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パンデミック(医学的視点)(その15)(コロナの届け出「ファックスで保健所に提出」がやめられない理由 この機会に明らかにすべき本当の問題、《東京都公表のデータでは全体像が見えない》“世界一安心な都市”になるために必要な2つのこと WHO事務局長上級顧問が提言「五輪開催の最低条件」、新型コロナ 日本で重症化率・死亡率が低いワケ 高橋泰教授が「感染7段階モデル」で見える化) [国内政治]

パンデミック(医学的視点)については、6月24日に取上げた。今日は、(その15)(コロナの届け出「ファックスで保健所に提出」がやめられない理由 この機会に明らかにすべき本当の問題、《東京都公表のデータでは全体像が見えない》“世界一安心な都市”になるために必要な2つのこと WHO事務局長上級顧問が提言「五輪開催の最低条件」、新型コロナ 日本で重症化率・死亡率が低いワケ 高橋泰教授が「感染7段階モデル」で見える化)である。

先ずは、6月29日付け現代ビジネスが掲載した北見工業大学教授の奥村 貴史氏による「コロナの届け出「ファックスで保健所に提出」がやめられない理由 この機会に明らかにすべき本当の問題」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/73632
・『国民を驚かせた「いまだにファックス」  「令和の時代にファックスだって…?」 新型コロナウイルス感染症の患者を診察した際、医療機関は保健所に患者の発生を届け出なければならない。医師は、その届けを「手書きの書類をファックスする」という方法で提出していると言えば、驚かれる方が多いかもしれない。 実際、4月末にはその煩雑さを嘆く医師の声が大臣の目に留まり、ウェブ化が進められる運びとなったとの海外報道までなされた。たしかに、このネット時代に書類をファックスするという業界の後進性には、多くの方が驚かれるだろう。 だが実は、この発生届は、性急にウェブ化すべきでない。誤解を恐れずに言えば、ファックスでの報告が「現段階では」望ましいのである。 前回の寄稿において、私は新型コロナ対策を支える最前線である保健所の苦境について記したが、その後、4月に入って各地で保健所がパンク状態であることを伝える報道が多数なされた。そのなかには、保健所にファックスされる発生届を、保健師がパソコン入力する煩雑さを伝えるものも含まれていた。 にもかかわらず、なぜファックスでの報告が現段階では望ましいのか。今回は、公衆衛生分野の情報化に関わってきた立場から、普段日の当たることのない公衆衛生行政の情報化が抱える問題という観点から解説したい。 いっけん非効率な患者発生届の運用には、一般には知られることのない公衆衛生行政内部の話が多く関わる。シンプルに言えば、この問題は日本の感染症対策の体制に由来しており、「患者発生届だけ」をウェブ化しても問題は解決しない。それどころか、この部分だけをウェブ化することで全体ではより効率が下がってしまう懸念もある。この問題は、短期的に予算を掛けても一朝一夕には解決しない。 以下では、その背景を、「アカウント管理の問題」、「医師側の問題」、「保健所側の問題」、「施設間連携の問題」、「検体管理の問題」の5点に分けて解説したい』、「公衆衛生分野の情報化に関わってきた」筆者の見解とは、興味深そうだ。
・『アカウント管理の問題  まず、医師の患者発生報告をオンライン化するとして、そもそも(提出者が本当にしかるべき人物であるかという)「認証」をどうするかという問題がある。要するに、医師に「アカウントとパスワードをどう配るか」という問題である。 もともと、医師をオンライン上で認証するために、保健医療福祉分野公開鍵基盤(HPKI)という仕組みが整備されてきた。しかし、この方法は現時点で普及しているとは言い難い。今回、オンライン報告を希望する医師にアカウントを配ってしまうのも手だが、医師はとりわけ「気難しい顧客」で、一般的な情報システムと比べて、ユーザーサポート体制を充実させる必要がある。そうした体制を短期間に立ち上げるためには、相応のコストが掛かる。 仮にコストをかけて体制を作り、アカウントを配布したとしよう。しかし、単一疾患(今回の場合は新型コロナウイルス感染症)の患者報告にしか利用できないアカウントは非効率である。そもそも医療機関と公衆衛生行政の間には、感染症発生届に限らずさまざまな情報共有上の課題がある。そうした論点を整理しないまま、既存の政策との整合性が取れない施策を進めるのは問題の解決を遅らせる』、確かに部分的にシステム化するより全体を踏まえて解決すべきだ。
・『医師側の問題  仮に認証の問題が解決し、これで希望する医師によるウェブ報告可能となったとする。しかし、それで医師の負担が下がるかどうかは、医師個人や施設毎の差が大きい。 そもそも医療機関では、個人情報の保護のため、患者情報の入った情報システムは基本的にインターネットに接続しないことになっている。ネットに接続した少数の閲覧用端末は外来や病棟にあるだろうが、電子カルテから患者の氏名や住所等の情報を持ってくることができなければ、「二重入力」が生じる。 電子カルテをネット接続できるよう改造するのは極めて高コストであり、短期間にできるものではない』、「個人情報の保護のため、患者情報の入った情報システムは基本的にインターネットに接続しないことになっている」、クラウド化した「情報システム」に切り替えるのも一案だ。
・『保健所側の問題  さて、病院などの検査機関から保健所に届けが提出されると、保健所はその情報を自治体本庁や国と共有していくことになる。この保健所から国へと情報共有がなされる過程も問題となる。 そもそも、感染症対策には地方自治体に相応の裁量があり、各都道府県や政令指定都市は独自の感染症対応体制を有している。 前述の通り保健所は、入手した検体(分かりやすく言えば、患者から採取した鼻水など)を検査施設に送り、検査結果を行政機関内部で情報共有している。その仕組みは、新型コロナウイルス感染症のためだけのものでなく、さまざまな感染症への対策のために日常的に運用されている。 仮にもし、ここに新たな新型コロナ用のシステムが導入されるとどうなるか。たとえ病院からの報告がデジタル化しても、すでに業務効率化のため独自の感染症情報システムを導入している大規模自治体においては、自治体側システムと新型コロナ用システムとが相互接続されていない限り、保健所側で入力負担が生じることになる。 独自の情報システムを有していない自治体であっても、他の日常的な感染症対応フローと新型コロナのフロー、2つの業務フローが並立してしまう。これは、パンデミック対応に追われる保健所にとって余分な負担となる。 さらに、国はもともと、国と地方自治体との間で感染症情報を共有するためのシステムを運用してきた。今回、国と自治体の間では発生件数などの情報を共有するための新型コロナシステムが整備されたが、新型コロナシステムと国側システムへの二重報告を課すのはさすがに非合理であるため、新型コロナシステムを利用する際には国側システムへの入力は免除されるようである。 しかし、仮に病院と公衆衛生行政をつなぐシステムが導入された場合、病院から保健所へと報告されていた患者の発生連絡は、新型コロナ感染症についてのみ国システムを用いて保健所へ連絡されることになり手間が増しうる。パンデミック発生後に保健所の負担軽減のために専用システムを導入した一部の自治体にとっては、さらにメリットは乏しくなるだろう』、「国と地方自治体との間で感染症情報を共有するためのシステム」と「一部の自治体」の「専用システム」がバラバラに混在しているのも、不効率の極みだ。
・『施設間連携の問題  問題はまだ続く。法律的に届出義務が課されている感染症については、患者発生に際して医療機関は保健所に適切な連絡をしなければならない。しかし、届け出た後、患者が軽快したのか重症化したのか、という経過情報については、効率的な情報集約手段が存在しなかった。 もし、多大なコストを掛けて新たな情報システムを導入するのであれば、単なる発生届の受け付けだけでなく、こうした経過情報を含む効率的な収集が望まれる。そのためには、重症化によって転院する運びとなった際、医師間で患者情報を引き継いで報告できるような仕組みも求められる。また、患者からの直接報告も有用であろう。このように有益な情報を得ようとすればするほど、システムの肥大化は避けられない。 肥大化したシステムの開発には時間がかかり、自治体、保健所、医療機関での調整・導入コストが増すことになる。しかし、パンデミックにおいては、一般的に、患者数が増すにつれ全症例の詳細情報を収集する意義は薄れていく。患者の発生が始まり、現場の混乱と負担が増す時期に、タイムリーに負担の軽減策を投入する必要があった』、「有益な情報を得ようとすればするほど、システムの肥大化は避けられない」、全体システムと個別システムの切り分けの問題なのだろう。いずれにしろ、これから作るのであれば、「タイムリーに負担の軽減策を投入する必要があった」、というのは意味がない。
・『検体管理の問題  最後に、患者検体の管理に関わる問題がある。患者から得られる検体は、さまざまな検査施設に送られうる。それぞれの検体には、採取した患者の情報、検体がどこに送られているかという移動情報に加えて、その検体の検査結果に関する情報が生じる。そのうえで、検査の結果を効率的に臨床側(病院側)に伝える必要がある。 今まで自治体は、それぞれが独立してこの検体情報を管理してきた。この検体情報を全国的に統一して管理する基盤は存在しなかったため、全国で何件検査が行われ、何件陽性が出たかという最低限の管理をするためだけに、全国的な情報集約に相当な手作業が介在することになっていたわけだ。 ひとつの検体が、精度管理のために複数の検査機関に送られるケースもあるため、管理の手間はさらに複雑となる。医師側からみると患者発生届に意識が向くが、情報システムは、この検体と検査結果情報を全国レベルで管理する手法にこそ価値を発揮する。 システムを整備する場合には、このように、地方自治体を含む公衆衛生行政の情報管理と合致する必要があり、それができなければ、コロナ禍が去った後にそのシステムの扱いに難しさが残る』、新たな「情報システム」は国が主体的に作ってゆくべきだ。
・『ウェブ化だけでは解決しない  医療機関からの報告をウェブ化することそのものは、技術的には容易な話である。しかし、医療機関側から見えないところに、感染症対策におけるさまざまな業務が存在する。患者発生届は、そうした公衆衛生活動における情報のやり取りの一部に過ぎない。 仮にこの発生届をウェブ化するとしよう。しかし、その結果、保健所側での業務が増す懸念がある。導入には解決すべき様々な課題があり、実際、迅速な投入を行うことはできなかった。そして、効率的な統計取得に至るまでに相当な作業を要しながらも、公衆衛生に存在する情報共有上の根本的な問題解決には繋がらない。本稿では割愛したが、情報セキュリティ上のリスクも孕んでいる。 ここで根本に立ち返りたい。出来る限り短期間に、どうすれば医療機関と保健所双方の負担を下げることができたか。患者発生届に限定して述べれば、まずは煩雑な患者発生届を必要最小限のものへと簡素化し、保健所側でOCR処理(手書き等の文字を自動的に読み取り処理する技術)すれば良かったものと考えられる』、「患者発生届に限定」に関しては、その通りだろう。
・『性急な情報化は、事態を悪化させる  このようにパンデミックの国内発生早期に患者情報の効率的な集約に困難が生じることは、感染症危機管理業界では既知であった。というのも、2009年の新型インフルエンザパンデミックにおいて、同じ問題が生じていたからである。2003年に生じたSARS(重症急性呼吸器症候群)においても、同様であったと伝え聞いている。 そこで、来るべき「有事」に向けて解決のためのシミュレーションが繰り返し試みられ、簡素な仕組みによりまずは関係機関間の情報共有に要する現場負担を下げることが求められると認識されていた。 行政機関においては、地道で解決に時間を要する問題に予算はつき難く、社会の耳目を集める問題には予算がつきやすい。その結果、今までも、何らかの問題が発覚するたびに、発生した問題へと過剰に特化した対策が導入されがちであった。 しかし、そうして導入されたシステムには柔軟性がなく業務に合致しない等の問題が生じうる。そのため、しばらく後に利用率の低さを問題視され、廃止されるような事態が繰り返されてきた。その愚を繰り返してはならない。 医療機関と公衆衛生行政の間における情報共有には、感染症の患者発生届を含めてさまざまな非効率が存在する。医療現場と公衆衛生行政双方の負担を軽減していくために、この非効率は解消されるべきである。そのためには、時間にも予算にも人材にも限りがある以上、即効性のある短期的な負担軽減策と、根本的な課題の整理に基づく中長期的な対策とをバランス良く実施していく必要がある。 ウェブでの報告を望む医療機関にとっては、ウェブからの報告窓口が存在していても良い。しかし、それは問題の根本的な解決とはならない。「ファックスは後進的だ」と前提した拙速な対策は、「ウェブ化により問題が解決した」という歪んだ認知を通じて公衆衛生行政に存在するさまざまな問題の解決をむしろ遠ざける可能性がある。この一件は、冷静な検証と客観的な報道を通じて、今まで発言権を与えられて来なかった医療機関と公衆衛生行政双方の現場の声を政策へと届ける契機となることが望ましい』、現段階では、「即効性のある短期的な負担軽減策」よりも、「根本的な課題の整理に基づく中長期的な対策」を重視、かつ部分最適化ではなく全体最適化を目指して、国が主体的に進めてゆくべきだろう。

次に、7月6日付け文春オンラインが掲載したWHO事務局長上級顧問、英国キングス・カレッジ・ロンドン教授の渋谷 健司氏による「《東京都公表のデータでは全体像が見えない》“世界一安心な都市”になるために必要な2つのこと WHO事務局長上級顧問が提言「五輪開催の最低条件」」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/38846
・『東京では歓楽街を中心に感染者数が増えており、100人を超える日が続いている。6月19日の休業要請解除からちょうど2週間であり、現在の感染者数はその頃の状況が反映されている。自粛の解除に伴うある程度の再燃は予想されたことであり、今後とも報告感染者数は増えることが予想されるが、今のところ本格的な第2波の到来とは言えないであろう。 しかし、予断は許さない。過度な悲観論で国民経済を混乱させることは避けるべきであるが、油断して少しでも対応が遅れれば、新型コロナの被害が大きくなることは欧米の例を見れば明らかだ。7月4日には小池百合子都知事は都外への移動自粛を要請し、緊張感が高まってきている。 緊急事態宣言等で抑えた第1波の再燃にどう対応していくのかという点は、日本だけでなく、世界の国々が共通して頭を悩ます課題となっている』、世界的な権威の見方とは興味深そうだ。
・『世界的に感染は勢いを増している  第1波を抑え、ロックダウンや緊急事態宣言を解除したアジアや欧州の各国では、経済活動の再開とともに、感染の再燃を繰り返している。ある程度の再燃は当然予想されたことであるものの、今秋以降に予想される世界的な第2波に向けて、「検査・追跡・隔離」と医療体制の準備を進めようとしていた矢先の度重なる再燃は、各国においても大きな不安を投げかけている。 第1波の初期対応に失敗した米国では、早期に解除をした州で感染の再拡大が起こっており一部の州ではバーやレストランの再開を停止した。ワシントン大学保健指標評価研究所のシミュレーションでは、今のままの状況が続けば、早ければ米国では9月には第1波を超える第2波が来ることが予測されている。 同様に初期対応に失敗した英国でも、7月4日にバーやレストランが再開されたが、感染者が急増しているレスター市では、再びロックダウンが実施されている。初期対応の優等生であるドイツでも、食肉加工工場での集団感染が起こった西部の街では再度のロックダウンが行われている。さらに、スペインやオーストラリアでも地域封鎖が実施された。 さらに、欧米諸国では、経済を止めないために、夏休みシーズンを前に国境を再開しようとしているが、南半球の国々が第1波の荒波を受け、北半球の国々では第1波からの再燃を繰り返している状況で、国境再開がさらなる感染拡大を引き起こすことが懸念されている。 今秋以降に予想されている第2波を前に、世界中が全く予断を許さない状況が続いている。WHOのテドロス事務局長は「世界的な感染は加速しており、最悪の事態がこれから起きる可能性がある」と警告している』、確かに危機感を持って臨むべきだろう。
・『安易な楽観論は極めて危険  このような状況の中、日本国内には、「日本を含めアジア諸国は、感染が拡がらない特別なファクターがあるはずである」との楽観論も多い。勿論、その可能性は否定されるものでもないが、安心するのはそのエビデンスが確認できてからにするべきだ。 解除後にまず感染が増えるのは活動が活発な若者だ。それは韓国、米国、そして、東京でも変わらない。感染が急増しているアリゾナ州では若者が感染者の半数以上を占めており、バーやレストランの再開とともに感染が増加している。 米国CDC(疾病対策センター)のレッドフィールド所長は、「若者の多くは無症状の感染者で、知らないうちに感染を拡大させてしまっている。実際には報告感染者の最低10倍の感染者はいるだろう」と危機感を表している。東京都の感染者急増に関して、都の関係者や厚労省が、「若者が多く、軽症や無症状が多いから前回と異なる」という見解を示すことにより、危機感を払拭しようとしているのとは対照的だ。 重症化しやすい高齢者に比べて、若者は軽症や無症状感染者が多い。しかし、彼らが自らの感染に無自覚で活動を続けることで、感染をさらに広げていく可能性がある。特に、東京のような大都市でそのような潜伏患者が増えたら、症状のある感染者を特定して対応していくクラスター対策が、以前よりも効果の薄いものとなってしまうであろう。 筆者は、日本が第1波を抑え込めたのは、日本特有の「ファクターX」などではなく、1~2月の地道なクラスター対策で感染の急拡大を食い止められたことと、3月末のギリギリのタイミングによる自粛効果によるものであったと考えている。だが、今回はクラスター対策による時間稼ぎが難しくなる可能性がある。 また、今は死亡者は増えていないのだから慌てて対応を取る必要はないという意見もある。 解除後に、感染が再拡大している米国などでも同様に感染者数の増加に比べ死亡者の増加が抑えられている。それは、重い症状のある感染者のみならず軽症者へも検査するようになったこと、治療自体も改善してきたこと等がその要因と考えられる。しかし、この感染が次のステージに入り、リスクの高い人々に拡がってしまうと死亡率はすぐに上昇に転じる可能性があることを米国等の関係者は強く警戒している。 日本においても同様に、感染が次のステージに入り、リスクの高い人々に感染が広まれば、死亡率は上昇に転じるであろう。症状のある感染者を中心に検査をしていた第1波の頃は、感染から死亡までのタイムラグが2週間程度であったが、より早い段階での検査が広まってきている現在は3~4週間に延びていると考えられる。 このタイムラグの長期化は、第1波の時に比べると、同じ水準の死亡者数でも、その背後にある感染の拡がり・深刻度は、より大きなものになっていることを意味する。第1波の時と同じような感覚で死亡者が増え出してから対応をすると、感染拡大が止められなくなるリスクがあることに細心の注意を払う必要がある』、「東京都の感染者急増に関して、都の関係者や厚労省が・・・危機感を払拭しようとしている」、経済再開の狙いが見え透いていて問題だ。「タイムラグの長期化は・・・第1波の時と同じような感覚で死亡者が増え出してから対応をすると、感染拡大が止められなくなるリスクがあることに細心の注意を払う必要がある」、その通りだ。
・『全体像が見えない東京都のデータ  今回のような無症状の若者中心の感染拡大期には、ミクロに感染者を絞り込むクラスター対策が困難となるため、マクロの視点からの感染トレンドを、PCR検査の大幅拡充により的確に把握し、必要に応じて機動的かつ効果的なタイミングで再度の緊急事態宣言等を行える枠組みを整備することが何よりも重要となってくる。 そのPCR検査については、東京都の検査数は最近増えたとはいえ、毎日2000~2500件程度であり、患者の増加率や東京都の人口規模から言えば、まだまだ少ない。 ホストクラブなどの事例がセンセーショナルに大きく報道されているが、感染経路不明者が増加しており、それ以外の状況は全く不明だ。また、そうした報道によれば、検査を拒むケースも出てきている。ホストクラブ以外でも、一般の方の屋内の小規模な集会でも、若年層の無症状感染者等が動き回ることにより容易に広がる可能性はある。そして、仮に万全の感染対策をとっていたとしても、感染をゼロにすることは困難だ。 歓楽街以外にも市中感染が広がっていないか、病院や介護施設への感染の可能性はないかも含め、幅広いモニタリングが不可欠だ。 厚労省の専門家会議は休業再要請の指標を作成している。それは、直近1週間の人口10万人当たりの感染者数が2.5人以上というものである。東京都では、6月29日以降すでに厚労省の基準を超えている。しかし、東京都は6月30日に新たなモニタリング項目を定めたが、都民に警戒を呼びかける基準となる数値は設けられていない。もちろん基準を機械的に採用するのではなく総合的な判断が必要だが、曖昧さは否めない。 いま東京都に一番必要な事は、「誰もが信頼できる感染トレンドを示すデータの公表」の枠組みを整備することではないだろうか。最近の新宿を中心とした感染者数増加についても、楽観論者は「新宿区の10万円補助によりホストクラブ関係者が検査をこぞって受け始めた結果だ」と主張し、悲観論者は「感染爆発の入口に入っている」と受け止めている。つまり、現在の感染者数のデータは、都民の多くが感染トレンドの認識が共有できるものになっていない。 よりテクニカルに説明すれば、東京都からは、どのような状況の方々(例:疑いのある症状のある方、無症状の方等)が何人検査を受け、そのうち何人が陽性なのか、分母が公表されておらず、また、発症日の情報も公開されていない。感染状況を把握するための実効再生産数の推定も困難な状況であり、第2波に向けてのモニタリング体制の不備も明らかになってきている。 歓楽街に出入りする若者の感染が多いから前回と違うという説明のみでは、感染拡大は防ぐことはできない。今こそ、危機感を持って検査を徹底的にやり、タイムリーなデータの公表を進めるべきだ。オープンソースでデータ共有システムを開発し、プログラミングのコードまでも世界の人々と共有してきた東京都にできないはずがない』、「オープンソースでデータ共有システムを開発し、プログラミングのコードまでも世界の人々と共有してきた」、初めて知ったが、説得力溢れた主張だ。
・『自粛を繰り返さないために  皮肉なことではあるが、緊急事態宣言解除後の新型コロナの再燃は、自粛に大きな効果があったことを示している。 欧米における検証では、緊急事態宣言、ロックダウンなどによる社会的距離の徹底が感染拡大抑制につながったことが科学的に示されており、国際的コンセンサスになっている。そして、初期の迅速な対応を取ることができるかどうかで、その後の被害状況が大きく異なることも示されている。 しかし、ロックダウンや緊急事態宣言は、大きな社会経済的ダメージを引き起こす。日本をはじめ各国が経済活動をできるだけ早期に再開したいと考えることは当然であり、西村康稔新型コロナ対策担当大臣も「緊急事態宣言は誰もやりたくない」と会見で述べたが、まさに本音であろう。それでも、解除をすれば感染の再燃が起こり、感染が大きく拡大する局面となれば、緊急事態宣言やロックダウンの繰り返しをせざるを得なくなる。 しかも、今回の東京の例でも明らかなように、3密回避や新しい生活様式を守ることに一定の限界のある職種も多い。それは夜の街に限らず、医療や介護職でも同様だ。休業補償がない自粛に頼る限り、このしわ寄せは社会的弱者やエッセンシャルワーカーに来る。 新型コロナの感染リスクは個人の年齢や基礎疾患の有無に加えて、職場や生活環境などに大きく左右されることがよく知られている。誰が感染しているか分からない状況では、マスク着用や社会的距離をとることは非常に大切だが、画一的な対応だけでは社会を回すことはできない』、「3密回避や新しい生活様式を守ることに一定の限界のある職種も多い・・・画一的な対応だけでは社会を回すことはできない」、同感である。
・『それぞれの「新しい日常」のために圧倒的な検査拡充を  だからこそ、自分自身の感染の有無だけでなく、社会全体の感染トレンドの状況を正確に把握したうえで、各個人の感染リスク(同居人への感染も含む)や職業等のライフスタイルに合った、それぞれの「最適解」となる新しい日常を過ごせるようにするための環境整備が極めて重要になるであろう。そのためには、検査・追跡・隔離キャパシティの圧倒的充実が必要だ。 解除を決めた国は全て競うように検査体制を拡充している。筆者の勤務する大学の担当する地域は南ロンドンの貧困層であり、英国でも最もコロナの被害が大きかった地域だ。人口約200万でも、1日2万5000件のPCR検査ができるように急ピッチで対応を進めている。また、唾液検体を用いた在宅での自己検査のための実証が進められている。 PCR検査の目的は3つある。1つ目は、症状のある個別の患者にどのような治療が必要なのかを診断することである。2つ目には、感染拡大を防ぐために、無症状感染者を含めて予防的にスクリーニング・隔離すること、そして、3つ目は、再度の緊急事態宣言等が仮に必要な状況となった場合に、的確なタイミングでの迅速な対応を可能にするための感染トレンドの正確な把握をすること、である。これまでの日本の対策は、主に最初の目的に重きが置かれていた。しかし、感染トレンドを的確にコントロールをして、経済・社会を回すという目的には、後2者の視点が重要だ。 PCR検査ができるだけ多くの人々に幅広く行われるよう検査体制の拡充を進めつつ、特に感染抑制が必要な病院・介護施設の関係者やエッセンシャルワーカーについては定期的な検査を徹底することが不可欠だ。併せて無症状感染者や軽症者が代替施設で療養できるシステムも確立することにより、感染抑制のための総合的なインフラ整備を進めることが最優先となる。 感染者の隔離を進めて感染抑制をするとともに、医療機関からの定点サーベイランスを確立し、信頼性の高い感染トレンドのデータを公表しながら、万が一再度の緊急事態宣言が必要になった時も、最も効果的なタイミングで必要最小限の地域やセクターに対して機動的かつ緻密な措置をとることにより、経済への影響を最小限にとどめることを可能とする体制整備が、第2波に向けて必要となる。 来年に延期された五輪の無事の開催を望む方も多いと思うが、五輪開催には、「世界一安心なコロナ対策を実施する国・都市」となることが最低限必要だ。再選された小池都知事と国は、東京から世界一安心なコロナ対応をしている国・都市であることを誰もが信頼できるデータにより示していくべきだ』、説得力溢れた主張で、全面的に同感である。

第三に、7月17日付け東洋経済オンライン「新型コロナ、日本で重症化率・死亡率が低いワケ 高橋泰教授が「感染7段階モデル」で見える化」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/363402
・『東京都を中心に新型コロナウイルスの検査で陽性と判明する人が増加している。東京都は15日、警戒レベルを4段階のうち最も深刻な「感染が拡大していると思われる」に引き上げた。ただ、無症状者や軽症者が多く、専門家の間でもレベルを引き上げるかどうかでは意見が割れたという。また、2月から現在までの5カ月余りの間に日本で新型コロナにより亡くなった人は1000人に及ばず、例年のインフルエンザ死亡の3分の1にとどまる。新型コロナウイルスの流行当初の予測や欧米の被害実態とも大きなギャップがある。 国際医療福祉大学の高橋泰教授は、新型コロナの臨床に関わる論文から仮説を立て、公表データを使って「感染7段階モデル」を作成した。ファクト(事実)に基づくわかりやすいモデルで新型コロナの特性を説明し、適切な対策をとるための議論を活発化したいという。高橋教授に話を聞いた(Qは聞き手の質問、Aは高橋教授の回答)』、興味深そうだ。
・『新型コロナとインフルエンザには大きな違い  Q:足元では新型コロナウイルスの流行再拡大の不安が広がっています。10万人死ぬ、といった予測も流布していますが、先生はそうした見方を否定していますね。 A:発表されている数字はあくまでもPCR検査で判明した「PCR陽性者判明数」であり、正確には「感染者数」ではない。もちろん「発症者数」でもない。特に若年者の場合、PCR陽性者が発症する可能性は低く、多くが無症状・軽微な症状で治ってしまう。また「数十万人が死ぬ」といった予測は、新型コロナウイルスについての前提が間違っていると考えている。 Q:ではその辺りの説明と、作成された新型コロナの「感染7段階モデル」の狙いを教えてください。 A:新型コロナは、全国民の関心事ながら「木を見て森を見ず」の状態で全体像が見えてこない。そこで、ファクト(事実)を基に、全体像が見通せ、かつ数値化できるモデルを作ろうと思った。それが「感染7段階モデル」だ。新型コロナの感染ステージをStage0からStage6までの7段階に分けて、それぞれに至る確率やそれに関わる要因を見える化したものだ。 新型コロナウイルスは、初期から中盤までは、暴露力(体内に入り込む力)は強いが、伝染力と毒性は弱く、かかっても多くの場合は無症状か風邪の症状程度で終わるおとなしいウイルスである。しかし、1万~2.5万人に1人程度という非常に低い確率ではあるが、サイトカイン・ストームや血栓形成という状況を引き起こし、肺を中心に多臓器の重篤な障害により、高齢者を中心に罹患者を死に至らせてしまう。 このウイルスの性質の特徴は、自身が繁殖するために人体に発見されないように毒性が弱くなっていることだ。したがって、一定量増殖しないと人体の側に対抗するための抗体ができない。そしてまれに宿主となる人体の免疫を狂わせ殺してしまうこともある。 日本も含めた各国でそれぞれ数十万人死亡するというような、当初流布された予想は大きく外れた。その原因はインフルエンザをベースとしたモデルを使っているためだと思われる。2つのウイルスには大きな違いがある。 Q:新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスの違いをご説明ください。 A:病原体が体内に入ると、まず貪食細胞(マクロファージ)などを中心とする自然免疫が働く。次に数日かかって獲得免疫が動き出し、抗体ができる。 (注)自然免疫: 侵入してきた病原体を感知し排除しようとする生体の仕組み。外敵への攻撃能力はあまり高くないが、常時体内を巡回している警察官に相当する。 獲得免疫:病原体を他のものと区別して見分け、それを記憶することで、同じ病原体に出会ったときに効果的に排除する仕組み。1種類の外敵にしか対応しないが殺傷能力の高い抗体というミサイルで敵を殲滅する軍隊に相当する。 インフルエンザの場合は、ウイルス自体の毒性が強く、すぐに、鼻汁、咳、筋肉痛、熱と明らかな症状が出る。暴れまくるので、生体(人の体)はすぐに抗体、いわば軍隊の発動を命令し、発症後2日~1週間で獲得免疫が立ち上がり、抗体ができてくる。よって、抗体検査を行えば、ほぼ全ケースで「陽性」となる。多くのケースにおいて生体側が獲得免疫で抑え込み、1週間~10日の短期で治癒する。だが、抑え込みに失敗すると肺炎が広がり、死に至ることもある』、なるほど。
・『毒性が弱いので獲得免疫がなかなか立ち上がらない  新型コロナはどうか。今年5月6日のJAMA Published online(The Journal of the American Medical Association、『アメリカ医師会雑誌』)に発表された「新型コロナの診断テストの解釈」という論文に、新型コロナは抗体の発動が非常に遅いことが報告された。 私の研究チームはこの現象を、新型コロナは毒性が弱いため、生体が抗体を出すほどの外敵ではなく自然免疫での処理で十分と判断しているのではないかと解釈し、「なかなか獲得免疫が動き出さないが、その間に自然免疫が新型コロナを処理してしまい、治ってしまうことが多い」という仮説を立てた。 こうした仮説で想定した状態が実際に存在するなら、この時期の人は無症状または風邪のような症状であり、自身が新型コロナに感染したという自覚がないうちに治ってしまう。もしこの時期にPCR検査を行えれば、新型コロナは体にいるのでPCR陽性となることもある。一方、まだ抗体はできていないので、抗体検査を行えば当然「陰性」となる。そして、その後、症状が進んで獲得免疫が発動しても新型コロナを抑え込めなかったごく一部の人でサイトカイン・ストームが起きてしまい、死に至ることもある。 (注)サイトカイン・ストーム:免疫システムの暴走。免疫細胞の制御ができなくなり、正常な細胞まで免疫が攻撃して死に至ることもある。 Q:第2波が来たら日本は脆弱だという見方も根強くあります。 A:抗体検査を行ったところ、ロンドンで16.7%、ニューヨークは12.3%、東京が0.1%だった。これをインフルエンザと同じような感染症モデルで考えると、東京では感染防止は完璧だったが、抗体を持つ人が少ないので、次に防御に失敗したら多くの死者が出る、という解釈になる。このような解釈には、強い疑義を持つ必要がある。 日本は強力なロックダウンを実施しておらず、新型コロナに暴露した人が欧米より極端に少ないとは考えにくい。むしろ先に述べた「これまで多くの人が新型コロナにすでに感染しているが、自然免疫でほとんどの人が治っている」という仮説に立って、抗体ができる前に治っているので、抗体陽性者が少ないと考えるほうが自然であろう。 この仮説を用いれば、無症状のPCR陽性者が数多く発生している現状の説明もできる。第2波が来ても、自然免疫の強さは日本人にとって強い助けとなり、再び欧米より被害が軽くなるという考え方が成り立つ』、「日本・・・「これまで多くの人が新型コロナにすでに感染しているが、自然免疫でほとんどの人が治っている」という仮説に立って、抗体ができる前に治っているので、抗体陽性者が少ないと考えるほうが自然であろう」、なるほど面白い見方だ。
・『日本では暴露した人が多いが自然免疫で98%治癒  Q:「感染7段階モデル」により新型コロナの感染や症状に関わる要因を数値化してみたということですね。 A:新型コロナの患者数を予測するために使えるデータが現状では非常に限られる。かかった人の重症化率や死亡率という最も基本的なデータすらない。 新型コロナの全体像を把握するためには、全国の暴露者数を推計することが大切なので、①全国民1億2644万人、②年代別患者数の実数値、③抗体陽性率推計値(東京大学の推計と神戸市民病院の推計)を使って、パラメータである暴露率(新型コロナが体内に入る率)をいくつか設定し、動かしながら、実際の重症者や死亡者のデータに当てはまりのよいものを探るシミュレーションを行った。 シミュレーションの結果の概略はこうだ。 まず、国民の少なくとも3割程度がすでに新型コロナの暴露を経験したとみられる。暴露率はいろいろやってみたが、30~45%が妥当だろう。そして、暴露した人の98%がステージ1かステージ2、すなわち無症状か風邪の症状で済む。すなわち自然免疫までで終了する。 獲得免疫が出動(抗体が陽性になる)するステージ3、ステージ4に至る人は暴露者の2%程度で、そのうち、サイトカイン・ストームが発生して重症化するステージ5に進む人は、20代では暴露した人10万人中5人、30~59歳では同1万人中3人、60~69歳では同1000人中1.5人、70歳以上では同1000人中3人程度ということになった。 あくまでもデータが限られる中での大ざっぱなシミュレーションだが、今後、データがもっと明らかになれば精緻化できる。) Q:欧米との死者数の違いに大きな関心が寄せられています。 A:日本の死者数が欧米の100分の1であることについて、以下のような3つの要因の差という仮説で試算を試みた。 まず、第1に暴露率。日本の場合、重症化しやすい「高齢者の暴露率」が低かったのが効いたのではないか。例えば特別養護老人ホームではインフルエンザやノロウイルスの流行する季節は家族の面会も禁じている。これらウイルスに対する対策も取られている。高齢者の外出自粛など自発的な隔離も積極的に行われた。他方、海外では介護施設や老人ホームのクラスター化による死者数が多い。「高齢者の暴露率」は日本が10%、欧米が40%と設定してみた』、「国民の少なくとも3割程度がすでに新型コロナの暴露を経験・・・暴露した人の98%がステージ1かステージ2、すなわち無症状か風邪の症状で済む。すなわち自然免疫までで終了する。 獲得免疫が出動(抗体が陽性になる)するステージ3、ステージ4に至る人は暴露者の2%程度で、そのうち、サイトカイン・ストームが発生して重症化するステージ5に進む人は、20代では暴露した人10万人中5人、30~59歳では同1万人中3人、60~69歳では同1000人中1.5人、70歳以上では同1000人中3人程度ということになった」、あくまでも同氏のモデル上の結果ではあるが、あまり深刻視する必要はなさそうだ。
・『自然免疫力のわずかな差が大きな違いを生む  第2に、自然免疫力。自然免疫で治る人の比率が欧米より日本人(アジア人)のほうが高く、その結果「軽症以上の発症比率」が低くなるが、抗体陽性率も低くなる。自然免疫力(特に細胞性免疫)の強化にBCGの日本株とロシア株が関与した可能性は高いとみている。 「(暴露した人の)軽症以上の発症比率」については、自然免疫力が標準分布と仮定し、シミュレーションの結果を当てはめると、自然免疫で処理できる率が日本人は98%で、対応できないのは2%ということになる。 日本では、新型コロナにかかった人が次の人にうつしても、その大半が自然免疫で処理され、次の人への感染につながらない。すなわち新型コロナ感染のチェーンが切れやすい。よほど多くの人に暴露を行わないと、そこで感染が途切れる可能性が高い。一方、抗体陽性率から考えると欧米では自然免疫で対応できずしっかり発症する人が、日本よりもはるかに多いと考えられるので、「軽症以上の発症比率」を日本の5倍の10%と想定した。 日本と欧米の自然免疫力の差をそれぞれ2%と20%と想定すると、両者の差はわずかに見えるかもしれないが、このわずかな差が欧米と日本の新型コロナ被害の大きな差を生んだ可能性が高い。欧米では感染後、しっかり発症して他の人にうつす、再生産確率が高いため、日本と比べて感染スピードが速く、かつ感染拡大のチェーンが途切れないということになる。 第3は、「発症者死亡率」。日本は欧米に比べて低いと考えられる。その理由としては、欧米人に比べて血栓ができにくいことがある。サイトカイン・ストームが起きても、日本のほうが重症化する可能性が低いと考えられる。「発症者死亡率」は、日本では0~69歳で0.01%、70歳以上では40倍の0.4%だが、欧州は0~69歳で0.05%、70歳以上が2%とした。 他の条件は変わらないという前提で、このような数字を設定すると、10万人当たり日本の死亡者は0.9人、ベルギーの死亡者は82人となり、現在の実態とほぼ一致する。「暴露率、軽症以上の発症比率、発症者死亡率の数字の設定はもちろん仮説的なものであり信頼性は低い。だが、全部の数字を掛けたり足したりして求められる日本の死亡率が、欧米の死亡率の100分の1になる必要があるので、3要因のいずれか、またはすべてにおいて、日本が欧米に大きく勝っていることは間違いない』、「自然免疫力・・・の強化にBCGの日本株とロシア株が関与した可能性は高い」、通説が一応裏付けられたようだ。ただ、「10万人当たり日本の死亡者は0.9人、ベルギーの死亡者は82人・・・」、何故、「ベルギー」のような小国が出てくるのだろう。
・『死者は最大で3800人、検査ではなく重症化対策を  Q:緊急事態宣言の解除後は「感染者数」、正確には検査でPCR陽性とわかった人の数ですが、増えています。しかし、自然免疫で98%も治るとすれば、とるべき対策は違ってきます。 PCR検査でどこから見ても元気な人を捕捉することには大きな問題があると考えている。PCR検査はコロナウイルスの遺伝子を探すものなので、体内に入って自然免疫で叩かれてしまい他の人にうつす危険性のないウイルスの死骸でも、陽性になってしまう。発症可能性がゼロに近い抗体陽性者でも、再度新型コロナウイルスが体内に入った時点で検査を行えば陽性になる。 また、新型コロナウイルスにとって東京は人口密度が高く、そうした中でもいわゆる3密を形成するような、ウイルスが生き延びるための条件が揃う場所がある。だが、地方ではそうした場所ができにくい。98%自然免疫で処理されるので、人が密集していないと、次の人にうつしていくチェーンがすぐ途切れてしまうからだ。 Q:7月15日、東京都は警戒レベルを最高に引き上げました。しかし、怖くなってまた活動制限を行うことは適切ではないということですね。 A:日本ではこれまでのところ、人口10万人に対し0.8人が亡くなっている。われわれは自然免疫の存在を重視しており、それを前提としたシミュレーションでは、新型コロナウイルスが現状の性格を維持する限り、どんなに広がっても10万人中3人以上、つまり全国で3800人以上死ぬことはなさそうだというのが、結論の一つだ。 一方、人口10万人に対して16人、全国で2万人強が自殺で亡くなっている。過去に景気が悪化したときは3万人を超えて10万人当たり24人になった。そうであれば、10万人対比で見て、新型コロナによって2人亡くなるのを防ぐために、景気悪化で8人の死者を増やすのかということになる。対策のメリットとデメリットのバランスを考えないといけないのではないか。 また、ステイホームによって肥満の人が増えると、ACE2受容体が増加し、新型コロナの感染リスクも血栓形成のリスクも高まる。社会活動の停止で暴露率は下がっても、感染率や重症化率が上がる。そうしたバランスも考える必要があるだろう。 (注)ACE2受容体:新型コロナウイルスのスパイクと結びついて、細胞の中に取り込んでしまい、感染が成立する。子どもにはほとんどなく、年齢が上がると増える。また、高血圧や糖尿病でも数が増える。 Q:年齢やリスクに応じた対策を打つべきだということになります。 A:30歳未満では重症化リスクは限りなくゼロに近いのに、対面授業を行わないとかスポーツをさせないというのは誤った政策だと思う。対面での教育が行われず、オンライン教育のみにすることの弊害のほうがずっと大きい。平常に戻すべきだ。そして、そこで学生からPCR陽性者が出てもマスコミが騒がないことが重要だ。明らかな症状が複数の学生に現われる集団発生が起きてはじめて、報道を行い学級閉鎖を行えばいいのではないだろうか。 30~59歳も通常の経済活動を行ってよいはずだ。罹患した場合は症状に応じて自宅待機などを行い、集団発生すれば職場の閉鎖をすればよい。70歳以上の高齢者は流行している間は隔離的な生活を維持せざるをえないだろう。何度も言うが、感染リスクはある。しかし、2%未満の重症化リスクを減らせばいい』、「PCR検査は・・・他の人にうつす危険性のないウイルスの死骸でも、陽性になってしまう」、そんな問題があるとは初めて知った。「新型コロナウイルスが現状の性格を維持する限り・・・全国で3800人以上死ぬことはなさそうだ」、ちなみに昨日までの死亡者は984人だ。一安心させてくれる数字だ。「社会活動の停止で暴露率は下がっても、感染率や重症化率が上がる。そうしたバランスも考える必要があるだろう」、「30歳未満では重症化リスクは限りなくゼロに近いのに、対面授業を行わないとかスポーツをさせないというのは誤った政策だと思う」、などは同感である。
・『感染パターンを注視しつつ、社会活動は続けるべき  Q:すでに東京都の7月15日の会議では、PCR陽性で無症状や軽症の人を入院させているため病床が逼迫しつつあると報告されています。 A:肺炎や呼吸困難といった兆候が認められなければ宿泊所、無症状・軽症なら自宅待機といった変更が必要だ。老齢者の施設等の対策に重点を置くべきだ。 Q:先ほどウイルスの性格が変わらなければという条件付きでお話しされました。そこはいかがでしょうか。 A:第2波が来たと判断したら、最初にやるべきはPCR検査の拡大ではなく、ウイルスの遺伝子解析だ。従来と同じ型のものなのか、違うものが来たのかを判別することが重要だろう。感染者を捕まえて隔離することより、感染パターンを把握することが重要だ。感染力が上がったのか、毒性が強まって死亡率が上昇するのか。それに応じて対策も変わる。感染7段階モデルのようなものを作っておくと、そうした議論をすることが可能になる』、頷ける部分もあるが、全体的には通説とは大きく異なるユニークな見解で、私には正誤を判断することは出来ない。要はまだまだ分からないことだらけ、ということだけは確かなようだ。今後、解明がさらに進んで欲しいものだ。
タグ:全体的には通説とは大きく異なるユニークな見解で、私には正誤を判断することは出来ない 感染パターンを注視しつつ、社会活動は続けるべき 死者は最大で3800人、検査ではなく重症化対策を 自然免疫力のわずかな差が大きな違いを生む 日本では暴露した人が多いが自然免疫で98%治癒 毒性が弱いので獲得免疫がなかなか立ち上がらない 新型コロナとインフルエンザには大きな違い 高橋泰 「新型コロナ、日本で重症化率・死亡率が低いワケ 高橋泰教授が「感染7段階モデル」で見える化」 東洋経済オンライン それぞれの「新しい日常」のために圧倒的な検査拡充を 自粛を繰り返さないために 全体像が見えない東京都のデータ 安易な楽観論は極めて危険 世界的に感染は勢いを増している 「《東京都公表のデータでは全体像が見えない》“世界一安心な都市”になるために必要な2つのこと WHO事務局長上級顧問が提言「五輪開催の最低条件」」 渋谷 健司 文春オンライン 性急な情報化は、事態を悪化させる ウェブ化だけでは解決しない 検体管理の問題 施設間連携の問題 保健所側の問題 医師側の問題 アカウント管理の問題 国民を驚かせた「いまだにファックス」 「コロナの届け出「ファックスで保健所に提出」がやめられない理由 この機会に明らかにすべき本当の問題」 奥村 貴史 現代ビジネス (その15)(コロナの届け出「ファックスで保健所に提出」がやめられない理由 この機会に明らかにすべき本当の問題、《東京都公表のデータでは全体像が見えない》“世界一安心な都市”になるために必要な2つのこと WHO事務局長上級顧問が提言「五輪開催の最低条件」、新型コロナ 日本で重症化率・死亡率が低いワケ 高橋泰教授が「感染7段階モデル」で見える化) (医学的視点) パンデミック
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