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日本の政治情勢(その42)(古い「仲間内資本主義」では新しい成長産業は育たない、「検事長定年延長」で検察は政権の支配下に~森法相の答弁は説明になってない、小田嶋氏:10人の部下を持つ人間がウソをつくと 10人のウソつきが誕生する) [国内政治]

日本の政治情勢については、2月7日に取上げたばかりだが、今日は、(その42)(古い「仲間内資本主義」では新しい成長産業は育たない、「検事長定年延長」で検察は政権の支配下に~森法相の答弁は説明になってない、小田嶋氏:10人の部下を持つ人間がウソをつくと 10人のウソつきが誕生する)である。

先ずは、立教大学大学院特任教授・慶應義塾大学名誉教授の金子 勝氏が2月19日付けダイヤモンド・オンラインに掲載した「古い「仲間内資本主義」では新しい成長産業は育たない」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/229216
・『「桜を見る会」疑惑追及が優先されるべき理由  安倍晋三首相は、通常国会での施政方針演説で、地元後援者らを税金でもてなした「桜を見る会」の疑惑も、「カジノ汚職」も、菅原・河井元大臣らの公選法違反問題にも言及せず、ひたすら東京五輪の「成功」を目指すことや「改憲」の意欲を喧伝した。 その後の予算委員会でも、桜を見る会の推薦者名簿の調査や夕食会の明細書などの提出にも応じないままだ。17日には、夕食会代のホテルへの支払いは参加者個人がやり、ホテルは参加者個人に宛名のない領収書を出したなどと、安部首相が説明してきたことを、ホテル側が、野党に出した文書で「否定」していることが野党側から明らかにされたが、首相が国民に対し疑惑を自ら払拭しようという姿勢は感じられない。 与党からは「いつまで桜(を見る会の追及)をやっているのか」「もっと議論すべき重要なことがある」と、幕引きを図る声も出るが、「潔白」を言うなら、国民が納得するきちんとした説明をすべきだろう。 社会全体を考えるべき政治家が税金を私物化し、官僚組織が政権におもねって、公文書を廃棄したり改ざんしたりして証拠を隠すようなことがまかりとおることになれば、社会の規範が一気に崩れる。 “仲間内”で利益を分け合い、権力に近い人間だけが甘い汁を吸うことで、公正なルールを壊してしまうと、モラルは壊れ、企業経営も産業も腐っていく。 日本はその「寸前」に来ている』、金子氏の危機感がひしひしと伝わってくる。
・『安倍政権の体質は「クローニーキャピタリズム」  安倍政権の体質は、開発独裁によく起きるクローニーキャピタリズム(仲間内資本主義)に似ている。 このことは「森友・加計問題」でもさんざん批判されたが、最近でも同じようなことがいくつか起きた。 一つは、政権に近いとされる黒川弘務東京高検検事長(63)の定年を半年間、延長することが、1月末の閣議で決められた問題だ。 黒川氏は2月8日に、検察庁法の規定にある63歳の定年を迎える予定だった。検察官の定年延長は過去に例がなく、稲田信夫検事総長が慣例通り約2年の任期で勇退することを念頭に、黒川氏を検事総長になれるようにしたといわれている。 法務省の官房長や事務次官を務めた黒川氏は、安倍政権では共謀罪などの重要法案策定にたずさわり、菅官房長官と近いとされる。 首相は国会での質問に、この人事は「法務省の中で決定し、閣議決定した」としか答えていないが、異例の事態に法務省や検察内からも驚きの声が上がっているという。 途上国などでは、為政者が司直の手が自らに及ばないようにしたり、政敵を摘発したりする狙いで“子飼い”を捜査当局の要職につけることがままある。 まさか、そんなことを考えているわけではないと信じたいが、安倍政権では、2013年にも「法の番人」とされる内閣法制局長官に、内部昇格という慣例を破って憲法解釈の変更に前向きな外務省出身者を起用した“前科”がある。 「お友達」の政治家を大臣に登用、霞が関の幹部職員の人事権を官邸が握り、政権に忠実な役人を側近として重用してきた安倍政権だが、政治的中立性や独立性が厳しく担保されるべき組織の人事まで“私物化”が始まっている。 「身内へのえこひいき」ぶりに自民党内からも批判が出たのが、昨夏の参院選でウグイス嬢ら選挙運動員に3万円という、法定の倍以上の日当を払っていた河井案里参議院議員に対する優遇だ。 派手な選挙運動の原資として、党本部から、通常の約10倍の1億5000万円が振り込まれていたという。 もともと広島選挙区では、溝手顕正・元国家公安委員長(元参院議員会長)が議席を持っていたが、首相は、首相補佐官を務めた側近の河合克行前法相の妻だった案里氏を擁立、強引に2人の候補者を出した。 落選した溝手氏は第1次安倍政権下で行われた2007年参院選での自民惨敗を「首相の責任」と批判し、民主党政権時代の2012年に安倍氏が消費増税関連法案への賛成と引き換えに「話し合い解散」を迫った際も、「過去の人」と評する など反安倍発言が目立っていたという。 選挙では 案里氏には首相や二階幹事長が入れ代わり立ち代わり応援に訪れるなど露骨な肩入れをしたのに対し、溝手氏が党本部から受け取ったのは1500万円だったという。 案里氏側に流れた資金には、国の政党交付金も入っていたが、首相や政権の権力維持のために税金が使われる構図は「桜を見る会」と同じだ』、「クローニーキャピタリズム」が日本のような先進国で起きているとは、恥ずかしい限りだ。「検察官の定年延長」問題は、第二、第三の記事でも紹介する。「反安倍発言が目立っていた」「溝手氏」を落選させるための、党本部からの「通常の約10倍の」カネが買収に使われ、逮捕目前になっているのも、酷い話だ。
・『現職国会議員が逮捕された「カジノ汚職」も、仲間内資本主義の体質と無縁ではない。 カジノを含む統合型リゾート(IR)への進出を狙った中国企業が、現金や中国、北海道への旅行費用など、総額800万円近くを贈与したとされる秋元司衆議院議員は、IRを所管する内閣府副大臣だった。 IR進出を狙って中国企業が安倍政権のIR担当副大臣を頼ったのはある意味、当然だった。 秋元議員から、当時、与党内で協議中だったカジノ法案の検討状況などの情報を得ることを期待し、また内閣官房の担当者を紹介してもらい、IR地域に指定される自治体の拡大を働きかけたという。 秋元議員のほかにも、この中国企業のカネが 通称「IR議連」とよばれるカジノ誘致の国際観光産業振興議員連盟の岩屋毅幹事長や、IR問題を所管する菅官房長官に近い議員らにも流れていた。 安倍政権では身内のコネが強力な利権獲得の手段になることを意識していたからだろう。 安倍首相自身も2017年2月の日米首脳会談の後、トランプ大統領から米カジノ業者の日本進出への尽力を要請されたり、カジノ業者らとの会合に出席したりしたことが報じられている』、「カジノ汚職」での「秋元議員」は氷山の一角に過ぎないが、仮に全貌が明らかになれば、政権がひっくり返るだけでなく、自民党・維新の会には大打撃となるため、「検察官の定年延長」問題につながった可能性がある。
・『古い“縁故主義”で成長戦略は惨憺たる結果  カジノは安倍政権の「成長戦略」の一つだが、事実上、事業の成否は許認可をどう取るかだ。もともと成長戦略といえる代物ではないのだが、古い縁故主義に支配された産業政策から新しい産業が生まれないことは明らかだ。 実際に、安倍政権の「成長戦略」は惨憺たる結果だ。 国家戦略特区事業で、ニューライフサイエンスと言いながら研究業績がほとんどないにもかかわらず、安倍首相と理事長が大学時代からの友人という加計学園が選ばれた。 また、スーパーコンピューターの開発事業でも、安倍首相を取り巻く人脈(たとえば著作『総理』を書いた山口敬之元TBS記者)と近い関係にあった齊藤元章社長のペジーコンピューティングが、文科省や経産省からベンチャー支援のために巨額の助成金を詐取することになった。 齊藤氏は、2015年5月に麻生太郎副総理が国会で称賛し、翌年10月には経済財政諮問会議の「2030年展望と改革タスクフォース」で委員に抜擢されていた。 齊藤氏は、開発費を水増しした虚偽の実績報告書を新エネルギー・産業技術総合開発機構に提出、受け取った助成金を負債の返済や会社の資金繰りにあてていた。 約100億円もの助成金 のうち、文科省などの60億円が返還されたが、28億円 がまだ返還されていない』、「ペジーコンピューティング」では、伊藤詩織さんをレイプした安部首相と親しいジャーナリストの山口敬之氏が、同社から高級マンションの家賃を出してもらっていたようだ。山口敬之氏の罪も不問にされた。
・『縁故主義で権力者周辺の者だけが利益を得るようなり、しかもトップの責任者が居直ると、不正と腐敗が組織全体に行き渡る。不正と腐敗が野放しになると、政府も企業も公正なルールに欠け情報開示もないまま、赤字や損失を垂れ流しても当たり前になる。 モラルや規律が崩壊した典型が官民ファンドである。14の官民ファンドのうち、アベノミクスとともに成長戦略を実現するはずの12のファンドが設立されたが、すでに2017年度末時点で8つが累積損失を出していった。惨憺たる結果だ。 海外への新たな事業展開を支援する官民ファンドのクールジャパン機構(海外需要開拓支援機構)も、利益が上げられず、累積損失が約179億円に達している。 出資企業に対して損失を税金で補填する仕組みになっているが、2014~17年公表の事業のうち少なくとも7件で、機構の株主企業6社に出資総額の3割にあたる約196億円が還流されていた。 たとえば、吉本興業は昨年4月にクールジャパンから100億円もの出資が決まった。その時は、大阪でのG20に合わせて、「なんばグランド花月」の「吉本新喜劇」に安倍首相がサプライズ出演し、6月には、出演の返礼に「吉本新喜劇」の出演メンバーらが官邸を訪問したとされる。 まるで「友達扱い」だが、吉本興業の教育事業への出資は、反社会勢力との「闇営業」が問題になったにもかかわらず、結局、そのまま決められた。 INCJ(旧産業革新機構)が出資した半導体のルネサスやディスプレーのJDI(ジャパン・ディスプレイ)の失敗も惨憺たるものだ。厳しい業績審査があるわけではなく、税金がズブズブ注ぎ込まれていった。 JDIは日立製作所、東芝、ソニーの中小型液晶パネル事業を統合して、韓国や台湾企業などとの価格競争に敗れた液晶産業を、政府主導で再構築するねらいで作られた。 発足は安倍政権前だが、その後、2015~16年にかけ、累計100億円程度の在庫の過大計上が行われ、営業損益のかさ上げや損失先送りなどの粉飾決算の疑惑が出ている。これまで約3500億円もの税金が投入されたが、経営は上向かないまま。2019年3月期決算では1094億円の最終赤字だ。 台湾と中国の企業連合「SUWAインベストメント」から800億円の資本を受け入れる計画もとん挫、代わっていちごアセットグループに買収される方向に変わるなど、「投げ売り」状態になっている。 官民ファンドがうまくいかないのも、先端技術の知識もマーケティング能力もない、大企業と官庁の寄せ集めの組織体で統一した経営戦略が打ち出せない一方で、所轄官庁の下で失敗がチェックされないまま役所の天下りや助成金の受け皿になっていて経営規律が働きにくいことがある。 しかも国のトップがこのありさまだから、責任をとる者は誰もいない』、「官民ファンド」については、このブログでも機構資本主義として取上げている。
・『日銀の大規模緩和策 規律喪失させ市場不全に  これだけ規律や公正なルールが壊れた社会では、新しい産業が生まれたり経済が活性化したりすることはない。 一方で公文書やデータの改ざんや隠蔽を繰り返しても責任を問われなければ、その場しのぎのインチキやゴマカシが横行する。かつては考えられなかったような企業の検査データなどの偽装が、三菱自動車をはじめ、旭化成建材や日産自動車、富士重工など、名だたる一流企業で次から次に発覚するのも、無関係ではない。 加えて目標も目的も見失ったまま、日銀の大規模金融緩和やマイナス金利政策が続けられていることも、日本経済の規律喪失や弛緩を助長する。 安倍首相が「政治任用」した黒田東彦総裁のもとで超金融緩和が続けられているが、「2年」で実現するとした「2%物価目標」は、7年近くたっても達成できないまま、金融緩和とマイナス金利を続けざるをえないでいる。 その結果、地銀・信金に経営困難をもたらす一方で、金利負担がなく、場合によっては日銀が社債を買ってくれるので、ソンビ企業でも経営責任を問われずに生き残ることができる。 おまけに日銀を筆頭にGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人) や共済年金やゆうちょ銀行、かんぽ生命が株買いで株価を支えてくれる。 ストックオプションを得た経営者たちは、地道な技術開発投資をせず、労働分配率を切り下げても、内部留保をため込み、配当を増やし、自社株買いで株価をつり上げれば、短期的に利益を得ることができる。 結果として、日銀は緩和を続けるしかなく、金融政策は出口のないネズミ講のようになり、株式市場も機能不全に陥ってしまっている。 本来、株式市場は、新商品開発や技術革新で成長を競う企業の活動が株価として見える化され、それが新たな投資を呼び込み、さらなる企業の成長につなげる役割だが、そうした「自由主義」経済のダイナミズムも働かなくしてしまっているのだ。 安倍政権の下で、産業の競争力低下が起き、日本経済がどんどん朽ち果てていくのは当然だろう』、「企業の検査データなどの偽装が・・・名だたる一流企業で次から次に発覚するのも、無関係ではない」、「「自由主義」経済のダイナミズムも働かなくしてしまっている」、説得力溢れた主張で、全面的に同意する。

次に、元東京地検特捜部検事で弁護士の郷原信郎氏が2月5日付け同氏のブログに掲載した「「検事長定年延長」で検察は政権の支配下に~森法相の答弁は説明になってない」を紹介しよう。
https://nobuogohara.com/2020/02/05/%e3%80%8c%e6%a4%9c%e4%ba%8b%e9%95%b7%e5%ae%9a%e5%b9%b4%e5%bb%b6%e9%95%b7%e3%80%8d%e3%81%a7%e3%80%81%e6%a4%9c%e5%af%9f%e3%81%af%e6%94%bf%e6%a8%a9%e3%81%ae%e6%94%af%e9%85%8d%e4%b8%8b%e3%81%ab%ef%bd%9e/
・『2月1日の【黒川検事長の定年後「勤務延長」には違法の疑い】と題する記事で、検察庁法が、刑訴法上強大な権限を与えられている検察官について、様々な「欠格事由」を定めていることからしても、検察庁法は、検察官の職務の特殊性も考慮して、検事総長以外の検察官が63歳を超えて勤務することを禁じる趣旨と解するべきであり、検察官の定年退官は、国家公務員法の規定ではなく、検察庁法の規定によって行われると解釈すべきだとして、違法の疑いを指摘したところ、大きな反響を呼び、この問題は、昨日(2月3日)の衆議院予算委員会でも取り上げられた。 渡辺周議員の質問に、森雅子法務大臣は、「検察庁法は国家公務員法の特別法に当たります。そして特別法に書いていないことは一般法である国家公務員法が適用されることになります。検察庁法の22条をお示しになりましたが、そちらには定年の年齢は書いてございますが勤務延長の規定について特別な規定は記載されておりません。そして、この検察庁法と国家公務員法との関係が検察庁法32の2に書いてございまして、そこには22条が特別だというふうに書いてございまして、そうしますと勤務延長については国家公務員法が適用されることになります」と答弁した。 森法相は、検察庁法と国家公務員法が特別法・一般法の関係にあると説明したが、何とかして、黒川検事長の定年延長を理屈付けようとした政府側の苦しい「言い逃れ」に過ぎない。 問題は、検察庁法22条の「検事総長は、年齢が65年に達した時に、その他の検察官は年齢が63年に達した時に退官する。」という規定が、「退官年齢」だけを規定したもので、「定年延長」については規定がないと言えるのかどうかである。検察庁法の性格と趣旨に照らせば、「退官年齢」と「定年延長は認めない」ことの両方を規定していると解するのが当然の解釈だろう。 裁判官の定年退官について、憲法80条では「その裁判官は、任期を十年とし、再任されることができる。但し、法律の定める年齢に達した時には退官する。」と定められ、裁判所法50条で「最高裁判所の裁判官は、年齢70年、高等裁判所、地方裁判所又は家庭裁判所の裁判官は、年齢65年、簡易裁判所の裁判官は、年齢70年に達した時に退官する。」とされている。憲法の規定に基づく裁判所法の「年齢が~年に達した時に退官する」と同様に、検察庁法で規定する「定年」は、その年齢を超えて職務を行うことを認めない趣旨だと解するべきである。 森法相は、「裁判官も国家公務員だから、裁判所法の定年退官の規定は、年齢だけを定めたもので、定年延長については規定していないので、一般法の国家公務員法の定年延長の規定が適用される」とでも言うのであろうか』、「森法相」の答弁は明らかに無理がある。
・『そもそも、検察庁という組織において、国家公務員法82条の3の「その職員の職務の遂行上の特別の事情からみてその退職により公務の運営に著しい支障が生ずる」というような事態が生じることがあり得るのか。検察庁法が規定する検察官の職務と検察庁の組織に関する「検察官一体の原則」からすると、そのようなことは想定できない。 検察庁法1条の「検察庁は検察官の行う事務を統括するところとする」という規定から、個々の検察官は独立して検察事務を行う「独任制の官庁」とされ、検察庁がその事務を統括すると解されている。それは、官庁のトップの有する権限を、各部局が分掌するという一般の官公庁とは異なる。つまり、検察官は、担当する事件に関して、独立して事務を取り扱う立場にあるが、一方で、検察庁法により、検事総長がすべての検察庁の職員を指揮監督する(7条)、検事長、検事正が管轄区域内の検察庁の職員を指揮監督する(8条、9条2項)とされていることから、検事総長、検事長、検事正は、各検察官に対して指揮監督権を有し、各検察官の事務の引取移転権(部下が担当している事件に関する事務を自ら引き取って処理したり、他の検察官に割り替えたりできること)を有している。それによって「検察官同一体の原則」が維持され、検察官が権限に基づいて行う刑事事件の処分、公判活動等について、検察全体としての統一性が図られている。 検察官の処分等について、主任検察官がその権限において行うとされる一方、上司の決裁による権限行使に対するチェックが行われており、事件の重大性によっては、主任検察官の権限行使が、主任検察官が所属する検察庁の上司だけでなく、管轄する高等検察庁や最高検察庁の了承の下に行われるようになっている。 このように、検察の組織では、検察官個人が独立して権限を行使するという「独立性のドグマ」と、検察官同一体の原則による「同一性のドグマ」との調和が図られているのであるが、少なくとも、検察官の職務については、常に上司が自ら引き取って処理したり、他の検察官に割り替えたりできるという意味で「属人的」なものではない。特定の職務が、特定の検察官個人の能力・識見に依存するということは、もともと予定されていないのである』、「森法相」答弁の根拠は見事に覆された。
・『検察庁という組織には、定年後の「勤務延長」を規定する国家公務員法81条の3の「職員の職務の特殊性又はその職員の職務の遂行上の特別の事情からみてその退職により公務の運営に著しい支障が生ずると認められる十分な理由があるとき」というのは、もともと想定されていないというべきである。 森法相は、黒川検事長の「勤務延長」の理由について、「東京高検検察庁の管内において遂行している重大かつ複雑困難事件の捜査公判に対応するため、黒川検事長の検察官としての豊富な経験知識等に基づく管内部下職員に対する指揮監督が不可欠であると判断したため、当分の間引き続き東京高検検察庁検事長の職務を遂行させる必要があるため、引き続き勤務させることとした」と答弁した。 しかし、少なくとも、黒川検事長の「検察官としての豊富な経験知識等に基づく管内部下職員に対する指揮監督が不可欠」とは考えられない。ここでの「部下職員」は、主として東京高検の検察官や、東京地検幹部のことを指すのであろうが、黒川検事長の勤務の大半は「法務行政」であり、検察の現場での勤務は、合計しても数年に過ぎない。また、検事正の勤務経験も、松山地検検事正着任直後に、大阪地検不祥事を受けて法務省に設置された「検察の在り方検討会議」の事務局に異動したため、僅か2か月程度に過ぎない。他の、東京高検検察官、東京地検幹部の方が、遥かに「検察官としての経験」は豊富である。 黒川検事長の定年延長についての森法相の答弁は、法律解釈としても疑問だし、実質的な理由も全く理解できない。それが、次期検事総長人事を意図して行われたとすれば、「検事総長自身による後任指名」の慣例によって「独立性」を守り、それを「検察の正義」の旗頭としてきた検察にとって「歴史的な敗北」とも言える事態である。 かねてから、内部で全ての意思決定が行われ、外部に対して情報開示も説明責任も負わない閉鎖的で自己完結的組織が「検察組織の独善」を招くことを指摘してきた私は、「検察の独立性」を守ることにこだわるつもりは毛頭ない。しかし、内閣固有の検事総長の指名権を正面から行使するのではなく、違法の疑いがある定年延長という方法まで用いて検察トップの人事に介入しようとするやり方には、重大な問題がある。責任を回避しつつ、意向を実現しようとする「不透明性」なやり方で、安倍政権は、検察組織をもあからさまに支配下におさめようとしているといえよう』、「黒川検事長の勤務の大半は「法務行政」であり、検察の現場での勤務は、合計しても数年に過ぎない」、初めて知った。ますます延長の根拠が揺らいだようだ。「責任を回避しつつ、意向を実現しようとする「不透明性」なやり方で、安倍政権は、検察組織をもあからさまに支配下におさめようとしているといえよう」、野党ももっと追及してほしい。

第三に、コラムニストの小田嶋 隆氏が2月21日付け日経ビジネスオンラインに掲載した「10人の部下を持つ人間がウソをつくと、10人のウソつきが誕生する」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00116/00058/?P=1
・『東京高検検事長の定年が延長されたニュースの第一報が流れたのは、先月末(1月31日)だった。 この時点の記事は、リンク切れになっている。 新聞社にとって、記事が、コストと人員をかけた制作物であり、なおかつ大切な収益源であることを考えれば、読者たる私たちが、記事の無料公開を期待するのは、虫の良すぎる話なのだろう。この点は理解できる。当然だとも思う。 ただ、一定の期間を過ぎた記事をいきなりリンク切れにするのではなく、有料での閲覧に切り替えるなり、過去記事閲覧サービスへの紹介ページに誘導するなりの措置は、あってしかるべきだと思う。 自分の原稿に限らず、ちょっと前のブログ記事やウェブ上のコンテンツからリンクした先の記事が、行方不明になっていた時の失望感はバカにならない。メディア各社には、ぜひリンク切れ記事の処理の再考をお願いしたい。ちなみに、諸外国では、過去記事は国民共有の財産(ないしは情報源)として、無料で公開している例も少なくないと聞く。過去記事を太っ腹に公開することで、記事閲覧サービスへの加入者拡大を促す可能性もゼロではないと思う。ぜひ検討してもらいたい。 話を元に戻す。私が個人的にクリップしていた記事を要約すると、1月末の時点の朝日新聞の記事は、当該の人事が閣議決定されたことと、検事長が検察官の定年を超えて勤務を続けるのが初めてのケースである旨を簡単に伝えたものだった。 翌2月1日付の朝日新聞デジタルの有料記事では、《高検検事長の定年延長、官邸介入で「やりすぎでは」の声》という見出しで、手続きの異例さと、当該の人事への反響を伝えている。 2月11日には、東京新聞が「視点」という編集局次長による署名原稿の形で、《検事長人事案を官邸に蹴られた… 前代未聞の人事介入は検察の独立性を揺るがす》という解説記事を掲載した。 本文では 《黒川氏は法務省の官房長、次官を計七年五カ月も務め、与党に幅広い人脈を持つ。この間、検察は政治家の絡む事件に積極的に動くことはなかった。「安倍政権の守護神」とやゆされたこともあった。今回の定年延長は「腐敗摘発はほどほどに」という検察へのメッセージだと受け止めた国民も多かったと思う。検察の独立性を揺るがすことだと想像できないのだろうか。長期政権末期の腐臭が漂う出来事である。》と、きびしく断言している』、「長期政権末期の腐臭が漂う出来事である」との手厳しい批判は、さすが「東京新聞」らしい。
・『さらに2月19日には、毎日新聞が「水説」という同紙の専門編集委員による署名入りの連載コラムで《怒れる検事長OB》という見出しの文章を載せている。 ここでは、《知り合いの検事長OBに聞いてみた。国家公務員法の適用は妥当かと。「僕はそう思わない」と一人は言った。「これはルール・オブ・ロー(法規範)から外れている。内閣と検察がお互いに緊張感を持って仕事をするのがルールだ」。別の一人はもっと直接的だった。「黒川君を抱えないとやれない重要事件って何よ。総理や法務大臣に定年が恣意(しい)的に動かされると、検察官の独立性に影響する可能性がある。怒っている人が多い」》と、法曹界内部に広がる怒りと反発の声を紹介している。 ともあれ、新聞各社は、現政権による異様な人事への憂慮の念を記事化すべく、努力を続けている。 個人的に、このニュースは、現政権が「人間」を道具のように扱うやりざまのひとつの典型例だと思っているのだが、より専門的な見地から、今回の人事を、三権分立の原則を脅かすとてつもない暴挙だと評している人たちもいる。 当稿では、そこのところには触れない。 理由は、私が法の支配や三権分立に関して専門的な知識を持っていないからでもあるのだが、それ以上に、個人的な関心に訴えたのが、「ボスと下っ端の間のやりとり」という、より卑近なテーマだったという事情に依拠している。 私たちは、上からのゴリ押しに弱い。 コンビニの店長とアルバイトの関係で日々起こっているのと同じことが、政権の中枢でも繰り返されている。 うちの国の民の多くは、原理原則よりも目先の人間関係の圧力に従うことで日々の暮らしを営んでいる。 その人間的な弱さのあらわれ方が、あまりにも身に迫って感じられたので、今回はその話をする。ウソをつかされる人間の心が、どんなふうに死んでいくのか。これは人ごとではない。圧迫的な人間関係の中で暮らしている日本人の多くが毎日のように経験していることだ。 検事長の定年延長をめぐる話題が国会で取り上げられると、野党側からの質問に対して、しかるべき立場の官僚が説明をせねばならないわけなのだが、権力勾配のもたらす圧力は、当然、この立場の人間に集中することになる。 面白かったのは、人事院のお役人の答弁の変遷だ。 記事によれば、答弁に立った人事院の松尾恵美子給与局長は、2月12日の衆院予算委員会で 《定年延長導入を盛り込んだ国家公務員法改正案が審議された1981年、人事院が「(延長は)検察官には適用されない」との解釈を示していたことを指摘され、「現在まで同じ解釈を続けている」と答えた。》ことになっている。それが、19日には《立憲民主党の山尾志桜里氏の質問の際、松尾氏が「『現在』という言葉の使い方が不正確だった。撤回させていただく」と答えた。さらに1月22日に検察庁法を所管する法務省から定年延長について相談があり、24日に「異論はない」と書面で返答したとも説明。森雅子法相も解釈を変更した時期を「1月下旬」と答えた。》てなことになっている』、「私たちは、上からのゴリ押しに弱い・・・私たちは、上からのゴリ押しに弱い」、鋭い指摘で、その通りだ。
・『松尾局長は、山尾氏の「なぜ2月12日の時点で解釈変更に言及せず、解釈を引き継いでいると説明したのか」という追い打ちの質問に対して 「つい言い間違えた」と答えている。 これには驚いた。あんまりびっくりしたので、この時のやりとりは、わざわざネット動画を探しに行って確認した。 と、松尾局長は、本当に「つい言い間違えた」と言っている。なんと。本当に、生身の人間が、国会で「つい言い間違えた」と言わされていたのである。 私自身、こんな国会答弁を聞いたのは初めてだ。 見ていて気の毒になった。いや、動画を見てもらえればわかる。彼女の表情はまったく生気を失っている。これほどまでにいたましい人間の振る舞い方を見て、心を痛めない人間はそんなにいないはずだ。 松尾局長はさらに 「隠すつもりはなかったが、聞かれなかったので答えなかった」と述べている。 これにも、びっくりだ。こんなバカな答えがあるものだろうか。 でもって、質問の最後の部分を記録した映像には、答弁席に立ち尽くす松尾局長に向かって、後方の閣僚席に座っている茂木外務大臣が、 「帰れ!帰れ!」と促す声が記録されている。茂木大臣が発動したあからさまな恫喝については別の機会に別の場所で触れることがあるかもしれない。とりあえずここではこれ以上の言及はしない。「あきれた」とだけ言っておく。 大切なのは、松尾局長が、ご自身の12日の答弁と、安倍首相が国会で述べた言葉の不整合を調整して、首相の発言に沿って「現在」の法解釈を合わせるべく、無理な路線変更を余儀なくされたことだ。 つまり、彼女は「辻褄を合わせる」ミッションを負っていたわけだ。 そこのところから考えて、松尾局長が、「つい言い間違えた」などという愚かしい答弁をせねばならなかったのは、彼女が無能だったからではない。愚かだったからでもない。松尾局長が、見苦しい答弁をせねばならなかったのは、彼女が正直な回答をブロックされていたからだ。 本当のことを言ってはいけない立場に立たされた時、正直な人間は、正体を失う。自分自身をさえ失う。 彼女は、自分が従事している仕事の職業倫理に反する回答を求められ、それを衆人環視の中で自分の口から吐き出さなければならなかった。 とすれば、ロボットみたいな無表情で機械的な発話を繰り返すか、でなければ、3歳児の如き無垢を発揮するほかに対処のしようがないではないか』、森友学園問題で、近畿財務局が職員が決裁文書改ざんを強要され、自殺者という犠牲者まで出したことも記憶に新しいところだ。
・『松尾局長は、この時、「口裏を合わせる」ことを求められていた。 これまで、幾人の高級官僚がこのこと(←政権中枢の発言に事後的に口裏を合わせること)を求められ、そしてそのミッションを果たすことによって、自らの人間の尊厳を喪失してきたことだろうか。 おそらく、公衆の面前であからさまなウソをついてしまった人間のうちの何割かは、二度とそれ以前の自分に戻れなくなっているはずだ。 意に沿わぬウソをつかされた人間は、精神的に死んでしまう。 中には本当に死んでしまう人もいる。 松尾さんには、ぜひ立ち直ってもらいたいと思っている。 やや手加減した言い方をすればだが、私は、安倍総理が、自らの過去の言動と現在の立ち位置との間に生じる矛盾を覆い隠すために塗り重ねてきたウソの中には、結果的にウソになってしまった分も含めて、無理のない話もあったのだろうと思っている。 誰であれ、やっていることと言っていることとの間には、多少の齟齬があるものだし、過去にやってしまったことと、現在やろうとしていることとの間には、多かれ少なかれ矛盾点や食い違いが生じるものだからだ。 ただ、上の立場の人間がウソを押し通す時、その下で働く人間は、ボスのウソをカバーする立場に追い込まれる。これは、当事者にとっては、非常に苦しいミッションだ。 安倍さんは、その、とてつもなく不毛で罪深い仕事を、自分の足元にいる非常に広範囲の人間たちに強要している。私の個人的な考えでは、安倍政権の罪は、ウソをついたことそのものよりも、部下にウソをつかせ続けてきたことの中にあると思っている。 ウソをつかされた人間は、死んでしまう。 自分のウソを糊塗するためにウソをつくのもそれはそれでキツい仕事だが、他人が勝手に言い放ったウソの尻拭いのために自分が人前でウソをつかねばならない立場に追い込まれることは、誇り高い人間にとっては、死を意味している。 ANAホテルの広報担当者が、新聞の取材に対して首相答弁を否定する回答をした旨の記事を受けて、2月の17日に、私は以下のようなtwを投稿した。ぶら下がっているスレッドともどもご笑覧いただきたい。 《ホテルにとっての一番の財産は信用だ。ただ、信用の置けるホテルには二種類ある。ひとつは、太客がウソをついた時に口裏合わせをしてくれるホテルで、もうひとつは法と正義と真実を大切にするホテルだ。どちらのホテルに信用を置くのかは人それぞれだ。個人的には後者を信用する人間を信用したい。》 ここで言う、「信用の置けるホテル」のうちの前者(←太客がウソをついた時に口裏合わせをしてくれるホテル)は、具体的には、ホテルニューオータニを指している』、「上の立場の人間がウソを押し通す時、その下で働く人間は、ボスのウソをカバーする立場に追い込まれる。これは、当事者にとっては、非常に苦しいミッションだ。 安倍さんは、その、とてつもなく不毛で罪深い仕事を、自分の足元にいる非常に広範囲の人間たちに強要している」、その通りだ。
・『ホテルニューオータニは、「ホテル側が約800人の前夜祭参加者と個別に契約し、個別に領収書のやりとりをした」という首相の説明をいまもって否定していない。このほか、当日の会費の設定や、明細書の有無や、契約した当事者の名前も含めて、一切明らかにしていない。つまり、太客である首相夫妻ならびに政府にとって都合の悪い情報に関しては口を閉ざしている。 これはこれで、「信用」を守るひとつの姿勢ではある。 とはいえ、ここで防衛されている「信用」は、太客である首相とホテル側の間で個別的に紐帯されている個別的な信用に過ぎない。ということは、太客でない大部分の宿泊客からしてみれば、「差別待遇」ですらある。いずれにせよ、普遍的な意味での「信用」ではない。 一方、ANAホテルが守っている「信用」(←法と正義と真実を大切にするコンプライアンスに寄り添った信用)は、すべてのホテル客と共有可能な、世界中どこの国でも通用するグローバルで普遍的な「信用」だ。 さてしかし、17日の時点までは、メディア各社の取材にメールで回答していたANAホテルは、18日に自民党と会談した後の19日以降、「個別の事案に関するお問い合わせに関しては、回答を差し控える」という姿勢に転換している。 このANAホテルの対応の変化について、毎日新聞は、19日《首相答弁否定のANAホテル、自民幹部と会談後に“沈黙”…圧力はあったのか?》という記事をアップしている。 あるいは、政府は、インターコンチネンタルホテルのコンプライアンスを殺しにかかっているのだろうか。 うちの国の政権中枢に連なる人々は、これまで、財務省の官僚に不自然な答弁を強要し、公文書を改ざんさせ、ホテルの担当者に沈黙を求め、人事院の官僚に答弁を撤回させてきた。 一つのウソを守るために、10のウソが必要になるというのは、よく言われる話で、実際、時系列に沿って考えればその通りなのだと思う。 もう一つウソという同じ言葉について、権力勾配に沿って考える見方を推奨しておきたい。 10人の部下を持つ人間がウソをつくと、10人のウソつきが誕生する。 安倍首相ご自身は、あるいは、ウソをついている自覚を持っていないのかもしれない。 しかし、ご自身が何百人何千人のウソつきを生産していることは、ぜひ自覚してもらいたい。ついでに、その何百人何千人のウソつきたちの心が、かなりの度合いで死んでいることも、できれば思い出してあげてほしい。ぜひ』、「安倍首相」は本当に罪深い人物で、このままでは官僚機構はボロボロに壊れてしまいかねないようだ。
タグ:日本の政治情勢 (その42)(古い「仲間内資本主義」では新しい成長産業は育たない、「検事長定年延長」で検察は政権の支配下に~森法相の答弁は説明になってない、小田嶋氏:10人の部下を持つ人間がウソをつくと 10人のウソつきが誕生する) 金子 勝 ダイヤモンド・オンライン 「古い「仲間内資本主義」では新しい成長産業は育たない」 「桜を見る会」疑惑追及が優先されるべき理由 社会全体を考えるべき政治家が税金を私物化し、官僚組織が政権におもねって、公文書を廃棄したり改ざんしたりして証拠を隠すようなことがまかりとおることになれば、社会の規範が一気に崩れる “仲間内”で利益を分け合い、権力に近い人間だけが甘い汁を吸うことで、公正なルールを壊してしまうと、モラルは壊れ、企業経営も産業も腐っていく 安倍政権の体質は「クローニーキャピタリズム」 検察官の定年延長は過去に例がなく 為政者が司直の手が自らに及ばないようにしたり、政敵を摘発したりする狙いで“子飼い”を捜査当局の要職につける 内閣法制局長官に、内部昇格という慣例を破って憲法解釈の変更に前向きな外務省出身者を起用した“前科” 河井案里参議院議員に対する優遇 党本部から、通常の約10倍の1億5000万円が振り込まれていた 「カジノ汚職」 仲間内資本主義の体質と無縁ではない 秋元議員 安倍首相自身も2017年2月の日米首脳会談の後、トランプ大統領から米カジノ業者の日本進出への尽力を要請されたり、カジノ業者らとの会合に出席したりしたことが報じられている 古い“縁故主義”で成長戦略は惨憺たる結果 ニューライフサイエンス 加計学園が選ばれた ペジーコンピューティングが、文科省や経産省からベンチャー支援のために巨額の助成金を詐取 山口敬之 縁故主義で権力者周辺の者だけが利益を得るようなり、しかもトップの責任者が居直ると、不正と腐敗が組織全体に行き渡る 成長戦略を実現するはずの12のファンドが設立されたが、すでに2017年度末時点で8つが累積損失 クールジャパン機構 吉本興業は昨年4月にクールジャパンから100億円もの出資 吉本興業の教育事業への出資は、反社会勢力との「闇営業」が問題になったにもかかわらず、結局、そのまま決められた ルネサス JDI 失敗も惨憺たるもの 大企業と官庁の寄せ集めの組織体で統一した経営戦略が打ち出せない一方で、所轄官庁の下で失敗がチェックされないまま役所の天下りや助成金の受け皿になっていて経営規律が働きにくい 日銀の大規模緩和策 規律喪失させ市場不全に 企業の検査データなどの偽装が、三菱自動車をはじめ、旭化成建材や日産自動車、富士重工など、名だたる一流企業で次から次に発覚するのも、無関係ではない 「2%物価目標」は、7年近くたっても達成できないまま、金融緩和とマイナス金利を続けざるをえない 地銀・信金に経営困難 日銀を筆頭にGPIF 共済年金やゆうちょ銀行、かんぽ生命が株買いで株価を支えてくれる ストックオプションを得た経営者たちは、地道な技術開発投資をせず、労働分配率を切り下げても、内部留保をため込み、配当を増やし、自社株買いで株価をつり上げれば、短期的に利益を得ることができる 「自由主義」経済のダイナミズムも働かなくしてしまっている 郷原信郎 同氏のブログ 「「検事長定年延長」で検察は政権の支配下に~森法相の答弁は説明になってない」 黒川検事長の定年後「勤務延長」には違法の疑い 「その職員の職務の遂行上の特別の事情からみてその退職により公務の運営に著しい支障が生ずる」というような事態が生じることがあり得るのか 「検察官一体の原則」からすると、そのようなことは想定できない 検察官は、担当する事件に関して、独立して事務を取り扱う立場 検事総長がすべての検察庁の職員を指揮監督 検察全体としての統一性が図られている 黒川検事長の「検察官としての豊富な経験知識等に基づく管内部下職員に対する指揮監督が不可欠」とは考えられない 黒川検事長の勤務の大半は「法務行政」であり、検察の現場での勤務は、合計しても数年に過ぎない。 「検事総長自身による後任指名」の慣例によって「独立性」を守り、それを「検察の正義」の旗頭としてきた検察にとって「歴史的な敗北」とも言える事態 責任を回避しつつ、意向を実現しようとする「不透明性」なやり方で、安倍政権は、検察組織をもあからさまに支配下におさめようとしているといえよう 小田嶋 隆 日経ビジネスオンライン 「10人の部下を持つ人間がウソをつくと、10人のウソつきが誕生する」 東京新聞 検事長人事案を官邸に蹴られた… 前代未聞の人事介入は検察の独立性を揺るがす 黒川氏は法務省の官房長、次官を計七年五カ月も務め、与党に幅広い人脈を持つ。この間、検察は政治家の絡む事件に積極的に動くことはなかった。「安倍政権の守護神」とやゆされたこともあった。今回の定年延長は「腐敗摘発はほどほどに」という検察へのメッセージだと受け止めた国民も多かったと思う。検察の独立性を揺るがすことだと想像できないのだろうか。長期政権末期の腐臭が漂う出来事である 毎日新聞 怒れる検事長OB ボスと下っ端の間のやりとり」 人事院のお役人の答弁の変遷 松尾恵美子給与局長 1981年、人事院が「(延長は)検察官には適用されない」との解釈 「現在まで同じ解釈を続けている」 「『現在』という言葉の使い方が不正確だった。撤回させていただく 私たちは、上からのゴリ押しに弱い 「つい言い間違えた」 松尾局長が、ご自身の12日の答弁と、安倍首相が国会で述べた言葉の不整合を調整して、首相の発言に沿って「現在」の法解釈を合わせるべく、無理な路線変更を余儀なくされたこと 松尾局長は、この時、「口裏を合わせる」ことを求められていた 意に沿わぬウソをつかされた人間は、精神的に死んでしまう 上の立場の人間がウソを押し通す時、その下で働く人間は、ボスのウソをカバーする立場に追い込まれる。これは、当事者にとっては、非常に苦しいミッションだ 太客がウソをついた時に口裏合わせをしてくれるホテル ホテルニューオータニ 首相答弁否定のANAホテル、自民幹部と会談後に“沈黙”…圧力はあったのか? 安倍首相ご自身は、あるいは、ウソをついている自覚を持っていないのかもしれない。 しかし、ご自身が何百人何千人のウソつきを生産していることは、ぜひ自覚してもらいたい。ついでに、その何百人何千人のウソつきたちの心が、かなりの度合いで死んでいることも、できれば思い出してあげてほしい
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