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報道の自由度(その3)(自由なドイツ"の裏で進む言論統制の中身 異論を認めない"民主主義"はアリか、報道の自由度ランキング アメリカが3年連続下落 暴力的風潮に危機感、日本メディアの独立懸念 国連報告者「政府は勧告未履行」、植野妙実子氏「表現の自由」の抑圧で民主国家は成立しない) [メディア]

報道の自由度については、2016年5月14日に取上げたままだった。久しぶりの今日は、(その3)(自由なドイツ"の裏で進む言論統制の中身 異論を認めない"民主主義"はアリか、報道の自由度ランキング アメリカが3年連続下落 暴力的風潮に危機感、日本メディアの独立懸念 国連報告者「政府は勧告未履行」、植野妙実子氏「表現の自由」の抑圧で民主国家は成立しない)である。

先ずは、2018年3月27日付けPRESIDENT Onlineが掲載した在独作家の川口 マーン 惠美氏による「自由なドイツ"の裏で進む言論統制の中身 異論を認めない"民主主義"はアリか」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/24753
・『ドイツはこれまで大量の難民を寛大に受け入れてきた。国際的な評価は高いものの、巨額の費用負担や犯罪の増加に悩まされており、ドイツ国内ではメルケル首相の難民政策を批判する声が高まりつつある。だが、そうした声は「差別主義」「ナチ」などと呼ばれて黙殺されてしまう。異論を認めないという「民主主義」とは何なのか――。 ※本稿は川口マーン惠美『そしてドイツは理想を見失った』(角川新書)の一部を再編集したものです。 かつてのEU(欧州連合)は、希望に満ちたプロジェクトだった。「ヨーロッパは一つ」という言葉には、ヨーロッパ人の夢が凝縮されている。民主主義の実現。自由で、平等で、平和で、豊かな世界の建設。少なくともドイツ人は、そういう理想の世界を本気で夢見ていたと思われる。 しかしいま、そうした夢の賞味期限が段々と切れはじめた。EUの指導者の誤算は、EUという壁のなかに理想郷をつくろうとすれば、壁の外側の人々の目にそれがどう映るかが、わかっていなかったことだ。絶望を胸に抱えた難民が、「あの壁さえ越えれば」と命をかけて殺到してきたのは、当然だった。 その途端、EUの夢はあまりにもあっさりと崩れた。いまはどの国も「EUのため」「民主主義のため」といいながら、実は自国を「外敵」から守ることばかり考えている』、「EUの指導者の誤算は、EUという壁のなかに理想郷をつくろうとすれば、壁の外側の人々の目にそれがどう映るかが、わかっていなかったことだ」、「ヨーロッパは一つ」の「夢」はもろくも崩れてしまったようだ。
・『メルケルの終焉が見えた瞬間  戦後のドイツでは、中道保守であるCDU(キリスト教民主同盟)と、ドイツで一番長い伝統を誇る中道左派のSPD(ドイツ社民党)が、二大国民政党として交互に政権を担いつつ、ドイツを強い国に成長させてきた。 しかし、そのドイツが、2017年9月24日の総選挙以来、にわかに変調を来しはじめた。当時もいまも、ドイツ経済は絶好調だ。経済の調子がいいときに与党が選挙で敗北する確率は高くない。事実、選挙前はメルケル率いるCDUは安泰との報道が多数だったが、蓋(ふた)を開けてみれば同党は党が始まって以来、初めてともいえる大敗北を喫し、一方のSPDは、CDUよりさらにひどい落ち込みようだった。その後、ドイツ政治は大混乱に陥り、5カ月も政治が空転した挙げ句、ようやく2018年3月12日になって、CDUとSPDの大連立政権の発足が緒に就いた。 選挙前にも大連立を組んでいた両党の敗北の原因が、メルケルの難民政策だったことは明らかだ。EUの女帝といわれ、ドイツ国内でも向かうところ敵なしだったはずのメルケルの威力は、意外なほど脆(もろ)かった。なのに、彼女は選挙の翌日、「これから何を変えればよいのかわからない」と言い放った。 首相の座で12年、彼女は現実感を失ってしまっていた。国民の不安や悩みがわかっていない……。このときが、メルケルの終焉(しゅうえん)が垣間見えた最初の瞬間だったと私は思っている。 ただ、だからといって、さっさと権力の入れ替えが行われるかというと、そう簡単にもいかない。メルケルの権力維持は巧みだった。過去12年のあいだに、何人ものライバルが静かに、あるいは爆音とともに消え去り、CDUにはいま、首相後継者の候補者さえいない。 2月末に突然、アンネグレート・クランプ-カレンバウアーという55歳の女性がCDUの新書記長に抜擢(ばってき)されたが、彼女が4年後にメルケルの後任になるかといえば、みな、まだ半信半疑。CDUの人事刷新は、既存の構造が錆(さ)びついてしまったように動かず、ただギシギシいうだけだ。だから結局、しばらくはメルケルにすがりつき、これ以上の崩壊を防ぐしかないという考えが、党内に蔓延(まんえん)している』、足元では、新型コロナウィルス問題を強力なリーダシップで乗り切りつつあり、評価は再び高まっているようだ。
・『いまのドイツ社会は、とても息苦しい  メルケル政権下の12年間の後半で、ドイツ社会は変貌した。2010年10月、当時のヴルフ独大統領が「イスラムはドイツの一部だ」といったとき、それに対する賛否両論が飛び交い、国内で大きな論争となった。 しかし2015年、メルケルが独断で、議会の承認もなくドイツの国境を開き、一気に100万人近くの人々が流れ込んだときには、イスラムについての議論はすでにタブーになっていた。パリやブリュッセルで、難民としてEUに入ったアラブ人によるテロが起こり、ドイツのケルンでは、2015年の大晦日(おおみそか)に難民による大量婦女暴行事件が起こった。さらにその1年後、ベルリンのクリスマスマーケットにトラックが突っ込んで多数の死傷者が出た。しかしいまのドイツでは、テロと難民の相関性はもちろん、難民受け入れの方法を論じることさえできない。 メルケルは「われわれにはやれる!」とプロパガンダめいた掛け声で国民に発破をかけ、ガウク前大統領は、ドイツ人を「明るいドイツ人」と「暗いドイツ人」に分け、難民受け入れに対する抵抗の大きかった旧東独の人々を非難した。 現在、難民のためにドイツ政府が支出しているコストは年間200億ユーロ(約2.6兆円)を超えており、連邦財務省は2016年から2020年までに、936億ユーロを支出することを見込んでいる。さらに、難民対策費としては計上されていない、膨大な事務処理コスト、治安の悪化に伴う警官の増員費用や残業代なども加えれば、金額はもっと膨れ上がる。にもかかわらず、それが議会で討議されることはなく、既成事実を合法化する試みもなされない。 それどころか、現在の難民政策に疑問を呈したり、難民による犯罪の増加に懸念を表明したりしただけで、たちまち「反移民」「差別主義」、ひいては「ナチ」呼ばわりされる。そして、その先鋒(せんぽう)に立っているのが、本来なら自由な論争を擁護すべき大手メディアなのだ。いまのドイツ社会は、とても息苦しい』、「現在の難民政策に疑問を呈したり、難民による犯罪の増加に懸念を表明したりしただけで、たちまち「反移民」「差別主義」、ひいては「ナチ」呼ばわりされる。そして、その先鋒に立っているのが、本来なら自由な論争を擁護すべき大手メディア」、ということであれば、確かに「社会」が「息苦し」くなるのも理解できる。
・『中道保守党「左傾化」のすき間を埋める新興政党  そのドイツでいま、皮肉にも、「民主主義」という言葉が異常なほど叫ばれている。しかし、実際にはこの国は、「民主主義」の轍(わだち)から次第に外れかけているのだ。それどころか上空には、うっすらと全体主義という霧がかかりはじめているような気さえする。 いまのドイツの政治エリートや大手メディアが理想とする世界とは、国家も国境もなく、みなが平等で、政府が生産や消費を管理し、情報や思想が完全に統制されているために争いのない「平和な世界」かもしれない。それはどこか、オーウェルの『1984年』の平和に似ている。 今年、ドイツサッカーのブンデスリーガ第1部のチーム「アイントラハト・フランクフルト」の後援会が、メディアで極右扱いされている政党AfD(ドイツのための選択肢)の支持者を締め出すことを決めた。試しに入会手続きをとってみたAfD議員2名が2月、ほんとうに入会を拒否された。そして、その決定を「緑の党」や「左派党」の議員が称賛した。 ちなみにAfDとは、2013年に結成された、れっきとした公認政党だ。当時、経済学者らがメルケルのギリシャ支援という名の金融政策に異を唱えたことが、結党のきっかけだった。その後、内部抗争などで主要メンバーが入れ替わり、若い党の常として、現在の党員は玉石混交ではある。ただ、彼らをまるごと極右と呼ぶのは無理だろう。 既存政党とメディアはそのAfDを蛇蝎(だかつ)のように扱い、あらゆる手段を使って勢力伸長を妨害した。AfDはテレビのトークショーでもちゃんとした発言の機会を与えられず、タブーであった「ナチ」という言葉さえ投げつけられた。しかし、彼らの難民政策と経済政策、そしてエネルギー政策は、CDUのものよりも矛盾が少なく現実的だ。スタンスはどちらかというと反グローバリズムだが、保護主義とは違う。冷静に聞いてみれば、いわゆる保守政党として当たり前のことをいっているにすぎないことに気がつくはずである。 結局、今回の選挙で、彼らはCDU/CSU、SPDに次ぐ第3勢力に収まった。急伸の理由は、本来、保守であったはずのCDUがあまりに左に寄りすぎたためだ。いまや、メルケル首相の難民政策とエネルギー政策を、緑の党が一番称賛している。つまり、CDUの右側には自(おの)ずと大きな空白ができて、そこにAfDがぴったりとはまり込んだのである』、極右とされる「AfD」「急伸の理由は、本来、保守であったはずのCDUがあまりに左に寄りすぎたため」、なるほど。
・『「理想」以外の選択肢を認めないメルケル  いずれにしても、議席を獲得したAfDは、メルケルにとって危険きわまりない存在になることが予想された。だからこそ、第3メルケル政権の最後の国会で、与党は急遽(きゅうきょ)、AfDの支持基盤であるインターネット世論を押さえるため、違法性の高いSNS(会員制交流サイト)規制法を駆け込み制定した、と私は見ている。 AfDとはまさに、理想を錦の御旗にして選択肢を一つに絞り込もうとするメルケルの手法に対するアンチテーゼでもある。彼女は超法規的措置によって政策決定を行った際、「それ以外に選択肢がない」という言葉を使った。そうではない、他の選択肢もある、という抗議の意が、AfDの「ドイツのための選択肢」という命名に込められているのである。 しかしいま、異なった政治思想をもつ存在を締め出すことが、ドイツでは正当化されている。その事実に、私は驚きというより戦慄(せんりつ)を感じるが、現在のドイツでの「正しい意見」は、「民主主義の価値観を共有できない人間は仲間に入れない」というものだ』、「メルケル・・・は超法規的措置によって政策決定を行った際、「それ以外に選択肢がない」という言葉を使った。そうではない、他の選択肢もある、という抗議の意が、AfDの「ドイツのための選択肢」という命名に込められているのである」、AfDの党名の由来を初めて知った。
・『異論を認めない「正義」のゆくえ  ドイツには「戦う民主主義」という考え方がある。かつてヒトラーが、民主主義の手続きに基づいて民主主義を廃止していったことへの反省から、「民主主義の廃止につながる自由」だけは認めないという考え方だ。ドイツの政治家やメディアがAfDを潰(つぶ)そうとしているのは、その「戦う民主主義」の精神にのっとっているだけなのだろうか。 私が一番恐れるのは、みなが正しいことをしているつもりで、静かに言論統制が進むことだ。それこそが、実は理想を追求しているようで他の議論を認めないという、民主主義やリベラリズムに対する背信である。 ドイツの求める理想は、いったいどこへ行き着こうとしているのか。彼らの苦闘、そして、EUという共同体の実験は、私たち日本人にとってもじっくり観察する価値がある』、「「民主主義の廃止につながる自由」だけは認めない」、という「戦う民主主義」は確かに意味がありそうだ。「ドイツの政治家やメディアがAfDを潰(つぶ)そうとしているのは、その「戦う民主主義」の精神にのっとっているだけなのだろうか。 私が一番恐れるのは、みなが正しいことをしているつもりで、静かに言論統制が進むことだ。それこそが、実は理想を追求しているようで他の議論を認めないという、民主主義やリベラリズムに対する背信である」、言論の自由といってもなかなか難しいもののようだ。

次に、昨年4月19日付けNewsweek日本版「報道の自由度ランキング、アメリカが3年連続下落 暴力的風潮に危機感(国境なき記者団)」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/04/post-12009_1.php
・『「ジャーナリストに対する敵対的な風潮が増し、『著しい恐怖を覚える状況』も現出している」と指摘  国境なき記者団(RSF)が4月18日、2019年版「世界報道の自由度ランキング」報告書を発表した。今回の報告書では、アメリカにおける報道の自由のレベルが初めて「問題あり」に格下げとなり、ランキングでも48位に順位を落とした。 RSFでは、アメリカの評価が下がった要因について、「ドナルド・トランプ大統領の(フェイクニュースといった)コメントだけにとどまらない(ジャーナリストに対する)敵対的な風潮が増している」点を指摘した。さらにRSFは、世界のジャーナリストたちの間で広がる「著しい恐怖を覚える状況」についても、具体例を挙げて記述している。 ランキング上位は、ノルウェー、フィンランド、スウェーデンだった。一方、著しく順位を落とした国としては、ニカラグア(24ランクダウン)、タンザニア(同25)、中央アフリカ共和国(同33)がワースト3に挙げられている。マレーシア、モルディブ、チュニジアは、大幅なランクアップを果たした』、「(ジャーナリストに対する)敵対的な風潮が増している」、とは恐ろしいことだ。
・『新聞社で銃乱射、5人死亡  この報告書は、180の国や地域を対象に、ジャーナリストに与えられている自由をランキングしたものだ。今回の報告書では、「アメリカとカナダにおける報道機関への組織的な攻撃」に警告を発し、特にトランプのメディアに対する批判的な言動に注意を促した。ジャーナリストへの攻撃の例としては、2018年6月の「キャピタル・ガゼット」紙銃撃事件や、同年10月のシーザー・セイアクによる脅迫事件を挙げている。 キャピタル・ガゼット紙の事件では、メリーランド州アナポリスにある同紙編集部に銃を持った男が押し入り、スタッフ5人を殺害した。また、セイアクはパイプ爆弾などの爆発物16個を、民主党の有力議員やCNNの事務所に送りつけたとして逮捕されている。さらに2019年2月、海兵隊出身の沿岸警備隊大尉がジャーナリストやリベラル派の政治家を標的にした襲撃を企て、大量の武器を蓄えていたとして逮捕された事件についても触れている。 報告書では、トランプ政権のジャーナリストに対するさまざまな妨害行為も取り上げている。これには、CNNのジム・アコスタ記者が一時、記者証を取り上げられた件や、CNNのケイトリン・コリンズ記者が記者会見から閉め出された件などが含まれる。ほかにも、アメリカとメキシコの国境で取材するジャーナリストの電子機器が検査された事例や、経営難に直面する報道界の現状にも言及した。 報道の自由度で48位となったアメリカは、3年連続でのランクダウンとなる。2016年には順位が上がったものの、その後は2017年に41位から43位に、2018年にはさらに45位へと順位を落とした。 世界的な報道の現状に対し、RSFのクリストフ・ドロワール事務局長は次のように警鐘を鳴らしている。 「政治的な論争が敵対感情を煽り、その中でジャーナリストが生け贄にされるようなことになれば、民主主義は大きな危機に陥る」「この恐怖と萎縮のサイクルを食い止めることが、自由の価値を認めるすべての人々にとって、最も緊急の課題となっている」 世界的には、「ベネズエラの警察や情報機関による恣意的な逮捕や暴力行為が、これまでで最多に達した」と述べる。エルサルバドルでは記者が嫌がらせや攻撃を受け、モロッコでは2人のメディア有力者が、「テロ行為を扇動した」「国家の安全を脅かした」などの罪状で訴追され、さらに、シンガポールとカンボジアでは広範な検閲が行われているという。 サウジアラビア人ジャーナリストのジャマル・カショギが、2018年10月にイスタンブールにあるサウジアラビア総領事館で殺害された事件についても言及。また、メキシコでは少なくとも10人、インドでは6人のジャーナリストが殺されたとしている』、「世界報道の自由度ランキング」の2020年版では、アメリカは48位から45位に上がった。日本は67位から66位と低迷、ドイツは11位と上位にいる。参考までにWikipediano時系列ランキングは
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%96%E7%95%8C%E5%A0%B1%E9%81%93%E8%87%AA%E7%94%B1%E5%BA%A6%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%B0

第三に、昨年6月5日付け東京新聞夕刊「日本メディアの独立懸念 国連報告者「政府は勧告未履行」」を紹介しよう。漢数字は通常の数字にした。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201906/CK2019060502000286.html
・『言論と表現の自由に関する国連のデービッド・ケイ特別報告者が、日本では現在もメディアの独立性に懸念が残るとする新たな報告書をまとめたことが4日分かった。日本の報道が特定秘密保護法などで萎縮している可能性があるとして同法の改正や放送法四条の廃止を求めた2017年の勧告を、日本政府がほとんど履行していないと批判している。 報告書は6月24日開幕の国連人権理事会に正式に提出される予定。 報告書によると、日本政府が放送局に電波停止を命じる根拠となる放送法四条は効力を持ち続けており、事実上、放送局への規制になっていると指摘。政府に批判的なジャーナリストらへの当局者による非難も「新聞や雑誌の編集上の圧力」と言えるとした。「政府はジャーナリストが批判的な記事を書いても非難は控えるべきだ」としている。 ケイ氏は17年に公表した対日調査報告書で、日本政府に11項目を勧告。勧告に法的拘束力はないが、政府は不正確な情報に基づくと反論していた。ケイ氏は調査の結果、9項目が履行されていないとしている』、極めて手厳しい報告で、「国連人権理事会に正式に提出」されたので、まさに国辱ものだ。
・『勧告11項目と履行状況  デービッド・ケイ特別報告者が日本政府に勧告した11項目の主な内容と履行状況に関する評価は次の通り。 (1)政府による介入の根拠となる放送法四条の廃止=未履行 (2)歴史的出来事に関し教材で示された解釈に対し介入しない=未履行 (3)教科課程の作成過程の完全な透明化を保証する=一部履行 (4)国連の真実・正義などに関する特別報告者の訪日の招請=未履行 (5)政治活動を不当に制限するような公選法上の規定を廃止する=未履行 (6)特に沖縄における平和的な集会と抗議の権利を保障するために、あらゆる努力をする=未履行 (7)特定秘密保護法で安全保障上問題なく公益に資する情報については、開示しても処罰されない例外規定を設ける=未履行 (8)公益に資する情報の報道を促進する社会的規範の原則づくりを進める=評価できるだけの十分な情報がない (9)特定秘密保護法の執行が適切に行われるように、専門家による監視組織を設置する=未履行 (10)広範に適用できる差別禁止法を制定=未履行 (11)将来的に通信傍受に関する法律を制定するに当たっては、独立した法機関の監視下で、極めて例外的な場合にしか、通信傍受は行わないと明記する=未履行』、「11項目」中、9項目が「未履行」とは「日本政府」が完全に無視したようだ。
・『沖縄抗議への圧力批判 山城氏有罪 表現の自由萎縮恐れ  【ジュネーブ=共同】デービッド・ケイ特別報告者の報告書は、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設への抗議活動などに日本の当局が圧力を加えたり、過度に規制したりし続けていると批判した。 特に抗議活動に絡み威力業務妨害などの罪に問われた沖縄平和運動センターの山城博治(やましろひろじ)議長に対し懲役2年、執行猶予3年の刑が確定したことについて、表現の自由の権利行使を萎縮させる恐れがあるとした。 報告書は、山城氏が長期間拘束されたことに国連の特別報告者や恣意(しい)的拘束に関する作業部会が国際人権規約違反などとして日本政府に是正を求めたと指摘した。 その上で、集会と表現の自由は「密接に関連し、互いに補強し合っている」と強調した』、「抗議活動」に対し、主催者に「威力業務妨害などの罪」で弾圧するのは珍しくないが、「国連人権理事会」で報告されたようだ。

第四に、11月18日付け日刊ゲンダイ「植野妙実子氏「表現の自由」の抑圧で民主国家は成立しない」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/264751
・『列島を包む重苦しい空気に「表現の自由」が押し潰されそうだ。慰安婦問題を象徴する少女像などを展示する企画展が中止に追い込まれ、安倍首相の街頭演説にヤジを飛ばした市民は警察によって排除された。憲法とフランス公法の専門家は、「民主主義が脅かされている」と警鐘を鳴らす。(Qは聞き手の質問、Aは植野氏の回答)』、興味深そうだ。
・『Q:「あいちトリエンナーレ2019」の「表現の不自由展・その後」展が、河村たかし名古屋市長の抗議やテロ予告で中止に追い込まれました。しばらくして展示は再開されましたが、安倍首相に近い萩生田さんが文科相に就任すると、補助金の交付が取りやめになります。文化と芸術の国、フランスでも同じようなことが起こる可能性はあるのでしょうか。 A:絶対に起こり得ないことだと思います。みんなで議論する文化があり、テレビでも討論番組が広く浸透しているフランスでは、学校教育においても人と違った意見を述べることが評価されます。人はみんな違います。人格はさまざまだから、表現も意見もひとつにならない。さまざまになるのが当たり前です。そうした考え方が根付いているので、政治家が違う意見に圧力をかけるような事態は考えられませんね。 Q:中止に至る過程や補助金を不交付にする経緯もクリアになっていませんね。 A:何がどういうふうに起こったのかを知るのは、表現にとっても民主主義にとっても極めて重要です。そこが分からなければ正しい判断ができないし、意見形成もできません。どんな展示がなされているのか、なぜ反対意見があるのか、政治家の介入プロセスはどんなものだったのか。そのあたりがウヤムヤになってしまうと、それぞれが自分の考えを述べることも難しくなってしまいます。いわば頭ごなしのような格好で強引に中止に追い込まれ、補助金の不交付までドタバタで決まるというのは許されないことだと思います』、「ウヤムヤに」しているのには、忖度して問い質すことを避けるマスコミの責任も大きい。
・『Q:森友学園や加計学園の問題もウヤムヤで終わりました。 A:まったく論外ですね。表現の自由は、基本となる情報や統計が提供されて初めて成立するものです。そこがキチッとしていないうえに、知らないうちにいろんな操作まで行われるのは、あり得ないこと。当事者によるしっかりとした説明もなく、根本的な解決がないまま終わりました。世論が静かになるのを待って、やり過ごした感じです。 Q:なぜフランスでは起こらないことが日本では起こるのでしょうか。 A:フランスも一足飛びに今のように成熟したわけではありません。らせん階段を上るように、自分たちで民主主義をつくっていきました。1789年にフランス革命を経験しましたが、ナポレオンの登場で帝政になり、また王政になって、というのを繰り返しています。最終的に到達した地点が共和主義であって、みんなで意見を戦わせて政治をつくっていこうとなったわけです。それに対して日本では、第2次大戦が終わった後に米国に憲法を押し付けられたという疑いを持つ人が一部に根強くいます。民主主義や表現の自由における文化の違いがあるのかなと思います』、「日本では」「民主主義」が根付いていないのは事実だが、安部政権になってからマスコミが政権に忖度する姿勢が強まったことを見逃すべきではない(このブログでは「安部政権のマスコミへのコントロール」として取り上げている。最新は本年1月12日付け)。
・『「批判は発展につながる」と膝詰めで話した  Q:どちらかといえば安倍首相の支持者の中にはそういう人たちが多いですね。首相が代われば状況も変わるのでしょうか。 A:率先して広く意見を求めるリーダーになれば、雰囲気は変わるでしょうね。第2次安倍政権以降、モノを言いづらい傾向は非常に強まっていると思います。官僚の力も弱くなって、やるべき仕事をしていません。国や行政の基礎をつくっていく、組織していくのは彼らであって、そこが国民ではなく政権を向いている格好でいいのか。忖度なんて言葉、少し前まではあまり一般的ではありませんでしたよ。表現の自由で最も大事なのは萎縮効果を生んではいけないということです。みんなが自由に話ができる、討論できる、意見を言える――そして相手の意見を聞くことで、自分の意見もこういうふうに変わってきたということだってありますよね。それができなくなるような雰囲気が出てくるのは、非常に恐ろしいことです』、「表現の自由で最も大事なのは萎縮効果を生んではいけないということです」、その通りだ。
・『Q:フランスのマクロン大統領は、庶民の負担増を招いた政府に抗議するジレ・ジョーヌ(黄色いベスト)運動に参加した国民との対話を続けたことで、支持を回復しているそうですね。 A:ジレ・ジョーヌは一部で過激な行動があり問題になっていますが、マクロン大統領は、さまざまなスタンスや職種の人たちと膝詰めで話し合いました。どういう不満が社会の中にあるのか、どんなふうに政治的に解決していかなければならないのか、対話を通じてより良い政治を実現しようとしたのです。批判は発展につながるということを理解しているし、批判を受け入れる姿勢が評価されているのです。一方で運動に参加している人たちも、お互いに意見を戦わせて、どうすればより良い形にできるのかを探りました。一時期はひとつの政党として成り立つ可能性も検討されたほどです。これは結局できないね、ということになりましたが、すべての結論は討論を通じて出されています。日本のようにヤジを飛ばしただけで警察が排除したり、政治家が圧力をかけて中止に追い込んだり、ということはありません』、フランスの「ジレ・ジョーヌ運動」は、一時はどうなるかと思ったが、「マクロン大統領」の対話姿勢が奏功したようだ。
・『Q:批判されるとイライラし、ムキになってやり返そうとする安倍首相とはスタンスが違い過ぎます。 A:そもそも安倍首相は自分の意見をはっきりと言いませんよね。2017年の5月3日には改憲に賛成する団体に、こういう形で改憲をするんだというようなビデオメッセージを送っていますが、国会などではごまかしています。それに2012年の自民党の憲法改正草案とも異なる考え方を示したりして、どのように変えたいのかも分かりません。批判をすり抜けようとしているように見えます。 Q:首相が改憲に前のめりになることは許されますか。 A:首相が率先して改憲の旗を振ることは公務員の憲法尊重擁護義務に反しますし、法治国家として信用がおけないことになります。求められるのは、憲法改正反対の議論にも耳を傾け、より良い政治のあり方を考える姿勢です。それができないのであれば、表現の自由の意味を理解しているとは思えませんね』、「安倍首相は自分の意見をはっきりと言いませんよね」、「批判をすり抜けようとしているように見えます」、これでは国会で論戦の土俵すら出来ないようだ。
・『日本の成熟度は30点  Q:そんなデタラメな状況でも、国民はなぜおとなしいのでしょうか。 A:政治に対する無関心があると思います。フランスの街中を歩いていると、見知らぬ人同士でも政治的なテーマについて意見をぶつけ合う場面にしばしば遭遇します。日本では政治的な事柄を話すことを嫌いますし、政治的な考えを表に出すことで「おかしな人だ」と思われてしまうのではないかと恐れる傾向が強いように思います。 Q:自ら「表現の自由」に制約を設けているような格好ですね。 A:フランスの表現の自由も、決して百点満点ではありません。空港を管理するのは肩から機関銃をぶら下げた人たちで、行き交う人々に目を光らせています。ただ、表現をする文化、議論をする文化が定着しています。それに比べると日本の成熟度は30点ぐらいでしょうか。せっかく憲法で保障されているのに、十分に活用できていない感じがします』、「日本では政治的な事柄を話すことを嫌いますし、政治的な考えを表に出すことで「おかしな人だ」と思われてしまうのではないかと恐れる傾向が強いように思います」、「せっかく憲法で保障されているのに、十分に活用できていない感じがします」、その通りで、誠に残念なことだ。
・『参政権の充実、政治の発展に欠かせない  Q:表現の自由が軽んじられると、国のかたちはどうなりますか。 A:だれもが自由に表現し意見を戦わせることは参政権の充実に寄与します。送り手と受け手が批判したり受け入れたりするコミュニケーションによって、目の前にいる政治家がどんな意見の持ち主で、反対意見に対してどんな考えがあるのかを知る。これは、国民一人一人の投票行動の基礎になるものです。政治的な課題について、お互いに自由に意見を述べることは参政権を充実させ、政治を発展させ、民主主義を支えることにつながるのです。それが軽んじられるようであれば、民主的な国家も成立しません。※インタビューは【動画】でもご覧いただけます。(植野妙実子氏の略歴はリンク先参照)』、「日本では政治的な事柄を話すことを嫌う」背景や要因を考えていきたい。
タグ:報道の自由度 (その3)(自由なドイツ"の裏で進む言論統制の中身 異論を認めない"民主主義"はアリか、報道の自由度ランキング アメリカが3年連続下落 暴力的風潮に危機感、日本メディアの独立懸念 国連報告者「政府は勧告未履行」、植野妙実子氏「表現の自由」の抑圧で民主国家は成立しない) PRESIDENT ONLINE 川口 マーン 惠美 『そしてドイツは理想を見失った』(角川新書) 「自由なドイツ"の裏で進む言論統制の中身 異論を認めない"民主主義"はアリか」 夢の賞味期限が段々と切れはじめた 「ヨーロッパは一つ」という言葉には、ヨーロッパ人の夢が凝縮されている EUの指導者の誤算は、EUという壁のなかに理想郷をつくろうとすれば、壁の外側の人々の目にそれがどう映るかが、わかっていなかったことだ 絶望を胸に抱えた難民が、「あの壁さえ越えれば」と命をかけて殺到してきたのは、当然だった その途端、EUの夢はあまりにもあっさりと崩れた メルケルの終焉が見えた瞬間 CDU 党が始まって以来、初めてともいえる大敗北 SPDは、CDUよりさらにひどい落ち込みようだった 両党の敗北の原因が、メルケルの難民政策だった 首相の座で12年、彼女は現実感を失ってしまっていた メルケルの権力維持は巧み 過去12年のあいだに、何人ものライバルが静かに、あるいは爆音とともに消え去り、CDUにはいま、首相後継者の候補者さえいない いまのドイツ社会は、とても息苦しい 難民のためにドイツ政府が支出しているコストは年間200億ユーロ(約2.6兆円)を超えており、連邦財務省は2016年から2020年までに、936億ユーロを支出することを見込んでいる 現在の難民政策に疑問を呈したり、難民による犯罪の増加に懸念を表明したりしただけで、たちまち「反移民」「差別主義」、ひいては「ナチ」呼ばわりされる その先鋒(せんぽう)に立っているのが、本来なら自由な論争を擁護すべき大手メディアなのだ 中道保守党「左傾化」のすき間を埋める新興政党 AfD(ドイツのための選択肢) CDU/CSU、SPDに次ぐ第3勢力に収まった 伸の理由は、本来、保守であったはずのCDUがあまりに左に寄りすぎたためだ 「理想」以外の選択肢を認めないメルケル メルケル 超法規的措置によって政策決定を行った際、「それ以外に選択肢がない」という言葉を使った 他の選択肢もある、という抗議の意が、AfDの「ドイツのための選択肢」という命名に込められている 異論を認めない「正義」のゆくえ 「戦う民主主義」 ヒトラーが、民主主義の手続きに基づいて民主主義を廃止していったことへの反省 「民主主義の廃止につながる自由」だけは認めないという考え方だ 私が一番恐れるのは、みなが正しいことをしているつもりで、静かに言論統制が進むことだ。それこそが、実は理想を追求しているようで他の議論を認めないという、民主主義やリベラリズムに対する背信である Newsweek日本版 「報道の自由度ランキング、アメリカが3年連続下落 暴力的風潮に危機感(国境なき記者団)」 「世界報道の自由度ランキング」報告書 アメリカの評価が下がった要因について、「ドナルド・トランプ大統領の(フェイクニュースといった)コメントだけにとどまらない(ジャーナリストに対する)敵対的な風潮が増している」点を指摘 新聞社で銃乱射、5人死亡 「キャピタル・ガゼット」紙銃撃事件 ーザー・セイアクによる脅迫事件 日本は67位から66位と低迷 東京新聞 「日本メディアの独立懸念 国連報告者「政府は勧告未履行」」 国連のデービッド・ケイ特別報告者が、日本では現在もメディアの独立性に懸念が残るとする新たな報告書をまとめた ケイ氏は17年に公表した対日調査報告書で、日本政府に11項目を勧告 9項目が履行されていないとしている 勧告11項目と履行状況 沖縄抗議への圧力批判 山城氏有罪 表現の自由萎縮恐れ 沖縄平和運動センターの山城博治(やましろひろじ)議長に対し懲役2年、執行猶予3年の刑が確定 表現の自由の権利行使を萎縮させる恐れ 日刊ゲンダイ 「植野妙実子氏「表現の自由」の抑圧で民主国家は成立しない」 憲法とフランス公法の専門家 あいちトリエンナーレ2019 何がどういうふうに起こったのかを知るのは、表現にとっても民主主義にとっても極めて重要 「ウヤムヤに」 安部政権になってからマスコミが政権に忖度する姿勢が強まったことを見逃すべきではない 「安部政権のマスコミへのコントロール」 「批判は発展につながる」と膝詰めで話した 表現の自由で最も大事なのは萎縮効果を生んではいけないということです マクロン大統領 ジレ・ジョーヌ(黄色いベスト)運動 対話を続けたことで、支持を回復 安倍首相は自分の意見をはっきりと言いませんよね 批判をすり抜けようとしているように見えます 日本の成熟度は30点 日本では政治的な事柄を話すことを嫌いますし、政治的な考えを表に出すことで「おかしな人だ」と思われてしまうのではないかと恐れる傾向が強いように思います せっかく憲法で保障されているのに、十分に活用できていない感じがします 参政権の充実、政治の発展に欠かせない
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