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医療問題(その25)(大前研一「アフターコロナは遠隔診療を新常識にせよ」 オンライン診療が日本で遅れるワケ、安倍政権は厳しい医療費抑制策を復活させた 日本福祉大の二木立名誉教授に聞く医療政策、東京女子医大病院「400人退職」の裏にある混沌 医療スタッフのボーナスをカットした本当の訳) [生活]

医療問題については、5月11日に取上げた。今日は、(その25)(大前研一「アフターコロナは遠隔診療を新常識にせよ」 オンライン診療が日本で遅れるワケ、安倍政権は厳しい医療費抑制策を復活させた 日本福祉大の二木立名誉教授に聞く医療政策、東京女子医大病院「400人退職」の裏にある混沌 医療スタッフのボーナスをカットした本当の訳)である。

先ずは、プレジデント 2020年6月12日号が掲載したビジネス・ブレークスルー大学学長の大前 研一氏による「大前研一「アフターコロナは遠隔診療を新常識にせよ」 オンライン診療が日本で遅れるワケ」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/35617
・『オンライン診療はなぜ日本で遅れているのか  2020年4月13日から初診患者のオンライン(遠隔)診療が解禁された。新型コロナウイルス感染症が拡大する中、感染拡大を予防し、医療崩壊を防ぐための特別措置として、感染が収束するまでに限定して、初診患者へのオンライン診療が公的医療保険の対象になったのだ。 オンライン診療とは、パソコンやスマートフォン、タブレット端末などの画像通話機能を活用して診療するシステムのことだ。診療予約から実際の診断、決済までネット上で完結するので、患者は病院に出向く必要は一切ない。当然、院内感染のリスクもない。 オンライン診療はアメリカやカナダなど国土が広く、医師や医療機関へのアクセスが困難な患者が発生しやすい国で早くから発達してきた。電子政府化を進めて今や電子カルテの普及率が100%に達しているフィンランドなども、オンライン診療の先進国といえる。 日本では離島や僻地でのオンライン診療から始まって、段階的に条件が緩められてきたものの、なかなか広がってこなかった。既得権を脅かされることを嫌う医師会の圧力もあるのだが、最大の理由は医師法の壁である。 「医師は、自ら診療しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方せんを交付し……または自ら検案をしないで検案書を交付してはならない」 医師法第20条にこうある。いわゆる「無診察治療」の禁止を定めた条文で、つまり触診なり、聴診なり、問診なり、医師は自分で「診察」したうえで、治療や処方をしなければならないのである。 そもそも無診察治療が禁じられている理由は、患者に適切な医療サービスを提供するためだ。たとえば、問診は電話でも可能だとしても、患者の顔色や容態を視診したり、あるいは同じ部屋で対面して触診や聴診してみなければ、正しい診断を下して処方することができない場合もある。 その後、2018年度の診療報酬改定で「オンライン診療料」が創設されて、オンライン診療の保険適用が始まった。ただし、健康保険が適用される「保険診療」の場合、初診は対面診療に限られてきた。 ということで、情報通信技術(ICT)が日進月歩の進化を遂げているにもかかわらず、日本ではオンライン診療がなかなか広がってこなかったのだ。 今回のコロナ禍で医療現場が逼迫し、医療従事者と患者がリスクにさらされる状況になったために、オンライン診療の有用性が広く認知され、ようやく門戸が少し開いたといえる』、「コロナ禍」の思わぬ副産物だ。
・『門前薬局で待たなくてよくなる  20年4月7日に閣議決定された「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」で、パンデミックが収束するまでの間、初診でのオンライン診療を認める方針が示された。 解禁された20年4月13日以降、患者からオンライン診療を求められた医師は、診断や処方が可能と医学的に判断すれば、初診の患者でもオンライン診療が行える(初診料の自己負担額は3割負担で642円)。処方には制限があって、麻薬性の鎮痛薬や向精神薬などは認められていない。 また患者のなりすましや、虚偽の申告による処方を防止するために、受診する患者、診察する医師双方ともに顔写真付きの身分証明書や保険証などによる本人確認を行うことが実施要件になっている。 今後、厚労省はウイルス感染の状況、医療現場での実用性や実効性、安全性などの観点から3カ月ごとに検証を行うという。初診患者へのオンライン診療は時限的な措置にとどまって、対面医療を補完するツールに戻るのだろうか。私はそうは思わない。アフターコロナの新常識として定着する可能性は少なくないと見ている。 オンライン診療で薬の処方や受け取りはどうなるのか。薬は医師が書いた処方せんに則って調剤される。処方には病院の中で薬が処方される「院内処方」と、病院が発行する処方せんを調剤薬局に持ち込んで薬を受け取る「院外処方」がある。 最近は院外処方が圧倒的に多い。院外処方にすれば、病院としては薬剤師を雇わずに済むし、院内に薬局用のスペースを設けたり、薬の在庫を持つ必要もなくなるからだ。 病院と院外薬局の蜜月関係もある。病院前にある院外薬局は「門前薬局」とも呼ばれるが、病院と裏でつながっていることが多い。病院はキックバックをもらったり、接待を受けている、という指摘もある。 さて、今回の「コロナ特例」では、初診患者へのオンライン診療解禁とともに、薬剤師による電話などでの服薬指導も解禁された。処方された薬を自宅に送ってもらうことも初診から可能になった。 院外処方の場合でいえば、オンライン診療を受けた後に処方せんの原本が自宅などに送られてきて、それを持って調剤薬局に行って薬を処方してもらう、というのがこれまでの手順だった。「医師は患者に処方せんの原本を提供しなければならない」という決まりがあるからだ。 しかし今回の特例では、オンライン診療を受けた患者の希望する薬局に病院がファクシミリなどで処方せんの情報を送って、それに基づいて薬局が薬を調剤できるようになった。薬ができたら薬局は患者に電話などで連絡を入れて、服薬指導が必要な場合はそれを行ってから、郵送などで薬を送付する。患者はわざわざ薬局に出向かなくていいのだ。 処方せんの原本は、病院と薬局の間でやりとりしてまとめて保管しておく。会計は後日に来局して支払ったり、代金引き換えやクレジットカードなども利用できる。 これもあくまで新型コロナウイルス感染症の流行が収まるまでの特例措置だが、気が気でないのは門前薬局だろう。こうした院外処方が定着して身近な薬局に処方せん情報を送ってもらいたいという患者が増えたら、高い地代や高いコミッションを支払って病院のそばで薬局を経営する“うまみ”がなくなるからだ』、恒常的措置にする場合でも、「門前薬局」の既得権は考慮する必要はないだろう。
・『アメリカではAmazonが薬を届けてくれる  米国サンフランシスコに「プラクティスフュージョン」という電子カルテを管理するクラウドサービスを無料で提供している新興企業がある。この会社は全米の開業医に声を掛けて、約15万の開業医と提携した。開業医が高額な電子カルテのシステムを導入するのは厳しい。それがタダで使えるのだから、開業医がこぞって導入するのも当然だ。 プラクティスフュージョンがどこから収益を得ているかといえば、薬を売る側である。同社の電子カルテシステムを使えば、患者のスマホに診療データや処方せんが送られてくる。必要な薬が近場のどのドラッグストアで売っているかまで表示されるのだ。 今やプラクティスフュージョンのシステムは総合医療の巨大プラットフォームとなり、アメリカの医療システムは激変した。 これに目を付けたのがアマゾンである。アマゾンは18年に「ピルパック」という新興のオンライン薬局を買収した。アメリカは今やプラクティスフュージョンから引き出した処方せんをアマゾンに転送するだけで薬が届く時代になっているのだ。しかも月10ドル払ってアマゾンプライム会員になれば配送無料。月に何度でもOK。さらに「当日お急ぎ便」や「日時指定便」といったサービスまで無料とくれば、ユーザーが殺到しないわけがない』、日本では「アマゾン」経由で薬を受け取るのは、規制上無理だろう。
・『コロナ危機が日本医療システムに与えた、数少ないプラスの貢献  日本薬剤師会が一番恐れているのは、アマゾンが日本でも薬の流通に入り込んでくることだろう。もちろん既得権益と規制の壁は相当に高く、容易には入り込めない。それでも今回のコロナ禍によって、世界から遅れに遅れた日本の医療システムに小さな風穴が開いたのは確かだ。 私はコロナ危機を奇貨としてオンライン医療を患者中心の考え方に根本から見直すべきと考える。カルテが患者のものだ、という認識からクラウド上にすべての個人医療情報を集める。病院が替われば診断や検査をやり直すということも禁じる。遠隔診療のためには医者側が使うAIの充実も欠かせない。検査結果が出たらどのような治療をするべきか、医者の判断を側面支援するデータベースを構築する。 アメリカでは野戦病院で診断結果が出ると、治療に関しては専門家がいない場合が多いので20年も前からこのようなシステムを使っている。医者の処方もすべて個人医療情報システムに入力させ、これを時系列的に追跡できるようにする。このようなデータベースをお互いに共有すればオンラインでも“初診”ということはなくなる。すべての患者は日本の医療システムデータベースでは既存の患者、となるからだ。 今までの医者・病院という提供者の論理から患者中心のシステムに転換する。これができれば、長い間を経た後に、コロナ危機が日本医療システムに与えた数少ないプラスの貢献、と見返す日が来ることを期待しよう』、「医療システムデータベース」は確かに効率的だが、ハッカー攻撃などに抵抗力がなければ、重要なプライバシー情報が流出するリスクがある。

次に、9月18日付け東洋経済オンライン「安倍政権は厳しい医療費抑制策を復活させた 日本福祉大の二木立名誉教授に聞く医療政策」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/376217
・『新型コロナウイルス対策への課題が山積されたまま、安倍晋三・前首相は退陣を表面した。コロナ禍によって医療への関心は高まっているが、安倍政権下で日本の医療界はどのように変わったのか。  安倍政権の7年8カ月を振り返る連続インタビューの4回目は、医療経済や医療政策が専門の二木立・日本福祉大学名誉教授。安倍政権の医療政策を振り返ってもらうとともに、9月16日に発足した菅政権の課題を聞いた(Qは質問、Aは二木氏の回答』、興味深そうだ。
・『ステルス作戦で医療費を抑制  Q:二木さんは、安倍政権が厳しい医療費抑制政策を復活させたと指摘していますが、あまり一般には知られていませんね。 A:今回、私自身も調べてみて驚いた。アベノミクスの成果かどうかは別にして、第2次安倍政権で国内総生産(GDP)の成長率は上昇した。だが、国民医療費の伸び率は、直前の民主党政権の時はもちろん、その前の3代の自民党政権のときよりも低い。医療費を抑制したといわれる小泉純一郎政権の時代でさえ、医療費の対GDP比は微増していた。 経済の伸びに合わせて医療費も大きくなるというのが医療経済学の常識だが、第2次安倍政権でその関係が完全に失われているのは、歴史的にも極めて異例なことだ。 安倍政権が診療報酬全体のマイナス改定を断行した2014年度、2016年度、2018年度の医療費伸び率は改定前より明らかに低下している。このことは、診療報酬の引き下げがストレートに医療費に影響していることを示している。 Q:小泉政権と安倍政権の違いは何だったのでしょうか。 A:小泉政権はいわば劇場的な手法で、日本医師会や自民党の厚労族などを「抵抗勢力」に見立てて敵をつくり、医療分野への市場原理の導入や患者負担の大幅増加を推し進めようとした。 それに対して、安倍政権の医療費抑制政策には小泉政権のような派手さはまったくない。ステルス(秘密)作戦のように、4回あった診療報酬改定ですべて下げて医療費抑制の実を取った』、「経済の伸びに合わせて医療費も大きくなるというのが医療経済学の常識」、医療業界の肩を持った主張だ。下記にみるように医療費と介護費のGDP比は一貫して上昇し、2018年で59.9%とOECDで6番目に多い(日医総研リサーチエッセイ77)。今後の高齢化を踏まえれば、抑制が必要なのは明らかだ。
https://www.jmari.med.or.jp/download/RE077.pdf
・『Q:新型コロナウイルス禍で、医療機関の経営難が広く報道されています。厳しい医療費抑制政策が影響したのでしょうか。 A:厳しい医療費抑制政策が2013年度以降、7年間も続き、医療機関、特に民間の急性期病院の利益率は急減した。福祉医療機構のデータによると、急性期の民間病院の経常利益率は小泉政権のときに0%までに低下した。民主党政権で3%台まで持ち直したと思ったら、安倍政権の医療政策で再び下がり、2016年には0.6%まで低下した。 これではとてもではないが内部留保を蓄積できない。そこに新型コロナが襲い、収入減と費用増によって多くの病院が経営危機に直面している』、「民間の急性期病院の利益率は急減」は確かに問題だが、要因をもっと詳しく分析する必要がある。

第三に、7月16日付け東洋経済オンラインが掲載した ジャーナリストの岩澤 倫彦氏による「東京女子医大病院「400人退職」の裏にある混沌 医療スタッフのボーナスをカットした本当の訳」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/363372
・『東京は、7月になって新型コロナウイルスの新規感染者が連日200人を超え、16日には過去最高となる280人以上の感染を確認。すでに「第2波」に突入した状態だ。 中でも新宿・歌舞伎町は、ホストクラブやキャバクラ、ライブハウスでの集団感染が相次ぎ、新型コロナの「震源地」として警戒されている。 この歌舞伎町から、東へ約1キロメートルに位置する東京女子医科大学病院が、いま大きく揺れている。 新型コロナの診療にあたる、医師、看護師などの医療スタッフに対して、大学は夏のボーナスをゼロに。これに対して、約400人の看護師が一斉に退職の意向を表明したという。 新型コロナの感染拡大を、最後の砦で食い止める医療スタッフが、大幅に収入を減らされてしまう不条理。この背景に存在する、名門大学病院の知られざる実態を追った──』、新聞では簡単に報じられただけだったので、「実態」を是非知りたいところだ。
・『新型コロナと向き合う大学病院  女子医大病院の「総合外来センター」エントランス前には、武骨な白いテントが2つ並ぶ。 通院患者は、発熱やせきなと?の症状がある場合、ここで新型コロナの初期診断を受けなければならない。医師が必要と判断した場合には、PCR検査も行う。 しばらく見ていると、うつむき加減の中年男性を、看護師が別棟の関連施設に誘導していった。看護師が装着しているのは、立体的な形状の特殊なマスク。「N95」と呼ばれる飛沫感染を防止するタイプだ。 「うちの病院は、感染症指定医療機関ではないので、当初は新型コロナ患者を受け入れていませんでした。しかし、東京都から再三の要請を受けて、新型コロナ専用病棟を設置して、約30床のベッドを確保したのです。非常事態ですから当然の対応ですが、病院の経営的には打撃でしたし、マンパワー的にも大変です」 内情を証言してくれたのは、女子医大に勤務する関係者だ。新型コロナの患者は、1つの病室に1人が原則。そのため、病室の稼働率が悪くなり、収益が大きく圧迫されている。 国は新型コロナ患者の重症・中等症患者の病床に1日当たり4万1000円を補助するとしているが、収支が改善する効果はないという。 新型コロナ専用病棟の看護師として、各診療科から有志を集めたが、感染症の専門的なトレーニングを積んだ看護師は限られていた。 海外では診療中に、新型コロナに感染した医療関係者のケースが報じられ、看護師には精神的にも体力的にも強いプレッシャーがかかった。幼い子どもを持つ看護師も多く、互いに励まし合いながら立ち向かう日々。 ようやく感染拡大の第1波を乗り切ったところへ、大学側から職員に非情な通告が突きつけられた──。 「今期の上半期賞与は支給しない」 6月11日、団体交渉に臨んだ女子医大の労働組合に対して、大学当局はボーナスゼロの回答を行った。対象は、医師、看護師、検査技師から事務職まで全職員だ。 労働組合には、生活に対する不安と、大学当局に対する怒りや不信の声が寄せられた。 「奨学金の返金もできません。食費の確保もできません。生きていけません。毎日、不安で不安で、正直眠れないです」(20代・女性) 「説明もなしに、いきなりボーナス全額カットなんて詐欺もいいところ。職員はボランティアですか?」(20代・看護師) 「私たちが必死でやってきたことに、感謝すら感じていないのだと思い、本当に涙が出ます」(30代・看護師) 「どこまで頑張る職員を侮辱し、痛めつければ気が済むのですか?職員が病気になりますよ」(30代・医療技術者) 実は、ボーナスゼロには伏線があった。 新型コロナの第1波を受けて、外来患者が大きく減少したため、女子医大は職員の一部を「一時帰休」させた。 いわゆる自宅待機だが、その期間の給与は4割減。当然、職員からは反発の声が上がったが、方針は変わらなかった。 女子医大には、新宿の本院のほかに2つの病院があり、看護師だけで2206人が働く(女子医大HPより)。今回のボーナスゼロ回答を受けて、全看護師の5分の1にあたる約400人が退職の意向を示したという。 6月25日、再交渉に臨んだ労働組合に対し、大学当局の代理人である弁護士からは、神経を逆なでする発言が繰り返された』、「国は新型コロナ患者の重症・中等症患者の病床に1日当たり4万1000円を補助するとしているが、収支が改善する効果はない」、引き受けて損がないよう十分に補助すべきだろう。しかし、「大学当局」の姿勢は極めて高圧的だ。
・『「足りなければ補充するしかない」  組合:「女子医大よりも減収額が大きい大学でもボーナスは出ている」 大学:「減収と赤字は違う。うちは30億円の赤字だ」 組合:「中小の病院も赤字に苦しんでいる。それでも職員のことを考えて、借りてでもボーナスを支給しているところもある」 大学:「女子医大も借りて支給せよということですか。そんな不健全な経営は間違っているし、やるつもりもない」 組合:「看護師の希望退職者が400人を超えることについてどう考える?」 大学:「深刻だと思うが、足りなければ補充するしかない。現在はベッドの稼働率が落ちているので、仮に400人が辞めてもなんとか回るのでは。これは完全に経営の問題であり、組合に心配してもらうことではない」 今期、30億円の赤字になる、という弁護士の主張について、女子医大関係者に聞くと、意外なカラクリがあるという。 「30億円の赤字は、ボーナスを前年並みに支給した場合の推計値です。結局、ボーナスはゼロだったわけですから、30億円の赤字は理屈に合いませんね」 女子医大関係者は、看護師の離職について、大学側の認識を明かした。 「毎年、ウチでは300人前後の看護師が入れ替わっています。若い看護師にブランド病院として人気が高く、キャリアを積んで比較的短期間で辞めていく人が多いからです」 また、若い看護師を次々に入れ替えるほうが、人件費は安く済むという現実もある。 実際、女子医大では来年度に向けて、すでに330人の看護師を募集していた。 ただし、今回は例年を超える大量の離職者が出ることが必至。現場にも悪影響が出ているという声が、労働組合に寄せられている。 「ただでさえ看護師が足りていないのに、ここから辞めてしまったら経験者もいなくなり、患者の安全も守れないでしょう」(30代・看護師) 「私たち看護職がいなくなったら、誰が看護をするんですか?看護の質も下がり、インシデント(※)の数は増えていませんか?このままでよいのですか?」(20代・看護師) (※)重大な事件・事故に発展する可能性がある事象やミス  同じ新宿区内にある東京医科大学病院では、ボーナスは例年と変わらず、さらにコロナ特別手当として医師、看護師などに月額2万円が支給されている。都内の別の大学病院でもコロナ手当があり、今夏のボーナスがゼロというところはない。 東京女子医大だけがなぜ違うのか。探っていくと、名門大学病院の知られざる「裏の顔」が浮かび上がってきた』、「「毎年、ウチでは300人前後の看護師が入れ替わっています。若い看護師にブランド病院として人気が高く、キャリアを積んで比較的短期間で辞めていく人が多いからです」、「東京女子医大」の強行な姿勢の背後には、思い上がりの強さがあるようだ。
・『名門大学病院の凋落を招いた、医療事故と同族経営  外科医の本田宏氏は弘前大学医学部を卒業後、1981年に女子医大の医局に入った。 「心臓、肝臓、腎臓などの外科手術で、日本トップレベルの医者たちが女子医大に集まっていました。当時、自他共に認める名門大学病院だったのです。ここで私は肝臓の移植医になるつもりでした。でも、実際に入ってみると、まるで西部劇のような大学で、給料も安く、若手の医者や看護師はディスポーザブル(使い捨て)のように扱われていたのです」 当時、ガチガチの“男社会”だった日本の医療界。東京女子医大でさえ、生え抜きの女医が教授になるケースは多くなかった。 そこで、腕に自信のある医者たちが、全国各地から一旗あげようと東京女子医大に集まっていたのである。これが本田医師の目には「西部劇」のように映ったという。 腎臓移植や人工心肺装置の開発などで、女子医大は日本を代表する大学病院の地位を確立。1日の外来患者数は、約4000人と人気が高かった。 しかし、名門病院のブランドは、2001年に起きた心臓手術の死亡事故を契機に一変する。 2人の医師が逮捕され、執刀医(講師)は患者のカルテを改ざんした証拠隠滅罪で有罪判決が確定。もう1人の医師(助手)は、女子医大による内部報告書で、事故原因の責任を押しつけられたが、刑事裁判では無罪判決となった。裁判の過程で、組織ぐるみの隠蔽工作が明らかになり、後に女子医大は助手だった医師に謝罪と損害賠償を支払っている。 ガバナンスの欠如を重視した厚生労働省は、女子医大の特定機能病院の指定を取り消した。外来患者数が急減した女子医大は、一気に赤字経営へと転落したのである。 特定機能病院の指定は2007年に再承認されたが、2014年に再び重大な死亡事故が発覚する。 2014年、女子医大のICU(集中治療室)で治療中の2歳児が、プロポフォールという鎮静薬を大量投与され、3日後に死亡した。プロポフォールは、ICUで人工呼吸中の子どもに使用を禁止されていたことから、女子医大の管理責任が問われた。 さらに女子医大では、ほかに63人の子どもにもプロポフォールを投与、そのうち12人が投与後3年以内に死亡していたことが明らかになる(女子医大側は、投与と死亡の因果関係を否定)。 この問題をめぐって、女子医大の理事長と学長の内部対立をさらけ出し、遺族への対応のまずさも目立った。 「女子医大は2度死んだ」と、勤務する医師が嘆くほど、2つの事故によって、かつての栄光は地に堕ちたのである。 厚生労働省は、改めて女子医大の特定機能病院の承認を取り消した。外来患者の減少と評価の高い看板医師の流出が起こり、女子医大は3期連続の赤字に逆戻りする。経営立て直しのために、人件費の抑制が行われ、職員のボーナスは、2013年から2016年までの3年間で、最大123万円も減額された(労働組合調べ)。このとき、労務担当理事として大なたを振るったのが、去年から理事長に就任している岩本絹子氏である。 「岩本氏は、東京・江戸川区の産婦人科クリニックで院長をしていましたが、創業者一族として女子医大の運営に乗り出してきました。厳しい人で、書類を投げつけるときもあるそうです。誰も意見できない雰囲気で、まるで独裁者だと揶揄する職員もいます」(女子医大関係者)』、「外科手術で、日本トップレベルの医者たちが女子医大に集まっていました。当時、自他共に認める名門大学病院だった」、のに、「2つの事故によって、かつての栄光は地に堕ちた」、「経営立て直しのために、人件費の抑制が行われ、職員のボーナスは、2013年から2016年までの3年間で、最大123万円も減額」、「労務担当理事として大なたを振るったのが、去年から理事長に就任している岩本絹子氏」、「創業者一族として女子医大の運営に乗り出してきました」、「まるで独裁者だと揶揄する職員も」、病院のガバナンスがまるで機能してないようだ、これを放置している当局の姿勢も問題だ。
・『人件費切り詰めの一方で施設整備に巨額費用投下  岩本理事長に対する女子医大職員の反発は大きい。それは、ボーナスカットなど強引に人件費を切り詰める一方で、総額1000億円と言われる、莫大な資金を投入して、大学施設の建て替えや移転などの再整備を進めているからだ。 極めつきは、今年2月に完成した新校舎の改修工事である。職員によると、6億2000万円をかけて、新たに理事長室などを設置しているという。 「赤字だったら理事長室にかけるお金もないはず。コロナに便乗して、本当はもらえるはずのお金を経営に回しているだけ。職員を駒扱いにして働かせるだけ働かせて、報酬なしなんてありえません」(30代・看護師)」 「理事諸室の工事さえ始めさえしなければ、億単位の無駄遣いは減らせたと思います」(20代女性)※労働組合に寄せられた投稿より 学内では、岩本理事長の強気な大学運営を可能にしているのは、自民党との強いパイプだと言われている。 批判を浴びている新校舎の竣工式には、二階俊博幹事長が駆けつけた。ちなみに、二階氏の母親は女子医大出身の医師だったという。 日本医療労働組合連合会の調査によると、夏のボーナスについて回答した全国の医療機関338のうち、約3割が去年より支給額が下がった。 ただし、「ボーナスゼロ」は、女子医大のみ。 新型コロナによって通院を控える患者が多く、大半の医療機関が前年より収益が激減している現実もある。 民間の船橋二和病院(千葉県)は、新型コロナの対応で発熱外来や専用病床を用意するなど、職員たちは対応に追われてきた。しかし、夏のボーナスは、前年の1.5カ月分から、0.9カ月に減額されたという。 一方、約100億円の費用をかけて、病院の建て替え計画は予定どおり進む。 このまま黙っていると、いずれボーナスがなくなるかもしれない。強い危機感から、たった9人の小さな労働組合が、今月10日にストライキを決行した。 「自治体から要請されて、頑張って新型コロナの対応をした。病院の減収分を自治体は補填してくれないので(病院が)自前でやるしかない。だからボーナス削減、というのが病院経営者の言い分。 でも、『なぜ私たちのボーナスを削るの?』という疑問があって、今回のストライキ行動では、千葉県や船橋市にも要請を行いました」(書記長の内科医・柳澤裕子氏) ▽人件費を削られる医療スタッフにも生活がある(「いま医療機関は、どこも人件費を削らないと経営できない状況になっています。でも、職員たちにも生活があるわけです。高校生や大学生の子どもには学費、親の介護。住宅ローンがあれば、ボーナス期にたくさん支払いがあるわけで、本当に切実な問題なのです」(組合員の医師・関口麻理子氏) 茨城県つくば市の地域医療を支える「坂根Mクリニック」。 坂根みち子院長によると、外来患者の受診控えなどの影響で、去年同期と比較して利益は3割減。それでも、ボーナスは内部留保を取り崩して、例年どおり支給した。 「新型コロナで、職員は大変な思いをしてきたから、ボーナスを出すのは当然のことだと思っています。国は診療所に対して1人当たり5万円の慰労金を出すそうですが、私たちに必要なのは、1回きりの慰労金ではなく、持続可能なシステムにするための抜本的な診療報酬の見直しです」(坂根院長) 厚生労働省は医療費の削減に躍起だが、相次ぐ診療報酬の切り下げで、医療機関はどこもギリギリの経営を続けてきた。 新型コロナの「第2波」で、とどめを刺されて経営破綻する医療機関が続出する可能性も出てきた。欧米で起きた医療崩壊は、すぐそこに迫っている。 ところで、女子医大関係者によると、大学当局は銀行から借り入れして夏のボーナスを支給する方向で準備を進めているという。 医療スタッフたちの苦労が、少しでも報われることを願うばかりだ』、「人件費切り詰めの一方で施設整備に巨額費用投下」、経営のガバナンスはデタラメのようだ。「自民党との強いパイプ・・・新校舎の竣工式には、二階俊博幹事長が駆けつけた。ちなみに、二階氏の母親は女子医大出身の医師」、これでは厚労省など手も足も出ないのも納得である。「大学当局は銀行から借り入れして夏のボーナスを支給する方向で準備を進めている」、目先は混乱を収拾できても、「二階氏」がバックにいるのであれば、ガバナンスの問題解決は期待できなそうだ。
タグ:医療問題 大前 研一 東洋経済オンライン プレジデント 東京女子医科大学病院 (その25)(大前研一「アフターコロナは遠隔診療を新常識にせよ」 オンライン診療が日本で遅れるワケ、安倍政権は厳しい医療費抑制策を復活させた 日本福祉大の二木立名誉教授に聞く医療政策、東京女子医大病院「400人退職」の裏にある混沌 医療スタッフのボーナスをカットした本当の訳) 「大前研一「アフターコロナは遠隔診療を新常識にせよ」 オンライン診療が日本で遅れるワケ」 オンライン診療はなぜ日本で遅れているのか 門前薬局で待たなくてよくなる アメリカではAmazonが薬を届けてくれる コロナ危機が日本医療システムに与えた、数少ないプラスの貢献 医療システムデータベース」は確かに効率的だが、ハッカー攻撃などに抵抗力がなければ、重要なプライバシー情報が流出するリスクがある 「安倍政権は厳しい医療費抑制策を復活させた 日本福祉大の二木立名誉教授に聞く医療政策」 ステルス作戦で医療費を抑制 経済の伸びに合わせて医療費も大きくなるというのが医療経済学の常識」、医療業界の肩を持った主張 「民間の急性期病院の利益率は急減」は確かに問題だが、要因をもっと詳しく分析する必要 岩澤 倫彦 「東京女子医大病院「400人退職」の裏にある混沌 医療スタッフのボーナスをカットした本当の訳」 夏のボーナスをゼロに。これに対して、約400人の看護師が一斉に退職の意向を表明 新型コロナと向き合う大学病院 国は新型コロナ患者の重症・中等症患者の病床に1日当たり4万1000円を補助するとしているが、収支が改善する効果はないという 引き受けて損がないよう十分に補助すべきだろう 「大学当局」の姿勢は極めて高圧的 足りなければ補充するしかない 「毎年、ウチでは300人前後の看護師が入れ替わっています。若い看護師にブランド病院として人気が高く、キャリアを積んで比較的短期間で辞めていく人が多いからです 名門大学病院の凋落を招いた、医療事故と同族経営 外科手術で、日本トップレベルの医者たちが女子医大に集まっていました。当時、自他共に認める名門大学病院だった 2つの事故によって、かつての栄光は地に堕ちた 経営立て直しのために、人件費の抑制が行われ、職員のボーナスは、2013年から2016年までの3年間で、最大123万円も減額 労務担当理事として大なたを振るったのが、去年から理事長に就任している岩本絹子氏 創業者一族として女子医大の運営に乗り出してきました まるで独裁者だと揶揄する職員も 病院のガバナンスがまるで機能してないようだ 人件費切り詰めの一方で施設整備に巨額費用投下 自民党との強いパイプ 新校舎の竣工式には、二階俊博幹事長が駆けつけた。ちなみに、二階氏の母親は女子医大出身の医師 厚労省など手も足も出ないのも納得である 大学当局は銀行から借り入れして夏のボーナスを支給する方向で準備を進めている 目先は混乱を収拾できても、「二階氏」がバックにいるのであれば、ガバナンスの問題解決は期待できなそうだ
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