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企業不祥事(その21)(メード・イン・ジャパン神話崩壊<上>神戸製鋼所、メード・イン・ジャパン神話崩壊<下>三菱マテリアル、レオパレスや大和ハウスの不祥事 元凶は時代錯誤の「体育会ノリ」だ、日立グループ、「金属」「化成」で不正相次ぐ事情 日立金属で10年以上の検査データ不正が発覚) [企業経営]

企業不祥事については、昨年1月19日に取上げたままだった。今日は、(その8)(メード・イン・ジャパン神話崩壊<上>神戸製鋼所、メード・イン・ジャパン神話崩壊<下>三菱マテリアル、レオパレスや大和ハウスの不祥事 元凶は時代錯誤の「体育会ノリ」だ、日立グループ、「金属」「化成」で不正相次ぐ事情 日立金属で10年以上の検査データ不正が発覚)である。なお、タイトルから(一般)を削除した。

先ずは、昨年4月24日付け日刊ゲンダイが掲載したジャーナリストの有森隆氏による「メード・イン・ジャパン神話崩壊<上>神戸製鋼所」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/252525
・『アルミ・銅製品の品質データを改ざんしたとして、不正競争防止法違反(虚偽表示)の罪に問われた神戸製鋼所は2019年3月13日、立川簡裁で罰金1億円の判決を言い渡された。 17年10月8日、品質データの改ざんを公表した。この問題を受け、松井巌弁護士(元福岡高等検察庁検事長)を委員長とする外部委員会を設置。18年3月6日、最終報告が公にされた。 問題の製品は688社に出荷されていた。アルミ製品は国産初のジェット旅客機MRJやH2Aロケットにも使われていた。グループの23拠点で不正が行われ、アルミ・銅事業部門の真岡製造所(栃木県)では40年以上前の1970年代から不正に手を染めていた。強度が顧客の要望を満たさない場合に数値を書き換えたり、そもそも検査自体を実施せずに数値を偽ったりしていた。5人の役員経験者や社員ら計40人以上が不正を認識したり、これに関与していた。 18年4月1日付で川崎博也会長兼社長とアルミ・銅事業の責任者だった金子明副社長が引責辞任。4月1日付で、山口貢副社長が社長に昇格した。 警視庁は18年7月17日、法人としての神鋼と、改ざんのあった本体3工場の担当者4人を不正競争防止法違反(虚偽表示)容疑で書類送検した。 合同で捜査を進めてきた東京地検特捜部は法人を起訴した。組織的な改ざんを長年放置し、日本のものづくりの信頼を損ねた企業責任を重くとらえた』、「神戸製鋼」の問題は、このブログの2018年4月21日にも取上げた。裁判では、法人も罰金刑となったようだ。
・『内紛劇の後遺症  神鋼はメーカーでありながら、ものづくり出身者はトップになれなかった。こうした特異な企業体質が形成されたのは、1969~70年代に起きた内紛劇の後遺症である。 神鋼は尼崎製鉄(尼鉄)を吸収合併したが、神鋼社長の外島健吉と尼鉄社長の曽我野秀雄が対立。曽我野は右翼の巨魁・児玉誉士夫のもとに駆け込んだ。児玉は、外島追い落としに力を貸すことを約束したが、途中で外島側に寝返った。児玉は神鋼の揉め事の処理係として木島力也を送りこんだ。 神鋼は、児玉側が持つ福島県西白河郡の5億円の土地を32億円で買い上げた。これ以降、児玉配下の総会屋が経営に介入してきたことから、総会屋対策が重要な経営課題となる。 「児玉と握手して、社長の座を手に入れた」といわれた鈴木博章(11代社長)以来、亀高素吉(15代)、熊本昌弘(16代)、水越浩士(17代)の歴代社長は、総会屋の窓口である総務部長や総務担当役員を経てトップの椅子に座った。 90年4月28日、東京・港区のホテルオークラ別館「曙の間」で神鋼の若手社員だった木島力也の長男の結婚披露宴が行われた。 神鋼からは牧冬彦会長、亀高社長、その後社長になる熊本が出席した。第一勧業銀行は宮崎邦次頭取以下、7人が顔を揃えた。ヒラ社員の結婚式に歴代社長が出席したのである。 児玉、木島らに食いちぎられる原因をつくった経営陣の内紛は、まるでがん細胞のように組織をむしばんでいった』、「児玉誉士夫」が「内紛劇」に登場、「児玉と握手して、社長の座を手に入れた」「社長」が3人もいたとは、完全に食い物にされていたようだ。「児玉」が「神鋼の揉め事の処理係」として送り込んだ社員の「長男の結婚披露宴」に「歴代社長」のみならず、「第一勧業銀行」も「頭取以下、7人が顔を揃えた」、とは「総会屋」華やかなりし時代だったとはいえ、驚かされた。
・『木島は現代評論社をつくり「現代の眼」の発行人となった。 彼は神鋼所有の牧場を手に入れ、名馬ハイセイコーの馬主として知られるようになる。ハイセイコーの「セイコー」は神戸製鋼の「製鋼」から採ったものだと信じられている。 99年、総会屋・奧田一男への利益供与事件で、総会屋対策を仕切っていた相談役の亀高素吉が辞任。09年には地方議員に対する選挙資金肩代わりで会長の水越浩士と、社長の犬伏泰夫(18代)が引責辞任した。 これで文系社長の時代が終わり、理系に移る。研究開発部門出身の佐藤廣士(19代)を経て、製鉄所に長く勤務した生産技術者の川崎博也(20代)が社長に就いた。 品質改ざん問題で川崎は引責辞任。山口貢(21代)は7つの事業の中で収益性が低く売り上げ規模も小さい機械部門の出身だった。 神鋼で機械出身の社長は初めて。品質データ改ざんで失墜した名門企業の再生を担うことになった。鉄鋼、アルミ・銅、建設機械の主力3事業の規模がどれも中途半端だ。鉄鋼は万年3位。 「2位のJFEホールディングスは神鋼のアルミ複合材事業を欲しがっている」(素材担当のアナリスト) 神鋼が令和の時代の新たな企業再編のカギを握っている。(敬称略)』、「名馬ハイセイコー」まで登場するとは、驚いた。せっかく「理系」「社長」になったのに、「品質改ざん問題で・・・引責辞任」とは、自ら招いた問題とはいえ、皮肉だ。「主力3事業の規模がどれも中途半端」で「神鋼が令和の時代の新たな企業再編のカギを握っている」、ということであれば、「神鋼」の今後に注目したい。

次に、昨年4月25日付け日刊ゲンダイが掲載したジャーナリストの有森隆氏による「メード・イン・ジャパン神話崩壊<下>三菱マテリアル」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/252602
・『東京簡易裁判所は2019年2月、三菱マテリアルグループの製品データ改ざん事件で、不正競争防止法違反(虚偽表示)の罪に問われた法人と個人に判決を言い渡した。 三菱電線工業に罰金3000万円。村田博昭前社長に罰金200万円。同じく子会社のダイヤメットに同5000万円。安竹睦実前社長に同200万円。三菱アルミニウムは同3000万円だった。 非鉄金属大手の三菱マテリアルの竹内章社長は17年11月24日、記者会見を開き、子会社が17年2月に製品データの改ざんを把握しながら、10月下旬まで問題の製品の出荷を続けていたとして陳謝した。 データの不正は神戸製鋼所と同じ構図だが、少なくとも神鋼は経営陣が把握した段階で、当該製品の出荷は停止した。三菱マテは経営陣が不具合を知りながら出荷を続けていた。 コーポレートガバナンス(企業統治)の面で、神鋼より悪質と批判された。神鋼が大騒ぎにならなければ、公表するつもりはなかったということだろう』、この問題も、このブログの2018年4月21日で取上げた。「経営陣が不具合を知りながら出荷を続けていた」、確かに「神鋼より悪質」だ。
・『最初に問題が発覚したのは子会社の三菱電線工業(出荷先223社)。17年2月、箕島製作所(和歌山県)で配管などのパッキングに使うゴム製品のデータ改ざんが明らかになった。社長の村田は結局、辞任に追い込まれた。 三菱伸銅(同30社)は16年10月から17年10月にかけて、若松製作所(福島県)で自動車に使われる銅合金製品などでデータを書き換え、役員3人が辞任した。 三菱アルミニウム(同120社)でも、富士製作所(静岡県)でアルミの伸び率などの検査で数値を偽っていた。 18年2月9日、自動車部品のダイヤメット(同113社)の本社工場(新潟県)で「検査特採」と言い繕って不適格な商品を流通させていた。隠蔽を指示していた安竹前社長は辞めさせられた。 三菱アルミの子会社、立花金属工業(同339社)の養老工場(岐阜県)でも不良品を「社内特採」と容認して流通させていた。) 不正に手を染めたのはダイヤメットが1977年ごろ。三菱電線、三菱アルミ、三菱伸銅は90年代、立花金属は98年前後とされている。 東京地検特捜部は18年9月12日、不正競争防止法違反(虚偽表示)で、三菱電線工業の村田とダイヤメットの安竹を在宅起訴し、法人としての両社と三菱アルミニウムを起訴した。 国内の製造業のデータ改ざんで個人が起訴されるのは初めてのことだ。2人は不正を認識しながら顧客や三菱マテに報告せず放置しただけではなく、資料の隠蔽を指示するなど、悪質性が高いと判断された。 三菱マテは18年6月11日、竹内社長が辞任。小野直樹副社長が社長に昇格した。6月8日、本体の直島精錬所(香川県)で品質問題が発覚したことが交代の決め手となった。 しかし、現在の経営陣は、肩書こそ変わったものの、前社長の竹内が会長として残り、経営責任は不問のままだ。竹内が会長職にとどまることに、三菱グループからも「経営トップとして責任をきちんと取るべきだ」との厳しい指摘がある』、「現在の経営陣は、肩書こそ変わったものの、前社長の竹内が会長として残り、経営責任は不問のままだ」、上場企業として、「三菱グループ」の中核会社としても、信じられないような居直りだ。
・『三菱マテは90年、三菱鉱業セメントと三菱金属が合併して誕生した。三菱鉱業セメントの前身は三菱鉱業。三菱財閥の創始者である岩崎弥太郎が1871(明治4)年に進出した鉱山事業がルーツだ。 1989年に閉鎖した旧三菱金属大阪製錬所の跡地で、三菱マテと三菱地所が共同で行った再開発事業、大阪アメニティパーク(OAP)の土壌汚染で三菱マテは隠蔽体質をさらけ出した。基準値の20倍のヒ素や地下水からセレンなどの重金属を検出したのに、マンション2棟(518戸)の購入者には、この事実を告げなかった。 大阪府警は05年、宅地建物取引業法違反(重要事項の不告知)で、当時の役員らを書類送検。事業主がマンションの購入額の最低25%、総額75億円を解決金として住民に支払うことで和解。三菱地所社長の高木茂、三菱マテ会長の西川章、社長の井手明彦が引責辞任したことを勘案して大阪地検は不起訴処分とした。 三菱マテにとって隠蔽の授業料は高かったはずだが、この教訓が生かされず、再び検査データに手を伸ばした。 隠蔽の2文字が名門、三菱マテの遺伝子(DNA)として刷り込まれている、といったら酷か。(敬称略)』、「酷」というより「実態」だろう。

第三に、昨年6月20日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したノンフィクションライターの窪田順生氏による「レオパレスや大和ハウスの不祥事、元凶は時代錯誤の「体育会ノリ」だ」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/206195
・『会社を揺るがすほどの不祥事に発展したレオパレス問題に次いで大和ハウス工業も、と不祥事が続発している。強引な営業が問題になっている大東建託もそうだが、人口減少という抗えない時代の変化に対して、「根性」と「頑張り」で立ち向かおうとする、時代錯誤の経営哲学が背景にあるのではないだろうか』、「時代錯誤の経営哲学が背景にある」とは興味深そうだ。
・『大和ハウスや大東建託も 住宅業界の不祥事が続々発覚  “外壁なしの違法プラモデル建築”が発覚したレオパレスの二の舞になってしまうのだろうか。 4月に防火基準を満たしていない不適切な物件2000棟超があると公表していた大和ハウス工業が、再調査をしたところ、国から認定されていない基礎を使った不適切住宅が、新たに約1900棟も見つかったのだ。 実は今、同社は不祥事のフィーバー状態となっている。 今年1月には元営業所長が、取引先の太陽光発電関連会社から約4000万円のリベートを受け取っていたことが発覚。3月には中国・大連市の関連会社から、約234億円の会社資金が不正に引き出されたと発表。つい先日にも、施工したマンションの貯水槽で協力会社作業員が泳ぐというバカ動画を世界に発信したことで謝罪したばかりなのだ。 ただ、この傾向は大和ハウスだけではない。「被害者の会」まで立ち上がったレオパレスはご存じの通りで、同じく賃貸アパート大手で、“いい部屋ネット”で知られる大東建託もオーナートラブルや職場のブラックぶりが一部で指摘されており、不動産業界では「大東建託の内幕 “アパート経営商法”の闇を追う」(同時代社)なんて本も注目を集めている。 では、なぜ賃貸住宅建設に関わる大手プレイヤーから、次々と「問題」が噴出しているのだろうか。 ひとつには、住宅着工件数の減少が影響していることは間違いない。 日本は今、急速に人口が減っている。総務省統計局「総人口の推移」によれば、2017年から18年の1年間で日本の人口は約40万人減っている。これは、岐阜市レベルの都市が毎年、「消滅」しているとイメージしていただければわかりやすい』、「大和ハウス」が「不祥事のフィーバー状態」、とはみっともない話だ。タガが外れてしまったのだろうか。
・『人口減少時代にがむしゃらに頑張ることの副作用とは  人が減れば当然、住宅の需要も減っていく。事実、1970年代には185万戸もあった新設住宅着工戸数は、2017年度には94.6万戸にまで縮小している。 もちろん、この「逆風」の中でも、大手は新たな事業の柱などをつくり出して成長を続けている。例えば、大和ハウスは新設住宅着工戸数が鈍ってきたことを受け、商業施設や物流施設など事業建設に力を入れはじめ、2005年には売上高の28.6%だった事業建設は、現在は38.4%まで増加。競合を大きく引き離した3兆7956億円の売り上げを叩き出している。(大和ハウスグループ「統合報告書2018」より) ただ、人口減少という大逆風の中で、これだけ右肩上がりの成長を実現するというのは普通に考えれば、かなりの無茶ぶりである。 「チャレンジ」という名目で、現場に利益のかさ上げを要求した東芝を例に出すまでもなく、無茶な目標設定はモラルハザードを招く。今回の「4000棟の不適合建築」問題も、その可能性は否めないのだ。 そのような意味では、この業界でさまざまな問題が噴出していることも、「人口減少」という不治の病を無理やり何とかしようと試みた結果の、強烈な副作用とみてもいいのではないだろうか。 そこに加えて、この副作用をさらに重篤化させているのが、この世界に蔓延している「体育会のノリ」だと思っている。 賃貸住宅建設業界にお勤めの方ならばよくわかると思うが、この世界はかなり体育会で、罵声が飛び交うのは当然で、とにかく靴底減らして仕事を取ってこいみたいなカルチャーが現在まで続いている。 例えば、有名なのは大東建託の「飛び込み営業」だ。「大東建託現役社員が指摘『ひたすら飛び込む』営業戦略の弱点」には、そのあまりのハードな体育会のノリから、営業マンが「辛いなあ。死んだ方がマシかなあ」と悲痛な声を上げていることが紹介されている』、「とにかく靴底減らして仕事を取ってこいみたいなカルチャーが現在まで続いている」、ブラック企業と紙一重のようだ。
・『不祥事企業に共通するのは「体育会のノリ」である  ということを言うと、確かに度の過ぎた「体育会のノリ」も問題だが、企業が成長するうえには、ある程度は必要ではないかと思う人もいるだろうが、それは大きな勘違いだ。 「人口減少社会」における体育会のノリは百害あって一利なし。体罰指導で急に強くなる部活と一緒で、瞬間風速的に業績は上がるかもしれないが、中長期的に見ると、パワハラや不正が溢れ変えるブラック組織をつくることにしかならないのだ。 確かに、現場に体育会のノリで発破をかけてうまくいった時代もあった。が、現在は先ほども触れたように事業環境が激変しているので、ほとんどワークしない。そこでさらに「気合だ」「根性だ」「やる気を見せろ」と叱責すると逆効果で、パワハラにしかならないのだ。 また、そのような結果に繋がらない精神的プレッシャーが増えると、現場の人間はちゃんとした仕事をすることよりも、「どうすれば叱責されないようになるか」という方向でものを考えがちになっていく。インチキをして上司や客がのぞむような結果をつくりあげる。「真面目な社員」たちが「会社のため」という名目で、データ改ざんや利益のかさ上げ、法令軽視に手を染めるのは、こういう組織内の力学が影響しているのだ。 筆者は、この10年あまり、報道対策アドバイザーとして、不祥事などが発覚した問題企業を間近に見てきた。業種も多岐に渡っているし、業績の良い企業もあれば、悪い企業もある。不祥事のパターンもバラエティに富んでいる。 だが、ひとつだけ共通しているのが、どの組織にも何かしらの「体育会のノリ」があるということだ。トップが苦労人でゴリゴリの根性論を振りかざすとか、製造部門が軍隊のような階級社会で「上」には誰も文句が言えないとか。 5月に代表権を返上してCEOを退任した「大和ハウス中興の祖」である樋口武男氏は、創業者・石橋信夫氏に託された「10兆円企業」という目標を、創業100周年の2055年に目指しており、このようにインタビューでおっしゃっている。 《社長には20年前倒しして10兆円を目指せと発破をかけている。これはと思う幹部には特にしんどい仕事をさせて、能力を見極めている》(2016年07月28日 日刊工業新聞) これぞ経営者だと思う一方で、そのように樋口氏から強いプレッシャーをかけられた幹部は、そのしんどい仕事を誰へ振っていくのかが気になる』、「この10年あまり、報道対策アドバイザーとして、不祥事などが発覚した問題企業を間近に見てきた」「筆者」が「不祥事企業に共通するのは「体育会のノリ」である」、「「真面目な社員」たちが「会社のため」という名目で、データ改ざんや利益のかさ上げ、法令軽視に手を染めるのは、こういう組織内の力学が影響」、などの指摘には説得力がある。
・『高度経済成長は「根性」で成し得たのではない  アマチュアスポーツの体罰問題で指摘されたように、選手時代に体罰を受けて一人前になった人は、コーチになってからも当たり前のように選手を殴る。自分がそうやって強い人間になったからだ。 このハラスメントの連鎖を踏まえれば、樋口氏から厳しい指導を受けた管理職は、部下を厳しく育てるはずだ。では、そのような部下たちは、工事業者や協力会社という「現場」をどのように指導するのか。とにかく結果を出せ、もっと努力しろ、と厳しく迫るのではないか。 このような人口減少社会にそぐわぬ「体育会のノリ」の押し付けが、現場のモラルハザードを引き起こし、「4000棟の不適合建設」につながった可能性はないだろうか。 高度経済成長期、日本の人口は右肩上がりで内需は自然に拡大していたので、やるべきことをしっかりやっていれば、企業は成長ができた。 しかし、そんな幸せな時代、ひとつの不幸が生まれてしまう。「日本は人口増によって成長した」という分析をする人が皆無だったため、自分たちの会社が大きくなったのは、「社員みんなが頑張ったからだ」と信じ込んでしまったのだ。これによって、人口増で黙っていても自然に経済成長ができているのに、あたかも「根性で成長ができた」という錯覚に陥る日本人が多く現れた。 この大きな誤解が、バブル崩壊を経て「失われた20年」でさまざまな問題を引き起こしている。 日本の人口は減少に転じて、かつてのように内需は拡大しない。論理的に考えれば、高度経済成長期に雨後のタケノコのように生まれた企業は、事業の縮小や見直し、他社との合併などを検討しなくてはいけないのは明らかだが、多くの経営者はそういう判断ができない。 成長とは「従業員の根性」で成し得るものだという思い込みがあるからだ』、「人口増で黙っていても自然に経済成長ができているのに、あたかも「根性で成長ができた」という錯覚に陥る日本人が多く現れた。 この大きな誤解が、バブル崩壊を経て「失われた20年」でさまざまな問題を引き起こしている」、その通りだ。
・『「頑張れば成長できる」 偽りの神話を捨てるべき時期だ  成長ができていないのは、頑張りが足りないから。頑張りが足りないのは、最近の若者は自分たちのように試練を乗り越えていないからに違いない。ということは、会社のためにも、ぬるま湯で育った若者のためにも、ちょっとくらい心と体を痛めつけてやる必要がある。そんな支離滅裂な三段論法で、「正義のパワハラ」に走っていく。 現在の日本で、人口が減れば減るほどブラック企業やパワハラが活況していく、という皮肉な現象が起きているのは、全てはこの「頑張れば成長できる」という強迫観念が元凶になっている。 賃貸住宅建設に関わる大手メーカーに不祥事が多発しているのも、根っこにはこの構造があるとしか思えない。 前向きに考えれば、業界でさまざまな問題が噴出しているということは、大きく変わっていくチャンスでもあるはずだ。 人口が激減する社会で、新しい住宅や施設をバカバカつくっていく方法は、やはりどう考えても、無理がある。その無理は頑張りや努力で乗り越えることはできない。「頑張って成長をする」という昭和の経営者の根性論から脱却する時期にさしかかっているという事実に、経営者は気づく必要がある。 この不祥事多発を受け、大和ハウスをはじめ、賃貸住宅建設業界のみなさんがどのような新しいビジネスモデルにたどり着くのか、注目したい』、「人口が減れば減るほどブラック企業やパワハラが活況していく、という皮肉な現象が起きているのは、全てはこの「頑張れば成長できる」という強迫観念が元凶になっている」、「「頑張って成長をする」という昭和の経営者の根性論から脱却する時期にさしかかっているという事実に、経営者は気づく必要がある」、全面的に同意する。

第四に、本年4月30日付け東洋経済オンライン「日立グループ、「金属」「化成」で不正相次ぐ事情 日立金属で10年以上の検査データ不正が発覚」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/347453
・『日立グループで検査不正がまた発覚した。 日立金属は4月27日、主力の特殊鋼製品とフェライト磁石などの磁性材料で、検査データを偽造するなどの検査不正があったと発表した。いずれの部品も自動車や家電、産業機器などで幅広く使われており、不正を通じて製品を納入した顧客は延べ約170社に上る』、「磁性材料」での「検査不正」で「顧客」側からのクレームは表立ってはないようだが、本当のところはどうなのだろう。
・『検査データを書き換え、顧客に提出  不正があったのは特殊鋼、フェライト磁石、希土類磁石の3種類の素材だ。特殊鋼はクロムやニッケルなどを特殊配合して耐久性を強くした鋼で、主に加工治具や自動車部材に使われている。 またフェライト磁石は、主にワイパーやパワーウィンドウなど自動車用やエアコン等家電用の各モーターに用いられ、希土類磁石はネオジム等のレアアースを主原料とする強力な磁石で、自動車の電動パワーステアリングやFA(ファクトリー・オートメーション)、ロボット用モーターに使われている。 いずれも顧客と契約していた品質基準に合うように検査データを書き換えたものを「検査成績書」として顧客に提出。特殊鋼では14品種、約30社、フェライト磁石は約580品番、約70社に、希土類磁石は約370品番、約70社の顧客にそれぞれ納入されていた。 不正には特殊鋼を作っている安来工場(島根県安来市)や、磁石を作っている熊谷磁材工場(埼玉県熊谷市)などの国内拠点のほか、韓国、フィリピン、インドネシア、アメリカの海外拠点も関与していた。3品目の2019年度の売上高は合計3105億円で、そのうち実際に不正が一部でも認められた製品は245億円分に上る。 日立金属の西山光秋会長兼CEOは4月27日に電話会見を開き、「現時点では安全性、性能に問題があるものは確認されていない」と説明したうえで、「顧客にご相談申し上げて、合意のもと出荷を継続している」と話した。業績に与える影響は現時点で不明という。 不正が発覚したきっかけは2020年1月下旬、安来工場で不正が行われているとの情報提供だった。社内調査を進めた結果、フェライト磁石と希土類磁石でも同様の不正が判明した。 西山会長は「不正は少なくとも10年以上前から継続していた」と説明。上層部も関わっていた可能性があるため、今後歴代幹部から聞き取り調査を行う方針とみられる。4月27日付で長島・大野・常松法律事務所の弁護士らからなる特別調査委員会を設置し、原因究明を急ぐ考えだ』、「現時点では安全性、性能に問題があるものは確認されていない」、その理由は「顧客」が要求する「品質基準」自体に余裕がある(?)ためなのだろうか。
・『日立の中核子会社で相次ぐ不正  日立グループをめぐっては、中核子会社の日立化成でも2018年に産業用鉛蓄電池などで大規模な品質データ不正が発覚している。このとき、日立グループでは全社に総点検するように指示していたが、今回の不正を防げなかったことになる。 くしくも日立金属の西山会長は4月に親会社である日立製作所の専務兼CFOから転じたばかり。西山氏は「今回の不正と人事は関係ない」としたうえで、「(日立グループの総点検で)不正が把握できなかったのは私としても悔しい」と話した。 一方、日立化成に続く中核子会社での相次ぐ不正は日立グループ全体の問題ではないかとの指摘には反論。西山氏は「日立グループの問題というよりも、日立金属は(独立した)上場会社だ。責任を持って調査して説明責任を果たさなければならない」と強調した。 原因究明はこれからだが、コストを意識していた可能性もある。今回顧客との契約とは違う工程を未申請のまま変更したケースでは、自社材料から外部購入に変更していた。 その理由について、西山会長は「おそらくはコスト。外部購入の方がコストが安いから変更したと推測できる」と認める。もっとも顧客は日立金属の材料を使用した製品と理解して購入しているため、契約が不成立になる恐れもある』、「外部購入の方がコストが安いから変更したと推測」、「日立化成」ともなると、「社内」購入時の価格交渉は甘くなるのだろうか。
・『試される「名門」のガバナンス力  日立金属は日立化成とともに日立グループ御三家の一角を占め、売上高は1兆円規模を誇る。だが、磁石事業などの不振で業績低迷が続いている。2019年4~12月期は本業の儲けを示す調整後営業利益が前期比72%減の118億円に下落。前期まで3期連続で減益のうえ、2020年3月期は磁性材料で減損を計上し、470億円の最終赤字に転落する見込みだ。足元では新型コロナウイルスの感染拡大もあり、さらに下振れする可能性が高まっている。 日立金属幹部はここ数年の業績不振について、「構造改革を怠り、全方位で積極投資した結果、固定費が大幅に増えてしまった」と分析する。西山氏は「一刻も早い業績の回復、事業再編に取り組んでいきたい」と抱負を述べたばかりだった。 日立金属はもともと独立心が旺盛で、日立製作所との取引も少ない。ただ、2010年に日立金属社長を日立製作所の副社長に就けるなど、グループの一体感を高める動きもあった。その後、2013年に日立電線と経営統合し、日立化成との統合も模索していたが、日立化成は昭和電工への売却が決まった。そうしたこともあって、日立金属も業績が回復すればグループ外へ売却されるのではないかとの観測が強まっていた。 ただ新たな問題が浮上したことで、売却の行方は不透明になってきた。原因究明には少なくとも数カ月かかるとみられるが、日立化成の不正問題のように、調査の過程でまた追加の不正が出る可能性も残る。名門で相次いだ不正をどう食い止めるか。日立のガバナンス力が試されている』、いまや「日立」は経団連会長会社、このような「不正」発覚は、今回限りにしてもらいたいものだ。)
タグ:東洋経済オンライン 経団連会長会社 セレンなどの重金属を検出したのに、マンション2棟(518戸)の購入者には、この事実を告げなかった ひとつだけ共通しているのが、どの組織にも何かしらの「体育会のノリ」がある この大きな誤解が、バブル崩壊を経て「失われた20年」でさまざまな問題を引き起こしている 罰金1億円の判決 検査データを書き換え、顧客に提出 「児玉と握手して、社長の座を手に入れた」 人口減少時代にがむしゃらに頑張ることの副作用とは 「レオパレスや大和ハウスの不祥事、元凶は時代錯誤の「体育会ノリ」だ」 少なくとも神鋼は経営陣が把握した段階で、当該製品の出荷は停止 神鋼からは牧冬彦会長、亀高社長、その後社長になる熊本が出席 レオパレス 事業主がマンションの購入額の最低25%、総額75億円を解決金として住民に支払うことで和解 三菱グループからも「経営トップとして責任をきちんと取るべきだ」との厳しい指摘 (その8)(メード・イン・ジャパン神話崩壊<上>神戸製鋼所、メード・イン・ジャパン神話崩壊<下>三菱マテリアル、レオパレスや大和ハウスの不祥事 元凶は時代錯誤の「体育会ノリ」だ、日立グループ、「金属」「化成」で不正相次ぐ事情 日立金属で10年以上の検査データ不正が発覚) 窪田順生 人口が減れば減るほどブラック企業やパワハラが活況していく、という皮肉な現象が起きているのは、全てはこの「頑張れば成長できる」という強迫観念が元凶になっている 「頑張って成長をする」という昭和の経営者の根性論から脱却する時期にさしかかっているという事実に、経営者は気づく必要がある とにかく靴底減らして仕事を取ってこいみたいなカルチャーが現在まで続いている 「日立グループ、「金属」「化成」で不正相次ぐ事情 日立金属で10年以上の検査データ不正が発覚」 「人口減少社会」における体育会のノリは百害あって一利なし 木島力也の長男の結婚披露宴 歴代社長は、総会屋の窓口である総務部長や総務担当役員を経てトップの椅子に座った 三菱マテは経営陣が不具合を知りながら出荷を続けていた。 コーポレートガバナンス(企業統治)の面で、神鋼より悪質と批判された 現在の経営陣は、肩書こそ変わったものの、前社長の竹内が会長として残り、経営責任は不問のままだ 内紛劇の後遺症 筆者は、この10年あまり、報道対策アドバイザーとして、不祥事などが発覚した問題企業を間近に見てきた 児玉は神鋼の揉め事の処理係として木島力也を送りこんだ 不祥事のフィーバー状態 この世界に蔓延している「体育会のノリ」 ダイヤモンド・オンライン 児玉配下の総会屋が経営に介入してきたことから、総会屋対策が重要な経営課題 「メード・イン・ジャパン神話崩壊<下>三菱マテリアル」 大東建託もオーナートラブルや職場のブラックぶりが一部で指摘 真岡製造所(栃木県)では40年以上前の1970年代から不正に手を染めていた 三菱マテと三菱地所が共同で行った再開発事業、大阪アメニティパーク(OAP)の土壌汚染で三菱マテは隠蔽体質をさらけ出した 日刊ゲンダイ 大和ハウスや大東建託も 住宅業界の不祥事が続々発覚 神鋼社長の外島健吉と尼鉄社長の曽我野秀雄が対立 神鋼は、児玉側が持つ福島県西白河郡の5億円の土地を32億円で買い上げた 品質改ざん問題で川崎は引責辞任 文系社長の時代が終わり、理系に移る 磁性材料で、検査データを偽造 隠蔽の2文字が名門、三菱マテの遺伝子(DNA)として刷り込まれている 「人口減少」という不治の病を無理やり何とかしようと試みた結果の、強烈な副作用 不正競争防止法違反(虚偽表示) 神鋼が令和の時代の新たな企業再編のカギを握っている アルミ・銅製品の品質データを改ざん 外部購入の方がコストが安いから変更したと推測 主力3事業の規模がどれも中途半端 住宅着工件数の減少が影響 なぜ賃貸住宅建設に関わる大手プレイヤーから、次々と「問題」が噴出しているのだろうか 不正に手を染めたのはダイヤメットが1977年ごろ 「メード・イン・ジャパン神話崩壊<上>神戸製鋼所」 山口貢 曽我野は右翼の巨魁・児玉誉士夫のもとに駆け込んだ 有森隆 児玉、木島らに食いちぎられる原因をつくった経営陣の内紛は、まるでがん細胞のように組織をむしばんでいった 売り上げ規模も小さい機械部門の出身 高度経済成長は「根性」で成し得たのではない 「真面目な社員」たちが「会社のため」という名目で、データ改ざんや利益のかさ上げ、法令軽視に手を染めるのは、こういう組織内の力学が影響 児玉誉士夫 「頑張れば成長できる」 偽りの神話を捨てるべき時期だ 試される「名門」のガバナンス力 日立の中核子会社で相次ぐ不正 人口増で黙っていても自然に経済成長ができているのに、あたかも「根性で成長ができた」という錯覚に陥る日本人が多く現れた 瞬間風速的に業績は上がるかもしれないが、中長期的に見ると、パワハラや不正が溢れ変えるブラック組織をつくることにしかならない 現時点では安全性、性能に問題があるものは確認されていない ハイセイコーの「セイコー」は神戸製鋼の「製鋼」から採ったもの 地方議員に対する選挙資金肩代わりで会長の水越浩士と、社長の犬伏泰夫(18代)が引責辞任 第一勧業銀行は宮崎邦次頭取以下、7人が顔を揃えた 川崎博也会長兼社長とアルミ・銅事業の責任者だった金子明副社長が引責辞任 不祥事企業に共通するのは「体育会のノリ」である 企業不祥事
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