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電機産業(その2)(パナソニック:家電部門の本社を中国に移転 狙いは伏魔殿の解体【スクープ】、「働かなくても年収1500万円超」幹部に迫る大リストラ【内部資料入手】、津賀社長が本誌だけに明かした「反転攻勢」の秘策、勝負所で逃げの一手 成長事業を手放すパナソニック 赤字事業撲滅の「止血」に奔走するパナソニックに明日はあるか) [企業経営]

電機産業については、2016年6月21日に取上げたままだった。久しぶりの今日は、(その2)(パナソニック:家電部門の本社を中国に移転 狙いは伏魔殿の解体【スクープ】、「働かなくても年収1500万円超」幹部に迫る大リストラ【内部資料入手】、津賀社長が本誌だけに明かした「反転攻勢」の秘策、勝負所で逃げの一手 成長事業を手放すパナソニック 赤字事業撲滅の「止血」に奔走するパナソニックに明日はあるか)である。

先ずは、本年1月6日付けダイヤモンド・オンライン「パナソニックが家電部門の本社を中国に移転、狙いは伏魔殿の解体【スクープ】」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/224708
・『パナソニックは“賭け”に負けた。家電の次の本業候補として投資を集中させた自動車事業が失速。今度は母屋の家電事業まで低迷し、構造改革が急務な状況にある。そこで、津賀一宏・パナソニック社長は、伏魔殿化した家電部門に解体的出直しを迫る「背水の新モデル」を繰り出そうとしている』、かつての超優良企業が苦しんでいる実態を、4つの記事で紹介する。
・『新設されたCNA社の“裏ミッション”とは  2019年4月に産声を上げたパナソニックの地域カンパニー、中国・北東アジア(CNA)社。次期社長の最右翼と目される本間哲朗・パナソニック専務執行役員が社長を務める、社内でもっとも勢いのあるカンパニーである。 本間専務はCNA社設立の狙いについて、「パナソニックの中国での売上高が、中国のGDP成長率に見合った伸びを示していないという問題を解決するため」と淡々と語っている。本間専務自身は中国語が堪能で、「現地でのプレゼンテーション聞いて驚いた」(パナソニック社員)というほどの腕前だ。中国ビジネスを躍進させる立役者として登用されたのは間違いないだろう。 だが、CNA社を中国攻略のためだけに設けられた地域統括拠点と位置付けるのは、あくまでも表向きの説明だ。 実は、CNA社には“裏ミッション”が課されている。端的にいえば、パナソニックの保守本流であり、伏魔殿と化している家電部門(アプライアンス〈AP〉社)の“解体”だ。 実際に、経営の中枢に身を置くある役員は「家電のライバルが中国などの海外メーカーに変わりつつある中では、強かった白物家電ですら今のビジネスモデルの延長線上では競争に勝てなくなる」と危機感を募らせる。 そして現在、パナソニック上層部では、検討事項として家電部門の本拠地を日本から中国へ移すこと、つまり家電部門の「中国本社」移転計画まで俎上に載せられているというのだから驚きだ。 他ならぬ津賀一宏・パナソニック社長が、「家電部門の本社を日本から中国へ移転する計画なのか」というダイヤモンド編集部の問いに対して、「もちろん、そういうことも視野に入れている。ヘッドクオーター(本社)の中国への移管は一つの考え方です」と認めている。 家電部門の解体と本社移転。あまり穏やかな話とは言えないが、一体どういうことなのか』、「保守本流」の「家電部門の解体と本社(中国への)移転」、とは思い切った手を打たざるを得ないところにまで追い込まれたようだ。
・『どうも津賀社長ら上層部は、歴史的に発言力の強い家電部門の「事業部の縦割り志向」や「人事の硬直性」が、家電の低迷の元凶になっていると不信感を持っているようなのだ。確かに、2020年3月期の家電部門の営業利益率(見通し)は2.8%と低い(家電危機については、特集「パナソニック老衰危機」の♯04〈1月7日配信〉を参照)。 かつてのパナソニックの家電部門は強かった。デジタル家電の総本山、AVCネットワークス(AVC)社は、事業こそジリ貧に陥ったが、今も各カンパニー幹部に出身者を送り込む人材の宝庫である。テレビなどデジタル家電の失速後も、安定収益を稼ぎ続けた白物家電部門の社内での発言権は強い。数年前までAP社幹部の陣容が固定化し、経営上層部や本社が介入しづらい雰囲気すらある。 だからこそ、競合メーカー撤退後の残存者利益にあぐらをかいた。とうの昔に、ライバルは国内メーカーから中国メーカーへ変わっていたのに、開発・生産拠点の統廃合に踏み込んだ構造改革への着手に遅れてしまったのだ。 そこで、津賀一宏・パナソニック社長は乾坤一擲の勝負に出る。部門解体と本社移転という“ショック療法”を使うことで、現場の抵抗を断ち切り、本来の家電王国の底力を取り戻そうとしているのだ。 その具体策こそ、部門間の壁を取り払い、家電事業を中心に展開するAP社と、電材事業を中心に展開するライフソリューションズ(LS)社を融合させた「中国発の新しいビジネスモデル」を早急に作り上げることだ』、「とうの昔に、ライバルは国内メーカーから中国メーカーへ変わっていたのに、開発・生産拠点の統廃合に踏み込んだ構造改革への着手に遅れてしまった」、伝統に安住した戦略ミスの典型だ。
・『「縦割り志向」丸出し 役員合宿での仰天エピソード  部門の縦割り志向の強さを象徴する話がある。18年のパナソニック創業100周年を前に、主要な戦略課題について議論しようと週末に役員合宿が決行された時のことだ。 成長の柱として「住空間の新たなソリューション」を提案するため、AP社とエコソリューションズ(ES。現LS)社の融合が「テーマ」だったにもかかわらず、なぜか最終のプレゼンテーションはAP社とLS社が別々に行っていた。 そもそも、「エリート然とした旧松下電器産業(現パナソニック)と、超体育会系の旧パナ電工とでは全く気質が合わない。両社の合併前は『電工の敵は電産、電産の敵は電工』といわれるほど仲が悪かった」(パナソニック取引先幹部)。パナソニックを源流とする家電事業と、パナ電工を源流とする照明・配線器具といった電材事業とでは販売ルートが異なることから、反目するばかりで、互いに協業することもこれまではなかった。 しかし、津賀社長も本社の戦略部隊も、この「水と油の関係」にはさすがに呆れ返り、「やはりAP社の伏魔殿ぶりは治らない。日本ではなく、まずはしがらみのない中国で、AP社とLS社の融合を目ざすことを決意した」と、パナソニック幹部はCNA社設立の内幕を打ち明ける。 流通が未成熟であり、パナソニックとしての流通ルートも確立してない中国ならば、AP社にとってもLS社にとっても、販売チャネル開拓はゼロからのスタート。しがらみがない分、協業関係が築きやすいというわけだ。 津賀社長の頭の中には、「中国シフトの続編」もありそうだ。中国で構築した「AP社+LS社モデル」を、日本を含めたアジアやインドへ横展開するというものだ。昨年末に、津賀社長は「『可能性』で終わらせない」というタイトルの社員向けブログでインド市場について言及し、電材を突破口に攻勢をかける覚悟を綴っている』、「旧松下電器産業・・・と・・・旧パナ電工とでは全く気質が合わない。両社の合併前は『電工の敵は電産、電産の敵は電工』といわれるほど仲が悪かった」、両社の合併後も、「家電事業」と「電材事業」は「水と油の関係」、というのを、「販売チャネル開拓はゼロからのスタート。しがらみがない分、協業関係が築きやすい・・・中国で構築した「AP社+LS社モデル」を、日本を含めたアジアやインドへ横展開する」、とは大胆でスケールの大きな組織融合策だ。
・『草津の抵抗で中国移転が頓挫 今度こそ主要拠点の統廃合は必至  家電部門の本社移転を念頭に置いた、本気の中国シフトは、開発・生産拠点の統廃合をもたらすことになるだろう。すでに「中国現地には白物家電だけで1500人の技術者がいる」(津賀社長)としており、開発部門だけでもかなりの中国シフトが進んでいるという。 滋賀県・草津など主要な生産拠点の統廃合は必至だ。事実として、過去に中国への移管が検討されたのだが、草津の猛反対にあい頓挫した経緯がある。しかし外部環境を見ればやはり国内拠点閉鎖は覚悟しなければならない。 家電を取り巻く環境は一変した。16年にはシャープが台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下となり、東芝も白物家電子会社を中国の美的集団に売却。どちらもアジア企業の傘下で日系ブランドを活用しながらグローバル競争をいかに勝ち抜くかを模索している。 繰り返しになるが、パナソニックの敵は国内メーカーではなく、中国メーカーだ。高単価製品が強かっただけに、パナソニックにはコスト競争力に対する耐性が乏しい。中国起点でビジネスを考え、中国企業をライバルに持つならば、中国の家電メーカーが使う「標準部品」を調達できるかどうかが生命線になる。 しかも、白物家電の部品の主要サプライチェーンは中国へ移りつつあり、中国の部品メーカーは「日本向けの独自部品の生産は小ロットで効率が悪いため、受注を渋る」(パナソニック役員)という現実がある。今後、中国の部品メーカーの勢力が一層増すことになれば、日本の家電部品市場が衰退し、部品の調達が難しくなる未来は想像に難くない。高品質の標準部品を供給できる中国メーカーの開拓等はもはや必要不可欠となる。 贔屓目に見ても、パナソニックの部品調達を含めた生産体制の構築は、中国メーカーに比べて周回遅れだろう。それでも、「足下で儲かっていることと、今のビジネスの延長線上でずっと競争に勝てるかってことは話が全く別。競争環境が変わったなら土俵を変えるのは当然」(パナソニック役員)と意志は固い』、「高単価製品が強かっただけに、パナソニックにはコスト競争力に対する耐性が乏しい。中国起点でビジネスを考え、中国企業をライバルに持つならば、中国の家電メーカーが使う「標準部品」を調達できるかどうかが生命線になる・・・高品質の標準部品を供給できる中国メーカーの開拓等はもはや必要不可欠となる」、それを「生産体制の構築は、中国メーカーに比べて周回遅れ」、のなかで実現していくのは大変だろう。
・『20年前と比べて時価総額半減のピンチ  これほどまでに、津賀社長がトップダウンで改革の大ナタを振るわねばならないほどに、パナソニックが置かれている状況は厳しい。 19年3月期に4000億円超あった営業利益が、20年3月期(見通し)には3000億円に激減。営業利益率も3.9%に落ち込む。 「まさか、こんなはずではなかった」というのがパナソニック上層部の偽らざる気持ちかもしれない。成長へのアクセルを踏もうと1兆円の戦略投資枠を設け、20年3月期までの4年間で約4000億円を、米テスラ向けリチウムイオン電池などの自動車事業に集中的に投じてきた。だが、この博打に負けたことで、成長ドライバーを失った。 それだけではない。津賀社長が「知らないうちに、モグラ(不採算事業のこと)が出てきた」と表現するように、カンパニーや事業部に任せきりだった“放任損益管理”の付けが回ってきている。 19年11月22日に発表した新中期戦略(3カ年)の詳細で、パナソニックは成長戦略の説明が不足しているとアナリストから批判された。 厳しい評価は、短期的な業績低迷だけに依るものだけではあるまい。事業領域を担当する五つのカンパニー全てにおいて、将来の成長戦略を描き切れないという異常事態、人事の硬直性、事業部の縦割りーー。名門電機パナソニックを襲う「老化現象」は深刻だと言わざるを得ない。 株式市場は正直だ。松下幸之助という経営の神様を創業者に持ち、創業100年を超えるパナソニックだが、19年12月24日時点の時価総額ランキングでは国内54位にまで順位を落としている。同6位だった2000年12月22日時点と比較すると、時価総額は半減しており、凋落ぶりは明らかだ。 パナソニックは、起死回生の「中国発新モデル」を成就させて、再び市場の期待を取り戻せるのか。社長就任8年目の津賀社長の、最後にして最大の戦いが始まった・・・』、「20年前と比べて時価総額半減」、とは確かに状況は極めて厳しいようだ。「五つのカンパニー全てにおいて、将来の成長戦略を描き切れないという異常事態」、「老化現象」がここまで進んだというのは衝撃だ。

次に、1月8日付けダイヤモンド・オンライン「パナソニック「働かなくても年収1500万円超」幹部に迫る大リストラ【内部資料入手】」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/224720
・『大企業病がまん延するパナソニック。ついに、津賀一宏社長は大胆な人事改革に着手し、組織に刺激を与えようとしている。ダイヤモンド編集部は、パナソニックの「管理職の賃金テーブル」が記された内部資料を入手。特集「パナソニック老衰危機」(全10回)の#05では、それを基に、硬直化する人事制度の問題を指摘する』、興味深そうだ。
・『内部資料で分かったパナ幹部「高給取り」の実態  ここに、パナソニックの内部資料がある。「管理職の賃金テーブル」が記されたものだ。 パナソニック幹部のヒエラルキーは、序列の上位から順に、取締役(社内)7人、執行役員10人、新たに設けられた「事業執行層」「管理職」という階層で形成されている。今回、ダイヤモンド編集部が入手した資料は、そのうち管理職の待遇についてまとめられたものだ。それにより、パナソニック幹部たちの恵まれた実態が浮かび上がった。 パナソニックの管理職(専任職を含む)には、役割の大きさに応じて決まる「役割等級」が8段階あり、経営層(P1~P3)、基幹職(P4~P8)という内訳になっている。かなりざっくり言えば、事業場長クラスの役割等級がP1~P3、BU(ビジネスユニット)長・部長のそれがP3~P6、課長のそれがP6~P8といったイメージだ。 全ての管理職において、月額で給与が固定される「完全月給制」が採用されており、同じ役割等級なら働いても働かなくても給与にあまり差がつかない賃金設計になっているようだ。) 例えば、部長・課長が混在するP6の場合、平均的な評価であるCランク(基準額)の月収は66万円となっている。仮に、最高評価のAAランクが付いても69万円、最低評価のDランクが付いても65万円といった具合だ。P6の管理職の年収は1100万円前後だと思ってもらえればいい。 事業場長クラスのP1~P3ともなると「業績連動分の構成比が大きくなるが、最低の評価が付いても年収1500万円以上は保証されている」(パナソニック幹部)という。 管理職の最低ランクのP8でも年収990万円前後なので、ほぼ全ての管理職が年収1000万円以上を手にしていることが分かる。評価のいかんにかかわらず、極めて高待遇だといえるだろう。 ちなみに、2019年3月期の有価証券報告書によれば、組合員も含めたパナソニック社員の平均年収は774万円(平均年齢45.6歳、平均勤続年数22.8年)である。日本人の給与所得者の平均年収が441 万円(平均年齢46.4歳、平均勤続年数12.2年)、電機業界を含む製造業の平均年収が520万円であることを考えると(日本人と製造業の平均年収は18年の国税庁「民間給与実態統計調査」による)、パナソニック社員の給与は高いレベルにある』、確かに恵まれた高給与だ。
・『年収1500万円以上の“働かないおじさん”が滞留  それにもかかわらず、若くして管理職になった中堅幹部たちからは、硬直的な賃金テーブルに対して不満の声が上がっているのも事実である。 「年功序列がまかり通っており、高齢の“働かないおじさん”が年収1500万円以上の高給をもらっている。しかも、彼らが滞留しているので上のポストが空かない」「管理職になるとき、P3へ上がるときといった節目の関門では昇格試験があるのだが、それをパスする基準に直属の上司の私情が挟まれるなど、透明性や公平性に乏しい」という声がそうだ。 創業101年の歴史ある企業であれば、年功序列がある程度、温存されているのは仕方あるまい。だが、現在のパナソニックにまん延する停滞感が、人事の硬直性や経営上層部の劣化から生まれていることは否定できない。現状に安住していると、変革する力を失ってしまう。 パナソニックは悪循環に陥っている。前述の通り、労働生産性の低い幹部であっても、一度管理職になってしまえば高給取りになれる。年収1500万円の“働かないおじさん”が滞留すると上位のポストが詰まり、若手の登用が進まない。結果として、経営層の新陳代謝が滞っているのだ。 また、パナソニックには横並びのこの賃金テーブルしかないため、社外から年収2000万~5000万円クラスの高度人材や経営人材を一本釣りで獲得しようとしても賃金のハードルが立ちはだかる。 こうした大企業病、老化現象ともいえる悩みを最も問題視しているのが、他ならぬ津賀一宏・パナソニック社長である。社内ブログでは、こう心境を吐露している。 「現在の執行役員の年齢層も課題だと感じています。社長になって以降は可能な限り、積極的に若い人材を役員にしたいとの思いで登用を進めてきました。しかし、硬直的な現行制度の中では年月とともに高年齢化が進んでしまい、多様性が失われていると言わざるを得ません。これでは、変革に向けて刺激的な議論を呼び起こすのは、なかなか難しいと思います」 パナソニックの「老衰」をストップさせるため、津賀社長は大胆な人事改革に着手した』、いまだにこんなぬるま湯のような賃金体系が温存されていたとは、驚かされた。もっと早くから「着手」しておくべきだったようだ。
・『事業執行層が140人に 年収総額は20億円超  津賀社長の人事改革の「第1弾」は、事業執行体制の見直しである。昨年10月1日付で、大量の降格を伴う人事を発動した。 まず、増え過ぎた執行役員(取締役と兼務する役員を除く)を43人から10人へと4分の1に削減した。これにより、32人の執行役員が新たに設けられた事業執行層(参与など)へ降格となった(1人は退任)。事業ポートフォリオの改革など全社の戦略の方向付けを担う人材のみを執行役員に残し、それ以外の個別事業の執行責任だけを負う人材は事業執行層としたのだ。 言うまでもなく、その目的は「滞留するロートルの退出」と「若手人材の抜てき」を同時に行うことにある。思い切った人事の新陳代謝を促進することで、組織の活性化を狙っているのだ。 もちろん、執行役員から事業執行層へ呼称が変わっただけでは、改革の効果は期待できない。パナソニックでは、執行役員から格下げとなった32人に、P1~P2の上級管理職を加えた幹部を事業執行層と呼んでおり、事業執行層の数は約140人に上る。 ここに、大量の“働かないおじさん”が含まれている。仮に、1人当たり年収が最低ラインの1500万円だと見積もったとしても、総額21億円もの巨費が事業執行層に支払われている計算になる』、なるほど。
・『55歳以上・滞留3年以上の幹部に迫るリストラの足音  津賀社長の真意を酌めば、この人事改革に「第2弾」が待ち受けていることは想像に難くない。「退任や給与の大幅ダウンなど、事業執行層に大リストラが待ち受けているのではないか」(パナソニック中堅幹部)とされているのだ。 とりわけ、そのターゲットになりそうなのが、先般格下げされた「元執行役員の事業執行層」の32人だろう。 上図を見れば明らかだが、降格された事業執行層32人中、「55歳」以上の人員は27人いる。 そのうち、執行役員になってからの在任期間が「3年」以上と、滞留している人員が17人もいる。この辺りが、津賀社長のメスが入るターゲットだといえそうだ。 今年2月にも内定する幹部人事を前に、パナソニック上層部は戦々恐々としている』、遅きに失したきらいがあるが、当然の措置だろう。

第三に、1月20日付けダイヤモンド・オンライン「パナソニック津賀社長が本誌だけに明かした「反転攻勢」の秘策」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/226106
・『『週刊ダイヤモンド』1月25日号の第1特集は、「パナソニック 名門電機の凋落」です。創業101年のパナソニックに再び経営危機が迫っています。事業軸を担当する五つのカンパニー全ての業績が振るわず、2020年3月期見通しでは営業利益が前年同期比で1000億円もダウンする異常事態なのです。日立製作所やソニーが過去最高の営業利益を更新する中、パナソニックだけが長期低落傾向から抜け出せずにいるのはなぜなのでしょうか。就任8年目の津賀一宏・パナソニック社長に突撃インタビューを敢行しました』、社長の考え方とは興味深い。なお、Qは聞き手の質問、Aは津賀社長の回答。
・『「家電部門・本社を中国に移転」を視野に入れている  Q:2019年11月に開催された投資家向けの年度計画説明会では、新中期戦略の具体策が示されました。改革の目玉として、家電事業等を展開するアプライアンス(AP)社と、電材事業等を展開するライフソリューションズ(LS)社を融合させて「新しいビジネスモデル」をつくることを掲げています。このモデルが成功するかどうかは、19年4月に設立した中国・北東アジア(CNA)社という地域カンパニーでの取り組みが鍵になりそうですね。 A:日本ではAP社にしてもLS社にしても、手掛ける商材のマーケットにおけるポジションが高いので、急に一緒にビジネスを展開するのは難しい。流通ルートが違いますから。だから、やれるところからやるということで中国から着手しようとしています。 Q:将来的に、家電部門(AP社)のヘッドクオーター(本社)を日本から中国へ移転する計画はないのですか。 A:もちろん、そういうことも視野に入れています。すでに、事業部によってはヘッドクオーターを中国に移したりしていますから。 まあ、大きなカンパニーの本体を中国に移管するのは一気に進められるものではないですし、まずは中国でしっかりとした成功モデルを構築して、かつ中国で開発体制にかかるコストも含めた固定費を回していける前提がないと、現実的ではありませんが。 ただし、長期的に考えれば、それ(ヘッドクオーターの中国への移管)は一つの考え方なんですね。コスト一つ取っても、中国起点で削減していくというのが一番分かりやすいですし、(中国メーカーの標準部品の活用などにより)まさに研究している最中でもありますし。 これから中国にはもっと注力して、将来的には、日本向けの家電製品にも使えるような部材をもっと調達していきたいと考えていますから。 Q:CNA社に関しては、設立時に家電事業のヘッドクオーターを中国に持っていこうとして、白物家電の“本拠地”である滋賀・草津の従業員から猛烈な反対に遭ったと聞いています。 A:仮説として、どれだけヘッドクオーターを中国へ持っていけるのか検討してもらったといういきさつがあります。ま、反対というよりも、「やったら破綻しますよ」と言われたんですよね。 中国を中心にやり過ぎると、日本の消費者に納得してもらえる商品をちゃんと出せなくなると。単に工場を中国に建設して、中国で生産した商品をそのまま日本に持って帰ってくるというのとは違うので。 今のところ日本向けの商品と中国向けの商品では、開発の考え方を少し変えています。ただし、中国向けでいいものができれば、それをアジア向けやインド向けに展開するという考え方もありますし、その先には日本向けとしても展開できるだろうと。こうした思惑もあります。 Q:中国での新モデルは、販売のみならず、開発も日本に依存した家電事業の構造を変える目的があるのですね。そもそも、近年、家電事業の収益が停滞している原因をどう考えていますか。 A:家電が厳しいのは、つまりテレビが厳しいということです。事業部は厳しいと分かっているんです。分かっているのに、まだテレビを売ろうとしているから駄目なんです。 だから、そこ(テレビ事業)だけは許さないです。許さない……。前から、そんなことでは駄目だと言っていたわけやし。 Q:なぜ事業部では、駄目なことがまかり通ってしまったのですか。 A:それは誰かが甘いことを言うたからでしょうな。収益性もあったように見えていたのですが、結局、売上高ばかり追って、販売会社の利益を薄めて十分に稼げていなかった。だから、テレビの戦略が間違っていたんでしょう。 Q:津賀さんの言い方が人ごとのように聞こえるのですが、それは無責任なのではないでしょうか。 A:いやいや、そんなことないんです。事業計画の割り当てはカンパニー長の責任範囲ですから。全てのカンパニーの全ての事業部の責任を負うことなんてできません』、「テレビ事業」を抱える「カンパニー長」は責任を取らされたのだろうか。
・『「老衰」迫るパナソニックに見る日本企業の縮図  『週刊ダイヤモンド』1月25日号の第1特集は、「パナソニック 名門電機の凋落」です。 「今のパナソニックには、何一つ強いものがない。このままでは10年持たない。早ければ3年で潰れる」。あるパナソニック中堅幹部は声を潜めて危機感をあらわにする。別のパナソニックOBも手厳しい。「もはやパナソニックは日本のお手本企業ではなくなってしまった」──。 松下幸之助という経営の神様を創業者に持つ名門企業、パナソニックといえば業績に浮き沈みはあったとしても、それでも国内製造業のベンチマークだったはずです。しかし、いまや、事業軸を担当する五つのカンパニー全てで業績が振るわず、2020年3月期見通しでは営業利益が前年同期比で1000億円もダウンする異常事態に陥っています。 パナソニックの時価総額(約2兆5600億円)は、20年前と比べて実に半分以下に落ち込んでしまいました。 ライバルの日立製作所やソニーが過去最高の営業利益を更新する中、パナソニックだけが長期低落傾向から抜け出せずにいるのはなぜなのでしょうか。 津賀社長に突撃したインタビューでは、保守本流の家電事業の再建策の他、シナリオが狂った自動車事業の方向性、後継者レースの行方、津賀社長自身の進退についても尋ねています。ダイヤモンド編集部だけに打ち明けた「津賀社長の真意」については、本誌をご覧ください。 広がり過ぎた業容の「取捨選択」の遅れ、全体最適を阻む事業部の縦割り志向、イノベーションの芽を摘む企業風土、人事の硬直性──。パナソニックをむしばむのは大企業病とも言える「老化現象」です。パナソニックの重大課題を通じて、日本の多くのレガシー企業が抱える「老衰危機」の実態を浮き彫りにしました』、「早ければ3年で潰れる」との「中堅幹部」の「危機感」に比べ、「津賀社長」のそれはやや薄く、対応策も微温的との印象を受けた。

第四に、ジャーナリストの大西 康之氏が2月5日付けJBPressに掲載した「勝負所で逃げの一手、成長事業を手放すパナソニック 赤字事業撲滅の「止血」に奔走するパナソニックに明日はあるか」を紹介しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/59224
・『今年は「オリンピック・イヤー」。家電メーカーにとっては「4年に一度の稼ぎ時」である。米EV大手テスラが昨年末、米国に続き中国でもEVの生産を開始した。これを受け、テスラの株式時価総額は独フォルクスワーゲン(VW)を抜き、自動車メーカーとしてトヨタ自動車に次ぐ世界2位に浮上した。今年は「電気自動車(EV)元年」。テスラに車載電池を一手に供給する電池メーカーには「バラ色の未来が待っている」はずである。 それなのに、日本最大の家電メーカーで、世界最強の電池メーカーであるパナソニックが2月3日に発表した第3四半期決算を見た時には、こんな言葉しか浮かばなかった。 「三十六計逃げるにしかず」 パナソニックが3日に発表した2019年4月〜12月期の連結決算(国際会計基準)は営業利益が前年同期比18%減の2406億円。20年3月期通期の業績見通しは従来予想通り、売上高が前期比4%減の7兆7000億円、営業利益は27%減の3000億円とした。新型肺炎の影響が織り込まれていないことを考えると、赤字転落も十分にありうる。 だがそれよりも衝撃的だったのは、決算と同時に発表されたもう一つのニュースの方だ』、どういうことだろう。
・『車載用角形電池事業はトヨタとの合弁会社に  この日、パナソニックは車載用角形電池事業をトヨタ自動車との合弁会社に譲渡すると発表した。合弁会社の出資比率はトヨタ51%、パナソニック49%であるため、同事業はパナソニックの連結対象から外れる。 パナソニックが手がける車載電池は円筒型と角形の2タイプがある。円筒型はテスラ向け、角形はトヨタなどテスラ以外のEVメーカー向けである。今回の合弁を証券市場関係者は「テスラ向け以外の車載電池事業をトヨタに売り渡した」と捉えている。 車載電池事業はテスラ向けに集中する、というなら話は分かる。だが、どうやらそうではないらしい。 3日、ブルームバーグは、テスラが「中国で生産する自動車向けの電池供給元として中国の寧徳時代新能源科技(CATL)を採用することで暫定合意した」と報じた。 米国で「モデル3」の量産を軌道に乗せたテスラは昨年12月30日、中国・上海に建設したギガファクトリー3でも「モデル3」を出荷した。着工からわずか11カ月の出荷という早業に世界は驚愕した。世界最大の自動車市場に橋頭堡を築いたテスラの株は、当然のように高騰し、株式時価総額はゼネラル・モーターズ(GM)とフォードの合計を上回った』、これまで注力してきた「車載電池事業」のうち、「テスラ向け以外・・・をトヨタに売り渡した」、何故、見切ったのだろう。
・『テスラのメインサプライヤーから外れる可能性も  「一緒に中国に進出してほしい」 上海での現地生産を決めた時、テスラCEO(最高経営責任者)のイーロン・マスクは、パナソニックにそう呼びかけた。しかし「四半期で700億円をキャッシュ・バーン(現金を燃やす)する」と言われた無謀な投資と、テレビ出演中にマリファナを吸ったり、ツイッターで「モデル3を計画通り生産できないのは、パナソニックがボトルネックになっているから」と発言したり、というイーロン・マスクの奔放な言動に振り回され続けたパナソニックは、中国進出を決断できなかった。 3日の決算発表で車載事業の中国生産の可能性を問われた梅田博和CFO(最高財務責任者)はこう言い切った。 「中国に生産ラインを作る予定は全くない」 テスラは当面、中国での生産でパナソニックとLG化学製の電池を使用する。だが、中国での電池供給の本命はこの2社ではなくCATLだ。 テスラとCATLがグローバルな電池供給で合意した場合、将来的には中国の電池工場が、米国にあるパナソニックとテスラの合弁会社より生産コストが安くなり、パナソニックはテスラ向け車載電池でも「メイン・サプライヤー」の座を奪われるかもしれない』、いくらこれまで「イーロン・マスク」に振り回されてきたとはいえ、中国進出の誘いを断るとは、もったいない話だ。
・『逃げてばかりの経営では未来は見えない  パナソニックの津賀一宏社長は、テスラがまだ海のものとも山のものとも知れぬ5年前、ネバダ砂漠に建設するギガファクトリーに2000億円を投資するという巨大なリスクを取った。その後、テスラは何度も「経営危機」を囁かれたが、パナソニックは忍耐強くパートナーシップを維持してきた。 そうした我慢が実を結び、「いざ量産!」の段になって、パナソニックは腰が引けてしまった。テスラ向けでCATLに、その他の車載電池はトヨタに主役を譲り、自らは一歩後ろに下がってしまったのだ。 車載電池だけではない。2020年1月、住宅事業を手がけるパナソニックホームズは共同株式移転の方式で、トヨタとの合弁会社「プライム ライフ テクノロジーズ」の完全子会社になり、パナソニックの連結から外れた。家電や自動車などすべてのものがインターネットにつながる「IoT」の時代、住宅はIoTのベースになる。しかしここでもパナソニックは腰が引けた。 半導体事業は子会社パナソニックセミコンダクターソリューションズ(京都府長岡京市)を、今年6月をメドに約270億円で台湾の新唐科技(ヌヴォトン・テクノロジー)に売却することが決まっている。IoTの時代には、鍋釜にまで半導体が埋め込まれ、半導体産業は新しいステージに突入する。成長の余地はあるはずなのに「赤字事業撲滅」に血眼のパナソニックは、ここからも手を引くのだ。 止血効果は確かに出ている。2019年4月〜12月期のフリーキャッシュフローは1286億円のプラスとなり、前年同期のマイナス646億円から大きく改善した。だが同じ時期に、減価償却、設備投資、研究開発費はいずれも減少している。つまり「未来への投資」を大きく抑制しているのである。 在任8年とパナソニックとしては異例の長期政権になった津賀社長は、何としても黒字で花道を飾りたいのかも知れない。赤字事業を次々と切っていけば、あるいはそれも可能だろう。だがその後に何が残るというのか。企業の役割とは新たな価値を生み出して社会を前に進めることである。パナソニックは5年後、10年後、どんな会社になりたいのか。逃げてばかりの今の経営からは未来が見えてこない』、「異例の長期政権になった津賀社長は、何としても黒字で花道を飾りたいのかも知れない」、しかし、「逃げてばかりの今の経営からは未来が見えてこない」、さすが企業経営の観点での論評に定評がある「大西 康之氏」らしい鋭い指摘で、全面的に同意したい。
タグ:逃げてばかりの経営では未来は見えない テスラのメインサプライヤーから外れる可能性も 「家電部門・本社を中国に移転」を視野に入れている 両社の合併前は『電工の敵は電産、電産の敵は電工』といわれるほど仲が悪かった 車載用角形電池事業はトヨタとの合弁会社に 「パナソニック津賀社長が本誌だけに明かした「反転攻勢」の秘策」 在任8年とパナソニックとしては異例の長期政権になった津賀社長は、何としても黒字で花道を飾りたいのかも知れない 55歳以上・滞留3年以上の幹部に迫るリストラの足音 事業執行層が140人に 年収総額は20億円超 「縦割り志向」丸出し 役員合宿での仰天エピソード 家電事業を中心に展開するAP社と、電材事業を中心に展開するライフソリューションズ(LS)社を融合させた「中国発の新しいビジネスモデル」を早急に作り上げることだ 「勝負所で逃げの一手、成長事業を手放すパナソニック 赤字事業撲滅の「止血」に奔走するパナソニックに明日はあるか」 年収1500万円以上の“働かないおじさん”が滞留 内部資料で分かったパナ幹部「高給取り」の実態 「パナソニック「働かなくても年収1500万円超」幹部に迫る大リストラ【内部資料入手】」 五つのカンパニー全てにおいて、将来の成長戦略を描き切れないという異常事態 「老化現象」 パナソニックは成長戦略の説明が不足しているとアナリストから批判 20年前と比べて時価総額半減のピンチ 草津の抵抗で中国移転が頓挫 今度こそ主要拠点の統廃合は必至 中国で構築した「AP社+LS社モデル」を、日本を含めたアジアやインドへ横展開する 部門解体と本社移転という“ショック療法”を使うことで、現場の抵抗を断ち切り、本来の家電王国の底力を取り戻そうとしている とうの昔に、ライバルは国内メーカーから中国メーカーへ変わっていたのに、開発・生産拠点の統廃合に踏み込んだ構造改革への着手に遅れてしまった JBPRESS 販売チャネル開拓はゼロからのスタート。しがらみがない分、協業関係が築きやすい 「水と油の関係」 大西 康之 競合メーカー撤退後の残存者利益にあぐらをかいた 歴史的に発言力の強い家電部門の「事業部の縦割り志向」や「人事の硬直性」が、家電の低迷の元凶になっていると不信感 家電部門の解体と本社(中国への)移転 上層部では、検討事項として家電部門の本拠地を日本から中国へ移すこと、つまり家電部門の「中国本社」移転計画まで俎上に載せられている パナソニックの保守本流であり、伏魔殿と化している家電部門(アプライアンス〈AP〉社)の“解体”だ 「老衰」迫るパナソニックに見る日本企業の縮図 裏ミッション 新設されたCNA社の“裏ミッション”とは 背水の新モデル パナソニックは“賭け”に負けた 家電の次の本業候補として投資を集中させた自動車事業が失速。今度は母屋の家電事業まで低迷し、構造改革が急務な状況 企業の役割とは新たな価値を生み出して社会を前に進めることである。パナソニックは5年後、10年後、どんな会社になりたいのか。逃げてばかりの今の経営からは未来が見えてこない 「パナソニックが家電部門の本社を中国に移転、狙いは伏魔殿の解体【スクープ】」 電機産業 (その2)(パナソニック:家電部門の本社を中国に移転 狙いは伏魔殿の解体【スクープ】、「働かなくても年収1500万円超」幹部に迫る大リストラ【内部資料入手】、津賀社長が本誌だけに明かした「反転攻勢」の秘策、勝負所で逃げの一手 成長事業を手放すパナソニック 赤字事業撲滅の「止血」に奔走するパナソニックに明日はあるか) ダイヤモンド・オンライン
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