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パンデミック(新型肺炎感染急拡大)(その6)(上昌広氏激白 新型コロナ対策で“人体実験”が行われている、日本のコロナ感染者数が「少なすぎる」と疑念を持たれる本当の理由、首相ブレーン医師 コロナ感染でルール逸脱の“優遇入院”か) [国内政治]

パンデミック(新型肺炎感染急拡大)については、3月18日に取上げた。今日は、(その6)(上昌広氏激白 新型コロナ対策で“人体実験”が行われている、日本のコロナ感染者数が「少なすぎる」と疑念を持たれる本当の理由、首相ブレーン医師 コロナ感染でルール逸脱の“優遇入院”か)である。

先ずは、3月23日付け日刊ゲンダイが医療ガバナンス研究所理事長の上昌広氏にインタビューした「上昌広氏激白 新型コロナ対策で“人体実験”が行われている」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/270711
・『中国・武漢市が「震源地」だった新型コロナウイルスは世界中に感染拡大し、WHO(世界保健機関)は「パンデミック」を宣言した。日本でも連日、感染者が増え、「政治決断」の名の下、安倍首相が思いつきで打ち出す対策は効果に科学的根拠が見えない。感染を判断する検査件数も依然増えず、国民の不安は募るばかりだ。そんな状況を、内科医の立場から冷静に分析し、話題を呼んでいるのがこの人。山積する問題の背景には何があるのか(Qは聞き手の質問、Aは上氏の回答)』、上氏については、このブログでは3月10日に取上げている。
・『Q:日本でも感染拡大が止まりません。政府の対策について、どう見ていますか。特に「一斉休校」は、安倍首相の思いつきと批判が多く上がっています。 A:医学的にはあまり効果がありません。「学級閉鎖」にはそれなりのエビデンス(根拠)があります。学級閉鎖すると、接触者である子供たちの数が少なくなるので、伝染する機会が減るのです。しかし、今回は全国一律ですから流行していない学校まで閉鎖してしまう。すると、子供から教育を受ける権利を奪ったり、保護者の負担を増やすことになる。この「副作用」は全ての学校に出てきます。一方、効果については、校内に感染者がいなければありませんね。政治的メッセージとしては効果があったとは思いますが。 Q:イベントの自粛要請についてはどうでしょうか。 A:まず、イベント自粛について効果を検証した事例が過去にありません。過去の医学論文をほぼ全て収載している米国国立医学図書館のデータベースで検索したところ、大型イベントの中止で地域の感染症が減るといった研究は見つかりませんでした。効果については「分からない」としか言いようがないです。純粋な政治的メッセージで、科学的なバックボーンはないと思います。 Q:3月5日に政府が発表した中国、韓国からの入国制限策については、WHO幹部も「政治的な争いは必要ない」と苦言を呈していました。 A:この対策は、医学的なエビデンスに反します。3月に、アメリカの一流科学誌「サイエンス」で、ボストンの研究者がある論文を発表しています。1月下旬の武漢封鎖が周囲への蔓延防止に効果があったかを検証した結果、「ほとんど効果がなかった」「数日間、(感染拡大を)遅らせた程度」ということでした。封鎖した時に、既に周囲に広がっていたのです。ウイルスが蔓延している状況で、中韓をシャットアウトすることは、科学的に意味がありません。これも政治的判断なのでしょう。 Q:陽性か陰性かを見分けるための「検査」の態勢にも賛否があります。保険適用されてもなお、日本では検査件数が増えていません。 A:日本では、誰でも検査を受けられるようになると、「病院がパンクする」「院内で感染が広がる」と否定的な意見が多く聞かれます。しかし、いくらでも対策は取れるはずです。 韓国はドライブスルー式の検査を実施しました。これなら車内で検査するわけですから、感染を広げることはない。また、ネットを通じて患者さんに検体を送ってもらい、検査できる可能性があります。そもそも、現在、実施されているPCR検査に難しい技術は必要ありません。新型コロナの正体を知る上でも、検査態勢の拡充が肝要です』、「学級閉鎖すると・・・子供から教育を受ける権利を奪ったり、保護者の負担を増やすことになる。この「副作用」は全ての学校に出てきます。一方、効果については、校内に感染者がいなければありませんね。政治的メッセージとしては効果があったとは思います」、「中国、韓国からの入国制限策については・・・科学的に意味がありません。これも政治的判断なのでしょう」、安部政権の対応は、政治的判断を優先しているようだ。
・『検査が増えない理由は感染研が仕切っているから  Q:なぜ検査件数が増えないのでしょうか。 A:厚労省の研究機関「国立感染症研究所」が検査を仕切っていることが原因だと思います。現在、感染研が検体をハンドリングして、一部を外注したりしながら取り仕切っています。感染症研究の原資は税金です。これがもし、一般診療になり、民間のクリニックと健康保険組合、検査会社の仕事になると、感染研と厚労省はタッチできなくなる。 患者さんのデータはクリニックと患者が保有します。検査会社は研究所にデータを横流しできません。感染研は研究する上で極めて重要な臨床データを取れなくなる。ですから、感染研のキャパシティーの範囲内で、検査をハンドリングしたいということでしょう。 Q:医師の紹介があったにもかかわらず、保健所に検査を拒否されたという声も上がっています。 A:あってはならないことですが、これは基本的に「積極的疫学調査」という研究事業の延長線上です。専門家会議の方々が、「こういう基準を満たした人を検査します」と決めています。治療より研究を優先させているのでしょう。専門家会議は、コロナウイルスの効率よい研究体制を念頭においているように見えます。 Q:今、専門家を中心に行われているのは「治療」ではなく「研究」であると。 A:例えば、90代のおばあさんが38度の熱を出しても、専門家会議は「2日間病院に行くのを控えてくれ」と条件をつけています。一部からは「陽性が判明しても、治療法がないから検査しても意味がない」という指摘もあります。 しかし、我々医師の考え方は全く違います。患者さんに高熱が出た場合、コロナウイルスはあくまでひとつの可能性と捉える。まずは脱水になったら点滴をします。熱を下げないと体力を失います。もちろん、インフルエンザの可能性も探ります。それから、実際に診て「大丈夫だよ」と話をして、安心してもらう。それが患者さんの立場に立つということです。 現行のやり方はあくまで「研究」で、患者ではなくコロナウイルスだけを見ているような気がするのです。 Q:国の研究機関が患者の治療よりも新型コロナの研究を優先する現状は、社会で「人体実験」が行われているようなものではないですか。 A:はい。今、行われていることは「人体実験」だと思います。患者を見ていないと思うんです。例えば、高齢者の致死率が高いことが問題視されていますけど、介護や高齢者医療の専門の人はひとりも専門家会議に入っていません。多くが公衆衛生、感染症対策の専門家なのです。 Q:恐ろしい話です。医師と研究者・専門家は全然考え方が違うのですね。 A:私は「国立がん研究センター」に2001年から05年まで勤務していました。同センターはがん対策基本法で、研究の司令塔となることが規定されるほどの機関でしたが、臨床医としては違和感を持つことがままありました。部長の先生が入院を希望した患者に、「臨床研究できないから、あなたは受け入れられない」と発言しました。こういう発言が問題視されないというのは、驚きでした。ある意味、病的だと思いますね。 Q:そういった環境下で仕事をされ、どう感じましたか。 A:役人が仕切っており、「非効率だな」と感じることはありました。病院長のポジションに臨床経験の全くないキャリア官僚がやってくるのですから。ほんの一部ですが、エリート意識の強すぎる人物もいました。ただ、大半はみな非常に真面目。悪意がある人もほとんどいません。長年、こういう組織の中にいるので分かるのですが、「我々が国を率いねばならない」と本気で考えているのです』、「検査が増えない理由は感染研が仕切っているから」、「今、行われていることは「人体実験」だと思います。患者を見ていないと思うんです。例えば、高齢者の致死率が高いことが問題視されていますけど、介護や高齢者医療の専門の人はひとりも専門家会議に入っていません。多くが公衆衛生、感染症対策の専門家なのです」、唖然とするほど酷い話だ。。
・『陸軍の「伝染病研究所」を引き継ぐDNA  Q:上先生は05年から16年までは、「東京大学医科学研究所」に所属していました。同研究所も“体制側”です。辞めて今の立場になったのは、やはり専門家や研究者に対して違和感を覚えることがあったからでしょうか。 A:いやいや、純粋に自分のキャリアのことで、年も重ね独立しないといけないと思ったまでです。独立したほうが動きやすいという事情もありましたので。東大医科研は国立がん研究センターほど、国べったりではありませんでした。ただ、創設者の北里柴三郎以来の長い歴史を感じることが多かったです。陸軍と密接に関係して、研究を進めてきたのです。 戦前、「日本のCDC(米疾病対策センター)」とも言える組織は伝染病研究所です。これが現在の東大医科研と国立感染症研究所です。今回の専門家会議を仕切る人たちです。同じDNAを引き継いでいると思います。 Q:「お国のために」では、患者目線から離れていくのも当然かもしれません。 A:専門家の方々は医師免許があっても普段は診療しませんから。こういう方が主導的に感染症対策を決めるのは、暴走するリスクすらあると思います。テクノクラート(科学者・技術者出身の政治家・高級官僚)が主導権を握ると、しばしば暴走して第2次世界大戦のようなことになる可能性もありますよね。専門家に対応を丸投げするのは非常に危険なことだと思います。医療現場の判断を優先すべきでしょう』、「専門家の方々・・・が主導的に感染症対策を決めるのは、暴走するリスクすらあると思います・・・専門家に対応を丸投げするのは非常に危険なことだと思います。医療現場の判断を優先すべきでしょう」(上氏の略歴は省略)、説得力溢れた妥当な指摘だ。

次に、百年コンサルティング代表の鈴木貴博氏が3月27日付けダイヤモンド・オンラインに掲載した「日本のコロナ感染者数が「少なすぎる」と疑念を持たれる本当の理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/232937
・『日本は本当にうまくやっている? コロナ感染者数が少ないことへの勘繰り  世界に新型コロナウイルスが広がる中で、日本は比較的うまく感染の広がりを抑え込んでいます。日本にいるとその感覚に疑問は湧かないのですが、欧米では「日本だけが例外的に感染を抑え込んでいる」ということに対して、統計上の疑念が提起されています。 ドイツのウィルトシャフツウォッヘ誌が「日本のコロナの謎」という記事を掲載し、飲食店などが普通に開いているにもかかわらず感染者が少ない状況を謎だと捉え、検査数が少ないことが一因ではないかと問題提起しました。 データベースによれば、PCR検査数は韓国の31万件、イタリアの20万件に対して、日本は1万5000件しか行われていないことから、アメリカのメディアも同様に日本の検査数の少なさを指摘しています。 直近(3月24日時点)で公表されている感染者数は、イタリアが6.4万人、アメリカが4.2万人、スペインが3.3万人、フランスが2.3万人といった拡大を見せている一方で、日本はいまだに1128人と1ケタ少ない状況です。 我々から見れば、手洗いを頻繁にし外出時にマスクも着用すること、イベント自粛・全校休校・リモートワークなどに早い段階から動いたことなどによって、パンデミックをぎりぎりのところで抑え込めているという認識です。しかし、「検査していないだけで、本当は他の国と同じようにもっと感染者がいるのではないか?」と勘繰る人たちが、海外にはいるということです。 実際のところはどうなのでしょうか。先に結論を言うと、その背景には3つの別々の問題が絡まり合った状態があるように思います。それらの論点を1つずつ検証し、解き明かしていきたいと思います』、実態はどうなのだろう。
・『日本の感染者数をめぐる検証すべき「3つの論点」  (1)検査数の少なさの影響は多少あるが、実際は日本の感染者は欧米ほど増えてはいない。 (2)検査数が少ないことについては、その是非について議論すべき論点が存在している。 (3)別の問題として、「日本の公的統計は国際的な信頼を一度失っている」ことを憂慮すべきである。 まず1つ目の論点ですが、検査漏れのせいで把握されていない感染者がいることは事実です。実際、新規の感染者の中に感染経路が不明の人が増えているという報道があります。これは裏を返すと、数的に把握されないまま外出行動をしている感染者が一定数存在していると考えて間違いありません。しかしそういった人が、欧米のように何万人もいるということはあり得ません。 その論拠は、コロナによる死亡者数の違いです。イタリア6077人、スペイン2182人、フランス860人、アメリカ471人に対して、日本は42人と、死亡者数はやはり一ケタないし二ケタ少ないのです。日本の医療体制を知っている我々であれば、「新型コロナによる死亡者の把握漏れがあって、実際の死者はもっと多い」などということは、起こり得ないであろうことを誰もが知っています。 ただ同時に理解しておくべきことは、日本では高熱が4日続く症状が出るなど、感染した可能性が高い人しか検査を行わない方針をとってきたことから、把握されていない感染者が一定数いることは、現実問題としてあり得ます。その人数を推論で見積もるならば、「コロナの致死率は実際は低く1%程度だ」という学説に基づき、日本の死亡者数から逆算した場合、把握されていない人を含めた日本の本当の感染者数は4000人程度いる可能性があると考えるべきです。 この推定値あたりが実際の感染者数の上限であって、数万人単位であることは考えられません。また欧米でも、さまざまな事情により、把握されていない感染者は把握されている感染者の数よりもたくさん存在するはずです。それを考慮すれば、パンデミックの規模感として、日本はやはり欧米よりも1ケタ低い数に感染者を抑え込むことができているとみるべきです』、なるほど。
・『PCR検査数を抑えることはデメリットばかりではない  次に2つ目の論点ですが、日本の「PCR検査数を抑える」という政策については、その功罪が議論されています。功罪のプラス面についていえば、検査希望者が病院に押し寄せることで起きかねない医療崩壊を防げているという意見があります。実際、医療現場では他の病気で治療を受けている重症患者が圧倒的に多く、それらの治療に支障を及ぼしていない点は高く評価すべきです。 一方でマイナス面は、行政が把握できていない感染者が前述の推論のように、把握されているよりも多く存在する可能性があること。そういった人たちは知らずに出歩いてしまうので、新たなクラスターを発生させるリスクが社会に生まれています。 PCR検査数が抑えられている背景には、検査をして陽性反応が出ると軽症者であっても専門医療機関に入院させなければいけないルールがあることから、検査を増やすことで医療崩壊につながるではないかという論理があります。 ただ、コロナ発生からずいぶん期間がたち、軽症者や無症状者の存在もわかってきた今、私は「入院させるというルールを早く変更して柔軟に治療すべきだ」という意見が正論のように思います。これは、立法府や行政府が素早く動けば解決する問題だと思います』、安部首相は「PCR検査」を1日2万件にすると豪語しているが、実際の件数はせいぜい4000件前後で低迷しているようだ。やはり上氏が指摘するような厚労省の抵抗が大きいのかも知れない。
・『さて、今回一番厄介なのは、3つ目の「日本の公的統計は国際的な信頼を一度失っている」という論点です。その1つは、昨年発覚した厚生労働省による「毎月勤労統計調査を巡る不適切な取扱いに係る事実」として公表されている事案のこと。2004年以降、2019年に問題化するまで統計法に違反した調査が続けられており、その統計に基づいて行われる雇用保険の給付額がのべ1973万人に対して567億円も過少だったことが、問題になった事件です。 政府の公式見解としては「組織的な隠ぺいはなかった」という報告に落ち着き、日本のメディアも統計法違反ではなく「不適切調査」と見出しを統一しました。「現場の担当者が起こした不祥事であって大きな問題ではない」という雰囲気が醸成され、幕引きが行われたのです。ただ、海外では捉え方が少し違うようです。 海外のアナリストの間でその前年に問題になったケースとして、2017年12月と2018年1月の間に、毎月勤労統計の公表値が連続性を失ったという現象がありました。調査にあたってサンプルとベンチマークが変更されたにもかかわらず、新旧のデータを段階調整せずに接続する方針に変えたことで、賃金指数が2018年に入って高い伸び率を示すようになったという問題です。これは国内のアナリストからも指摘され、当時社会問題になった事件でした。 海外のアナリストたちは、こうした事件を覚えています。官邸がデフレ脱却を主張した時期に統計方針が変更され、不連続ながら賃金指数が上昇したという事実と、その後に発覚した統計法違反事件を見て、「厚生労働省は統計を操作している」と考えるようになったようです。 まあ、私が海外のアナリストの知人から直接小馬鹿にされた体験からいえば、彼らは「厚生労働省が統計をいじっているのではないか」ということまでは理解しておらず、「日本政府の統計はときに信用できないことがある」くらいの、ざっくりとした認識で揶揄してくることが多いように思いましたが』、海外が「日本政府の統計はときに信用できないことがある」、とみられているのは、先進国として恥かしいことだ。
・『海外からケチをつけられたら大いに反論すべき  さて、東京五輪の延期が決まったとたんに東京のコロナ感染者数が1日で40人以上も増加したというニュースは、日本の統計に疑念を持つ海外の人たちを、いかにも喜ばせそうです。しかし、本稿の結論として私が言いたいのは、コロナに関する統計にケチをつける外国メディアに対しては、日本人も大いに反論すればいい、ということです。 ただし、3つ目の論点で触れた通り、彼らの疑心暗鬼はそもそも厚生労働省への信頼が2年前から揺らいでいることに端を発していることを、肝に銘じるべきです』、根拠のない「ケチ」には「大いに反論すべき」だが、日本政府の統計に対するいい加減な姿勢を踏まえると、「反論」できないケースの方が多そうだ。

第三に、3月31日付けNEWSポストセブン「首相ブレーン医師 コロナ感染でルール逸脱の“優遇入院”か」を紹介しよう。
https://www.news-postseven.com/archives/20200331_1551622.html
・『新型コロナ対策の拠点となるべく新設された大学病院で、希少な病床のひとつが、「本来入院できない患者」のために充てられた。その人物は、首相直轄の諮問委員会メンバーにして、公衆衛生学の権威。発症から検査、そして治療まで、ルールを逸脱して進んだ入院劇──』、どういうことなのだろう。
・『◆「まさか、先生が」  新型コロナウイルスの国内流入を防ぐ“水際作戦”で厳戒態勢を敷く成田空港のそばに、3月16日、国の第一種感染症指定医療機関「国際医療福祉大学成田病院」(642床)が開業した。 同病院は安倍政権が推進する国家戦略特区制度(医療特区)で新設された国際医療福祉大学医学部の附属病院。同大の「国際臨床感染症センター」の診療部門として強力な感染症にも対応できる感染症専門病床を備え、外国人患者の診療・入院をサポートするために医療通訳のスタッフもいる。まさに成田空港の“水際作戦”に欠かせない拠点病院といっていい。 厚労省は欧米などからの帰国者、入国者の感染が増えていることから、4月1日の予定だった付属病院開設の前倒しを強く要請し、病院側は感染症科を先行開業して642床のうち48床の個室フロア(減圧室12床)で新型コロナの患者に対応することにした。異例の要請を行なった厚労省の判断も、それに応じた大学病院側も見事な対応だったといえるだろう。 ところが、開業早々、ハプニングに見舞われる。3月19日、東京から意外な患者が運ばれてきたのだ。 「まさか、先生が」。慌ただしく準備に追われていた医師、看護師らは驚いた。 同大学の看板教授で、著名な公衆衛生学者として知られるA教授だった。A教授は安倍首相が議長を務める未来投資会議の医療・介護分野の副会長で、いわば首相の医療ブレーン。医学界での知名度は高く、全国を飛び回って高齢化社会の医療体制などについて講演している人物だ。大学関係者が証言する。 「大学の看板教授が入院してきたからびっくりです。A教授は発熱の自覚症状が出るまで医師グループとの勉強会や学会などへの出席のために新幹線で全国を飛び回っており、接触者は数え切れない。多くは研究者、医師、保健所など医療関係者です。大学内では教授の陽性(感染)を公表すると影響が大きすぎるのではないかと議論になった」 海外からの帰国者、入国者の感染者を収容するために前倒し開業した専門病床が、同大学の教授によって使われることになったのだ』、なんと「看板教授が入院」、とは驚きだ。
・『◆クラスター発生の可能性  国際医療福祉大学は3月21日付でホームページに「教員2名」の感染が判明したことを発表した。 〈本学に所属する感染症や公衆衛生の専門医、感染管理認定看護師らの指導のもと、当該教員2人と接触した教職員に対して、健康観察を実施していますが、現時点では発熱、咳などの症状が出たものはおりません。所轄保健所と連携を図り、濃厚接触者の特定を行いましたが、現時点では学生ならびに教職員には濃厚接触者がいないことが確認されております〉 しかし、「濃厚接触者がいない」という説明には違和感がある。感染したもう1人の教員はA教授の共同研究者である同僚のB教授で、2人はともに東京・赤坂キャンパスにある同大大学院医学研究科で教鞭をとっている。B教授の携帯に電話が繋がった。 「新型コロナで入院中です。熱があって、話すのもたいへん。今日が入院何日目かもわからないんだよ」。苦しそうな声だった(Qは聞き手の質問、AはB教授の回答)。 Q:いま、千葉の成田病院ですか? A:「うん」 Q:A先生といっしょに。 A:「そうそう」 Q:どこで感染したのか。A先生経由? A:「ぜんぜん、よくわからないんだ」 とぎれとぎれにそこまで答えてくれた。 政府の新型コロナ対策では、すべての感染者を都道府県ごとに把握して年齢、職業、発症日、男女の別などを公表し、地元の保健所が感染ルートの調査や濃厚接触者への対応にあたる。 東京都の新型コロナウイルス感染症対策サイトが連日発表する陽性患者情報によると、A教授に該当する人物の発症日は3月8日、「出勤、帰宅後発症」と記載され、陽性が判明したのは3月19日。 もう1人のB教授に該当するデータは千葉県のホームページにあった。3月11日に咳、鼻水が出て発症。千葉県外の病院を2回受診した後、3月19日に千葉県内の病院に入院、検査で陽性と判明した。 行動歴には「東京都で確認された患者と3月8日に接触」と記載されている。その日はA教授が大学に出勤し、発症した日にあたる。調査した千葉県疾病対策課はA教授との学内接触によって感染した可能性があると見ていることがうかがえるのだ。 元東京大学医科学研究所特任教授の上昌広・医療ガバナンス研究所理事長が指摘する。 「大学の同じキャンパスから少なくとも2人の感染者が出ていればクラスター(小規模感染集団)の発生を警戒する必要がある。とくに国際医療福祉大学は厚労省のクラスター対策班にメンバーを出している協力機関ですから、学内での感染者発生についてもっとしっかり情報開示する責任があるでしょう」』、「国際医療福祉大学は厚労省のクラスター対策班にメンバーを出している協力機関ですから、学内での感染者発生についてもっとしっかり情報開示する責任があるでしょう」、との上氏の指摘は正論だ。
・『◆発症前日に会食 さらに注意喚起が必要なのは、A教授が発症直前まで勉強会の講師や学会出席で各地を回っていたことだ。 保健所は後で感染者が出た場合に感染ルートを辿ることができるように、A教授の発症前2週間程度の行動を追跡している。その足取りを辿ってみよう。大学関係者の話である。 「A先生のスケジュールなどから判明しているのは、2月下旬には京都出張や東京都内で医師グループとの勉強会の講師を務めています。3月に入るとコロナ対応で学校行事の日程変更などがあり、大学院教授と学部長を兼務するA先生は毎日赤坂キャンパスに出勤し、発症前日は静岡県に出張、医療関係者と会食していました。発症当日も大学に出勤しています」) 現在の国立感染症研究所(NIID)の定義によると、「濃厚接触者」はあくまで患者が発症した後に接触した者が対象で、発症前に接触したケースは濃厚接触者とは呼ばれない。 では、前日に会食したメンバーは安全と言えるのか。感染症のエキスパートである堤寛・つつみ病理診断科クリニック院長(元藤田保健衛生大学医学部教授)が指摘する。 「濃厚接触者とは呼ばれなくても、発症前日に感染者と一緒に会食した人は、新型コロナに感染するリスクは十分ある」 同大学がホームページで「濃厚接触者はいない」と発表しているのは定義上は間違いではないが、だから感染者が広がらないという意味ではない』、「濃厚接触者」はあくまで患者が発症した後に接触した者が対象で、発症前に接触したケースは濃厚接触者とは呼ばれない」、のであれば、「発症前に接触したケース」の感染リスクはカバーできないとは、再定義の必要もありそうだ。
・『◆越境入院  A教授の発症後の行動にも疑問点が浮かんだ。厚労省のルールでは、一般の国民は、発熱などの症状が出るとかかりつけ医に相談し、「風邪の症状や発熱」が4日間以上続いている場合は、地元保健所の「帰国者・接触者相談センター」に電話で相談する手順が定められている。 そこで必要と判断されればセンターが指定する「コロナ外来」(東京都は77病院。病院名は非公表)で感染しているかどうかを調べるPCR検査を受けることができるが、実際には、高熱が続いて主治医が検査を求めても相談センターで「検査の必要なし」とハネられるケースが非常に多い。 そして検査で陽性が出た場合、保健所が指定する感染症指定病院に入院することになる。 「都内のコロナ外来の検査で感染が判明した人は、都内の病院に入院するのが原則です」(東京都福祉保健局感染症対策課) ところが、A教授はこのルールに従わなかった。 東京の自宅で療養していたA先生は、肺炎の症状が出ると帰国者・接触者相談センターを通さずに都内の知り合いの病院でPCR検査を受診、陽性が判明すると自宅から千葉の成田病院に入院しています。東京の保健所を完全にスルーしています」(同大学関係者) ルールを無視して東京から千葉の最新鋭の感染症指定病院に“越境入院”したことになる。 ちなみに、同僚のB教授も自宅は東京だが、成田病院入院後の検査で陽性が判明したため、ルール上は千葉県の感染者扱いになり、越境ではない。A教授が東京の感染者、B教授が千葉の感染者として登録されているのはそのためだ。 「医師だからと保健所を通さずに知り合いの病院で検査をしてもらう。違法とはいえないが、一般の患者からすると納得できないでしょう」(上氏) 大学側の対応にはもっと大きな疑問がある。国際医療福祉大学の医学部開設と附属病院建設は、かつて国会で「第二の加計学園」問題として取り上げられたことがある(本誌2017年9月8日号既報)。 同大学は厚労省や文科省OBが要職を占める「天下り王国」と呼ばれ、安倍政権は国家戦略特区として38年ぶりに医学部新設を認可。全国的に病院の病床数を減らすなかで付属病院に大幅なベッド数の増加を認めた。 地元・成田市が医学部誘致のために巨額の補助金を出したことも加計問題と構図が似ている。 その大義名分が成田エリアを医療特区にして外国人医師の養成と外国人患者を受け入れ、医療の国際化を推進するというものだった。今回の新型コロナへの対応は、同大学にとって批判をはねのけ、医学部と付属病院開設の意義を示す大きなチャンスのはずだ。 ところが、同大学は成田空港の水際対策のためにわざわざ開設を早めた附属病院に、感染者とはいえ首相ブレーンの教授を優先的に入院させた。同大学広報部にA教授が入院した経緯について問うと、こう回答した。 「患者さまが成田病院受診前に他の医療機関を受診された経緯については、把握しておりません。成田病院は十分な病床数を有しており、医療機関として診療や入院が必要とされる患者さまについては、可能な限り受け入れることが社会的責務であると考えております」 病院が「社会的責務」を全うするのであれば、少なくとも、A教授を優遇入院させるのではなく、保健所を通じて都内の指定病院に入院させ、成田病院のベッドを帰国者などの感染者のために空けておくという姿勢を取るべきではなかったのか。 これでは医学部と病院開設の意義を問われても仕方がない』、安部首相の公費の私的乱用が目立ったが、「首相ブレーン医師 コロナ感染でルール逸脱の“優遇入院”」、上が腐れば下も腐ってくるようだ。
明日も、パンデミックを取上げるつもりである。
タグ:パンデミック 新型肺炎感染急拡大 (その6)(上昌広氏激白 新型コロナ対策で“人体実験”が行われている、日本のコロナ感染者数が「少なすぎる」と疑念を持たれる本当の理由、首相ブレーン医師 コロナ感染でルール逸脱の“優遇入院”か) 日刊ゲンダイ 「上昌広氏激白 新型コロナ対策で“人体実験”が行われている」 学級閉鎖 子供から教育を受ける権利を奪ったり、保護者の負担を増やすことになる。この「副作用」は全ての学校に出てきます 一方、効果については、校内に感染者がいなければありませんね。政治的メッセージとしては効果があったとは思います 中国、韓国からの入国制限策については・・・科学的に意味がありません。これも政治的判断なのでしょう 検査が増えない理由は感染研が仕切っているから 今、行われていることは「人体実験」だと思います。患者を見ていないと思うんです。例えば、高齢者の致死率が高いことが問題視されていますけど、介護や高齢者医療の専門の人はひとりも専門家会議に入っていません。多くが公衆衛生、感染症対策の専門家なのです 陸軍の「伝染病研究所」を引き継ぐDNA 専門家の方々 主導的に感染症対策を決めるのは、暴走するリスクすらあると思います 専門家に対応を丸投げするのは非常に危険なことだと思います。医療現場の判断を優先すべきでしょう 鈴木貴博 ダイヤモンド・オンライン 「日本のコロナ感染者数が「少なすぎる」と疑念を持たれる本当の理由」 PCR検査数は韓国の31万件、イタリアの20万件に対して、日本は1万5000件しか行われていない 感染者数は、イタリアが6.4万人、アメリカが4.2万人、スペインが3.3万人、フランスが2.3万人といった拡大を見せている一方で、日本はいまだに1128人と1ケタ少ない状況 日本の感染者数をめぐる検証すべき「3つの論点」 1)検査数の少なさの影響は多少あるが、実際は日本の感染者は欧米ほど増えてはいない (2)検査数が少ないことについては、その是非について議論すべき論点が存在している (3)別の問題として、「日本の公的統計は国際的な信頼を一度失っている」ことを憂慮すべきである PCR検査数を抑えることはデメリットばかりではない 安部首相は「PCR検査」を1日2万件にすると豪語 実際の件数はせいぜい4000件前後で低迷 「毎月勤労統計調査を巡る不適切な取扱いに係る事実」 「日本政府の統計はときに信用できないことがある」 Newsポストセブン 「首相ブレーン医師 コロナ感染でルール逸脱の“優遇入院”か」 「まさか、先生が」 国の第一種感染症指定医療機関「国際医療福祉大学成田病院」 国家戦略特区制度(医療特区)で新設された国際医療福祉大学医学部の附属病院 同大学の看板教授で、著名な公衆衛生学者として知られるA教授 安倍首相が議長を務める未来投資会議の医療・介護分野の副会長で、いわば首相の医療ブレーン クラスター発生の可能性 国際医療福祉大学は厚労省のクラスター対策班にメンバーを出している協力機関ですから、学内での感染者発生についてもっとしっかり情報開示する責任がある 発症前日に会食 濃厚接触者 越境入院
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