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米中経済戦争(その12)(「脱中国」サプライチェーンが世界中で本格化 日本の製造業も対応急務、領事館閉鎖は序の口 バイデン政権が狙う中国潰し 大統領選対策のトランプ芝居とは異なる強硬な対中政策へ、ポンペオ演説ににじむ「対中政策」後悔の端緒 6年前に現れていた"中国台頭"の懸念と予兆) [世界情勢]

米中経済戦争については、6月4日に取上げた。今日は、(その12)(「脱中国」サプライチェーンが世界中で本格化 日本の製造業も対応急務、領事館閉鎖は序の口 バイデン政権が狙う中国潰し 大統領選対策のトランプ芝居とは異なる強硬な対中政策へ、ポンペオ演説ににじむ「対中政策」後悔の端緒 6年前に現れていた"中国台頭"の懸念と予兆)である。

先ずは、7月10日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したジャーナリストの姫田小夏氏による「「脱中国」サプライチェーンが世界中で本格化、日本の製造業も対応急務」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/242724
・『新型コロナウイルスのまん延をきっかけに、世界各国の製造業は中国に依存したサプライチェーン(製品供給網)の再構築を迫られている。米国は通商政策の結果、昨年、中国からの輸入を減少させた。日本もコスト削減以上に、防疫、国防、ブロック経済化を視野に入れた供給網の見直しを迫られている』、「日本」の「供給網の見直し」はどうなるのだろう。
・『いち早く国内回帰へ動いた台湾の製造業  サプライチェーン(製品供給網)の再編は、深刻化する米中貿易戦争で重要な検討課題となっていた。これにくさびを打ち込んだのが新型コロナウイルスだ。これまで「米中間の政治マター」ともいわれてきたサプライチェーンの国内回帰の動きだが、グローバル化の後退とともに本格化する気配だ。 中国大陸からのサプライチェーンの移転で、迅速な動きを示したのが台湾だった。2019年、深刻化する米中貿易戦争を背景に、「国内回帰」と「南下政策」の2本立ての政策を打ち出した。国内回帰策といわれる「歓迎台商回台投資行動方案」に基づき、中国で操業している台湾企業を対象にUターン投資を推進した結果、20年7月2日時点で192社、総額で約7763億台湾ドル(約2兆8323億円)の投資が認可された。 その中には世界に冠たる技術を持つ企業もあり、水晶デバイスで世界首位の台湾晶技(TXC)、リニアガイドの生産量で世界屈指の上銀科技(ハイウィン・テクノロジーズ)、半導体のイオン注入装置大手の翔名科技(フィードバックテック)などが、台湾での操業のための準備を着々と進めている。 日本でも昨年、中国からの生産シフトが議論されたが、台湾のような積極的な動きは特に見られなかった。経済産業省の外郭団体である日本立地センターにヒアリングしたところ、「拠点を国内に戻す企業は一部あるものの、国内回帰が潮流になるほどでもない」とし、「海外での事業を継続するのが日本の製造業の傾向」という回答だった。 同年10月5日、日本経済新聞は、日本企業の中国担当者1000人を対象にしたアンケート結果を公表したが、「現状維持で様子見」が約6割を占めていた。筆者も中国駐在者にたずねたところ、「弊社の生産活動は中国市場への供給がメイン」という回答や、「米中の政治マターだから、そのうち元のさやに収まるのではないか」という見方もあった。 新型コロナウイルスの打撃を受ける前までは、インバウンド需要もあり、化粧品メーカーなどを中心に、日本国内での生産拠点を増強する動きも見られた。化粧品は訪日外国人客の間で高まる日本ブランド人気で、前年に品切れが続出したこともあり、国内体制の強化が待たれていた。 その一方で、「海外シフトを強めたことのツケで、工場を増設しても技術者が足りない」という声も聞かれた。化粧品のみならず、日本は製造業の空洞化が長年続いたこともあり、技術者は雲散霧消してしまい、製造現場での労働者確保が懸念材料となっていたのは周知のとおりである』、「中国で操業している台湾企業」は「国内回帰」に力を入れているのには、香港情勢も影響している筈だ。他方、「海外での事業を継続するのが日本の製造業の傾向」とは何事も慎重な日本企業らしい。
・『米国は貿易戦争で900億ドルの減少に  18~19年にかけて激しい米中貿易戦争を繰り広げた米国だが、米国企業の生産拠点にはどのような変化が起こっているのだろうか。 米コンサルティングファームのA.T.カーニーは4月、アジア14カ国・地域の低コスト生産国(中国、台湾、マレーシア、インドネシア、インド、タイ、ベトナム、パキスタン、スリランカ、カンボジア、香港、シンガポール、バングラデシュ、フィリピン)からの19年の合計輸入額は7570億ドル(約81.8兆円)となり、前年の8160億ドル(約87.5兆円)から7.2%、金額にして590億ドル(約6.4兆円)が減少したと、調査結果を公表した。 中国からの総輸入額は900億ドル(約9.7兆円)減少し、中国以外の低コスト生産国から310億ドル(約3.3兆円)増加したうちの約半分がベトナムからの輸入だという。A.T.カーニーは「高関税をかわすために、中国の生産者がベトナムで積み替えて米国に出荷したことが考えられる」と推察している。同様に、メキシコからの輸入も130億ドル(約1.4兆円)増加している。 このような動向を表すのが、製造業の輸入比率(MIR)である。19年に12.1%をつけたが、これは米国の製造業総生産の1ドルごとに、アジアの低コスト生産国から12.1セント相当のオフショア輸入を行ったことを示している。MIRは11年以降、一貫して右肩上がりが続き、18年は13.1%まで上昇していた。 また、08年から追跡を開始したリショアリング(海外拠点の国内回帰)指数は、98ポイントという前例なき急上昇を示した。18年はマイナス32ポイントだったことからすると、「2019年のシビアな米中貿易戦争で、多くの米国企業が代替手段を模索した結果」(A.T.カーニー)だといえる。 昨年は、米国の通商政策により多くの米国企業が中国からの輸入を減らそうと並々ならぬ企業努力を強いられたが、その一方で、「貿易戦争が終われば元に戻る」ともささやかれていた。しかし、A.T.カーニーのレポートは「新型コロナウイルスの影響でその可能性はなくなった」と断じている。 A.T.カーニーがまとめた19年の結果は、米国のサプライチェーンが中国以外のほかの低コスト生産国にシフトしたことを告げるものだが、中国からの米国内への回帰は依然課題であり続けているようだ。自動化の導入や熟練工の確保の進展については、引き続き目を向けていきたいところだ』、「米国のサプライチェーンが中国以外のほかの低コスト生産国にシフト」は発生したが、「米国内への回帰」はコストから難しそうだ。
・『世界の権威が指摘する反グローバリゼーションの動き  3月20日発行の米外交専門誌「フォーリン・ポリシー」には、12名の論客が「ポストコロナの世界動向」についてコメントを寄せているのだが、うち3名の論客が従来のサプライチェーンの継続性について、以下のような悲観的見解を示している。 英国王室国際問題研究所所長のロビン・ニブレット氏は、「新型コロナウイルスは、政府、社会、企業に長期的な経済的孤立を強いるものとなり、21世紀初頭に定義された有益なグローバリゼーションの考えに戻る可能性は非常に低いと思われる」と指摘している。 ピュリツァー賞を受賞した米国ジャーナリストのローリー・ギャレット氏は「サプライチェーンは消費地に近づき、企業の短期的な利益はカットされるが、システム全体の回復力は高くなる」と論じ、米外交官のリチャード・N・ハース氏は「サプライチェーンの脆弱性から、地産地消に向かうだろう」と主張している。 12人の論客のコメントから感じ取れるのは、つい最近まで進展を見せたウィン-ウィンの関係によるグローバル化は陰りを見せ、その逆の動きが始まるという世界の流れの大きな変化だ。 こうした逆流に日本も無縁ではいられない。最近、中国が尖閣諸島で見せる動きなど、日中間が抱える火種の再燃も懸念され、ひとたびこれがこじれるような事態になれば、中国は日本に経済制裁を科してくるに違いない。世界覇権を急いでいるようにも見える中国だが、同国では有識者による「世界は今後、米国と中国の2つの陣営に棲み分けされる」とする発言が目立つようになった。中国からすれば、日米同盟を理由に日本を同じ陣営とは解釈しないだろう。 周りを見渡せば、日本人の生活を取り巻く商品の大半が「メイド・イン・チャイナ」である。生鮮野菜、加工食品、冷凍食品などの食にかかわる商品はもちろん、医療用品、家電製品、小物雑貨に至るまで、ありとあらゆるものが中国からの輸入品だ。 コロナ禍の日本はマスクや医療用品の不足解消に奔走させられたが、ひとたび非常事態に陥れば、中国からの供給は、こつぜんと途絶えてしまう怖さを目の当たりにした。コスト削減を目的に日本から出ていったサプライチェーンだが、ここに防疫や国防、ブロック経済化のリスク回避が加わる今、日本企業も国内回帰や拠点分散化を加速させるときが来たようだ』、「つい最近まで進展を見せたウィン-ウィンの関係によるグローバル化は陰りを見せ、その逆の動きが始まるという世界の流れの大きな変化だ」、「日本企業も国内回帰や拠点分散化を加速させるときが来たようだ」、「日本企業」もいつまでも慎重姿勢を続けることは許されないだろう。

次に、7月27日付けJBPressが掲載した読売新聞出身で米国在住のジャーナリストの高濱 賛氏による「領事館閉鎖は序の口、バイデン政権が狙う中国潰し 大統領選対策のトランプ芝居とは異なる強硬な対中政策へ」を紹介しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/61451
・『米中の「カブキ・プレー」とは  中国の習近平政権は7月27日、四川省成都の米総領事館(総領事以下現地雇い中国人を含むと200人)を閉鎖、米外交官を国外追放した。 米国のドナルド・トランプ政権によるテキサス州ヒューストン総領事館(総領事以下60人)閉鎖に対する対抗措置だ。 米政府高官によると、同総領事館は米国の知的財産を窃取する一大拠点。 同総領事館の幹部は、学生や研究員という肩書を隠れ蓑に米国の学術機関に入り込んでいる中国人スパイに具体的な指示を出し、情報収集活動を支援していたという。 また米国に「亡命」している中国の反体制民主派活動家を本国送還させるタスクフォースの滞在拠点にもなっていたという。 ヒューストンの地元メディアによると、閉鎖命令が出された直後、領事館の裏庭ではドラム缶に大量の文書が投げ込まれ、領事館員が焼却しているのを隣人が目撃。 黒煙が立ち込めたため市の消防隊が出動したが、外交特権を行使して館内には入れさせなかった。 いずれにせよ、米中の在外公館閉鎖の応酬は、ヒューストンと成都といったローカルな話でとどまりそうにない。少なくとも米大統領選の行われる11月3日まではさらに強まりそうな雲行きになってきた。 トランプ大統領は、次の手としてサンフランシスコ総領事館閉鎖を考えており、これに対し、習近平主席は米国の香港総領事館閉鎖を検討しているとの憶測も出ている。 中国が米国の学術機関や民間企業が開発している先端技術情報、いわゆる米国にとっての知的財産を盗み出そうとするスパイ活動は今に始まったことではない。 それは諜報員を使ったものもあればサイバー攻撃によるものもある。 また中国だけがそうした窃取活動をしているわけでもない。 特にサイバー攻撃は中国以外、ロシアやイラン、北朝鮮といった「敵対国」も活発だ。さらにはイスラエルなど米国の同盟国も先端技術情報を盗み出そうと必死だ。 米国もこれら諸国にスパイを送り込み、同様の諜報活動を行っている。 スパイ活動は送り出した国にとっては「愛国者」であり、「英雄」だ。米中メディアも今回の在外公館閉鎖を大きく報道している。 米サイドは、トランプ大統領をはじめマイク・ポンペオ国務長官、ロバート・オブライエン大統領補佐官(国家安全保障担当)、ビル・バー司法長官、クリストファー・レイ米連邦捜査局(FBI)長官が相次いでこの件について公の場で言及し、中国の窃取活動を激しく非難している。 だが、中国やロシアによる米国内での諜報活動はこれまでにも摘発され、外交官が国外追放になったケースは少なからずある。 みな穏便かつ冷静に行われ、処理後は何事もなかったかのように外交関係は続けられてきた。 中国の蔡偉ヒューストン総領事が指摘するように「国際法と国際関係の基本的なルールに違反して」在米中国公館を閉鎖するのは異例だ。 しかも大統領自らがこれを命じたことを公言するのも例がない』、「ヒューストン・・・領事館の裏庭ではドラム缶に大量の文書が投げ込まれ、領事館員が焼却しているのを隣人が目撃。 黒煙が立ち込めたため市の消防隊が出動」、というのは日本のテレビでも流れた。やはり都合が悪い文書があったのだろう。
・『中国と「小さな戦争」望むトランプ支持層  いったいトランプ政権内部で何が起こっているのか。 北京の米国大使館に勤務したこともある国務省の元高官は今回の事件をこう見ている。「ポンペオ国務長官が7月23日にカリフォルニア州ヨーバリンダのニクソン記念図書館で行った演説を読めば分かることが一つある」 「ポンペオ長官はこう言っている。『もし我々が中国に跪けば、これからの世代、我々の子供たちの子供たちは中国共産党のご慈悲の下で加護を受けることになる』」「知的財産窃取から南シナ海での軍事示唆活動に至るまで、中国の独善的な行為について米国民は苛立たしく思っている。それは労働者層、ビジネス界、エリート層に共通している」 「ピュー・リサーチ・センターの世論調査でも中国が米国にとって『最大の敵』と答える米国民は62%に上っている」 「新型コロナウイルス感染症発生以後、こうした傾向はますます強まっているようだ」(https://www.pewresearch.org/global/2020/04/21/u-s-views-of-china-increasingly-negative-amid-coronavirus-outbreak/)) 「それを今、トランプ政権は徹底的に批判し、積極的に中国に是正を求めている、というジェスチャーは大統領選には効き目がある」 (https://www.state.gov/communist-china-and-the-free-worlds-future/) 今回の事件はトランプ大統領が打ち出した新たな選挙キャンペーン的要素がある。 「米国内、特にトランプ支持層には中国との(大規模な戦争ではなく、限定されたいざこざといった意味の)『スモール・ウォー(小さな戦争、小競り合い)』を望む者が少なくない」「反中は、彼が食らいつきたいくなる『レッド・ミート』*1だからだ」 *1=調理前の赤みががかった肉。そこから望んでいる政策や主張を意味している。 「新型コロナウイルス感染症対応のまずさ、白人警官による黒人男性殺害事件以後の『ブラック・ライブズ・マター』運動、デモ鎮圧措置など、トランプ氏は何をやってもうまくいかない」「支持率は降下、目玉商品だった経済も低迷と、大統領選に向けて明るい材料はゼロ」 「そこでこのタイミングで、米世論の反中ムードに乗っかる形で中国に対する強硬姿勢を見せたわけだ」「中国による知的財産窃取問題はトランプ政権発足以前からあり米中首脳会談でも何度も取り上げられた懸案だ。今急にこうなったわけでもない」「米中外交当局はそんなことは先刻承知。目下のところは総領事館閉鎖の応酬でメディアは騒いでいるが、外交当局者がやっているのは『カブキ・プレー』*2だ」 「問題なのはその『カブキ・プレー』、が実際の米中外交関係にインパクトを与え始めていることだ」 もう一人、バラク・オバマ政権下で東アジア太平洋担当の国務次官補を務めたダニエル・ラッセル氏(現在アジア協会政策研究所副会長)も同じような見方をしている。 「ヒューストン総領事館の閉鎖は、米中間の間で存在している外交チャンネルをさらに減らすことになり、その修復は極めて困難になってくるだろう」「中国サイドは今回のトランプ大統領の決定は、知的財産問題そのものよりも大統領選挙に関係がある、と言っている」「この指摘に反論するのは極めて難しいのではないだろうか」』、「このタイミングで、米世論の反中ムードに乗っかる形で中国に対する強硬姿勢を見せたわけだ」、「外交当局者がやっているのは『カブキ・プレー』」、さもありなんだ。
・『ソフト・ターゲット狙った中国人スパイ  米メディアは保守系ウォールストリート・ジャーナルはじめワシントン・エグザミナーなどは中国の知的財産窃取事件を大々的に報道している。 ウォールストリート・ジャーナル(7月25日付)は、新たにシンガポール国籍の中国人、ジュン・ウェイ・ヤオ容疑者が中国の諜報機関に雇われて米国務省に勤務する米国人や民間人から極秘情報を入手していた容疑で逮捕、起訴したと報じている。 検察の訴状によれば、ヤオ容疑者は国務省職員に謝礼を出して定期的にリポートを書かせ、そのうち特定の質問に答えさせる方式で情報を入手していたという。 同容疑者は司法省当局に対し、容疑を認めているという。 入手した情報には中国軍が欲しがる多用途性ステルス戦闘機「F-35B」に関する極秘情報もあったという。 「ヒューストン総領事館の知的財産窃盗事件とは直接関係ないが、中国諜報機関は外国籍の中国人のネットワークを通じて『ソフト・ターゲット』(=Soft Target、狙いやすいカモ)を標的にして情報収集をわが裏庭でやっていた」(ウォールストリート・ジャーナル) (https://www.wsj.com/articles/china-operative-pleads-guilty-to-spying-in-u-s-11595629687) 米メディアがここにきて集中的に報じている中国のスパイ事件は以下の通りだ。)*2=米政治用語で「言い争っている双方がともに落としどころは分かっていながら世論向けにはあたかも対立しているかのように見せる政治交渉」という意味。 もう一人、バラク・オバマ政権下で東アジア太平洋担当の国務次官補を務めたダニエル・ラッセル氏(現在アジア協会政策研究所副会長)も同じような見方をしている。 ●2019年12月、ボストン国際空港から中国に向かおうとしていた中国人研究員、ツァオ・ソン・ツェン容疑者が新型コロナウイルス関連の生態研究用試料ビン21本を持ち出そうとしていたことが判明、その場で逮捕された。 ●2020年1月にはボストン大学留学中の中国人学生、ヤン・クイン・イエ、6月にはスタンフォード大学留学中のソン・チェン、カリフォルニア大学デービス校留学中だったタン・ジュアン(女性)をそれぞれビザ申請虚偽申告容疑で逮捕した。 3人とも入国した際には学生・学術ビザで留学していたが、実際には中国軍直轄の空軍軍事医学大学などに籍を置く現職軍人(諜報部員とみられる)だったことが判明したためだ。 タン容疑者は司法当局の尋問を受けた直後、サンフランシスコの中国総領事館に逃げ込んだが、その後逮捕された。 むろん、この容疑はあくまでも別件逮捕。スパイ網解明が主目的と見られる。 ●米国に2009年から居住していたリ・シャオユ、ドン・ジャジイの2人の中国人スパイが中国国家安全部に指示され、テキサス、マサチューセッツ、バージニア州などのエンジニアリング・テクノロジー企業など25社をハッキングしていた容疑で逮捕状が出された。 2人はすでに出国し、中国に帰国した模様だ。 2人は、新型コロナウイルス感染症ワクチンの開発情報をはじめ軍事衛星関連などの極秘情報を中国に送っていたことが発覚している。 新型コロナウイルス発生後は、中国が米国の特効薬やワクチン開発に関する情報を欲しがっていたことが浮き彫りになっている』、「米国」への「スパイ」活動は大いにありそうで、特段、珍しいものではない。
・『「バイデン対中外交」の青写真  トランプ大統領の有権者に対するメッセージは一つ。 「中国をここまで傲慢にさせたのは、バラク・オバマ政権と民主党だ」「なぜこれほど米国の財産である先端技術情報を中国が盗むのを手をこまぬいて見逃していたのか」「しかもコロナ禍発生以後、中国人民解放軍直轄の諜報機関が米国が開発中のコロナ特効薬やワクチンに関する情報を盗もうとしている」「中国の野望に立ち向かえるのはトランプ大統領を再選させる以外にない」 オバマ政権が中国によるスパイ活動阻止に無関心であったわけではない。ところが当時は中国側も米国によるサイバー攻撃があると反論、そうした事例も明るみに出ていた。 結局、2015年9月の米中首脳会談では、商業利益を得ることを目的としたサイバー攻撃を行わないことで合意、そのための新たな対話メカニズムを創設することでお茶を濁した経緯がある。 それから5年。中国はスパイ投入とサイバー攻撃の両面から米国の知的財産窃取活動を活発化させてきたのだ。 (https://www.politico.com/story/2017/11/08/trump-obama-china-hacking-deal-244658) 米中関係の現状を踏まえれば、ジョー・バイデン前副大統領が次期大統領になっても中国のスパイ活動に厳しい対応をとることは必至だ。 問題はトランプ政権の手法とは大きく異なることだろう。 バイデン政権は、米国内に入り込んでいる中国人スパイを摘発・逮捕するのではなく、むしろサイバー攻撃による知的財産窃取活動への対応強化を図るのではないだろうか。 それを暗示する報告書がこのほど明らかになった。 米上院外交委員会の民主党委員長格のロバート・メネンデス議員(ニュージャージー州選出、2013年~15年外交委員長)が同委員会の民主党系スタッフに委託して調査し、作成した中国のサイバー攻撃に関する報告書*3が21日公表されたのだ。 *3=『The New Big Brother: China and Digital Authoritarianism』 https://www.foreign.senate.gov/imo/media/doc/2020%20SFRC%20Minority%20Staff%20Report%20-%20The%20New%20Big%20Brother%20-%20China%20and%20Digital%20Authoritarianism.pdf) この報告書が問題提起している点は以下の通りだ。 一、中国は自らが開発した情報通信技術(ICT=Information and Communication Technologies)のハードウエアとシステムを中国国内だけでなく海外にまで拡散拡大することを狙っている。 一、それによって経済の継続的発展だけではなく、『デジタル権威独裁主義』(Digital authoritarianism)をデジタル統治・支配のモデルとして確立、拡大、国際化、制度化させることを目指している。 一、もしこの中国の動きを黙認すれば、中国はデジタル・ドメインのルールを勝手に書き、米国のみならずその同盟国のインターネットや関連技術を支配する『デジタル権威独裁主義』の扉を開けさせてしまうことになる。 一、これが実現すれば、中国はデジタルにより自らの人権抑圧・反政府民主化活動監視などを強化するだけでなく、世界の独裁政権に『デジタル権威独裁主義』のツールを提供することが可能になる。 一、すでに中南米のベネズエラ、エクアドル、アフリカのザンビアなどの独裁者はこの中国のモデルに強い関心を示している。 一、これを阻止するために米大統領は中国の『デジタル権威独裁主義』に対抗する同盟国・友好国による連合を結成するよう提唱する。 一、米国内においては議会が『デジタル権威独裁主義』に対抗する方策として米国主導の5G(第5世代移動通信システム)を創設するための官民コンソーシアム設立法を成立させるべきである。 一、また議会は、サイバー軍事士官学校(Cyber military service academy)を新設する法律を成立させるべきである。 すでに「バイデン大統領」がサイバー攻撃を阻止するための閣僚ポストを新設すべきだといった意見があることを示唆する論評も出ている。 (https://www.nytimes.com/2020/05/20/opinion/biden-vice-president-cabinet.html) バイデン陣営の幹部の一人、A氏はトランプ氏の中国スパイ摘発や中国総領事館閉鎖について、筆者にこう述べている。 「大山鳴動して鼠一匹(Much cry little wool)の譬え。中国の知的財産窃取を撲滅するにはもっと大きな仕かけが必要だ」「トランプ氏のやっていることはFBIがマフィアの使い走りを摘発しているようなものだよ」 A氏の言葉を日本流に解釈すれば、「トランプ捕り物帖」は面白いが中身は薄い。木を見て森を見ずなのかもしれない』、「「トランプ捕り物帖」は面白いが中身は薄い。木を見て森を見ずなのかもしれない」、本丸は「バイデン陣営」が狙う「中国のサイバー攻撃」による『デジタル権威独裁主義』を阻止することこととは、大掛かりだ。非力な日本には無理なので、「バイデン」「次期大統領」に頑張ってもらいたい。

第三に、7月30日付け東洋経済オンラインが掲載した作家・ジャーナリストの青沼 陽一郎氏による「ポンペオ演説ににじむ「対中政策」後悔の端緒 6年前に現れていた"中国台頭"の懸念と予兆」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/365905
・『米中の“新冷戦”が新たな局面に入った。アメリカのマイク・ポンペオ国務長官は7月23日の演説で、中国との対立姿勢を強烈に打ち出した。 「習近平総書記は、破綻した全体主義のイデオロギーの真の信奉者だ」と断言。「われわれは両国間の根本的な政治的、イデオロギーの違いをもはや無視することはできない」と、中国の共産主義に批判の矛先を向けた。さらに、アメリカの歴代政権が続けてきた、一定の関係を保ちながら経済発展を支援し、ひいては中国の民主化を促す「関与政策」を「失敗」と断じた。 演説の場所が、カリフォルニア州にあるリチャード・ニクソン大統領図書館・博物館であったことも、その意義を強調している。中国への電撃訪問で国交を開き、「関与政策」を始めたのも、ニクソン大統領だったからだ』、「ポンペオ国務長官」が「ニクソン大統領図書館・博物館」で歴史的な反中国演説をするとは、アッパレだ。
・『ポンペオ演説の裏側に潜む真意  この演説の前に、アメリカ政府はテキサス州ヒューストンにある中国総領事館を閉鎖させている。これについて、ポンペオ国務長官は「スパイ活動と知的財産窃盗の拠点」だったことを理由とした。中国はこの報復として、四川省成都のアメリカ総領事館を閉鎖させた。 ポンペオ国務長官はこうも発言している。 「自由世界が共産主義の中国を変えなければ、中国がわれわれを変えるだろう」 この意味するところは大きい。言い換えれば、このままだと中国の共産主義が世界をのみ込んでしまう、ということであり、もはや中国共産党による国家体制を破壊することすら意味している。 香港情勢も加わって、2大国のこのようなイデオロギー対決にまで至っている。しかし、「中国が世界のルールを変えてしまう」という懸念と予兆は、ずっと以前からアメリカ国内にあった。それも世界の「食の安全」を変えてしまうというものだ。 私がアメリカの首都ワシントンDCを訪れた、6年前のことだ。毎年開催される「米国食肉輸出連合会(USMEF)」の総会を取材するためだった。 世界中に支部を持つこの団体の主な任務は、ひと言で言えば、アメリカ産の牛・豚肉輸出のインテリジェンスだ。日本にも東京・虎ノ門にオフィスを構える。 アメリカ国内の個人の食肉生産者、飼料穀物生産者から、「カーギル(Cargill)」などの穀物メジャー、加工業者、流通業者、それに農業団体など、あらゆる立場の関係者からの出資と、政府の資金が供出された半官半民の組織として、1976年に設立された。アメリカの食肉戦略の要だ。 USMEFの総会では、その1年間の活動が報告される。世界のどの地域のどこの国で輸出が伸びなかった、その理由はどこにあるのか、どうすればよいのか――。牛肉、豚肉の分科会で大学の研究者らが報告を行い、翌年の活動方針を立てる。 私が訪れた当時は、オバマ政権の末期で、今では信じられないかもしれないが、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)の合意が遅れているのは日本のせいだ、と批判する意見まで飛んでいた』、「「米国食肉輸出連合会」の総会は、政府への影響力も大きそうだ。
・『「世界の秩序が崩壊しつつある」  3日間の予定で開催された総会の最終日。全体のビジネスセッションが行われた。壇上にはパネラーとして、在ワシントン・アイルランド大使、アメリカ農務省海外農務局局長次官補、それに大手海外コンサルティング会社社長が並んでいた。 その冒頭、司会進行役からのこんな発言から始まった。 「今、世界の秩序が崩壊しつつあります」 そこから、当時は世界の脅威ともなっていたイスラム過激派組織ISIS(イスラミックステイト)や、ロシアがクリミア半島を併合したウクライナ情勢を例に、その深刻さを強調したところで、こう続けた。 「そこへ来て問題なのは中国です。新しい世界状況にどう対応していくのか、そこがはっきりしない……」 中国では、ちょうど習近平政権が「一帯一路」政策を打ち出し、AIIB(アジアインフラ投資銀行)を立ち上げた時期と重なっていた。そこへ、パネラーの農務省局長次官補がこう評価を加えた。 「中国はこれまで世界の標準をつくる国ではなかった。開放政策をとっていく中で、世界に顔を出す国ではなかった。WTO(世界貿易機関)への加盟でも、先に決まったことを中国が受け入れる形で行われてきた。ところが、金融危機以降の中国は、国際舞台に顔を出すようになってきた。軍事的にも強大で、政治的影響力を持つようになり、世界のルールを変える、あるいは策定する力を持つようになってきた」 そこから、食の安全のグローバル化、標準化にも中国が影響してきている例として「ラクトパミン」が挙げられた。 ラクトパミン(塩酸ラクトパミン)とは、興奮剤・成長促進剤としての作用がある化学物質。主に赤身肉を多くさせる目的で、アメリカでは豚の肥育最終段階(出荷前45〜90日)で使用される。 日本人の多くは知らないかもしれないが、アメリカやカナダから輸入される豚肉には、この薬剤が使用されている。一方で、日本国内で生産される豚肉には使用が認められていない。 この安全性について、FAO(国連食糧農業機関)とWHO(世界保健機関)が共同で組織し、食品の国際規格を設定するコーデックス委員会は2012年7月5日に、動物組織に使用する場合の最大残留基準値を設定している。つまり、豚肉や牛肉における安全とされる残留基準値だ。 だが、この基準値はアメリカの提案による参加国の票決によって決まったもので、しかもその内訳が賛成69票、反対67票という僅差によるものだった。これに猛反発しているのがEU(欧州連合)だった。 決定の翌日、EUはさっそく声明を発表し、「データが十分でなく、ヒトへの健康影響が除外できない」として、使用肉の輸入すら断固拒否した。これとまったく同じ立場をとったのがロシアと中国だった。 もともと中国では、豚肉の脂身を減らし赤身肉を増やす「痩肉精」と呼ばれる添加物が使われていた。ところが、中国各地でこの肉を食べたことによる中毒事件が発生したため、全土での使用が禁止された。 そんな過去のトラウマから、中国には肉赤身化剤を一掃したい事情があった。少しでも認めようものなら、国内でまた模造品が出回って、とんでもないことになるからだ。 だが、アメリカはそうは受け取らない』、「金融危機以降の中国は、国際舞台に顔を出すようになってきた。軍事的にも強大で、政治的影響力を持つようになり、世界のルールを変える、あるいは策定する力を持つようになってきた」、との時代認識は正しいが、「ラクトパミン」問題では米国の主張は余りに手前勝手だ。
・『「動物防疫上の理由から貿易を阻害している国」  彼らは中国をそう表現していた。 しかも、「中国はEUのやり方をまねている」という意見がパネラーから飛び出すほど、アメリカにとってみればEUと中国が歩調をそろえたように映った。いや、その時点でEUを超える存在に見えた。 だから、アメリカの食肉業界を代表する彼らは、こう言っていた。 「これからは、中国が食の安全のルールを決めていく」 中国の“毒食”を指摘してきた日本からすれば、とても信じがたいことかもしれない。しかし、世界的に見れば、中国は食の安全に厳格さを求めるようになって、食料貿易にも大きな影響を与える国として台頭していた』、「中国は食の安全に厳格さを求めるようになって、食料貿易にも大きな影響を与える国として台頭」、米国に対抗し得る勢力として日本にとっても大歓迎だ。
・『中国の過度な台頭を許した原因  今年6月に中国は、アメリカ、カナダ、ブラジルから輸入される大豆に、新型コロナウイルスに汚染されていないとする安全証明書を求めている。今では日本国内でも、中国の“毒食”を指摘する声も聞こえてこない。 今回のポンペオ国務長官の演説の裏にあるのは、そのころから叫ばれていた中国の台頭がここまでになるとは予測していなかったことだ。むしろ、気づくのが遅すぎたほどだ。 その見通しの過ちは、前政権の局長次官補が言ったように、中国のWTO加盟によって「中国は既存の世界の貿易ルールに従う国だ」と錯覚したことにある。これからは自由主義経済に従う、共産主義も変わっていく。それこそが「関与政策」の成功の第1歩とすら思っていた。だからこそ、ここへ来てポンペオ国務長官が「失敗」と表明したはずだ。 中国が世界の食の安全を牛耳る。厳格化させる。そうなると、日本が中国に食料を依存するようになって以来、ずっと“毒食”問題を叫んできたことが、中国を教育して、改めさせた国として誇らしいが、今ではその中国の言いなりにさせられるところにまで、世界情勢は来ている』、「日本が」「中国を教育して、改めさせた国」か否かはともかく、「中国が世界の食の安全を牛耳る。厳格化させる」のは有難い話だ。
タグ:米中経済戦争 (その12)(「脱中国」サプライチェーンが世界中で本格化 日本の製造業も対応急務、領事館閉鎖は序の口 バイデン政権が狙う中国潰し 大統領選対策のトランプ芝居とは異なる強硬な対中政策へ、ポンペオ演説ににじむ「対中政策」後悔の端緒 6年前に現れていた"中国台頭"の懸念と予兆) ダイヤモンド・オンライン 姫田小夏 「「脱中国」サプライチェーンが世界中で本格化、日本の製造業も対応急務」 世界各国の製造業は中国に依存したサプライチェーン(製品供給網)の再構築を迫られている 「ニクソン大統領図書館・博物館」で歴史的な反中国演説 ポンペオ国務長官 海外での事業を継続するのが日本の製造業の傾向 外交当局者がやっているのは『カブキ・プレー』 青沼 陽一郎 東洋経済オンライン 高濱 賛 「バイデン対中外交」の青写真 サイバー攻撃による知的財産窃取活動への対応強化を図る 世界の権威が指摘する反グローバリゼーションの動き つい最近まで進展を見せたウィン-ウィンの関係によるグローバル化は陰りを見せ、その逆の動きが始まるという世界の流れの大きな変化だ ソフト・ターゲット狙った中国人スパイ 中国は食の安全に厳格さを求めるようになって、食料貿易にも大きな影響を与える国として台頭 「米国内への回帰」はコストから難しそうだ このタイミングで、米世論の反中ムードに乗っかる形で中国に対する強硬姿勢を見せたわけだ 「米国のサプライチェーンが中国以外のほかの低コスト生産国にシフト」 ポンペオ演説ににじむ「対中政策」後悔の端緒 6年前に現れていた"中国台頭"の懸念と予兆」 JBPRESS 中国と「小さな戦争」望むトランプ支持層 日本企業も国内回帰や拠点分散化を加速させるときが来たようだ 米中の「カブキ・プレー」とは デジタル権威独裁主義 いち早く国内回帰へ動いた台湾の製造業 中国の過度な台頭を許した原因 「領事館閉鎖は序の口、バイデン政権が狙う中国潰し 大統領選対策のトランプ芝居とは異なる強硬な対中政策へ」 米国は貿易戦争で900億ドルの減少に 今回の事件はトランプ大統領が打ち出した新たな選挙キャンペーン的要素 ポンペオ演説の裏側に潜む真意 「ラクトパミン」問題では米国の主張は余りに手前勝手だ 「動物防疫上の理由から貿易を阻害している国」 「世界の秩序が崩壊しつつある」 中国が世界の食の安全を牛耳る。厳格化させる 金融危機以降の中国は、国際舞台に顔を出すようになってきた。軍事的にも強大で、政治的影響力を持つようになり、世界のルールを変える、あるいは策定する力を持つようになってきた
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