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インバウンド戦略(その13)(コロナショック「インバウンド7割減」の衝撃度 観光客の約半分を占める中韓の減少が直撃、苦境下の「人気観光地」がいまするべきこと 『観光公害』著者が説く観光地の現状と対策、D・アトキンソン「日本の観光業復活は『検査』に懸かっている」) [経済政策]

インバウンド戦略については、昨年8月1日に取上げたままだった。コロナ禍にある今日は、(その13)(コロナショック「インバウンド7割減」の衝撃度 観光客の約半分を占める中韓の減少が直撃、苦境下の「人気観光地」がいまするべきこと 『観光公害』著者が説く観光地の現状と対策、D・アトキンソン「日本の観光業復活は『検査』に懸かっている」)である。なお、タイトルから「ビジット・ジャパン」はカットした。

先ずは、3月25日付け東洋経済オンライン「コロナショック「インバウンド7割減」の衝撃度 観光客の約半分を占める中韓の減少が直撃」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/339124
・『「数字としては非常に厳しい。状況はさらに厳しくなる」――。観光庁の田端浩長官は3月19日、霞が関の国土交通省で開かれた定例会見で「厳しい」という単語を繰り返した。 この日に発表された2020年2月の訪日外国人観光客数は、新型肺炎の影響で108万5100人(前年同月比58.3%減)と、東日本大震災直後だった2011年4月の同62.5%に次ぐ大幅な減少を記録した。 打撃となったのは、2019年の年間客数約3188万人のうち5割近くを占めた中国と韓国からの訪日客の減少だ。1月27日以降、政府が団体海外旅行を禁止した中国からの2月の訪日客は8万7200人と、2019年2月の72万3617人から9割近い減少となった』、「訪日外国人観光客数の前年同月比」は、4月から8月まで99.7~99.9%減少と落ち込みが続いている。
・『韓国の訪日客は約8割減  2019年夏から歴史認識や安全保障をめぐる問題で緊張が高まり、前年比で60%以上減少する月が続いていた韓国からの訪日客も、14万3900人(同79.9%減)といっそうの減速を見せている。ほかにも台湾や香港、アメリカなど日本への訪日客が多い国で軒並み2桁の減少率となった。 安倍晋三政権の下でビザの発給要件緩和や免税対象品の拡大により、2012年に836万人にすぎなかった訪日観光客数を足元で3000万人台に拡大し、2020年には4000万人の達成も視野に入れていた。 だが、もはや4000万人の目標達成は絶望的で、新型肺炎の収束見込みも立たないことから、激減がいつまで続くかもわからない。観光庁も「具体的に(訪日観光客の修正目標を)述べるのはなかなか困難な状況にある」(田端長官)というほかない。 観光需要の急減を受け、早くもエイチ・アイ・エスや帝国ホテルなど、旅行・宿泊業を中心に業績予想の下方修正が相次ぐ。さらに、クルーズ会社や着物レンタル会社など、倒産に追い込まれる零細観光業者も出てきた。 3月24日に日本百貨店協会が発表した2020年2月の訪日外国人客向けの売上高(全国91店を対象とする免税売上高)は、新型肺炎の影響に春節期間のズレ(2019年は2月だったが2020年は1月)も重なり、前年同月比65.4%減の約110億円と大幅減に終わった。 田端長官は事態の収束までは「国内での感染(拡大の)防止が最大の支援策」としたうえで、日本人の観光需要回復に力を入れる考えを示した。 2019年の訪日外国人による旅行消費額が4.8兆円なのに対し、日本人の国内旅行消費額は21.9兆円と4.6倍の規模を誇る。世界各国で出国の自粛措置が取られ、日本も水際対策を強化している。それだけに、観光庁としては、移動に制限のかからない日本人の国内旅行が比較的早く回復するとみている』、なるほど。
・『過去の知見をどれだけ生かせるか  3月19日の定例会見で田端長官は今後の対応について、「(2003年の)SARSや(2009年の)新型インフルエンザ流行のときも影響を受けたが、それらを乗り越えてきた。感染症の流行があったときに、どういう仕掛けをし、どんな施策で(観光需要が)回復したかという知見はある。それを基に準備を進めていく」と語った。 課題は日本人の観光需要を喚起するためのマーケティングの切り替えだ。従来、人口減少で日本人旅行客の市場規模が頭打ちになっているため、観光庁は外国人による訪日旅行の需要喚起に注力してきた。日本各地の観光地でも、外国人観光客の拡大を前提に、外国人のニーズに沿ったコンセプトの客室仕様を採用したホテルなどが増えつつある。 外国人観光客の取り込みに注力してきた観光行政が、こうした業態も含めて日本人の観光を増やす効果的なキャンペーンやプロモーションを打てるのか。強烈な逆風が吹き付ける中、観光行政の手腕が問われる』、政府はその後、コロナ禍が収まってないにも拘らず、GO TOトラベル キャンペーンで、国内旅行の喚起に躍起だ。

次に、4月13日付け東洋経済オンライン「苦境下の「人気観光地」がいまするべきこと 『観光公害』著者が説く観光地の現状と対策」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/343679
・『つい最近まで、訪日観光客の急激な増加による公共交通機関の大混雑やゴミ・騒音の問題など、いわゆる「オーバーツーリズム」に悩まされてきた人気観光地。それが一転して、苦しい状況に陥っている。 新型コロナウイルスの感染拡大によって世界的に移動が制限され、観光客が蒸発。収束の見通しが立っていないからだ。 このピンチを、今後のオーバーツーリズム解消のチャンスに変える戦略はあるのか。「コロナ後」を見据えて、観光地はどうあるべきか。 『観光公害』(祥伝社新書)の著者で、城西国際大学観光学部の佐滝剛弘教授に聞いた(インタビューは4月6日に実施)(Qは聞き手の質問、Aは佐滝氏の回答)』、興味深そうだ。
・『今回は戦後初めて直面する大打撃  Q:現在の観光地はどのような状況ですか。 A:3月下旬に訪れた京都と広島はホテルがガラガラで、外国人の姿もほとんど見かけなかったが、日本人の若い人がけっこういた。卒業旅行で海外にいけなくなった学生などが、「仕方ないから京都に行くか」と訪れていたのだろう。ハワイ気分を味わいたいのか、石垣島や宮古島もそこそこ混雑していた。 すべてが真っ暗な状況ではなく、地域によって多少の差があった。ただ、4月7日に緊急事態宣言が発令されて、様相がガラッと変わりそうだ。 今回のコロナ危機では日本人が旅行しないうえ、海外からも観光客が来ない。修学旅行需要や出張などのビジネス需要もない。しかも、いつ収束するかまったくメドが立たない。前例のない危機だ。東日本大震災やリーマンショックのときもひどかったが、全世界的に旅行ができなくなったわけではない。今回は、戦後初めて直面する大打撃だ。 Q:海外の有名観光地も、打撃を受けているのでしょうか。 A:アメリカやヨーロッパの多くの都市では、完全にロックダウンしている。交通機関は減便され、ありとあらゆる施設が閉まっている。欧米だけでなくアジア各国や、マチュピチュやナスカの地上絵があるペルーをはじめとする中南米など、観光業で成り立っている国でも感染が拡大してきて、日本以上に悲惨な状況になっている。 一方、海外では雇用や賃金を保障するなど国の支援が大きいので、観光業に携わる人の苦境度で言うと、見た目ほどではないかもしれない。日本では旅館や観光バス業界など、明日つぶれてもおかしくないところがたくさんある。観光業に従事する個人への影響度は、日本のほうがひどいかもしれない。 日本はつぶれるところがいくつか出てくる可能性があるので、もしかしたら回復は遅れる。日本は完全に観光客が止まっているわけではないが、実は海外より危ないかもしれない。) Q:経営が厳しくなっているところが多そうですね。 A:(新型コロナウイルスが流行する前は)人がたくさん来て、儲かっているように見えていたが、観光業は全体的に薄利多売だ。だから少しの期間でも、観光客が来なくなると苦しい。宿泊施設も運送業も、レジャー施設も相当厳しいのではないか。 例えば、JAL(日本航空)やANA(全日本空輸)などの基幹となる交通インフラを助けるのは理解を得られやすいと思う。しかし、税金で民間のホテルやレジャー施設を助けることになると、抵抗がある人は少なくないと思う。しかし、そこで働いている人たちは、ぎりぎりの賃金で生活をしのいでいる人が多く、このまま助けがないと、多くの人が苦境に陥るだろう』、日本では、前述のGO TOトラベル キャンペーン程度だが、低価格旅行はこれに入らないので、実効性は疑問だ。
・『海外では大事にされている観光産業  Q:日本と海外で、公的支援に対する考え方の違いがあるのでしょうか。 A:海外の多くの国では観光業の位置づけが高い。GDPに占める割合も大きく、観光産業が大事だという認識が国民全体に共有されている。欧米のほとんどの国では観光は産業の大きな柱だし、文化の保護や活用という観点からも大事にされている。 日本では、自治体の観光セクションは教育や福祉などと比べても地味な部署で、けっして花形の部署ではない。国の省庁においても「文化省」も「観光省」もなく、文化庁と観光庁どまりだ。つまり、役所の中でも一段下に見られている。製造業と同じぐらい大事な産業だととらえている人は少なく、こういう危機のときに公的に支援してもらえる確率も低い。 Q:拡大を続けてきたクルーズ船も、イメージが悪化して打撃が大きそうです。 A:船内ですべて楽しめるというクルーズ船の良さが裏目に出た。限られた空間だからこそ、感染が拡大してしまった。ダイヤモンド・プリンセス号の感染拡大は海外のどこでもトップニュースになって、「クルーズ船はこういうときに弱い」ということが、衝撃的な映像として世界に流れてしまった。 あのインパクトは当分消えないし、コロナが収束したとしても、クルーズ船に以前のように観光客が戻るかどうかはわからない。 Q:博多や長崎といったクルーズ船が寄港していた観光地も、影響を受けているのでしょうか。 A:もちろん一定の影響はあるが、クルーズ船は一見華やかに見えて、実は寄港先にあまりお金を落としていない。夕食を食べてお酒を飲み、宿泊施設に泊まることが最も観光地にお金を落とすのに、それら全部を船の中で済ませてしまう。しかも一気に何千人も来て、渋滞を起こしたりお店に殺到したりして、すぐに引き揚げていく。究極の「一見さん観光」だ。 クルーズ船が来るのは悪いことではないが、力を入れすぎていた観光地もある。1週間に1隻ぐらい来るならまだしも、自治体の予算で港を整備して2隻も3隻も同時に泊められるようにしようとする港もあるが、オーバーツーリズムを引き起こしかねないリスクがある』、「クルーズ船」誘致のため「自治体の予算で港を整備して2隻も3隻も同時に泊められるようにしようとする港もある」、いまや「オーバーツーリズム」を懸念するよりも、船が殆ど来てくれず、大赤字になることを心配すべきだ。
・『大事なのはリスクの分散  Q:いわゆる「オーバーツーリズム」になっていた観光地が、閑散としている今だからこそできる対策はありますか。 A:今回、早々と倒産した事業所の多くは、お客さんを中国人に絞っていたところ。そのため、コロナの蔓延がまず中国で始まったために影響を受けた。もう少しいろんなお客さんを受け入れたり、半分は日本人のために部屋をあけておいたりしたところは、急激にひどくはなっていない。 中国人の団体旅行客と契約したら部屋が毎日100%埋まるので、経営者にとってはある意味楽だった。それに乗っかったところが、最初につぶれた。今回はコロナだったが、2019年は韓国との関係悪化によって韓国に頼っていた九州などの観光地の一部は打撃を受けた。そういったリスクは今後も起こりうる。 Q:リスクの分散が大事だと。 A:今回はすべての国で移動が制限され、国内の客も来られないので、分散していてもダメだったかもしれないが、少なくとも倒産を遅らせることはできた。ブームに乗って、そこだけをターゲットに商売をするのは危なかったし、そのことがオーバーツーリズムを引き起こしていた。日本人の観光客が来ても、「外国人ばかりじゃないか」と不満を抱かれ、敬遠され始めていたところが実際に各地にあった。 これだけ長期間休業することは、平常時ならやりたくてもできない、天から与えられた「シンキングタイム」といえる。各施設が今後どういう戦略で臨んでいくのか、もう一度考え直す機会だ。リスクの分散に加え、先延ばしにしていた安全面などの対策が打てるかもしれない。 まだ危機の途中なので、どうしたら成功するのかはわからない。いったん収束した時点できちんと検証しないといけない。今回のケースが今後の教科書になる。 Q:コロナが収束した後、観光客はすぐに戻るものでしょうか。 A:少なくとも半年ぐらいは、宿泊や交通も含めて相当厳しい状況が続くだろう。夏休みも、国内外を自由に旅行できるかどうか。相当難しいと思う・・・収束したときに、旅行にお金をかけられる人がどれだけの割合になるかも問題だ。日本では不景気になると、真っ先にフリーランスや契約職員、アルバイトが切られて、正社員だけが守られる。今回の危機で「自分はクビにならない。ボーナスは多少下がるかもしれないけど、生活できなくなることはない」と安心している層と、すでに仕事がなくなって困っている層と、ここ十数年で進んだ社会の二極分化によって、完全に分かれてしまっている。 経済的に困っていない大企業の人は、収まればまたすぐに海外や国内に旅行するだろう。だが、経済的なダメージを受けた人はお金が多少入っても、まず家賃や子供の学費に回さなければいけない。旅行は二の次、三の次になる。コロナが収束したとしても、V字回復するかどうか、確証はない。 人は少しでも余裕ができれば、旅行に行きたいものだ。ひとたび旅の楽しさを知った人は、観光客として戻ると思う。ただ戻り方が、場所や人々の経済的な余力によって、まだら模様になるのは間違いない』、ウィズコロナといっても、感染拡大防止と「旅行」を両立させるのは至難の技だ。
・『日本の魅力がなくなったわけではない  Q:インバウンドの今後の見通しは? A:長期的なトレンドとしては、日本に来たいという人はこれからも絶対に増える。中国人の中にはまだ日本に来られない所得層の人がたくさんいて、これから豊かになっていく。東南アジアもそうだ。 今は一時的に落ち込んでいるが、これを機に日本に誰も来なくなるということには絶対にならない。日本の魅力がなくなったわけではないので、これからもラーメンやすしを食べに、あるいは桜や紅葉を見に観光客は来る。 ただ、数さえ来ればいいということを繰り返してはいけない。なるべく違う観光地に誘導するような施策をもっと強くして、日本全体で受け入れるようにしないといけない。「訪日客が戻ったはいいが、また京都は大混雑している」という事態にするべきではない。) Q:外国人観光客向けになってしまった施設は、今後どのような対策が必要なのでしょうか。 A:大阪の黒門市場や京都の錦市場は、ここ10年で完全に外国人のための商店街になってしまった。地元の人は「もう行きたくない」と言っている。行っても買いたいものが手前に置いていない。日本人も外国人も一緒に楽しめる場であるべきで、そこで交流が生まれればいい。今は外国人向けに偏ってしまって、日本人の客を失っている。 外国人しか行かない店に行っても、本来面白くないはずだ。私たちも海外に行って、地元の人がおいしそうに食べているレストランで食べるから楽しいのであって、周囲が観光客だけのお店に行っても、本物を味わったことにはならない。本当のおもてなしを私たちはもう一度取り戻さないといけないと思う。 「おもてなし」の掛け声を背景に、観光地では英語と韓国語、中国語を併記した4カ国語で表示するところが多いが、これもやりすぎだ。私たちがパリやロンドンに行って日本語の看板が至る所にあっても、決して楽しいとは思わない。片言の言葉で苦労しながら道を尋ねたり、料理を注文したりするのが旅の楽しみだと思う』、「4カ国語で表示するところが多いが、これもやりすぎだ」、「やりすぎ」ではなく、まだまだ少ないと思う。「片言の言葉で苦労しながら・・・」は、私個人的には同意できるが、観光客に押し付けるのは問題だ。
・『インバウンドは最大の安全保障  Q:真の意味で旅行客に喜んでもらうために、どうしたらいいか考えるべきだと。 A:その通り。厳しい指摘もしたが、外国人が日本にたくさん来ることには基本的に賛成だ。日本の文化を知ったり、日本に来たときに親切にされたりした経験は、日本のファンになってもらうという意味で、最大の安全保障になる。一度でもその国で親切にされたことがある人、おいしいものを食べた人、豊かな文化に触れた人が、その国と戦争したいと思うだろうか。観光というソフトパワーは、軍備の整備などよりもはるかに日本の平和に資する。 日本人に親切にしてもらった、お店で現地の人と親しく話をした外国人観光客が、たくさん日本に来て、素敵な思い出を胸に戻っていく。そういう人が中国や韓国、東南アジア、ヨーロッパに増えることは、間違いなくいいことだ。だからこそ、日本人も海外にたくさん行ってほしいし、海外の人も日本に来てほしい。 観光業の従事者は、当座をしのぐことで精いっぱいかもしれないが、コロナ後を見据えたリスクの分散を考えておく必要がある。そうしないと、また同じ危機がやってきたときに生き残れない』、第一の記事にもあったが、観光地も「外国人観光客」が殆どいない今こそ、本当に必要な「おもてなし」とは何かもう一度、冷静に考え直す好機にしてもらいたいものだ。

第三に、9月4日付けNewswek日本版が掲載し元外資系証券会社のアナリストで小西美術工藝社社長のデービッド・アトキンソン氏による「D・アトキンソン「日本の観光業復活は『検査』に懸かっている」」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/business/2020/09/d_1.php
・『<世界の観光業はコロナ禍で大打撃を受けているが、人が旅をやめることはない。今後は富裕層から順に回復していくだろう。ただし、日本は「観光立国4条件」を満たす国だが決定的な問題がある。本誌「コロナと脱グローバル化 11の予測」より> コロナ禍で脱グローバル化が起こるという議論があるようだが、そんなことは起こり得ないだろう。これまでにもペストやコレラなど、パンデミック(世界的大流行)は何度も起こったが、グローバル化が止まったことはかつて一度もなかった。 観光には「人の移動」が前提となるが、人類はある意味で、地球に誕生してからずっと移動してきた。アフリカにいた人類の祖先が気候変動の影響で絶滅の危機に瀕し、住む土地を求めてアジアやヨーロッパに移動したという世界史的事実が正しいとすれば、人間というのは移動する動物だ。つまり、人類の歴史は「観光」から始まったとも言える。 とはいえ、新型コロナウイルスが蔓延し、どの国でも観光業は止まっている。渡航が制限され、今年1~4月の国際観光収益は1950億ドルもの損失だ。グローバル化の潮流は変わらないが、影響は確かにある。世界観光機関は2017年、30年までに世界で18億人が外国旅行をすると予想していた。だが観光業は成長著しく、最近までその数は20億人を超えるのではないかと言われていた。この20億人はさすがに達成が難しくなり、当初の18億人程度にとどまるのではないか。 コロナ禍が世界の観光業にどのように影響するかといえば、業界の調整が進むとみている。調整される対象は「格安」だ。格安運賃の航空会社や、ぎりぎりの採算で経営している宿泊業などは生き残るのが難しい。私は最近、日本には低単価・低付加価値の企業が多過ぎて、これらの企業の生産性を上げなければならないと各地で訴えているが、それと通じるところがある。 【関連記事】「日本企業は今の半分に減るべきだ」デービッド・アトキンソン大胆提言』、アトキンソン氏は政府の成長戦略会議の委員になったようだ。「パンデミック・・・は何度も起こったが、グローバル化が止まったことはかつて一度もなかった・・・人類はある意味で、地球に誕生してからずっと移動してきた」、さすが説得力がある。
・『復活のためにPCR検査を  私は「おもてなし」などといった曖昧な概念に頼った日本の観光政策に疑問を抱き、15年に『新・観光立国論』、17年に『世界一訪れたい日本のつくりかた』(いずれも東洋経済新報社)という本を上梓した。観光大国になるには気候・自然・文化・食事の4条件を満たす必要があるが、日本はそれら全てを備えた国であり、データに基づいた政策を立てて実行すれば、世界有数の観光大国になれると訴えた。 ここ数年、日本の観光政策は随分と是正されてきていたと考えている。訪日観光客数も、15年の1974万人から19年には3188万人へと目覚ましい伸びを見せていた。世界で観光業の再開がいつ始まるかは政治的判断に左右されるので、私には分からない。それでも、日本が観光立国の4条件を満たしていることは今後も変わらない。) だが、観光業がどの程度回復するかという範囲に関しては、問題が2つある。1つは需要ではなく供給の問題。先ほど述べたように、格安航空会社などが倒産する可能性がある。 もう1つは感情・心理的な問題で、これはたぶん日本に特有だろう。政府はこの夏「Go Toトラベル」キャンペーンを打ち出したが、東京からは来てほしくないという感情が地方で爆発してしまった。全員が感染者であるわけがないのに、一緒くたにされて怖がられた。客観性も根拠もない暴論だが、とりわけ日本では起こりがちだ。 理由は明快で、PCR検査の体制が整っていないから。陽性なのか陰性なのかが分からないから、東京から来る人は全員感染者と捉えられてしまう。大きな批判を受けたGo Toキャンペーンの最大の問題は、その時期ではない。問題の本質は、検査体制などの不備だったと思う。 ただし、外国から日本に来る人は、出発前と到着後の少なくとも2回検査される。そうすると将来的に、国内に住む日本人より、海外の外国人に来てもらうほうが実は観光地にとってリスクが少ないという皮肉な状況になりかねない。インバウンドにせよアウトバウンドにせよ、あるいは国内旅行にせよ、検査が旅行の条件になるはずだ。究極的には観光業の回復は検査に懸かっている。 国同士の交渉次第だが、世界の観光業ではまずプライベートジェットで来るような富裕層、その後ビジネス客、FIT(海外個人旅行)の順に制限が緩和されていくだろう。あとは格安の団体旅行、つまりマスマーケットがどれだけ回復するか。クルーズ船は最後ではないか。 富裕層誘致の戦略に関しては、コロナ禍以前から日本は力を入れ始めていた。中国などアジアからの訪日客を大幅に増やす戦略を世界中から満遍なく来てもらう戦略に変え、大きな成果を上げていた。今後の課題は、欧米やオセアニアなど遠方から来る人と、世界の富裕層をいかに増やしていくかだ。遠方からの観光客は長く滞在し、多くのお金を落とすことがデータから分かっている』、「インバウンドにせよアウトバウンドにせよ、あるいは国内旅行にせよ、検査が旅行の条件になるはずだ。究極的には観光業の回復は検査に懸かっている」、「今後の課題は、欧米やオセアニアなど遠方から来る人と、世界の富裕層をいかに増やしていくかだ」、同感である。
・『「超過死亡」のデータ公表も  政府は20年に訪日客4000万人、消費額8兆円、そして30年には6000万人、15兆円という目標を掲げていた。人数だけを目標に据えるのではなく、観光客1人当たりの消費額を上げる戦略だ。実際その成果は上がり始めていて、訪日客数に占めるアジアの比率は昨年まで2年連続で下がっていた(例えば18年、アジアからの観光客は対前年比8.3%増だったのに対し、ヨーロッパは12.7%増、北米は10.4%増、オセアニアは11.7%増)。 【関連記事】日本の観光地、なぜこれほど「残念」なのか 優先すべきは情報発信より中身の「整備」) 富裕層についても、国立公園を中心に50カ所に世界水準のホテルを造るという戦略を打ち出していた。日本の強みである自然を生かした観光政策で、3密を避けるのにうってつけで、コロナ禍においても有望だ。 繰り返しになるが、そのためにも検査が不可欠だ。観光客を迎えるに当たって、いくら日本ではコロナが蔓延していないと言っても、データなしには信じてもらえない。 検査数が少ないこと、死亡数が過去の平均的水準をどれだけ上回っているかを示す「超過死亡」をタイムリーに公表していないこと。この2つが日本の決定的な問題だ。仮に検査体制をすぐに整えるのが難しくても、超過死亡のデータはもっと迅速に公表できるのではないか。このデータがあれば、コロナによる死亡者は最大でもこの人数だと示せる。国際的な比較ができる重要な指標だが、なかなか公表されない。 コロナ禍においても、グローバル化は止まらず、観光は死なない。だがウイルスと共存していくこれからの世界で、観光業の再生には賢い工夫が求められ、その実行には政治的判断が深く関わっている』、説得力溢れた主張だ。「超過死亡」については、国立感染症研究所の感染症疫学センターが公表しているが、素人が見ても難しくてよく理解できない。
タグ:東洋経済オンライン パンデミック デービッド・アトキンソン インバウンド戦略 (その13)(コロナショック「インバウンド7割減」の衝撃度 観光客の約半分を占める中韓の減少が直撃、苦境下の「人気観光地」がいまするべきこと 『観光公害』著者が説く観光地の現状と対策、D・アトキンソン「日本の観光業復活は『検査』に懸かっている」) 「コロナショック「インバウンド7割減」の衝撃度 観光客の約半分を占める中韓の減少が直撃」 韓国の訪日客は約8割減 過去の知見をどれだけ生かせるか GO TOトラベル キャンペーン 「苦境下の「人気観光地」がいまするべきこと 『観光公害』著者が説く観光地の現状と対策」 『観光公害』 佐滝剛弘 今回は戦後初めて直面する大打撃 海外では大事にされている観光産業 国の省庁においても「文化省」も「観光省」もなく、文化庁と観光庁どまりだ。つまり、役所の中でも一段下に見られている 船内ですべて楽しめるというクルーズ船の良さが裏目に出た 限られた空間だからこそ、感染が拡大 コロナが収束したとしても、クルーズ船に以前のように観光客が戻るかどうかはわからない 寄港先にあまりお金を落としていない。夕食を食べてお酒を飲み、宿泊施設に泊まることが最も観光地にお金を落とすのに、それら全部を船の中で済ませてしまう 自治体の予算で港を整備して2隻も3隻も同時に泊められるようにしようとする港もある オーバーツーリズム 大事なのはリスクの分散 平常時ならやりたくてもできない、天から与えられた「シンキングタイム」 もう一度考え直す機会だ。リスクの分散に加え、先延ばしにしていた安全面などの対策が打てるかもしれない 日本の魅力がなくなったわけではない 4カ国語で表示するところが多いが、これもやりすぎだ」、「やりすぎ」ではなく、まだまだ少ない 片言の言葉で苦労しながら 観光客に押し付けるのは問題 インバウンドは最大の安全保障 観光地も「外国人観光客」が殆どいない今こそ、本当に必要な「おもてなし」とは何かもう一度、冷静に考え直す好機にしてもらいたいものだ Newswek日本版 「D・アトキンソン「日本の観光業復活は『検査』に懸かっている」」 世界の観光業はコロナ禍で大打撃を受けているが、人が旅をやめることはない。今後は富裕層から順に回復していくだろう。ただし、日本は「観光立国4条件」を満たす国だが決定的な問題がある。本誌「コロナと脱グローバル化 11の予測」より 成長戦略会議の委員 は何度も起こったが、グローバル化が止まったことはかつて一度もなかった 人類はある意味で、地球に誕生してからずっと移動してきた 復活のためにPCR検査を インバウンドにせよアウトバウンドにせよ、あるいは国内旅行にせよ、検査が旅行の条件になるはずだ。究極的には観光業の回復は検査に懸かっている 今後の課題は、欧米やオセアニアなど遠方から来る人と、世界の富裕層をいかに増やしていくかだ 「超過死亡」のデータ公表も 「超過死亡」については、国立感染症研究所の感染症疫学センターが公表
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