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「物言う株主」(アクティビスト・ファンド)(その3)(セブン株急騰の秘策 大物アクティビストが初激白 セス・フィッシャー オアシス・マネジメント最高投資責任者(CIO)インタビュー、サン電子の総会前に直言!「物言う株主」の本音 オアシスCEO「我々はエンゲージメント株主」、キリン 「物言う株主」を退けても残る重い宿題 イギリス投資会社の株主提案はすべて否決) [企業経営]

「物言う株主」(アクティビスト・ファンド)については、2018年7月1日に取上げたままだった。久しぶりの今日は、(その3)(セブン株急騰の秘策 大物アクティビストが初激白 セス・フィッシャー オアシス・マネジメント最高投資責任者(CIO)インタビュー、サン電子の総会前に直言!「物言う株主」の本音 オアシスCEO「我々はエンゲージメント株主」、キリン 「物言う株主」を退けても残る重い宿題 イギリス投資会社の株主提案はすべて否決)である。

先ずは、昨年11月22日付けダイヤモンド・オンライン「セブン株急騰の秘策、大物アクティビストが初激白 セス・フィッシャー オアシス・マネジメント最高投資責任者(CIO)インタビュー」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/220705
・『香港を拠点とするアクティビストファンド、オアシス・マネジメントの創設者で最高投資責任者(CIO)を務めるセス・フィッシャー氏が10月下旬、都内でダイヤモンド編集部のインタビューに応じた。現在、日本の十数社に対してエンゲージメント活動を行っていると明らかにし、そのうちの一つとされるセブン&アイ・ホールディングスについては「バリュエーション(株価評価)を上げられる」と断言した。特集「アクティビスト日本襲来」(全12回)の#8では、日本企業に対する海外アクティビストの視点を紹介する』、興味深そうだ(Qは聞き手の質問、Aはフィッシャー氏の回答)。
・『2週間に1度のペースで来日「企業の変化を目の当たりにしている」  Q:例年、秋から冬にかけてのこのシーズンに来日し、投資先の企業経営者と面談されるのでしょうか。 A:2週間に1度は日本に来ているよ。昨日は定宿にしているホテルから賞をもらった。100回目の宿泊記念でね(笑)。 決算発表を終えたばかりのこの時期は、企業側と時間をかけて対話ができる良いタイミングだ。今日も投資先企業の取締役メンバーと会合を持ち、われわれが企業をどう見ており、どのような協力ができるかをお伝えしたところだ。 Q:長年日本で投資活動を続けられ、アクティビストに対する日本の経営者の対応の変化を感じますか。 A:非常に感じている。私が今、日本で目の当たりにしているのは、われわれが企業の価値向上に貢献したいという姿勢を、企業側が理解してくれているということだ。われわれはビジネスを改善するために尽力したい。そのための最良の方法は、お互いに協力することだ。そのためにわれわれは膨大な作業をこなし、しっかりと中身のある提案を行っている。 われわれにとって日本は非常に重要な市場で、日本市場のためにかなりの人数を割いてチームを構成している。僕のかばんの中身は見せられないが、1企業当たり約100ページのプレゼンテーションの資料が入っている。 今日の会議でも、真のコーポレートガバナンスの確立や収益改善に向け、どのような独立社外取締役の形が理想なのかについて議論した。また新たなM&A(企業の合併・買収)の機会や財務についても互いに話をした。企業とわれわれが協力して経営課題に取り組む傾向が強まっている。 Q:なぜそのように変化したと思いますか。 A:2000年代の“悪い”時期から非常に時間はかかったが、コーポレートガバナンス・コードやスチュワードシップコードが導入され、外国人投資家が増えたことで大きく変わったと思う。われわれは時間をかけて日本を理解しようとし、日本の企業側も、われわれが単なる金もうけではなく、企業の改善のために努力している姿勢を理解してくれているように感じる。 かつてのアクティビストは高リターン狙いだったかもしれないが、今の世代のアクティビストは全てのステークホルダーと協力し、企業価値を高めることに重きを置いている』、「2週間に1度は日本に来ているよ」、「私が今、日本で目の当たりにしているのは、われわれが企業の価値向上に貢献したいという姿勢を、企業側が理解してくれているということだ」、「コーポレートガバナンス・コードやスチュワードシップコードが導入され、外国人投資家が増えたことで大きく変わったと思う」、「今の世代のアクティビストは全てのステークホルダーと協力し、企業価値を高めることに重きを置いている」、企業側の姿勢もずいぶん変わり、隔世の感がある。
・『日本の企業に埋もれた「潜在的な可能性」を引き出す  Q:オアシスにとってはより活動がしやすい環境になったと。 A:そうだね。そしてその動きが加速している。経営陣のエンゲージメントが加速すれば、より協調できる範囲が広がる。 株主が会社の提案に対して「ノー」を突き付けることも珍しくない今、企業は対話を通じて協力する必要があると理解している。株主がより積極的に関与するようになったので、アンダーパフォームな取締役選任を否決する事態も起きている。 Q:オアシスが投資先を選定する際、どのような点を一番重視していますか。 A:非常に多くのことを見ているので特に「一番」というものはない。 例えば個々の事業内容や改善余地、成長性、隠れた資産、バリュエーション(株価評価)。従業員や競合他社の話も聞き、業界全体を俯瞰して評価する。コスト削減やM&Aなどを用い、その企業の業績を大幅に改善する余地はあるのか、というところを見ている。 多くの企業には、まだ発掘されていない潜在的な可能性がかなりある。それを引き出すのがわれわれの役目だ。非常に割安に会社を買い、もし成功すれば株価は上がるので、全てのステークホルダーがハッピーになる。 Q:現在、日本企業の投資先の数は。 A:かなりの数の企業に投資しており、中でもわれわれが非常に時間をかけてエンゲージメント活動に注力している企業数は10~15社程度だ。 そうした企業では長期の事業計画を作成し、将来像を常に考えている。そして今直面する課題についてサポートさせていただいている』、「われわれが非常に時間をかけてエンゲージメント活動に注力している企業数は10~15社程度」、やはり的を絞って活動しているようだ。
・『IT投資、環境対策、事業再編…「セブン&アイができることは多い」  Q:例えばセブン&アイ・ホールディングスは、QRコード決済サービスの失敗やコンビニの24時間営業などの問題を抱え、株価が低迷している。この会社をどのように見ていますか。 A:ご指摘の通りだ。セブン&アイのビジネスは非常に良いと思う。業界のトップリーダーだし、たくさんのビジネス機会があるとみている。 QRに失敗はしたが、IT分野でできることはまだ多い。米国ではアマゾン・ドット・コムの無人店舗「アマゾン・ゴー」が話題だが、セブン&アイも自動化や決済技術にさらに投資すれば、消費者にとって利便性が高まる。 また、環境問題へのさまざまな対策を講じることができる。例えばプラスチック使用量の削減計画を加速できれば、日本の社会にとっても企業にとっても良いことだ。 事業面でもいろいろとできることがある。例えばセブン&アイの事業を見れば、イトーヨーカ堂がなかった場合、利益も改善すると思うし、バリュエーションも上げられるだろう。 Q:セブン&アイの株を買い進め、経営陣に具体的な提案を始めているのでしょうか。 A:それについてはノーコメントだ。 Q:今後の日本市場への投資方針は。 A:日本に特化した「オアシス・ジャパン・ストラテジック・ファンド」を昨年設立し、今後も日本企業への投資を継続していく計画だ。 日本株は割安だ。そこでわれわれがアクティブにエンゲージメント活動を行うことでバリュエーションを上げていきたい。全てのステークホルダーのために事業を改善していくことがわれわれの務めだと思っている。(フィッシャー氏の略歴はリンク先参照)』、「セブン&アイ」では、やはり「イトーヨーカ堂」の切り離しを働きかけているようだが、「セブン&アイ」が簡単に応じるとは思えない。どうなるのか、今後の動向が注目される。

次に、本年4月7日付け東洋経済オンライン「サン電子の総会前に直言!「物言う株主」の本音 オアシスCEO「我々はエンゲージメント株主」」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/342597
・『香港の物言う株主(アクティビスト)として知られるオアシス・マネジメントが電子機器製造のサン電子に招集請求した臨時株主総会が4月8日に開催される。オアシスはサン電子の業績不振を理由に山口正則元社長ら取締役の解任と、オアシスが推挙する取締役の選任を求めている。 オアシスは2019年3月26日の大量保有報告書ではじめて登場した大株主。同年6月に開かれたサン電子の定時株主総会では取締役5人の再任に反対表明した。理由は、本業の業績不振に加え、デジタルフォレンジック(電子鑑識)を手がける子会社セレブライト社(本社イスラエル)が実施した優先株による第三者割当増資(2019年6月に払い込み)は既存株主の株式価値を著しく希薄化させたというものだ。 結果的に取締役再任を求めた会社提案に60%近くが賛成したためオアシスの解任案は退けられたが、再任にも40%超が反対していたことが浮き彫りになった。 プロキシーファイト(委任状争奪戦)での成功例が少ないとされるオアシスだが、今回再び臨時株主総会を招集請求し、あらためて取締役の解任と新取締役候補の選任を求めることに「何らかの手応えを得ているのではないか」という観測が出ている。 オアシス設立者で最高投資責任者であるセス・フィッシャー氏が東洋経済の単独インタビューに応じ、真意を語った。(インタビューは3月27日実施。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で香港―日本間の渡航が制限されているため、香港にいるセス氏に電話インタビューを行った)』、「子会社セレブライト社・・・が実施した優先株による第三者割当増資・・・は既存株主の株式価値を著しく希薄化させた」、「サン電子」には「子会社」を抑え込む力もなかったのだろう。
・『赤字が続くのは偶然とは言えない  Q:4月8日開催のサン電子・臨時株主総会では珍しく「オアシス優勢」と見られています。 A:勝てるかどうかまだわからないが、勝ちたいと強く思っている。本当に優勢なのだとしたら、それはわれわれの主張、提案の中身が明快だからだろう。 サン電子は2019年3月期まで2期連続で営業赤字を計上し、純損益は2017年3月期から4期連続の赤字が濃厚だ。さらに2020年3月期の純利益も赤字予想を出している。ここまで赤字が続くのは偶然とは言えず、マネジメントの手腕に問題があると言わざるをえない。 ベター・サン、より素晴らしいサン電子に生まれ変わるタイミングは今だ。だから臨時株主総会の招集請求をし、取締役の刷新を求めた。 Q:オアシスが「上場廃止のリスク」だと主張していることに対して、サン電子の経営陣は「営業CFはプラスであり、総会招集請求の理由は間違っている」と反論しています。 A:営業CFがプラスというのは枝葉の話にすぎない。くり返して言うが、会社の純利益は4期連続で赤字となる見通しだ。これは緊急事態であり明確な「上場廃止のリスク」だ。こうした赤字の終わりが見えない状況下で定時の株主総会開催を座視して待つことはできず、強い危機感を抱く株主として臨時株主総会の開催を求めることは権利の行使ではなく、デューティ(義務)だと考えている』、「強い危機感を抱く株主として臨時株主総会の開催を求めることは権利の行使ではなく、デューティだと考えている」、もっともな主張だ。
・『「ファイナンスのスキルが欠如」  Q:オアシスが推挙している取締役候補者について、サン電子経営陣は「経営経験がない」「ビジネス経験がない」といった理由で反対しています。 A:その指摘は不正確で的外れだ。何度も言おう。会社は4期連続で赤字となる業績予想を出しているのだ。 この事実は、彼ら経営陣にファイナンスの知識が欠如していることを浮き彫りにしている。中核子会社であるセレブライトの業績は非常によい。にもかかわらず2019年の第三者割当増資の際には、市場価格から大幅にディスカウントされた価格で売ってしまった。 既存株主の株式価値を著しく毀損させた「不当な取引」だったとわれわれは考えているが、驚くことに、こんな不当な取引を後押ししたアドバイザーに対し、異常に高いフィー(手数料)を払っていた。こちらの試算では、取引額の約8%をアドバイザーに支払っている。 われわれは取引の中身を分析し、企業の価値を著しく損ねる取引であったことを会社側に数字で説明をした。すると会社は、おかしな取引をしていたことに気づいてもいなかった。われわれが指摘をして初めて彼らは気づいたのだ。彼らのファイナンススキルの欠如は明らかで、それが株式の価値、企業の価値を毀損している。 Q:会社が取締役候補として提案している辻野晃一郎さんはソニーの出身で、グーグル日本法人の社長も経験しています。赤字部門の立て直しの経験もあり、外部の評価も高い。オアシスが反対する理由は? 辻野さんについて私は詳しくは知らない。彼とお会いする機会がなかった。コメントは差し控える。 Q:仮にオアシスがプロキシーファイトに勝利し、取締役候補が実際に取締役に就任したら、サン電子のマネジメントをどのように変えていくつもりなのでしょうか。 A:すでに会社には、具体的かつ精緻な経営計画「100日プラン」を提出している。損失を減らし、純利益を上げるための細かいオペレーションを記している。また、事業を成長させるために必要な人材の新規採用についても予定している。4月8日にわれわれの提案が可決されたら、その瞬間から動き始めるプログラムだ。 Q:現在、サン電子株はどのくらい保有しているのでしょうか。 A:公開しているのは9.21%だ』、「セレブライト」の「第三者割当増資」は問題があったのに、それを認識しない経営陣はやはり失格なようだ。
・『会社をベターに、よりよくしていく  Q:仮に今回のプロキシーファイトで勝ったら日本での成功は何件目か。貴社はプロキシーファイトで勝つことが少なく「何をもって成功と考えているのかわかりにくい」という指摘もあります。 A:成功事例はたくさんある。私たちの活動を単純な「成功か失敗か」のディールと捉えられてしまうことにはやや違和感がある。 われわれはアクティビストではなく「エンゲージメント株主」だ。会社の経営者に会いにいったり事業改善の策を考えて提出したり、場合によってはサン電子のように取締役の交代を求める。オペレーションの改善やマージンの改善などは会社と膝をつき合わせて議論をしている。 ただ、その中で株主としてどうしても我慢ができないときにはプロキシーといった状況にもなりえる。プロキシーの部分が目立ってしまうために「プロキシーファイトばかり仕掛けるアクティビスト」と見られてしまうことが往々にしてあるが、大半はエンゲージメントに力を注いでおり、それらは公開されていない。どこまでも会社をベターに、よりよくしていくことが活動の趣旨だ。そこを理解してほしい』、8日付け日経新聞によれば、「臨時株主総会」では、株主提案で前社長ら取締役解任、オアシスが推薦する5人の取締役(うち2人は会社提案と重複)の選任も可決された。前経営陣が7余りにお粗末だっただけに、当然の結果だろう。

第三に、4月4日付け東洋経済オンライン「キリン、「物言う株主」を退けても残る重い宿題 イギリス投資会社の株主提案はすべて否決」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/342144
・『「穏やかな株主総会だった」――。3月27日に都内で開かれたキリンホールディングス(HD)の定時株主総会。出席した株主の男性は、終わったばかりの総会の様子をそう話した。 新型コロナウイルスの感染拡大が影響したのだろう。総会出席者は例年の約半数ほどとなる475人にとどまった。感染防止を配慮し株主の質問は1人1問と要請をしたことで、質疑の時間も昨年の1時間13分から25分へと大幅に縮んだ。 今年の総会の焦点はキリンHDにとって初となる株主提案の行方だった。だが、提案者であるイギリスの投資会社、インディペンデント・フランチャイズ・パートナーズ(IFP)は、新型コロナの影響で来日を取り止め。IFP不在の中で諮られた同社の提案はいずれも否決された』、「IFP]が「新型コロナの影響で来日を取り止め」たとは残念だ。
・『自己株買いへの賛成率は8.4%  キリンHD株の2%を保有するIFPが提案していた内容は大きく次の3つだった。①医薬や健康事業など非中核事業からの撤退と、と同事業の売却資金を元手とする上限6000億円の自己株買い、②株式報酬の比重を増やすなど取締役の報酬制度の見直し、③IFPが推薦する社外取締役2人の選任だ。 このうち自己株買いの提案は総会での賛成率が8.4%にとどまった。株主からの支持を得られなかった理由は、IFPが自己株買いの原資をファンケルや協和キリンなど「ビール以外の非中核事業」とする傘下企業の売却に求めたことにある。IFPは、人口減少の進む日本国内においても値上げや割引率の引き下げなどによって、ビール事業の成長は可能であるとし多角経営を撤回するよう訴えていた。 しかし、「(ビール事業の)一本足打法だとリスクがある。多角経営しなければ生き残れないのでこれからに期待したい」(先述とは別の男性株主)など、会社側の戦略に賛同する株主のほうが多かった。機関投資家の賛否に影響を与える議決権行使助言会社のインスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)やグラスルイスもキリンHDの立場に同意し、IFPの自己株買い提案に反対することを推奨していた。 一方、報酬制度見直しと社外取締役選任の提案は一定の賛成票を集めた。 報酬制度見直しの賛成率は21%。ISSは機関投資家に対し、IFPの提案に賛成を推奨する意見を示していた。約2割という賛成率は、株主と取締役との間での価値観の共有をより求める声があることを示している。 社外取締役選任案の賛成率は、製薬会社のグラクソ・スミスクライン日本法人社長を務めた経験を持つ菊池加奈子氏が20%。金融界出身で現在は半導体検査装置のアドバンテストで社外取締役を務めるニコラス・E・ベネシュ氏は35.6%だった。ベネシュ氏の賛成率には、ISSが賛成を推奨したことも影響したとみられる』、「ビール事業」に集中するか、「多角経営」を続けるかは、理論的にも決着がついていない難しい問題だ。「ISSやグラスルイスもキリンHDの立場に同意」、というのでは、IFPは苦しい戦いになったようだ。
・『総会後のキリンとIFPの反応  IFPの提案は否決、会社側提案は承認という総会の結果を受けて、キリンHDの磯崎功典社長は「昨年の時点では株主との対話が不十分だった。3月に行った投資家説明会などで(戦略への)理解を深めてもらい、応援をいただいた結果」とコメントした。 対するIFPは、自らの提案により「社外取締役が過半数を占める取締役会と、より株主の利益に沿った役員報酬制度をキリンHD自身が提案するに至った」との声明を公表した。 波乱もなく株主総会を乗り切ったキリンHD。だがこれで同社の多角化戦略が安泰に進むのかと言えば、そうではないだろう。IFPは引き続き同社株を保有するとしている。IFPの弁護士によると、新型コロナの状況次第ではあるが、4~5月にも来日して長期戦略の見直しをキリンHDに求める考えだという。 不満を抱くのはIFPだけではない。特にヘルスサイエンス事業への投資に対しては、国内の市場関係者からも「投資額が大きい割に成果が今ひとつ」(みずほ証券の佐治広シニアアナリスト)と指摘する声があがっている。 ヘルスサイエンス事業の中核とするため、キリンHDは2019年4月に孫会社だった協和発酵バイオを直接の子会社とした。ところが同年8月に工場における製造手順で違反が発覚。年間80億円の利益を上げるという算段が崩れ、2020年12月期の予想事業利益は20億円の赤字を見込む。 5年後となる2024年12月期には、ヘルスサイエンス事業で150億~180億円の利益貢献を計画するが、その約半分を協和発酵バイオで稼ぐ考え。直接子会社化に伴い約1300億円を費やしているだけに、株主や市場関係者が神経質になるのは当然のことだ』、「約1300億円を費やしている」「協和発酵バイオ」が「製造手順で違反が発覚」、とはお粗末の一言に尽きる。
・『成長への道筋が不明瞭  2019年9月には化粧品メーカーであるファンケルの株式33%を取得した。約1300億円を投じて持分法適用会社としたファンケルとのシナジーは、2024年時点で約55億~70億円の利益を見込む。ただ、キリンHDの現在の事業利益規模からすると3%ほどの貢献にすぎない。 加えて、磯崎社長は「シナジーが出てから保有比率(の引き上げ)について考えたい」と述べているが、「シナジーが出てからではファンケルの株価が上がるため追加の投資額が大きくなる」(みずほ証券の佐治氏)。要は成長への道筋が不明瞭なのだ。 IFPの株主提案が否決されたことからもわかるように、ビール事業だけでは先行きが危ういという認識は、多くの株主の間で共有されている。だが、ヘルスサイエンス事業の戦略に対する懐疑的な見方はIFPの株主提案を機に広く浸透したといえる。 キリンHDが今後も多角化戦略を進めていくには、同事業で株主が満足する結果を出すことが必要だ。その兆しが見えるまでの間は、株主との対話を根気強く求められることになりそうだ』、かつては、シェアがさらに上がれば、独禁法で会社分割されかねないとして恐れていた時代もあったが、もはやビール事業にもそのような面影すら残ってないようだ。「多角化戦略」も目立った成果が上がらない上に、今後とも「IFP」などの「物言う株主」の株主提案圧力も続き、経営陣にとっては頭が痛い状態が持続しそうだ。
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