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パンデミック(新型肺炎感染急拡大)(その13)(安倍政権のコロナ対策に募る不信 問題の本質が「専門家会議」である理由、絶望…コロナ対応国民評価ランキング 安倍晋三がダントツ世界最下位に ついに無能さが数字になってバレた、緊急事態宣言と自粛経済の負の側面は正当化できない 政府のコロナ対応について国際政治学者の三浦瑠麗氏に聞く) [国内政治]

昨日に続いて、パンデミック(新型肺炎感染急拡大)(その13)(安倍政権のコロナ対策に募る不信 問題の本質が「専門家会議」である理由、絶望…コロナ対応国民評価ランキング 安倍晋三がダントツ世界最下位に ついに無能さが数字になってバレた、緊急事態宣言と自粛経済の負の側面は正当化できない 政府のコロナ対応について国際政治学者の三浦瑠麗氏に聞く)を取上げよう。

先ずは、5月19日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した立命館大学政策科学部教授の上久保誠人氏による「安倍政権のコロナ対策に募る不信、問題の本質が「専門家会議」である理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/237578
・『新型コロナウイルス対策に関する安倍晋三首相の一連の意思決定に対する世論の評価は低い。その理由は、安倍政権の意思決定プロセスに問題があるためだと筆者は考える。特にコロナ対策で陣頭指揮を執る「専門家会議」が、有事を想定せずに「平時」と同じパターンで発足されたことに問題の本質があると考える。コロナ禍を奇貨として、日本の政策決定システムの抜本的な見直しを考えるべきではないか』、興味深そうだ。
・『専門家が持論をメディアやSNSで発表し それに従うという構図に違和感や不満  安倍晋三首相は5月14日、新型コロナウイルス対策で全国に発令した緊急事態宣言の一部について解除。13の「特定警戒都道府県」のうち茨城、岐阜、愛知、石川、福岡の5県と、特定警戒ではない34県の合計39県で解除すると表明した。また、首相は解除しなかった8都道府県(北海道、東京、神奈川、埼玉、千葉、京都、大阪、兵庫)について「5月21日をメドに専門家に評価してもらい、可能であれば5月31日を待つことなく解除する」と説明した。 5月16日0:00時点の日本国内の新型コロナ感染者は合計1万6237人(死者725人)だ(*)。 *厚生労働省「新型コロナウイルス感染症の現在の状況と厚生労働省の対応について〈令和2年5月16日版〉」 また、朝日新聞「全国で新たな感染55人 13県で2週間感染者ゼロ」(5月14日)によれば、安倍首相が緊急事態宣言の一部解除を発表した14日までの1週間で「感染者がゼロの県は、特定警戒都道府県に指定されている茨城、岐阜を含む22県」。そして、「特定警戒都道府県のうち、解除の方向となった福岡、愛知両県では、最近1週間での感染確認はいずれも計6人」にとどまり、「石川県はほぼ連日1~4人の感染が確認されているが、クラスター(感染者集団)の発生が確認された病院の関係者」だという。 さらに緊急事態宣言の解除対象とならない東京都でも、新規感染者数は5月3日を最後に12日連続で50人を下回っている(東京都「都内の最新感染動向」のPCR検査陽性者の発生動向〈確定日別による陽性者数の推移〉、5月15日時点)。現時点でこの数字を見る限り、新型コロナウイルスの感染拡大はピークを過ぎたといっていい状況だろう』、「感染拡大はピークを過ぎたといっていい状況」、第二次、第三次の拡大もあり得るが、一応幸いなことだ。
・『一方、日本と世界の主な国における感染者数(死者数)を比較すると下記のような状況だ。 
米国:144万2924人(8万7493人) 英国:23万6711人(3万3998人) イタリア:22万3885人(3万1610人) フランス:14万1919人(2万7529人) 中国:8万2941人(4633人) 韓国:1万1037人(262人) 日本:1万6237人(725人) *厚生労働省「新型コロナウイルス感染症の現在の状況と厚生労働省の対応について(令和2年5月16日版)」 日本の感染者数・死者数についてはさまざまな議論があり、単純な国際比較はできない。それでも米英伊仏と比較して死者数が2桁少ないこと、世界から高い評価を受ける韓国とも遜色のない感染者数・死者数にとどまっていることは、特筆に値するだろう。 だが、コロナ対策に関する安倍首相の一連の意思決定に対する評価は低い。「全校一斉休校」や「アベノマスク」の決断が、専門家の助言に基づかない首相の独断だったことが次々に報道された(本連載第237回)。 一方で、さまざまな専門家が持論をメディアやSNSで次々と発表し、国民がそれに従って行動自粛を続けていることに違和感を持つ人も少なくない。何より、外出や営業の自粛によって倒産や破算の危機に陥った事業者や個人は強い不満を持つようになっている(第239回)。 そこで本稿は、安倍政権の意思決定を検証する。コロナ対策で注目が集まったのは、「専門家」の存在だ。テレビのワイドショーやインターネットのニュースサイトなどに「専門家」と称される人々が登場しない日はない。コロナ対策を理解するには、通常の政策課題と比べて格別に高い専門性を必要とする。それでも国民は、その内容を強く知りたがっているということだろう。そして、日本のコロナ対策の陣頭指揮を執るのはいわゆる「専門家会議」だ』、「専門家会議」の実態をみておく必要もありそうだ。
・『官僚が強大な権力を行使できる審議会 専門家は「お墨付き」を与えるだけ  政策立案において、首相官邸・内閣府の主導が強まっていることは、かねて指摘されてきた(第183回)。しかし、官邸・内閣府が扱う政策案件は全体のごく一部で、政権が支持率を高く維持するために最重要と考える案件だけだ。首相側近の加藤勝信氏(現厚労相)が、かつて「一億総活躍相」など、一見、まったく関連性のなさそうな7閣僚を兼務したのは、世論に受けそうな政策をタイミングよく繰り出すことを政権が何より重要と考えていたためだ(第163回・P3)。 一方、大多数の政策は首相官邸や内閣府が関わることなく、粛々と各省庁で立案され、実施されているのが実態だ。そして政策立案の始まりは、各省庁に設置される「審議会」である。そこに委員としてかかわるのが「専門家」だ。 筆者は、かつてこの審議会について論考を書いたことがある(前連載第20回)。小泉純一郎政権期の2004年に成立した「年金改革法」についてだ。 当時、経済財政諮問会議の委員であった大田弘子氏(現・政策研究大学院大学特別教授)が著書『経済財政諮問会議の戦い』で、「2002年12月に厚労省から諮問会議に改革のたたき台が出た時点で、制度の抜本改革が却下され、現行の制度体系を基本として改革を進めると決められていたこと」を問題視していた。 大田氏は、「制度の抜本的改革には、諮問会議で審議する前に厚労省の審議会・社会保障審議会年金部会でそれを議題として取り上げておかなければならなかった」と指摘している。厚労省が都合の悪い改革案をたたき台に載せなかったので、議論のしようがなかったというのだ。 大田氏の回想は、政策立案過程で「議題設定」の権限を持つ者が極めて大きな権力を行使できることを指摘している。自己に有利な争点だけを選別して政策決定プロセスに持ち込むことができるからだ。 各省庁の審議会では、事務局を務める官僚が議題を設定し、専門家を参考人として招致。彼らの意見を聞き、質疑応答の後に議事録を作成して次回の議案を作成する。審議会の委員は、実質的には質疑応答に参加するだけ。要は、官僚が完全に議論をコントロールしているのだ。 審議会で委員に求められる役割とは何か。筆者が英国に留学中、在外研究で英国に来ていたある経済学者に会ったことがある。彼は、政府の審議会委員の経験について「学者の役割は、官僚がやってほしいことにお墨付きを与える助言をしてあげることだよ」と言い切っていた。 故に、委員には現在の世界最先端の研究に携わっている若手が起用されることはほとんどない。学会等の推薦によって、かつて大きな業績を挙げた重鎮の学者が起用される。彼らは「御用学者」と呼ばれることがある。) 一方、政策を実質的に立案する官僚は、多くが東京大学などの学部卒である。財務官僚の多くが東大法学部出身で、彼らは基本的にジェネラリストの行政官だ。一度は海外留学する機会を持つ人が多いが、学部卒が多いために留学では修士号取得にとどまり、博士号まで取得する人は限られる。もちろん政策について一定の専門性は持っているが、それは行政の経験に基づくものだ。官僚が作成する政策案は、理論的というより現行制度をベースにした現実的なものになる。 一方、米国や英国など欧米の政府でも審議会はあるが、専門家が政策立案に関わる機会はそれだけではない。専門家は、若手の頃からさまざまなレベルでのポストに応募する機会がある。省庁では、政策の原案を練るところから多数の専門家が入り、先端の研究の知見が反映されることになる。 また、官僚組織が終身雇用・年功序列でないことから、専門家は大学・研究所・シンクタンク等と省庁の間を何度も行き来しながらキャリアを形成していく。これを「回転ドア(Revolving Door)」と呼び、終身雇用をベースに省庁を退官後に官僚が民間に籍を移す、日本の「天下り」と対比されることがある。 欧米のこの「回転ドア」は、大学と役所の専門家間で多くの「政策ネットワーク」が形成されることにつながる。また、省庁のポストには学会の推薦ではなく個人で応募する。そのため、学会に従順な専門家だけでなく、多様な学説を持つ専門家が政策立案に参画することになる。学説の間での「競争」が起こって政策案が磨かれ、政府の選択肢も増えることになる』、「欧米のこの「回転ドア」・・・省庁のポストには学会の推薦ではなく個人で応募する。そのため、学会に従順な専門家だけでなく、多様な学説を持つ専門家が政策立案に参画することになる。学説の間での「競争」が起こって政策案が磨かれ、政府の選択肢も増えることになる」、日本も大いに見習うべきだろう。
・『コロナ対策の司令塔「専門家会議」は平時を想定して設置した?  日本のコロナ対策と専門家の関係に話を戻そう。今回のコロナ問題で陣頭指揮を執る「新型コロナウイルス感染症対策専門家会議」(以下、専門家会議)は20年2月14日、首相官邸の「新型コロナウイルス感染症対策本部」の傘下に設置された。 その時点では、政府は事態をそれほど深刻に捉えていなかったと思われる。中国などからの入国禁止という強い措置を取ることはなく、感染拡大が過ぎ去れば、中国の習近平国家主席の国賓来日も予定通り行われ、東京オリンピック・パラリンピックも無事に開催できると考えていたはずだ。あまり、「有事」という感覚はなかったと思われる(第234回)。 だから、専門家会議は「平時」の審議会・諮問会議と同様に、学会の重鎮が大所高所から助言を行うために設置されたと考えられる。専門家会議の委員は12人。座長は脇田隆字・国立感染症研究所所長。副座長の尾身茂・地域医療機能推進機構理事長は、20年間世界保健機関(WHO)に勤務し、西太平洋地域におけるポリオ根絶を手掛けたことで世界的に知られる大物だ。 その他、岡部信彦・川崎市健康安全研究所所長、押谷仁・東北大学大学院医学系研究科微生物分野教授、釜萢敏・日本医師会常任理事、河岡義裕・東大医科学研究所感染症国際研究センター長、鈴木基・国立感染症研究所感染症疫学センター長など、学会の重鎮がズラリと並んだ。 一方、コロナ対策の具体策を立案し、専門家会議の議題設定をするのは、厚労省・健康局結核感染症課の医系技官だ。医師免許・歯科医師免許を有し、専門知識をもって保健医療に関わる制度づくりの中心となる技術系行政官のことを指す(厚生労働省「医系技官採用情報」)。 日本のコロナ対策は当初、PCR検査を抑制的に行い、医療崩壊を防ぎながら感染拡大が終息するのを待つというものだった(第234回・P3)。この意思決定には、2つの理由がある。1つは、新型コロナが「指定感染症」となり、コロナに感染したと診断されると無症状や軽症の人でも原則的に病院で入院隔離措置を取らねばならない「感染症法」が適用されること。もう1つは、重症急性呼吸器症候群(SARS)や中東呼吸器症候群(MERS)を経験しなかった日本の感染症医療体制の脆弱性を考慮したものだ(第49回)。医系技官らしい、現行法と現場能力を考えた現実的な政策だったと思う。 ただし、そこに問題がなかったわけではないという指摘がある。上昌弘・医療ガバナンス研究所理事長によれば、世界のコロナ対策の議論をリードする英医学誌「ランセット」や英科学誌「ネイチャー」などの学術誌の議論を医療技官はフォローできていなかったという(上昌弘『医療崩壊 (37) 「医系技官」が狂わせた日本の「新型コロナ」対策(下)』)。 同記事は、世界の最先端の研究成果で次第に明らかになっていく新型コロナの特性について、医療技官は十分な情報を得られていなかったと指摘。その結果、「感染拡大が過ぎ去るのを待つ」という最初に立てた対策に長い間固執してしまうことになったという。 この指摘が正しいとすれば、医系技官は医師免許を持っているが、世界の最先端の議論を追う専門家ではないということだ。さらにいえば、専門家会議の重鎮たちも最先端の議論をフォローできていない、研究者として第一線を退いた人たちばかりだったということになる』、「医系技官は医師免許を持っているが、世界の最先端の議論を追う専門家ではないということだ。さらにいえば、専門家会議の重鎮たちも最先端の議論をフォローできていない、研究者として第一線を退いた人たちばかりだった」、という「上昌弘」氏の指摘通りだとすれば、うすら寒い実態だ。
・『専門家会議が「クラスター対策」を批判的に検証できない構図が問題  一方、「厚労省・クラスター対策班」が発足したのは専門家会議の発足から11日後の2月25日だ。コロナの感染拡大が過ぎ去るのを待っていたかに見えた政府が、事態の深刻さを受け止め、ようやく明確な新型コロナ対策を打ち出した。 クラスター対策班とは、厚労省の新型コロナウイルス対策本部に属する総勢約30人の組織だ。「クラスター対策」とは、理論疫学を専門とする西浦博・北海道大学教授と専門家会議の委員でもある押谷・東北大学大学院教授が中心となって考案したものだ。 押谷氏が3月29日に発表した「COVID-19への対策の概念」によれば、クラスター対策とは、SARSや新型インフルエンザとは異なる、新型コロナウイルスの特性を考慮した対策である。 SARSや新型インフルではすべての感染者が重症化したため症例を把握しやすく、感染連鎖をたどって断ち切ることで封じ込めに成功した。しかし、新型コロナは多くの感染者が軽症か無症状なので、すべての感染連鎖を見つけだすことができない。 ただ、対策を検討する上で重要な特徴も分かってきていた。新型コロナは、多くの場合は周囲にほとんど感染させない一方で、特定の人から多くの人に感染が拡大していたのだ。つまり、「クラスター(感染者の集団)」を制御すれば、新型コロナは終息していくことになる。そこで「クラスター対策」を考えたのだという。 西浦氏は、クラスター対策の具体的な方策を論文として発表している・・・ただし、多くの国で採用されているSARSや新型インフルの対策に準じたコロナ対策とは異なる手法であり、クラスター対策はいまだ仮説の域を出ないというのが公平な見方だろう。 問題は、西浦氏が提案する「クラスター対策」という仮説を、専門家会議が批判的に検証できないことだ。西浦氏の専門は、個人ではなく集団を対象として病気の発生原因や流行状態、予防などを理論的に研究する「理論疫学」。そして、専門家会議のメンバーで「理論疫学者」は押谷氏と鈴木氏だが、2人とも西浦氏のクラスター対策に関する論文の共同執筆者として名を連ねている。クラスター対策を批判的に検証する立場にない。 その他は、脇田座長(C型肝炎)、尾身副座長(ポリオ)、岡部氏(小児科学)、河岡氏(エボラウイルス)、川名氏(呼吸器内科)、館田氏(微生物学)、吉田氏(感染症制御学)と、すべて「個人の予防と治療の専門家」の臨床医。「理論疫学」は専門ではないのだ。 そして、クラスター対策という仮説は専門家会議で承認された。安倍首相は、クラスター対策しか専門家会議から提案されなければ、それを認める以外の選択肢はない』、「クラスター対策はいまだ仮説の域を出ない」にも拘らず、「専門家会議のメンバー」には、「クラスター対策を批判的に検証」できる人間がいないというのは、空恐ろしいことだ。
・専門家会議メンバーではない西浦氏がコロナ対策「司令塔」のような振る舞い  それ以降、西浦氏は専門家会議のメンバーではないにもかかわらず、政府のコロナ対策の「司令塔」のような振る舞いをするようになった。4月7日、安倍首相は東京や大阪など7都府県に緊急事態宣言を発令した。その際、首相は感染者数について「このペースで感染拡大が続けば、2週間後には1万人、1カ月後には8万人を超えることになる」「人と人との接触機会を最低7割、極力8割削減することができれば、2週間後には感染者の増加をピークアウトさせ、減少に転じることができる」と述べた。これは、4月3日の日本経済新聞にも出た西浦氏の試算が基となっている・・・この試算は「西浦モデル」と呼ばれるようになった。そして4月10日、西浦氏に自信を与える出来事が起きた。「感染者(発症者)全員が等しく感染を広げるのではなく、クラスター化した感染が大規模感染をもたらす」というクラスター班の発見を、WHOが記者会見で称賛したのだ。 WHOは、大スポンサーである中国に「忖度」する行動を繰り返して新型コロナ感染拡大の事態を悪化させた。また、日本がWHOへの拠出金を増額することを表明すると、途端に日本の新型コロナ対応を称賛するようになった(第236回)。そんなカネに汚いWHOに称賛されても価値はなさそうだが、それでも「西浦モデル」に「権威」を与えることになった。 4月15日、西浦氏は記者会見を開き、まったく対策をとらない場合、国内の重篤患者が約85万人に達し、その49%(単純計算で41万人超)が死亡するという新たな試算を発表。あらためて、「接触8割減の徹底」を国民に求めた。 そして、その翌日の4月16日、安倍首相は、緊急事態宣言を全国に拡大する方針を明らかにした。西浦氏はその記者会見にも登場した。その後も西浦氏はSNSを使って、「三密(密閉、密集、密接)の回避」という国民の意識を変える啓蒙活動を続け、テレビ出演も頻繁に行っている。しかし、繰り返すが、西浦氏は専門家会議の委員ではないのだ』、「西浦氏」は確かに「テレビ出演も頻繁に行っている」が、「日本がWHOへの拠出金を増額することを表明すると、途端に日本の新型コロナ対応を称賛するようになった」、というのは初めて知って、驚いた。「接触8割減の徹底」も「西浦モデル」の試算値に過ぎないようだ。
・『緊急事態宣言の延長から一部解除の間にも検証なされず  その後、5月6日に安倍首相は、期限を迎えた緊急事態宣言を5月末まで延長すると発表した。新規感染者数は全国的に減ったものの、西浦氏は「収束のスピードが期待されたほどでなく、感染拡大で医療提供体制へのさらなる負荷が生じる恐れがある」と慎重だったため、専門家会議は首相に期限延長を進言した。 そして前述の通り、5月14日には安倍首相は緊急事態宣言について、39県で解除すると表明。解除しなかった都道府県についても、専門家の評価によって可能であれば5月31日を待つことなく解除する方針だ。 だが、「西浦モデル」については何も検証がなされていない。西浦氏が訴えた「人の接触を8割減らす」は達成できなかったのだが、新規感染者は減った。結局、「クラスター対策」という仮説は正しかったのか。何より、「死者41万人超」という試算の詳細な根拠はいまだに提示されないままなのだ』、「西浦氏は「収束のスピードが期待されたほどでなく・・・」、「期待」を明らかにしないで、こうした発言をするのは学者の風上にも置けないようだ。
・『自民党の厚労族議員が医療現場の声を官邸に上げない理由  「西浦モデル」に対する批判は、特に現場で新型コロナの治療に当たる臨床医から多く出てきている。例えば前出の上氏は、日本の新型コロナで問題なのは「院内感染」だが、「人との接触8割減の徹底」は、院内感染には効果がないと批判している・・・。 ある自民党の議員と医療関係者から聞いた話を総合すると、このような現場の声は医系技官がガードを固めた専門家会議には届かないが、自民党の厚労族議員などが受け止めているのだという。それでも、その声は自民党から首相官邸に届けられることはないようだ。今、新型コロナ対策について、首相官邸と自民党の間のコミュニケーションの場がほとんどないのだ。 現場の医師はSNSなどでさまざまなコミュニティーをつくって情報交換をし、現場の状況や要望を代表者がツテをたどって厚労族に伝えている。しかし、厚労族はほとんどそれを官邸に伝えず、抱えているのだという。 自民党には、全国の支持者から「現金給付を」「補償を」と、支援を求める声が凄まじい勢いで届いているという。しかし、自民党はそれらをダイレクトに首相官邸に持ち込んで訴えることはせず、党までで止めている。それは、現金給付の当初案に端的に表れている。最初に岸田文雄政調会長が取りまとめた現金給付案は、自民党支持者には届かない生活保護ギリギリの層に限定した30万円の給付だったからだ(第239回)。 自民党は、東日本大震災・福島第1原子力発電所事故が起きた際の当時の民主党政権を反面教師にしているようだ。民主党議員が支持者の声を官邸に次々と持ち込んで大混乱になったことを教訓にして、安倍首相が指導力を発揮しやすいように抑制的に行動しているのだという。特に、民主党政権時の災害・事故対応の拙さは、安倍首相が民主党政権を「悪夢」と呼ぶ理由の1つだ。つまり自民党は、安倍首相に「忖度」して、黙って我慢しているといえる。 そのストレスが爆発したのが、5月7日の自民党の「経済成長戦略本部・新型コロナウイルス関連肺炎対策本部の合同会議」だったのではないだろうか。同会議では多くの議員が殺到し、立ち見が出るほどの混雑となって「三密会議」と批判された』、「自民党は、安倍首相に「忖度」して、黙って我慢している」、いくら「民主党政権を反面教師にして」、とはいえお粗末過ぎる。
・『安倍政権のコロナ対策での迷走は森友・加計学園問題と根っこが同じ  自民党が安倍首相に「忖度」して、医療の現場や支持者の声を受け止めながら首相には伝えない。その一方で、首相官邸・内閣府にはさまざまなツテをたどって、数々の要望が伝えられている。この連載では、「森友学園問題」「加計学園問題」などに関係して、同様の問題を論じたことがある(第176回)。 コロナ対策も同じ構図だ。さまざまな人が官邸・内閣府にやって来ることと、「全校一斉休校」(第234回)「アベノマスク」(第237回)「9月入学(秋入学)の検討」(第241回)などが唐突に浮上し、決まっていくことと関連がないとはいえない。 また、専門家やメディアの間で激しい論争が続く、PCR検査を拡大するか抑制するかについても、安倍首相や加藤厚労相の発言が二転三転しているようにみえる。官邸・内閣府に「拡大派」と「抑制派」が入れ代わり立ち代わり現れて、首相や厚労省を前に自説を展開して帰っていくからだという。特に首相は「八方美人」的なところがある。面と向かって相手の言うことを否定はしない首相の性格が、政府の意思決定を混乱させている面がある』、いくら「首相は「八方美人」的なところがある」とはいっても、自分の発言がブレるのはお粗末過ぎる。
・『今度は「疫学vs経済学」の構図で専門性を欠いた迷走が続く可能性も  5月12日、政府は新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づき設置されている「基本的対処方針等諮問委員会」に、小林慶一郎・東京財団政策研究所研究主幹ら経済の専門家4人を加えることを決めた。専門家会議の上部の組織体に経済学者を加えたことで、西浦氏らの影響力が下がり、今後は疫学よりも経済が優先されるように潮目が変わるのだろう。 小林氏は早速、「コロナ対策で収入減少に直面した個人に毎月10万円の現金給付を行うべきだ」などと積極的に発言を始めている。ただし、「経済の停滞を避けるには、財政拡張政策を継続すると同時に、大規模な検査を実施できる能力を確立し、陽性者を隔離して陰性者の不安感を払しょくすることが不可欠である」と指摘したことは、小林氏の専門性とは無関係の発言だ。疫学と経済学の間で、今後も専門性を欠いた迷走が続く懸念がある。 日本の新型コロナウイルスの感染者数・死者数の少なさは、「日本の奇跡」「日本の謎」と世界から呼ばれている。韓国の防疫体制のように「世界のモデル」と称賛されることはない。どうひいき目に見ても、安倍政権の意思決定が混乱していたのは明らかだ。日本のコロナ対策は、たまたまうまくいった「結果オーライ」だとみなされているのだ。 本稿は、日本の政策決定システム、特に「有事」におけるシステムの問題点を詳述してきた。たとえコロナの感染者数、死者数が欧米より少なかったとしても、それがただの幸運ならば、これでいいのだと安心はできない。今後、エボラ出血熱のような強毒性のウイルスに襲われたとき、今のシステムではひとたまりもないだろう。政策決定システムの抜本的な見直しが必要といえる』、説得力溢れた主張で、諸手を挙げて賛成したい。

次に、5月19日付けプレジデント Digitalが掲載したフリーランスライターの三浦 愛美氏による「絶望…コロナ対応国民評価ランキング、安倍晋三がダントツ世界最下位に ついに無能さが数字になってバレた」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/35418
・『日本に漂う政治への不信感がデータとして表れた  「コロナで死ななくても、収入が絶たれて死ぬよ」 ポツリとそうつぶやく自営業の男性がTVに出ていた。同様の溜め息がいま日本全国に広がっている。4月7日発令の「緊急事態宣言」はさらに延長され、十分な補助や補償がないまま4月をなんとか耐え忍んだ中小企業や個人事業主、非正規雇用者などが、次々に廃業、解雇、雇い止めに追い込まれている。 中国が武漢のロックダウン(都市封鎖)を行ったのが今年の1月末。3月には欧州各国が相次いでロックダウンを実施し、同時に休業補償等も速やかに行うなか、日本では5月半ば現在、いまだ10万円の給付金はおろか、首相肝いりの「アベノマスク」2枚すら全国民の手元に届いていない。首相お気に入りのフレーズ「スピード感」は、いったいどれくらいの速度をイメージしているのだろうか。 そんな怒りとも嘆息ともつかない国民感情を反映する数値が、この度、海外の調査会社によって明らかになった。シンガポールの調査会社ブラックボックス・リサーチとフランスのメディア会社トルーナが、共同で行った意識調査だ。 両社による「自国のコロナ(COVID-19)対応への満足度」調査では、ほとんどの国が自国のコロナ対応に不満足を抱いていることがわかったが、なかでも注目すべきは日本の満足度のずば抜けた低さだった』、この「意識調査」は、昨日紹介した「マッキャン・ワールドグループ」による「世界14ヵ国を対象としたグローバルアンケート」とは、調査対象も含め全く別物だ。
・『国民による政権評価、日本はダントツ最下位  23の国と地域に住む約1万2600人(18~80歳)を対象に行われたこの調査の質問項目は全部で4つだ。「政治的リーダーシップ」「企業のリーダーシップ」「地域社会」「メディア」の4分野における世界の総合平均点は100点満点中、45点だった。それに対して日本の総合スコアは16点という驚異的な低さ。「政治的リーダーシップ」分野にいたっては、世界平均40点のところ、驚きの5点だった。見事な赤点ぶりというほかなく、当然のことながら順位は「政治リーダーシップ」でも総合でも、23カ国・地域の中でダントツの最下位だった。 以下、調査結果を詳しく見ていこう』、「日本は」「政治的リーダーシップ」で僅か「5点」、「総合」でも「16点」、と「ダントツ最下位」とはみっともない話だ。
・『西洋先進国よりアジアのほうが、満足度が高いワケ  ランキングのトップに輝いたのは、総合分野で85点を記録した中国だ。4つのカテゴリーすべてでもっとも国民の満足度が高い結果となった。2位はベトナム(77点)、3位はアラブ首長国連邦とインドが同じ59点と続く。 西洋諸国のなかで総合点が平均の45点を上回ったのは、ニュージーランド1国のみ。アメリカ・オーストラリア・イタリア・ドイツ・イギリス・フランスはすべて平均点以下で、特にフランスは西欧諸国内で最下位、23カ国・地域全体でも下から2番目の順位に甘んじることとなった。 さて、この結果をどう見るべきだろう。調査結果は「〈西洋圏〉のほうが〈アジア圏〉よりも自国満足度が低い傾向にある」ことを示している。その理由の一環としては、「アジア主要国は、過去に流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)やMERS(中東呼吸器症候群)などの経験があり、ふたたび同様の呼吸器系疾患が蔓延しても、自国政府は必要な手段を講じるはずだと信じているから」だと述べられている。 たしかにその点、幸運にも過去の新型コロナウイルスの影響を受けることがほどんどなかった日本やアメリカ、そして西欧諸国は、今回のパンデミックに対しても心の準備ができていなかったといえる。中国武漢で感染爆発したときも、どこか対岸の火事として眺めていた節がある。まさか“先進国”たるわが国の医療体制がここまで壊滅的打撃を受け、政治や経済が混乱することになるとは専門家以外は実感していなかったのだろう。 「フランス人の84%が、指導者のコロナ準備対応が遅すぎると感じており、日本の82%、アメリカの74%の国民も、同様の思いを抱いている」と調査報告は続ける』、「トップに輝いたのは・・・中国だ・・・2位はベトナム・・・3位はアラブ首長国連邦とインド」、というのは首を傾げざるを得ない。
・『中国の点数、異様に高いことが気になる  それにしても中国の点数が異様に高いことが気になる。ブラック・ボックスの創業者兼最高経営責任者のディビッド・ブラック氏は、中国に関してこのような指摘をしている。 「ほとんどの国が自国民の期待にうまく応えられていないなかで、唯一の例外は中国だ。それは世界がいまだコロナの感染爆発から抜け出せていないなか、中国だけがコロナを抑え、すでに次のフェーズへと歩みだしているからだ。中国政府はうまくこの危機を乗り切ったと国民が感じていることの証しである」。 たしかにこの調査が行われた時期が4月3日~19日だったことを考えると、その分析もうなずける。ただ、上位2カ国の中国とベトナムは、共に社会主義国家でもある。都市封鎖や行動制限の厳格さは、他の国々よりも徹底して行うことができたし、また言論の自由という意味でも、他国と単純に比較することができるかは不明な点も多い。 実はコロナウイルスが中国で蔓延しはじめた2月初め、私は中国人の知人に「マスクは足りているか」とSNSを通じてメッセージを送ったことがある。だが、普段ならすぐに返事が来るはずなのに今回はノーレスポンス。返事が来たのは2カ月後の4月1日だった。メッセージには「中国ではこの間、SNSが禁止されており返事ができなかった」とサラリと書かれてあった』、「言論の自由」がない国での「意識調査」にどれだけ意味があるのかは疑問だ。「中国」政府は「コロナ」抑制に成功したことを世界に大々的にPRしようとしており、この調査はその片棒を担いでいる可能性もある。
・『日本の国民は政治のリーダーシップに不満足  現在、中国はコロナウイルスが武漢発祥であることの打ち消しに躍起になっている。危機を乗り越え、他国を援助できる力強い国としてのイメージ戦略にも奔走していることなども、考慮に入れるべきだろう。 ただ、そういったことも、日本のランクが最下位であることの言い訳にはならない。「世界中の国民が自国リーダーの手腕に期待しているが、それに成功して50点以上を獲得できているのは7カ国のみ。ランキング最下位の日本の場合は、わずか国民の5%しか政治のリーダーシップに満足していない」(調査報告)からだ。 日本についての分析はさらにこう続く。「日本の低評価は、緊急事態宣言の発令が遅れたことや、国民が一貫して政権のコロナ対策を批判している現実とも合致している。明らかに日本国民は政治のリーダーシップに不満足であり、安倍政権はこのコロナ危機(という負荷の状態)において、(政治が正常に機能していないと見なされ)リーダーシップのストレステストに合格しなかったのだ」(ブラック氏)』、「日本」についての指摘はその通りだ。
・『安倍首相はリーダーシップを発揮できていないという実感  しかも、改めてよく考えてみよう。今回の調査対象にはイタリアやスペイン、フランスやアメリカなど感染爆発により医療崩壊を起こした国々も多く含まれているのだ。命の選別トリアージが行われ、死者が続々と一時遺体安置室と化した大型冷蔵車に運び込まれ、葬式も出せず埋葬されていく光景を、私達もTV画面を通じて痛ましい思いで眺めていたはずだ。 一方の日本はそこまでの惨状にはギリギリ至っていない。たしかに、いまだPCR検査数が他国に比べて圧倒的に少ないため、そもそもの感染者数が厳密には把握しきれていないという指摘もある。急激な体調悪化で救急車搬送されるも、何十軒もの病院に受け入れを拒否されたという人もいる。それでも5月12日時点の公式発表では、コロナ感染者数は1万6024人で、死亡者数は691人だ。誤差は存在していても、少なくともアメリカの感染者数130万人超え、死亡者数8万人超えの規模に比べたら雲泥の差だ』、確かに「日本」より深刻な「アメリカ」が13位というのは、意外にも思えるが、次にみるように「政治的リーダーシップ」の差なのかも知れない。
・『コロナ禍で明暗を分けたリーダーシップ像の違い  それでも、日本の国民は政権のリーダーシップに満足していない。ブラック氏は、「ほとんどの政権にとって今回のパンデミックは前例がなく、いまだ予期せぬ事態に振り回されている」とコメントしているが、日本の場合は、それ以前の問題かもしれないのだ。それはたとえば、首相自ら「PCR検査を1日に2万件に増やす」と宣言しておきながら1カ月後にも同じことを言っている現実や、「かつてない規模」の「あらゆる政策を総動員」した「大規模な対策」の結果が、まさかの「1世帯2枚の布マスク」であることの衝撃、しかも予算466億円を見積もって届いたマスクがカビだらけだったことの情けなさ、そもそもその予算や発注先も不明瞭な点が多々あることへの不信感など、国民の間に横たわる不安感や絶望感が影響しているのではないだろうか。 今回、西洋諸国でトップに立ったニュージーランドは、「感染拡大の抑え込みに成功し、ジャシンダ・アーダーン首相のリーダーシップは国民から高い評価を受けている」と、ブラック氏から評されている。 かの国の「政治的リーダーシップ」は67点。最下位の日本の5点とは比較にならないが、いったいその差はどこにあるのだろうか』、「政治的リーダーシップ」では、NZは当然として、アメリカでもニューヨーク州のクオモ知事の大活躍と比べ、日本の対応はお粗末だ。
・『SNSで国民に語りかけるNZ首相、一方日本は…  アーダーン首相は笑顔が魅力的な39歳の女性である。だが、美人であるだけではもちろんない。観光国にもかかわらず3月19日時点でいち早く外国人旅行者に対して国境封鎖を行うなど、大胆な決断力と行動力を持っている。その一方で、オフタイムにはスエット姿で自宅からSNSに登場し、気さくに国民からの質問に応える柔軟性も持つ。国民を「500万人のチーム」と呼び、メッセージの最後には必ず「強く、そしてお互いに優しく」と語りかける人間的な親しみやすさが伝わってくる。 翻って日本だ。幸か不幸か、自粛生活で日中にTVを観る人が増え、リアルタイムで国会中継を観る人が増えた。そこで私たちが目にしたのは、カンペがないと目が泳ぎ、事前報告がない国会答弁には、キレまくる首相の姿だった。しかも、コロナ危機という「緊急事態」の裏で、「検察庁法改正案」を押し通そうとする姿勢には、たった数日で400万件以上の「#検察庁法改正案に抗議します」ツイートが国民から発せられた。両者の差は歴然である』、同感だ。
・『自粛警察が続出する日本「地域社会」の点数も低い  もっとも「政治的リーダーシップ」以外の分野でも、日本の課題は多い。「コロナ危機において、企業はより積極的な役割を果たすべき」と考えている人は多く、調査対象の82%の人々が、少なくとも「上場企業は最低限の貢献を社会になすべき」だと感じているからだ。そうしてみると、日本の「企業リーダーシップ」が6点(世界平均28点)というのは、残念な数値だ。その他、「地域社会」が6点(世界平均37点)であることも、「自粛警察」が他者を批判する事例が続出する日本ならではの数値かもしれない。 ブラック・ボックスの調査報告の最後は、このように締めくくられている。 「パンデミックで私たちの世界観は劇的にシフトしていくでしょう。政府のあり方、ビジネス手法、健康医療分野においても。コロナウイルスは人類にとって最初で最後のパンデミックではなく、各国のトップは今後もさらなる政治の舵取りや危機インパクトを熟考していく必要があります」。それこそが国民の信頼の回復につながるとつづっているのだ。 図表1 コロナ対策の国民評価ランキング(総合順位)(リンク先6頁参照)』、「コロナウイルスは人類にとって最初で最後のパンデミックではなく、各国のトップは今後もさらなる政治の舵取りや危機インパクトを熟考していく必要があります」、というのも同感である。

第三に、5月21日付けJBPressが掲載した結城カオル氏による「緊急事態宣言と自粛経済の負の側面は正当化できない 政府のコロナ対応について国際政治学者の三浦瑠麗氏に聞く」を紹介しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/60609
・『安倍晋三首相は東京都や大阪府を除く39県で、新型コロナウイルス感染に伴う緊急事態宣言を解除すると表明した。大阪府、京都府、兵庫県の関西2府1県でも解除に向けて検討が進むなど、懸念された感染拡大は落ち着きつつある。他方、未曾有の緊急事態宣言と、それに伴う自粛要請は今なお経済に深刻なダメージを与えている。感染第一波に一区切りがつこうとしている今、緊急事態宣言という判断の是非について、国際政治学者の三浦瑠麗氏に話を聞いた(Qは聞き手の質問)』、保守派論客の「三浦瑠麗氏」がどうみているか、は興味深い。
・『「緊急事態宣言は不要だった」  Q:東京都の小池百合子知事は政府の緊急事態宣言が続く5月31日まで、都内の外出自粛や休業要請の解除や緩和を実施しない方針を示しています。三浦さんは最近、ツイッターで自粛経済を批判しています。緊急事態宣言とそれに伴う自粛経済についてお考えをお聞かせください。 三浦瑠麗氏(以下、三浦):私は緊急事態宣言は不要だったと考えています。日本は初期段階でコロナを警戒した人が多く、既に2月の段階で飲食店や宿泊施設などは打撃を受けていました。ダイヤモンドプリンセス号での集団感染が判明した1月下旬から客足が途絶えていたというお店もあります。このように経済的に自粛し始めていた段階で、あえて緊急事態宣言を発令する意味がどこまであったのかという疑問があるからです。 今回の緊急事態宣言には、医療体制を拡充させるまでの時間を稼ぐという面と、クラスター対策班がクラスターを追える規模まで感染者数を減らすといった目的がありました。前者の時間稼ぎという点は理解できますが、その際に重要な参考データとなるはずの東京都の重症患者の病床占拠率が間違っていたことがこのほど明らかになりました。緊急事態宣言延長直前に、専門家会議が医療リソースは引き続き逼迫しているという見解を表明しましたが、その基になった情報自体が部分的に不正確だったということです。後者はクラスター対策班の目的であって、それを実現した結果、何の役に立つのかということが明らかにされていません。 Q:クラスターを放置すると指数関数的に感染者数が増える、それゆえに感染者を追うという話でしたよね。 三浦:もちろん、水際対策としてクラスター対策班の存在は重要でした。とりわけ、感染初期のクラスター潰しには大きく貢献したと思います。「感染者の80%は人に感染させない」という知見が得られたのも、夜の街の接客業を介して感染が広がっていることを示したのも、その後の行動変容を設計できるという点で意義がありました。実態調査という意味では、とても重要だったと思います。 ただ、国の研究チームが4月に実施した新型コロナの抗体検査では、東京都内で0.6%が陽性と判定されました。検体数が少ない点を考慮に入れる必要がありますが、都の人口1400万人の0.6%ですから、単純計算で8万4000人が抗体を持っているということになります。報告感染者数の約5000人と比べてはるかに多い。それだけ、市中感染が進んでいるということです。東京大学の研究チームが実施した抗体検査でも同様の結果が出ています。 Q:既に、クラスター対策で追える規模ではありませんね。 三浦:全体の母数を探りたいのであれば、クラスター班で追跡するよりも、母集団から無作為に取った抗体検査の方が統計的には正しいですよね。 仮に新型コロナの致死率が高く、潜伏期間が長いということであれば、重症化した途端、死んでしまうリスクがありますので、感染者をすべて追いかける必要があります。しかし、先ほどの抗体検査の結果が正しければ、新型コロナウイルスの致死率は0.26%でインフルエンザの倍程度にとどまります。しかも、死亡者は「高齢」「男性」「持病持ち」に集中している。年間の肺炎の死亡者は約9万人。今年中に3600万人が新型コロナに感染しない限り、その数には到達しません。 Q:その中で、緊急事態宣言を続ける意味がどこにあるのか、と。 三浦:緊急事態宣言の負の要素として、失業者の増加や企業の損失、国内総生産(GDP)の減少が考えられます。傾向値に過ぎませんが、失業者が1%増加すると1000人以上の自殺者が増えるという統計もある。とりわけ今回の緊急事態宣言では、それまで健全に経営していた会社まで打撃を受けています。社会に対する破壊力は極めて広範に及ぶ。こういった負の側面を緊急事態宣言は正当化できるのでしょうか。私は正当化できないと考えています』、最後の部分は同感である。
・『「都知事が小池さんであることに強い不安」  Q:改正新型インフルエンザ等対策特別措置法では、外出自粛や休業要請は都道府県知事の権限です。自治体の対応はどう見ますか。 三浦:全国知事会の議論を見ていると、各知事は横を見て行動しているように感じます。選挙で選ばれた政治家なので仕方ありませんが、それぞれの自治体がライバル関係になっている。大阪府知事と兵庫県知事で自粛解除の独自基準を巡って対立したのは典型でしょう。 また、気になるのは地方自治体の対応の優劣が感染者数で計られているところです。本来は病床をどれだけ増やしたか、失業や倒産をどれだけ減らしたか、ということまで含めて実力が測られるべきです。休業要請は知事の権限ですが、その際に経済における指標は考慮されず、感染者数をゼロにすることが目標になってしまっている。それだと経済は死んでしまいます。感染者数ばかりがクローズアップされた弊害だと思います。 Q:日本経済の中心である東京都はいまだ外出自粛や休業要請を続けています。 三浦:日本の成長の大部分を担う東京都知事が小池(百合子)さんであることに、強い不安を感じています。 小池さんのこれまでの都政を見ても、築地市場の豊洲移転に疑義を呈することで人気を得ましたが、豊洲の状況は何も変わらないまま豊洲に移転しました。「安全だが安心ではない」といって豊洲移転を棚上げしましたが、移転したあとも安心の根拠は示されていません。 今回のコロナ対策でも非合理な対応が散見されます。日本商工会議所の三村明夫会頭とテレビ会議をしたとき、出社抑制のためにア行からナ行までの会社は午前中に出社し、それ以外の会社を午後の出社にしてはどうかと提案していました。三村会頭は「強制的にやるよりも、企業の工夫でできるような要請の方がいい」と冷静に返答していましたが、ちょっと常軌を逸しています。 Q:5月末で自粛要請は解除されますか? 三浦:それはするでしょう。重症者数の報告が間違っていた、十分に情報開示してこなかったという批判にも敏感になっているでしょうし、このままのペースが続けば、感染者数がゼロになってしまいますから。それをご自分の政治手腕の結果としてアピールしたいということだと思います。ただ、その発想自体が違いますよね。感染者数も重要かもしれませんが、それ以上にコロナによる死者数であり、失業者数でしょう。特に、経済への影響が相対的に軽視されている現状を考えれば、失業者を抑えることを目標にした方がいい』、「都知事が小池さんであることに強い不安」、これも同感である。
・『11カ月後に60万社が倒産危機  Q:ここまでの官邸の動きはいかがですか? 三浦:経済の司令
がいないということが問題です。西村康稔・経済再生担当大臣は感染症対策と経済対策の両方を見ています。それゆえに、経済を冷やすような発言をせざるを得ない場面があります。 また、官邸が考えている失業者や倒産の規模がまるで見えないのも問題だと思います。官邸はリーマンショック級の経済対策が必要と考えているかもしれませんが、それは規模感の落としどころであって、どれだけ経済が痛むのかというシミュレーションではありません。 4月25日放送のNHKスペシャルによれば、帝国データバンクはこのまま何もしなければ、11カ月後に60万社が倒産危機に陥るという試算を出しました。持続化給付金の効果は3カ月ほどで薄れ、そのあと何もせず売り上げ半減が続けばという話ですがたいへんな数です。また、日本商工会議所の三村会頭が明確におっしゃっていますが、第一次補正予算は4月の自粛に対応したものです。それ以上に自粛を続けたのですから、第二次補正予算は1カ月延長した5月分をカバーするところから始めるべきです。ただ、それ以前に第一補正予算の持続化給付金、雇用調整助成金の申請や支給にも時間がかかっています。 やはり早急に経済の司令塔を置き、経済への影響をシミュレーションするところから始めるべきだと思います。 Q:改めて、コロナについて。 三浦:緊急事態宣言を解除しても、企業が受けた打撃は容易には解消しないでしょう。人々の所得は減っており、健康に対する不安が根強く残っているからです。しかし、抗体検査が進んでいけば、致死率についてより正確な情報を共有できます。政治は、コロナの脅威の見積もりを現実に即したものに軌道修正していくことが必要でしょう』、「西村康稔・経済再生担当大臣は感染症対策と経済対策の両方を見ています。それゆえに、経済を冷やすような発言をせざるを得ない場面があります」、二律背反する問題を兼務させるのは、一概に悪いとはいえない。問題なのは「西村」や「安部首相」が二律背反する問題で、如何に意思決定したかを、分かり易く説明することをせすに、結論だけを押し付けてくることだ。
タグ:パンデミック 新型肺炎感染急拡大 ダイヤモンド・オンライン 「安倍政権のコロナ対策に募る不信、問題の本質が「専門家会議」である理由」 感染拡大はピークを過ぎたといっていい状況 (その13)(安倍政権のコロナ対策に募る不信 問題の本質が「専門家会議」である理由、絶望…コロナ対応国民評価ランキング 安倍晋三がダントツ世界最下位に ついに無能さが数字になってバレた、緊急事態宣言と自粛経済の負の側面は正当化できない 政府のコロナ対応について国際政治学者の三浦瑠麗氏に聞く) 上久保誠人 安倍政権の意思決定プロセスに問題 問題なのは「西村」や「安部首相」が二律背反する問題で、如何に意思決定したかを、分かり易く説明することをせすに、結論だけを押し付けてくることだ 11カ月後に60万社が倒産危機 「都知事が小池さんであることに強い不安」 「緊急事態宣言は不要だった」 「緊急事態宣言と自粛経済の負の側面は正当化できない 政府のコロナ対応について国際政治学者の三浦瑠麗氏に聞く」 結城カオル JBPRESS 自粛警察が続出する日本「地域社会」の点数も低い SNSで国民に語りかけるNZ首相、一方日本は コロナ禍で明暗を分けたリーダーシップ像の違い 安倍首相はリーダーシップを発揮できていないという実感 日本の国民は政治のリーダーシップに不満足 「中国」政府は「コロナ」抑制に成功したことを世界に大々的にPRしようとしており、この調査はその片棒を担いでいる可能性も 「言論の自由」がない国での「意識調査」にどれだけ意味があるのかは疑問 中国の点数、異様に高いことが気になる 西洋先進国よりアジアのほうが、満足度が高いワケ 国民による政権評価、日本はダントツ最下位 マッキャン・ワールドグループ」による「世界14ヵ国を対象としたグローバルアンケート」 シンガポールの調査会社ブラックボックス・リサーチとフランスのメディア会社トルーナが、共同で行った意識調査 「絶望…コロナ対応国民評価ランキング、安倍晋三がダントツ世界最下位に ついに無能さが数字になってバレた」 三浦 愛美 プレジデント Digital 今後、エボラ出血熱のような強毒性のウイルスに襲われたとき、今のシステムではひとたまりもないだろう。政策決定システムの抜本的な見直しが必要 経済の専門家4人を加える 基本的対処方針等諮問委員会 今度は「疫学vs経済学」の構図で専門性を欠いた迷走が続く可能性も 安倍政権のコロナ対策での迷走は森友・加計学園問題と根っこが同じ 自民党は、安倍首相に「忖度」して、黙って我慢している 自民党の厚労族議員が医療現場の声を官邸に上げない理由 西浦氏は「収束のスピードが期待されたほどでなく 緊急事態宣言の延長から一部解除の間にも検証なされず 専門家会議メンバーではない西浦氏がコロナ対策「司令塔」のような振る舞い 専門家会議が「クラスター対策」を批判的に検証できない構図が問題 上昌弘 医系技官は医師免許を持っているが、世界の最先端の議論を追う専門家ではないということだ。さらにいえば、専門家会議の重鎮たちも最先端の議論をフォローできていない、研究者として第一線を退いた人たちばかりだった コロナ対策の司令塔「専門家会議」は平時を想定して設置した? 省庁のポストには学会の推薦ではなく個人で応募する。そのため、学会に従順な専門家だけでなく、多様な学説を持つ専門家が政策立案に参画することになる。学説の間での「競争」が起こって政策案が磨かれ、政府の選択肢も増えることになる 欧米のこの「回転ドア」 官僚が強大な権力を行使できる審議会 専門家は「お墨付き」を与えるだけ 専門家会議 専門家が持論をメディアやSNSで発表し それに従うという構図に違和感や不満
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