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パンデミック(新型肺炎感染急拡大)(その4)(帝国陸海軍の「亡霊」が支配する新型コロナ「専門家会議」に物申す(上)、左同(下)、安倍政権の新型コロナ対策は「視野狭窄バカ」である 目前のことに振り回され対策は後手、新型コロナが引き出した大衆の深層心理の闇) [国内政治]

パンデミック(新型肺炎感染急拡大)については、3月2日に取上げたばかりだが、今日は、(その4)(帝国陸海軍の「亡霊」が支配する新型コロナ「専門家会議」に物申す(上)、左同(下)、安倍政権の新型コロナ対策は「視野狭窄バカ」である 目前のことに振り回され対策は後手、新型コロナが引き出した大衆の深層心理の闇)である。

先ずは、医療ガバナンス研究所理事長の上昌広氏が3月5日付けForesightに掲載した「医療崩壊 (33) 帝国陸海軍の「亡霊」が支配する新型コロナ「専門家会議」に物申す(上)」を紹介しよう。
https://www.fsight.jp/articles/-/46603
・『『犬神家の一族』(角川文庫)が好きだ。横溝正史の代表作で、名探偵金田一耕助が活躍する。1976年に市川崑監督、石坂浩二主演で映画化され、大ヒットした。その後、繰り返し映画化・ドラマ化されている。 この作品は犬神佐兵衛翁の臨終から始まる。佐兵衛翁は裸一貫から犬神財閥を築いた立志伝中の人物だ。 佐兵衛翁の死後、一族が揃ったところで開封された遺言書には、すべての財産を恩人の孫娘である野々宮珠世に譲ると記されていた。ただし、条件があった。それは珠世が佐兵衛翁の3人の孫のいずれかと結婚することだ。 その後、財産をめぐって惨劇が繰り広げられる。ネタバレさせないためにこれ以上は書かないが、読み終わると、一連の惨劇は亡き佐兵衛翁の亡霊が犯人に取り憑いて起こさせたような印象を受ける。人は意識しないところで歴史に操られている、ということを考えさせられる作品だ。 新型コロナウイルスの拡大が止まらず、政府は迷走を続けている。クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号の検疫の失敗、遺伝子診断(PCR)の体制整備の遅れ、安倍晋三首相による突然の休校依頼――。 国内外から批判が噴出している。日本の評価を損ね、東京五輪の開催すら危ぶまれる事態となった』、「政府は迷走を続けている」、むしろ政府が混乱を煽っている感すらある。
・『予算を主導したのは  一連の動きをみて、私は『犬神家の一族』を思い出す。「亡霊」に操られたかのように、関係者が「ピエロ」を演じているからだ。 「亡霊」とは、帝国陸海軍だ。 「関係者」とは、政府の専門家会議のメンバーである。一体、どういうことだろうか。 読み解く鍵は、「国立感染症研究所」(感染研)、「東京大学医科学研究所」(医科研)、「国立国際医療研究センター」(医療センター)、そして「東京慈恵会医科大学」(慈恵医大)だ。 政府が設置した「新型コロナウイルス感染症対策専門家会議」は12名のメンバーで構成されるが(下表)、日本医師会、日本感染症学会、公益を代表する弁護士などを除くと、残る9人中8人が前述の4施設の関係者だ。 座長の脇田隆字氏は感染研の所長、鈴木基氏は感染研感染症疫学センター長、さらに岡部信彦・川崎市健康安全研究所所長は元感染研感染症情報センター長だ。 河岡義裕氏と武藤香織氏は医科研教授、川名明彦・防衛医科大学教授は医療センターの元国際疾病センター医長で、尾身茂・独立行政法人地域医療機能推進機構理事長は元医系技官だ。 医療センターを統括するのは厚生労働省で、医系技官が現役出向している。 さらに、吉田正樹氏は慈恵医大教授で、岡部氏も慈恵医大の同窓だ。 この4組織と無関係の委員は、押谷仁・東北大学教授だけだ。 珍しいことに、委員の中に東京大学医学部出身者がいない。政府の医療の専門家会議で、東大医学部卒が皆無なのは極めて珍しい。 2月13日、このような専門家を迎えて開催されたのが、第8回の新型コロナウイルス感染症対策本部会議だ。この会議には、「新型コロナウイルス(COVID-19)の研究開発について」という資料が提出された(下図)。 この資料によると、緊急対策として総額19.8億円が措置されている。内訳は、感染研に9.8億円、日本医療研究開発機構(AMED)に4.6億円、厚労科研に5.4億円だ。 資料には、AMEDや厚労科研を介した委託先の名前と金額も書かれている。感染研は上記と合わせて12.2億円、医療センター3.5億円、医科研1.5億円だ。さらに感染研と医科研で9000万円だ。総額18.1億円で、予算の91%を占める。予算を決めるのも、執行するのも同じ人ということになる。 この資料の目次には、「資料3 健康・医療戦略室提出資料」と書かれている。その「健康・医療戦略室」を仕切るのは、国土交通省OBの和泉洋人室長(首相補佐官)と、医系技官の大坪寛子次長だ。最近、週刊誌を騒がせているコンビが、この予算を主導したことになる。 大坪氏の経歴も興味深い。慈恵医大を卒業し、感染研を経て、厚労省に就職している。専門家会議のメンバーと背景が被る』、「「感染症対策専門家会議」は12名のメンバーで構成・・・日本医師会・・・弁護士などを除くと、残る9人中8人が前述の4施設の関係者」、とは驚かされた。「予算を決めるのも、執行するのも同じ人ということになる」、これでは全くのお手盛りだ。「医系技官の大坪寛子次長」が和泉首相補佐官と不倫疑惑をものともせず、コンビで仕切っているのにも驚く。
・『「731部隊」関係者もいた「感染研」  なぜ、このようなグループが仕切るのだろうか。 背景には、歴史的な経緯、特に帝国陸海軍が関係する。一体、どういうことだろうか。 まずは感染研だ。 その前身は、戦後の1947年に設立された「国立予防衛生研究所」(予研)である。 予研は戦後、GHQ(連合国軍総司令部)の指示により、「伝染病研究所」(伝研)から分離・独立した。伝研は現在の医科研だ。 医科研キャンパスを訪問された方はおわかりだろうが、港区白金台という都内の超一等地に広大なキャンパスを有している。 キャンパスが広いのは、かつて馬などの家畜を飼っていたからだ。感染症の研究やワクチン・血清治療の開発に利用した。 戦前、伝研を支えたのは陸軍だった。 伝研は、1892(明治25)年に北里柴三郎が立ち上げた民間の研究機関だ。1899(明治32)年に内務省所管の「国立伝染病研究所」となり、1906(明治39)年に現在の白金台に移転する。 伝研の性格を変えたのは、1914(大正3)年の「伝研騒動」だ。内務省から文部省(当時)が統括する東京帝国大学に移管されることが決まったが、北里は、「感染症対策は大学などの学究機関でなく、行政と連携すべき」という考えをもっていたため、猛反対した。 背景には、当時、東大医学部の実力者だった青山胤通教授との確執や、大隈重信首相率いる「憲政本党」と原敬率いる野党「政友会」の対立などが関係した、と言われている。 北里は、日本医師会の前身である東京医会や大日本医会のまとめ役になっており、彼らは政友会を支援していた。一方、青山は大学病院の医師を中心とした明治医会の代表を務め、「青山が北里を引きずり降ろした」という噂まであったという。 腹に据えかねた北里は退職し、職員も従った。困った東大が頼ったのが、当時、陸軍医務局長だった森鴎外だ。 鴎外は軍医を派遣して伝研を支えた。こうして伝研は陸軍との関係を深めていく。 戦後、分離された感染研の幹部には、陸軍防疫部隊(関東軍防疫給水部=731部隊)の関係者が名を連ねたことなど、その一例だ。 専門家会議の委員に感染研と医科研の関係者が名を連ねているのは、このような歴史を受けてのことだ。 医科研の河岡教授、武藤教授が東大医学部の出身ではなく、今回のメンバーに東大医学部の関係者がいないのも、このような背景が関係する』、「北里柴三郎」や「森鴎外」まで出てくるとは、歴史の重みを感じる。
・『軍医療機関と国立病院の関係  では、医療センターの前身は何だろう。 新宿区戸山に位置することから想像できるかもしれないが、陸軍の施設だ。1868(明治元)年に設置された「兵隊假病院」に始まり、1936(昭和11)年には「東京第一陸軍病院」と改称された。つまり、帝国陸軍の中核病院だ。 敗戦で帝国陸軍が解体されると、厚生省に移管され、「国立東京第一病院」に名称が変わった。そして1993年に「国立国際医療センター」となり、2010年に独立法人化され、現在に至る。 医療センターに限らず、多くの国立病院の前身は陸海軍の医療機関だ。 たとえば、「国立がん研究センター」の前身は「海軍軍医学校」で、1908(明治41)年に港区芝から中央区築地に移転した。現在の国立がん研究センターの場所だ。 敗戦が彼らの運命を変える。陸軍省、海軍省は1945年11月30日に廃止され、それぞれ第一、第二復員省となる。両者は1946年6月に統合され、復員庁となり、1947年10月に厚生省に移管される。 中国残留孤児対策、引揚援護、戦傷病者・戦没者遺族・未帰還者留守家族などの援護を、防衛省でなく厚労省が行っているのは、このような経緯があるからだ。 では戦後、軍医療機関はどうなっただろう。 実は、軍医療機関は、戦後の日本医療の救世主だった。 敗戦直後、日本の病院の大半は戦災によって破壊され、機能不全に陥っていた。GHQは、まず占領軍が使用する優良医療施設を確保し、次いで、日本国民の医療提供体制を考える必要があった。 手をつけたのは、陸海軍が保有する医療機関の厚生省への移管だった。 この際、全国146の軍施設が国立病院、国立療養所となったわけだが、注目すべきは、建物も職員も従来のままで診療が継続されたことだ。つまり、病院自体の組織は陸海軍のままで、名称が軍病院から国立病院に変更されただけなのだ。 この影響が現在も残っている。感染症対策も例外ではない』、戦後、「病院自体の組織は陸海軍のままで、名称が軍病院から国立病院に変更されただけなのだ。この影響が現在も残っている。感染症対策も例外ではない」、なるほど。
・『慈恵医大につながる「海軍人脈」  では、慈恵医大はどのように絡むのだろうか。 キーパーソンは、高木兼寛だ。 高木は、前出の海軍軍医学校の創設者の1人である。 高木は薩摩藩出身の医師で、戊辰戦争には薩摩藩の軍医として従軍した。明治維新以降は開成所(東京大学の前身)で英語と西洋医学を学び、その後、薩摩藩によって設立された鹿児島医学校に入学すると、校長のウィリアム・ウィリスに認められ、教授に抜擢される。弱冠21歳のときだ。 その後、薩摩藩出身者が仕切る海軍に出仕する。 1875年から1880年まで英国の「セント・トーマス病院医学校」(現在の「キングス・カレッジ・ロンドン」)に留学し、西南戦争時を英国で過ごした。海軍では順調に出世し、海軍軍医の最高位である海軍軍医総監を務めた。 高木は東京帝国大学医学部、陸軍軍医団がドイツ医学一辺倒で学理・研究を優先していることに反発し、海軍軍医学校には実証主義的色彩が強く、臨床医学を重視する英国医学を取り入れた。 このような姿勢が、有名な脚気の予防法の確立へと繋がり、脚気対策の確立は日露戦争での間接的勝因といわれるに至る。このあたりを詳しく知りたい方には、吉村昭氏の『白い航跡』(講談社文庫)をお奨めする。 1881(明治14)年、この高木が中心になって設立したのが、「医術開業試験」の受験予備校(乙種医学校)であった「成医会講習所」だ。これが1903(明治36)年の専門学校令を受けて、日本初の私立医学専門学校として、「東京慈恵医院医学専門学校」となる。現在の慈恵医大だ。 「慈恵」と名付けたのは、明治天皇の皇后の昭憲皇太后だ。薩摩藩出身者が仕切っていたからこそ、アプローチできたのだろう。現在も、「公益社団法人東京慈恵会」の総裁には、皇族が就任することとなっている(現在の総裁は三笠宮家の寬仁親王妃信子殿下)。 薩摩と言えば海軍だ。このため、慈恵医大は海軍との関係が深い。明治期の海軍軍医総監の大部分は成医会講習所の関係者だ。 慈恵医大には、この伝統が生きている。国際保健、公衆衛生の分野に多くの人材を輩出している。世界保健機関(WHO)でシニアアドバイザーを務める進藤奈邦子氏は、慈恵医大の卒業生だ。英キングス・カレッジ・ロンドン・セント・トーマス病院などで研修後、感染研に就職。2002年からWHOに勤務している。慈恵医大らしいキャリアだ。 このように考えると、今回の専門家会議のメンバーは、帝国陸海軍と関わりが深い組織の関係者で占められていることがわかる。(つづく)』、「高木は東京帝国大学医学部、陸軍軍医団がドイツ医学一辺倒で学理・研究を優先していることに反発し、海軍軍医学校には実証主義的色彩が強く、臨床医学を重視する英国医学を取り入れた。 このような姿勢が、有名な脚気の予防法の確立へと繋がり、脚気対策の確立は日露戦争での間接的勝因といわれるに至る」、「高木」が「臨床医学を重視する英国医学を取り入れた」のは良かったようだ。

次に、この続き、3月5日付けForesight「医療崩壊 (34) 帝国陸海軍の「亡霊」が支配する新型コロナ「専門家会議」に物申す(下)」を紹介しよう。
https://www.fsight.jp/articles/-/46604
・『では、彼らと普通の臨床医の違いはなんだろうか。私は、「情報開示への姿勢」だと思う。 敵軍と対峙することが前提である軍隊には、情報開示は求められない。情報開示による社会のチェックが受けられないため、シビリアン・コントロールが重視される。 ただ、軍事は高度に専門的だ。政治家には理解できないことが多く、しばしば暴走する。統帥権を盾に暴走した帝国陸海軍は勿論、世界各地でクーデターが後を絶たない。 軍隊のもう1つの特徴が、自前主義だ。軍医の立場になれば、治療薬やワクチンは自前で調達しなければならない。 その影響は現在も残っている。 たとえば、インフルエンザワクチンの製造だ。ワクチンの確保は軍隊にとって重要課題だ。帝国陸海軍は「伝染病研究所」(伝研)と協力して、ワクチンを確保した。 現在も、ワクチンの製造・供給体制は、他の薬剤とは全く違う。数社の国内メーカーと「国立感染症研究所」(感染研)が協力する「オールジャパン」体制だ。 通常の薬剤は、製薬企業が開発し、臨床試験の結果などを厚生労働省および「医薬品医療機器総合機構」(PMDA)に提出する。当局は提出されたデータを分析し、承認するか否か決める。その際、製薬企業の国籍は問われない。最近は国際共同で治験が行われることが多い。 インフルエンザワクチンの開発は違う。 毎年、感染研が海外からウイルス株を入手し、数社の国内メーカーに配布する。次に、各メーカーの培養結果を感染研がとりまとめ、最適な株を国内メーカーに配布する。そして、メーカーはワクチンを製造し、感染研が最終的な評価を下す。 感染研には、その対価として施設設備費や試験研究費という形で税金が投入される。知人の感染研関係者は、「この金が感染研の経営を支えている」と言う。 通常の医薬品が、処方量に応じて、医療機関から卸を介して製薬企業に対価が支払われるのとは違う。 だからこそ、処方量を増やしてほしい製薬企業が顧客である医師の機嫌を伺うのに対し、感染研は医師より、政府や与党を気にするようになる』、「インフルエンザワクチンの開発は」「感染研」が全てを取り仕切っており、「その対価として施設設備費や試験研究費という形で税金が投入される」、とは初めて知ったが、これでは国際的なワクチン開発競争に後れを取ることになってしまうだろう。
・『戦前から続く「ワクチン利権」  ではなぜ、インフルエンザワクチンだけ、通常の医薬品とは扱いが違うのだろうか。 感染研は、「特殊製剤で、特別な品質管理が求められる」と説明してきたが、この説明を真に受ける人はいない。 私は、戦前から続く利権が残っているからだと考えている。 現在、国内でインフルエンザワクチンを製造しているのは、「第一三共」、「KMB」、「デンカ生研」、「阪大微生物病研究会」(BIKEN財団)だ。 第一三共は「学校法人北里研究所」から、KMBは「一般財団法人化学及血清療法研究所」(化血研)から、ワクチン事業を譲渡された。 北里研究所は、本稿(上)で紹介した「伝研騒動」の後に北里柴三郎が設立したものだし、化血研の前身は、「熊本医科大学」の「実験医学研究所」だ。北里は熊本出身で、化血研の東京事務所は、白金台の東大医科研に隣接して存在する。いずれも伝研に近い存在だ。 デンカ生研は、「東芝生物理化学研究所」から、1950年に独立したものだ。戦後、公職追放された宮川米次・元伝研所長が所長を務めるなど、陸軍との関係が密接だった。 BIKEN財団は、1934(昭和9)年に「大阪帝国大学微生物病研究所」構内に設立されたもので、コレラなどのワクチンを製造し、軍に提供してきた。 このように考えると、軍部を中心とした戦前のワクチンの開発・提供体制がそのまま残っていることがわかる』、「戦前から続く「ワクチン利権」」、いまだにこんな体制が続いているとは、呆れ果てた。
・『虚偽だった「輸入ワクチンはデータがない」  グローバル化が進むワクチンは、世界でもっとも成長が期待できる分野だ。メガファーマ(巨大製薬企業)が参入し、その技術は日進月歩である。 このような体制は非関税障壁となり、日本のワクチン業界を停滞させる。ツケは国民が払う。 その一例が、2009年の新型インフルエンザの流行だ。 日本では前述の4社がワクチンを提供することになっていた。ところが、彼らは十分な量を提供できなかった。 ワクチン接種が始まった2009年10月19日から11月29日の報告分までに接種できた人数は、推定600万人に過ぎなかった。同時期に米国では4600万人に接種しており、メガファーマとの実力差は明らかだった。 メガファーマは、ワクチンを短期間で大量生産するのに必要な細胞培養技術を開発していたが、国内メーカーにはなかったのが原因だ。 ワクチンを確保すべく舛添要一厚労相(当時)は、「ノバルティス」(本社スイス)などから合計9900万本のワクチンを緊急輸入した。 この時厚労省は、積極的にワクチンを輸入する気はなく、「輸入ワクチンは危険」というネガティブキャンペーンをはった。パブリックコメント募集時には、「国内では使用経験のないアジュバント(免疫補助剤)を用いている」など不安を煽った。 輸入ワクチンの審議に参加した当時の感染研幹部は、「輸入ワクチンはデータがない」と虚偽の主張をした。 真相は逆だった。 輸入ワクチンは海外で治験が実施されていたが、国産ワクチンは全く治験を行っていなかった。 今回、政府が設置した「新型コロナウイルス感染症対策専門家会議」の委員を務め、当時、感染研の感染症情報センター長だった岡部信彦氏は、2011年9月7日の『日経産業新聞』で、「技術的な問題はあっても産業育成の観点から国内メーカーを優先するのはやむを得ない」と述べている。 自国の産業を育成するか、海外から輸入するかは、国民あるいは政府が総合的に判断することだ。医師や感染症の研究者に求められる判断ではない。 このような発言を公務員が公言するのは異様だ。彼らの本音が透けて見える。自前主義、言い換えれば「官民カルテル体制」を死守したいのだろう』、「新型インフルエンザの流行」時に、「舛添要一厚労相(当時)は、「ノバルティス」(本社スイス)などから合計9900万本のワクチンを緊急輸入」、厚労省の抵抗を押し切って輸入したとは英断だ。感染研や厚労省が、「自前主義、言い換えれば「官民カルテル体制」を死守したい」、その犠牲になるのは国民だ。
・『厚労省方針は「人体実験」  新型コロナウイルス対策でも同じことが起こっている。 その象徴が遺伝子検査(PCR)だ。 多くの医師・患者がPCRを希望したが、相談窓口の保健所で断られた。このことは国会でも取り上げられ、社会問題となった。 世間の批判に曝された厚労省は、2月18日から、1日あたりのPCR実施数を3800人に増やすと発表したが、1週間後の25日時点の検査総数は1017人で、前日から104人しか増えていなかった。 韓国は1日あたり5000人の検査体制を構築し、26日午前9時時点で4万5008人が検査を終えていた。 なぜ、日本のPCR件数が少ないのだろうか。 専門家会議の副座長を務める尾身茂氏(独立行政法人地域医療機能推進機構理事長)は、「国内で感染が進行している現在、感染症を予防する政策の観点からは、すべての人にPCR検査をすることは、このウイルスの対策として有効ではありません。また、既に産官学が懸命に努力していますが、設備や人員の制約のため、すべての人にPCR検査をすることはできません。急激な感染拡大に備え、限られたPCR検査の資源を、重症化のおそれがある方の検査のために集中させる必要があると考えます」 と説明している。 この説明は苦しい。韓国にできて、日本にできない理由は考えにくいからだ。 国内には約100社の民間検査会社があり、約900の検査センターを運用している。1つの検査センターでは1日あたり、控えめに見て20人を検査するとしても、1万8000人が可能になる。 さらに尾身氏の発言は、彼の本音を曝け出している。 彼が求められたのは、専門家としての意見だ。彼が紹介すべきは韓国の取り組みなどの具体的な事実であり、政策的な判断ではない。 なぜ、ここまで強硬に抵抗するのだろうか。それは、検査数が増えれば感染研の処理能力を超えるからだろう。 感染研は「研究所」だ。現在のPCR検査が「研究事業」の延長だからこそ、臨床医がPCR検査を必要と判断しても、断ることが許容されている。高齢者は2日以上の発熱が続いた段階で帰国者・接触者相談センターへ相談するとか、PCR検査は肺炎の確定診断に用いるなど、おかしな基準が罷り通る。 早期診断・早期治療は医療の鉄則だ。 特に高齢者は、治療の遅れが致命的になる。 発熱すれば体力が低下し、脱水になる。2日間も我慢せず、点滴や解熱剤を服用した方がいい患者もいる。インフルエンザなら、抗ウイルス剤を服用した方がいいだろう。 さらに、高齢者の肺炎は、殆どが致命的だ。PCR検査で新型コロナウイルス感染の診断をつけても、データを集めるという意味では意義があるが、患者にとっては無益だ。 専門家の提案に従った厚労省の方針は、まさに「人体実験」といっていい代物だ』、こんな「厚労省の方針」を無批判に報道する一般のメディアの姿勢にも疑問を感じる。厚労省担当記者でも理解できないのか、或いは理解できていても、厚労省に遠慮しているのか、いずれにしろ大問題だ。
・『「命」より「データの独占」  なぜ、このような異様な提言が専門家会議で罷り通るのだろう。 それは、新型コロナウイルス感染が拡大し、多くのPCR検査を求められれば、やがて感染研では対応できなくなるからだ。 1日に何万件もの臨床検体を取り扱い、事務手続きや会計処理をするのは、民間検査会社でなければ不可能だ。検査希望者が増えれば、やがて彼らがコントロールできない状況になる。 彼らが怖れているのは、ここだろう。 このことを示唆する所見は、いくつもある。 たとえば、厚労省は大手検査会社の「みらかグループ」と「BML」に協力を依頼したが、彼らがクリニックから直接検体を受託することを規制した。 みらかグループが医療機関に送った文章をご紹介しよう(下図)。 彼らは、「本検査は厚生労働省及びNIID(筆者注・感染研のこと)のみから受託するものであり医療機関からの受託は行っていません」と記載している。体裁上はみらかグループの自主的な動きだが、どのような背景があるかは容易に想像がつくだろう。 あまりの酷さに、「内部告発」も出始めた。 2月28日、『テレビ朝日』の『モーニングショー』に出演した岡田晴恵・白鷗大学特任教授は、以下のように発言した。岡田教授は感染研ウイルス部の元研究部員だ。少し長くなるが引用しよう。「(PCR検査が公的医療保険の適用対象になるからといって)クリニックから直接(民間のPCR検査を依頼できるかどうか)ということはまだわかりません。ちょっと待ってくれと、中枢の先生方が言われたからです。 私はうがった見方をして、オリンピックのために汚染国のイメージをつけたくないという大きな力が影響しているのかなと思って、先生方に聞いたのですが、『そんなことのために数字をごまかすほど、肝の据わった官僚はいない。これはテリトリー争いなんだ。このデータはすごく貴重で、地方衛生研究所からあがってきたデータは、全部、国立感染研究所が掌握しており、このデータは自分で持っていたいと言っている感染研OBがいる。そのへんがネックだった』とおっしゃっていました。ぜひ、そういうことはやめてほしい。人工呼吸器につながれながらも、確定診断してもらえない人がいるんです。数万人の命がかかっています」 岡田教授は、全国ネットのテレビで実名で告発したのだから、相当な覚悟だろう。そして、多くの国民は彼女の発言を信じるだろう。彼女の声は、どこまで届くだろうか。状況は暗い』、「厚労省は大手検査会社の「みらかグループ」と「BML」に協力を依頼したが、彼らがクリニックから直接検体を受託することを規制した」、「地方衛生研究所からあがってきたデータは、全部、国立感染研究所が掌握しており、このデータは自分で持っていたいと言っている感染研OBがいる」、こんなことが危機的状況にあっても、いまだにまかり通っていることには、心からの怒りを禁じ得ない。
・『「日本版CDC」は「731部隊」の復活  新型コロナウイルス対策の迷走を見て、アメリカの「疾病予防管理センター」(CDC)のような「感染症の司令塔」がないことが問題だ、という論調が強まった。 今回の流行が落ち着いた段階で、政府は新組織を含む体制強化を検討することを表明している。 彼らの目標は、「日本版CDC」になることだ。一体、CDCとは何だろう。それは軍隊と密接に繋がる組織だということだ。 米CDCは、第2次世界大戦が終わった後の1946年7月に国防省のマラリア対策部門の後継機関として立ち上がった。戦前の日本の伝研に相当する組織で、日本が第2次世界大戦で勝利していたら、伝研は日本版CDCとなっていただろう。 CDCの特徴は、政府とは「独立」して、感染症対策を立案・遂行できることだ。現在、強力なCDCを有するのは米国と中国だけだ。私は、強大な軍事力と表裏一体だと思う。 安倍官邸は医療の素人であり、医療についてはわからない。今回の対策を仕切ってきたのは、感染研・医系技官・医科研・慈恵医大のカルテットだ。安倍政権が介入しようとすれば、「専門家の意見を聞かない」と反発する。 2月27日、安倍晋三首相が全国の小中学校と高校、特別支援学校を臨時休校することに決めた際には、専門家会議メンバーらは、「専門家会議で議論した方針ではなく、感染症対策として適切かどうか一切相談なく、政治判断として決められたものだ。判断の理由を国民に説明すべきだ」(岡部信彦氏) 「政治的な判断だ。科学的な知見に基づいての提言ではない」(吉田正樹氏)と猛反発した。 繰り返すが、彼らに求められるのは、専門家としての意見で、政治的なプロセスを批判することではない。私は違和感を覚えた。 現実に感染研・医系技官・医科研・慈恵医大のカルテットは、CDCとしての機能を有している。彼らが求めているのは、CDCを法的に保証し、予算を増額することだ。 果たして、それが国民のためになるのだろうか。新型コロナウイルス対策での彼らの言動を聞くに、私は甚だ不安だ。 CDCとは畢竟、政府と独立して機能する専門集団だ。情報開示の圧力を避け、独走することが可能になる。まさに、「731部隊」がやったことだ。果たして、そんなものが日本に必要なのだろうか。 私は、帝国陸海軍の亡霊たちが、専門家会議の委員にとりつき、復活を果たそうとしているように見える。令和版『犬神家の一族』かもしれない』、当初は「日本版CDC」は必要と考えていたが、「情報開示の圧力を避け、独走することが可能になる。まさに、「731部隊」がやったことだ」、やはり、先ずは「カルテット」の解体を含む全面的な体制の見直しが先決なのだろう。

第三に、国際医療福祉大学大学院教授で精神科医の和田 秀樹氏が3月9日付けPRESIDENT Onlineに掲載した「安倍政権の新型コロナ対策は「視野狭窄バカ」である 目前のことに振り回され対策は後手」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/33549
・『安倍首相の要請により始まった「一斉休校」は正しい判断だったのか。医師の和田秀樹氏は「安倍政権は、心理学でいう視野狭窄の状態に陥っている。目前の『感染拡大』にばかりとらわれてしまって、ほかの重要なことが冷静に考えられなくなっている」という――』、「和田」氏らしい鋭い診断だ。
・『「一斉休校」で学力低下という大きな代償を払うことになる  新型コロナウイルスで世界中がパニックのようになっている。 2月27日に、安倍晋三首相が3月2日から全国すべての小学校・中学校、それに高校と特別支援学校について、春休みに入るまで臨時休校とするよう要請する考えを示した。 そのため、何の準備もしていない学校現場は大慌てとなり、卒業式ができない子どもや小さな子供をもつ親御さんの困惑ぶりが伝えられると、翌28日には一転して、安倍首相は、衆議院財務金融委員会で「今回の要請は法的拘束力を有するものではなく、最終的な判断は学校を設置する地方自治体や学校法人などで行われるものだ。各学校や地域で柔軟に判断いただきたいと考えている」と述べ、萩生田光一文科相も同様のコメントを出した。 しかし、すでに休校で動き出した流れは止められず、結局、ほとんどの学校が春休み終了まで休校となった。 私の知り合いの私立進学校の校長は、少しでも子どもの学力低下を食い止めようと地域で唯一、授業を続けたが、周囲から有形無形の圧力を感じて、数日後にはやはり休校することに決めたという。 学校に限らず、コロナウイルス騒動の余波は多くの場に広がり、とくにスポーツ界では無観客試合が当たり前のようになっている。 あくまで個人的見解だが、私は対応がバタバタしすぎていると感じる。本連載ではこれまで本来賢い人たちがあるきっかけで思考停止のようなバカな状態になっている現象を報告しているが、今回もそれに該当するのではないか』、面白そうだ。
・『安倍政権「稚拙な新型コロナ対策」の3つの盲点  心理学の立場から、3つの観点から新型コロナ騒動に対する疑問を述べたい。 (1)まず、一斉休校のような大きな代償を払ってまで感染の拡大を防ぐ必要があるのかということに対する多角的検討が足りないのではないかという疑問だ。 (2)次に、それだけのことをやって本当に終息に向かわせられるのかという疑問だ。 (3)最後は、厚生労働省は感染の拡大防止や予防的なことにばかりに重点を置きすぎていて、「感染後の対応」が二の次にされていないかという疑問である。 まず(1)「大きな代償を払ってまで感染の拡大を防ぐ必要性を多角的に検討していないのではないか」について。かつて世界で流行した致死率35%のMERSや10%のSARSなら、一時的に経済活動をストップしても感染拡大阻止に全力を挙げるべきだろう。 ただし、その場合は、学校の休校やスポーツ観戦の禁止というような手ぬるい処置ではなく、電車やバスの運休、企業の就業停止など、不特定多数の人との接触停止を2、3週間程度やるくらいの徹底が求められる。 一方、今回の場合、新型コロナウイルスの感染者数は3月4日時点で、中国で感染者が8万人を超え、2943人が死亡したとされている。致死率は3%を超えているから、かなり高いと言えるが、中国の人口を考えると爆発的な感染とまでは言えない。世界全体でみると、9万2722人が感染し、3155人が死亡しており、死亡率は似たようなものだ。 日本でもすでに268人中12人が亡くなっている。致死率は世界と同レベルだが、ほとんどが高齢者なのも確かである』、「大きな代償を払ってまで感染の拡大を防ぐ必要性を多角的に検討していないのではないか」、同感である。
・『アメリカのインフルエンザが日本に入るのを防ごうという話は聞かない  実は、アメリカではインフルエンザで今シーズンだけで1万2000人が亡くなっている。アメリカの場合、医者にかからないで死ぬ(医療費が高いため)人が多いので、3万人という推定もある。それでも、アメリカのインフルエンザが日本に入ってくるのを防ごうという話は聞かない。アメリカの場合、今年のインフルエンザが特別怖いということではなく、2017~18年のシーズンには6万人以上の死者を出している。ただ、その年でも、やはり「アメリカからの感染を防ごう」という動きを国も国民も取らなかった。 以上を踏まえ、スポーツ観戦はともかくとして、学校の休校のデメリットはかなり大きいと考える。なぜなら、インターネットなどを通じた在宅学習のインフラが十分でない日本では、ここ数年学力低下が懸念されている現状をより深刻なものにしてしまいかねないからだ。 また、この休校状態が長期間続き、成長期の子供たちが長い間家を出ないというような事態に発展すると、運動不足により骨や筋肉の発達に影響を与えかねない。 こういう費用対効果を考えないで、手っ取り早くできそうなことだけ、感染拡大防止のための対応をすることに疑問を感じるのだ』、「アメリカではインフルエンザで今シーズンだけで1万2000人が亡くなっている。アメリカの場合、医者にかからないで死ぬ(医療費が高いため)人が多い」、死者が異常に多い事情が理解できた。「「アメリカからの感染を防ごう」という動きを国も国民」も取らないのは、確かに「新型コロナ」騒動に比べ、整合的でないようだ。
・『安倍政権は本当に「新型コロナ」を終息できるのか  次は(2)「本当に終息に向かわせられるのか」について。 インフルエンザウイルスの予防に関しては、一般的に、温度20~25度程度、湿度50~70%程度を保つことが予防のひとつといわれ、夏場に流行ることはほとんどない。しかし、新型コロナに関して、その傾向が確認されていない。夏風邪というのがあるくらいだから、夏場にも流行するリスクは決して低くない。 これは医師としての私の推定だが、現在、新型コロナは東南アジアなどでも相当数の感染者が出ているのだから、高温多湿にも強い特質も備えているのではないか。(※) ※世界保健機関(WHO)は3月6日、「インフルエンザのように夏が来れば新型ウイルスが消失するの考えは間違った期待だ」と発言した。 武漢という都市は、日本企業の工場も多く、日本との交流が深い街だ。コロナウイルスがニュースになる前に日本に入ってきた中国人はかなりの数いるはずで、その中にかなりの数のウイルス保有者がいても不思議ではない。 ここへきて国内の企業は、テレワークや時差通勤を推進しているが、それでも依然として満員電車での通勤を余儀なくされている人は多い。ということは、近いうちに新型コロナ検査キットなどが普及すれば、感染(陽性)者数はどんどん増えると思われる。 春休みが終わった時点で、感染者が数千人(3月4日時点で1000人超)というような状況となって、はたして休校を解除して、1学期を始められるだろうか。オープン戦は無観客試合と決めたプロ野球もレギュラーシーズンに入ったからといって、観客を球場内に迎えることができるのだろうか。日本は密閉式のドーム型が多いのである。 4月になってもおそらく終息宣言は出せないと私は見ている。「新型コロナは致死率が低いから、学校に再び通ってもいいし、多くの人が集う場所でのスポーツ観戦も自由にどうぞ」という結論には至らないだろう』、異例の措置は、止める出口戦略が難しいのは、日銀の異次元緩和と同様だ。
・『感染してしまった後の対応が二の次にされている  最後に(3)「感染してしまった後の対応が二の次にされていないか」である。これに関しては政府もマスコミも、「感染拡大の阻止」に力を置きすぎている。 この記事を書いている途中で、日本の島津製作所がわずか1時間で新型コロナの感染の有無を判定できる機械を開発したことを発表したというニュースが出た。 政府の検査態勢が後手後手だったと批判される中、これが普及すれば、かなりの人の検査が可能になる代わりに、感染者と判明する人はものすごい数で増えるだろう。そうなったときの準備・対策を厚労省はしているだろうか。おそらくそこまで手が回っていないに違いない』、「「感染してしまった後の対応が二の次にされていないか」、同感である。
・『政府は心理学でいう「視野狭窄」に陥っている  今回の新型コロナの場合、高齢になるほど致死率が高く、若年者の死者がかなり少ない。 高齢者施設などに感染が広がらないような対策を採ることは以前からも行われてきたことだが、新型コロナ感染拡大を受け、それをより徹底しヌケのないような体制作りを介護の現場とともに進めるべきだろう。 現時点では、日本の致死率は他国と変わらないが、今後、感染者数そのものが増えたとしても致死率はむしろ下がる可能性が大きいのではないか。なぜなら日本は国民皆保険であり、また外来・入院ともに施設の充実度において他国より上だからだ。しっかりした医療体制が維持されるよう政府がバックアップすることが終息への道となるはずだ。 本稿で、私がもっとも声を大にして言いたいのは、今の政府やマスコミの対応は、心理学でいう「視野狭窄」に陥っているということである。つまり、「感染拡大」にばかりとらわれてしまって、ほかのことが冷静に考えられなくなっているということだ』、「政府」だけでなく、本来は冷静であるべき「マスコミ」も「「視野狭窄」に陥っている」のは残念だ。
・『一斉休校ではなく、やるべきことは他にあるはずだ  新型コロナから話がそれるが、自殺やうつ病を心理学的に研究する分野に「心理学的視野狭窄」という概念がある。たとえば、一部のうつ病の人が「自分は落伍者だ」「もう今後再就職は見込めない」のような考えにとらわれ、ほかの可能性が考えられなくなる現象である。 ほかの可能性が考えられないから、自分の悲観的な観念が絶対正しいと思ってしまい、さらに悲観的になって、最終的に「死ぬしかない」とか「生きていてもいいことはない」という発想にいたってしまう。なにかのきっかけで自殺するというのは、こういう心理状態にあるときだと研究者たちは分析している。 こういう人にほかの可能性も考えられるようにしてあげるのが、現在のうつ病のカウンセリング治療のトレンドだ。 自殺の研究者によれば、いじめ自殺というのは、いじめられた子が助けを求めず、「もう逃げられない」と考えてしまうから自殺にいたってしまうという。そこで、「いじめをなくす」といった100%実現が難しい目標を掲げるより、本人がほかの可能性も考えられるような心理教育・自殺予防教育のほうが、よほど実効性があると研究者たちは言う。私もこれに同意する。 安倍政権の新型コロナウイルス対策はある種の心理学的視野狭窄に陥っている。マスコミの報道にもそれを感じる。目前の現象(感染者拡大とその防止)にエネルギーを奪われ、その他の事後の対策・準備がおろそかになっているように見える。死亡者の多い高齢者へのケアを今から手厚くする、新型コロナ感染を疑って来院した大量の患者を受け入れる体制を整える、といった対処こそ優先すべきではないか。 読者の方におかれては、「不安なとき、危機に対応するとき」ほど慌てず冷静になって、安倍政権のような視野狭窄になっていないかを自己モニタリングして、なるべく多面的に検討したうえでの言動を心掛けてほしい』、説得力溢れた主張で、全面的に同意したい。

第四に、健康社会学者(Ph.D.)の河合 薫氏が3月10日付け日経ビジネスオンラインに掲載した「新型コロナが引き出した大衆の深層心理の闇」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00118/00065/?P=1
・『「社会生活や人間関係を汚染するものこそが、新型コロナウイルスがもたらす最大の脅威だ」──。 これはSNSでも話題になった、イタリアの高校のドメニコ・スキラーチェ校長が生徒たちに送ったメッセージの一部だ。 校長先生は、「外国人に対する恐怖やデマ、ばかげた治療法。ペストがイタリアで大流行した17世紀の混乱の様子は、まるで今日の新聞から出てきたようだ」と、1630年にミラノを襲ったペストの流行について書かれた『許嫁(いいなずけ)』を紹介。「感染拡大のスピードは、昔は少しゆっくりだったかもしれないが同じで、それを止める壁は存在しない。目に見えない敵からの脅威を感じているときは、仲間なのに潜在的な侵略者だと見なしてしまう危険がある」と説いた。 ふむ。まるで今の日本だ……。 車内で咳(せき)をしただけで怒号が飛び、ドラッグストアの前ではマスク購入を巡る取っ組み合いのけんかが起きている。私の友人は電車の中で咳をしたら「周りからどんどん人がいなくなり、殺されそうな目で見られた」と嘆いていた(彼女は難病があり乾燥した空間に行くと咳が出るので、常にマスクを着用している)。 中華街には外国人を罵倒するビラが送りつけられ、コンビニのトイレではトイレットペーパーに鎖が付けられていたところも。なるほど、盗難防止ということか』、「社会生活や人間関係を汚染するものこそが、新型コロナウイルスがもたらす最大の脅威だ」、イタリアの高校の校長もいいことを言うものだと感心した。
・『生かされない過去の経験  未知なるものに不安を感じるのは、人として当然の反応である。人類の歴史は感染症との戦いであり、感染症流行に伴う混乱は、地震などの自然災害と同様、社会心理学の分野で研究が蓄積されてきた。しかし、悲しいかな、研究者たちの思いとは裏腹に未知なるものへの“常軌を逸した言動”は繰り返されている。 緊急事態が起こる度に総括され、法律や制度を整備しても、人の心をコントロールするのは至難の業。2003年の重症急性呼吸器症候群(SARS)、09年の新型インフルエンザと、人々の不安感や言動なども研究者たちが検証し、リスクコミュニケーションの重要性が指摘されてきたのに、今の政府の対応には「り」の字のかけらもない(後ほど詳細は説明する)。 そこで今回はいつもとちょっとばかりテーマを変えて、「人の愚かさ」について、過去を振り返ってあれこれ考える。 正直に打ち明けると、私は今のギスギスした空気と、トンチンカンな政治決断やら根拠なき噂話やらにへきえきし、「コロナ関連死」なるものが出るのではないかと危惧している。既存の薬が効いた、検査時間を半分にできるウイルス検査用の試薬開発に着手したなど、企業に勤める研究者たちの努力で前向きになれるニュースも出てきたけど、やはり過去に学び、今を考え、明日からでもできることを模索したいし、少々落ち着きを取り戻したい。 というわけで、感染症流行時の心理反応や効果的なコミュニケーションに関するいくつもの論文を参考にしながら書き進めるので、みなさまもお付き合いください』、「今の政府の対応には「り」の字のかけらもない」のみならず、安部首相自らが危機を煽っているようだ。
・『まずは、世界をパニックに落ち入れた感染症の代表格、「ペスト=黒死病」流行時の惨事を簡単に振り返っておく。 ご存じの通りペストの流行は繰り返され、14世紀にヨーロッパで猛威をふるった際には少なくともヨーロッパ人口の約3分の1が犠牲になったと記録されている。ペスト流行の原因については、広く知られるネズミ原因説のほかにも「占星術的な病因説」や「キリスト教の敵説」があった。 前者は、「火星と木星が水瓶座に集合したため」という、現代なら「???」というものだが、後者は「ユダヤ人が井戸に毒を放った」「ユダヤ人が毒入りのぶどう酒を作った」という、“人間関係を汚染源”とするものだった。 当時、ユダヤ人には裕福な人が多くペストを予防できたため、犠牲者が少なかった。それがかねての宗教的対立を激化させ、ペストは「ユダヤ人のせいだ!」という根拠なき噂や臆測をもたらし、ユダヤ人迫害という民衆の行動を招いた。 1382年、暴徒たちはパリのユダヤ人街で略奪と破壊を行い、1391年には、セビリアの助祭長が「ユダヤ人に対する聖戦」を扇動。暴徒はユダヤ人街に押し寄せ、およそ4万1000人のユダヤ人が殺害され、ストラスブールでは、 2000人のユダヤ人が火刑に処せられたという記録もある。 まさに「目に見えない敵からの脅威を感じているときは、仲間なのに潜在的な侵略者と見なす心理」(by校長先生)が、いくつもの根拠なき噂を生み、常軌を逸した行動につながったのだ』、「ユダヤ人」は昔からこうした危機の際に血祭に挙げられる宿命を負っていたようだ。
・『日本でも感染病によるパニックがたびたび起きた  似たようなことは日本でも、江戸から明治時代にかけて数年間隔で猛威をふるったコレラの流行で起こっている。 1879年(明治12年)の大流行では、患者は感染病専門病院に収容され、自宅療養患者の家族は外出禁止など、感染を防ぐための配慮から隔離する措置が執られていた。 また、感染予防のために魚介類や生鮮食品の販売が禁止され、関係者は大打撃を受ける。そんな折も折、新潟町(過去の文献の記載のまま)では大火や洪水が発生し、米価が急騰。人々のコレラへの恐怖心や不安感はピークに達することになった。 恐怖の矛先はコレラ患者と警察に向けられ、ついに沼垂町では竹やりなどを手にした人々が警察や病院などを破壊。駆けつけた警察によって鎮圧されるも死者を出す事態に発展したという。 そういった異常事態は全国にも伝わり、「沼垂ではコレラに感染すると殺すらしい」「警察は人の生き肝を米国に売っているらしい」「コレラの原因は毒まきが毒をまくためだ」といった噂話が広がり、「毒まき」と疑われた人が市民の手によって警察に連行される騒ぎも起こる。 「死刑にしろ!」と騒ぎ立てる市民と、それを鎮圧しようとする警察との間で衝突が起こり、暴動に発展するなど、異常事態の連鎖が続いたそうだ(鏡淵九六郎編『新潟古老雑話』より)。 ……とまぁ、今とは時代が違うので「昔話」のように思えるかもしれないが、今回の新型コロナウイルスでも「動物からの感染じゃないらしい!」「ウイルス兵器の実験中だったものじゃないか?」などとSNSで発信しているメディアもある。首尾一貫性を好む人間は、兎(と)にも角にも原因を突き止めないと気がすまない。 「隣人や自分と同じ土地に暮らす人々を、敵と見なすか?同胞と見なすか?で人々の行動が変わる」というのは自然災害時の通説だが、ウイルスのように目に見えない恐怖では、見えている「誰か」を危険な存在だと見なし、排除することで、恐怖から逃れようとする心理が強く働くのだ。 先週、ドラッグストアの店員さんが「コロナより人間が怖い」とtwitterで悲鳴を上げ、多くの共感が集まったが、その根っこにある心の動きは過去の感染症流行時と全く同じだ。 ドラッグストア勤務歴12年のベテラン店員さんのツイートは、デマ情報にだまされドラッグストアに殺到するお客さんへの対応について書いたものだった。 「今まで優しかった人々が、殺気立って、とにかくイライラをぶつけてくる。『次の入荷はいつ?』『いつもないじゃない』『1個くらい取っておいてよ』と電話でも、対面でも何度も何度も聞かれ、その度に『すみません』『申し訳ありません』と頭を下げている。人が鬼に見える。正直ノイローゼ気味だ」などと書かれ、リツイートは33.5万件、いいねは59.8万件を超えた(5日19時現在)。 店員さんが「今まで優しかった人々」としていることから分かる通り、幼稚で暴力的な言動に走るのは、決して「特別な人」だけではない。 恐怖にあおられればあおられるほど、人の生存欲求はかき立てられ、利己的な言動が引き出される。自分でも驚くような大きな声を出してしまったり、後から考えると反省しきりの行動をしてしまったりする愚かさを、私たちは持ち合わせている。実に恐ろしいことだ。 3月3日には、「『トイレットペーパーが品薄になる』という虚偽情報を流したのは、うちの職員だった」と、鳥取県米子市の「米子医療生活協同組合」が謝罪したが、その数分後には、SNS上で職員の実名が拡散され、にわかに信じがたいおぞましい言葉が職員に浴びせられていた。“二次被害”が出ないこと願うばかりだ』、日本でも「コレラの流行」時に騒動があったとは初めて知った。「ウイルスのように目に見えない恐怖では、見えている「誰か」を危険な存在だと見なし、排除することで、恐怖から逃れようとする心理が強く働くのだ」、これも人間の困った業なのだろう。
・『冷静さを取り戻す鍵はリスクコミュニケーション  いずれにせよ目に見えない敵に恐怖を感じたときの人間は実に愚かで、暴力的かつ刹那的な言動に走りやすい。それを防ぎ、「正しく恐れる」(←知識人が好む言葉ですね)には、リスクコミュニケーションを徹底するしかない。 「リスクコミュニケーション」は個人、集団、組織などに属する関係者たちが情報や意見を交換し、その問題について理解を深め、互いにより良い決定を下すためのコミュニケーションだ。それは一方通行ではなく双方向で、批判的ではなく建設的に、1回限りではなく継続的にやりとりされる「相互作用の過程」である。 すなわちリスクコミュニケーションとは一般の人たちの「知る権利」であり、リスクに対する彼らの不安や被害をできる限り減らすための唯一の手段なのだ。 リスクコミュニケーションの重要性は、原発の事故発生時やその後の再稼働のときにも散々指摘されてきたが、特に予測が難しい感染症時のリスクコミュニケーションでは、専門家の役割が極めて重要になる。 専門家には一般の人たちの目線と、難しいことを平易な言葉で分かるように伝えるスキルと、「こんなこと言っても分からない」とあきらめない姿勢が求められる。) リスクコミュニケーションでは、専門家が意思決定の裁量を持ち、情報の一元化を徹底することが極めて重要となる。例えば、リスクコミュニケーション先進国である米国では、新型インフルエンザが大流行した際、米疾病管理予防センター(CDC) がリーダーシップを執り、情報提供窓口を一元化した。政府や自治体、企業や学校などもCDCを一次情報源とした。 CDCは、感染者数、感染源、治療法などどんどん更新される情報を、逐一国民に発信し、その際も国民の生活目線を忘れず、迅速かつ分かりやすさを徹底したと報告されている。 例えば、小学校や保育施設など施設別の行動指針やハイリスク者に関する情報、乳児の保護者向けの情報や、夏休み前にはキャンプ時の感染予防策など、豊富な切り口で情報提供した。CDCのホームページを見るだけで、幅広い情報ニーズを満たすことができるようになっていたそうだ(「新型インフルエンザのリスク認知とリスクコミュニケーションのあり方に関する調査研究」より)。 さらに、CDCは暫定的な行動指針やガイドラインなどもリアルタイムで公表、都度更新し修正を加えるなど、まめな情報発信に努めた。 徹底的に正確な情報提供を続けるからこそ、国民の情報への信頼は高まる。生活者目線の情報だからこそ、誰もが「自分の身に何が起こるか? 何に備えておけばいいか? 必要なものは何か? 困ることは何か?」と考え、具体的な行動につなげることができる。 そのような過程の先に、オバマ大統領の「国家非常事態宣言」があり、その後もきちんとそれまでのプロセスと決定を振り返り、検証も行うなど、最後まで双方向の基本原則を貫いたという』、「米疾病管理予防センター(CDC) がリーダーシップを執り、情報提供窓口を一元化した。政府や自治体、企業や学校などもCDCを一次情報源とした」、確かに有効なやり方だが、日本の厚労省などの閉鎖的・隠蔽体質では、機能しないだろう。
・『メディアは一次情報と連携すべし  リスクコミュニケーションでは、二次発信となるメディアの役割も極めて大きい。にわか専門家や、コメンテーターなどが、国民の不安をかき立てるようなことがないように、一次情報発信者(専門家チーム)と密接に連携する。メディアの記者たちには、専門家や政府などが行う記者会見で、適切かつ意義ある質問ができるだけの最低限の知識と生活者目線を持つことが求められる。そのためには専門家たちがリーフレットを配ったり、ミニ講習会を開くなど、マメに「汗をかく」必要もある。 当然ながら政府の役割と責任は極めて大きく、国民に発信するときには、「何を根拠に、そういった決定がなされたのか?」を、一次情報に基づき、きちんと説明し、記者からの質問にもきちんと対応し、双方向の原則を守らなくてはならない。 日本では、リスクコミュニケーションの重要性は「厚生労働省健康危機管理基本指針」にまとめられているし、新型インフルエンザが流行したときの経験を踏まえたリスクコミュニケーションの課題は、研究者がいくつもの調査報告書にまとめている。 一次情報の窓口となった厚労省からのリアルタイム発信が乏しかった、WHOの情報と政府の対応の関係の食い違いが不安と不信感を高めた、マスコミの過熱した報道姿勢など、いくつもの問題が指摘されているのだ。)  ……にもかかわらず、それが全く生かされていない現実がある。 今回の新型コロナウイルス感染拡大防止策は、当初から「誰がリーダーシップを取っているのか?」が不明だったし、専門家会議を立ち上げるのも遅かった。 安倍晋三首相自身が全国の小中高校などへの休校要請について、「直接、専門家の意見を伺ったものではない」と、専門家会議の提言に基づく決定ではないと明かしたり、記者会見でも記者の質問に答えずその場を去ったり、5日に発表された「中韓からの入国規制」については、政府対策本部の専門家会議メンバーの押谷仁・東北大教授が、困惑した様子で受け止め「まずは国内の対策に力を入れるべきではないか」と疑問視したと一部メディアで報じられている。 本来、鍵を握るべき専門家の立場は? 生活者目線は? どこに行ってしまったのか。 安倍首相の政治決断を「英断!」と評価する人もいるけど、納得いく説明もないままにトップダウンの発信だけが進んでいることが、余計な不安感や恐怖心、疑念、差別、偏見、間違った知識などにつながっている。 確かに厚労省は、twitterやFacebookで発信を行っている。しかし、防止策の意思決定はどのように行われているのか? どこに双方向のプロセスがあるのか? 分からないことだらけだ』、「日本では、リスクコミュニケーションの重要性は「厚生労働省健康危機管理基本指針」にまとめられているし、新型インフルエンザが流行したときの経験を踏まえたリスクコミュニケーションの課題は、研究者がいくつもの調査報告書にまとめている……にもかかわらず、それが全く生かされていない現実がある」、つい最近の教訓でも学ぼうとしないのは、困った悪弊だ。
・『一貫しない言動が続く政府とメディア  当初、テレビに出演する専門家たちは「マスクは予防にならない」と口をそろえ、手洗いが最大の防止策と言っていたにもかかわらず、マスクを国が買い取り北海道の人々に配布した。 その後、介護職員らでつくる労働組合が全国の介護事業所4043カ所への緊急調査を行い、マスクがすでにない事業所が約2割、訪問介護に限ると3割、在庫が2週間分以内の事業者は3分の2に達していると、政府にマスクの確保を訴えた。 これにより政府は、「1人に1枚行きわたるようにする」と発表した。 ところが突然、マイナンバーで買えるようにするだの、何だのと、「え? 今、それ??」という発信もあり、政府もメディアも右往左往する状態がまだまだ続いている。 今からでも遅くない。せめて、新型インフルエンザのときの経験を生かした情報発信と対応をしてほしい』、その通りだ。政府はこんな行き当たりばったりの対応で、よくぞ恥ずかしくないものだ。
タグ:予算を主導したのは 河合 薫 新型肺炎感染急拡大 PRESIDENT Online 「安倍政権の新型コロナ対策は「視野狭窄バカ」である 目前のことに振り回され対策は後手」 パンデミック 上昌広 感染してしまった後の対応が二の次にされている 健康・医療戦略室 安倍政権は本当に「新型コロナ」を終息できるのか 予算を決めるのも、執行するのも同じ人 アメリカではインフルエンザで今シーズンだけで1万2000人が亡くなっている。アメリカの場合、医者にかからないで死ぬ(医療費が高いため)人が多いので、3万人という推定もある 感染症対策専門家会議」は12名のメンバーで構成されるが(下表)、日本医師会、日本感染症学会、公益を代表する弁護士などを除くと、残る9人中8人が前述の4施設の関係者 アメリカのインフルエンザが日本に入るのを防ごうという話は聞かない 「医療崩壊 (34) 帝国陸海軍の「亡霊」が支配する新型コロナ「専門家会議」に物申す(下)」 「命」より「データの独占」 一貫しない言動が続く政府とメディア 厚労省方針は「人体実験」 感染研は「研究所」だ。現在のPCR検査が「研究事業」の延長だからこそ、臨床医がPCR検査を必要と判断しても、断ることが許容されている 鴎外は軍医を派遣して伝研を支えた。こうして伝研は陸軍との関係を深めていく 「感染後の対応」が二の次にされていないか 医療センター 医科研 一斉休校ではなく、やるべきことは他にあるはずだ 高木は東京帝国大学医学部、陸軍軍医団がドイツ医学一辺倒で学理・研究を優先していることに反発し、海軍軍医学校には実証主義的色彩が強く、臨床医学を重視する英国医学を取り入れた。 このような姿勢が、有名な脚気の予防法の確立へと繋がり、脚気対策の確立は日露戦争での間接的勝因といわれるに至る 「自前主義、言い換えれば「官民カルテル体制」を死守したい 慈恵医大 それだけのことをやって本当に終息に向かわせられるのか 新型コロナウイルスの拡大が止まらず、政府は迷走を続けている。クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号の検疫の失敗、遺伝子診断(PCR)の体制整備の遅れ、安倍晋三首相による突然の休校依頼――。 国内外から批判が噴出している 接種できた人数は、推定600万人に過ぎなかった。同時期に米国では4600万人に接種し 慈恵医大につながる「海軍人脈」 軍隊のもう1つの特徴が、自前主義だ 新型インフルエンザの流行 虚偽だった「輸入ワクチンはデータがない」 戦前から続く「ワクチン利権」 遺伝子検査(PCR) ワクチンを確保すべく舛添要一厚労相(当時)は、「ノバルティス」(本社スイス)などから合計9900万本のワクチンを緊急輸入した。 この時厚労省は、積極的にワクチンを輸入する気はなく、「輸入ワクチンは危険」というネガティブキャンペーンをはった 現在も、ワクチンの製造・供給体制は、他の薬剤とは全く違う。数社の国内メーカーと「国立感染症研究所」(感染研)が協力する「オールジャパン」体制だ。 「731部隊」関係者もいた「感染研」 「医療崩壊 (33) 帝国陸海軍の「亡霊」が支配する新型コロナ「専門家会議」に物申す(上)」 一斉休校のような大きな代償を払ってまで感染の拡大を防ぐ必要があるのかということに対する多角的検討が足りないのではないか 感染研 安倍政権「稚拙な新型コロナ対策」の3つの盲点 Foresight 「一斉休校」で学力低下という大きな代償を払うことになる オリンピックのために汚染国のイメージをつけたくないという大きな力が影響 メディアは一次情報と連携すべし 厚労省は大手検査会社の「みらかグループ」と「BML」に協力を依頼したが、彼らがクリニックから直接検体を受託することを規制した 北里柴三郎 米国では、新型インフルエンザが大流行した際、米疾病管理予防センター(CDC) がリーダーシップを執り、情報提供窓口を一元化した。政府や自治体、企業や学校などもCDCを一次情報源とした (その4)(帝国陸海軍の「亡霊」が支配する新型コロナ「専門家会議」に物申す(上)、左同(下)、安倍政権の新型コロナ対策は「視野狭窄バカ」である 目前のことに振り回され対策は後手、新型コロナが引き出した大衆の深層心理の闇) 陸海軍が保有する医療機関の厚生省への移管だった。 この際、全国146の軍施設が国立病院、国立療養所となったわけだが、注目すべきは、建物も職員も従来のままで診療が継続されたことだ。つまり、病院自体の組織は陸海軍のままで、名称が軍病院から国立病院に変更されただけなのだ 和泉洋人室長(首相補佐官)と、医系技官の大坪寛子次長だ 冷静さを取り戻す鍵はリスクコミュニケーション 政府は心理学でいう「視野狭窄」に陥っている 和田 秀樹 日本でも感染病によるパニックがたびたび起きた 「日本版CDC」は「731部隊」の復活 地方衛生研究所からあがってきたデータは、全部、国立感染研究所が掌握しており、このデータは自分で持っていたいと言っている感染研OBがいる 生かされない過去の経験 「新型コロナが引き出した大衆の深層心理の闇」 軍医療機関と国立病院の関係 情報開示による社会のチェックが受けられない 日経ビジネスオンライン
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