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小売業(コンビニ)(その7)(セコマ・丸谷社長 コンビニのビジネスモデルは終焉が近い、コンビニの裏側は搾取の連鎖 商社が君臨し取引先・加盟店が泣く、セブン 米コンビニ「2兆円買収」破談にみた課題 アメリカ事業を加速する狙いだったが・・・) [産業動向]

小売業(コンビニ)については、昨年12月28日に取上げた。今日は、(その7)(セコマ・丸谷社長 コンビニのビジネスモデルは終焉が近い、コンビニの裏側は搾取の連鎖 商社が君臨し取引先・加盟店が泣く、セブン 米コンビニ「2兆円買収」破談にみた課題 アメリカ事業を加速する狙いだったが・・・)である。

先ずは、1月20日付け日刊ゲンダイ「セコマ・丸谷社長 コンビニのビジネスモデルは終焉が近い」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/267668
・『今や社会インフラとなったコンビニだが、大きな転機を迎えている。元日、24時間営業、食品の値引き販売の是非などをめぐり、本部と加盟店オーナーとの対立が表面化、政府も「あり方検討委員会」などを設置し、変革を迫っているからだ。そんな中、異色の存在感を示しているのが北海道中心のコンビニチェーン、セイコーマートを展開してきた株式会社セコマだ。大手に比べて、加盟店が支払うロイヤルティーは低いし、契約で24時間営業を義務づけることもない。なぜ、それで儲かるのか。大手はなぜ、できないのか。丸谷智保社長に聞いてみた』(Qは聞き手の質問、Aは丸谷氏の回答)、興味深そうだ。
・『本部と加盟店の関係見直しが急務  Q:昨年はコンビニのあり方が問われる一年でした。どうご覧になっていましたか? A:大手コンビニのビジネスモデルの限界がついにきた。そんな印象を受けました。もうちょっと正確にいうと、米国発のフランチャイズ制を応用した日本的コンビニビジネスモデル。これが終焉に近づいたということだと思います。 Q:日本的モデルとは? A:フランチャイズ制度そのものは悪い制度ではありません。でも、日本のコンビニ業界はそれをねじ曲げてしまった。その綻びが出ているように思います。フランチャイズ制の基本理念は本部と加盟店の共存共栄です。そのベースにあるのは富の正当な配分と、加盟店に独立した裁量権を持たせることです。本来のフランチャイズ制度とは本部と加盟店は同心円状の関係なんですね。ところが、従属関係になっているように見える。ロイヤルティーの問題もあるし、加盟店にどれだけの裁量権があるのだろうか。24時間契約であれば営業時間の裁量権はないし、値引き販売を許さないのであれば価格決定権もないことになる。その地域に集中出店するドミナント戦略をやれば、道を隔てて同じチェーンの店が出てくる。加盟店にはテリトリー権もないわけです』、「本来のフランチャイズ制度とは本部と加盟店は同心円状の関係なんですね。ところが、従属関係になっているように見える」、ズバリ本質を突いた指摘だ。
・『Q:売れ残りも加盟店の負担になる。24時間開けていても、儲からない店もある。人手不足で人件費もかかる。これじゃあ、加盟店が悲鳴を上げるのもわかりますね。 A:これまで30、40年とやってきたけど、ついに綻びが露呈してしまった。それが去年なのですが、実は同じようなことは10、20年前から言われてきたんですよ。でも右肩上がりで成長し続けてきたから、問題にならなかった。採用は簡単にできたし、店長に応募する人もたくさんいた。 Q:今は違いますか? A:人件費のコストは上がっているし、エネルギーコストの値上げも激しい。これでは24時間やっていられない、ということになる。堤防の一穴が崩れて、洪水になった。でも、本質は24時間問題ではなくて、本部と加盟店の関係です。ここに最大の問題があると思いますよ。 Q:セコマは違うんですか? A:うちは当初から本部がいただくロイヤルティー率は10%、営業時間は最低16時間以上で、お客さまのニーズがあればオーナーの判断が基本ということにしています。値引き販売もオーナーの裁量に任せている。テリトリー権も原則認めています』、「本質は24時間問題ではなくて、本部と加盟店の関係です。ここに最大の問題があると思います」、「セコマ」は「同心円状の関係」のようだ。
・『重層的な利益構造がセコマの強み  Q:なぜ、それでも利益が出るのでしょうか? A:製造、小売り、物流というサプライチェーンを経営していることで、重層的な利益構造になっていること。もうひとつはマンパワーの強みです。個々の店長は地域に密着している人が多いので、地域に愛され、顧客をつかんでいます。 Q:食品を製造する12の子会社がアイスクリームや牛乳、総菜、サンドイッチなど多彩な商品を作っていますね。セイコーマート店内にはホットシェフがあり、店内の厨房で作られた大きなおにぎりや本格的なカツ丼も好評です。 A:グループの豊富牛乳公社で牛乳もつくっていますが、セイコーマートで売っているのは年間1500万本。1900万本は自社チェーン以外の本州に売っています。羽幌町にあるダイマル乳品ではアイスクリームを年間2400万個製造していますが、3分の1は本州向けです。こうした外販にも力を入れているところです』、「製造、小売り、物流というサプライチェーンを経営していることで、重層的な利益構造になっている」、「個々の店長は地域に密着している人が多いので、地域に愛され、顧客をつかんでいます」、確かに強味のようだ。
・『Q:物流のほうは? A:普通のコンビニは大体1日に9回くらい配送が来るんです。お菓子、パン、冷凍食品と別々にトラックが来る。うちはグループの物流センターで混載するので1日2回が基本です。それとは別にアイスクリームは週に3回。だから、1日にトラックが3回来る日が3日ある。それだけです。また、店舗が閉まっていたら、運送業者が店舗内に入って、荷物を置いていく。だから、荷物を受け取るために店を開けておく必要もないし、効率的です。 A:そんなことができるのは自社で物流もやっているからですか? A:自社、あるいはほとんどうちの物流しかやっていない業者に任せています。信頼関係があるんですね』、「普通のコンビニは大体1日に9回くらい配送が来る」、「うちはグループの物流センターで混載するので1日2回が基本」、北海道は広いが、配送回数がこれだけ少なくて済むのであれば確かに効率的だ。
・『Q:他のコンビニが悩んでいる人手不足はありませんか? A:北海道も人手不足ですが、5年くらい前に採用の仕組みを見直し、応募、採用が2・6倍くらいに増えました。ウェブから申し込んでもらうと、翌日までにコールセンターから電話がいく。そこで、働きたい人と条件のマッチングをするんです。正社員ではなくパートで働きたい人には事情がある。子供の迎えとか、介護とか。土日は働けるけど、平日の火水はダメという人もいる。そうすると、最初に希望してきた店や業務ではなく、近くの別の店、仕事を紹介したりするのです。 Q:そうした工夫がグループ全体の利益につながるわけですね。しかし、人口が1000人もいない過疎地は儲からないでしょう? A:過疎地だからこそ、リアル店舗へのニーズが高いのです。900人の集落でも、うちが撤退すると、買い物に行く店がひとつもなくなってしまう。地域からも自治体からも「続けてください」「出してください」と頼まれるのです。そう言われることは小売店冥利に尽きますよ。 Q:でも赤字じゃダメでしょう? A:逆算するんです、いかに900人の集落で店舗が成り立つかを。物流コスト、人件費、光熱費を落とす。営業時間を13時間にするなどの工夫をして既成概念にとらわれずにランニングコストを下げます。もちろん地域とも相談します。自治体、住民、私たちの3者で話し合うんです。自治体からの助成金で、店の建設コストの一部を負担してもらったり、自治体が所有する土地を安く賃貸してもらい、地代負担を軽減したり。そういう工夫でコストを下げて、900人の集落でもトントンになるようにする。それに、売っているものの半分はPB商品であり大半はグループで作っているものですから、グループ全体で利益が出る。最終的にグループ全体がトントンであれば、地域を応援できるのではないか、いや、そうすべきではないか、と考えています』、過疎地では、「自治体からの助成金」や「自治体が所有する土地を安く賃貸」、など自治体の協力も仰いでいるようだ。
・『右肩上がりで収益を上げる時代ではない  Q:地域にやさしい経営をしていますね。お父さまは社会党の参議院議員をされていましたが、その影響はありますか? 丸谷社長の経営は今はやりの利益至上主義、市場絶対の新自由主義的な発想とはちょっと違いますね。 A:新自由主義とは違うと思います。ただ、父親は農業地域でいかに農民の幸せを実現するかに尽力した人で、町営でワイン事業を始めたんですね。公共資本で産業基盤をつくり、その富を分配することで地域全体を豊かにしようとした。社会主義というより農本主義ですね。世界を見渡せば、フランスにもそういうところがある。ドイツや北欧も自由主義経済だけど、社会主義のいいところを取り込み、地域全体の豊かさを求めている。こういうのが成熟国ではないですか。そのために大切なのは地域に根ざした企業の持続性です。地域が本当に必要とするものをやり続ける。その中でいかに効率化して、利益を出すか。利益を出せれば持続できる。持続のために補完的な事業も考える。本州での牛乳販売もそのひとつです。こうしたことを愚直にやっているだけです。私は右肩上がりで収益を上げる必要は、もうないのではないかと思います。そりゃ再生産投資をする利益は必要ですよ。店も工場も古くなりますから。しかし必要以上の利益を追求すべきではなく、少しずつ内部留保が充実していけばよい。それがサステナブルな、現代的な経営だと考えています』、「地域が本当に必要とするものをやり続ける。その中でいかに効率化して、利益を出すか。利益を出せれば持続できる・・・必要以上の利益を追求すべきではなく、少しずつ内部留保が充実していけばよい。それがサステナブルな、現代的な経営だと考えています」、北海道でのドミナント的地位という恵まれた環境があるとはいえ、素晴らしい経営哲学だ。
・『Q:丸谷社長は北海道拓殖銀行出身ですね。拓銀は拡大主義で破綻した。こうした経験も影響していますか? A:銀行には20年間勤めました。それなりに地域に貢献してきたと思います。地元からも愛されてきた。でも、そういう会社でも倒れたら何にもならない。拓銀は都市銀行であるがために無理な展開をしましたね。必要もないところに手を伸ばした結果、存立基盤が崩れた。地域住民によって立つマーケットの地歩をしっかり固めておくことが大事だと思います。 Q:人口減少社会に直面している安倍政権の経済政策はどうですか? A:危険なのはバランスシートを大きくしていることですね。いつまで続けるのでしょうか。プライマリーバランスの均衡といっていたのに、それがないがしろになり、物価も上がらず、GDPも増えない中、バランスシートだけが膨らむのは危ういと思いますね。 Q:成熟社会は右肩上がりを目指せばいいというものではない? A:そうです。どうして2%成長しなければいけないのか。日本は世界から「日本を見習え」と思われるような成熟社会を目指すべきで、その在り方の模索に、ただちに取り組まなければいけないと思います。 ▽丸谷智保(まるたに・ともやす)1954年9月24日生まれ。北海道池田町出身。慶大法卒。北海道拓殖銀行、シティバンクを経て2007年3月セイコーマート(現・セコマ)入社。09年3月から社長。内閣府経済財政諮問会議政策コメンテーター』、「日本は世界から「日本を見習え」と思われるような成熟社会を目指すべきで、その在り方の模索に、ただちに取り組まなければいけないと思います」、正論である。今後の丸谷社長の活躍に期待したい。

次に、3月2日付けダイヤモンド・オンライン「コンビニの裏側は搾取の連鎖、商社が君臨し取引先・加盟店が泣く」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/230204
・『『週刊ダイヤモンド』3月7日号の第1特集は、「コンビニ 搾取の連鎖」です。コンビニエンスストア業界で苦境に追い込まれているのは、フランチャイズ契約先の加盟店だけではありません。厳しい取引条件に泣く食品メーカー、ノルマに追われる本部社員もいます。一方、本部の親会社である総合商社は、配当金や幹部人事、そして商流を押さえ、いわば“勝者”として君臨しています』、面白そうだ。
・『加盟店とメーカーを犠牲に総合商社が潤うコンビニの実態  24時間営業を事実上強制され、棚いっぱいの商品を仕入れさせられる。値下げは認められず、売れ残ってもその原価の大半を負担する──。 コンビニエンスストア加盟店オーナーたちの苦境が叫ばれている。過労死のリスクにさらされながら身を粉にして働いても、人件費の高騰で収入は減少の一途。自身や従業員を社会保険に加入させられず、年金事務所に見つからないようおびえる日々を過ごす。 コンビニの店頭に並ぶのは、デパ地下にも引けを取らないクオリティーの食品だ。確かにおいしい。その裏で、日本を代表する大手食品メーカーの担当者がコンビニ本部に日参。最新技術と生産ラインを惜しげもなく差し出して低利益のPB(プライベートブランド)商品を製造し、売り上げを確保する。悪条件に耐え切れなくなった地場の食品メーカーの中には、悲惨な末路をたどった例もある。 それではコンビニ本部に勤める社員が幸福なのかといえば、必ずしもそうではない。 加盟店を担当する末端の社員もまた、上司からの厳しいノルマ達成に追い立てられている。こうして無断発注や“自爆営業”に身を投じる構図が出来上がる。 浮かび上がるのは、コンビニ本部が高い収益を上げる裏側で、加盟店だけではなく、取引先や自社の末端の社員からも、カネや資源を貪欲に吸収している実態だ。 そして、上には上がいる。コンビニ本部の上に君臨するのが、総合商社である。業界2位のファミリーマートは伊藤忠商事が、3位のローソンは三菱商事が親会社として支配する。配当金や顧客情報を得るほか、あらゆる取引をグループで囲い込み、ビジネスチャンスを物にしている。 「開いててよかった」「お客さまのニーズのために」──。最大手のセブン-イレブン・ジャパンを筆頭に、本部の美辞麗句の裏ではまさに“搾取の連鎖”の図式が構築されているのだ。 公正取引委員会が長年手を出しあぐねる中、コンビニの抱えるゆがみが次々と顕在化している。加盟店の“反乱”だけではなく、歪な“商社支配”を告発する声も本部社員から出始めた』、「加盟店とメーカーを犠牲に総合商社が潤うコンビニの実態」、業界構造を的確に指摘している。
・『業界を揺るがす 未加入事業者向け年金事務所「対応マニュアル」  24時間営業の是非を発端に、加盟店の過度な負担が注目されたコンビニエンスストア業界。しかし、業界の問題は加盟店の苦境だけではありません。食品メーカーなどの取引先や、本部で働く末端の社員たちもまた、厳しい要求やノルマにさらされています。 そして加盟店や取引先などから利益を吸い上げるコンビニ本部のバックには、親会社である大手総合商社が君臨。食物連鎖の頂点に存在するかのごとく、配当金に加えて商流の隅々に入り込み、収益を手にする「搾取の連鎖」を作っています。 また、人件費の高騰などに採算悪化に苦しむ加盟店オーナーにとって、さらなる負担になりかねない“爆弾”が存在します。それは社会保険料の支払い問題。法律で決められた義務とはいえ、社会保険料を支払えば事業はとても継続できない“社会保険廃業”リスクが高まっています。特集では社会保険を支払った場合のコンビニ加盟店の収支を独自試算。さらに、社会保険未加入事業者向けに、年金事務所からアプローチがあった際の「対応マニュアル」も用意しました。 +クビ切りマニュアルも存在!ファミマ中高年リストラの真相 +合併で業界2位に躍り出ても成長できなかったファミマ +伊藤忠出向組に向けられたファミマ生え抜き社員の怨嗟 +ローソン取締役を三菱商事出身者が独占 +店頭の棚がコンビニPBに侵食されるワケ +背に腹は代えられずPBにすがる食品メーカー +増収増益が3割しかいないコンビニ取引先〝搾取〟の現実 +“コンビニ倒産”回避のための地方メーカー生き残り策 +カリスマの負の遺産を解決できないセブン首脳たち +セブンペイ、残業手当…ガバナンス不在の複雑要因 +自爆営業、無断発注…現場の暴走を止められないセブン +セブン加盟店が時短営業で増益、崩れた本部の言い訳 +専門家が一刀両断!公取もたじろぐコンビニ独禁法違反の論点 +社会保険加入で即廃業?オーナーを追い込む時限爆弾 +徹底試算!ただでさえ少ない加盟店利益を社会保険料が圧迫 +国税情報も使って未加入事業所を捕捉する日本年金機構 +年金事務所に逆らうな!事業者向け社保完全対策マニュアル  出店競争に急ブレーキがかかり、もはや隠し通せなくなったコンビニ業界の歪みや軋みに光を当て、解決に向けた処方箋を探ります』、「搾取の連鎖」とは言い得て妙だ。「コンビニ“社会保険廃業”リスク」、確かに深刻そうだ。どう乗り切ってゆくのだろう。

第三に、3月13日付け東洋経済オンライン「セブン、米コンビニ「2兆円買収」破談にみた課題 アメリカ事業を加速する狙いだったが・・・」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/336541
・『2兆円を超える大型買収は実現しなかった――。 セブン&アイ・ホールディングス(HD)は3月5日、検討していたアメリカの石油精製会社マラソン・ペトロリアムのコンビニエンスストア併設型ガソリンスタンド部門「スピードウェイ」の買収を断念した。買収額は約220億ドル(約2兆3000億円)ともいわれる超大型案件だったが、買収額で折り合えなかった。 全米コンビニエンスストア協会によると、アメリカには15万2720店のコンビニがある(2019年12月時点、以下同)。スピードウェイは業界3位の約3900店を展開している。 スピードウェイを中心とするマラソン・ペトロリアムの小売部門は、2019年に15.8億ドル(約1650億円)の営業利益を稼いだ。だが、マラソン・ペトロリアムは石油精製事業を強化するため、スピードウェイを2020年末までに切り離す予定だと2019年10月に公表していた』、無理して高値掴みしなかったのは賢明だ。
・『米セブンが買収を主導したが・・・ 売却先候補に挙がったのが、セブン&アイHD。同社はコンビニ業態のセブン-イレブンをアメリカで9631店展開しており(2019年11月末時点)、国内だけでなくアメリカでもコンビニ業界トップの位置にいる。現地のセブンは、セブン&アイHDの完全子会社であるアメリカのセブン-イレブンが運営している。 ジョセフ・マイケル・デピント社長が率いる米セブンが買収を推進したが、セブン&アイHDの井阪隆一社長が難色を示したとみられる。 多額の借り入れが必要となるうえに、 EV/EBITDA倍率(企業価値をEBITDAで割った値)は約15倍ともいわれていた。「アメリカではコンビニを併設したガリンスタンドが行き渡っており成長は難しい。ほぼゼロ成長ならEV/EBITDA倍率が4~5倍、ごく低成長でも6~7倍程度で買収しないといけないが、成長を見込んでいる高額な買収価格だ」とM&Aに詳しい早稲田大学の服部暢達客員教授は指摘する。 「セブン&アイHDは業績不振に悩むそごう・西武も抱えている。『アメリカ事業で巨額買収を行うどころではない』と、井阪社長は経営判断したのでは」と、ある小売業界関係者はみる。 株式市場の評価もよくなかった。スピードウェイの買収を独占交渉しているという報道が2月20日に流れると、高額な買収価格を嫌気して、セブン&アイHDの株価は急落。終値は前日から9%安の3920円となった』、「EV/EBITDA倍率・・・は約15倍」、やはり余りに高過ぎたようだ。
・『重要性が増すアメリカ事業  そもそも、セブン&アイHDがスピードウェイの買収を検討した背景には、経営環境の変化がある。同社にとって、アメリカ事業は重要性を増している。2016年10月に発表した中期経営計画では、業績不振に苦しむGMS(総合スーパー)や百貨店事業を抱える中で、日米のコンビニ事業を成長柱と位置づけた。 2019年2月期のセブン&アイHDの営業収益は6兆7912億円、営業利益は4115億円。うち日本のセブンは2467億円の営業利益を稼ぐ大黒柱だ。ただ足元については、日本のセブンは1店舗あたり売上高の伸びが鈍化している。加えて、2019年2月末から2020年2月末の1年間は出店を抑制している。前年には年間616店が純増したが、 2019年11月までの9カ月間では126店の純増にとどまった(2019年11月末の店舗数は2万1002店)。 次なる成長柱の育成が求められる中で、すでに2018年に営業総収入2兆8210億円、営業利益1110億円を稼いでいる米セブンの展開を加速する構えだ。 アメリカではコンビニの市場規模がほぼ横ばいだ。首位のセブンでも店舗数のシェアは約6%にとどまるため、これまで他社を買収して規模を追求することで、物流や仕入れ面での効率性を高めてきた。2018年1月に、1030店舗を展開するコンビニチェーン「スノコ」を3452億円で取得。ほかにも、数十店~150店程度の規模のコンビニチェーンを断続的に買収してきた。 今回のスピードウェイ買収は、店舗網を一気に拡充できるチャンスだった。米セブンは本社を構えるテキサス州に1192店(2018年12月時点、以下同)を展開するものの、スピードウェイの本社があるオハイオ州には65店舗しかなかった。一方、スピードウェイは本社があるオハイオ州で500店弱、近隣のインディアナ州やミシガン州にもそれぞれ約300店もの店舗網を持つ(2019年12月時点)。 ところが、今回は買収交渉が破談。セブン&アイHDは店舗数拡大のために、今後も次なる買収案件を模索するとみられる。 『店舗数の増加だけでなく、売り上げの引き上げも課題となる。2018年の米セブンの全店平均日販は54.9万円と、2019年2月期の平均日販が65.6万円だった日本のセブンとは大きな差がある。 アメリカにおいてコンビニは、給油のついでに買い物をする場所という立ち位置で、米セブンでも売上高の約半分をガソリンが占める。だが、ガソリン販売ではセブンの強みが発揮できないうえに、「セブン&アイHDはガソリンスタンド事業が成長するとは見ていない」とセブンに詳しいコンビニ関係者は語る』、成熟したアメリカで「店舗数拡大」に果たして意味があるのだろうか。「米セブンでも売上高の約半分をガソリンが占める」、ガソリン依存度の高さには驚かされた。日本のように「弁当」文化がないなかでは、「米セブンの全店平均日販」の引き上げは容易ではなさそうだ。
・オリジナル商品の販売強化がカギ  アメリカのエネルギー情報局によると、現地で販売される自動車台数のうち、ガソリン車やそれに類する自動車は2019年に94%を占めたが、2050年にはEV(電気自動車)などの成長によって81%まで縮小すると見込まれる。 そこで現在強化するのが、比較的粗利率が高い、ホットドッグやハンバーガーなどオリジナル食品の販売だ。日本では2019年11月時点で売り上げに占める弁当やおにぎり、フライドチキンなどのオリジナル食品の構成比が30.6%にのぼるが、米セブンの場合、ホットドッグやハンバーガー、サンドイッチといったオリジナル商品の販売は2019年9月時点で14.9%にとどまる。 「米セブンと日本のセブンは、以前からあまり連携を取っていなかった」(セブン&アイグループ元社員)との指摘もある。「2005年から社長を務めるデピント氏に、米セブンの運営は一任されてきた」(同)。今後、米セブンの展開にアクセルを踏みこむためには、グループ内で強固な協力体制を築く必要があるだろう』、「強固な協力体制を築く」とはいっても、大きな日米のマーケットの相違を乗り越えていくには、相当の困難が予想される。
タグ:米セブンの展開を加速する構え 重要性が増すアメリカ事業 EV/EBITDA倍率(企業価値をEBITDAで割った値)は約15倍 米セブンが買収を主導したが・・・ アメリカの石油精製会社マラソン・ペトロリアムのコンビニエンスストア併設型ガソリンスタンド部門「スピードウェイ」の買収を断念 「セブン、米コンビニ「2兆円買収」破談にみた課題 アメリカ事業を加速する狙いだったが・・・」 東洋経済オンライン 業界を揺るがす 未加入事業者向け年金事務所「対応マニュアル」 コンビニ本部の上に君臨するのが、総合商社である 無断発注や“自爆営業” 加盟店を担当する末端の社員もまた、上司からの厳しいノルマ達成に追い立てられている 加盟店とメーカーを犠牲に総合商社が潤うコンビニの実態 「コンビニ 搾取の連鎖」 「コンビニの裏側は搾取の連鎖、商社が君臨し取引先・加盟店が泣く」 ダイヤモンド・オンライン 日本は世界から「日本を見習え」と思われるような成熟社会を目指すべきで、その在り方の模索に、ただちに取り組まなければいけないと思います セイコーマート 本来のフランチャイズ制度とは本部と加盟店は同心円状の関係なんですね。ところが、従属関係になっているように見える 重層的な利益構造がセコマの強み 製造、小売り、物流というサプライチェーンを経営していることで、重層的な利益構造になっている 自治体からの助成金 自治体が所有する土地を安く賃貸 右肩上がりで収益を上げる時代ではない 「セコマ・丸谷社長 コンビニのビジネスモデルは終焉が近い」 本部と加盟店の関係見直しが急務 地域が本当に必要とするものをやり続ける。その中でいかに効率化して、利益を出すか。利益を出せれば持続できる 必要以上の利益を追求すべきではなく、少しずつ内部留保が充実していけばよい。それがサステナブルな、現代的な経営だと考えています 日刊ゲンダイ (その7)(セコマ・丸谷社長 コンビニのビジネスモデルは終焉が近い、コンビニの裏側は搾取の連鎖 商社が君臨し取引先・加盟店が泣く、セブン 米コンビニ「2兆円買収」破談にみた課題 アメリカ事業を加速する狙いだったが・・・) コンビニ 小売業 米セブンの展開にアクセルを踏みこむためには、グループ内で強固な協力体制を築く必要があるだろう オリジナル商品の販売強化がカギ 米セブンでも売上高の約半分をガソリンが占める 今後も次なる買収案件を模索 他社を買収して規模を追求することで、物流や仕入れ面での効率性を高めてきた
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