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東京国際金融センター(その1)(東京が「金融センター」には到底なれない理由 香港混乱が続く中 再び構想が浮上している、香港金融人材の日本移住が簡単にはいかない訳 外国人には3つの障壁が立ちはだかっている、菅官房長官の“利権” 「アジアの金融センター」が東京ではなく「大阪・福岡」に…) [金融]

今日は、香港問題を契機に再燃した東京国際金融センター(その1)(東京が「金融センター」には到底なれない理由 香港混乱が続く中 再び構想が浮上している、香港金融人材の日本移住が簡単にはいかない訳 外国人には3つの障壁が立ちはだかっている、菅官房長官の“利権” 「アジアの金融センター」が東京ではなく「大阪・福岡」に…)を取上げよう。

先ずは、7月14日付け東洋経済オンラインが掲載した『フランス・ジャポン・エコー』編集長、仏フィガロ東京特派員 のレジス・アルノー氏による「東京が「金融センター」には到底なれない理由 香港混乱が続く中、再び構想が浮上している」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/362263
・『東京は、アジアの金融センターとして香港になり代わることができるのか。香港において国家安全維持法が施行され、それに反発するデモと治安当局との衝突が起きる中で、現地の金融コミュニティは、安全に不安を抱くようになっている。こうした中、安倍晋三首相は、日本が香港に取って代わるという発想を温めている。 安倍首相は6月12日の国会で、「香港から来る人も含め、専門的かつ技術的に優れた能力を持つ外国人を歓迎する」と発言。翌日には自民党が、ポストコロナ時代における日本経済の抱負として、東京を国際的な金融センターにするという計画を打ち出した』、「安倍首相」の言明は香港問題への悪乗りとしか思えないようなお粗末な対応だ。
・『構想はこれまでもあった  東京を金融センターにするという計画が持ち上がったのは今回が初めてではない。日本のベテランエコノミストであるイェスパー・コール氏は「私が1986年に来日したとき、当時の宮澤喜一大蔵相(当時)はすでに成長戦略の一環として金融業推進を掲げていた」と話す。 昨今の例をあげるならば、2014年には当時の舛添要一都知事が同じ目標を掲げて金融促進事業を開始しており、2016年には現都知事である小池百合子氏がこれにならった。さらに2019年には自由民主党が同様の事業を行ったが、これらの試みはことごとく失敗している。 コール氏は、「アブダビやシンガポールで起業するなら、管理職、会計士、マーケティング担当者、弁護士、全て英語話者で揃えることができる。東京の環境はそうなっていない」と語る。 世界第3位の規模の株式市場を有し、取引高の3分の2を外国人投資家が占める東京は、確かに一見すると傑出した金融センターであるかのように映り、世界の大手ファンドはどこも東京にオフィスを構えている。 元日銀政策委員会の審議委員である白井さゆり氏は、2017年のアジア開発銀行研究所の論文で、「日本の長所は、GDP世界第3位を誇る経済規模、米ドルとユーロに次ぐ第3の国際通貨という円の地位、そして豊富な資本を抱える巨大な金融市場だ。東京には、その地理を利用して、台頭しつつあるアジア市場に巨額の資本を投入する地域の金融センターになれる可能性がある」と述べている。 「香港での混乱に加え、シンガポールが一段と権威主義的になる中で、日本は地理的な要素も含めて優位に立つ。日本は民主主義的かつ、法の支配に基づいた、自由で安全な社会だ」と、自民党の木原誠二衆議院議員は話す。同議員はイギリスで教育を受けた比較的若い、外務副大臣の経験もある海外通だ。 だが、東京が真に国際的な金融都市だった期間は短く、その重要性はこの15年間で失われてしまった。対外資産運用の専門家によると、「バブル崩壊後、香港とシンガポールが台頭する前、日本は、金融業を洗練する必要から、外国人を招いて市場を近代化した。2000年にはアジアを拠点とするヘッジファンドの80%が東京に拠点をおいていた。ところが、2005年前後に出ていってしまった」』、「2000年にはアジアを拠点とするヘッジファンドの80%が東京に拠点をおいていた」、こんな時代もあったようだ。
・『東京が「凋落」した原因  この凋落にはさまざまな原因がある。第1に、金融業はまだ日本の主要産業になっていないということだ。アーカス・リサーチのアナリスト、ピーター・タスカー氏は「シンガポールや香港では、金融業が経済に占める規模が大きい。しかし、日本で最も主要な産業は製造業だ。ほとんどの家庭は金融商品を保有していない」と話す。 さらに、コール氏は、「ローソンやトヨタのCEOに話を聞くと、彼らが自社製品で業界トップに立っていることを誇りとしているのがわかる。一方で資産運用会社のCEOは、そこまで誇らしくしていない。というのも、日本では金融業に対し悪い印象があるからだ」と指摘する。 第2に、今日の日本は金融の最も基本的な要素である、海外からの人の流入とリスクに対して過剰に警戒している。日本人の英語力は高いとはいえず、東京の外国人人口は全体の4%に過ぎない。東京はそもそも国際都市ではないのだ。また日本政府はリスクを避けている。 「日本は失敗に厳しい文化だ。しかしこの業界で大きな成功を収める人は、10回のうち8回は損をしている。孫正義氏は良い例だ。彼が富豪になれたのは、数回の投資で莫大な利益を生み出せたからに過ぎない」と、専門家は語る。 日本の行政手続きによる負担は、香港やシンガポールと比べてかなり重いと3つの金融市場を知るすべての金融業者は口を揃える。「地元の投資家と資産運用会社の間には仲介人が多すぎる」と、1人は言う。 しかし、海外の金融関係者が日本の金融を敬遠する一番の理由は税金だ。日本における税負担軽減措置はいくつもあるが、どこからでも仕事ができる今、東京で働くことにメリットを見出すほど魅力的ではない。 ある海外駐在員によれば、シンガポールと東京の生活費はあまり変わらないが、可処分所得には大きな差がある。「東京では100万米ドル稼いでも年度末には40万ドルになっている。シンガポールでは78万ドル手元に残る」と同氏は説明する。 さらに同氏が日本を離れた場合、金融資産には15%の出国税が課される。また日本で亡くなったり、日本を出国して5年以内に亡くなったりすれば、海外資産には最大55%の税金が課されることになる』、「海外の金融関係者が日本の金融を敬遠する一番の理由は税金だ」、その通りで、やむを得ない。
・『日本の相続税は最悪  対してシンガポールには出国税も相続税も存在しない。東京在住で最も影響力のある外国人投資家の1人は、「これが最大の問題で、ばかげたことだ。なぜなら、日本の最富裕層はすでに財産を国外に持ち出している。しかも、これは公にされていないが、外国人が日本を離れた場合、彼らの保有している海外資産を回収する手立てを日本の国税庁は持っていないのだ」と指摘する。 日本の税制のあまりの厳しさに、日本人の資産を担当する日本人の専門家までがシンガポールに逃れた。 「私がシンガポールに移住してきたのは、マリーナ・ベイの開発が進む14年前のことだ。1時間の時差は問題ではない。必要な場合は東京にアナリストを送ることもできる。日本の相続税は私にとっても子どもにとっても最悪のものだ。加えて、米中に挟まれた日本に住み続けるのは、長期的には危険だと考えている」と語るのは、日本人ファンドマネージャーだ。日本人の資産運用家が日本を離れるくらいなのだから、外国人がわざわざやって来る理由はない。 重要な課題であるにもかかわらず、日本金融を語る場で税制に触れるのはタブーになっている。国内で最も知られる年次国際金融イベント、CLSAジャパンフォーラムの元幹部はこう振り返る。 「2018年、都庁と会計事務所のPWCが、東京の魅力について講演してほしいと打診してきた。そしてその際、聴衆に対し、税制について質問することを一切禁止してほしいと言ってきた。そんなばかげた要求を呑めるわけがない。蓋を開けてみれば、彼らのプレゼンは聞いていて恥ずかしいぐらいだった。日本には英語を話せる人がいる、だから外国人は来るべきだ、というのが彼らの主張だったのだから」 PWCは、高所得者の顧客に対しては日本の税制について警告する一方で、東京を宣伝して報酬を得ているという。6月13日の自民党の提言には、税制に対する言及はなかった。 シンガポールに移住するため東京を離れたばかりの対外資産運用の専門家は、「日本が好きな外国人はたくさんいる。だが最後に日本が彼らに要求するのは、たくさんのお金だ」と強調する。 2016年、小池都知事は東京国際金融機構(略称:FinCity.Tokyo)というシンクタンクを設立し、東京を国際金融センターにするという目標のもと、国内外の金融業界のトップを集めた。「4年経過し、この目標が想像以上に複雑に絡み合っている問題だと分かった。出入国管理は法務省、税金は税務当局、年金基金は厚生労働省など、複数の省庁とのやり取りが必要だ。官僚は賢く、問題をしっかり見極める。 しかし、この国はサイロ化(縦割り)しすぎている」と、Fincity.Tokyoの有友圭一専務理事は語る。 グローバルで熱意にあふれる同氏は、日本が掲げる国際金融都市構想の最も適した提唱者である。しかし、有友氏が勤める同機構は資金提供するための充分な数の企業も見つけられていないのだ。 同機構の顧問は、「日本郵政公社が複数のファンドに出資するはずだったのだが、要求された条件があまりに多かったため実現できなかった。日本の資産運用家は教育することさえ難しい」と嘆く』、「都庁と会計事務所のPWCが、東京の魅力について講演してほしいと打診してきた。そしてその際、聴衆に対し、税制について質問することを一切禁止してほしいと言ってきた」、やはり財務省の睨みが効いているようだ。「日本の相続税は最悪」は、勝手な言い分で、世代間の格差是正のためには必要だ。
・『東京が香港になれる可能性は限りなく低い  コール氏は、「カリフォルニアのカルパースや、シンガポールのテマセクといった公的資金を基にしたファンドは、対外資産を運用するファンドに投資している。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)や日本生命、東京都も同じことをすれば、国際金融コミュニティの信用を得られるのに、決してそうはしない」と語る。 香港の衰退から利益を得ようと狙う日本に対し、白井氏は警鐘を鳴らす。 「香港は依然として中国本土への唯一の門戸であり、多くの中国系大企業が資金を集める場となっている。中国政府としても、香港の金融センターとしての沽券を傷つけるのは望ましいことではないだろう。 仮にそうなったとしても、日本の投資家がいまだにアジアよりアメリカやEUの金融資産を好んでいることからすれば、東京が香港にとって代わる可能性はかなり低い。香港は金融センターとしての地位を保ち、いくつかの機能を東京ではなくシンガポールに移転するものとみられる」。 日本の機関投資家は配当の少ない商品で顧客に多額の手数料を払わせ続けている。GPIFの運用資産の4分の1は依然として無利子国債のままだ。東京に拠点を置く資産運用会社ロジャーズ・インベストメント・アドバイザーズのエド・ロジャーズ氏によれば、2001年から2019年まで運用実績を見ると、GPIFに資産を預けた場合は2.3倍に、カルパースでは3.2倍に、イェール大学のエンダウメント・プログラムでは6.2倍に増えていたということだ。 高齢化が進む日本では、効率的な資産運用の必要性がますます高まっている。このままでは、日本の年金受給者はより貧しくなっていくばかりだろう。「私は楽観している。私が信じなければ、誰が信じるのか」と、有友氏は話す。 自民党の木原衆議院議員も同意する。「これが日本にとっては最後のチャンスだ」』、「GPIF」も運用方針を弾力化してきたが、為替リスクを考慮すると、海外資産の運用比率を無闇に上げる訳にはいかない。「有友氏」の発言は、単なる無責任なポジショントークだ。

次に、8月14日付け東洋経済オンラインが掲載した香港在住ジャーナリストの富谷 瑠美氏による「香港金融人材の日本移住が簡単にはいかない訳 外国人には3つの障壁が立ちはだかっている」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/365463
・『2020年6月30日夜、香港で国家安全法が施行された。施行後の8月10日には、民主活動家の周庭(アグネス・チョウ)氏や、現地メディア「蘋果日報(アップルデイリー)」の創業者で親民主派の黎智英(ジミー・ライ)氏らが逮捕された。(両氏はその後保釈) これを機に、香港人の海外移住が増えると見る考えもあるようだ。自民党の経済成長戦略本部は東京の金融機能強化を打ち出しており、東京に香港の金融人材を誘致してはどうか、という声も出ている。6月11日の参院予算委員会では、安倍晋三首相も「香港を含め専門的、技術的分野の外国人材の受け入れを引き続き積極的に推進する」という旨を発言していた。 筆者も実際に金融業界で働く数人の香港人たちと、日本移住の可能性について話してみたことがある。しかし彼らの中で実際に移住を決意した人物は1人もいない。それはいったいなぜなのか――』、「香港」の「金融人材」の実際の見方とは興味深そうだ。
・『香港人が移住先に求める3つの要素  マイケル(仮名・30代男性)は香港のとある金融機関に勤める押しも押されもせぬ「金融人材」だ。年収は日本円にして3000万円を超える。アジアの金融センターとして外資系金融機関が軒並み支店を置き、ポジションも豊富な香港では、30代でこうした年収を稼ぎ出す人材は珍しくない。 共働きの妻と娘との3人暮らしだが、主にマイケルの収入で暮らしている。国家安全法の施行をきっかけに、マイケルも海外移住を検討し始めた。妻も娘も、大の日本好き。新型コロナウイルスが流行する前までは、年に1度は必ず日本に旅行していたという。 「娘は日本で育てようかと思うんだ」。筆者はマイケルにそう相談されたが、家族を持つ金融人材はそもそも移住先に何を求めているのか。 マイケルに聞くと、まずは永住権だ、と話す。香港以外の国で永住権を持ちたい、という。ところが、外国人の日本での永住権取得への道のりは険しい。 「日本の永住権を取得するためには、基本的には継続して10年以上の在留が必要で、うち5年間は就労資格または居住資格での在留を継続している必要があります」(アジアを中心とする外国人の在留資格申請に詳しい松本行政書士事務所・代表行政書士の松本沙織氏)。 ただし出入国管理及び難民認定法に定める在留資格「高度専門職」に認められれば、他の在留資格とは異なり、はじめから在留期間は5年間で、永住権申請への近道となる。 この高度専門職は年齢や年収、学歴などから計算されるポイント制度。80点以上のポイントの高度外国人材については、高度外国人材としての活動を継続して1年間行っていると、永住権の申請が可能になるが「企業で働く人材の場合、若いエンジニアなどが中心で、金融人材については少ない印象です」(松本氏)。 また、日本で永住権を取得しても、1年を超えて日本を離れる場合は事前に再入国の許可を得て、最長5年間の期限までに再び日本に戻る必要がある。松本氏によると、うっかり再入国許可の有効期間を数日過ぎて帰国した外国人が、日本入国の際に再度の永住権を許可されなかったこともあるという。 ちなみに香港は、比較的永住権を取得しやすく、維持もしやすい地域として知られている。「7年以上連続して居住すれば、永久居民資格(永住権)を取得できることになっています」(香港のビザ取得サービスを手掛ける香港BSディレクターの鴫谷賢二氏)。 永住権を取得できても、1年のうち半分は国内に滞在しないと永住権が取り消しになる国もあるが、香港においては、永住権取得後は、3年に1度入境すれば資格を保ち続けることができる。さらに「たとえ永住権を取り消されたとしても、代わりに入境権が付与されます。選挙権や社会保障の一部はなくなりますが、就労や居住は制限なく継続できる」(同) シティバンクのプライベートバンク部門出身でもある鴫谷氏は「こうした永住権の取得のしやすさ、保ちやすさに加えて大きなメリットが税率の低さ。このような魅力に惹かれ、世界中から多くの金融人材や富裕層が香港に集まり、金融都市として発展してきました」と指摘する』、「高度専門職」も「若いエンジニアなどが中心で、金融人材については少ない印象です」、やはり切り札にはならないようだ。
・『香港人を驚かせる日本の税率  一方で、さらに香港の金融人材が一様に目をむくことになるのが日本の「税率」である。 香港と日本は、双方ともに所得に応じて納税額が上がる累進課税制度(※厳密には、香港は標準課税方式との選択制)。しかし香港の所得税率が最高17%である一方、日本では45%だ。香港には存在しない住民税だが、日本では10%前後。つまりこれだけで所得の半分以上を持っていかれてしまう。さらに、キャピタルゲイン税20%、消費税が10%。子供に財産を残す場合も10~55%の相続税がかかる。これらはいずれも、香港では非課税だ。 賃貸、売買ともに不動産が非常に高額な香港だが、金融業界の高所得者であれば、たとえ家賃やローンを自力で支払っていたとしてもおつりがくる。 年収3000万円のマイケルの場合、日本では所得税40%と住民税10%の50%がかかり、この時点で手元に残るのは1500万円。しかし税率17%の香港であれば2490万円と、約1000万円もの差がついてしまうのである(各種扶養控除は除いて計算)。 この結果に、マイケルは驚きを隠さなかった。「香港の家賃はたしかに高い。でもいくら自分でも、年間1000万円以上も支払っているわけじゃない……。しかも手取りが1000万円減って、さらに家賃や子供の学費もかかるわけでしょう」(マイケル)』、「金融人材」であれば、税制の違いは常識だ。
・『子供の学費も支払う必要が  「駐在員として東京に赴任するのであれば、家賃もインターナショナルスクールの学費も支給されるケースが多い。しかし、東京採用であれば日本人同様に、自分で支払うことになります。金融人材を誘致したいならば、東京を金融特区にでもしないと難しいのでは、と思いますが、そこまで必要かという議論も生まれてきそうです」(香港で金融人材を多く紹介するJACリクルートメント香港の渥美賢吾・代表取締役社長)。 渥美氏の元にもここ数カ月で「東京のポジションに興味がある」という香港人が何人か訪れたというが、いずれも転職には至らなかったという。 東京を拠点に、金融人材の紹介に強みを持つタイグロンパートナーズの野尻剛二郎代表取締役社長も「東京は(所得税が日本と同程度の)欧米人には人気があります。ただしそれでも、住民税の高さを気にする人もいる。香港の金融人材からは、あまり問い合わせはきていませんね」と話す。 東京採用であれば、当然ながら日本語力も求められる。「トレーダーなら日常会話レベルで足りるかもしれませんが、フロント(営業職)ならば当然ネイティブレベル。ミドルオフィス、バックオフィスもビジネスレベルはないと厳しい」(野尻氏)。香港人が日本国内で、香港と同程度の職を得るのは容易なことではないのだ。 税率の高さを許容し、無事に東京で金融職を得たとしても、子供の教育についてまた壁が立ちはだかる。 まず、日本の公立小学校や私立小学校に通わせるだけでは、英語を使いこなせるようになるのは極めて難しい。そのため、インターナショナルスクールが現実的な選択肢となるだろうが、香港同様に人気校はウェイティングリストに登録をして順番待ちをするケースも多い。入学できたとしても、学費や寄付などで年間100万円を超える学校は珍しくない。 さらに、マイケル夫妻は妻も香港人で、高齢の両親たちは英語を話すことができない。香港の標準語は広東語だが、大多数の香港人は北京語も理解できる。そのため、せめて北京語を――となればインターナショナルスクールに通わせるだけでは追い付かない。北京語の家庭教師などを雇い、継続的に中国語に親しませる必要がある』、確かに「「駐在員として東京に赴任する」のに比べ、「東京採用」では、税金・教育費などの負担が極めて大きくなる」のは避けられない現実だ。
・『日本以外の国への移住も視野に  香港人、と一口に言ってもその考えはさまざま。20代で年収2000万円超のイルマ(仮名・20代女性)は独身の香港人だが「日本は旅行先で十分」と話す。 「香港は中国企業が資金調達をする玄関口として、シンガポールは東南アジアの金融センターとして今後も発展していくでしょう。でも、ごめんなさい。東京には何があるの?」(イルマ) リック(仮名・20代男性)も同様の意見だ。リックは香港人だが、オーストラリア国籍も保持している。彼のように他国の国籍を保持している香港人は決して少なくない。 「香港人といっても、今の状況を悲観的にとらえる人ばかりではないことを知ってほしいですね。むしろ中国企業の香港株式市場におけるIPOは増えるのではないでしょうか。僕の場合、老後はオーストラリアに移住する選択肢もありますしね」(リック) 前述のマイケルは、移住先にイギリスやオーストラリア、カナダも候補に入れて再度検討を始めた。7月22日にはイギリス政府が香港市民に対する特別ビザの詳細を公表。1997年の香港返還以前に生まれた香港市民が持つイギリス海外市民(BNO)パスポートの保持者は、2021年1月からイギリスの特別ビザを申請できる、とするものだ。 今回の決定で、今後は2回に分けた30カ月の長期滞在か、5年間の長期滞在が可能になった。また、特別ビザの保持者は就労上の制限も受けず、イギリス市民権獲得の道も開かれている。 しかし、マイケルのため息は止まらない。「イギリスは香港から遠いし、時差もある。広東語や北京語を娘に習わせる難易度も高いし、コロナの影響を受けていて失業率も高い。移住は日本と同じか、それ以上に難航すると思う」(マイケル) 「それに、なんといってもコロナウイルスの流行がまったく収まっていないよね。もし僕や家族が新型コロナに感染したら、医療費はどうなるんだろうか」(同) 8月10日時点で、イギリスの新型コロナによる死者数4万人超になっている。また、BNOパスポート自体についても、7月23日に中国外務省が「有効な旅券として認めない」と反論。先行きが見通せない状態だ。 ちなみに、マイケルは移住先の候補に、あえて台湾やシンガポールを入れていない。台湾は「10年以内には、香港と同様の状況になるのでは」という恐れに加え、金融ビジネスがそこまで発展しているわけではない。シンガポールは永住権を取りにくく、維持するための要件が厳格だからだという』、「イギリス」は、「香港から遠いし、時差もある」だけでなく、EU離脱に伴い金融業には混乱も生じるので、敬遠するのは正解だろう。
・『すでに他国の永住権を取得している人も  「もっと若いうちに、他の国で学ぶなり、働くなりして永住権を取っておけばよかったよ」。そう嘆くマイケル。同様の発想で、海外に移住したり、子供を海外留学させたりして現地で就労をさせ、世界各地で財と人脈を築いてきたのが「華僑」と呼ばれる人々だ。 筆者が見る限り、同じ香港人であっても、他国の永住権やパスポートを持つ人々にはあまり焦りが見られない。今後香港に何が起こっても、働く場所や住む国を、自分で選べるという自信があるからだろう。 マイケルの嘆きは、日本人にも何かを示唆しているように思えてならない』、中国人には「華僑」の伝統があるが、日本人も戦前は中南米を中心に移住ブームとなり、なかにはペルーのフジモリ氏のように大統領になる人物まで出現した。現在は豊かになったので、内向き志向が強まったようだが、一抹の寂しさを覚えざるを得ない。

第三に、8月27日付けデイリー新潮「菅官房長官の“利権” 「アジアの金融センター」が東京ではなく「大阪・福岡」に…」を紹介しよう。
https://www.dailyshincho.jp/article/2020/08181659/?all=1
・『「暗黒法」とも言われる国家安全維持法が施行されたことで、これまで「アジアの金融センター」と呼ばれた香港から金融機関の人材や企業が流出する動きが出始めている。日本がその受け皿となれれば、莫大な国益をもたらすことは間違いない。しかし、誘致にあたる菅義偉官房長官は、自らの“利権”を優先するあまり、最有力候補の東京ではなく、大阪と福岡に特区を作る意向なのだ。 「国家安全維持法が施行されたことで、香港における経済活動への不透明感が強まりました」 こう解説するのは、第一生命経済研究所主席エコノミストの永濱利廣氏。公用語が英語で、法人税率の低い香港にはこれまで金融業者を含む外資系企業が集まりやすかった。しかし、大規模な民主化デモが頻発するようになると、「アジアの金融センター」の座は揺らぎ始め、今回の暗黒法の施行により、その座から陥落することが決定的になったのだ。 では、どこが香港に取って代わるのか。イギリスのシンクタンクが今年3月に発表した「国際金融センター指数」では、東京はニューヨーク、ロンドンに次いで3位となっている。 「最新版のレイティングは、ロンドンが742点、東京が741点、上海が740点です。つまり、東京とロンドン、そして上海はとはほとんど横一線で並んでいるのです。ですから、東京は、ロンドンを超え世界第2位のグローバル金融センターになれる絶好の位置にいます」(シグマ・キャピタルのチーフエコノミストである田代秀敏氏) となれば、日本政府は上海やシンガポールなどのライバルに負けないようにするため、東京に資金投下する必要があるのだ。ところが、7月に二度にわたって行われた和泉洋人・総理補佐官と関係各省の幹部による打ち合わせで明らかになった方針は、 「菅さんの意を受けた和泉さんがそこで出した指示は、『大阪を中心とする関西圏や福岡の特区』に国際金融機能や人材を誘致するための課題を検討せよ、というものだったのです」(永田町関係者) なぜ世界的にも評価が高い東京は外されたのか。背後にあるのは、菅官房長官の意向だ。政府関係者は、菅官房長官の「小池都知事嫌い」も影響しているとしつつ、決定的なのは“利権”であると解説する。 「関係の深い日本維新の会への『土産』ですよ」と先の永田町関係者。コロナの影響で開業に暗雲が立ち込めはじめたIR(カジノを含む統合型リゾート)に代わる経済の起爆材として金融センターの誘致を差し出した形だという。 一方、福岡が俎上に載せられた背景には、福岡を地盤に持つ麻生太郎・副総理の存在がある。 「元々、菅さんと麻生さんは犬猿の仲。その2人が金融センターを巡って手を組んだ。『ポスト安倍』を狙う菅さんが麻生さんの協力が欲しくて、麻生さんがそれに乗ったということです」(政府関係者) 8月19日発売の週刊新潮では、既に動き始めている「大阪・福岡案」の詳細について報じる』、「国際金融センター指数」は英国のシンクタンクZ/Yenと深セン市の中国総合開発研究所が貸出したもので、それほど権威があるものではない。なお、香港は3位から6位に転落。「菅官房長官」が「日本維新の会への『土産』」として「大阪」、「菅さんが麻生さんの協力が欲しくて、麻生さんがそれに乗った」ので「福岡」を「俎上に載せ」た、とは「金融センター」をつまらない政治の駆け引きの道具にしたとは恐れ入る。総裁選でも「麻生派」は派内の河野を抑えて、「菅」支持でまとまったようだ。
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