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決済(その6)(公取審査で見えた「PayPay」ひとり勝ちの構図 LINE Payとあわせてシェア60%占有、ドコモ口座パニック拡大 他人事ではない「本当に怖い落とし穴」、菅首相に求むキャッシュレス縦割り行政の打破 ガラパゴス問題の根深さ) [金融]

決済については、2月22日に取上げた。今日は、(その6)(公取審査で見えた「PayPay」ひとり勝ちの構図 LINE Payとあわせてシェア60%占有、ドコモ口座パニック拡大 他人事ではない「本当に怖い落とし穴」、菅首相に求むキャッシュレス縦割り行政の打破 ガラパゴス問題の根深さ)である。

先ずは、8月6日付けダイヤモンド・オンライン「公取審査で見えた「PayPay」ひとり勝ちの構図、LINE Payとあわせてシェア60%占有」を紹介しよう。
https://signal.diamond.jp/articles/-/212
・『8月4日、Yahoo! Japan親会社のZホールディングス(ZHD)とLINEの経営統合を巡って、大きな進展があった。ハードルの1つとなっていた日本の公正取引委員会による審査が完了したのだ。 LINEとYahoo! Japanはニュース配信事業、広告事業、コード決済(注)市場で競合している。公取委の審査ではこの3分野において両社の統合は競争を阻害しないという判断となったが、特に市場支配力が強いコード決済事業に関しては「注記付き」で統合を認める判断となった。 コード決済事業では、ZHDと同じソフトバンクグループのPayPayが圧倒的な強さを見せている。公取委の審査レポートによるとPayPayは2020年1月時点のコード決済(利用金額ベース)で市場シェア55%を占めている。一方、LINE Payは市場シェア5%で、両社を単純合算するとシェア60%におよぶことになる。 PayPayはコード決済サービスの中では後発組で、2018年7月にサービスを開始した。飛躍のきっかけとなったのが2018年12月にスタートした「100億円あげちゃうキャンペーン」。予算100億円、会計金額の20%を還元するという大胆な内容のキャンペーンで、決済できないなどのトラブルを起こしつつも世間の注目を集め、コード決済そのものの認知度を一気に向上させた。 その後PayPayでは全国に営業部隊を展開し、都心の個人商店から地方の観光地まで幅広くにコード決済を売り込んだ。2019年以降はZHDの親会社にあたるソフトバンクグループとソフトバンクの資本も投入し、巨大な赤字を積み増しながらユーザー数と加盟店を増やしてきた。2020年6月末時点でユーザーは3000万人を突破し、対応店舗網は全国230万カ所に及んでいる。 一方、LINE Payは2014年12月サービス開始と、実はコード決済市場では古株だ。LINEアプリに組み込まれているという利便性を強みとして、着々と市場シェアを伸ばしてきた。登録ユーザー数は2019年10月時点で5000万人を突破している。 LINE Payでは2018年8月からは加盟店決済手数料を3年間無料とする施策を展開。政府主導の共通QRコード規格「JPQR」にも参加し、加盟店拡大を図った。 ただ、直近ではプロモーション費用を控えつつ、クーポン配布やLINE Pay クレジットカードの投入など、既存ユーザーの利用機会を増やすような施策にシフトしている。前述の公取委資料によると、2019年4月時点ではLINE Payは25%の市場シェアを保持していたが、2020年5月には5%に低下している。 PayPayの親会社の1つであるZホールディングスとLINE Payの親会社のLINEは2019年11月、経営統合を発表。統合に向けた審査を進めてきた』、後発の「PayPayは2020年1月時点のコード決済・・・で市場シェア55%)、とはあの「キャンペーン」も効いたようだ。
(注)コード決済:QRコードやバーコードを用いた電子決済システム(Wikipedia)
・『最大の競合は「現金」  LINEがグループに加わることで、コード決済市場の圧倒的王者のPayPayは、さらに市場での影響力を高めることになる。ただし、公取委の判断は、両社の統合が直ちに問題とならないと判断している。 政府が2019年9月~2020年6月まで展開したキャッシュレス推進キャンペーンによって、コード決済の利用率は大きく拡大した。コード決済の決済手段としての利用割合は2019年4月の時点では1.76%だったのに対し、2020年1月には7.30%まで増加している。 一方で、決済手段として未だに根強いのは現金だ。2019年4月では52.64%と過半数を占め、キャンペーン期間の2020年1月にも41.58%の決済が現金だ。 同期間にはクレジットカードも利用割合を拡大しているが、30.90%→34.70%と、その伸張は小幅だ。利用動向をみると、クレジットカードは高額決済、コード決済は少額決済とすみ分けが進んでいる。 つまり、コード決済市場は現金の少額決済の需要を奪って成長している格好と言える。 また、ユーザーにとっては他の決済手段を選ぶ自由もある。コード決済サービスはアプリを導入してアカウントを登録し、銀行口座やクレジットカードを登録すれば使える。他のサービスへの乗り換えも難しくはなく、複数のサービスを使うユーザーもいる。 コード決済事業者はユーザーを拡大、定着させるために多くのプロモーション費用をつぎ込んでいる。その一方で、ユーザーはキャンペーンを展開しているサービスを渡り歩いて使うような状態になっている。PayPayでは実際、還元額を増額したキャンペーンの実施日のみ大幅に利用額が増えているような状況にある。 こうした市場の動向もあり、公取委は2社の統合自体は競争の制限とはならないと判断した。一方で現金による決済は減少傾向にあり、コード決済はクレジットカードなどの他の決済手段とも共存していることから、今後競争が阻害されるおそれもあるとして、両社の統合にあたり「条件」をつけている。 条件は2項目あり、統合後の3年間に渡り適用される。1つはコード決済企業での競争状況やユーザーデータの利用状況を公取委に報告すること。もう1つは加盟店契約で排他的な条項(他のコード決済は導入しないといった制約)を設けないことだ。 なお、審査を要請したZHDとLINEが提案した内容を公取委が承認するかたちとなっている』、「コード決済の決済手段としての利用割合は・・・2020年1月には7.30%」、意外に低いようだが、「クレジットカードは高額決済、コード決済は少額決済とすみ分けが進んでいる」、納得である。
・『市場を固めたPayPayはマネタイズにシフト  コード決済市場で圧倒的なシェアを獲得したPayPayだが、そのユーザーと加盟店は、莫大な費用が獲得したものだ。同社の業績は2019年度はマイナス367億円の営業赤字、2020年度にはマイナス822億円とさらに赤字幅が拡大している。同社はユーザーを拡大を進めつつも、収益化をシフトしていく方針を示している。 コード決済の場合、決済手数料そのものでの収益化するよりも、周辺サービスの利用を増してグループ全体での収益化を狙う戦略が王道となる。PayPayが意図する「スーパーアプリ」化もその1つだ。 PayPayの言う「スーパーアプリ」とは決済アプリを起点としたポータル化で、たとえばPayPayアプリから配車サービスのDiDiでタクシーを呼ぶといった機能拡張を行っている。 また、ZHDはPayPayを「Yahoo! JAPAN」に並ぶブランドと位置づけており、6月末にはZHD内の金融関連サービスと企業を「PayPay」ブランドに改称することも発表している。たとえばジャパンネット銀行は「PayPay銀行」に、YJFX!は「PayPay FX」といった具合で、長い歴史の中でYahoo!グループに加わった金融関連サービスをPayPayブランドに結集させつつある。 一方でLINEは、メッセージングアプリの「LINE」を元にさまざまなサービスを拡充してきた経緯があり、LINE自体がスーパーアプリで、LINE Payはその一翼をになうサービスと言える。統合後にPayPayブランドに統合する意義は薄そうだが、加盟店営業ではPayPayとの共同販促で攻勢に出られるだろう。 合併審査中ということもあり、ZHDとLINE両者の首脳から統合後の方針ついての戦略が語られることは少ない。一方で、スマホ決済サービスの今後という点では、両者の戦略はそう離れてはいないだろう。 LINEとZHDはもともと2020年内に経営統合を完了する予定だったが、昨今の新型コロナウイルス感染症の流行により、海外で合併審査の進捗が遅れている。新生ZHDとその傘下企業としてのYahoo! JapanとLINEは、2021年3月に誕生する予定だ』、「PayPay」が「周辺サービスの利用を増してグループ全体での収益化を狙う戦略」で、どの程度「マネタイズ」出来るかに注目したい。

次に、9月18日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した百年コンサルティング代表の鈴木貴博氏による「ドコモ口座パニック拡大、他人事ではない「本当に怖い落とし穴」」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/249070
・『ドコモ口座不正引き出しが今までのサイバー犯罪と違う点  「ドコモ口座」不正引き出し事件のパニックが、静かに広がりつつあります。後述するように、事件の経済被害自体は銀行やドコモから見れば少額で、そのこともあって、被害者を全面的に保護し、被害を補償する方向で対応が進みつつあります。 一方で、今回のドコモ口座事件には、これまでのサイバー金融犯罪と比較して大きく違う点があります。それは、基本的に被害者がドコモと無関係の消費者だったことです。 これまで不正利用というと、被害者は心当たりがあるケースばかりでした。たとえばクレジットカード被害に遭う場合、自分が持っているクレジットカードを誰かが不正に使うという被害だったので、明細書を見て使った覚えがない請求があったらそれに気づき、調査をかけてもらうことができました。 昨年はセブン-イレブンが導入したセブンペイで、今回とよく似た不正利用被害が起きました。ただ、この事件における被害者はあくまでセブンペイの口座を自分で開いた人で、その後犯人グループから勝手にパスワードの変更をかけられ、口座を乗っ取られたというケースでした。なので、被害者は被害に遭う「心当たり」があったわけです。 一方で今回のドコモ口座事件が怖いのは、被害者の大半がドコモユーザーではなかった点です。 あるとき銀行通帳に記帳してみたら、ドコモ口座という身に覚えのないサービスから数度にわたって合計30万円が引き落とされている。慌ててドコモに問い合わせると、「そのドコモ口座はあなたの口座ではないので、情報を開示できない」と門前払いを食らわされる。事件が大きな社会問題になるまで、こんなことが起きていたのです。 突然、通帳から大金がドコモに支払われて消えてしまう。訴えて口座を止めようにも対応してくれない――。銀行ユーザーから見れば対策のしようがありません。いったい何が起きているのか、パニックになるのは当然です。 1つユーザーが安心できることは、9月4日にドコモの丸山副社長に報告が上がって大問題になったことで、現在はドコモも責任を認め、過去に遡って全額補償を表明していることです。昨年5月にりそな銀行で最初の事件が起きた際には、もみ消されたといいます。その点では、これから先、万一被害に遭っても心配はいらないと思います。 一方で心配なのは、9月15日の高市早苗総務大臣の記者会見において、総務省管轄のゆうちょ銀行にヒアリングをした結果、ドコモ口座以外にもペイペイなど5社で、即時振替サービスに関連した被害が起きていたことが公表されたことです。 ドコモ口座と違って被害は一桁小さいとはいえ、ペイペイでは今年1月以降、17件141万円の被害が報告されました。ドコモ口座の上限が30万円なのと比較して、ペイペイの場合は上限が低いため、被害額は平均8万円と小規模ではありますが、被害者にとって甚大な損失であることには変わりありません』、今回の手口は巧妙なので、新聞の第一報ではよく理解できなかった。サイバー犯罪手口のイノベーションは困ったものだ。「ドコモ口座以外にもペイペイなど5社で、即時振替サービスに関連した被害が起きていた」、このニュースは見逃していた。「ドコモに問い合わせると、「そのドコモ口座はあなたの口座ではないので、情報を開示できない」と門前払いを食らわされる」、こうした問い合わせが相次いだ筈なのに、直ぐに調査しなかった「ドコモ」の怠慢には呆れた。
・『銀行ユーザーにとっての「2つの不安」  そうした状況下、一般の銀行ユーザーにとって心配なことは、以下の2点です。 (1)なぜこのような被害に遭うのか。 (2)このような被害がこれからドコモ以外で起きたときも、補償してもらえるのか。 先に述べてしまうと、この事件の最大の問題点と思われるのは、必ずしも銀行口座に元通りにお金が戻るとは限らないだろう、ということです。 これから先も、おそらく違う形で似たようなサイバー犯罪が起きることは、まず間違いありません。組織的な犯罪集団は常にイノベーションを図っていて、警察どころか銀行やドコモなどの決済サービス事業者を常に出し抜く努力(?)を重ねています。彼らがセキュリティの穴を発見するたびに、何らかの不正事件がこれからも必ず起きます。 そして、今回の事件でも実はそうなのですが、ユーザーに対して犯罪が実行される条件としては、大半のケースにおいて、銀行やサービス事業者のセキュリティが甘いだけでなく、自分でも何らかのミスをしなければ、犯人グループはお金を盗むことができません(細かく言うと違うのですが、大半の場合についてはその通りのはずです)。 ここがポイントで、今回の事件も犯人グループがドコモ口座を開設してお金を吸い上げるために用いたログイン情報の大半は、被害者のミスで盗まれたと警察は見ています』、「被害者のミス」とはどういうことなのだろう。
・『他人事ではない教訓 「なぜこんな目に遭うのか」  さて、今回の事件において「なぜこのような被害に遭うのか?」について、解説したいと思います。 今回のドコモ口座事件では、第三者が自分の銀行口座のインターネットバンキングのログイン情報を不正に入手して、本人に成りすまして勝手にドコモ口座を開設し、銀行口座からドコモ口座に上限である30万円をチャージして使ってしまうという手口で、犯罪が行われました。 その際に狙われたのは、ウェブ口座振替というサービスでの確認強度が弱い銀行でした。具体的に言えば、口座番号、ログインパスワード、キャッシュカードの暗証番号4ケタ、この3つの情報さえあればドコモ口座に資金を移動できる仕組みになっている銀行が狙われたことになります。 逆に確認強度が強い銀行の場合、たとえば本人しか持っていないワンタイムパスワードを発生させるトークンという機器を提供して本人認証を行っていたり、口座開設時に登録した携帯電話宛にSMSでメッセージを送り本人確認をしたりといった、二段認証をしなければならないようになっています。このような強度の強い銀行は、今回狙われなかったし、今後も狙われることは少ないと一旦は考えられます(今後、犯罪グループも技術が向上していくので、慢心はよくないとは思いますが)。 では、犯人グループはどうやってユーザーの口座番号、ログインパスワード、キャッシュカードの暗証番号を盗んだのでしょうか。警察の話では、今回の事件の大半のケースでは、フィッシング詐欺が用いられたと見ているようです。 ご存じでない、ないしはお気づきでない方もいるかもしれませんが、プライベートでこんなメールが届くことはありませんか。 「あなたの○○アカウントは一時的に停止しました」 この「○○」は、アマゾンでも楽天でもLINEでも銀行でも、何でもいいのですが、とにかくあなたの何らかの口座に不正なアクセスと見られる動きがあったので、一時的にアカウントを停止しているという、一見親切なメールです。しかしこのメール、送り付けるのは大半の場合、犯罪グループです。 メールの中で「アカウント停止の解除はこちらから」と書かれてあるリンクをクリックすると、そこが不正の入り口で、銀行の場合なら、本物の銀行のホームページそっくりの画面が表示されます。 そして、本人確認に必要な情報だとして口座番号、ログインパスワード、キャッシュカードの暗証番号を順番に入力していくと、「本人確認が完了しました。口座の停止を解除しました」といった、ユーザーを安心させるメッセージが表示されます。しかしそのときにはすでに、銀行口座の口座番号、ログインパスワード、キャッシュカードの暗証番号は、犯罪グループに盗まれているわけです。 ちなみに、このような罠を仕掛けなくても、リバースブルートフォースという手口のように、手当たり次第にログインIDと暗証番号を試す攻撃もあります。フィッシング詐欺に引っかかった経験がなくても、暗証番号やパスワードに簡単なものを設定している人は、このような攻撃に対して脆弱だと言えます』、メガバンクのなかでも、みずほ銀行の預金者に被害が出たようだが、同行の「確認強度」はそれほど弱いのだろうか。「フィッシング詐欺に引っかかった経験がなくても」、「リバースブルートフォース」「攻撃」があるというのは、恐ろしいことだ。
・『第二段認証の壁がない「緩い銀行」が狙われた  さて、口座情報を盗んだ犯人にとって難しいのは、ここからです。大半の場合、個人の銀行口座にインターネットバンキングでログインしても、普通はお金を送金できない。第二段認証の壁があるからです。しかしときどき、そういった壁を越える必要のない新サービスが登場します。ドコモ口座もその1つで、上限30万円までなら低いセキュリティで資金を移動できる銀行が何行もありました。だから、その銀行の預金者が狙われたわけです。 ドコモ口座事件の被害者がある意味でラッキーだったのは、事件が大きな社会問題になった一方で、被害額が9月15日時点で143件、2676万円というレベルにとどまっている点です。被害者にとっては平均17万円と大きな被害でも、ドコモのような大企業にとっては役員決裁で補償できるくらいの少ない金額です。だから、補償が決まるのもスムースだったわけです』、「上限30万円までなら低いセキュリティで資金を移動できる銀行が何行もありました。だから、その銀行の預金者が狙われた」、小口だからと、「セキュリティ」を緩めたとすれば銀行側の致命的ミスだ。
・『さらに高額な不正事件が起きたら誰も被害を補填してくれなくなる?  しかし、もし将来別の事件が起きて、被害件数14万件、被害額267億円などと高額になったら、話は変わってきます。ドコモのミスや銀行のミスに加えて、被害者のミスも重ならないと事件は起きないため、関係者間で「被害額をどう分担するか」という話し合いが持たれるでしょう。 その場合、「そもそもパスワードを盗まれたユーザーの責任が一番重い」などと、大企業や銀行が主張することだってあるかもしれません。それが裁判で争わなければいけない事態にまで発展すれば、弁護士を雇うお金もない被害者が一方的に不利になります。そんなケースも、これからは出てくるかもしれないのです。 今回の事件で私が一番気になったのは、銀行の当事者意識が低かったことです。事件に関係した銀行幹部は、ドコモの会見に出席すらしません。背景を推察するに、私たちが銀行のサービスを利用する際には、銀行側からの確認事項に対して全て「同意」しているため、その後どのような事件が起きても、法的には自分たちに何の責任もないということが、わかっているからでしょう。 しかし、だからこそこうした事件は、銀行にとっても危険なのです。消費者が「ITが進化すればするほど、銀行にお金を預けておくと危なくなるんだ」と気づき始めるからです。ドコモ口座事件は、ユーザーがそんなことを肝に銘じる最初の事件だったかもしれません』、「今回の事件で私が一番気になったのは、銀行の当事者意識が低かったことです」、「消費者が「ITが進化すればするほど、銀行にお金を預けておくと危なくなるんだ」と気づき始める」、同感である。

第三に、9月17日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した京都大学経済学部特任教授の宇野 輝氏による「菅首相に求むキャッシュレス縦割り行政の打破、ガラパゴス問題の根深さ」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/248808
・『菅義偉新首相は「縦割り行政の打破」を掲げて日本のトップの座についた。そんな菅首相にとってキャッシュレス化政策の改革は、その手腕を発揮するための絶好の舞台といえる。キャッシュレス化は、3省庁にまたがる省益と2つのガラパゴス問題という根深い問題を解決しなくては推進できない政策だからだ』、そんなに大事なのだろうか。
・『政府がデジタル戦略の中核に置くキャッシュレス化の実現性を問う  自民党総裁選の論戦における重要なテーマの1つが、わが国のデジタル戦略だった。新たな首相となった菅義偉氏は「デジタル庁」の設立構想を打ち立てた。また、菅氏の対抗馬だった岸田文雄氏も「データ庁」とデジタルトランスフォーメーション(デジタル化による変革、DX)を推し進める「政府DX推進委員会」の創設する考えを示していた。 デジタル化を巡る政策の転換は、たとえ安倍晋三前首相の電撃的な辞任がなかったとしても、待ったなしの状況だった。2020年7月、政府は「経済財政運営と改革の基本方針2020」において、すでにその方針を示していたからだ。 そこで示された施策は、新型コロナ感染症の危機に直面し、わが国の社会構造が先進国の中で、いかにデジタル化が遅れているかを露呈させた反省から出てきた施策である。この諸施策の実現に当たり、政府は具体的な成長戦略の実行計画案を同時に発表していた。 実行計画案ではデジタル化の主要な施策として、決済インフラの見直しおよびキャッシュレスの環境整備を挙げ、決済インフラに関する法整備やキャッシュレスの環境整備の問題点を提起している。 そして具体的なキャッシュレス決済の目標値として、キャッシュレス決済比率を現在の約20%強から2025年までに40%程度とし、将来的には世界最高水準の80%程度を目指すとしている。 本稿においては、政府がデジタル化の1丁目1番地に位置付けている、キャッシュレス決済比率目標の実現性およびキャッシュレス決済に関わるデジタル化施策の諸課題について、わが国の歴史的な経緯を踏まえて論じてみたい』、「歴史的な経緯を踏まえて論じてみたい」とは興味深そうだ。
・『日銀券の在り方および個人の徴税制度に関する課題  わが国のキャッシュレス決済比率が低迷する歴史的な問題は、政府も成長戦略実行計画において「わが国の決済システムは長い歴史を持ち、非常に強固に作られてきた半面、新しいシステムへの適応が難しい」と述べている。 この問題の根幹にあるのは大量の日本銀行券(現金)の流通にある。日銀券は銀行を中心に安全性(特に偽造問題)が担保され、高額紙幣の流通を可能にしている。 また、80年前のある制度設計が日本のキャッシュレス化を妨げる壁となっている面がある。それは徴税制度だ。 下図のように、世界主要国のキャッシュレス決済比率を見ると、近年韓国や中国はキャッシュレス決済比率を急速に高め、中国は70%超、韓国に至ってはほぼ100%という水準となっている。 これは、脱税問題を解決するため、デジタル化によって納税の透明性を高めた結果だ。それに比べ、日本とドイツのキャッシュレス決済比率が低い理由は、徴税制度に起因しているものと考えられる。 わが国の個人の徴税制度は、戦前のナチスドイツの源泉徴収制度にならって1940(昭和15)年に導入され、現在も続いている。その結果、一般的に個人の脱税問題が発生していないため、領収証さえ添付すれば現金支払いによる経費支出が証明される、という曖昧な確定申告がまかり通っている。 従って、国内総生産(GDP)の約55%を占める個人消費支出約300兆円の80%をキャッシュレス決済にするためには、米国と同様に、わが国にもマイナンバーカードにリンクした徴税制度を導入することが重要な課題となってくる。現在実施されているマイナポイント制度では、到底その効果は期待できない』、「個人の徴税制度は、戦前のナチスドイツの源泉徴収制度にならって1940(昭和15)年に導入され、現在も続いている・・・領収証さえ添付すれば現金支払いによる経費支出が証明される、という曖昧な確定申告がまかり通っている」、「現金支払い」が根強く続いている背景に「曖昧な確定申告」制度があるというのは、初めて知った。
・『そしてもう1つ、日本のキャッシュレス化を妨げてきた要因がある。それは、わが国独自の進化を遂げた“便利すぎる”ATM(現金自動預け払い機)だ。 以前より通貨の取り扱いコスト比較では、現金が極めて割高だった。Visa Internationalによると、50ドルの取引における1件当たりの取り扱いコストは、キャッシュ(窓口)1.07ドル、小切手0.54ドル、ATM0.27ドル、クレジット・デビットカード0.06ドルだという。 ところが日本では、日銀券を取り扱う高性能なATMの開発によって省力化・効率化を図り、事務コストを大幅に引き下げてきた。その結果、現在も現金の利便性は高い。 しかしビッグデータ時代に入った今、個人消費のマーケティングに用いる分析データとして、通貨の流通履歴(Evidence)が欠かせないものとなった。日本における現金の利便性が、その重要なデータの取得を妨げているという皮肉な状況が生まれている』、「現金の利便性が」「通貨の流通履歴」という「重要なデータの取得を妨げているという皮肉な状況が生まれている」、というのも確かに「皮肉」だ。
・『キャッシュレス決済のインフラの見直しと環境整備の課題  次に「成長戦略実行計画」では、決済インフラの見直しとして、以下の3点などを挙げている。 (1)決済法制及び金融サービス仲介法制の見直し (2)振込手数料の見直し (3)優良なノンバンクの参加  そしてキャッシュレスの環境整備としては、前述のマイナポイントの付与の他に以下の2点を提言している。 (1)加盟店手数料の見直し (2)日本発の統一QRコードの海外展開やタッチ式決済のユーザーインターフェイスの統一) しかし、これらについても歴史的な問題を現在も抱えていることを認識しておかなければ、解決策は見いだせない。キャッシュレス決済インフラとキャッシュレス環境が今も抱える根本的な問題は、世界標準から逸脱しガラパゴス状態で進化してきたことにある。その状況は、1960年代以降に日本固有の割賦販売や「後払い」のクレジットカードが導入されたことによって生まれた。 具体的な例として、日本のキャッシュカードやプリペイドカード、クレジットカードのプロトコル(規格)が挙げられる。日本では、大蔵省(現財務省)や通商産業省(現経済産業省)、郵政省(現総務省)の行政指導の下、カードの表側の磁気ストライプ(NTT仕様)を読み取る「表読み」が採用されてきた。それに従ったため、ATMや加盟店の決済用端末機はこの表読みが主流となってしまった。 しかし、世界標準化規格であるISO基準では「裏読み」であるため、決済用端末機への二重投資が発生し、コスト高を招いてしまった。加えて、日本独自の信販・流通業界の割賦販売の仕様が端末機に付加され、端末機価格はより高くなった。そして、複雑な仕様は通信コストや事務処理コストをも高くしてしまった。 加盟店端末機にあっては、その後キャッシュレス決済ビジネスにノンバンクが入り乱れて参入し、ICカードや非接触カードの読み取り機を導入。その結果、店舗側に端末機の設置スペースの問題が発生した。 こうした背景があり、日本の加盟店手数料率は世界標準と比べて約2倍の水準となっている。 これらの諸問題を解決するためには、銀行系クレジットカードや貸金業界を所管する金融庁、信販・流通・ノンバンク業界を所管する経産省、通信インフラを所管する総務省の3省による一体改革が必要不可欠だ。3省は「省益」を排除し、日本独自のキャッシュレス決済インフラを世界標準に合わせ、グローバルな決済インフラに再構築することが求められている。 「縦割り行政の打破」を掲げて自民党総裁選を勝ち抜いた菅義偉新首相にとって、キャッシュレス化の推進政策は、その手腕を発揮する絶好の舞台といえるだろう』、「縦割り行政」によって「決済用端末機への二重投資が発生し、コスト高」、「割賦販売の仕様が端末機に付加され、端末機価格はより高くなった」、という歴史的経緯を度外視して、最適な決済システムを構築する訳にもいかない。「成長戦略実行計画」は絵に描いた餅に過ぎず、実行していくのはなかなか難しい問題のようだ。
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