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ふるさと納税制度(その4)(返礼品の消滅で“制度崩壊”も! ふるさと納税を襲う「宅配クライシス」の実態 総務省の「5割ルール」は形骸化しつつある、ふるさと納税 「国vs泉佐野市」の最高裁判決でも残った根源問題、ふるさと納税「国のいやがらせ」からの逆転勝訴で見えた 官僚の支配構造 「上から目線」の総務省) [国内政治]

ふるさと納税制度については、昨年2月26日に取上げたままだった。久しぶりの今日は、(その4)(返礼品の消滅で“制度崩壊”も! ふるさと納税を襲う「宅配クライシス」の実態 総務省の「5割ルール」は形骸化しつつある、ふるさと納税 「国vs泉佐野市」の最高裁判決でも残った根源問題、ふるさと納税「国のいやがらせ」からの逆転勝訴で見えた 官僚の支配構造 「上から目線」の総務省)である。

先ずは、本年4月10日付け文春オンライン「返礼品の消滅で“制度崩壊”も! ふるさと納税を襲う「宅配クライシス」の実態 総務省の「5割ルール」は形骸化しつつある」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/37125
・『2008年の制度開始以来、全国の自治体への寄付額は増加を続け、2018年度には5100億円の寄付金が集まる巨大市場となった「ふるさと納税」。工夫次第で、人口わずか2000人程度の町であっても億円単位の寄付金を集めることができるのがこの制度の面白いところ。ふるさと納税が地方経済を活性化させていることは間違いない。その一方で、寄付額の増加に伴って返礼品の発送量が増えたことで、悲鳴を上げる自治体も出てきた。 いま、ふるさと納税の現場で何が起こっているのか。ジャーナリストの大西康之氏が追った。 昨年6月、総務省は返礼品について「寄付金額の3割以下の地場産品に限る。送料・手数料などの諸経費を含めても5割まで」とする制度改正を行った。地元と無関係な高額の返礼品で巨額の寄付を集めた大阪府泉佐野市のようなケースを防ぐための措置だが、各自治体には大きな負担となってのしかかった。 すでに高知県室戸市は北海道、沖縄、離島地域への返礼品の配送をやめる方針を打ち出した。遠方への配送料の高騰が原因だろう。 だが、それでも室戸市のように返礼品を送ることができるのならばまだマシといえる。配送料の高騰によって、返礼品自体が「消滅」してしまった自治体があるのだ』、興味深そうだ。
・『ふるさと納税で「税収の2割」を稼ぎ出したビール  岩手県西和賀町――前岩手県知事で現日本郵政社長の増田寛也が座長を務めていた「日本創生会議」が、かつて「岩手県内で最も消滅の可能性が高い町」と名指しした町である。 西和賀町の看板返礼品は「銀河高原ビール」だ。1996年に盛岡発祥の住宅メーカー、東日本ハウス(現日本ハウスホールディングス)の創業者、中村功が「これまで日本になかった本格的なクラフトビールを作ろう」と、旧沢内村(現西和賀町)に醸造所を建設し、生産を開始した。 中村はビールの品質にとことんこだわり、1516年にドイツ・バイエルンの国王ヴィルヘルム4世が布告した「ビール純粋令」に倣い、原料はドイツ産の麦芽、ホップと西和賀の軟水しか使わない銀河高原ビールを生み出した。酵母をろ過しないため、麦芽由来のフルーティーな甘みがある。 銀河高原ビールは一部のビール好きの間で熱烈に支持されていたが、ふるさと納税をきっかけにその人気が全国に広まった。税収が5億円弱の西和賀町にあって、2017年からは1億円を超える寄付金を集めてきた。つまり、税収の2割を銀河高原ビールが稼ぎ出しているわけだ。 だが、昨年12月、事態が暗転した。銀河高原ビールが「西和賀町にある醸造所を2020年3月で閉鎖する」と発表したのだ。今後は軽井沢に本社を置く親会社ヤッホーブルーイングの醸造所で銀河高原ビールの生産を続ける予定だが、それでは「西和賀産」ではなくなり、返礼品にすることはできない。 工場閉鎖の背景には配送料の高騰がある。銀河高原ビール社長の岡秀憲が苦しい胸の内を明かす。 「1本267円の缶ビールには77円の酒税がかかります。そもそも利益率が高くありません。さらに、輸送費が大きく上がったことで損益分岐点が上昇してしまった。チルド輸送をお願いしていた物流会社には、値上げどころか、『荷物を受けられない』と言われました。別の会社を探したのですが、これまでの2倍以上の輸送費を提示されたのです」』、「これまでの2倍以上の輸送費を提示された」、のであれば、「「西和賀町にある醸造所を2020年3月で閉鎖」もやむを得ないだろう。
・『「返礼品を送れない」ケースが続出する?  工場閉鎖の決断はやむをえないものだったという。 「醸造設備の更新期にきていたこともあり、東京や大阪から離れた西和賀で醸造して輸送するビジネスは限界だと判断しました。銀河高原ビールのブランドを残すには、(大消費地の東京に近い軽井沢に醸造所を持つ)ヤッホー社に生産委託するしかなかった」 ふるさと納税の魅力は、都会のスーパーでは手に入らない「地方ならでは」の産品が手に入ることにある。だが、産地と寄付者を点で結ぶ「少量多品種」の物流は、明らかに効率が悪い。深刻な人手不足を考慮すれば、物流コストは今後も上昇し続けるだろう。総務省の「5割ルール」は形骸化しつつある。このままでは西和賀町や室戸市のように寄付を受けても、「返礼品を送れない」ケースが続出し、ふるさと納税の制度そのものが崩壊する恐れもある』、「物流コストは今後も上昇し続ける」のであれば、「「返礼品を送れない」ケースが続出」もやむを得ないだろう。「ふるさと納税」は安い「物流コスト」を前提にしたあだ花だったのかも知れない。

次に、7月16日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した金沢大学法学類教授の仲正昌樹氏による「ふるさと納税、「国vs泉佐野市」の最高裁判決でも残った根源問題」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/243220
・『制度からの除外は違法 市が国に逆転勝訴  大阪府の泉佐野市が、それまで過剰な返礼品を提供していたことを理由に「ふるさと納税」制度から除外されたのは不当だとして、国を訴えていた訴訟で、最高裁は6月30日、市側の訴えを認め、国の措置は違法だとして、除外の取り消しを命じた。 これを受けて総務省は、泉佐野市と、同じ理由で除外されていた和歌山県高野町と佐賀県みやき町の3つの自治体を制度に復帰させる方針を表明した。 これによって国と自治体の不協和音は解消されたかにみえる。だが自治体の過剰な返礼品競争を生み出した制度の根本問題が解決したわけではない』、「国」の敗訴というみっともない結果になったが、そもそも論から「制度の根本問題」を詳しくみてみよう。
・『三位一体改革の税源格差 補完する狙いだったが  「ふるさと納税」とはそもそも何を目的とした制度で、どういう理念に基づいているのか、まずはこの問いについて掘り下げて考えてみよう。 ふるさと納税はもともと、小泉政権時代(2001~06年)の、国と地方の行財政改革を進める「三位一体改革」の足りなかったところを補完するための政策として、小泉政権から次の第1次安倍政権への移行期に浮上した。 三位一体改革とは、自治体の特定の事業に対する国の補助金(国庫補助負担金)の削減、自治体間の財政格差を調整するための国からの地方交付税の縮小と引き換えに、地方に税源移譲するというものだった。 これによって地方分権が進み、各自治体が国に頼ることなく、自らの創意工夫によって、それぞれ地域の事情に合った行政サービスを行えるようになるはずだった。 しかし、単純な税源移譲だけだと、東京、大阪、愛知など大都市を抱えた自治体と、人口減少や過疎、地場産業の不振に悩む“地方”との格差がさらに拡大することは明らかだった。 それを補うものとして考案された政策の一つが、大都市圏で働く人たちが住民税の一部を、出身の地元自治体に納めることができるようにする「ふるさと納税」だ。 第1次安倍政権が発足すると、当時の菅総務相(現官房長官)主導で、内閣の目玉政策の一つとして検討が進められた。 石原都知事(当時)ら大都市の首長らが、受けた行政サービスに応じて税を負担する受益者負担の原則に反するとして強く反対したが、総務省が設置したふるさと納税研究会(座長・島田晴雄千葉商科大学学長)で検討が進められ、2008年4月、麻生政権の下で、所得税法や地方税法を改正する形で成立した。 「納税」と通称されているが、法律上は、ある自治体に寄付すれば、ほぼそれに相当する額が、所得税の還付と住民税の控除で還元される仕組みだ』、「当時の菅総務相主導」だったとはいえ、「ふるさと納税研究会」に参加した学識経験者も欠陥のある制度を了承したとは、いい加減なものだ。
・『曖昧だった「ふるさと」 返礼品競争を誘発  ただ、制度には最初から不安定な要因を含んでいた。 「ふるさと」と通称されているが、別に自分の出身地に寄付しなくてもいい。居住の自由と職業選択の自由が保障されている自由主義国家である以上、当然のことだが、それだと、当初、理念として掲げられていた「美しい郷土を愛し、育ててくれた『ふるさと』の恩に感謝する本来の人間性への回帰の貴重な契機」(ふるさと納税研究会報告書)を提供するということから乖離(かいり)する。 「ふるさと」を生まれた所ではなく、かつて生活して、なじみのある「心のふるさと」というような広い意味に解するとしても、何らかの理由でその人とはあまり関係がない自治体に寄付が行われることはあり得た。 より現実的な問題として、住民税の移転が、財政にゆとりのある地方から、人口減少に苦しむ地方へという流れになるとは限らず、ゆとりのない自治体からさらに財源が流出する恐れもあった。 制度が始まった最初の2年間(08~09年度)は、ふるさと納税の総額は70億~80億円台だったが、10年に、東国原英夫氏が知事を務めていた宮崎県を中心に家畜伝染病である口蹄疫の感染が広がるなか、支援の一環として宮崎県にふるさと納税する人が、前年の15人から2千数百人にまで増加した。 翌11年に東日本大震災が起きると、被害の大きかった東北3県に対するふるさと納税が急増し、制度とその存在意義が広く認識されるようになった。 11年度には納税額は121.6億円まで増えた。その後、12年度はいったん104.1億円に落ち着いたが、14年度は145.6億円、15年度は385.5億円と急増、18年度には5127.1億円にまで達している。 この急増の理由として指摘されたのが、自治体間の返礼品競争だ。 単なる感謝の気持ちの表明というよりは、キックバックによる納税の誘導と思えるものも現れた。 200万円相当の宮崎牛の肉や130万円のシルクコートなどの高額なものや、寄付額の半額相当のDMMマネー といった地域色と関係ない返礼品による露骨なキックバックともいえるやり方も登場した』、「急増の理由として指摘されたのが、自治体間の返礼品競争だ。 単なる感謝の気持ちの表明というよりは、キックバックによる納税の誘導と思えるものも現れた」、極めて歪んだ形で成長したようだ。
・『寄付額の3割以下に規制 4自治体は「不指定」に  こうした事態を受けて総務省は17年4月の大臣通知で、プリペイドカード、商品券、電子マネー・ポイント・マイル、通信料金など、「金銭類似性の高いもの」や電気・電子機器、家具、貴金属、宝飾品、時計、カメラ、ゴルフ用品、楽器、自転車など「資産性の高いもの」は返礼品として不適当とし、返礼品の金額も寄付の3割を超えないようにすべきとの方針を示した。 返礼品の寄付に対する割合を表示することも止めるように指示している。 さらに18年4月の通知では、返礼品は「地方団体の区域内で生産されたものや提供されるサービス」に限るようにすべきとしている。 しかしこの通知を出して以降も、返礼率が3割以上の高額のものや地場産品以外のものを返礼品としている自治体がかなりの数に上った。 そのため政府・与党は法律での規制に踏み出し、19年6月から施行された新しい地方税法(37条の2) では、返礼品は「寄付額の3割以下の地場産品」にすることが明記されたうえ、ふるさと納税制度を利用する自治体は大臣の「指定」を受けなければならないようにした。 その結果、泉佐野市のほか、和歌山県高野町、佐賀県みやき町、静岡県小山町の4つの自治体が「指定」から外され、制度から除外された。 泉佐野市は18年度に500億円を集め、2位以下を大きく引き離して全国1位になったが、19年2月からアマゾンギフト券を返礼品としていたことが問題になった。 同市は、法律施行後は返礼品を提供しない旨の申出書を総務省に提出していたが、総務省は過去の“実績”や、法律改正が視野に入っていた時期の市の態度を理由に、除外を決めた。 これに対して泉佐野市は、この決定を不服として、19年6月、総務省に置かれた第三者機関である国地方係争処理委員会に審査を申し立てた。 改正された法律の規定に従う意思を表明しているにもかかわらず、改正以前に、法的拘束力のない国の“助言”に従わなかったことを除外の理由にするのは、「国又は都道府県の職員は、普通地方公共団体が国の行政機関又は都道府県の機関が行った助言等に従わなかつたことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない」とする地方自治法(247条3項)や法治主義の原則に反するというのが市側の言い分だ。 委員会は同年9月、市側の主張を大筋で認め、指定除外の判断に合理性があるか疑問だとして、総務省に再検討を勧告した。 しかし、総務省が勧告にもかかわらず除外を継続したため、泉佐野市が同年11月に、大阪高裁に決定の取り消しを求める訴訟を起こした(国と地方の間の紛争では、国地方係争処理委員会の勧告に不服がある場合、高裁を第一審とする裁判が行われる)。 今回の裁判のポイントの一つは、国の指定除外の妥当性だった。 ただこれについては、答えははっきりしている。最高裁や国地方紛争処理委員会が指摘するように、自治体が法律で許される範囲内で行った工夫を、「責任と良識」を欠くなどと非難し、法改正前の過去の姿勢を後出し条件のように後から法的“ペナルティー”を科すのは、不当だろう。 中央省庁が、自治体や各種法人・団体に対して表面的にはフリーハンドを与えながら、行政指導の形で実質的に強い統制をかけるというのはよくあることだが、今回の場合、国は国民がそれぞれの「ふるさと」に対して持つべき姿勢のようなものを想定し、それに自治体を順応させようとしたようにみえる。 だがもともと「ふるさと」という共同体主義的な価値観と、公平性と効率性を追求すべき税制を、制度の中で結び付けることに無理があった。 「ふるさと」を拡大解釈すれば、共同体主義的な理想とは無関係に、かつ、税制の原則に反する形で、一部の自治体だけが常識的に見て“不当”な利益を得ることが可能になる。「ふるさと納税」はそういう仕組みだった。 国はある意味、そのことに気が付いて、法改正によって矛盾を解消しようとしたわけだ。 だが自分で抜け穴を作っておきながら、それを利用した自治体を罰するのは、法治主義の原則に反する。国自身の制度設計の甘さ、理念が曖昧だったことを反省すべきであって、自治体に責任を負わせるのはおかしい。 親が使い方を曖昧にしか指示しないで、子どもにお金を渡して、子どもがそのお金を変な用途に使ったというので叱るようなものだ。そんな場合には子どもはその親に対して不信感を持つだろう』、「総務省に置かれた第三者機関である国地方係争処理委員会」が「市側の主張を大筋で認め、指定除外の判断に合理性があるか疑問だとして、総務省に再検討を勧告した」、「しかし、総務省が勧告にもかかわらず除外を継続」、とは「総務省」の対応は信じられないほどお粗末だ。「自分で抜け穴を作っておきながら、それを利用した自治体を罰するのは、法治主義の原則に反する。国自身の制度設計の甘さ、理念が曖昧だったことを反省すべきであって、自治体に責任を負わせるのはおかしい」、同感である。
・『保守的価値観と経済的効率 同時に追求する矛盾  理念の曖昧さや制度の矛盾はほかにもある。最高裁判決の補足意見で宮崎裁判長が述べているように、「税」を支払うことに対する「返礼」というのも、確かにおかしい。 返礼割合を3割に限定すれば、多少は矛盾が緩和されるかもしれないが、制度的な矛盾が根本的に解消されるわけではない。 また、何をもって地場産品というのかもそれほどクリアではない。 小山町の場合、地元に工場があるリンガーハットグループの共通商品券を、地場産品とみなして返礼品に加えていたことが問題になったとされている。 これが地場産品だと無理なく考えられる人は少ないだろうが、何をもって、その地域の特徴を表す商品といえるのか、感謝の気持ちを表すにふさわしいというのか、人によってかなり判断が異なるだろう。 当初想定していたように、苦労している地元の人を支援したいという気持ちから寄付することを奨励するのなら、その土地だけでしか作られていない品物に限定しなくてもいいようにも思える。) 現在、新型コロナ問題の影響で売り上げが急減した地元の観光業や飲食業を守るため、返礼品制度を活用しようとしている自治体は少なくない。 確かに返礼品は、その地域の観光業や伝統工芸、食品産業のアピールになる。しかし、限られた税収を、返礼品を武器にして自治体同士が奪い合うというのはやはり不自然である。 コロナ問題で地域間の行き来が現状でもかつてのようには戻っていないだけに、地域間の対立をあおることになる可能性もある。 元はといえば、人と地域のつながりが希薄になっている現在の日本で、「ふるさと」という曖昧な概念でこうした地域振興策を追求することに無理があった。 文教政策的な課題としての「郷土愛」と、地域経済振興を融合するという構想は、魅力的に思えるが、現実を無視した融合を図るべきではない。 ふるさと納税制度の抱える根本問題に、愛国心を核とする保守的な価値観と、経済的効率化を同時に追求する自民党政権の矛盾が集約的に表れているように思える。 今年1月、大阪高裁は国の決定は、法による委任の範囲内であり、租税法律主義に反しないとして、市の訴えを退けたが、今回の最高裁の判決で、市の逆転勝訴になったわけだ』、「ふるさと納税制度の抱える根本問題に、愛国心を核とする保守的な価値観と、経済的効率化を同時に追求する自民党政権の矛盾が集約的に表れている」、「矛盾」を度外視して強引に強行した安部政権のやり方が最高裁から否定された形となったが、「国」の主張を認めてきた地裁、高裁の裁判官はさぞかし気まずい思いをしていることだろう。
・『裁判官が補足意見で指摘 制度設計の甘さや理念の曖昧  最高裁は、国の不指定は明確な根拠を欠いており、違法であるという判断を示した。 ただ、宮崎裕子裁判長 は補足意見で、自治体が受け取るのが「税」だとすれば、その対価を納税者に支払うというのは「税」の定義に反しており、「税」と(返礼があってもおかしくない)「寄付金」という全く異質のものを同じ枠組みで扱うことはもともと矛盾をはらんでおり、法改正によってもそれは解消されないことを指摘している。 また林景一裁判官も同じく補足意見として、国家全体の税収を上げることなく、国と自治体間で税収をめぐるゼロサムゲームを繰り広げることを前提とする制度に疑問を呈した。 そのうえで、ことさら返礼品の金銭的な割合を強調して寄付を集めようとする泉佐野市の姿勢を批判し、「ふるさと納税から得られることが通常期待される水準を大きく上回る収入を得てしまっており、…中略…新たな制度の下で、他の自治体と同じスタートラインに立ってさらなる税収移転を追求することを許されるべきではないのではないか、あるいは、少なくとも、追求することを許される必要はないのではないかという感覚を抱くことは、それほど不当なものだとは思われない」と述べ、国の立場に一定の理解を示している』、私も「泉佐野市の姿勢」にはかねてから腹を立てていたので、「補足意見」での「泉佐野市の姿勢を批判」には同感である。

第三に、7月25日付け現代ビジネスが掲載したドクターZによる「ふるさと納税「国のいやがらせ」からの逆転勝訴で見えた、官僚の支配構造 「上から目線」の総務省」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/74143
・『総務省の「後出しジャンケン」  ふるさと納税の制度除外をめぐる国と地方自治体の争いで、最高裁は国の決定を取り消す判決を下した。これにより、総務省は大阪府泉佐野市や和歌山県高野町、佐賀県みやき町の制度参加を再び認めると発表した。 国の判断が最高裁で取り消されることは異例だが、振り返ると制度から特定の自治体が外されるのはめったにないことだ。結論から言えば、各自治体の財政支出については、それがどのような形であれ、市民が決めるもので、それ以外の人間が口を出すべきではない。 たしかに、自治体のふるさと納税の「返礼品戦争」は一時期過熱を極めており、寄付額より返礼品の方が高価であることもザラだった。これを受け、昨年6月、地方税法等の改正により総務省が返礼品の規制をする流れとなった。 これに対し、泉佐野市は「閉店キャンペーン」を展開し、返礼品に加えてアマゾンギフト券を配布するなど、変更前の駆け込み需要の取り込みに走った。 これが総務省を激怒させた。同省は新制度の対象を選定するに当たり、「'18年11月から'19年3月までの寄付募集について、他自治体に多大な影響を与えていない」との条件を設定し、泉佐野市など4市町が新制度の対象外となったのだ。 これは特定の自治体を狙い撃ちした総務省の露骨な「後出しジャンケン」である。総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」も総務省に再検討を勧告したが、総務省は無視した。 泉佐野市は国を訴えることになったわけだが、今年1月、大阪高等裁判所は、総務省の行政裁量を認め、「制度から除外したことは違法ではない」として同市の訴えを退けた。最高裁で同市の逆転勝訴が決定したのは、6月30日のことだ』、「総務省の露骨な「後出しジャンケン」」とは言い得て妙だ。
・『今回の最高裁判決については、小兵平幕力士が大横綱を土俵際で見事に「うっちゃった」感があり、爽快だ。 大阪の一地方都市が総務省に勝つとは、まさに奇跡的なことだと言える。総務省としても、最高裁判決が出た以上、泉佐野市ら3自治体をふるさと納税の対象とせざるを得ない。 ただし、今回の判決は、あくまで先述した「後出しジャンケン」のような基準が問題だったとしているだけで、総務省によるふるさと納税規制そのものを否定しているわけではない。そのため、以前と同様に、派手なバラマキキャンペーンで納税者を募ることはできないだろう。 結局のところ、今回の判決でも、総務省がふるさと納税のルールを決めている実情を覆してはいない。本来なら、返礼品のルールは地方自治体の財政支出である以上、その地方自治体の市民が市長や市議会議員を選ぶことで決めるべきだ。 今回の騒動の根底には、総務省が「上から目線」で自治体を見ていることがある。地方自治体を「指導・監督」するような国家機関は、先進国ではまず見当たらない。 今の日本では、国と地方自治体が対等であるとされている。であれば、もはや総務省が果たすべき役割はない。むしろ総務省官僚のおごりがあるだけ、地方自治体の足かせになっているのではないか。これを機に、総務省の存在意義を考え直すべきだ』、私は「ふるさと納税」制度そのものに反対だが、それを除けば「ドクターZ」の主張には方向としては賛成だ。総務省は、地方交付税の配分、各種補助金の交付、地方債の認可などを通じて、「地方自治体」をがんじがらめにしている。ただし、自由化するには、地方債への暗黙の保証を外す、「地方自治体」の破綻法制を整備するなどの準備が必要になる。
タグ:仲正昌樹 ふるさと納税制度 ダイヤモンド・オンライン 現代ビジネス ドクターZ 文春オンライン (その4)(返礼品の消滅で“制度崩壊”も! ふるさと納税を襲う「宅配クライシス」の実態 総務省の「5割ルール」は形骸化しつつある、ふるさと納税 「国vs泉佐野市」の最高裁判決でも残った根源問題、ふるさと納税「国のいやがらせ」からの逆転勝訴で見えた 官僚の支配構造 「上から目線」の総務省) 「返礼品の消滅で“制度崩壊”も! ふるさと納税を襲う「宅配クライシス」の実態 総務省の「5割ルール」は形骸化しつつある」 高知県室戸市は北海道、沖縄、離島地域への返礼品の配送をやめる方針を打ち出した。遠方への配送料の高騰が原因 ふるさと納税で「税収の2割」を稼ぎ出したビール 工場閉鎖の背景には配送料の高騰がある 「返礼品を送れない」ケースが続出する? 「ふるさと納税、「国vs泉佐野市」の最高裁判決でも残った根源問題」 制度からの除外は違法 市が国に逆転勝訴 最高裁は6月30日、市側の訴えを認め、国の措置は違法だとして、除外の取り消しを命じた 制度の根本問題 三位一体改革の税源格差 補完する狙いだったが 「ふるさと納税研究会」 曖昧だった「ふるさと」 返礼品競争を誘発 急増の理由として指摘されたのが、自治体間の返礼品競争だ。 単なる感謝の気持ちの表明というよりは、キックバックによる納税の誘導と思えるものも現れた 寄付額の3割以下に規制 4自治体は「不指定」に 総務省に置かれた第三者機関である国地方係争処理委員会に審査 委員会は同年9月、市側の主張を大筋で認め、指定除外の判断に合理性があるか疑問だとして、総務省に再検討を勧告した。 しかし、総務省が勧告にもかかわらず除外を継続 自分で抜け穴を作っておきながら、それを利用した自治体を罰するのは、法治主義の原則に反する。国自身の制度設計の甘さ、理念が曖昧だったことを反省すべきであって、自治体に責任を負わせるのはおかしい 保守的価値観と経済的効率 同時に追求する矛盾 ふるさと納税制度の抱える根本問題に、愛国心を核とする保守的な価値観と、経済的効率化を同時に追求する自民党政権の矛盾が集約的に表れている 裁判官が補足意見で指摘 制度設計の甘さや理念の曖昧 「ふるさと納税「国のいやがらせ」からの逆転勝訴で見えた、官僚の支配構造 「上から目線」の総務省」 総務省の「後出しジャンケン」 地方自治体を「指導・監督」するような国家機関は、先進国ではまず見当たらない 総務省は、地方交付税の配分、各種補助金の交付、地方債の認可などを通じて、「地方自治体」をがんじがらめにしている 自由化するには、地方債への暗黙の保証を外す、「地方自治体」の破綻法制を整備するなどの準備が必要
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