んだのが、官房長官になった菅氏だった。 鈴木副社長は西室氏と同じ山梨出身という縁で食い込み、懐に飛び込んだ。西室氏はのちに大失敗が明らかになる国際物流事業への進出問題に傾注し、経営の実務一切を鈴木氏が引き受けた。 菅官房長官が安倍政権で存在感を誇示するようになったのもそのころからだ。 「首相の女房役」の官房長官が、「携帯料金の引き下げ」など独自の政策を掲げ「ポスト安倍」を伺うかのような振る舞いを始めた。 鈴木氏は、官房長官として政権内や霞が関ににらみを利かすが、政治家として何をしたいのか、いまいちはっきりしないとの声もあった菅氏の政策ブレーンとしても仕え、日本郵政グループの外でも存在感が増すようになった。 菅長官の威を借りて「郵政のドン」として振る舞う鈴木副社長に、現役の事務次官も逆らえないことを示したのが、「処分案漏洩」の一件だった』、さすがの「菅長官」も自ら選任した閣僚が相次いで不祥事で辞任するなど、権力にも陰りが出てきたなかでの、今回の問題だ。
・『怒った高市総務相、首相に直訴 郵政内も二重権力構造、根ずく  情報漏洩を知って怒った高市総務相が官邸に駆け込んで、ことは表面化する。 12月19日の「首相動静」に「午後3時5分から28分まで高市早苗総務相」とある。次官の更迭の報告が話し合われたのだろう。 翌日、緊急記者会見が開かれ、秘密漏洩の事実と相手が鈴木副社長であることが公表された。「政権内部の暗闘が始まった」と霞ヶ関では語られている。 「高市さんは、2度目の総務大臣への就任。情報通信や放送行政は自分の縄張り、という意識が強い。菅さんが官房長官でありながら、管轄外の通信行政に口出しするのを苦々しく思っていたに違いない。高市氏は安倍首相と近い。菅氏の子分がこんなことをしていますよ、と直訴したのでしょう」。ある現役官僚はこう解説する。 似たような二重の権力構造は日本郵政内部にも根づき、旧郵政官僚による支配の体制ができあがっていた。 西室氏が東芝の不正会計問題への関与などを疑われ、病気を理由に退任した後、日本郵政社長には、ゆうちょ銀行社長だった長門氏が就いたが、すでに日本郵政は鈴木氏の顔を見て仕事する組織になっていた。 長門氏は「表の顔」でしかなく、責任はあるが実権はない。責任の軽い副社長が組織を仕切る。 日本郵便も三井住友銀行から来た横山邦男氏が社長を務めるが、「民営化反対」の牙城・全国郵便局長会(全特)の会長から抜擢された大澤誠副社長が睨みを利かす。会長は旧郵政官僚の高橋亨氏だ。 かんぽ生命も旧東京海上火災保険からトップが来たが、損保と生保は業務が全然違う。旧郵政官僚の堀金正章副社長が実務を握っている。 金融機関からやってきて、数年しかたっていないトップが、重層的で独特の職場慣行がまかり通る郵政の現場を理解するのは困難だ。 「現場の情報が上がってこなかった。日本郵便の社長もかんぽ生命の社長も気づいていなかった」と長門氏は、かんぽ保険の不正販売の調査報告書がまとまった際の記者会見で釈明したが、その通りだろう。 3社長は郵政組織にとって「他所からやってきたお客様」でしかない。責任と実権のねじれは、情報を遮断し、判断を誤らす』、「二重の権力構造は日本郵政内部にも根づき、旧郵政官僚による支配の体制ができあがっていた」、のでは、「お客様」の「3社長」はさぞかし居心地が悪かったろう。
・『NHKへの「抗議」問題でゆがんだ統治が露呈  「今回の郵政不祥事の責任を問うなら、鈴木副社長の責任抜きに語れない」と、事情を知る財務官僚は指摘する。 「表の顔」である3社長は、経営計画を立案、業務の執行状況を確認など会議や決済で忙殺される。現場で起こる違法行為などトラブルは、「募集品質改善委員会」が報告する仕組みになっていた。 不正行為を「募集品質」と呼ぶ“社風”も異様だが、「募集品質は改善されている」という報告がされていた。 副社長たちは実情を知っていても、面倒な話は社長の耳には届いていなかった。件数を減らすため報告事項の基準を狭くするなど、問題を隠蔽する方向へと組織は動いた。 旧郵政官僚が実効支配する二重権力の現実が世に知られるようになったのは、「かんぽの不正」が社会問題になる中で、この問題を放映したNHKに対する「抗議」だった。 「(NHKは)まるで暴力団と一緒。殴っておいて、これ以上殴ってほしくないならやめたるわ、俺の言うことを聞けって。バカじゃねぇの」と鈴木副社長は囲み取材の記者たちに語った。 「クローズアップ現代+」は昨年4月、「郵便局が保険を押し売り」という番組を放映。続編を製作するため7月、情報提供を求める動画を流した。 郵政側は「内容が一方的だ」と 当時の上田良一NHK会長に文書で抗議、動画の削除を要求した。 NHKが「政策と経営は分離されている。番組政策に会長は関与しない」と応じなかったことに郵政側は反発。「放送法で会長は協会(NHK)を代表し、その業務を総理する、となっている」と、NHK経営委員会(石原進会長)に「ガバナンスの検証」を求めた。 経営委員会は郵政側の主張を受け入れ、上田会長に「厳重注意」した。会長は放送局長に「詫び状」を持たせ、収拾をはかった。郵政側の意向に沿って動画は削除され、続編は放送されなかった。 一連の抗議を主導した鈴木副社長は、NHKに宛てた文書で、自分を「かつて放送行政に携わり、協会のガバナンス強化を目的にする放送法改正案の作成責任者であった」と強調するなど威圧的な態度に終始した。 上司である長門社長が「NHKの報道は正しかった。あの時点でもっと気をつけていれば」と反省の言葉を述べていることなど眼中にない振る舞いに、「社長より偉い副社長」が日本郵政にいることを世間は感じ取った』、問題のNHKの「クローズアップ現代+」は、今月になって2回にわたって放映された。これは明日、紹介する予定。
・『民営化から12年たっても利害もミッションもばらばら  「持ち株会社として日本郵政が果たすべき役割やグループガバナンスのあり方について、全役員のコンセンサスが得られておらず、持ち株会社としてのガバナンスに問題があったと言わざるをえない」 18日に発表された、保険の不正販売をめぐる調査特別委員会報告書にそう書かれている。 持ち株会社がグループを統括する、という仕組みが機能していない、というのである。 だがそれはいまさらの話で、持ち株会社の社長より偉い副社長が、政治とつながって裏で仕切る組織に透明なガバナンスが育つはずもなかったのだ。 問題の根深さを感じさせるのは、民営化から12年が経過しても、郵政グループがワンチームではないことだ。民営化についての考えや利害が異なる勢力の「混成組織」である。 このことは、調査報告書でも、郵政グループ内で意見はバラバラで「ミッションが定まっていない」という経営幹部の意見を紹介している。 竹中・小泉路線のような郵政民営化を掲げているのは、内閣官房に設けられた郵政民営化委員会(岩田一政委員長)であり、政府にありながら郵政グループの経営の指針を決める。 だが、現場は民営化委員会には同調していない。 労働組合の主流は連合に所属する日本郵政グループ労働組合(JP労組)で、23万人が参加している。参議院全国区に立憲民主党から二人の国会議員を送り出している。郵政民営化法案には反対した。 株式会社になると組合幹部が監査役に入り、態度は曖昧になっているが、民営化委員会とは距離を置いている。 特定郵便局長会が前身の全国郵便局長会(全特)は自民党から参議院議員二人を送り出しているが、こちらも民営化委員会とは溝がある。 郵便局長も労組員も、「民営化」に反対だったり距離を置いたりし、選挙でも、かつて民営化に反対して自民党を除名された造反議員を密かに応援している。 市場で競争にさらせば非効率な郵政事業は効率化する、という民営化万能の考えはすでにメッキが剥げたが、ではどうしたらいいのか、という議論は封じらたままだ』、中途半端な「民営化」、それを後押しする勢力によって、今日の事態が引き起こされたのは確かだ。
・『現場は「ノルマ」で疲弊 新体制で立て直しできるか  「かんぽの不正」は、市場原理では売れない保険の現実を晒した。郵便局の信用を悪用した「押し込み販売」でかろうじてノルマが達成されていた。 ゆうちょ銀行の投資信託販売も同じ構造。日銀による異次元金融緩和で国債がマイナス金利というご時世で、郵貯資金は深刻な運用難に陥っている。 数年のうちに「お宝国債」と呼ばれる利率の高い国債が償還され、収益減は避けられない。投信を売って手数料を稼ぐことがノルマになった。郵便局員はお客の資産を知っている。金利がほぼゼロでしかない郵貯を解約させ、手数料を稼げる外貨建て投信などを買わせたりする。 こんな経営のままで、「ゆうちょ」も「かんぽ」も、さらには郵便局網を抱える日本郵政がやってゆけるのだろうか。 郵政グループの従業員は、将来不安を抱えながら、目先の目標達成に追われている。世の中に貢献するお仕事と考えてきた郵政事業が、いつの間にかノルマ達成の苦役に変わってしまった。 政府は立て直しのため、3社長を「更迭」、また鈴木副社長も退任させる。日本郵政の後継社長には、第一次安部内閣で総務相を務め、第二次安倍政権で郵政民営化委員長を務めた増田氏を据え、また、かんぽ生命と日本郵便の後継社長にはいずれも旧郵政出身者を昇格させる。 増田氏も旧建設省出身で、3社のトップはいずれも官僚出身者。新体制は機能するのだろうか。 「民営化」を語る社長たちの陰で旧郵政官僚らが虎視眈々と失地回復を図る、「民営化」のますますの後退を予兆する人事といえないか』、その通りだ。となると、財務省が当てにしている政府保有株の売り出しは、遠い先のことになりそうだ。

第三に、元東京地検特捜部検事で弁護士の郷原信郎氏が12月28日付け同氏のブログに掲載した「保険不適切販売の背景としての「政治との関係」~政府は日本郵政を一体どうしようとしているのか」を紹介しよう。なお、同氏は2010年に総務省が設置した「日本郵政ガバナンス検討委員会」の委員長を務めた経歴の持ち主である。
https://nobuogohara.com/2019/12/28/%e4%bf%9d%e9%99%ba%e4%b8%8d%e9%81%a9%e5%88%87%e8%b2%a9%e5%a3%b2%e5%95%8f%e9%a1%8c%e3%81%ae%e8%83%8c%e6%99%af%e3%81%a8%e3%81%97%e3%81%a6%e3%81%ae%e3%80%8c%e6%94%bf%e6%b2%bb%e3%81%a8%e3%81%ae%e9%96%a2/
・・・・『3社長の引責辞任は当然  今回、かんぽ生命の保険の不適切販売問題の表面化以降、私は、長門社長・横山社長などの対応を批判してきた。 長門社長は、問題発覚前の今年4月に日本郵政がかんぽ生命株式を売却したことに関して、郵政民営化委員会の岩田一政委員長と日本取引所グループの清田瞭最高経営責任者(CEO)から、適切な情報開示がなかったことについて問題を指摘された際にも、直後に開いた記者会見で、「株式売却の際には不祥事について全く認識がなかった」「冗談ではない」と憤ってみせるなどした。保有していたかんぽ生命株式を一般投資家に売却した後、同社の保険販売に重大な問題が発生していることが明らかになって、株価が大きく値下がりしていることについて、長門社長個人としてではなく、日本郵政グループの経営トップとしての責任が問われているのに、個人レベルでの言い訳をするなど、長門社長の対応には重大な問題があった(【長門社長「冗談ではない」発言で、日本郵政株売却は絶望か】)。 日本郵便の横山社長も、保険不適切販売の原因について、記者会見などで、超低金利など販売環境が激変し、郵便局がこれまで多数販売してきた貯蓄型の商品は魅力が薄れているにもかかわらず「営業推進体制が旧態依然のままだった」と原因を説明したが、なぜ営業推進体制が旧態依然の営業体制のままであった原因についての言及も、それに対する反省も全くなかった。(【「日本郵政のガバナンス問題」としての保険不適切販売問題~日本郵便横山社長への重大な疑問】)。 これらの経過からしても、不適切販売の直接の当事者企業のかんぽ生命のトップ植平社長も含め、3社長の辞任は当然であり、むしろ遅きに失したと言うべきであろう』、その通りだ。
・『日本郵政をめぐる根本的問題は全く解消されていない  しかし、今回の問題は、日本郵政グループの経営トップの個人の問題ではない。民間金融機関出身の3社長は、全く弁解の余地のない、苦しい状況に晒された末に、結局、辞任に追い込まれた。民営化後の日本郵政の社長の辞任は5人目である。このような状況の日本郵政グループの経営トップに、民間企業から経営者を迎えることは困難だったために、日本郵便、かんぽ生命も含め官僚出身者3人を社長に就任させることにせざるを得なかったのであろう。 今回の日本郵政グループ3社長が辞任し、増田氏を中心とする新経営体制に代わることで、今後、日本郵政の経営が正常化するのだろうか。残念ながら、それは、全く期待できない。「郵政民営化をめぐる根本的な問題」が解消されない限り、今後も日本郵政をめぐる混乱が続くことは避けられない。 12月18日には、日本郵政が設置した「特別調査委員会報告書」が公表されたが、その内容は、ほとんどが一般的な民間生保会社の視点によるものであり、「日本郵政」という組織の特異性、それが一般の民間会社とは大きく異なっているという視点が欠けている。一般の民間会社で起きたことであれば、この報告書に書かれているような再発防止策も有効であろうが、日本郵政においては、それで問題が解決するとは思えない。  横山社長は、日本郵便の保険営業の在り方に関して、「お客様本位がすべてに優先するという考えが全局に徹底すれば、ユニバーサルサービスの一環として、全国津々浦々で郵便局員が保険を適切に販売することは十分可能」とも述べた。金融庁が、金融モニタリングの基本方針として掲げているのが、「顧客本位の業務運営」であり、それは、保険を含む金融商品の販売において重要な原則とされている。しかし、日本郵政をめぐる根本問題が解決されていない以上、顧客本位の業務運営を日本郵便の保険販売において徹底していくことは決して容易ではない』、「特別調査委員会報告書」は弁護士が中心になってまとめたのだろうが、「ほとんどが一般的な民間生保会社の視点によるものであり、「日本郵政」という組織の特異性、それが一般の民間会社とは大きく異なっているという視点が欠けている」、発注した3社長の意向を踏まえたとはいえ、情けない内容だ。
・『郵政民営化をめぐる政治情勢とユニバーサルサービス   日本郵政は、小泉純一郎首相が2005年の総選挙で「郵政民営化」を公約に掲げて圧勝したことで、2007年に民営化されて株式会社となり、日本郵政を中心とする巨大な企業グループが生まれた。しかし、第一次安倍政権になって以降、郵政民営化に反対する政治勢力が勢いを回復し、日本郵政への逆風が強まっていった。そして、民主党への政権交代後に、郵政民営化は大幅に見直され、2012年に成立した改正郵政民営化法で、日本郵政には、日本郵便の完全親会社として同社にユニバーサルサービスを提供させる責務が定められた。ユニバーサルサービスというのは、「社会全体で均一に維持され、誰もが等しく受益できる公共的なサービス」という意味であり、郵便局のサービスについては、(1)利用者本位の簡便な方法で、 (2)郵便局において一体的に、(3)あまねく全国において公平に利用できるようにすることが、郵便の役務だけでなく、簡易な貯蓄、送金及び債権債務の決済の役務、簡易に利用できる生命保険の役務についても義務づけられている。 今回の保険の不適切販売の問題が発生した要因として、かんぽ生命では、民業圧迫の懸念などから保険金の上限額が2千万円と決まっていて、一般的に保険の「転換」の際に用いられる「新旧の契約の一時的併存」ができないため、旧契約を解約した後に新契約に入り直す「乗り換え」で新旧の契約に切れ目が生じることによって問題が生じるということが指摘できる。一般の民間企業とは異なる条件による制約を受けることは、巨大であり民業圧迫の恐れが高いうえ、全国に販売網を持ち、法的にもユニバーサルサービスの確保義務を負う日本郵政グループにおいては致し方ないこととも言える。 横山社長が言う「お客様本位の営業」を徹底しようと思えば、顧客の多種多様な立場や事情に適合する多様な商品を提供することが必要となる。しかし、ユニバーサルサービスとの関係で、日本郵政グループが取り扱う生命保険は、「簡易に利用できる生命保険」でなければならない。全国で均一な商品の提供が求められている関係で、基本的に商品の内容も単純なものでなければならない。顧客への「個別適応」を追求することには限界があるのである。 ユニバーサルサービスの責務との関係で制約を受けることから、結局のところ、日本郵便という企業が行う保険販売の事業に、競争価値(コアコンピタンス)を見出すことは困難なのである。 そのような制約があるにもかかわらず、投資信託や保障性商品などというコンプライアンスリスクが高い商品について、郵便局員にノルマや営業上のプレッシャーを与えながら販売実績を上げようとしていた経営方針そのものに問題があったのであるが、その背景に、2022年に日本郵政の株式をすべて売却することが法律上義務づけられ、その時点までに、日本郵政グループを民間企業として自立させることが政治的な至上命題とされているという事情があった。それが、郵便局の現場に過大な負荷をかけることにつながったのである』、「ユニバーサルサービスの責務との関係で制約を受ける・・・そのような制約があるにもかかわらず、投資信託や保障性商品などというコンプライアンスリスクが高い商品について、郵便局員にノルマや営業上のプレッシャーを与えながら販売実績を上げようとしていた経営方針そのものに問題があった」、問題の本質を極めて明確に指摘しているのはさすがだ。
・『「政治情勢の変化の影響」と日本郵政のガバナンス問題  私は、郵政民営化後の西川善文日本郵政社長時代に起きた「かんぽの宿」問題などの一連の不祥事を受けて2010年に総務省が設置した「日本郵政ガバナンス検討委員会」の委員長を務めた。その際、不祥事の事実関係の調査、原因分析、再発防止策の策定を行い、成果として公表したのが「日本郵政ガバナンス問題調査専門委員会報告書」であった。 同報告書では、日本郵政のガバナンス問題について、「西川社長時代の日本郵政においては、政治情勢の激変の中、『郵政民営化を後戻りさせないように』との意図が背景あるいは誘因となって、拙速に業務執行が行われたことにより多くの問題の発生につながった」との基本認識に基づき、「日本郵政の事業をめぐる環境は、外部要因に強く影響される。そのため、今回の個別検証でも明らかになったが、これまでの日本郵政の経営をみると、その変化を見越し、環境が大きく変化する前に短期的に結果を出そうとして拙速に経営上の意思決定が行われ、事業が遂行される危険性を有しているものと推察される。」と述べている。 不動産売却やゆうパック事業とペリカン便事業との統合等の経営上の意思決定に関する問題であった西川社長時代の日本郵政の不祥事と、営業の現場で発生した今回の保険商品の不適切販売に関する問題は、性格が異なる問題ではある。しかし、日本郵政グループには、とりわけ日本郵便という組織に対して、民営化による成果の早期実現を求める政治的バイアスと、全国の郵便局網を活用し、日本社会全体に対してユニバーサルサービスを提供する責務を従来どおりに維持することを求める政治的バイアスの両方が働くという「ガバナンス問題」が、事業場のコンプライアンスリスクにつながるという面では共通している』、「民営化による成果の早期実現を求める政治的バイアスと、全国の郵便局網を活用し、日本社会全体に対してユニバーサルサービスを提供する責務を従来どおりに維持することを求める政治的バイアスの両方が働くという「ガバナンス問題」が、事業場のコンプライアンスリスクにつながる」、これも適格な指摘だ。
・『保険不適切販売問題と日本郵政の完全民営化に向けてのスケジュール  今回の保険不適切販売問題の背景には、株式会社化されたものの、その事業に様々な制約を課せられている日本郵政グループにおいて、その制約を無視して、日本郵政株式の全株売却という民営化スケジュールを進め、売却によって得た資金を東日本大震災の復興財源に充てることを予定していた政府の方針がある。 まさに政治的判断によって決められていた民営化スケジュールに沿って、それを可能にする業績目標を掲げざるを得なかったために、営業目標実現のために、保険営業の現場へのインセンティブや、ノルマの押しつけが行われ、高齢者を中心とする郵便局の顧客の利益を大きく損なう結果となったのである。 横山氏が保険不適切販売の原因としている「旧態依然の営業推進体制」は、保険営業に関する限り、日本郵政が公社であった昔から続いているものではない。2015年に、営業を担当する郵便局員の基本給を1割削減し、代わりに手当を手厚くする給与体系の見直しが行われたことで、インセンティブ中心の営業が導入されたものであり(7月24日毎日「かんぽ不正、被害拡大 暴走助長、問われる体質」)、正確に言えば、民営化された日本郵政において、民営化の成果を上げるためにインセンティブ・ノルマ中心の営業推進手法が導入されたことが、今回の保険の不適切販売につながったのである。 それは、小泉首相が進めようとした郵政民営化の流れが、民主党への政権交代で「再国有化」されたことが原因という単純なものでは決してない。 小泉首相による「郵政選挙圧勝」によって、「日本郵政の株式会社化」だけは、短兵急に実現した。しかし、全国の郵便局網、その全国特定郵便局長会による政治力などは、旧来のまま残っていた。それは、自民党が、民主党政権から政権を奪還し、第二次安倍政権になった後も変わらなかった。 日本郵政に関する法的枠組みは、民主党政権時代の2012年の改正郵政民営化法以降変わっていない。それは、自民党内でも、郵政民営化に対する反対勢力が厳然たる力を持っているからである。そのために、ユニバーサルサービスの義務という、完全民営化に対しては明らかに「足かせ」になる要因が残ったまま、日本郵政の株式売却の予定は法的に義務付けられ、その方向に向かって、日本郵政の経営が行われた結果が、今回の保険不適切販売となった。 政治的バイアスは、民営化を促進する方向にも、抑制する方向にも働く。民営化され、上場企業になったにもかかわらずユニバーサルサービスの責務を負っているというのも、まさに、両面の政治的バイアスの産物だと言える。日本郵政は、このような政治的バイアスを受けて、無理に短期的な目標設定をしたり、強引に成果を実現しようとした結果、問題や不祥事が発生するということが繰り返されてきた。 日本郵政を完全に民営化し、純粋に民間会社として運営し、利潤の極大化という株式会社の論理を貫徹していく、というのは一つの選択である。その場合は、ユニバーサルサービスの責務は見直さなければならないし、過疎地も含め全国に残る郵便局のうち、不採算局は統廃合し、郵便局員の人員整理も行わなければならないであろう。 一方、日本の「田舎」「故郷」の最後の砦とも言える郵便局網を最後まで守り抜いていく、というのも選択肢としてあり得る。その場合は、日本郵政の民営化の進め方も相当な制約を受けざるを得ないであろう。 いずれの方向を指向するのか、それは、日本社会の選択であり、政治の決断である。その根本問題をなおざりにしたまま、民間会社的な考え方による「不正の再発防止」だけで、今回の問題を決着させた場合には、日本郵政グループ内で、金融商品販売をめぐる問題が今後も多発し、混迷が一層深まることにつながりかねない。 政府は、日本郵政を、今後どうしようとしているのだろうか』、説得力に溢れた主張で、全面的に同意する。民営化時に守旧派が課した「ユニバーサルサービスの責務」がこうした矛盾の根源にあるようだ。私は増田氏はこれまで評価してきたのだが、日本郵政の社長という「火中の栗を拾う」に至った背景も知りたいものだ。
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