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通信(5G)(その1)(「5G」に決定的に乗り遅れた日本、挽回のために今からできること 「6G」とか言ってる場合じゃない、NTT-NEC提携「5Gでファーウェイに対抗」の嘘、対ファーウェイ国産5G連合で蘇る 日本メーカー中国携帯市場「惨敗」の記憶) [産業動向]

今日は、通信(5G)(その1)(「5G」に決定的に乗り遅れた日本、挽回のために今からできること 「6G」とか言ってる場合じゃない、NTT-NEC提携「5Gでファーウェイに対抗」の嘘、対ファーウェイ国産5G連合で蘇る 日本メーカー中国携帯市場「惨敗」の記憶)を取上げよう。これまでは、携帯・スマホとして4月1日に取上げた。

先ずは、1月29日付け現代ビジネスが掲載した経済評論家の加谷 珪一氏による「「5G」に決定的に乗り遅れた日本、挽回のために今からできること 「6G」とか言ってる場合じゃない」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/70087?imp=0
・『今年の4月から、国内でも本格的な5G(第5世代移動通信方式)の商用サービスがスタートする。日本は5Gの整備で出遅れたとの指摘があり、実際、アジア地域では、中国主導で5Gのインフラ整備が急ピッチで進んでいる。だが、通信インフラというのは、ただ整備すればよいわけではなく、どのようなサービスを展開できるのかがむしろ重要である。 中国に対抗するため、さらに次の規格であるポスト5G(6G)の開発を強化すべきとの意見もあるようだが、日本が注力すべきなのは6Gの基盤整備ではなく、まずは5Gにおいて画期的なサービスを開発することである』、日本が「決定的に乗り遅れた」「5G」で挽回策はあるのだろうか。
・『スマホ利用者のメリットはそれほど多くないが…  5Gは、現在主流となっている4G(もしくはLTE)に続く次世代モバイル通信規格のことである。LTEと4Gは厳密には異なる規格だが、業界内ではLTEも4Gに含めるとの合意ができているので、これも4Gとみなしてよいだろう。今、携帯電話を持っている人の大半は、LTEか4Gなので、5Gが本格的に普及することになれば、10年ぶりに通信規格が抜本的に変化することになる。 5Gの最大の特徴は圧倒的な通信速度である。5Gにおける最大通信速度は毎秒20ギガビットとなっており、毎秒200メガビットから1ギガビット程度だった4Gと比較すると、20倍から100倍の速さになる。これはピーク時の通信速度なので、実際はその半分くらいに速度が落ちると思われるが、それでも現状と比較して劇的に速いのは間違いなく、電波の状況がよければ、大容量の動画もほぼ一瞬でダウンロードできるはずだ。 もうひとつの特徴は多数同時接続で、一度に大量の機器が同時に接続できる(従来の30〜40倍)。スマホだけでなく、家電や自動車のセンサーなどあらゆる機器をネットにつなげるという話が現実的になり、IoT(モノのインターネット)を実現する基礎インフラになることが期待されている。 一般的なスマホの利用者からすると、毎日、大量の動画を視聴する人を除けば、それほど大きなメリットが感じられないかもしれない。5Gのサービスについて、今ひとつピンと来ていない人が多かったのはそのためである。だが、5Gを新しい産業基盤として捉えれば、このインフラが持つポテンシャルは大きく、活用次第では極めて大きな経済効果が見込めるだろう』、「ピーク時の通信速度」が「20倍から100倍の速さになる」、とはいっても、「一般的なスマホの利用者からすると」「それほど大きなメリットが感じられないかもしれない」、なーんだ。
・『基地局市場での日本メーカーの存在感はゼロ  では、5Gが国内で盛り上がりを見せているのかというとそうでもない。通信行政を担当する総務省は以前から5Gの推進に力を入れており、一部メディアでは「5Gが日本の未来を切り拓く」といった仰々しいタイトルを付け、宣伝に躍起になっている。 だが、グローバルに見た場合、5Gにおける日本の存在感は薄く、仮に国内で5Gの基盤整備を政府が支援しても、誰がトクするのかという状況に陥っている。その理由は、5Gにおけるインフラ整備のカギを握る基地局市場において日本メーカーのシェアがゼロに近い状況まで落ち込んでいるからである。 世界の基地局インフラ市場でトップに立つのは中国のファーウェイ(華為技術)で、2位はスウェーデンのエリクソン、3位はフィンランドのノキア、4位は中国のZTEとなっており、これに韓国サムスンが続くという図式になっている。日本メーカーのシェアはわずか2%程度しかなく、基地局ビジネスではほとんど存在感がない。 日本の携帯電話各社は、5Gの整備において当初、ファーウェイ製品の導入を検討していたが、米国によるファーウェイ排除の動きが本格化したことから、同社製品の導入は断念した。本来であれば、日本メーカーから調達すれば済む話だが、日本メーカーは通信各社に5Gの基地局機器を十分に提供できるだけの能力がなく、結局、各社はノキアやエリクソンから調達せざるを得ない状況となっている。 アジア各国は、米国の禁輸措置などお構いなしでファーウェイ製品の導入に走っており、もはやファーウェイなしでは5Gのインフラは成り立たない状況になっている。本来であれば、米国の禁輸措置が発動されれば、雪崩を打って日本メーカーに切り換えたはずだが、日本側にはファーウェイに対抗できるだけの製品がなく、なすすべがないというのが現実だ』、せっかくの「米国によるファーウェイ排除の動き」に「日本メーカー」が「なすすべがない」というのは残念だ。
・『重要なのはハードでなくサービス  一部の論者は、日本は5Gのインフラ整備で出遅れてしまった現状を打開するため、さらに次世代の規格である6Gの開発を強化すべきと主張している。だが、通信インフラというものがもはやコモディティ化し、高度なITサービスが普及する現代社会においては、ハードウェアの開発だけに注力するというのはナンセンスである。 日本企業は1990年代以降、急速に国際競争力を低下させたが、その要因のひとつとされているのが、ソフトウェアに対する理解不足である。1980年代までは基本的にハードウェア分野における性能向上が重要なテーマだったが、1990年代以降は、ソフトウェアを使った製品開発が競争力のカギを握るようになった。日本企業はここで完全に出遅れ、現時点でもそれを挽回できていない。 「そんなこと分かっている」などとは決して考えないで欲しい。 事実、通信インフラ整備でも話題になるのはハード面ばかりであり「5Gで中国メーカーに負けたので、6Gの開発を強化すべき」というのは、まさにこうしたハードウェア偏重の価値観がいまだに残っていることを如実に示している。つまり日本の産業界はハード偏重の思考回路からいまだに脱却できていないのが現実なのだ。 センサー類などのハードウェアは日本に強みがあるという見解も同じである。確かにそのセンサーを製造できたメーカーは儲かるだろうが、それは全体からすればごくわずかな金額に過ぎず、マクロ的な影響は極めて小さい。 IoTが標準となるこれからの時代は、ソフトウェアとサービスの重要性がさらに高まってくる。5Gのインフラを使った画期的なサービスが立ち上がれば、ハードウェアなどとは比較にならないレベルの経済効果を得ることができる。経済圏全体で見れば、6Gへの開発原資など簡単に捻出できるだろうし、おのずと6Gへの課題も見えてくるだろう』、「1990年代以降は、ソフトウェアを使った製品開発が競争力のカギを握るようになった。日本企業はここで完全に出遅れ、現時点でもそれを挽回できていない」にも拘らず、「日本の産業界はハード偏重の思考回路からいまだに脱却できていないのが現実」、とは情けない。
・『イノベーションを起こすために  つまり通信インフラをどう整備するのかではなく、そのインフラの上でどんなサービスを構築できるのかが将来のカギを握っている。では、5Gのインフラを使った画期的なサービスを実現するには、何が必要だろうか。 もっとも重要なのは、ターゲティングポリシー(特定の産業分野を政府が戦略的に育成する産業政策)に代表される予定調和型の支援策ではなく、できるだけビジネスの邪魔にならないよう環境整備を行うというパッシブな政策である。 これまで画期的なイノベーションというものが、事前の予想と、それに基づく集中投資で生まれてきたケースはほとんどない。画期的なイノベーションや破壊的イノベーションというのは、常に想像もできなかったところから誕生してくる。当然のことながら5Gにもそれはあてはまり、今の段階でどのようなサービスが出てくるか予想することは難しい(予想できるサービスというのはたいてい陳腐なものである)。 こうしたイノベーションを産業として実用化するにあたってもっとも大事なことは、周囲が邪魔をせず、具現化した時には一気にこれを普及させるスピード感と社会的コンセンサスである。 日本はドローンや自動運転の分野で高い優位性があったにもかかわらず、新しいものを危険視し、排除する論理が働いたことで開発が進まず、米国や中国に完全に抜き去られてしまった。5Gがスタートした後は、多くの産業用機器がリアルタイムでネットに接続され、まったく新しいサービスが誕生してくる可能性が高い。だが、今までのような、原則禁止のスタンスでは、多くのイノベーションが葬られてしまうだろう。 一方で新しいサービスにはトラブルが付きものであり、何か問題が発生した時には、迅速な対応が必要となる。政府の果たすべき役割は、新しいモノを排除しないよう環境整備を行うことに加え、何か重大なトラブルが発生した時には即座に対応するというメリハリの効いた産業政策である』、説得力溢れた主張で、同感である。「予定調和型の支援策」に走りがちな経産省にも猛省が必要なようだ。

次に、8月13日付けNewsweek日本版が掲載した東大教授(中国経済・産業経済)の丸川知雄氏による「NTT-NEC提携「5Gでファーウェイに対抗」の嘘」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/marukawa/2020/08/nttnecg_1.php
・『<研究開発費でも特許件数でもファーウェイに遠く及ばず、今から追いつくのは不可能。では、この提携の本当の狙いは何なのか> 今年6月25日、NECはNTTから645億円の投資を受け入れ、NTTはNECの株式の4.77%を保有する第3位の大株主になった。新聞報道によると、資本提携の目的は次世代通信(5G) インフラの共同開発を推進し、世界トップの競争力を持つファーウェイに対する「対抗軸をつくる」ことなのだそうだ(『日本経済新聞』2020年6月25日)。 この報道には唖然とした。ファーウェイが昨年投じた研究開発費は1316億元(2兆785億円)である。それより二桁も少ない金額の投資によって「対抗軸をつくる」なんて、まるで風車に向かって突撃するドン・キホーテみたいである。その話を真に受けたかのように報じる日本のメディアもどうかしている。「たった645億円で『ファーウェイに対抗する』なんてバカなことを言っていますが」と解説付きで報じるべきではないだろうか。 その後の報道によれば、NECの新野社長は研究開発や設備投資に「645億円しか使わないということではない」(『日本経済新聞』2020年7月3日)と発言しているので、さすがに竹槍で戦闘機に対抗するような話ではないようである。それにしても、NECの2018年度の研究開発費は1081億円、NTTは2113億円で、両者の研究開発の総力を結集してもファーウェイの15%にすぎない。仮にNECとNTTのエンジニアがファーウェイの何倍も優秀だとしてもおよそ「対抗軸」にはなりえない』、「二桁も少ない金額の投資によって「対抗軸をつくる」なんて、まるで風車に向かって突撃するドン・キホーテみたいである」、「その話を真に受けたかのように報じる日本のメディアもどうかしている」、同感だ。
・『N T T-N E Cは世界9位  しかも、残念ながらNECとNTTのエンジニアがファーウェイの何倍も優秀だということを証明する客観的データはない。2019年秋までの時点で5Gの標準必須特許として宣言された特許ファミリー数を比較すると、ファーウェイが3325件で世界でもっとも多く、全体の15.8%を占めている(図参照)。韓国のサムスンとLG電子がそれに次ぎ、ノキア(フィンランド)、ZTE(中国)、エリクソン(スウェーデン)と世界の有力な通信機器メーカーが名を連ねている。 NECが持つ5Gの標準必須特許はわずか114件(0.5%)にすぎない。NTTドコモが754件持っているので、両者を合わせると868件(4.1%)になるが、これでも世界9位でファーウェイの背中は遠い。 日本の報道ではいまだに5Gに「次世代通信」というまくら言葉をかぶせることが倣いになっているが、すでに2019年に韓国、アメリカ、中国でサービスが始まり、日本でも今年始まったので、次世代というよりすでに「現世代」になりつつある。5Gの技術開発は各国のメーカーがめいめい勝手に行っているのではなく、「3GPP」という国際標準化団体に各国・各メーカーのエンジニアたちが集い、標準化した結果を年1回ぐらいのペースで発表している。今年7月にはその16番目のバージョンが出たばかりである。 5Gのサービスが各国で本格的に立ち上がるのはこれからであるが、技術開発の面では後半戦といってもいい段階に入りつつある。野球の試合に例えれば、ファーウェイ対NECの試合はすでに5回裏まで進んでおり、3325対114でファーウェイが大きくリードしていた。そこでNECはNTTと連合チームを組むことにしたが、それでもファーウェイの選手たちの年俸総額が2兆円、NEC-NTT連合の年俸総額が3000億円では、後者に勝ち目があるとは到底思えない。 「ファーウェイ対抗軸」というには余りに小粒な645億円の出資には、報道とは異なる別の意味があるように思われる。 5Gのように2万件以上もの特許が絡むハイテク機器の場合、一つ一つの特許についてライセンシング契約を結ぶような煩雑なことはやっていられないので、関連特許をまとめて特許プールとし、5Gに関わる機器を作るメーカーはその特許プールに対してロイヤリティや特許料を支払う。ファーウェイ、サムスン、LG電子、ノキアなど、技術的な貢献が特に大きい企業はクロスライセンシングを行ってロイヤリティを支払わずに標準必須特許を利用できるようになる可能性が高い。 一方、NECのように貢献が小さい企業の場合は、特許プールに対してロイヤリティを支払わない限り5Gの基地局などの機器を作ることは許されない。NECには、5Gの技術開発をするためではなく、5Gの機器を作るために資金が必要なのだ』、「N T T-N E C」の「5Gの標準必須特許は・・・868件(4.1%)になるが、これでも世界9位でファーウェイ(3325件)の背中は遠い」、「技術的な貢献が特に大きい企業はクロスライセンシングを行ってロイヤリティを支払わずに標準必須特許を利用できるようになる可能性が高い」、この特許の格差は表面的な数字以上に大きいのかも知れない。
・『N E Cに対する「温情出資」?  そもそもNECの通信インフラ機器の主たる販売先である日本に関しては、日本政府が通信インフラから中国製品を排除するよう暗黙の指示をしているため、「ファーウェイに対抗する」と肩をいからせなくても、最初から敵はやってこないのである。NECが日本国内の通信インフラ機器市場において対抗しなければならないのはむしろノキア、エリクソン、サムスンといった中国勢以外の通信機器メーカーである。これら外国勢は図からもわかるように5G技術への貢献が大きいので、ロイヤリティの負担が少なく、NECより有利である。645億円の出資は、要するに外国勢との競争においてNECに下駄をはかせてやろうという温情を反映したものなのではないだろうか。 NECが「電電ファミリーに戻るつもりは毛頭ない」だとか、NTTとタッグを組むことで「世界に打って出る」というNECの新野社長の言葉(『日本経済新聞』2020年8月3日)はとても空しく響く。一般に、企業間で出資が行われると、出資元を「親会社」、出資先を「子会社」と呼ぶ。つまり、今回の出資によってNECとNTTは「ファミリーになった」のであり、「ファミリーに戻るつもりはない」という言葉は意味不明というほかない。 ドコモの親会社でもあるNTTが、通信機器サプライヤーであるNECと出資関係を持つことは利益相反に陥る危険性のある行動である。通信業者としてのNTTやドコモにとって、購入する通信機器は安いほうが自社の儲けは大きくなる。ところが、通信機器サプライヤーが自社の関連会社だということになると、遠慮なく買い叩くわけにもいかなくなる。NTTとドコモは、NECの機器が高くて性能も悪いのに、関連会社だという温情にほだされて買い支えることによって、自社の儲けを削る羽目に陥るかもしれない。 「世界に打って出る」というのも、NECが過去20年間に何度も繰り返してきた空約束にすぎない。例えば、2000年には当時NECの社内カンパニーの一つであった「ネットワークス」(通信機器や携帯電話)の海外売上比率が30%ほどだったのを「中期的には約50%に高めたい」としていた。しかし、実際にはNEC全体の海外売上比率は下落し、2002年には22%まで落ちた。 2004年には「海外携帯電話機市場が成長の柱」であると強調していたが、実際には2006年末に海外の携帯電話機市場から全面的に撤退した。2007年には会社全体の海外売上比率を30%以上にすることを目標にしていたが、実際には2010年に15%まで落ちた。その後海外売上比率は上昇に転じたものの、2018年度の時点でも24%にすぎない』、「企業間で出資が行われると、出資元を「親会社」、出資先を「子会社」と呼ぶ。つまり、今回の出資によってNECとNTTは「ファミリーになった」のであり、「ファミリーに戻るつもりはない」という言葉は意味不明というほかない」、「「世界に打って出る」というのも、NECが過去20年間に何度も繰り返してきた空約束にすぎない」、手厳しい批判である。
・『「やってる感」の演出か  以上のようにNECとNTTの資本提携に何らかの積極的意義があるとは思えないのだが、気になるのはその背後で日本政府の意向が働いているらしいことだ。『日本経済新聞』(2020年6月26日)の記事をそのまま引用すると、「『国内の機器メーカーを世界で戦えるようにするのが主眼だった』。経済産業省幹部は提携の狙いをこう話す。」 ――実に不可解な一文である。提携した主体はNTTとNECであるはずなのに、なぜ経済産業省幹部がその狙いを説明するのか? それは今回の資本提携が経済産業省の働きかけによって実現したものだからだ、と解釈すれば、この不可解な一文も理解可能となる。 NECの幹部たちは、世界の移動通信インフラ市場で30.8%のシェアを持ち、研究開発費に年2兆円も投じるファーウェイに、シェアわずか0.7%の自社がとうてい太刀打ちできず、せいぜい日本市場を他の海外勢に奪われないようしがみついていくしかないことをよく認識しているはずだ。しかし、政府・経済産業省からはもっと海外市場へ打って出ろとハッパをかけられる。そこでオールジャパンで「やってる感」を演出してみた、というのが今回の提携劇ではないのか。 そもそも日本は中国に比べて5Gに対してシラケており、いっこうに期待感が盛り上がってこない。中国では5Gサービスへの加入者が2020年6月時点ですでに1億人を超えている。(中国移動が7020万人、中国電信が3784万人、中国聯通は発表なし)。一方、日本では、2020年3月末時点のドコモの5G加入者数はわずかに1万4000人である。(他の2社は不明)。 中国政府は、コロナ禍で傷んだ経済を立て直すために、今年は「新型インフラ建設」を打ち出し、5Gのインフラもその一環として建設が推進されている。今年6月時点で中国移動は全国で14万基、中国電信と中国聯通は共同で14万基の5G基地局を設置しており、年内にはそれぞれ30万基以上の基地局が整備される見込みである。これだけの基地局が整備されると、南京市、成都市といった各省の中心都市ばかりでなく、蘇州市、常州市といった全国293の地区レベルの都市でも中心市街地で5Gサービスが使えるようになる(『経済参考報』2020年6月10日)。 一方、ドコモの場合、2020年7月時点で5Gサービスが使える場所は、ドコモショップの店内など全国でわずか262か所である。5Gサービスに加入したとしても、お店でちょっと使ってみることしかできず、外に出たらもう使えない、というのでは、誰も加入したいとは思わないであろう。ドコモの目標は、2021年6月までに基地局の数を全国で1万基に増やすというおっとりしたものであり、スタートダッシュにおける中国との差は歴然としている』、「ドコモ」の目は、競争の緩い国内市場だけに向けられているのだろうか。
・『技術革新の主役から脇役へ  こうしたドコモの不熱心さは、中国の通信会社と比べて不熱心であるばかりでなく、約20年前のドコモ自身と比べても不熱心である。 2001年にドコモが世界に先駆けて第3世代(3G)の通信サービスを始めたとき、それはそれは熱心に携帯電話の世代交代を推進した。ドコモは3年間に1兆円の設備投資を行って日本全国に3Gの基地局網を整備した(『産経新聞』2002年3月12日)。そればかりか欧米や香港の通信会社に対して1兆9000億円もの投資を行い、3Gへの移行を世界的に推進しようとした。ドコモの3Gへの積極投資は、日本が技術的に孤立した第2世代(2G)を早く終わらせたいという動機に基づいていた。 いまのドコモに往時のような熱心さはない。5Gの基地局の整備には2023年度までに1兆円を投じる方針だという(『日本経済新聞』2020年7月10日)。20年前には3年間で1兆円を投じたのが、今は4年間で1兆円である。3Gの時にはドコモなど日本勢は技術革新の主役だったのが、5Gにおいては脇役にしか過ぎない。そうした認識が5Gに対する不熱心さの背後にあるのかもしれない。 しかし、日本の通信会社やメーカーにはぜひとも5Gへの転換を推進してもらいたい。コロナ禍のなかで、オンラインで授業したり、会議をする機会が多くなり、最近はテレビでもオンラインで出演する人も増えている。そのたびに、もっと動画の画質や音質が良ければ、との思いを禁じ得ない。オンラインでの活動が多くなると、現状の通信インフラ能力にボトルネックがあることが意識される。 5Gの機器の選択においては国内メーカー、海外メーカーを問わず、公平な基準で選んでもらいたい。ファーウェイの機器が使えるのであればそれがベストではないかと思うが、アメリカの圧力でそれが難しいのであれば他の外国メーカーでもいい。「ファミリー」に対する情にほだされて高価な国産機器を選ぶ愚は避けてもらいたい。 それでは日本企業はどうなるのか、と詰問されそうだが、世界の移動通信インフラ機器市場でNECのシェアが0.7%、富士通のシェアが0.6%という現状から挽回するのははっきり言って無理だと思う。日本企業は別の土俵で勝負すべきではないだろうか。 5Gの通信機器などハード面での技術開発においては前に述べたようにすでに後半戦に入っていると思われる。一方、5Gを応用したサービスは、5Gがある程度普及してから立ち上がってくるはずであり、戦いはこれからである。5Gを使って遠隔医療ができるとか、自動運転ができるとか、前宣伝は多いが、そうしたアイディアに中身を与えていく作業はこれからである。日本企業にはぜひ5G応用サービスで創造性を発揮してもらいたい』、「ドコモの3Gへの積極投資は、日本が技術的に孤立した第2世代(2G)を早く終わらせたいという動機に基づいていた」、ガラパゴス化した「2G」のみっともなさからの脱却を急いだのだろうか。「アイディアに中身を与えていく作業はこれからである。日本企業にはぜひ5G応用サービスで創造性を発揮してもらいたい」、同感である。

第三に、7月2日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した作家・ジャーナリストンの莫 邦富氏による「対ファーウェイ国産5G連合で蘇る、日本メーカー中国携帯市場「惨敗」の記憶」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/241958
・『NTTがとった悪手  数日前に、東京大学社会科学研究所の丸川知雄教授のフェイスブックでの以下のような趣旨の投稿を読んだ。 「NTTがNECに600億円出資してファーウェイに対抗する国産5G連合を作るという話は、まったく意味不明だ。ファーウェイとNECの5Gに関する特許数も、日本と中国の5G加入者数も雲泥の差だ。これを覆すのに600億円の投資では全く足りない。 NECの世界シェアから見ても、安く高性能な5G機器を作れるとは思えない。しかし親会社が出資した手前、ドコモはNECから機器を買わざるを得ないだろう。NTTファミリー復活は失敗への道だ」(丸川教授のFacebookより筆者要約) 丸川氏の研究テーマは、(1)中国の産業集積に関する研究、(2)電子産業と自動車産業に関する研究、(3)再生可能エネルギー産業に関する研究、(4)日中経済関係に関する研究となっている。 私が関心を持つ分野とかなりダブっているので、常に丸川教授の発言などを注意深くチェックしている。しかし、この発言にはさすがに驚いた。 あまりに辛口の発言に、私も記憶が刺激され、携帯電話関連の往事をいろいろと思い出した』、「丸川教授」は第二の記事で紹介した。
・『日本のM社製携帯の「なめた仕様」  今から20年前のことだ。出張で中国に行く機会が増え、移動も激しくなった。連絡手段を確保するため、私は2000年に中国で使用できる携帯電話を買う決意をした。その数年前までは2万元(当時のレートでは約30万円)もした携帯電話は、その頃にはかなり値が下がっていた。 私は、選びに選んで日本のM社製の携帯電話を買った。1400元(当時のレートでは約2万1000円)だった。しかし、使ってみて分かったのは、国際化のイメージが強いM社が、まるで中国人消費者をなめたかのような製品開発をしていたということだ。 その携帯電話は電話番号を登録する時に、人名を漢字で入力することができないのである。ショートメッセージも漢字では書けない。漢字の国で商売をしているにもかかわらず、人名の登録もショットメッセージも、アルファベットを使わないとだめなのだ。その代わりオランダ語やイタリア語、ドイツ語などヨーロッパの言語はたくさん使える。 こうした事情が分かったとき、私は絶句した。メディアに「日本の携帯電話メーカーが中国戦略とそのビジネス姿勢を変えない限り、5年以内は中国市場から駆逐されてしまうだろう」と指摘し、日系携帯電話メーカーの敗北を心配した。 当時、中国の携帯電話市場における日本企業のシェアは4%前後だった。北京を訪れた日本の新華僑の友人に、次のような賭けを仕掛けたことがある。 「2時間以内に北京市内で日系企業製の携帯電話の広告を2つ見つけたら500ドル払う。逆の場合は私がもらう」と。しかし、友人は「中国問題を研究するお前の手に乗るもんか」と相手にしてくれなかった。このような賭けができるほど、携帯電話分野での日系企業の存在は中国市場に進出した当初から薄かったのだ。 案の定、数年が経つと、日本企業は中国の携帯電話市場から相次いで撤退した。シェア上位には日本勢の姿はそもそも最初から存在していなかったが、スマートフォン登場後、中国の携帯電話市場は米アップルのiPhone(アイフォーン)の独壇場となった。 2000年代初めは10社を超えた日本勢だが、2005年頃には見る影もなくなった。世界市場を見回すと、日本メーカーではソニー1社だけが、まだ世界展開を放棄していない』、「日本のM社製携帯」は漢字が使えず、「ヨーロッパの言語はたくさん使える」、そんな姿勢でやっていれば、「中国の携帯電話市場から相次いで撤退」、とは当然だ。
・『M社はその後の敗戦に気づいていた?  05年の年明け早々、パナソニックの携帯電話事業に関わる日本人が私のところにあいさつに来た。 「今年中に中国市場から撤退する」と教えてくれた。あの頃、私が使っていた中国向け携帯電話はパナソニックから提供されたものだった。その関係者の沈んだ表情を目にした私は、「私も2Gで中国市場に挑み続けていても、もう無理だろうと思うが、次の世代の携帯電話で失地挽回を計ればいい」と慰めの言葉をかけた。 しかし、彼は非常に冷静だった。彼が述べたことはいまでもはっきりと覚えている。 「2Gの失敗はもうどうしようもない。私たちの中国市場に対する認識は不足し過ぎるほど不足していた。しかし、次の世代の携帯電話、つまり3Gはもう戦えなくなるだろう。中国市場に改めて挑戦できる時期は早くても4Gだ。ひょっとしたら、5Gの時代になってからようやくそのチャンスが訪れるかもしれない」 その「かもしれない」のイントネーションに、私は「5G時代になってそのチャンスは訪れてこないのでは」と読み取れた。私たちは次に続く言葉が見つからず、私の事務所は重苦しい空気に包まれた。 「こんな結果になるとは予想していなかった。早くその失敗の兆しに気付ければ、中国市場についてはもっと力を入れて健闘できたはずだ。そうすれば、結果ももう少し違ったものになったかもしれない……」 その関係者のやや歪んだ表情に、悔しさが色濃くにじみ出ていた。 だが、いくら後悔してももう間に合わない。ビジネスは厳しいものだ。日本の携帯電話メーカーにとって、中国市場はみるみる遠ざかってしまった。それだけではなく、事業存続の基盤としての日本国内市場も次第に失われていくのではないかと私はみていた』、「M社」を始めとする「日本の携帯電話メーカー」のかつての思い上がりは、取り返しのつかない結果をもたらしたようだ。。
・『二人の日本人識者の辛口論評  パナソニックの携帯電話問題を指摘してから、あっという間に20年間の歳月が過ぎ去ってしまった。5Gと中国市場における携帯電話の失地挽回問題を語ったあの夜から数えても、15年の年月が、川の流れのように音を立てて去っていった。 丸川氏がfacebookにシェアした松永裕司氏の記事『5G連合「NTT x NEC」の資本提携は、脱ガラパゴスの鍵となるのか』(Forbes JAPAN、6月29日配信)にも、四川料理に勝るとも劣らない辛い内容が書かれている。 NTTとNECの資本提携については、「この背景には中国のファーウェイ排除の動きによる追い風がある。5Gの基地局など通信インフラのシェアは、ファーウェイの30%を筆頭に、エリクソン、ノキアの3社が市場の4分3を占める。国内トップとされるNECでさえ、全世界のわずか0.7%のシェアしか持たない」と松永氏は厳しい視線を投げかけている。 NECの新野隆社長は記者会見で「『まず国内から』となっていたことが反省点」としたうえで、「日本発の革新的な技術、製品を創出し、グローバルに展開する」とその気概を明らかにした。 それに対して、松永氏は容赦なくメスを入れた。 「開発費に2兆円を注ぎ込むとされるファーウェイに対し、600億円の出資でどこまで巻き返しが可能なのか。事業会社ではなくホールディングスであるNTTがどこまで技術供与が可能で、ドコモなどのグループ企業を巻き込んで行くのかも気になる点だ。これまで国内市場を見つめてきた両社の共闘が、グローバルな視点からどこまで有効なのかは、お手並み拝見とするしかない」(松永裕司氏の前述の記事より) 人口1億2000万人という内需を抱えて来た日本国内メーカーは21世紀になった現在も、国内市場優先という哲学から抜け出せずにいる現状に対して、松永氏や丸川氏のような日本の識者たちが、焦りに似た諦観を見せている。 以下の批判からも、その諦めに近い気持ちが読み取れるのではないかと思う。 「国内トップとはいえ、NTTドコモのような会社では、数百万円から1000万程度のプロジェクト決済に数カ月かかるのは当たり前、億単位となると1年を要することもザラだ。生き馬の目を抜くようなグローバル社会において、ぬるま湯につかったスピード感で太刀打ちできるかは多いに疑問だ」 「平日の朝、『NEC村』とも呼ばれる東京・田町を歩いていると、白シャツと黒ズボンに鞄……画一化されたような出で立ちの人々が大きなビルに入っていくのは異様な光景にも感じてしまう。実績や能力による登用よりも、年齢や肩書きを優先する社会にこだわりながら、勝算を立てるのはなかなか難易度が高いだろう」 「国内だけで成長を遂げてきた企業が、発想や哲学の転換もなく、お互いの傷を舐め合うような資本提携で終わるようでは、未来はない」(いずれも松永裕司氏の前述の記事より)』、「二人の日本人識者の辛口論評」には全く同感である。
・『臭いものにふたをするな  こうした辛口の発言に、さらに思い出したことがある。 数年前、私が制作に関わったNHKの大型経済番組があった。当時、ソニー歴史資料館を訪れ、ヒット商品があまり出なかった1990年以降とそれ以前の時代との比較を意識しながら取材した。 しかし、編集段階で、日本企業の今の病を象徴している「1990年以降」の内容は全部カットされた。 NHKの編集担当者は「そのような内容を入れるのがソニーさんにとって可哀そうだから」と自らの行動を正当化した。編集会議に出た私は、「このような編集方針でやっていくと、まるで大本営発表になる」と反対の意見を述べた。 しかし、多勢に無勢。一外国人である私の意見が無言のうちに否定された。そしてそれ以降、編集会議に出るのも禁じられた。私もこうした“陸軍派”のようなテレビマンと精神的なソーシャルディスタンスを保つように心がけた。 その意味では、NTTドコモ出身の松永氏と、中国の産業集積に関する研究を重ねてきた丸川氏という、日本を代表する識者の発言にはより注意深く耳を傾けていきたい。 今の日本企業にとって、可哀そうだから、臭いものにふたをするという無責任なやさしさは不要なものだ。世界に通用するビジネスに挑戦したいなら、発想の転換なくして革新がもたらされないという認識をしっかりと共有できることが遥かに重要だ。久しぶりに辛い四川料理風のコラムを書いた。鬱陶しい梅雨の季節に、四川料理は多くの日本人ビジネスパーソンの口に合うだろう』、「NHKの編集担当者は「そのような内容を入れるのがソニーさんにとって可哀そうだから」と自らの行動を正当化した」、ありそうな話だ。「今の日本企業にとって、可哀そうだから、臭いものにふたをするという無責任なやさしさは不要なものだ。世界に通用するビジネスに挑戦したいなら、発想の転換なくして革新がもたらされないという認識をしっかりと共有できることが遥かに重要だ」、同感である。
タグ:丸川知雄 ダイヤモンド・オンライン 現代ビジネス Newsweek日本版 莫 邦富 加谷 珪一 通信(5G) (その1)(「5G」に決定的に乗り遅れた日本、挽回のために今からできること 「6G」とか言ってる場合じゃない、NTT-NEC提携「5Gでファーウェイに対抗」の嘘、対ファーウェイ国産5G連合で蘇る 日本メーカー中国携帯市場「惨敗」の記憶) 「「5G」に決定的に乗り遅れた日本、挽回のために今からできること 「6G」とか言ってる場合じゃない」 5G(第5世代移動通信方式)の商用サービスがスタート 日本が「決定的に乗り遅れた」「5G」 スマホ利用者のメリットはそれほど多くないが… 20倍から100倍の速さ 基地局市場での日本メーカーの存在感はゼロ せっかくの「米国によるファーウェイ排除の動き」に「日本メーカー」が「なすすべがない」というのは残念 重要なのはハードでなくサービス 1990年代以降は、ソフトウェアを使った製品開発が競争力のカギを握るようになった。日本企業はここで完全に出遅れ、現時点でもそれを挽回できていない 日本の産業界はハード偏重の思考回路からいまだに脱却できていないのが現実 イノベーションを起こすために 政府の果たすべき役割は、新しいモノを排除しないよう環境整備を行うことに加え、何か重大なトラブルが発生した時には即座に対応するというメリハリの効いた産業政策である 「NTT-NEC提携「5Gでファーウェイに対抗」の嘘」 二桁も少ない金額の投資によって「対抗軸をつくる」なんて、まるで風車に向かって突撃するドン・キホーテみたいである」、「その話を真に受けたかのように報じる日本のメディアもどうかしている N T T-N E Cは世界9位 技術的な貢献が特に大きい企業はクロスライセンシングを行ってロイヤリティを支払わずに標準必須特許を利用できるようになる可能性が高い N E Cに対する「温情出資」? 企業間で出資が行われると、出資元を「親会社」、出資先を「子会社」と呼ぶ。つまり、今回の出資によってNECとNTTは「ファミリーになった」のであり、「ファミリーに戻るつもりはない」という言葉は意味不明というほかない 「世界に打って出る」というのも、NECが過去20年間に何度も繰り返してきた空約束にすぎない 「やってる感」の演出か 技術革新の主役から脇役へ ドコモの3Gへの積極投資は、日本が技術的に孤立した第2世代(2G)を早く終わらせたいという動機に基づいていた アイディアに中身を与えていく作業はこれからである。日本企業にはぜひ5G応用サービスで創造性を発揮してもらいたい 「対ファーウェイ国産5G連合で蘇る、日本メーカー中国携帯市場「惨敗」の記憶」 NTTがとった悪手 日本のM社製携帯の「なめた仕様」 「日本のM社製携帯」は漢字が使えず、「ヨーロッパの言語はたくさん使える」 M社はその後の敗戦に気づいていた? 二人の日本人識者の辛口論評 松永裕司氏の記事『5G連合「NTT x NEC」の資本提携は、脱ガラパゴスの鍵となるのか』 臭いものにふたをするな NHKの大型経済番組 編集段階で、日本企業の今の病を象徴している「1990年以降」の内容は全部カットされた NHKの編集担当者は「そのような内容を入れるのがソニーさんにとって可哀そうだから」と自らの行動を正当化 今の日本企業にとって、可哀そうだから、臭いものにふたをするという無責任なやさしさは不要なものだ。世界に通用するビジネスに挑戦したいなら、発想の転換なくして革新がもたらされないという認識をしっかりと共有できることが遥かに重要だ
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