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電子政府(その2)(政府CIO補佐官に聞く 行政のデジタル化が進まない理由と脱却のシナリオ、:菅政権新設の「デジタル庁」は20年来の公約違反を解消せよ…! 全行政手続きオンライン化はどうなった) [経済政策]

電子政府については、7月4日に取上げた。今日は、(その2)(政府CIO補佐官に聞く 行政のデジタル化が進まない理由と脱却のシナリオ、:菅政権新設の「デジタル庁」は20年来の公約違反を解消せよ…! 全行政手続きオンライン化はどうなった)を紹介しよう。

先ずは、8月6日付けITmediaビジネスオンライン「政府CIO補佐官に聞く、行政のデジタル化が進まない理由と脱却のシナリオ 」を紹介しよう。
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2008/06/news041.html
・『全国民に一律10万円を給付する特別定額給付金を巡り、いくつかの自治体でトラブルが報告されている。給付に時間がかかるといったものから、二重払いするミスまで、人海戦術で解決しようという動きを垣間見るに、現場の疲弊ぶりは相当なものと推測される。 いち国民としては、「戸籍もあるし、銀行口座引き落としで納税もしている。国や自治体は当然そういったデータを使って、スムーズに給付できるはずだ」と思ってしまうが、実はここに落とし穴がある。 例えば、行政機関が保有する住民の氏名データは、制度上、漢字のみでフリガナは便宜上登録されているにすぎない。一方、全銀ファイルの氏名はカナしか存在しない。そのため、突合でエラーになることがある。制度がもはや社会の実態に即していないのだ。何らかのユニークキーによってデータが一元的に整理されていれば、ここまでの混乱はなかったかもしれない』、「行政機関が保有する住民の氏名データは、制度上、漢字のみでフリガナは便宜上登録されているにすぎない」、初めて知った。「全銀ファイルの氏名はカナしか存在しない」、各銀行プロパーのシステムで漢字も入っているが、共通の「全銀ファイル」では「氏名はカナしか存在しない」ということのようだ。
・『この国の制度は、100年前からほとんど変わっていない  コロナ禍で、広く国民が実感することとなったデジタル化の遅れ。それもそのはず、今の行政の基礎が出来上がったのは100年前の明治時代。私たちは100年前からずっと、窓口へ行き、手書きで書類を埋め、ハンコを押してきた。もちろん、自動処理などは想定されていない。 デジタル化が進まないのは、日本の閣僚にオードリー・タン氏のような天才エンジニアがいないからではない。最も足かせとなっているのは、100年にわたって蓄積されてきた戸籍、商業登記といった紙の処理を前提とした業務と膨大なデータ。それを社会の変化に応じて改善してこなかった歴史だ。 このことは、グローバル社会における日本の競争力にも暗い影を落としている。例えば、海外の投資家が日本企業に投資しようとする場合、資本金や業績、社長、株主といったデータをもとに投資先を選定する。それらが整理されていなければ、有望な投資先は世界中にあるのだから、日本企業には投資しない。逆に日本から海外に投資する場合も、米国企業に投資すべきか、アフリカ企業に投資すべきか判断しやすくしたい。日本が競争力を取り戻すためには、国際社会の要請に応え、流通するデータを整備することが不可欠なのだ』、「最も足かせとなっているのは、100年にわたって蓄積されてきた戸籍、商業登記といった紙の処理を前提とした業務と膨大なデータ。それを社会の変化に応じて改善してこなかった歴史だ」、その通りなのだろう。
・『日本はまだ、デジタル社会の基盤ができていない  「行政がデータの整備を先延ばしにしてきたことが、民間のデータ活用にも影響を及ぼしている」と語るのは、データマネジメントの専門家で、政府CIO補佐官を務める下山紗代子氏だ。 「企業が、行政のデータソースを組み合わせて1つのデータにするとき、統一のコードが入っていないので、どれとどれが同一の情報なのかすぐに判断できません。そのため、多くの企業が多大なコストをかけてデータを整備するところから始めます。それが終わってようやくデータ活用のスタートラインに立てる。それが実情なのです」(下山氏) 行政はこれまで、「データを活用する」という発想が希薄だった。そのため、サービスを立ち上げるごとにデータを整備し、終了とともにデータを消去したり、再利用不可能な状態で保管するといった非効率的な運用をしてきたという。行政が一元管理するデータソースや標準化されたデータを提供できれば、企業のデータ活用のハードルは格段に下がるはずだ。 下山氏は、政府CIO補佐官の活動以外に、シビックテック「Code for Japan」(オープンデータやオープンソースを活用して東京都の「新型コロナ感染症対策サイト」を開発し、話題となった)にもコミットし、東京都以外の自治体も同様のサイトが運用できるよう、総務省や内閣官房などと連携し、自治体とシビックテックをつなぐ標準のデータテンプレートを整備した。下山氏は、このようなデータを巡る地道な活動が、デジタル社会の礎になると考えている。 2020年3月に発表された「デジタル・ガバメント実現のためのグランドデザイン」では、行政のデジタル化を実現するための方向性が示されている。52ページにわたるその文書では、「データファースト」をはじめ、「ユーザー体験の向上」「政府情報システムのクラウド化・共通部品化」といった、これまでのお役所らしからぬフレーズが並ぶ。 歴史をひもとくと、日本の高度経済成長の裏には、国土交通省の「全国総合開発計画」があった。工業団地や住宅地といった社会基盤を整備することで、人が集まり、ビジネスが生まれ、日本の競争力は高まっていった。今の日本は、デジタル社会の競争力獲得に向けた基盤づくりに、ようやく本腰を入れた段階だと言えよう』、「行政はこれまで、「データを活用する」という発想が希薄だった。そのため、サービスを立ち上げるごとにデータを整備し、終了とともにデータを消去したり、再利用不可能な状態で保管するといった非効率的な運用をしてきた」、驚くべき非効率だ。「デジタル・ガバメント実現のためのグランドデザイン」で少しでも前進することを期待したい。
・『デジタル技術を使いこなせないと揶揄(やゆ)される日本の現在地  「政府のIT予算は、年間5000億円にも上りますが、デジタルによる本格的な業務改革に政府CIO補佐官がかかわるようになったのは、ごく最近のことです」――そう明かすのは、内閣官房 政府CIO上席補佐官の平本健二氏だ。 政府CIO補佐官とは、各省庁のIT部門と連携して行政サービスの開発などに当たる民間出身のIT専門家だ。以前は、大規模システムのプロジェクトマネジメントを経験した年齢の高い人が中心で、仕様書のレビューや相談役のような役割を担っていた。しかし、クラウド、AI、IoTといった新たな技術の実用化が進むと、個々の技術への深い造詣が求められるようになっていった。ある種の権威や経験がほとんど意味を成さなくなってからは、平均年齢も若くなり、現在の最年少政府CIO補佐官は20代後半だ。 前述の、「デジタル・ガバメント実現のためのグランドデザイン」(以下、「グランドデザイン」)は、初めて政府CIO補佐官が中心となって策定された。 「戦略はホチキス」といわれる。いろいろな人が文書を持ち寄ってホチキスで留めれば戦略になるという皮肉だが、行政職員が持ち寄る戦略は実現可能性を重視するため、どうしても現在のケーパビリティから思考してしまい、予測不能なデジタル社会の未来を描くには適さない。その点、今回の「グランドデザイン」は、IT専門家が考える「日本のあるべき未来」とその「道筋」が具体的に示されており、100年続いてきた制度の壁を超える意欲が込められている。ここからは、政府CIO補佐官たちと「グランドデザイン」を読み解いていく』、「現在の最年少政府CIO補佐官は20代後半だ」、こんなに若いのであれば、現場の言いなりになってしまうのではなかろうか。
・『サービスデザイン思考で、使いにくい行政サービスを変える  行政のデジタルサービスを、「使いにくい」と感じる人は少なくないだろう。現にある自治体では、オンラインでの特別定額給付金申請において約6割に不備があり、郵送での申請に一本化する事態となった。 LINE AIカンパニーCEOで、サービスデザインの専門家として政府CIO補佐官に加わった砂金信一郎氏は、行政のデジタルサービスが使いにくい理由をこう指摘する。 「ネット企業が提供するオンライン申請フォームは、ランディングページから何人が遷移し、どの項目で何回エラーが発生し、最終的にどれくらいが申し込み完了に至ったかというデータを計測しながら、UI/UX(注)の改善を図っています。一方、行政のオンライン申請フォームは、使いにくさを定量的に測る習慣がありませんでした」(砂金氏) 行政のデジタルサービスは、平均的なユーザーを想定し、単一的なUIを提供してきた。UXという考え方は、そもそも存在すらしていなかっただろう。行政側は、「使いにくくても使わせる」ではなく、「誰もが簡単に使えるサービスの提供」へと早急に発想を転換する必要がある』、(注)UI/UX:ユーザーインターフェイス(UI)とユーザーエクスペリエンス(UX)。後者は経験や体験とされるが、確定した定義はない(Wikipedia)。
・『行政のサービスも「出して終わり」ではない  使いにくい行政サービスと、洗練された民間サービスの違いは、運用開始後の対応にも現れる。行政サービスも「出して終わり」ではなく、プライバシーへの配慮を大前提としつつ、ユーザーの使い勝手を把握し、継続的に改善していく必要がある。 砂金氏は現在、経済産業省が運営するオンライン補助金申請サービス「jGrants」のUI/UX改善に取り組んでいる。目的は、補助金を必要とする事業者がつまずくことなくスムーズに申請できるようにすることだ。調達仕様書では、「申請完了率の向上」と「申請完了までの時間短縮」を成功指標として掲げている。これは、行政職員が「使いやすくなった」と感じれば良しとされてきたこれまでのサービス開発に、NOを突きつけるものだ。 「こういった取り組みはまだ始まったばかりですが、うまくいけば、他の省庁や自治体のオンライン申請フォームにも横展開していきたい」(砂金氏)』、「ユーザーの使い勝手を把握し、継続的に改善していく」、結構なことだ。
・『外部委託先への丸投げを是正する  さらに砂金氏は、「行政のサービス開発をベンダーや外部委託先に丸投げしている現状も問題だ」と指摘する。 「他国を見ていると、自分たちのシステムは自分たちで作るというのが基本姿勢です。ところが日本の場合、行政機関側にエンジニアが一人もいないというプロジェクトも少なくありません。仕様書通りに納品されたらお金を払って終わり――まずはその状態を是正しないと、良いサービスは作れません」(砂金氏) 新たな問題は、ベンダーや外部委託先との既存の契約が、アジャイル開発に適したものになっていないということだ。 アジャイル開発とは、多くの先進企業が採用するソフトウェア開発手法の1つで、ニーズの変化に柔軟に対応できることが特徴だ。計画段階では厳密な仕様を決めず、だいたいの仕様と要求だけを決めておく。その上で、動作するソフトウェアを短期間で作り上げ、検証し、改善するといったサイクルを繰り返していく。「グランドデザイン」でも、アジャイル開発の推進が掲げられている。 しかし、「仕様書通りに納品されたらお金が支払われる――という既存の契約条件では、アジャイル開発の推進は難しいのです。なぜなら、アジャイル開発の特性として、最初に作ろうとしていたものと、最後に出来上がったものが違う可能性があるからです」(砂金氏) 違う=より良いサービスになったからいいじゃないか、では通らない。行政の財務会計担当者からは、「違うものが納品されたのに、なぜお金を払わなきゃいけないんだ」といわれることがあるという。 「周囲の理解がないままテクノロジーの論理だけで進めても、誰もついてきてくれないという例ですね。現場の理解を得ながら、これからの時代に合った契約内容や調達仕様書を作っていくのも政府CIO補佐官の役割です」(砂金氏)』、「仕様書通りに納品されたらお金が支払われる――という既存の契約条件では、アジャイル開発の推進は難しいのです。なぜなら、アジャイル開発の特性として、最初に作ろうとしていたものと、最後に出来上がったものが違う可能性があるからです」、「アジャイル開発」の料金はどう決めるのだろう。
・『民間サービスとの融合で、さらに便利に  「グランドデザイン」では、今後、行政と民間のサービスを融合することで、使いやすいサービスを提供していくと示されている。ここで鍵となるのは、行政サービスのAPI(注)化と、そのAPIの質向上だ。 APIを活用すれば、これまでの行政の調達スタイルと違い、行政と民間はそれぞれ独自にサービス開発を進められる。必要に応じ、APIを介してそれらを連携すれば、さらに高度なサービスを生み出せる可能性がある。また、連携の自由度は、さまざまな企業の参入、競争にもつながる。これが結果として、ユーザーの利便性向上につながると期待されているのだ。 みずほフィナンシャルグループで金融APIを公開し、スタートアップや異業種との連携を進めている大久保光伸氏は、政府CIO補佐官としてもこの領域に力を入れている。 「政府にはAPIの簡単なガイドブックはあるのですが、標準化できるようなAPIの基準がないので、民間のAPI事例を政府側に反映することにしたのです」(大久保氏) 民間の第一線で起こるムーブメントや成功事例を積極的に取り入れるなど、デジタル社会に向けて、行政も大きく変わろうとしている』、(注)API:アプリケーションプログラミングインタフェース、広義ではソフトウェアコンポーネント同士が互いに情報をやりとりするのに使用するインタフェースの仕様(Wikipedia)。
・『政府CIO補佐官が、霞が関に染まらないために  組織が変わるとき、そこには大なり小なり痛みが伴う。ましてや、100年続いたやり方や価値観を大きく変えようとなれば、反発ややりづらさもあるだろう。そこで、民間からやってきた政府CIO補佐官が霞が関でも力を発揮できるよう、土壌づくりに奔走する人がいる。経済産業省 デジタル化推進マネジャーの酒井一樹氏は、政府CIO補佐官と行政職員との橋渡し役だ。 「政府CIO補佐官たちが魂を込めて仕様を策定したのに、サービスが出来上がるころには魂が抜けてしまう、といったことは往々にしてあります。現場にマインドまできちんと伝えていく必要があります」(酒井氏) 政府CIO補佐官は、行政にどっぷりつかりながらも、IT専門家としての視点や独立性を保つ必要がある。しかし、鳴り物入りで入った政府CIO補佐官の中にも、独特の雰囲気に飲まれ、霞が関に染まっていく者が出てくるという。 「『自分も霞が関曼荼羅(パワーポイント1枚に全て入っているようなビジーなポンチ絵)が描けるようになりたい』とか言うようになったらマズいです。そんなのは描けなくていいんだよと伝えます。過渡期だからこそ、ビジョンやミッションにもとづいたチームビルディングやコミュニティー作りが重要なのです」(酒井氏)』、「鳴り物入りで入った政府CIO補佐官の中にも、独特の雰囲気に飲まれ、霞が関に染まっていく者が出てくるという」、人間である以上、ある程度やむを得ないのかも知れない。
・『外から批判するだけじゃカッコ悪い  一連の試みに対し、訳知り顔で「エストニアのX-roadを買ってくればいいじゃないか」と言う人もいるという。しかし、電子国家エストニアも一朝一夕にできたわけではない。長い間、地道にデータを整備し、土台があるからこそ使いやすい行政サービスが構築できたのだ。 「いつの時代でも、ツールだけなら最先端のものを買ってこれます。しかし、燃料がないところにポルシェを買ってきても意味がないのと同じように、それを生かすためのデータがなければ意味がない。データの整備は10年かかる。欧米はこれから2年でツールの整備し、2030年をターゲットにデジタル国家を目指している。日本もこの2年が勝負です」(平本氏) データの整備は、地味で目立たず手間のかかる仕事だ。しかし、予算がない、面倒くさいと言い訳をしてまた先延ばしにするのなら、日本はこれからもIT後進国への道を歩み続けることになる。 「行政サービスを使いにくいと批判するだけなら誰にでもできます。でも、それだけじゃ何も変わらないし、エンジニアとしてカッコ悪いなと感じている方は、ぜひ政府CIO補佐官に名乗りを上げてほしいです」(砂金氏) デジタル社会は、行政がエンジニアを大量採用したり、外部委託先が考えを改めてくれたらすぐにやってくるものではない。日本のIT業界に横たわる「分厚い壁」を取り払うことが、デジタル社会の実現を推し進めることにつながる。 「日本のIT業界は、SIをはじめエンタープライズ系の方々と、アプリなどを提供するWebサービス系の方々との間に文化的な隔たりがあります。お互いがお互いを小馬鹿にする場面も見られ、非常に良くありません。エンタープライズ系の方には、こんなのお遊びだと思わずに、アプリの裏側でどれだけ高度な処理がなされているのか興味を持ってほしい。Webサービス系の方には、社会を支えるミッションクリティカルなシステムに関心を持って近寄ってみてほしい。デジタル社会の実現に向けて、日本のIT業界はどうしていくべきか、皆で考える時期に来ています」(砂金氏) 行政やエンタープライズがデータを整備し、Webサービス系やシビックテックがインタフェースを作る、そのうち人材も交わっていき……といったように、尊敬と信頼にもとづく協業関係をIT業界全体で醸成できるかどうかが試されている』、「欧米はこれから2年でツールの整備し、2030年をターゲットにデジタル国家を目指している。日本もこの2年が勝負です」、「欧米」も「2030年をターゲットにデジタル国家を目指している」、とは初めて知った。「日本のIT業界は、SIをはじめエンタープライズ系の方々と、アプリなどを提供するWebサービス系の方々との間に文化的な隔たりがあります。お互いがお互いを小馬鹿にする場面も見られ、非常に良くありません」、狭い世界で、お互いに足の引っ張り合いをするのは、止めにしたいものだ。

次に、9月27日付け現代ビジネスが掲載した大蔵省出身で早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問一橋大学名誉教授の野口 悠紀雄氏による「菅政権新設の「デジタル庁」は20年来の公約違反を解消せよ…! 全行政手続きオンライン化はどうなった」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/75891?imp=0
・『「行政手続きのすべてをオンライン化する」という2001年の公約が、いまだに実現されていない。デジタル庁の最初の仕事は、この公約違反状態を解消することだ。 その試金石は、外国では広く行われている運転免許証書き換えのオンライン化だ。それがすぐには難しいとしても、せめて自主返納 はオンライン化すべきだ。それさえできないのでは、事態は絶望的だ』、「「行政手続きのすべてをオンライン化する」という2001年の公約が、いまだに実現されていない」、初めて知った。
・『20年間放置されている公約  デジタル庁設置は、菅義偉内閣の目玉政策だ。 政府内部の仕事のオンライン化がもちろん必要だ。定額給付金でオンライン申請が混乱したこと、テレビ会議が満足にできなかったこと、そして感染者情報把握にいまだにファクスを使っていることなどが問題視された。そうした状況を改善することは、1日も早く必要なことだ。 国民の側からいえば、行政手続きのオンライン化を是非進めて欲しい。 「2003年までに、国が提供する実質的にすべての行政手続きをインターネット経由で可能とする」。これは、政府の「eJapan 戦略」が2001年に決めたことだ。そのための法律まで作った。 では、この公約はどの程度実現できたか? 現在、政府手続きでオンライン化されているのは、わずか5%だ。ほぼ20年間の公約違反状態! かくも長きにわたって、オンライン化は絵に描いた餅にすぎなかったのだ。行政手続きには、いまだに紙の書類とハンコが要求される。このため、在宅勤務が完結しない。 スイスのビジネススクールIMDが今年の6月に発表した「IMD世界競争力ランキング2020」で、日本は34位だった。これは、過去最低だ。日本は、1992年までは首位にいた。 デジタル技術では、日本は62位だった。対象は63の国・地域だから、最後から2番目ということになる。 デジタル庁 の最初の仕事は、上記の公約違反を早急に解消することだ。そのためにまず必要なのは反省だ。2001年 eJapan戦略の公約がなぜ実現できなかったのか? どこが問題だったのか? 政府は、この検証報告を2ヶ月以内にまとめるべきだ。反省なくして失敗を克服することはできない』、全く同感である。
・『運転免許証書き換えのオンライン化を  行政手続きのオンライン化ができるかどうかの試金石は、運転免許証更新のオンライン化 だ。これができなければ、他のすべてをオンライン化できても、デジタル化は失敗といわざるをえない。 もともと、日本の運転免許証は、欧米に比べて厳格過ぎる。国によって交通事情は異なるから単純な比較はできないが、アメリカのカリフォルニア州では極めて簡単だ。私は、自分の車を試験場まで自分で運転して行って試験を受けた。 最初に免許を取得する場合はやむを得ないとしても、更新の手続きは、簡略化し、オンライン化すべきだ。視力検査は眼科医でできる。高齢者の認知テストもオンラインでできるはずだ。 私は、20年ほど前に、カリフォルニアの免許証を日本から更新したことがある。2013年1月にEU基準での改正となるまでは、ドイツやフランスの免許証は更新なしで、無期限に使えるものだった。改正後も、15年の期限だ。そして、更新もオンラインでできる国が多い。 世界的標準である更新のオンライン化が日本では簡単にはできないというのなら、せめて、運転免許証の自主返納 はオンライン でできるようにしてほしい。なぜ試験所や警察に出頭する必要があるのか、まったく理解できない。 運転免許証の自主返納 では、何の試験も必要ない。本人確認と免許証の真正性が確保できればよい。これができなければ、他の手続きの オンライン化 ができるはずはない。 テストケースとして、まずこれをやってはどうか? これができれば、多くの人が歓迎するだろう。これさえできないというのであれば、事態は絶望的だ。デジタル庁など作っても、予算の無駄使いでしかない』、「運転免許証の自主返納 では・・・本人確認と免許証の真正性が確保できればよい。これができなければ、他の手続きの オンライン化 ができるはずはない」、その通りだ。
・『スマートフォンアプリ化では情報漏出の危険  運転免許証について、デジタル化との関連で政府は何をしようとしているか? 報道によると、運転免許証とマイナンバーの紐付けを行うことを検討しているそうだ。スマートフォンのアプリに保存することで、偽造防止や利用者の利便性向上につなげるのだという。 しかし、スマートフォンのアプリに保存することで利便性が向上するだろうか? その逆に、リスクが高まるのではないだろうか? 万一、スマートフォンを紛失した場合に、情報が漏出する危険がある。また、最近起こっているデジタル決済での預金不正引出し事件を考えると、スマートフォンを紛失しなくとも情報が漏出する危険がある  雇用調整助成金の申請システムなど、政府が作ったオンラインシステムには、情報漏洩事故を起こしたものがある。これを考えても、あまり信頼できない。私なら、こうした問題の深刻さを考えて、とてもこのアプリはダウンロードできない。 国民が望んでいるのは、こうしたことではなく、デジタル化による手続きの簡略化なのだ』、その通りだ。
・『デジタル化とは既得権の切崩し  運転免許証のデジタル化が難しいのは、日本では免許証交付と更新が産業化してしまっているからだ。教習所を含めて、巨額の収入をあげ、膨大な職員を養っている。 高齢者の更新の場合には、安全確保の名目の下に、必要性の極めて疑わしい研修が義務付けられている。多くの人は、金を払ってもよいから教習所まで出向く時間はなしにしてほしいと思っているだろう。そして、コロナ下では、3密を回避したいと、切に願っているだろう。 しかし、これらをデジタル化すれば、現在の利権の多くは失われてしまう。だから決して簡単なことではないのだ。 この問題に限らず、日本におけるデジタル化とは、技術の問題というよりは、利権と既得権を切崩せるかという問題なのだ。これは、決して容易でない。一朝一夕に実現することではない』、「日本におけるデジタル化とは、技術の問題というよりは、利権と既得権を切崩せるかという問題なのだ。これは、決して容易でない。一朝一夕に実現することではない」、本質をズバリと突いた的確な指摘だ。私も「高齢者」「講習」を受けさせられたが、単なる「教習所」救済策との印象を強く抱いた。
・『まだファクスを使っている!  もう1つの問題は、仮にデジタル化しても、述べた適切なシステム作れるかどうかだ。これについて以下に述べよう。 9月6日公開の「厚生労働省のITシステムは、なぜこうも不具合が多いのか?」で述べたように、コロナ感染の状況を調査するためのシステムは、混迷を極めている。 最初は、NESIDという仕組みで情報を収集していた。これは、医療機関から保健所にファクスで感染届けを送り、それを保健所が集計して都道府県などに送るというシステムだった。ところが、感染が拡大してくると、ファクスではとても処理できなくなる。 そこで、HER-SYSというオンラインシステムが導入された。これは、発生、感染者の経過、濃厚接触者など、必要なデータをすべて処理するものだ。これによって、保健所の負担軽減を目指した。また、国や都道府県、保健所が情報を共有し、対策に生かすことが期待された。5月下旬から導入が始まり、保健所を設置する全国155自治体すべてに入力・閲覧権限が与えられた。 ところが、感染者が多い都市部で、この利用が広がっていないというのだ。9月21日の朝日新聞の記事「HER-SYS 道半ば」が伝えるところによると、東京都では、依然、保健所が医療機関から発生届をファクスで受け取り、HER-SYSに入力している。 横浜市も医療機関による入力は2割に満たず、残りは保健所の職員が打ち込む。大阪府でも保健所が発生届を入力している。保健所の業務量は、増えるだけだという』、「横浜市も医療機関による入力は2割に満たず、残りは保健所の職員が打ち込む」、「医療機関」の多くは既に独自のシステムをもっており、「HER-SYS」へ入力すると二度手間になるからだろう。
・『デジタル化すればよいわけではない  なぜこんなことになってしまうのだろう? 細かい理由はいろいろあるが、要するに、「HER-SYS使いにくいから、保健所や公共団体にそっぽを向かれている」という単純なことのようだ。「HER-SYSは予算の無駄使い」と言わざるをえない。 いまもっとも緊急に必要な情報がこの有様だ。 「データに基づく判断が重要だ」とはしばしば言われる。まったくそのとおりだ。しかし、現在の日本では、データが迅速に得られず、信頼もできない、という状態なのだ。 接触感染アプリは、HER-SYSの情報をもとにして通知を行っている。HER-SYSが以上のような状況なので、接触感染アプリもほとんど役に立たないシステムになってしまっている。 これからも分かるように、「デジタル化すれば、それでよい」というものではない。使いやすく、効率的な仕組みでなければならない。 ついでに言えば、政府の統計サイトの使いにくさに、私は毎日のように悩まされている。利用者の観点など、まったく考慮されていない。使い方の説明をいくらよんでも分からない。 こうした状況を改善するには、9月13日公開の「日本のITが時代遅れになる根本原因はSIベンダーの言いなり体制」で指摘したように、ベンダーとの癒着を排し、丸投げを是正する必要があ(注:「る」が抜けている)。 しかし、そのためには、発注者が問題を理解する必要がある。これも容易なことではない。 デジタル庁の発足は「来年中」だという。コロナ関連の事案については、残念ながら、間に合わないだろう』、「ベンダーとの癒着を排し、丸投げを是正する」には「発注者が問題を理解する必要がある」のは確かだ。
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