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商社問題(その2)(最後の旧来型エリートの牙城「商社」がコロナ禍で迎える危急存亡、バフェット氏が「5大商社株」に投資した7つの理由 山崎元が独自解説、三菱商事社長から全社員への「釈明メール」独自入手 軋むエリート集団) [産業動向]

大商社の巨額減損については、2016年5月26日に取上げた。今日は、タイトルを変更、商社問題(その2)(最後の旧来型エリートの牙城「商社」がコロナ禍で迎える危急存亡、バフェット氏が「5大商社株」に投資した7つの理由 山崎元が独自解説、三菱商事社長から全社員への「釈明メール」独自入手 軋むエリート集団)である。

先ずは、本年5月11日付けダイヤモンド・オンライン「最後の旧来型エリートの牙城「商社」がコロナ禍で迎える危急存亡」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/236216
・『『週刊ダイヤモンド』5月16日号の第1特集は「最後の旧来型エリート 商社」です。高給で就職人気の高い総合商社は、日本に残された最後の旧来型エリート集団の象徴といえますが、彼らの稼ぐ力に限界が見え始めています。成長期待の低さから株式市場に見放され、若手人材の流出も止まりません。さらに新型コロナウイルスの感染拡大が、旧来型ビジネスから脱却できない商社の姿を浮き彫りにしています。商社は直面する苦難の時代を乗り切れるのでしょうか』、興味深そうだ。
・『伊藤忠のDNAに刻まれた非資源で打倒!財閥系の半世紀  「昔は三菱(商事)、三井(物産)、住友(商事)という財閥系商社が常に前に立ちはだかり、その壁は高くて厚かった。うちは大阪の繊維商社として始まり、東京へ攻めて総合商社になろうとしたが、大口の電力会社や製鉄会社に全く相手にされなかった」 4月15日、東京・北青山の伊藤忠商事東京本社。インタビューの冒頭、そう語り始めた会長CEO(最高経営責任者)の岡藤正広氏の手元には、最近読み始めたという1冊の本があった。元伊藤忠中国総代表の藤野文晤氏らのインタビューが収録された『証言 戦後日中関係秘史』(岩波書店)だ。 そのページを繰りながら岡藤氏が口にしたのは、伊藤忠の第5代社長、越後正一氏の名だった。越後氏は、太平洋戦争時に大本営作戦参謀だった瀬島龍三氏を招聘し、その人脈や戦略を用いて中国ビジネスなどに参入した。 越後氏は、伊藤忠の総合商社化を図った「中興の祖」と呼ばれるが、それでも重厚長大メーカーや電力会社を顧客に抱える財閥系商社には太刀打ちできなかった。だから「財閥系商社とは違う生活消費関連で勝負をしよう」とした歴史を、岡藤氏は振り返る。 こんな昔話を岡藤氏がわざわざ持ち出したのは、トップの財閥系商社、三菱商事の遠かった背中に、ようやく手の届くところまで来たという自負があるからだろう。 5月8日、総合商社の2019年度決算が出そろった。三菱商事の連結純利益5354億円に対し、伊藤忠は5013億円。「業界2強」はほぼ肩を並べ、20年度もトップ争いを続けることになる』、「瀬島龍三氏を招聘し、その人脈や戦略を用いて中国ビジネスなどに参入」、「伊藤忠」の「中国ビジネス」にそのような歴史があったとは初めて知った。
・『「V字回復困難」「需要が蒸発」 商社トップからコロナ悲観の声続々  そんな業界内の序列はさておき、そもそも総合商社のビジネス自体が、旧来型モデルとなりつつあるのではないか、という指摘もある。この点については岡藤氏も「商社に共通する一番の問題は、(売り手優先の)『プロダクトアウト』の発想から抜けられないこと」と認め、改革の必要性を強調する。 株式市場では、商社のPBR(株価純資産倍率)は解散価値に相当する1倍を概ね下回り、商社株は成長を期待されない銘柄に成り下がっている。「資源バブルで偶然得た利益を使って非資源の資産を積み増してきた中途半端な投資会社」。株式市場ではそう見られていると、みずほ証券シニアアナリストの楠木秀憲氏は指摘する。 コングロマリット企業の総合商社は「会社の中に別の会社がある」と言われるほど、縦割り文化が根強い。ビジネスモデルだけでなく、年功序列が色濃く残り、最初の配属先で将来の出世がほぼ決まる。 そんな旧来型組織に嫌気がさし、近年は入社数年内に希望退社する若手が増えている。財閥系商社を辞めた30代の男性は「海外出張の行程作成など内向きの仕事が異常に多く、肝心の経営を回すノウハウが欠如していると感じた」と話す。 年功序列や縦割り慣行など旧来型の組織を抜本的に変えなければ、若手の流出を食い止めることはできない。それは長期的に見れば、新たな発想や活力が失われていくことになる。 そして今、商社が直面する最大の危機が、新型コロナウイルスの感染拡大だ。19年度決算は資源ビジネスなどで減損損失を余儀なくされ、20年度も軒並み大苦戦の見通しだ。 各社首脳からは「世界景気のV字回復は極めて困難。L字に近い回復に止まり、21年も緩慢な景気回復に止まる可能性がある」(丸紅社長の柿木真澄氏)、「コロナが要因で人流と物流が途絶え、これによりエネルギーの需要がまさに蒸発した」(三井物産社長の安永竜夫氏)と悲観の声が聞こえる。 岡藤氏もダイヤモンド編集部のインタビューで、コロナ禍について「1年から2年くらいは続く。ワクチンが開発されても、ズタズタになったサプライチェーンを戻すのに時間がかかる。消費者や投資家のマインドも冷え込む。原油価格が戻らず、産油国の通貨暴落や米国のシェール企業の連鎖倒産も起きるかもしれない」との見通しを述べている。 各社は財務規律を強め、コロナ禍の嵐を耐え忍ぼうとするだろう。 残された最後の旧来型エリート集団の象徴といえますが、彼らの稼ぐ力に限界が見え始めています。 特集では、コロナ禍以前に商社業界の盟主として長らくトップに君臨し続けた三菱商事を徹底分析。業界盟主の巨大商社が、凋落しつつある背景を追いました。 また高給と安定を捨てて、商社を飛び出す道を選んだ“辞め商社”の若者たちを直撃。インタビューや座談会で、年収2000万円で働かない窓際族の存在など、総合商社が抱える構造的な課題を暴露してもらいました。合わせて、商社に残った者たちの最新の出世・婚活・結婚生活の裏話や給与の秘密に迫ります。 もちろん、商社の最新ビジネス動向も網羅しています。伊藤忠が始めた「遺伝子ビジネス」の全貌や、小売業の現場で火花を散らす三菱商事と住友商事の争いなど、逆風の中で新たなビジネスを模索し続ける現場の商社マンたちの姿を描きます。 加えて総合商社にとどまらず、鉄鋼や繊維、食品などさまざまな専門商社を含めた117社の実力を初算出。キラリと光る隠れ優良商社の存在をランキング形式でお届けします。 商社はBtoBの取引が主でビジネスの表舞台に出ることは少ないですが、今回の特集を通じて、そんな彼らの実像をお伝えできれば幸いです』、「資源バブルで偶然得た利益を使って非資源の資産を積み増してきた中途半端な投資会社」との「楠木秀憲氏」の指摘は、言い得て妙だ。「コロナ禍の嵐」をどう乗り切ってゆくのだろうか。

次に、9月16日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員の山崎 元氏による「バフェット氏が「5大商社株」に投資した7つの理由、山崎元が独自解説」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/248726
・『バフェット氏が日本の5大商社に投資していることを発表した。市場関係者の間では有名投資家による日本株への投資を歓迎する声が多い。ただ、同氏の投資にどのような意味があるのか、つかみかねている向きも少なくないようだ。そこで、7つのポイントからバフェット氏が日本の商社株に投資した理由を解説する』、「山崎元が独自解説」とは面白そうだ。
・『世界的投資家のバフェット氏が大手商社5社の株を5%ずつ投資  世界的な投資家として知られるウォーレン・バフェット氏が、自らの90歳の誕生日である8月30日に、日本の大手総合商社5社の株式をそれぞれの会社の時価総額の5%程度取得したと発表した。伊藤忠商事、三菱商事、三井物産、住友商事、丸紅の5社だ。 1年程度をかけて市場で少しずつ買っていたようだ。概算で目下6000億円程度の投資となる。同氏は今後、各社の時価総額の10%前後まで株を買う可能性があると表明している。 市場関係者の間では、有名投資家の日本株への投資を歓迎する声が多い。ただ、同氏の投資にどのような意味があるのか、つかみかねている向きも少なくないようだ。 「5%」の段階で商社株の取得を発表したのは、保有が5%を超えると「大株主」として大量保有報告のデータが公開されるからだろう。また、「10%程度まで」と述べていることや、そもそも投資先を5社に分散したことは、投資先企業の支配を目的とした投資ではない、いわゆる「純投資」であることをうかがわせる。 バフェット氏は、いわゆるアクティビスト(≒「物言う株主」)ではないし、株式を長期に保有しながら、経営には直接関わらずに投資先企業を応援するタイプの投資家だと考えられている。今のところ、投資された側の商社各社に警戒や反発の動きはない。 それにしても、「なぜ」、日本の総合商社への投資であったのか。また大手5社への分散投資だったのだろうか』、「バフェット氏」の「総合商社への投資」を「山崎氏」はどうみているのだろう。
・『商社株の7つのキャラクターからバフェット氏の投資の謎に迫る  各社に多少の違いがあるとしても、株式市場にあって日本の総合商社株は、「高配当利回り」「割安株」「資源関連株」など複数の特徴で把握されている。これら3つの観点に加えて、「非ESG的銘柄」「コングロマリットディスカウント」という5つの観点から、バフェット氏が日本の商社株に投資をした「謎」に迫ってみたい』、切り口はさすが「山崎氏」ならではで鋭い。
・『バフェット氏が商社株に投資した理由(1)高配当利回り株  現在の株価と予想配当の利回りで見て日本の商社株は配当利回りが高い。業績好調の伊藤忠は3%台だが、これでも平均的な配当利回りよりも高いし、三井物産は4%台、三菱商事に至っては5%台の利回りになる。 配当利回りが高いことは、「有効な投資機会がないので資金を配当に回している」、「配当の割に投資家に不人気である」といった属性を示唆する。そのため、会社としてあまり格好のいいことではないが、投資家の側から見ると、特に「不人気」という属性は悪くない。 日本の商社株の配当利回りは、現在1%を大きく割り込んでいる米国の10年国債の利回りよりも有意に高い。しかも、この利回りが円ベースであることを考えると見かけ以上の魅力があるはずだ。しかし、バフェット氏の考え方からすると、「資金を配当して課税されるよりは、事業に有効に投資して複利で増やしてくれる方がもっといい」と考えるはずなので、バフェット氏が配当目当てで日本の商社に投資したとは考えにくい。 ただし、日本の商社はビジネスの実質が「貿易・商業機能付きの投資会社」に近付いているので、潤沢な配当を行うことができる資金力は魅力的に映ったかもしれない。「商社は、これからもっと有効な投資ができるはずだ」という期待を持っている可能性はあるのではないだろうか。 高配当利回りという意味では、地方銀行はもちろん、メガバンクでも配当利回りが高いが、バフェット氏から見て、彼らのビジネスが魅力的ではなかったのだろう』、「「商社は、これからもっと有効な投資ができるはずだ」という期待を持っている可能性はあるのではないだろうか」、なるほど。
・『バフェット氏が商社株に投資した理由(2)割安株  総合商社株は、PER(株価収益率)、PBR(株価純資産倍率)のいずれで見ても株価が割安な株だ。 旧来のバフェット氏の投資法から想像すると、特に重要なのはPBRの方だろう。伊藤忠は1倍を上回っているが、三菱商事、丸紅は0.7倍台、三井物産も0.8倍台、住友商事に至っては0.6倍代と、株価は1株当たり純資産を大きく下回る。 もちろん投資に当たっては、各社の資産の実質価値と、特に投資先の企業やプロジェクトの価値を調べたに違いないが、バフェット氏の昔からの割安株投資の考え方から見て、日本の総合商社株はフェアバリューに対しての「セーフティーマージン(安全帯)」がそこそこに大きく見えたのではないだろうか』、この観点からも納得できる。
・『バフェット氏が商社株に投資した理由(3)資源株  日本の総合商社の株価評価がいまひとつ高くない理由として、彼らのビジネスの大きな部分が資源関連で、資源価格の影響を受けやすいことが挙げられることが多い。複数の商社で、非資源ビジネスのシェア拡大を経営者は課題に挙げる。 バフェット氏の立場では、資源に投資したければ、資源を扱う企業に直接投資することができる。従って、資源関連株であることが日本の商社の魅力の1つだったとは考えにくいが、商社株への投資を「資源関連への投資でもある」と、ある程度は考えているに違いないだろう』、「ある程度は考えている」程度の位置づけのようだ。
・『バフェット氏が商社株に投資した理由(4)「非ESG的」銘柄  商社は前出のように資源関連のビジネスへの割合が大きいし、化石燃料を使う発電所のようなプラントのビジネスも有している。環境を考えていないわけではないだろうから各社のIR(投資家向け広報)の担当者に怒られるかもしれないが、商社は現状では「地球環境に負荷をかけている企業」だろう。 また、商社は日本のビジネス界の中でも「男社会」的な側面が強く、女性の役員・幹部社員は少ない。 日本の商社は、いわば「非ESG的」である。 投資としての評価に関わる点に関してバフェット氏は、E(環境)もS(社会的責任)もG(企業ガバナンス)も目配りしただろう。だが、「ESGの観点からの投資」に特にこだわっていないように見える点で、今回の日本の商社への投資はバフェット氏らしい。 同氏は、ESG投資家に嫌われて株価が低評価なのであれば、むしろ投資のチャンスだというくらいに考えたのではないか』、この解説は苦心したようだ。
・『バフェット氏が商社株に投資した理由(5)コングロマリットディスカウント  複数のビジネスを持つ企業体が、個々のビジネスを独立させた状態よりも低く評価される「コングロマリットディスカウント」と呼ばれる現象がある。株主から見て資本の活用効率が悪いことが嫌われ、いわゆるアクティビスト的な株主は、事業を一部分離して別途上場することを要求するケースもある。 日本の総合商社は、多分野のビジネスの集合体なので、彼らの株価の低評価には「コングロマリットディスカウント」が働いている公算が大きい。これは、現状の不人気の理由だが、バフェット氏の立場から見ると、今後、総合商社が事業を再編してコングロマリットディスカウント的なデメリットを解消できれば、投資の価値が上る可能性が大きいことを意味する。 こうした株主から見た経営改善は、個々の商社が行うこともできるが、例えば、複数の商社が同一のビジネス部門を統合して分離することも有効な対策になり得る。過去に例が多くあるわけではないが、三菱商事と双日が鉄鋼部門を統合してメタルワンにまとめたような事例もある。 今回バフェット氏は複数の商社に同時に投資したが、こうした構想を持っているのかもしれない』、「今後、総合商社が事業を再編してコングロマリットディスカウント的なデメリットを解消できれば、投資の価値が上る可能性が大きいことを意味」、ありそうなシナリオだ。
・『バフェット氏が商社株に投資した理由(6)企業グループの「参入障壁」  投資にあって、バフェット氏は「割安」を好むこととともに、長期保有に耐え得る「偉大なビジネスを持つ会社」を高く評価する点にも特色がある。 「偉大なビジネス」の内実は、競争力であり、特に参入障壁の高さだ。 日本の商社の場合、似たビジネスを行う似た規模の会社が複数あるし、取引における利益率は大きなものでもない。また、技術やパテント(特許)で決定的な強みを持っているわけではない。しかし、特に財閥系の商社のように、同一企業グループに関連するビジネスに対して、他グループのライバルよりも競争上強いポジションを持っている場合がある。 バフェット氏が、日本の商社の「競争力」をどう評価しているのかは興味深いが、「商社が持つ参入障壁は案外強固だ」と評価した可能性はある』、その通りだ。
・『バフェット氏が商社株に投資した理由(7)非効率性の潜在リターン  日本企業が、特に株主や投資家から見て、経営、さらにはコーポレートガバナンスが非効率的だとの批判は根強いし、これが日本株への低評価の原因にもなっている。 しかし、この種の非効率性は、「現在の低評価」の原因であり、これが改善できるなら「追加的なプラスリターン」を生む源泉になり得る。 仮に、米国企業が目いっぱい株主にとって効率の良い経営をしていて、日本企業が相当程度に非効率的な経営をしているなら、「改善の余地」があるのは日本企業の方だ。 「改善できる非効率」は大きなリターンの源泉だ。バフェット氏の商社株投資は、こうした着眼の先駆けとして将来評価されることになる可能性があるのではないだろうか』、「この種の非効率性は、「現在の低評価」の原因であり、これが改善できるなら「追加的なプラスリターン」を生む源泉になり得る」、さすが深い洞察だ。
・『バフェット氏の「分散投資」こそ投資家としての最大の教訓か  それにしても、従来のバフェット氏からすると総合商社大手5社に分散投資したことは異例だ。 「大きな資金を目立つことなく動かすには1社や2社では足りなかったので、保有が公表される5%までは5社買ったのだ」という理由が現実的なのかもしれない。しかし、先に想像したように、日本の商社の事業単位での再編を考えている可能性もないとはいえない。 ただし、バフェット氏の「意図」はともかく、「どの銘柄がいいのか優劣判断が難しい場合は複数の銘柄に分散投資する」という行為は、投資の理屈にかなっている。 分散投資の観点では、これまで専ら米国企業に投資してきたバフェット氏が、今回日本株に投資したことが、国際分散投資の始まりであるなら、これも投資の原則に合致する。1国の株式だけに投資の対象を絞り込むよりは、国際的に分散投資する方が、投資の効率を高める機会がより大きいのは当然だ。 個人投資家としては、バフェット氏の日本の総合商社株への投資から、「不人気株への投資」とか「非効率改善の可能性に賭けた投資」といった疑り深い見方をするよりは、「分散投資の拡大」を素直に教訓として受け取るべきなのかもしれない』、「疑り深い見方をするよりは、「分散投資の拡大」を素直に教訓として受け取るべきなのかもしれない」、「山崎氏」らしいすっきりした解説だ。

第三に、9月14日付けダイヤモンド・オンライン「三菱商事社長から全社員への「釈明メール」独自入手、軋むエリート集団」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/248365
・『三菱商事の垣内威彦社長が6月、社員に向けて送ったメールを独自入手した。その中身からは、社員が経営に不信感を強めていることに対し、垣内社長が並々ならぬ危機感を抱いている様子がうかがい知れる。特集『三菱陥落』(全10回)の#1では、三菱グループのみならず日本を代表するエリート集団企業の内部で起きている異変に迫った』、興味深そうだ。
・『経営への「納得度」「信頼感」低下 メールに透ける垣内社長の危機感  「組織風土調査結果への対応として、すでに各グループ・部門で改善への取り組みを進めてもらっていますが、全社経営においても重要な経営課題と受け止めています」 今年6月半ば、三菱商事の全社員にこのような“釈明”の文言で始まる社内メールが届いた。送り主は垣内威彦・三菱商事社長だ。 垣内社長は一体何を「重要な経営課題」と受け止めているのか。その答えは「組織風土調査」の中身にある。 三菱商事は2009年度以降、「組織の健康診断」の一環として社員向けアンケート調査を定期的に実施している。 今回の調査を実施したのは昨年8月。この結果、「経営方針・戦略の納得度」「全社・グループ経営への信頼感」「変化に対応した効率的な組織運営」「生産性の向上」「新人事制度」の項目について、過去の調査と比べて社員の否定的意見が増加したのだという。 このうち「経営への信頼感」は、いわば社長の支持率のようなものだ。社員が経営への信頼感を持ち得ない会社に、発展など望むべくもない。支持率が急降下したのであれば、民主国家なら“総辞職”もやむを得ない緊急事態だろう。 メールの文面はさらに続く。 「我が社にとって最も重要な資産は人材であり、社員の成長が会社の発展と一体化してきた会社です。社員が成長できる場を提供し、それぞれの社員が構想力、実行力を最大限に発揮できる環境を整備していくことが経営の責務です」 「常日頃から皆で議論する折々に深い洞察に基づく意見を、上下の分け隔てや無用な忖度がなく、お互いにぶつけ合い、十分な議論を重ねた上で、一度結論が出ればノーサイドの精神で全員が一丸になって目標に向かって邁進する、これを重ねていくことが将来にわたって我が社が持続的に成長し、社会に貢献し続けることにつながると確信しています」 「社員が成長できる場を提供」「上下の分け隔てや無用な忖度がなく」――。メールの文面から伝わるのは、それらをあえて明文化しなければならないほど、社内風土の健全性に「確信」を持てない垣内社長の危機感だ。 垣内社長はその対応策として「全社風土改革タスクフォース」なる対外的に非公表の組織の発足を表明。責任者に、人事などを担当する村越晃常務、総務などを担当する榊田雅和常務、常勤監査役の内野州馬氏と平野肇氏を任命した。 三菱商事のある社員は吐き捨てるように言う。「調査には自由筆記欄もあり、経営方針や人事に対する不満が噴出したようだ。社員のモチベーションは明らかに低下している。風土改革タスクフォースを設置するとは前代未聞のことだが、具体的な活動内容は不明のまま。社員にたまった不満のガス抜きにもならない」。 三菱商事といえば、高給・高待遇で、就職人気も高い国内最高峰のエリート企業といっても過言ではない。おのずと社員の満足度は高くなる。事実、過去の調査ではそのような傾向が表れていた。その三菱商事が今、なぜ「前代未聞」の事態に直面しているのか』、「三菱商事は2009年度以降、「組織の健康診断」の一環として社員向けアンケート調査(「組織風土調査」)を定期的に実施」、これはなかなか良い試みだが、社長には今回のような頭が痛くなる結果も出てくるようだ。
・『「組織の三菱」は事実上瓦解 社長による中央集権化が加速  その一因として前出の社員が挙げるのは、垣内社長が急速に進める中央集権化への反発だ。 16年に就任した垣内社長の政権下、三菱商事の歴史上大きく変化した点がある。それが「副社長」ポストの廃止だ。小林健前社長(現会長)時代には、最大5人いた副社長は18年度以降ゼロだ。 資源からコンビニエンスストアまでさまざまな事業の集合体である総合商社のマネジメントは広範かつ複雑だ。中でも業界最大の資産規模を誇る三菱商事において、社長が1人で全体を統括するのは不可能に近い。 従って複数の副社長が番頭として社長を支え、誰が社長ポストに就いても組織体として機能する仕組みが三菱商事の伝統だった。また佐々木幹夫社長時代の古川洽次氏、小島順彦社長時代の故上野征夫氏ら、かつての三菱商事には、いわば「官房長官」役の副社長が必ず社長の最側近にいた。 総務や人事、広報をつかさどるコーポレート出身で、社内外の情報を機敏に察知し、時に社長に苦言も呈する――。そんな“お目付け役”を任せられる人材が、今の三菱商事には存在しない。代わって要職に目立つのは、生活産業グループCEO(最高経営責任者)時代から垣内社長に仕えてきた旧知の部下たちだ。 副社長ポストの廃止には、社長が責任を持って迅速に意思決定する狙いがあるのだろう。また、垣内社長は経営人材の育成や若手の抜てきも新人事政策に掲げるが、若手社員からは「抜てきするのは結局、社長や社長への忖度が染み付いた組織。社長の独断専行人事に社員は萎縮している」との声が漏れ聞こえてくる』、「「副社長」ポストの廃止」は組織のフラット化が図れるが、「“お目付け役”を任せられる人材が、今の三菱商事には存在しない」、「代わって要職に目立つのは、生活産業グループCEO・・・時代から垣内社長に仕えてきた旧知の部下たち」、側近重視すると組織の風通しは悪くなるのは当然だ。
・『三菱商事は今、伝統的な集団指導体制から中央集権体制への転換を急いでいる。実は似たような改革を10年前に断行した商社がある。三菱商事のライバル、伊藤忠商事だ。 伊藤忠の岡藤正広会長CEOは10年に社長に就任した翌年、13人もの役員の首を切る大規模な粛清を断行。特に丹羽宇一郎元会長の出身母体である食料カンパニーに、配下の繊維カンパニー幹部を大量に送り込んだ。垣内氏よりもはるかにドラスティックな中央集権化で自らの権力基盤を固めた。 だが、岡藤氏は結果を出すことで不満分子を黙らせた。当時業界4位が「定席」だった伊藤忠は、住友商事、三井物産と財閥系商社を相次いで追い抜き、ついには業界盟主の三菱商事の肩に手を掛け、今年度に追い抜く勢いだ。既に時価総額では今年6月に三菱商事を上回り、総合商社トップに躍り出ている。 対する三菱商事はどうか。15年度、資源価格の暴落で創業以来初の赤字に転落した直後に就任した垣内社長は、非資源事業の強化を打ち出した。 だが、その後のV字回復を支えたのは、皮肉にも資源ビジネスだった。 オーストラリアの資源投資子会社MDPが、17、18年度に過去最高益を更新した三菱商事の純利益全体の半分近くを稼ぎ出している。ところが資源価格下落でひとたびMDPがつまずくと、再び純利益の下方修正を余儀なくされた。「三菱商事に稼ぐ力はない」――。株式市場ではそんな指摘もささやかれる。 19年度は繰り延べ税金資産を一過性利益として計上する「隠し球」を繰り出し、なんとか純利益トップを維持したが、新型コロナウイルス感染拡大の影響が直撃する20年度は、業界首位からの陥落は避けられそうもない。純利益予想は伊藤忠の4000億円に対し三菱商事は2000億円と、ダブルスコアの差をつけられている』、「伊藤忠」では、「垣内氏よりもはるかにドラスティックな中央集権化で自らの権力基盤を固めた。 だが、岡藤氏は結果を出すことで不満分子を黙らせた」、同じ「中央集権化」を目指しても結果がついてこないのでは、組織に不満が渦巻くのは当然だ。
・『資源エネルギーの低迷に加え、深刻なのは自動車ビジネスだ。本特集#2『「三菱自動車を切り捨てない」三菱商事のキーマン、自動車部門CEO激白』で詳述するが、コロナ禍で世界的に自動車需要が蒸発し、三菱商事が出資する三菱自動車の減損損失を取り込まざるを得ない。 三菱商事は18年に約1200億円を投じ、三菱自への出資比率を1割弱から約2割へ引き上げている。三菱自は16年に燃費不正問題が発覚して日産自動車の傘下に入ったが、その後も三菱“御三家”は株式を保有し続けた。本音ではさっさと手を引きたかった三菱重工業と三菱UFJ銀行から、三菱商事は自動車株を引き受けた形だが、これが完全に裏目に出てしまった。 三菱グループの特色は、グループ“長兄”の重工を筆頭に、重厚長大メーカーが多いことにある。三菱商事はそのグループの扇の要として、メーカーに原材料を納め、完成品を世界中で売りさばく盤石のビジネスモデルを築き上げてきた。 だが重工や自動車をはじめとする三菱の重厚長大メーカーが凋落して久しい。重要パートナーの競争力低下はダイレクトに三菱商事に響き、従来の“必勝パターン”に狂いが生じ始めている。コロナ禍が招いた首位陥落は、一過性ではなく、構造的な危機といえる。 今こそ三菱商事が解体的出直しを図らねばならないと、誰よりも痛感しているのが、垣内社長自身なのかもしれない。 だからこそ時代の変化に対応できるよう、「組織の三菱」の集団指導体制から中央集権の組織づくり、そして抜本的なグループ再編という改革を断行した。時価総額で三菱商事を追い抜き、純利益でも抜き去ろうとするライバル企業の絶対権力者の手法を、垣内社長はつぶさに観察しているはずだ。 しかし結果が伴わなければ、社員の求心力は低下する。経営への納得度や信頼感が低下し、経営の責任者である社長への不信感が増す。三菱商事の組織風土調査が浮き彫りにするのは、そうした現実だ。 三菱商事の“垣内派”幹部は言う。「今は改革の過渡期だ。その過程で一部の社員から不満の声が上がるのは想定内。10~20年後を見据えて今、生みの苦しみを経験しなければ会社として生き残れない」。 三菱商事の苦悩は根深い。変わらなければならない。だが、その変化の途上においても社員が「納得」する経営、人事、そして何よりも結果を出し続けなければ不協和音が増大し、やがて組織は瓦解する。 三菱グループのみならず、日本を代表する企業が直面する苦悩は、日本企業全体の苦悩の象徴なのかもしれない』、「三菱グループ」の最大の柱である「三菱商事の苦悩は根深い」、とは本当に深刻だ。「垣内社長」の手綱さばきが注目される。
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