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日本の外交政策(その8)(「最後は身動き取れなくなった」安倍政権の外交 「トップダウン」が裏目に〈AERA〉、菅外交が早々に迫られるいくつかの「重要な選択」、「外交初心者」の菅首相次第という日本外交の不透明 菅新政権の課題) [外交]

安倍外交については、8月27日に取上げた。今日は、タイトルを変更して、日本の外交政策(その8)(「最後は身動き取れなくなった」安倍政権の外交 「トップダウン」が裏目に〈AERA〉、菅外交が早々に迫られるいくつかの「重要な選択」、「外交初心者」の菅首相次第という日本外交の不透明 菅新政権の課題)である。なお、番号は旧来のものと連続させた。

先ずは、9月9日付けAERAdot「「最後は身動き取れなくなった」安倍政権の外交 「トップダウン」が裏目に〈AERA〉」を紹介しよう。
https://dot.asahi.com/aera/2020090800017.html?page=1
・『思わぬ形で終わりを迎えることとなった安倍政権。韓国・北朝鮮関係では当初、「トップダウン外交」を武器に大胆な対応をみせたが、結果は振るわなかった。AERA 2020年9月14日号では、朝日新聞編集委員の牧野愛博さんがその外交手腕を振り返った。 「外交の安倍」を自任した安倍晋三首相の得意技は「トップダウン外交」だった。首相官邸が戦略を決め、首脳外交で合意を演出する。大胆な外交が可能になる半面、しばしば世論に流される結果を招く。韓国や北朝鮮との関係でも、当初は成果を出したが、最後は身動きが取れなくなった。 安倍首相は当初、日韓関係の改善に積極的だった。慰安婦問題の解決にこだわった朴槿恵(パククネ)政権に対し、2015年12月に日韓慰安婦合意を実現させた。合意当日、首相官邸前に右翼の街宣車が押しかけて抗議するなど、本来の支持層の反発を浴びてまでの決断だった。 安倍首相の決断の決め手は「世論」だった。当時、首相周辺は「慰安婦合意を実現すれば、右派に加えて中道左派までの支持を得られ、歴史に名を残す指導者になれます」と言いながら、安倍首相に決断を促したという』、「トップダウン外交」は世界の潮流でもあるようだ。「日韓慰安婦合意」は右派の「安倍首相」にとっては、確かに思い切った決断だったようだ。
・『慰安婦合意がやり玉に  だが、この思い切った外交は、17年5月に登場した文在寅(ムンジェイン)政権によって破壊される。文大統領は日本に強い関心があるわけではないが、韓国内の政治闘争の延長で朴槿恵前政権の政策を全面否定することに奔走した。そのやり玉に挙がったのが、日韓慰安婦合意だった。 文政権は18年11月、合意に基づく日本政府の拠出金でつくられた財団の解散を発表し、合意は崩壊した。 加えて18年10月、韓国大法院(最高裁)が日本企業に対し、元徴用工らへの損害賠償を命じた判決が、安倍首相の日韓関係改善への熱意を完全に消し去った。首相は判決前から、繰り返し、文大統領との首脳会談で、「賠償を命じる判決が出れば、関係の決定的な悪化を招く」と警告し、文氏も「重大な問題だと理解している」と語っていた。 安倍首相は当初、文氏に好感を抱いていたが、判決後には周囲に「文氏は言う事とやる事が全く違う」と漏らすなど、不信感を強めた。トップがやる気を失ったため、日韓外交は動かなくなった。 文政権の度重なる日本に配慮しない政策で、韓国に対する日本世論が極度に悪化したことも影響した。 同じ現象は、北朝鮮との関係でも見られた。 日本人拉致問題の解決を最重要課題に据えた安倍首相は、北朝鮮に接近し、14年に、北朝鮮が日本人拉致被害者らの再調査を行うなどとしたストックホルム合意を実現した。 ただ、北朝鮮に対する厳しい世論を意識した首相官邸は、北朝鮮が不十分な中間報告を提出することを警戒し、再調査は停滞。結局、日本政府は16年2月、再び独自制裁を決定。北朝鮮は再調査の中止と、拉致問題に関する特別調査委員会の解体を発表するに至った。 安倍首相は、18年に実現した南北や米朝の各首脳会談を受け、得意の「トップダウン外交」を目指したが、不信感を持った北朝鮮側が応じることはなかった。 次期首相が有力とされる菅義偉官房長官は、安倍政権の政策継承を唱える。自民党のベテラン議員の一人は「外交は恋愛とは違う。朝鮮半島に厳しい世論をみて、有権者の支持を得たいという誘惑に駆られる限り、次期政権でも朝鮮半島外交は何も変わらないだろう」と語った』、「次期政権でも朝鮮半島外交は何も変わらないだろう」、というの残念だ。「世論」に迎合的になりすぎるのも問題なのではなかろうか。

次に、9月16日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した元外務審議官で日本総合研究所国際戦略研究所理事長の田中 均氏による「菅外交が早々に迫られるいくつかの「重要な選択」」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/248724
・『菅新政権が16日、発足するが、向き合っていかなければならない外交課題も数多い。 コロナ危機により国際構造の変化は加速され、また、11月の米国大統領選挙ではトランプ大統領の再選可能性が低くなってきている。 単純に「安倍外交を継承する」では済まされない重要な選択を、早々に迫られることになる。 日本の国益を守るには大局観に基づく判断と精緻な戦略が必要だ』、興味深そうだ。
・『対米アプローチは見直し必要 「是々非々」でものを言う関係に  安倍外交に対する高い評価の一つはトランプ政権と盤石の関係を築いたことだ。 もちろん、そのためにトランプ大統領を喜ばせる行動に出たことも事実だろう。 ステルス戦闘機F-35の大量購入や、断念することにはなったが新型迎撃ミサイルシステム・イージス・アショアの配備などの膨大な武器の購入、米国がTPPから撤退した後、迅速に日米で貿易合意を締結したことなどについて、米国は安倍首相の努力と配慮を高く評価した。 しかしトランプ政権の対外政策の多くが日本の利益に合致していたわけではない。 TPPだけではなく、気候変動に関するパリ合意やイラン核合意など多国間協力からの撤退や「アメリカ・ファースト」を掲げる一方的行動は決して日本を利するものではない。 現在の情勢から見れば11月の大統領選挙でトランプ大統領が再選される可能性は低い。 コロナ対応に対する国民の一般的評価は低く、経済の急速な回復も望めない。人種差別反対より治安維持に重点を置いたような言動も批判を受けている。 2016年選挙でトランプ氏が勝利した要因の一つは、既成の政治とは縁のない未知の人物に対する期待票だったが、今回の選挙では知り尽くされた人物に対する批判票に直面することになる。 米国内では、コロナ禍での郵便投票の拡大で開票が混乱する恐れのほか、トランプ大統領は郵便投票には不正が伴うとして選挙結果を容易には認めないのではないかとの懸念も強い。 米国が大統領選挙結果を巡り混乱に陥ることは不可避かもしれない』、「大統領選挙結果を巡り混乱に陥ることは不可避かもしれない」、困ったことだ。
・『米国中心の求心力は低下 米国の政策を修正する努力を  トランプ大統領が再選されれば、これまでの日米蜜月的な雰囲気は継続されるだろうが、米国はさらに国際協調主義から遠のいていくだろうし、それは日本にとっても好ましいことではない。 バイデン大統領が選出されれば、伝統的に民主党政権は共和党政権ほど同盟国を重視することはないが、トランプ氏とは異なり、国際協力の道に立ち返るということになるのだろうか。 トランプ氏であれバイデン氏であれ、コロナ後の世界は米国を中心とした西側世界の求心力が低下していく難しい世界となる。 日本の米国への向き合い方も、対米配慮一辺倒というわけにはいかず、コロナ後の新たな情勢の展開に合わせて見直していく必要がある。 その基本は、日米同盟の中で安全保障面を含め日本の役割を増やしつつ、是々非々で米国にものを言い、米国の政策を修正する努力をするといったアプローチになるのではないか。 中でも対中関係が最も重要だ』、「日米同盟の中で安全保障面を含め日本の役割を増やしつつ、是々非々で米国にものを言い、米国の政策を修正する努力をするといったアプローチ」、なかなか難しそうだ。
・『米中対立には精緻な戦略で 守るべき「3つの基本的国益」  中国が新型コロナウイルスの最初の発生地でありながら感染防止にほぼ成功したと伝えられ、ほとんどの国で2020年は10%を超えるようなGDP(国内総生産)の落ち込みがある中で、唯一プラス成長を実現する可能性が高い。 急速に縮まってきた米中の国力の差は一層、縮まることになり、米中間の対立はさらに激化する。 米国の強硬な態度はトランプ再選戦略のための外交だと見る人も多いが、米中の対立は異なる体制間の覇権争いともいうべき構造的問題であり、対立は長く続く。 このまま推移すると、おそらく習近平国家主席が「中国の夢」として世界で突出する強国の実現を目標とする2049年(中華人民共和国創設100周年)に向けて、厳しい米中対峙は続くことになる。 バイデン民主党政権になればトランプ政権がとってきたハイテク分野での中国排除や中国との各種交流に対する制限をいったんは見直しするのだろうが、香港やウイグルでの人権問題に対する意識は高く、総じて対中姿勢が大きく変わることにはならないだろう。 日本にとっての守るべき基本的国益は次の三つだろう。 (1)自由民主主義体制を守るために、米国との同盟関係を通じ中国の覇権的行動を抑止する。 (2)貿易・投資・人の交流など中国との深い経済相互依存関係、並びに中国と密接な経済依存関係があるアジア諸国との経済相互依存体制は日本の繁栄のために失うことができない。 (3)この地域での米中軍事的衝突は日本に波及することは必至であり避けなければならない。軍事衝突の蓋然性が最も高いのは台湾を巡る問題だろう。 これら三つの基本的な国益が相互に矛盾しないよう緻密な戦略がなければならない。 まず必要なことは日本が米、中両国との間断なき戦略対話を行うことだ。 中国は米国との厳しい対立の継続を予想し日本との関係改善を望んでおり、例えば、香港問題では日本が静かに問題提起をし、中国の行動を変えさせていく余地はある。 第二に米中に共通の戦略的利益を見出すことだ。 米ソ冷戦時代に西側諸国と中国との関係が比較的、良好だったのはなぜか。 中国はソ連と国境紛争などを巡り関係が悪化しており、対ソ包囲網を作るうえで中国の存在は西側を利した。 だが現在では米中間には香港、台湾、南シナ海を含め共通の戦略的利益が存在しないことが対立激化の一つの理由だ。 その中で「北朝鮮非核化」は米中だけでなく日・韓・ロの共通利益であり、北朝鮮非核化問題を前進させることが米中対立を緩和させることにもなる』、「北朝鮮非核化」は中国、ロシアにとっては、米国などと「共通利益」と
するが、果たしてそうだろうか。両国が「北朝鮮」をコントロールできるのであれば、自陣営の対西側への対抗力は保持したい筈なのではなかろうか。
・『戦略的なパートナーシップづくりで「中国を変える」ことをめざす  第三に、パートナーシップづくりだ。 日本はASEAN諸国、豪、印、EU諸国などとの戦略的パートナーシップを強化すべきとともに、東アジアサミットやASEANプラス3などの中国を巻き込んだ地域協力を活性化するべきだろう。 もっともトランプ再選となれば米国は東アジアでの地域協力にも消極的な姿勢をとると思われる。 このように日本の戦略はやはり「中国を変える」ことを主目的にすることだ。 中国の成長率は、経済の成熟化や高齢化で今後、低下していかざるを得ず、国際社会との相互依存関係が希薄となっていけば、ますます低下していくことは自明だ。 そこに中国を変えていく鍵があるような気がする。 そのことを考えても、関係国との間断なき協議とパートナーシップづくりを続けることが重要だ』、天安門事件以降、「日本」は「中国を変える」ために、欧米よりソフトに接してきたが、反日教育の開始などで見事に裏切られてきた。同じ過ちを繰り返すのは愚の骨頂だ。少なくとも「中国を変える」などと思い上がった政策は採るべきではない。
・『拉致問題は包括的アプローチで 北朝鮮非核化と「一括解決」  安倍首相が辞任会見で、解決できず「痛恨の極み」と述べた北朝鮮拉致問題や、「断腸の思い」と語ったロシアとの平和条約については改めて考え方を整理する必要がある。 拉致問題については、安倍首相が初期の段階から強い想いを持ち続けた政治家の一人だし、政権のプライオリティとして取り組んできたのは間違いがない。 しかし北朝鮮は諸外国との懸案を自国の生存と関連付けて考えており、日本が拉致問題を核やミサイルという他の重要問題と切り離して解決しようとしても難しい。 一方で北朝鮮が望む経済協力や国交正常化も核やミサイル問題の解決なくしては実現できない。 従って拉致問題に必要なのは「包括的アプローチ」であり、北朝鮮の非核化の過程の中で一括解決するというアプローチをとらざるを得ない。 北朝鮮と恒常的な対話を行い包括的解決の糸口を見つけていかねばならないし、核問題解決のため日本は行動すべきだ。 また北朝鮮との問題を解決していくうえでも、韓国との関係は菅新政権のもとで「新たな出発」をしてもらいたいと思う。 韓国内の革新と保守の分断の激しさや「歴史を巡る反日」が文在寅大統領ほかの革新派の原点的な意味合いを持つが故に、徴用工や慰安婦問題の解決を困難にしている。 また文在寅政権は対北朝鮮融和に走り、日米韓の協力に熱心でない、あるいは中国との連携に走るという傾向がないわけではない。 しかしながら朝鮮半島の安定は日本の死活的利益であり、そのためには韓国との協力を捨象できるものではない』、「拉致問題は包括的アプローチで」、従来の姿勢を継続しろとのことだが、余りに硬直的過ぎて、これでは一歩も進まない。問題を分解して、妥協点を見出していく通常の「アプローチ」に変えることを検討すべきだ。
・『ロシアとは距離をとる必要 領土問題では進展見込めず  ロシアについては少し距離をとるアプローチが必要だ。 ここ数年、日ロの緊密な首脳同士の関係とは裏腹に領土問題についてのロシアの態度は硬化していく一方であり、ロシア側から前向きの姿勢が示されない限り、従来同様のアプローチを続けていくことは再考すべきと思う。 ロシアと欧米についてはサイバーによる選挙介入、ウクライナやベラルーシ問題、プーチン大統領政敵の暗殺を意図したといわれる事件などを通じ、関係は悪化する一方であり、国際社会における立場からいってもロシアにあまり寛容な態度をとるべきではない。 菅新政権はコロナ感染防止と経済回復、中長期的な経済財政構造、そして東京オリンピック・パラリンピック開催問題など山積する多様な国内課題に取り組まなければならないが、対外関係についてもコロナ後の新しい政治経済構造の中で幾つかの重要な選択を行わなければならない。 大局観をもって取り組んでもらいたいと思う』、同感である。

第三に、10月8日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した朝日新聞編集委員の牧野愛博氏による「「外交初心者」の菅首相次第という日本外交の不透明 菅新政権の課題」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/250435
・『菅義偉政権が発足、7年8カ月ぶりの首相交代で、注目が集まっているのが日本外交の行方だ。 「トップダウン外交」を売り物にした安倍政権下では、外務省の影響力は薄れ、結果的に中国やロシアとの外交が迷走する結果になった。 9月21日の米・トランプ大統領との電話会談を皮切りに、中国・習近平国家主席、韓国・文在寅大統領と電話協議などが相次いで行われたが、首相自身の外交ビジョンも含め、米中「新冷戦」や戦後最悪の日韓関係などの状況で菅政権の外交はどうなっていくのか、見えないところが多い』、興味深そうだ。
・『「安倍外交」の残滓が色濃く対中関係は二階氏が影響力?  菅氏は官房長官時代、外交そのものに強い関心を示したことはほとんどなかった。 典型がロシア外交で、安倍政権が北方領土問題の解決に向けてさまざま政策を打ち出しても、菅氏が口を出すことはなかった。 ただ、国内政治との関係から外交政策に意見することがしばしばあったという。 例えば日中関係では、菅氏は安倍政権が進めた日中関係改善の流れをおおむね支持していたという。 政府関係者の1人は「おそらく、企業と二階さんが原因だろう」と語る。 官房長官を務めていた菅氏の元には、多数の日本企業から「日中関係が冷え込んで商売にならない」という陳情が多数届いていたという。一方、二階俊博自民党幹事長は、自他共に認める「親中派」だ。 二階氏は17日、石破派のパーティーで「中国とは長い冬の時代もあったが、今や誰が考えても春」と語り、日本政府が保留している習近平中国国家主席の訪日への期待感を示した』、「二階氏」はやはり「習近平中国国家主席の訪日」を実現させたいようだ。
・『訪中で託した親書 「官邸官僚」が書き換え  もともと、日中接近の道筋は、安倍政権の「トップダウン外交」が描いた作品だった。 2017年5月、安倍首相が、訪中する二階幹事長に習近平主席宛ての親書を託した。外務省は親書を作成するにあたり、中国が推進する「一帯一路」構想について、「自由と民主主義に貢献する一帯一路を支持する」といった「厳格な条件付き賛成」論を展開した。 谷内正太郎国家安全保障局長の決裁を受けたうえで、首相官邸に提出したが、二階氏に親書を託す直前になって、今井尚哉首相秘書官が「総理の思いを十分伝えていない」と、「条件」の部分を大幅に削減してしまった。 外務省が再び案を練る時間もなく、怒った谷内氏と今井氏が激しく論争する場面もあったという。 こうした、官邸官僚の「忖度政治」は、7年8カ月の首相在任中に秘書官をほとんど代えなかった安倍前首相の政治手法の副産物だった。 霞が関の各省庁幹部が安倍氏にブリーフィングを行う場合、今井氏やその政策を担当する首相秘書官らが、横から「それは総理の考えではない」などと口を差し挟み、最後は安倍氏も苦笑するという光景が日常的に繰り返されていたという。 菅氏の場合、官房長官の時は、官邸官僚が忖度をし横からあれこれ口を出したという話はほとんど聞かない。 ただ、菅氏は内閣人事局を通じた各省庁の幹部人事をもとに、霞が関を巧みにコントロールしてきた。総務相時代も、自らが進めていたふるさと納税制度に異論を唱えた局長を外すなどのこわもてぶりは官僚の間で伝わっている。 安倍政権の場合は、官邸官僚が強制的に首相の応答要領や国会答弁などを書き換えることもしていたが、菅政権になると、霞が関の官僚が菅首相の考えを自ら忖度しようとするかもしれない』、「外務省は親書を作成するにあたり、中国が推進する「一帯一路」構想について・・・「厳格な条件付き賛成」論を展開した。 谷内正太郎国家安全保障局長の決裁を受けたうえで、首相官邸に提出したが、二階氏に親書を託す直前になって、今井尚哉首相秘書官が「総理の思いを十分伝えていない」と、「条件」の部分を大幅に削減」、「今井尚哉首相秘書官」は凄い権勢を振るっていたようだ。
・『米中対立のはざまでバランス外交を踏襲か  それに中国に関する外交では、菅氏の政治的な志向は外務省と相通じる点もある。 中国を巡る国際情勢は今、トランプ米政権が11月の大統領選を前に、過激な対中政策を展開している。 従来、日本や欧州諸国など自由主義陣営は「南シナ海などで力による現状変更を迫る中国に反対する」という姿勢で結束してきた。 日本が唱える「自由で開かれたインド太平洋構想」はその象徴だ。だが同時に、経済分野で中国を完全に排除することは、日本も欧州の企業も望んでいない。 このため、外交当局が反対するのは「中国による現状変更」であり、中国共産党の支配や、中国が唱える「一つの中国」政策には異を唱えていない。 ところが、米国の場合、ポンペオ国務長官が7月にカリフォルニアで行った演説で「自由世界が共産主義の中国を変えなければ、中国が私たちを変えるだろう」と語るなど、中国共産党支配を許さないという姿勢を強めている。 9月には米国務省のクラック次官が台湾を訪問し、蔡英文総統と会談した。中国は激しく反発し、台湾海峡で軍事演習を行うなど、対立はエスカレートし続けている。 こうしてみると、米国の過激な政策をなだめ、日本や欧州などが唱える「穏健な中国との対立路線」に引き戻したい外務省の思惑は、もともと、米中の間でうまく立ち回りたい菅首相の考えと一致するところも多いようにみえる。 10月6日には来日したポンぺオ米国務長官が菅首相を表敬、夕方からは日米豪印四カ国による安全保障対話(QUAD)が行われた。こうした外交舞台を皮切りに、菅政権は米中対立のはざまでうまく立ち回る政策を追求していくことになりそうだ。 ただ、近年の日本外交は安全保障政策に大きく左右されるようになった。 日本周辺の安全保障が安定していた時代は、外務省が日本の国際貢献の一つとして、自衛隊の海外派遣を提案し、主導していた。 ところが、第2次安倍政権の時代、中国が大きく台頭し、尖閣諸島を含む東シナ海や台湾海峡、南シナ海などでの軍事的影響力を強めている。 日本も、中国との外交摩擦は覚悟のうえで、2017年から護衛艦を南シナ海に長期派遣するなど、安全保障を優先的に考えざるを得ない状況になっている。 菅政権も、日本の安全保障を守るため、米国により比重を置いた政策を展開せざるを得ないだろう』、その通りなのだろう。
・『対韓関係は厳しい展開に もともとは融和路線だった  一方、厳しい展開が予想されるのが日韓関係だ。 菅氏は当初、韓国に融和的な姿勢を見せており、2015年12月の日韓慰安婦合意についても、安倍首相の政治決断を促す役割を担っていた。 政府関係者によれば、これは当時の李丙琪駐日韓国大使やその後任の柳興洙大使との親交が大きく影響していた。菅氏は李氏や柳氏としばしば食事を共にし、意見を交換していた。 李丙琪氏は駐日大使時代、菅氏に「慰安婦問題を解決しないと日韓関係が改善できない。日韓局長協議をやりたい」と提案し、菅氏も喜んで応じた。 ただ、局長級協議では、安倍首相と朴槿恵大統領の顔色をうかがって原則論を展開する場面が続き、進展が見られなかった。 李氏は国家情報院長に就任した後の2014年秋、韓国の国家安全保障会議(NSC)で「局長級協議では限界がある。高位級に格上げすべきだ」と提案した。 朴大統領はこの提案を受け入れ、菅官房長官と親交があり、国家情報院長のカウンターパートである谷内正太郎国家安全保障局長とも親しい李氏を対日交渉の責任者に指名した。 当時は日韓双方に信頼関係があったため、「日本の法的責任」という言葉を単なる「責任」と置き換えた。 逆に、日本側が元慰安婦1人あたりの事業費を積み上げた総額は10億円に届かない額だったが、李氏が「自分がポケットマネーを出してもいいから、世論に訴えやすい10円にしてほしい’(注:「億」が抜けている)」と訴えたことで、10億円になったという。 こうした外交当局のやり取りを、菅氏は側面から支えていたという』、なるほど。
・『「李・元駐日大使逮捕」で冷淡に 文政権との関係好転の兆し見えず  菅氏の韓国に対する姿勢が変わったのは、2017年11月。韓国のソウル中央地方検察庁が李丙琪氏を、李氏の院長時代に国家情報院が大統領府に秘密資金を提供した疑いで緊急逮捕した事件がきっかけだった。 この時から菅氏の韓国に対する姿勢は明らかに冷淡になった。 外務省が日韓関係に関するブリーフィングをするときも、「韓国案件は聞きたくない」と言い放ったこともあった。 政府関係者の1人は「あれだけ日韓関係に心を砕いた李丙琪氏を逮捕して、刑務所に送った文在寅政権を許せなかったようだ」と語る。 菅氏は、文在寅政権下で2人目の駐日大使となる、南官杓大使とは2019年5月の着任以来、1度しか会食していない。唯一の会食の際も、2人はぎこちない態度に終始し、和気あいあいだった李丙琪氏や柳興洙氏との関係に比べて極めて冷ややかな空気が漂っていたという。 菅氏は自民党総裁選中に日韓関係についての考えを問われ、「1965年に締結された日韓請求権協定が日韓関係の基本だ」と語り、日本企業に元徴用工らへの損害賠償を命じた韓国大法院(最高裁)判決が、請求権協定を破壊することになるという安倍政権からの日本政府の主張を繰り返した。 24日に韓国側の求めで行われたという両首脳の電話協議でも、菅首相は協議後、「このまま放置してならない旨を伝えた」と語っただけだ。 外務省はこの会談結果について「韓国側において日韓関係を健全な関係に戻すきっかけを作ることを求めた」と説明し、「関係改善は韓国の対応次第」とする安倍政権の姿勢を引き継いだ。日韓関係が好転する兆しは見えない。 日本政府関係者の1人は「日本企業の韓国資産を現金化する動きが止まらない限り、菅首相の訪韓はないだろう」と話す。 韓国が議長国となって、年内の実現を目指す日中韓首脳会議の開催は難しいとの認識を示した』、「菅氏の韓国に対する姿勢は明らかに冷淡になった」契機が、「あれだけ日韓関係に心を砕いた李丙琪氏を逮捕して、刑務所に送った文在寅政権を許せなかったようだ」、案外、「菅氏」は情に厚いところがあるようだが、本来、外交には情は禁物な筈だ。
・『影を落とす外務省の凋落 政治にあわせ強硬論台頭  こうしたなか、永田町・霞が関で懸念する声が出ているのが、外務省の凋落だ。 外務省は「官邸トップダウン外交」を標榜した安倍政権下で、存在感を大幅に低下させてきた。 総合外交政策局は本来、日本政府の外交・安全保障政策のとりまとめ役だったが、今では2014年に内閣官房に設置された国家安全保障局の「ご用伺い機関」(政府関係者の1人)になってしまっている。 国家安全保障局が関係省庁から吸い上げた情報をまとめた後、各省庁に問題のない範囲で提供するため、関係省庁による情報共有は進んだが、外務省主導で政策を仕切る場面は格段に減った。 そして、トップダウン外交を掲げた安倍首相と官僚の統率に力を入れた菅官房長官が仕切った安倍政権時代、外務省内にはより政治家の顔色をうかがう風潮が強くなった。 外務省では過去、「我々の仕事は外国との友好関係を維持すること。外国を攻撃するのが仕事ではない」という意識が強かった。 冷戦時代は、この職業倫理の唯一の例外はソ連課だけだといわれた。当時を知る外務省OBは「ソ連課の連中だけは、ソ連をあからさまに嫌っていた。でも他の地域担当課はそんなことはなかった」と語る。 しかし、冷戦後、中国が新たに台頭するなかで政治家の間で「外務省のチャイナスクール(中国語研修を受けた官僚)は、日中友好に傾きすぎる」という声が強まり、チャイナスクール出身者以外を中国課長やアジア大洋州局長に起用するケースが相次いだ。 この傾向が最近は、韓国を担当する北東アジア1課にも及んでいるという。 北東アジア1課内には「文政権とは何を話しても意味がない」という意見がしばしば飛び交うという。 外務省内では定期的に、在外公館に出る幹部らに対して、韓国の市民団体が世界各地に建立している慰安婦を象徴する少女像の問題を含む歴史認識問題についてブリーフィングを行っているが、最近の研修では、韓国を一方的に糾弾する雰囲気が目立つという』、「外務」官僚には特定の国に肩入れすることなく、冷静で客観的な判断が求められる筈だ。
・『道を踏み外しても助言者のいない危うさ  こうした状況からも、菅政権外交の行方は一にも二にも、外交にはそれほど関心がないとされてきた菅首相その人の器量にかかっているといえそうだ。 もし、道を踏み外しても、それを忠告する勇気のある外交官はもはやほとんど残っていない』、「菅氏」がふるさと納税制度に異論を述べた総務省高官を更迭したように、異論を唱える官僚を切り捨て、忖度して言うことをきく官僚を重用するという狭い「器量」のやり方を続ける限り、「道を踏み外しても助言者のいない危うさ」が大いにつきまとうだろう。
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