SSブログ

小池都知事問題(その2)(「東京アラート」は一体何だったのか? 新規感染者40人超えも 発令基準を見直しへ、『女帝 小池百合子』著者に聞く 小池都知事に賛同できない理由、卒業証書を公開しても疑惑を払拭できない小池都知事 エジプト軍事政権に握られた都知事の生殺与奪、都知事選 「都債増発で公約実現」の落とし穴 東京都が「財政再生団体」に転落してしまう?) [国内政治]

小池都知事問題については、6月8日に取上げた。今日は、(その2)(「東京アラート」は一体何だったのか? 新規感染者40人超えも 発令基準を見直しへ、『女帝 小池百合子』著者に聞く 小池都知事に賛同できない理由、卒業証書を公開しても疑惑を払拭できない小池都知事 エジプト軍事政権に握られた都知事の生殺与奪、都知事選 「都債増発で公約実現」の落とし穴 東京都が「財政再生団体」に転落してしまう?)である。

先ずは、6月16日付けYahooニュースがHUFFPOST記事を転載した「「東京アラート」は一体何だったのか? 新規感染者40人超えも、発令基準を見直しへ」を紹介しよう。
https://news.yahoo.co.jp/articles/3deb060e2a95b65282959a909bc2e40d22b54152?page=1
・『都内の新型コロナウイルスの新規感染者が増えている。6月15日の都内の新規感染者は48人にのぼり、2日連続で40人を上回った。 東京都がアラートを出すか判断する3つの主な指標のうち、(1)新規陽性者数(1日20人未満)と(2)週単位の陽性者増加率(1未満)で数値を上回ったことになる。 東京都は6月11日に感染拡大への警戒を呼び掛ける「東京アラート」を解除し、12日午前0時からは各施設への休業要請を最終段階となる「ステップ3」に移行した。19日には全面的に休業要請が解除される見通しだ。 小池百合子都知事は6月15日に配信した動画の中で、新規感染者の増加について「いわゆる『夜の街』関連の方の割合が多い」として、「大幅な増加ではあるが、感染経路が追えない人が増えているわけではない」と指摘した。 『夜の街』での感染者が増加した理由についても、新宿区が接待を伴う飲食店事業者と連携し、陽性者が出た店の従業員全員にPCR検査を促す取り組みを始めたことで無症状の感染者を捕捉できたと評価。 「濃厚接触者の定義を広く捉えて早期に感染者を見つけることで、むしろ市中感染の広がりを防ぐ効果がある」と語った』、新規感染者はその後も増加、昨日には60人、今日も58人と高水準だ。明らかに(1)、(2)の条件を上回っているにも拘らず、「東京アラート」は発動されないままだ。
・『「東京アラート」基準を緩和へ  感染第2波の到来に備え、東京都は6月15日に専門家を交えたワーキングチームを発足した。 初会合では、(1)感染症への組織対応力の強化、(2)検査体制の拡充、(3)医療提供体制の拡充ーーなど、感染拡大を抑制しながら経済活動との両立を図るための対策を話し合った。 都によると、検査や医療提供能力を拡充していく中で、「東京アラート」発動や休業再要請の判断材料となる「モニタリング指標」についても、基準を見直すべきではないかという提案があったという。 小池氏は動画の中で「今日は取り組みの前提となるモニタリングの今後のあり方について議論していただいた」と報告。 担当者によると、新宿区のような集団検査で捕捉した陽性者の捉え方などについて検討を進めるといい、基準が緩和される見通しとなる。都の公式サイトでは、6月15日時点の新規陽性者の人数が「28人」と、すでに集団検査による判明分(20人)をのぞいた数字が掲載されている。 小池知事は「議論の内容を踏まえ、感染状況の把握・分析、検査・医療体制の拡充など、感染症の全般にわたる多面的な検討を進める」と述べ、6月中にそれぞれの方針をまとめるとしている』、大阪の吉村知事の真似をしただけで、早くも「東京アラート」の見直しとは節操がない。
・『都知事選対策? 現場は「思いは同じ」  <都知事選とコロナ対策のスケジュール(太字は新型コロナ対策)> 6月2日  東京アラート発動  6月11日 東京アラート解除  6月12日 都知事選に出馬表明、ステップ3に移行  6月18日 都知事選告示  6月19日 休業要請の全面解除  6月中  モニタリング指標、検査体制、医療体制などの第2波対策の方針まとめ  7月5日  都知事選投開票  「東京アラート」が初めて出されたのは6月2日夜。「発令基準を上回っているのになぜ出ないのか」と疑問視する声が上がる中、新たに34人の感染者が判明し、発令された。  一方、解除まではわずか10日間。しかも、解除の翌日に都知事選への出馬表明というタイミングだった。新規感染者が増えている中でも、休業要請を告示日翌日に全面解除する方針も変わっていない。このことから、ネットでは都知事選対策ではないかと意義を疑問視する声もある。 ただ、担当者は「現場としてはスピード感を持って進めたいという思いは同じ。スケジュール的にはハードだが、医療体制が落ち着いている今のうちに今後の対策を進めたい」と語っている』、要は「都知事選」を控えての目立つためのパフォーマンスだけだったようだ。

次に、6月18日付けダイヤモンド・オンライン「『女帝 小池百合子』著者に聞く、小池都知事に賛同できない理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/240531
・『7月5日投開票の東京都知事選に再選出馬を表明した小池百合子氏。その半生に迫った『女帝 小池百合子』(文藝春秋)が5月28日に発売され、15万部のベストセラーとなった(6月11日現在)。「これまでの女性たちの苦難の道の末に咲かせた花であるとして、受けとり、喜ぶことが、できない」――。小池氏についてこのように書いた、著者であるノンフィクション作家の石井妙子氏に話を聞いた』、興味深そうだ。
・『政治家を“演じている”小池氏に当初は興味なし カイロ時代の生真面目な同居人が抱えていた秘密(Qは聞き手の質問、Aは石井氏の回答)  Q:小池百合子氏についてこうした著書を書こうと考えたきっかけを教えてください。 A:最初は小池氏にはさほど関心がありませんでした。文藝春秋の編集者の方から執筆依頼があったのですが、小池氏は特に実現しようとしている政策もなく、いわば“空っぽ”。政治家というよりも、政治家を演じている人物だと考えていたので、本にはならないのではないかと思っていました。 小池氏が初当選した2016年の都知事選でも、彼女は情熱的な言葉を使って聴衆をあおっている割には、目が笑っていない。言葉と感情が比例しないというか、どこかひんやりしたものを感じ、それが気になりました。それでも、彼女について積極的に書きたいとは思いませんでした。 ただ、彼女がキャスターから政治家に転じ、東京都知事に上り詰めた平成という30年間を、小池氏という人物を通じて描けるのではないか。小池氏という政治家をここまで押し上げたのは、小池氏自身の罪なのか、この時代の私たちの罪なのか? そういう視点でなら本にできるという感じはしていました。 Q:月刊誌に小池氏の生い立ちを記す中で、エジプト・カイロ時代に小池氏と同居していた早川玲子(仮名)さんという女性から連絡を受け、彼女が保管していた膨大な記録や証言を取材することができたのですね。 A:早川さんはとても生真面目で優しい方です。小池氏よりも10歳ほど年上で、カイロに来た当時、20歳ほどだった小池氏にとっては姉のような存在でした。小池氏は1976年10月に当時のサダト・エジプト大統領夫人の訪日に同行し、日本に一時帰国した際、日本のメディアの取材を受けて、「日本人で2人目、女性では初めてカイロ大学を卒業した」と自己紹介しました。 小池氏は、エジプトに戻ってからそのように書かれた日本の新聞記事を早川さんにうれしそうに見せています。早川さんは当時を振り返り、「そんな嘘をついてはいけないと、小池氏にもっと注意を与えておけばよかった」と後悔の念を私に語ってくれました』、「政治家を“演じている”小池氏」、とは言い得て妙だ。
・『アラブ最高峰のカイロ大は留年も当たり前 腐敗、日本政府の援助を見据えた思惑も  早川さんはこうした小池氏とのカイロでのやり取りを、自身の母への相当量の手紙で克明に記しており、取材時にはそこから記憶を想起してもらって話を聞きました。小池氏が後半生に日本で大臣、そして東京都知事となったことに恐怖心を感じておられました。そんな小池氏の秘密を自分だけが知っているという不安に加え、エジプトは軍事独裁国家であり、小池氏とアラブ世界とのパイプを考えれば、命を狙われるリスクもゼロではないと考えていたからです。 ただ早川さんには、小池氏を憎いと思う気持ちはなく、経歴を詐称したことが憎いので、これを償ってほしいと考えていると話しておられましたね。 Q:早川さんの証言によると、カイロ時代の小池氏は遊びやアルバイトに熱心で、アラビア語の読み書きは超初歩レベルと、とても熱心に勉強をしていたふうではない。にもかかわらず日本ではカイロ大学“首席卒業”と自称してキャリアを積んできました。今年6月8日には在日エジプト大使館がカイロ大学長の声明として、小池氏がカイロ大を卒業したのは事実だとする声明を出しました。 そもそもカイロ大はアラブ世界の最高峰の大学であり、卒業するのは非常に難しい。4人に1人は卒業できないと当の小池氏自身が過去に語っています。アラビア語のネイティブでない日本人であれば、死に物狂いで勉強しても、留年を繰り返して何年もかけて卒業するのがやっとで、できない人もたくさんいます。まじめに勉強していなかった小池氏が首席で、4年で卒業できたとは考えられません。 小池氏は、父の勇二郎氏と、エジプトの副大統領などを務めたアブドゥル・カーデル・ハーテム氏とのコネによってカイロ大の2年生に編入できたようですが、進級できず落第し、卒業はできなかった。 ではなぜ、カイロ大があのような声明を出したのか。エジプト社会は腐敗が多く、いわばその人の社会的地位に合わせて恩恵が受けられる国です。またエジプト政府は日本から多額のODA(政府開発援助)を受けており、日本政府や小池氏とのパイプを政府も重視していることでしょう。現在の小池氏の地位や権力を考えれば、カイロ大は小池氏が卒業生であることをむしろ利用したい、という思惑があるのではないでしょうか』、「コネによってカイロ大の2年生に編入できたようですが、進級できず落第し、卒業はできなかった」が、「カイロ大は小池氏が卒業生であることをむしろ利用したい」、というのが真相なのだろう。
・『莫大な借金、顔のあざに苦しんだ少女時代の小池氏 “下”に落ちる恐怖が過度な上昇志向を形成  Q:著書では小池氏の学歴詐称疑惑に限らず、幼少時代から今に至るまでの彼女の振る舞いを、徹底した関係者への取材によって明らかにしています。特にカイロに渡る前の兵庫県芦屋市時代、顔のあざに悩んだり、父親の勇二郎氏の事業や政治活動の失敗で莫大な借金を抱えたりするなど、彼女の経験には同情を覚えます。 小池氏の実家は芦屋市にありましたが、高級住宅街のイメージから連想されるような裕福な家庭ではありませんでした。経済的に不安定な幼少時代からの環境は、社会の上へ上へと常にはい上がらないと、下に落ちてしまうという恐怖感を彼女に植え付けたことでしょう。組織の上層部にいる有力者とだけつながって世渡りをするという小池氏の手法は、父親譲りといえます。 また勇二郎氏の見栄もあって、地元の名門女子高である甲南女子中学・高校に通いましたが、周囲は本当の富裕層の子女たち。劣等感を抱いたことで、いつか強者になって人を見下したい、だから権力が必要だと考えるようになったのだと思います。今の彼女に権力があるからこそカイロ大の声明が出るわけですからね。 Q:カイロから帰国後はテレビの世界で活躍。やがて新党ブームに乗って日本新党の参議院議員となり、衆議院にくら替えして、その後は自民党へ。2003年には小泉純一郎内閣で環境大臣として入閣を果たします。「クールビズ」を流行させるなど環境大臣の経験は、やたらと「エコ」をアピールする彼女の大きな売りになっています。しかし当時、水俣病患者やアスベスト被害者に対して実に冷酷な対応をしていますね。 水俣病関西訴訟で04年に最高裁判所が国の責任を認めましたが、環境大臣として認定基準の見直しには踏み込みませんでした。05年にはアスベストの被害が明らかになりましたが、尾辻秀久厚生労働大臣(当時)と異なって真摯に解決策を示さず、被害者団体とのやり取りでは強い怒りを買いました。 これには二つの面があると思います。一つには、自民党の保守政治家として、「女性政治家だから社会的弱者に優しい」と周囲の男性政治家や世間から見られることを避けたかったのではないか。イギリスのサッチャー元首相が、弱者切り捨てともいわれる市場原理主義的な経済政策を導入したり、フォークランド戦争を始めたりするなど、女性であるがゆえにそう見られまいと“女性らしくない”政策に傾いたのと似ています。 当時、女性議員は旧社会党出身者が多く、小池氏は土井たか子氏にとても批判的でした。こうした女性議員たちと自身を差別化する意図もあったのでしょう』、「経済的に不安定な幼少時代からの環境は、社会の上へ上へと常にはい上がらないと、下に落ちてしまうという恐怖感を彼女に植え付けたことでしょう。組織の上層部にいる有力者とだけつながって世渡りをするという小池氏の手法は、父親譲り」、「環境大臣・・・当時、水俣病患者やアスベスト被害者に対して実に冷酷な対応」、利用できる機会は最大限利用するが、そうでないものには冷淡なようだ。
・『助けを求める人々を足蹴にしたくなる心理 “芦屋令嬢”を演出しても出てしまう地金  二つ目は、彼女自身が苦労してはい上がる人生を歩んできたため、立場の弱い人から頼られると、手を差し伸べるよりも、むしろ足蹴にしたくなるのではないか。芥川龍之介の小説「蜘蛛の糸」のように、下から糸につかまろうとする人を振り払おうとする心理に駆られるのではないでしょうか。 Q:阪神・淡路大震災の被災者の訪問を受けた際に、指にマニキュアを塗りながら応対し「塗り終わったから帰ってくれます?」と言い放つエピソードも出てきます。私も小池氏本人に16年11月にインタビューした際、iPadを操作しながら目を合わせることなく生返事を続けられたことがあるので、こうした言動は十分に想像できます。小池氏のそんな一面はあまりメディアで取り上げられませんね。 小池氏はテレビカメラが回っているなど公の場所と、そうでない場所での振る舞いが大きく違います。北朝鮮による拉致被害者の家族の記者会見に付き添った際など、自分がいかにも良心がある人物であるかのように振る舞うことはとても上手です。 記者会見でも「○○と存じます」などと丁寧さをやたら強調した言葉遣いをします。“芦屋令嬢”的なイメージを意識しているのでしょう。しかし、いざ自分に不利な質問が出ると、手元の資料を束ねて机にたたきつけてバンバン音を立てるなど、途端に豹変する。“地金”が出てしまうのです。 小池氏の周辺を取材して感じたのは、本人は学ぶ力、思考力が乏しいのに、複雑な物事をさも十分に理解しているように自分を見せる力だけは抜群に高いことです。多くの人々は小池氏のそうした虚像だけを見ているわけで、それが怖い。 小池氏が07年にわずか55日間、防衛大臣を務めた際の事務次官だった守屋武昌氏は、私の取材に「小池氏は防衛政策を理解していないのに、記者会見では、さも中身を理解しているように話す。鋭い質問には論点をそらした上で、さも堂々と答えていた。中身を学んでくれればとレクチャーの時間を取ろうとしても、雑誌のグラビア撮影やテレビの取材を優先するので時間を取れなかった」と話していました。 Q:とりわけ防衛大臣ともなれば、それは極めて危険ですね』、「テレビカメラが回っているなど公の場所と、そうでない場所での振る舞いが大きく違います」、さすがニュースキャスター上がりだ。「防衛政策を理解していないのに、記者会見では、さも中身を理解しているように話す。鋭い質問には論点をそらした上で、さも堂々と答えていた・・・レクチャーの時間を取ろうとしても、雑誌のグラビア撮影やテレビの取材を優先するので時間を取れなかった」、「防衛大臣」としては確かに「危険」だ。
・『新型コロナの危機下でけん玉、かるた、こんまり… 不幸な少女時代が生み出す、すぐにバレる嘘  また小池さんは、いわゆる“マスコミ受け”する言葉や施策を打ち出すことにかけても天才的です。3月以降、新型コロナウイルスでの対応で医療の現場が危機的な状況下にあっても、彼女が記者会見で紹介したのは、「コロナかるた」、けん玉、そして近藤麻理恵さんの片づけ動画でした。派手な柄のマスクを話題にしようとするなど、すぐに目くらましをする。 早川さんに言わせれば、例えばカイロ大学卒業の件でも、小池氏には嘘をついているつもりはない。目の前の相手が振り向いてくれるよう、相手の喜ぶことを口にしてしまう性格だというのです。カイロ大“首席卒業”も、当時の日本人男性記者が喜んで記事にしてくれると考え話を作ってしまったのでしょう。今もマスコミに対して同じことをやっている。 一方で、小池氏の嘘はすぐにバレるような甘いものが多い。カイロ滞在時をつづった著書『振り袖、ピラミッドを登る』でも、1年留年しているのに4年で卒業したと書いたことなど、調べればすぐに矛盾に気づくようなエピソードがたくさん出てきます。 そういう意味では、彼女はカイロにいたころから今まで何も変わっていない。彼女自身の特異なキャラクターよりも、そんな彼女をここまで押し上げた社会の在り方こそ問題ではないかと思います。環境大臣時代に水俣病やアスベストが問題化していた時期であるのに、小池氏がぶち上げたのはクールビズでした。公害問題で地道な成果を上げることよりも、マスコミや社会はクールビズに飛びついてしまったわけです。これは私たち社会の責任でもあります。 都庁で行われる小池氏の記者会見を動画でよく見ますが、彼女のくだらない冗談に、前の方に座っている民放キー局の女性記者たちが、大げさに受けたり、うんうん、うんうんと必死でうなずいて見せている。私は密かに「うなずき娘」と呼んでいるのですが(笑)、記者たちが権力者に迎合しすぎています。 小池氏に気に入られたいという気持ちはわからなくはありません。でも、若くても大手メディアの記者には、特権的な立場が与えられているのですから、自らの役割を自覚して、もっと毅然としていてほしいです。そもそも環境大臣時代の彼女の振る舞いをメディアが詰め切れていれば、今ごろ東京都知事にはなっていなかったかもしれません』、「小池劇場」と名付けて持ち上げたメディアの責任も重大だ。
・『調べるほど女性代表には見えなくなった小池氏 踏みつけられた女性にこそ見出した尊敬の念  Q:著書の終盤で石井さんは「(小池氏を)これまでの女性たちの苦難の道の末に咲かせた花であるとして、受けとり、喜ぶことが、できない」と書いています。 A:今回の著書は小池氏の“批判本”と呼ばれますが、私はむしろ、小池氏を生み出したこの社会の流れ、在り様にこそ関心がありました。 そもそも私は、もっと女性の政治家が増えるべきだと思っていますし、決定権を持つべき立場に就く女性が増えれば、世の中をいい方向に変えることができると考えています。その趣旨からいえば、常に女性初といわれてさまざまなポジションに就いてきた小池氏を理屈の上では応援すべきなのですが…。でも私にはどうしても、彼女を女性の代表として見ることができないのです。 小池氏について調べれば調べるほど、彼女を女性たちの苦難の歴史の果てに咲いた花、成果であるとして見ることができなくなりました。 小池氏は、私がこれまで評伝で取り上げてきたどの女性たちとも違います。今回の取材でも、私は尊敬したくなる素敵な女性たちとたくさん出会うことができました。カイロで小池氏と同居していた早川さんがそうですし、「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会」副会長の古川和子さん、築地市場の移転に反対していた「築地女将さん会」の方々などです。市井にはこんなにも優れた女性たちがいるのだと感激しました。でも、そうした女性たちが小池氏によって踏みつけられていったわけです。 一方で、自分のことしか考えていない小池氏という人間が、ひたすら階段を上って「女性初」として社会の称賛を浴びていく。どうして彼女に出世の階段を上らせてしまったのか。社会を見渡せば“ミニ百合子”のような女性はたくさんいます。そのような人が出世してしまうという社会でいいのか。地道に努力している女性が踏みつけられていいのか、考えさせられました。 とはいえ、小池氏を現在の地位から引きずりおろしたいと考えて作品を書いたわけではありません。しかし、早川さんら、これが女性のすごさだと思わせてくれるような市井の女性たちに出会い、その正義感に触れ、小池氏よりも、そうした女性たちに私の心情が傾いたことは事実です。 歴代内閣における女性閣僚の多くがそうですが、どうしても男性側がピックアップして選ぶ。彼女たちは高い地位にいる男性によって選ばれた女性であって、女性たちの塊の中から上へと押し上げられた人材ではありません。 男性側も、女だから大臣にはしてやるが、総理大臣なんてとんでもないというのが前提で、女性閣僚はあくまでもアクセサリーのような存在です。また最近の女性政治家を見ていると、有能で素敵な私を見てほしいという、自分の虚栄心を満足させたいという思いから政界進出するタイプが多いように見えます。 小池氏を、ドイツのアンゲラ・メルケル首相、台湾の蔡英文総統と同列に並べ、コロナ対策で成功したのは女性リーダーだったと論じた記事も目にしましたが、果たしてそうでしょうか。日本では残念ながら女性側の人材の裾野の小ささもあり、メルケル氏や蔡氏のような、能力があって実務ができ、真摯な言葉で人を感動させることができる女性リーダーがなかなか出てきません。日本でも早く出てきてほしいと思います』、「彼女たちは高い地位にいる男性によって選ばれた女性であって、女性たちの塊の中から上へと押し上げられた人材ではありません」、その通りだが、後者は少なくとも政治の世界では出現しそうもないようだ。

第三に、6月18日付けJBPressが掲載した作家の黒木 亮氏による「卒業証書を公開しても疑惑を払拭できない小池都知事 エジプト軍事政権に握られた都知事の生殺与奪」を紹介しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/60947
・『小池百合子東京都知事が15日、カイロ大学の卒業証書と卒業証明書の現物を記者会見で公開した。その際、「(卒業証書類などを)何度も公開してきた」と述べたが、これはいつもの詭弁である。小池氏は28年前に国会議員になったが、関係者が検証できる形で公開したのはこれが初めてだ。 12日の都知事選への出馬表明の会見では、「卒業云々についてはですね、すでに何度も私自身が、カイロ大学が認めているということを申し上げて参りました。今日も一部のメディアで、原本そのもの、かつて公表しておりますので、それを載せて掲載しているところがございました。あのう、すでに公表もしているということでございますので、必要な条件、要件等々を検討しながら進めていきたいと思っております」と答え、公開に後ろ向きだった。小池氏は、都議会でも再三にわたって公開を拒否してきたが、ここに来て急遽公開したのは、このままでは乗り切れないと思ったのだろう。 長期にわたって公開を拒んできたのは、正規のルートで卒業していないので、自分が持っている卒業証書類が本物かどうか、自信が持てなかったからだと筆者は推測している。正規のルートで堂々と卒業したという自信があるなら、すでに50回でも100回でも公開してきたはずだ。筆者が記事などで「卒業証書のほうは、要件をいくつか欠いており、さらに疑わしい。裏面も見る必要がある」などと指摘してきたので、”お友達”のカイロ大学日本語学科長に相談しながら、これなら何とか乗り切れると思って公開に踏み切ったのではないか』、「黒木氏」は6月8日付けのブログでも紹介しているが、鋭く論理的な指摘はさすがである。
・『異なるロゴ  では、今回公開した卒業証書類はどんなものだったのか? 最初に指摘したいのは、小池氏が今回公開した卒業証書が本物であるなら、自著『振り袖、ピラミッドを登る』(1982年)の扉に使われた卒業証書は偽物ということになる。両者のロゴが明らかに違っているからだ(文春オンライン「小池百合子都知事のカイロ大学「卒業証書」画像を徹底検証する」https://bunshun.jp/articles/-/7792)。 石井妙子氏は『女帝 小池百合子』の中で、小池氏は、タレント時代に手に入れた卒業証書は作りが杜撰だったため、本の扉では、アラブの民族衣装姿の自分の写真とコラージュして隠し、その後、今回公開した卒業証書を手に入れたのではないかと推測している。 今回公開された卒業証書は、1978年11月に作成されたと書かれているが、エジプト外務省の認証もなく、収入印紙も貼られていないため、本当にその頃作成されたものか確認のしようがなく、石井氏の推測を否定できない。 エジプトの国立大学の卒業証書が海外で有効なものとして通用するためには、エジプト外務省の認証が必要である。下の画像は、(小池氏が卒業したと称している)1976年のカイロ大学文学部の卒業証書の下部である。左の四角の中の黒っぽい文字は「48213番の最終署名が真正なものであることを証する」というエジプト外務省のスタンプで、担当職員のサインと日付がある。外務省の認証の日付、貼られている印紙の種類や額などから、この卒業証書が当時作成されたことが確認できる。しかし、小池氏の卒業証書にはこれらがない。 また小池氏の卒業証書のアミード(学部長か学生部長)のサインが、この年度の卒業証書のアミードのサインと異なっている点も、小池氏の卒業証書が本当に1978年11月に作成されたものかどうか疑問を抱かせる(学長のサインは同じだが、これはスタンプだと思われる)。 さらに卒業年が1976年となっているが、『振り袖、ピラミッドを登る』の中で、「1年目に落第した」と明記しており、それなら卒業は早くても1977年以降でなくてはならないのは、すでに指摘したとおりだ。 『振り袖、ピラミッドを登る』の偽造私文書行使の公訴時効は過ぎているが、どういうことなのか、上記の点を含め、是非小池氏に説明を聞いてみたい。 卒業証明書のほうは、左下のスタンプの鷲のマークと上部にある「カイロ大学」という文字は読めるが、スタンプの下部にある部署名が判読不能である。またそれにくっ付くようにして逆さに押されているスタンプは「クッリーヤ(学部)」の文字は読めるが、何学部かは判読不能である。この点は、2人のエジプト人に見せたが、やはり「読めない」との回答だった。小池氏に関わる敬称・動詞・形容詞・人称代名詞がすべて男性形で書かれているのは従来から指摘している通りだ。学部長のサインもこの年度の文学部の卒業証明書にあるサインと異なっている。これらについても、小池氏は説明する必要があるだろう。 さらに卒業したことをより積極的に証明できるはずの成績表をいまだに公開していないのも不思議である。 小池氏は、清水の舞台から飛び降りる気持ちで卒業証書類を公開したようだが、それらの真贋や有効性にはなお数多くの疑問が残る』、確かに「疑問」点だらけのようだ。
・『学業実体の有無という別の問題  従来から、小池氏の学歴詐称疑惑には2つの問題があることを指摘してきた。1つは偽造私文書行使の疑いで、これは前記の通り時効とは言え、『振り袖、ピラミッドを登る』の扉に使用した卒業証書は特にその疑いが強い。 2つの目の問題は、公職選挙法の虚偽事項公表罪の疑いだ。いくらカイロ大学が卒業を認め、卒業証書類を持っていたとしても、学業の実体がなければ、学歴とは認められない。エジプトではカネやコネでいくらでも学位や卒業証書類を手に入れられる。小池氏は父親をつうじて、ハーテム副首相とのコネも持っていた。 この点に関しては『女帝 小池百合子』に、小池氏はカイロ大学を卒業していないという、カイロ時代の同居人女性の証言が59ページにわたって詳述されている。論旨は一貫しており、物的証拠もある。小池氏はこれに対し、反論も釈明もしていない。 また、(1)あったはずの卒論をなかったと言う嘘、(2)「首席で卒業した」「トップの成績と言われた」、「1年目で落第したが4年で卒業した」、「1971年(存在しない)カイロ・アメリカ大学・東洋学科入学(翌年終了)」、「何度も卒業証書を公開した」(都議会答弁)、「卒業証書類を、複数のアラブの専門家が判読し、本物と認めた」(同)等々、卒業や証書に関する多くの嘘、(3)「とてもよい面会」を「とても美味しい面会」と言い間違える「お使い」レベルのアラビア語、などを考慮すれば、学業実体があったと信じるのは困難である。 小池氏はこれらの疑問点に関して、ダンマリを決め込んでいる。都知事選に出馬するなら、物的証拠にもとづき、自らの口で説明すべきだろう。ダンマリを決め込んでいる限り、疑惑が晴れることはない。今回、卒業証書類を公開したが、小池氏がやっていることは「卒業証書も卒業証明書もある。カイロ大学も卒業を認めている」というこれまでの態度と何も変わっていない。頑なに説明を回避しようする姿勢は異様である』、「いくらカイロ大学が卒業を認め、卒業証書類を持っていたとしても、学業の実体がなければ、学歴とは認められない」、その通りだ。
・『エジプトの軍事政権に政治生命を握られた小池氏  カイロ大学は、6月8日に突如、小池氏の卒業を認める声明を出した。これをどう解釈すべきかは「偽造私文書行使で刑事告発までされた小池都知事」に書いた通りだ。(参考記事)偽造私文書行使で刑事告発までされた小池都知事 https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/60873  カイロ大学の声明には2つの嘘が含まれており、端的に言うと、脆弱な自国経済を支えるODA獲得を至上命題とするエジプト政府の意向に沿うためのものだ。文面やタイミングから考えて、これは小池氏のアリバイ工作であると筆者は考えている。 前都知事の舛添要一氏は、一連のツイッターで次のように指摘している。 「(カイロ大は卒業証書や卒業に至る経過、成績表は公開しておらず)先進国の大学なら、全ての記録を保管し公表できる。声明など出すこと自体が政治的で胡散臭い。日本からの援助を期待する外国政府まで使う。立候補前の政治工作だろう」 「私はパリ大学とジュネーブ大学に籍を置いたが、大学が声明まで出してそれを追認することはない。出すなら声明ではなく当時のデータだ。データ抜きなら政治的都合で何とでも言える。エジプトという専制国家ならではの腐敗の極みだ。証拠も出さずに○○が卒業生だと声明を出す先進国の大学は絶対にない」 「かつて小池都知事から私が聞いたのはカイロ大学『首席卒業は、学生が一人しかいなかったから』という話だ。私は、外国人学生専用のコースかと思った(私が留学したフランスでは外国人専用の博士号コースがあった)が、『学生一人』すら嘘だったようだ」(筆者注・当時のカイロ大学文学部社会学科には約150人が在籍していた) また池田信夫氏(経済学者、アゴラ研究所代表取締役所長)はJBpressの「小池百合子氏とカイロ大学の深い闇」で、この問題を取り上げ、見解を述べている。「一卒業生について大学が声明を出すのは異常であり、先進国では考えられない」「むしろこれで明らかになったのは、小池氏の学歴を証明する証拠はカイロ大学に存在しないということだ。卒業生名簿に小池氏の名前があれば、こんな声明を出す必要はなく、そのコピーを出せばいい。卒業証書を発行した記録を出してもいい」「エジプト大使館が都議会の日程を把握しているはずがないので、これは小池氏が自民党の(小池氏に卒業証書類の提出を求める)決議案を封じるためにエジプト大使館に頼んだものと思われるが、政府の声明はそう簡単に出せるものではない。大使館がそれに応じたのはなぜだろうか。(中略)その理由は、逆にカイロ大学が『あの卒業証書は大学の発行したものではない』と認めたらどうなるかを考えればわかる。その瞬間に小池氏の選挙違反が決まり、当選無効になる。小池氏の学歴を証明するものはカイロ大学の声明以外に何もないので、彼女の運命はエジプト政府に握られているのだ」 (参考記事)小池百合子氏とカイロ大学の深い闇https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/60888  またカイロ大学文学部で学んだ経験があり、『カイロ大学“闘争と平和”の混沌』という著書もあるジャーナリストの浅川芳裕氏はJBpressの「カイロ大『小池氏は卒業生』声明の正しい読み解き方」で、次のように指摘している。「(小池氏が)カイロ大学を掌握する権力者に頼み込み、入学した行為が尋常ではないのは確かです。カイロ大学の声明でわざわざ『正規の手続き』と強調している点、また大学の公式サイトではなく、大使館という外交ルートを通じて声明を発表している点も尋常ではありません」「(エジプトの政府系新聞アハラーム紙の)記事を深読みすれば、都知事にまで出世した小池氏に対し、彼女を育てたハーテム氏、つまりはエジプト軍閥国家への恩を忘れるなよ(さもなければ真相をばらすぞ)、という脅迫じみたメッセージと解釈することも可能です」「学歴詐称の疑惑の先にある、真の問題は、今回の声明への見返りが何かということです。小池氏はこれまでハーテム人脈の権力構造により、特別待遇を受けてきた。その恩に加え、小池氏は、学歴詐称疑惑の渦中で迎える都知事選の直前、エジプトの軍閥から助け舟を出された格好です。(中略)これは、日本の国益にとって、より本質的な問題といえます」(参考記事)カイロ大「小池氏は卒業生」声明の正しい読み解き方 https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/60884)  元週刊朝日編集長の山口一臣氏も、ツイートで懸念を表明している。「エジプトに限らず、アメリカやヨーロッパ各国はもちろん、中国や北朝鮮、ロシアといった国を含めて外国政府が言うことを疑いなく信じることは危険です。中国は尖閣諸島は中国古来の領土と言ってますが、信じますか? ロシアは、北朝鮮は、韓国は……。日本だって国益のためにウソくらいつきますよ」「最大の問題は(小池氏が)外国政府の強い支配下にあるということでしょう。カイロ大学に声明を出してもらったことで、以後、彼女の生殺与奪権は軍閥独裁のエジプト政府が握りました。目先の批判をかわすために、国を売ったのと同然です」』、「先進国の大学なら、全ての記録を保管し公表できる。声明など出すこと自体が政治的で胡散臭い。日本からの援助を期待する外国政府まで使う。立候補前の政治工作だろう」、との「舛添要一氏」の指摘は正論だ。「最大の問題は(小池氏が)外国政府の強い支配下にあるということでしょう。カイロ大学に声明を出してもらったことで、以後、彼女の生殺与奪権は軍閥独裁のエジプト政府が握りました。目先の批判をかわすために、国を売ったのと同然です」、との「山口一臣氏」の指摘は極めて重大な告発だ。
・『なぜ小池氏の学歴詐称疑惑が問題なのか?  小池氏の学歴詐称問題に関し、なぜ学歴ばかりを追及するのか、他にもっと大事なことがあるではないかという声も聞く。それはもっともで、筆者自身も、政治家の能力と学歴はあまり関係がないと思っている。しかし、学歴詐称は犯罪であり、看過ごしてよい問題ではない。日本に限らず、それが原因で辞任した政治家や政府高官も少なくない。ところが日本のメディアは、アラビア語ができ、エジプト事情に詳しい人材が少なく、元々政治権力に立ち向かう姿勢にも乏しい。そのため、本件が重大な問題であるにもかかわらず、きちんとした報道がなされていない。一方、欧米では、嘘は厳しく断罪され、小池氏のようなケースをメディアが見過ごすことはあり得ない。 筆者は、アラビア語を学び、エジプトの大学(カイロ・アメリカン大学というカイロ大学とはまったく別の米系の私立大学)を卒業した者の責務として、疑惑解明に取り組むことにした。英国に住んでいるので、エジプトまでのフライトは5時間ほどという地の利もある。 小池氏が都知事に相応しいかどうかは、4年間の都政の実績の評価、公約の達成度合い、人間性など、色々な面を検討して判断されるべきであるのは当然だ。しかし、それらは筆者でなくてもできることなので、他の人々にしっかりやってもらいたいと思っている。筆者の本業は小説執筆で、こうしたことに割ける時間は限られている。そのため学歴詐称疑惑に絞って調査・執筆をしている。 ただ、2年間にわたる本件の調査を通じて見えてきた小池氏の人間像は、石井妙子氏が『女帝 小池百合子』にあますところなく書いたとおり、政治家としての適性を著しく欠いているように思われる』、全く同感である。「2年間にわたる本件の調査」とは頭が下がる。

第四に、6月29日付け東洋経済オンラインが掲載した慶應義塾大学 経済学部教授の土居 丈朗氏による「都知事選、「都債増発で公約実現」の落とし穴 東京都が「財政再生団体」に転落してしまう?」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/359133
・『7月5日に投開票される東京都知事選では、都政のあり方をめぐり論戦が繰り広げられている。その中で、東京都の借金である都債も1つの焦点となっている。 新型コロナウイルス対策として、東京都は緊急事態措置を発して多くの業種や施設に休業要請を行った。要請に応じた事業者などには協力金を給付し、重症患者を受け入れるべく病床の確保など医療提供体制を拡充した』、小池知事は気前のいいことを言っているが、「東京都」のフトコロ具合も気になるところだ。
・『都債の増発余地はあるのか  東京都は、2020年度に入って1兆円を超える予算を増額して、コロナ対策のために支出できるようにした。ただ、その財源の工面は容易ではなく、東京都が積み立てていた財政調整基金を取り崩して捻出し、その残高は約9350億円から493億円まで大幅に減少した。今後、2020年度の税収が予算の見込みより減少すれば、都債の追加発行は不可避となる。 都知事選では、新規の施策のため15兆円もの都債増発が必要な公約を掲げている候補者もいる。こんな状況で、東京都は都債を増発できるのだろうか。 都知事の意思決定次第では、意外と増発できる可能性がある。地方自治体が地方債を発行するには、地方債協議制度に則った手続きを取らなければならない。都道府県と政令指定都市は総務大臣、市区町村は都道府県知事の同意を得なければならないが、2016年度以降、一定基準以上に財政状況がよい(実質公債費比率が18%未満の)自治体は、民間金融機関から借りる形で地方債を発行する場合に限り、届出だけで地方債を発行できるようになった。 ただ、一定基準以上に財政状況がよい自治体でも、国(財政投融資)からお金を借りる場合には、届出でなく同意が必要で、同意が得られれば、民間金融機関から借りるより長期・低利で借りられる。 東京都は、実質公債費比率(標準的な状態で経常的に得られる税収に対する実質的な公債費の割合)は近年1.5%前後で、都債の大半を民間金融機関から借りている。しかも、その大半を市場で公募する形で発行している。したがって、国から同意を得なければ都債が発行できないという立場ではない。 財政投融資は民間金融機関より長期・低利な上、将来の元利返済を国が地方交付税で面倒を見てくれる恩典まで付いている。 しかし、東京都は1954年度の制度創設以来、地方交付税(厳密にいうとそのうちの普通交付税)を一度も国から受け取っていない。地方交付税の分配額の計算上、税収が多い自治体には普通交付税が配られないからであり、そんな恩典があっても東京都には何のメリットもない。 極言すれば、国の同意なく、東京都は独自に都債を発行できる。そして、これまでの都債発行の実績を見て、民間金融機関も安心して都の起債に応じている』、「財政調整基金を取り崩して捻出し、その残高は約9350億円から493億円まで大幅に減少」、ずいぶん思い切って取り崩したものだ。「国の同意なく、東京都は独自に都債を発行できる」、メリットを享受してきたようだ。
・『赤字地方債の発行は「例外中の例外」  ただ、東京都も発行した都債の使途は限定されている。地方財政法第5条は、地方債発行で得た財源の使途を限定している。簡単にいえば、国の建設国債と似て、公共事業等に充てなければならない。地方債の使途は、国債より厳格である。 国は建設国債だけでは財源が不足するため、公共事業等に充てる金額を上回る国債を増発するために、赤字国債を発行している。しかし、赤字地方債の発行は例外中の例外だ。過疎部の事業や地方交付税が予定ほど受け取れなかった場合などに限られる。 赤字地方債の代名詞となっている臨時財政対策債は、地方交付税が配られる自治体だけが発行でき、東京都は発行できない。税収が見込みより減った場合には「減収補填債」という赤字地方債が発行できるが、それはあくまでも減収を埋め合わせるもので、それを新規施策に充てることはできない。 それでも「抜け道」はある。それは、地方債充当率という考え方に基づく。地方債充当率とは、地方債の使途となる対象事業ごとに、その事業費の何%まで地方債発行で得た収入を充ててよいかをあらかじめ総務省が示したものだ。それは建設国債の考え方と異なる。 建設国債は、国の公共事業費相当額までなら満額を発行できる。しかし、地方債は対象事業でも地方債充当率で定められた比率までしか発行できない。 しかし、東京都の一般会計(2020年度当初予算)で、歳出総額に対する都債収入の割合は2.8%である。ちなみに、公共事業費に相当する投資的経費は歳出総額の14.3%である。対象事業について75%~90%ほどある地方債充当率からして、対象事業で都債を増発できる余地がまだあるといえる。現都政は都債発行を抑制しようとしており、地方債充当率に達するまで目いっぱい都債を発行していないというわけだ。 となると、地方債の使途として認められている対象事業に充てる名目で都債を発行しつつ、当初その事業に充てようとしていた税財源を付け替えて、給付金など地方債の使途として認められない新規事業の財源に回せば、都債を追加発行して新規事業を事実上実施できることになる』、なるほど上手い手だ。
・『都債増発に立ちはだかる壁  だが、都債増発に立ちはだかる壁がある。1つは民間金融機関である。前述の通り、都債の大半は民間金融機関が引き受けている。しかもその多くは公募発行である。 公募発行は、定期的に定まった金額をコンスタントに発行することで、安定的な起債が可能となる。巨額の都債を突然増発して、民間金融機関に都債の消化を無理に押し付けるわけにはいかない。消化が滞れば、これまで築き上げてきた証券市場での銘柄と安定的に起債できるという地位を失ってしまう。増発するとしても、民間金融機関が納得できるような形で起債しないといけない。 さらに、都議会である。都債を増発するにせよ、予算案は都議会での議決を要する。新しい都知事も、都議会の意向を無視できない。都議会で過半数の賛成を得なければ、都政は運営できない。 しかし、国と違って地方自治体の首長の権限は強い。そこが、議院内閣制ではなく二元代表制であることの特徴の1つだろう。予算や条例について、知事は「専決処分」を行うことができる。専決処分とは、議会の議決を経なければならない案件について、地方自治法の規定に基づき、議会が議決する前に首長が処理することである。予算や条例について、緊急を要するなど条件を満たせば、議会の議決がなくても決済できるのだ。 小池百合子都知事も、新型コロナウイルス感染症対策として2020年度補正予算や感染症対策条例などを専決処分している。もちろん、多くの自治体でも専決処分はしばしば用いられている。 過去に専決処分を乱用した首長がいたこともあって、事後的に議会に承認を経ることになっている。条例や予算に関する専決処分は、議会で不承認とされた場合には、首長は必要と認める措置を講じるとともに議会に報告することが義務づけられた。それでも、その専決処分が違法でなければ、議会で不承認となっても効力は失われない。 つまり、都知事は都債を大量に増発する予算案を都議会が否決しそうなら専決処分をし、民間金融機関に消化を協力してもらえば、新規施策が実行できるということになる。ちなみに、小池都知事の専決処分はほどなく都議会で承認されている』、「都知事」の権限はやはり大きいようだ。
・『「財政再生団体」転落の可能性  このように考えると、都知事は何でも可能なように見える。だが、5~10年後に都債を償還するときに落とし穴が待ち受けている。都債といえども償還期限は5~10年。民間金融機関もそれより長い満期には付き合えない。償還期限が到来すると、完済しないまでも相当程度を返済するため、償還の財源が必要になる。その額が兆円単位となると、東京都は「財政再生団体」に転落するかもしれない。 東京都の一般会計は、2020年度当初予算で歳出総額が7.4兆円、税収が5.4兆円。地方財政健全化法に基づき、実質赤字比率が約8.5%を超えると、都道府県は財政再生団体、つまり北海道夕張市と同じ状態になる。 実質赤字額が約3000億円を超えると、東京都は財政再生団体に転落する。リーマンショックが起きた2008年度に5.3兆円あった税収が2009年度には4.3兆円へ、たった1年で1兆円も減るような東京都の税収構造である。兆円単位の借金返済を強いられる年に、税収減に直面すればひとたまりもない。 財政再生団体になれば、予算などについて国の指図を受けなければならず、独自の行政サービスはほぼ不可能になる。その前に、実質赤字比率が2.5%を超えると、都債は総務相の許可を受けなければ発行できなくなる。 今の東京都の健全財政路線は、1998年度に実質赤字が1000億円に達し、財政再建団体(当時)に転落しかけたため、それを避けようとする努力から始まった。任期が4年の都知事が、償還期限が5年を超える都債を大量に発行して、その返済時にはその座にいないようなことにならないよう、議論が必要だろう』、「たった1年で1兆円も減るような東京都の税収構造」、法人税の比重が大きいので、不安定にならざるを得ない。「兆円単位の借金返済を強いられる年に、税収減に直面すればひとたまりもない」、確かに盤石ではないようだ。「1998年度」は青島幸男知事の末期で、ありそうな話だ。
タグ:ダイヤモンド・オンライン 赤字地方債の発行は「例外中の例外」 国の同意なく、東京都は独自に都債を発行できる 「『女帝 小池百合子』著者に聞く、小池都知事に賛同できない理由」 『女帝 小池百合子』(文藝春秋) 石井妙子 政治家を“演じている”小池氏に当初は興味なし カイロ時代の生真面目な同居人が抱えていた秘密 先進国の大学なら、全ての記録を保管し公表できる。声明など出すこと自体が政治的で胡散臭い。日本からの援助を期待する外国政府まで使う。立候補前の政治工作だろう 最大の問題は(小池氏が)外国政府の強い支配下にあるということでしょう。カイロ大学に声明を出してもらったことで、以後、彼女の生殺与奪権は軍閥独裁のエジプト政府が握りました。目先の批判をかわすために、国を売ったのと同然です なぜ小池氏の学歴詐称疑惑が問題なのか? 東洋経済オンライン 土居 丈朗 「都知事選、「都債増発で公約実現」の落とし穴 東京都が「財政再生団体」に転落してしまう?」 都債増発に立ちはだかる壁 都債の増発余地はあるのか 財政調整基金を取り崩して捻出し、その残高は約9350億円から493億円まで大幅に減少 民間金融機関が納得できるような形で起債しないといけない 「財政再生団体」転落の可能性 たった1年で1兆円も減るような東京都の税収構造 兆円単位の借金返済を強いられる年に、税収減に直面すればひとたまりもない 小池都知事問題 (その2)(「東京アラート」は一体何だったのか? 新規感染者40人超えも 発令基準を見直しへ、『女帝 小池百合子』著者に聞く 小池都知事に賛同できない理由、卒業証書を公開しても疑惑を払拭できない小池都知事 エジプト軍事政権に握られた都知事の生殺与奪、都知事選 「都債増発で公約実現」の落とし穴 東京都が「財政再生団体」に転落してしまう?) アラブ最高峰のカイロ大は留年も当たり前 腐敗、日本政府の援助を見据えた思惑も コネによってカイロ大の2年生に編入できたようですが、進級できず落第し、卒業はできなかった カイロ大は小池氏が卒業生であることをむしろ利用したい 莫大な借金、顔のあざに苦しんだ少女時代の小池氏 “下”に落ちる恐怖が過度な上昇志向を形成 「クールビズ」を流行 yahooニュース HUFFPOST 経済的に不安定な幼少時代からの環境は、社会の上へ上へと常にはい上がらないと、下に落ちてしまうという恐怖感を彼女に植え付けたことでしょう。組織の上層部にいる有力者とだけつながって世渡りをするという小池氏の手法は、父親譲り 環境大臣 当時、水俣病患者やアスベスト被害者に対して実に冷酷な対応 「「東京アラート」は一体何だったのか? 新規感染者40人超えも、発令基準を見直しへ」 「東京アラート」基準を緩和へ 異なるロゴ 学業実体の有無という別の問題 いくらカイロ大学が卒業を認め、卒業証書類を持っていたとしても、学業の実体がなければ、学歴とは認められない エジプトの軍事政権に政治生命を握られた小池氏 助けを求める人々を足蹴にしたくなる心理 “芦屋令嬢”を演出しても出てしまう地金 「卒業証書を公開しても疑惑を払拭できない小池都知事 エジプト軍事政権に握られた都知事の生殺与奪」 防衛政策を理解していないのに、記者会見では、さも中身を理解しているように話す。鋭い質問には論点をそらした上で、さも堂々と答えていた レクチャーの時間を取ろうとしても、雑誌のグラビア撮影やテレビの取材を優先するので時間を取れなかった 新型コロナの危機下でけん玉、かるた、こんまり… 調べるほど女性代表には見えなくなった小池氏 踏みつけられた女性にこそ見出した尊敬の念 彼女たちは高い地位にいる男性によって選ばれた女性であって、女性たちの塊の中から上へと押し上げられた人材ではありません JBPRESS 黒木 亮 大阪の吉村知事の真似をしただけで、早くも「東京アラート」の見直しとは節操がない 都知事選対策? 現場は「思いは同じ」
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。