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悪徳商法(その5)(「200万円は返せない」世界一周クルーズ"ピースボート"の開き直り 観光庁が行政指導も 販売は継続中、消費者庁課長“謎の異動”で立ち入り検査が立ち消えていた~ジャパンライフ詐欺事件 須田慎一郎レポート、コロナで変わる詐欺集団 「悪徳マルチ」最新手口とは、カルト宗教がコロナ禍に乗じて拡大 霊感商法対策の著名弁護士が警鐘) [社会]

悪徳商法については、4月12日に取上げた。今日は、(その5)(「200万円は返せない」世界一周クルーズ"ピースボート"の開き直り 観光庁が行政指導も 販売は継続中、消費者庁課長“謎の異動”で立ち入り検査が立ち消えていた~ジャパンライフ詐欺事件 須田慎一郎レポート、コロナで変わる詐欺集団 「悪徳マルチ」最新手口とは、カルト宗教がコロナ禍に乗じて拡大 霊感商法対策の著名弁護士が警鐘)である。

先ずは、4月28日付けPRESIDENT Onlineが掲載したジャーナリストの田中 圭太郎氏による「「200万円は返せない」世界一周クルーズ"ピースボート"の開き直り 観光庁が行政指導も、販売は継続中」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/34991
・『「世界一周の船旅」で知られるピースボートが危機にひんしている。クルーズを主催する旅行会社は4月出発のツアーを中止したのに返金しておらず、観光庁から行政指導を受けた。しかし、その後もツアーの販売を続けている。ジャーナリストの田中圭太郎氏がトラブルの一部始終をリポートする――』、極めて悪質な事件だ。
・『『分割でないと対応できない』の一点張り  「キャンセルを申し込んで一括で返してほしいと言っても、『今年7月から3年間の分割でないと対応できない』の一点張りです。その間に倒産したらお金は返ってこないのかと聞くと、『そうですね』とまるでひとごとのような返事でした。もうお金は戻ってこないだろうと、あきらめている状態です」 こう話すのは石川県に住む50代の女性だ。この女性は2022年12月から約3カ月間実施する世界一周クルーズへの参加を、去年夏に申し込んだ。料金は4人部屋で1人198万4000円。定価は257万円で、早割で30%引きだった。 クルーズは非政府組織(NGO)のピースボートが企画し、東京都新宿区の旅行会社ジャパングレイスが主催している。ジャパングレイスは1969年に創業し、ホームページによると2018年1月現在の従業員は120人。1995年から25年にわたってピースボートのクルーズを実施している』、「1995年から25年にわたってピースボートのクルーズを実施」、一応、歴史はありそうだが、コロナ禍による大量キャンセル発生でおかしくなったのだろうか。
・『「新造船による世界一周ツアー」という魅力的プラン  女性が申し込んだエコシップクルーズとは、2022年春にデビューする予定の新造船「エコシップ」による世界一周クルーズだった。最も高い客室は1000万円近く、従来のピースボートよりも全体的に料金は高めだ。それでも十分魅力的に映ったと女性は話す。 「去年4月にピースボートの見学会に参加して、新造船のことを知りました。世界一周の旅は昔からの夢で、行ったことがない南半球の旅で南極にも行けると聞き、魅力的に感じました。2022年12月からなら、3カ月休めるめどが立ったので申し込んだのです」 しかし新型コロナウイルスの感染拡大で、状況は一変した。2月3日に横浜港に寄港したダイヤモンド・プリンセス号は船内で感染が拡大。その後、欧州やアメリカで感染爆発が起きた。2022年12月といえども、南半球は観光どころではないだろうと思い、女性はキャンセルを決めた』、「ダイヤモンド・プリンセス号」の悲劇を観たらこの「女性」ならずとも誰でも「キャンセル」する筈だ。
・『「3年間36回払いで返金」という驚きの提案  女性は4月初旬に、ジャパングレイスに電話でキャンセルを申し込んだ。対応した女性は「キャンセルの申し込みが殺到しているので、4月に入ってからキャンセルしたお客さまには、7月からの返金をお願いしています」と説明した。「もしも7月までに会社が倒産したら、お金は返ってこないんですか」と聞くと、一瞬詰まりながらも「いえ、そんなことはございません」と言われたので、不安はあるものの大丈夫かもしれないと思っていた。 送られてきた書類に口座番号など必要事項を書いてFAXすると、4月中旬になってジャパングレイスから封書が届いた。中には社長名の文書が入っている。女性は目を疑った。7月から「3年間分割での払い戻しをお願いする」と書かれていたからだ。 2022年のツアーをキャンセルした顧客に、主催会社から送られてきた封書の中身。36回分割での返金か、「みらい乗船券」というポイントへの振替を求める社長名の手紙と、分割払いの際の月々の返済額を示す書類が入っていた。 「3年間で36回払いになっていることに驚きました。7月になったら全額返金されるものと思っていましたから。経営状態に問題がなかったら、こんなことにはならないですよね。会社が倒産して返金がストップするのではと思いました」 女性は一括返金を求めようと、ジャパングレイスに電話をかけた。折り返すと言われたが、4日たっても連絡がなかったので、再度電話して、4月21日にようやく担当者という男性と話すことができた。一括で返してほしいと伝えると、担当者は「それはできません。キャンセルが殺到しているので分割でないと対応できません」と答えるだけ。女性は、責め立ててもしようがないのだろうかとあきらめつつあった』、「ジャパングレイス」が「一括返金」に応じられないのは、顧客から払い込まれた「預かり金」を、何らかの形で運用しているためなのだろう。
・『「申し訳ございません」としか言わない担当者  一方でジャパングレイスから届いた文書には、預かり金を1.3倍のポイントに換算する「みらい乗船券」への振り替えの提案が記載されていた。このポイントについて聞くと、いったんポイントにすると現金化はできず、ポイントで申し込んだクルーズを自分がキャンセルした場合には無効になるという。それでは確実にクルーズを振り替えられるわけではない。女性は「どうしても一括返金でないと納得がいきません」と再度伝えたが、担当者は「申し訳ございません」としか言わない。 女性があぜんとしたのは、次のやりとりだ。「3年かけて返金するといっても、途中で倒産したら、お金は帰ってこないんですよね」と聞くと、担当者は次のように言った。 「そうですね。そうなった場合、債権者は残った債権をみんなで分け合う対応になると思います」 担当者の口ぶりは淡々としていて、まるでひとごとのようだったと女性は受け取った。 「その場を繕って安心させようとすることもなければ、ぜひみらい乗船券に振り替えてくださいという態度でもない。本当に開き直っている態度でした」』、「開き直っている態度」、というより、正直に答えたとみるべきだろう。
・『業界団体や観光庁の指導も入ったが  不審に思った女性は、インターネットを検索してみた。すると、4月出発のクルーズも中止され、参加予定だった人たちが、自分と同じ対応を受けていることを知った。「この人たちに一括返金しないのに、自分の旅行代金が戻ってくることはない」と思わざるを得なかった。 4月下旬になって、ジャパングレイスから2通目の封書が届いた。「みらい乗船券」による精算の新しいプラン(「積立プラン」と称する形で、返金の一部を現金での分割払いとし、残りをポイントで支払うスキーム)を提案する内容だった。会社側には現金支出を押さえられ、返済期間も短くなるメリットがあるだろうが、顧客側のメリットはよくわからない。 「どこに相談していいかもわかりません。もうあきらめています」。夢を実現しようと思って支払った約200万円が戻る見込みは、現時点では立っていない。 ジャパングレイスは4月に2隻のクルーズを出発予定だった。乗客は合わせて2000人で、こちらはすべて会社都合でのキャンセルが発生している。この2000人も、一括返金ではなく3年間の分割払いの対応を求められている。 ジャパングレイスのこの対応には問題がある。旅行業約款第19条には、旅行開始前のキャンセルについては、契約解除の翌日から7日以内に払い戻しをすることが定められている。ジャパングレイスの対応は、約款に違反している可能性があるのだ。 旅行代理店の業界団体である日本旅行業協会は、ジャパングレイスから報告を受け、客に対してきちんと対応するように指導したという。このトラブルの苦情は、協会の消費者相談室で受け付けている。 さらに監督官庁の観光庁も、事態を問題視し、4月21日にジャパングレイスに対して行政指導を行った。約款通りに対応することと、どうしてもできない場合は、「営業保証金制度」を活用して、供託している営業保証金から客に弁済をするように指導している。ジャパングレイスは観光庁に「努力します」と答えたという』、「観光庁」の「行政指導」は、指導通りに対応したのか否かの報告も義務付けてないのであれば、空念仏でしかない。こんな無責任な対応しかできないとは情けない。
・『主催会社に話を聞いてみると  しかし、ジャパングレイスは指導通りの対応はしていない。行政指導を受けた日は、石川県の女性が最後にやりとりをした日と同じだ。対応を変えないのか、ジャパングレイスに問い合わせると、広報担当者は観光庁から行政指導を受けたことを認めた。 そのうえで、新型コロナウイルスの影響により予想していなかった大量キャンセルという事態に陥ったため、一括返金はできないと説明する。 「非常にたくさんの方がキャンセルする中で、事業の継続と安定化も含めて、一括返金ではなく分割での返金をお願いしています。保証金の活用といっても供託している金額は数千万円です。金融機関からの借り入れも相談しているところです。いままでの実績も評価していただいて、ご理解いただけるようにお願いしています」(ジャパングレイス広報担当者)』、「観光庁から行政指導」を事実上無視するとは、行政もなめられたものだ。
・『「苦渋の決断」の一方でツアー宣伝を継続  「みらい乗船券」へのポイント振り替えも、あくまでジャパングレイスのお願いに過ぎず、約款には違反している疑いがある。さらに、ピースボートステーション(クルーズ公式サイト)を見ると、2022年に実施するクルーズを「いまだけウルトラ早得割引」と銘打って20%割引で大々的に売り出している。 しかし、新型コロナウイルス禍がいつ終息するのかわからない状態では、クルーズ再開のめども立たないはずだ。さらに新造船エコシップが、就航予定の2022年までに完成するのかどうかも、現時点では「何とも言えない」という。 ジャパングレイスは3年間分割での払い戻しは「苦渋の決断」と説明するが、クルーズを申し込んだ人たちが払い込んだ金額は、1人あたり数百万円と高額だ。ジャパングレイスはキャンセル客の希望に沿うよう、手を尽くすべきではないだろうか』、いまだに「ツアー宣伝を継続」、とは図々しい。「観光庁」は被害をこれ以上拡大させないように積極的な対応策を取るべきだろう。

次に、9月21日付けYahooニュースがニッポン放送を転載した「消費者庁課長“謎の異動”で立ち入り検査が立ち消えていた~ジャパンライフ詐欺事件 須田慎一郎レポート」を紹介しよう。
https://news.yahoo.co.jp/articles/0208952456e5666bd84cab702539d64a23331450?page=1
・『ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(9月21日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。山口隆祥元会長らが詐欺の疑いで逮捕されたジャパンライフを巡る消費者庁の2010年代の動きを振り返り解説した』、「須田」氏の解説とは興味深そうだ。
・『マルチの帝王 山口隆祥容疑者  山口隆祥元会長ら14人が詐欺の疑いで逮捕されたジャパンライフは2006年から粉飾決算を始め、2010年には債務超過に陥っていたことがわかった。配当の見込みがないのに顧客を勧誘し、出資金をだまし取るなどして、被害総額はおよそ2000億円にのぼるということで、警視庁は実態の解明を進めている。 飯田)けっこう前からジャパンライフの件というのは報道されていたようにも思いますがね。 須田)はっきり言って、実質的なマルチ商法ですから。もともとマルチ商法をやっていて、保護規制がどんどん入ってきたために、その法の抜け穴を突くために形を変えてきたのがジャパンライフ。マルチ商法をやっていた1980年代やその以前から問題視されていたのです。マルチの帝王と言われている人ですから。 飯田)そういえばそうですよね。これ報道されているときにマルチの帝王って名前ありましたね。山口隆祥容疑者。 須田)ただですね、今回詐欺容疑という形なのですが、この詐欺というのはけっこう立件するのが難しくて、犯人の心象風景、騙すつもりだった、騙してやろうと思ったということが立証できなければ有罪にもっていくのはなかなか難しいのです。そこをどう突いたのかというと、最終的には2400億円、これは破産したときの負債なのですが、つまり2400億円が被害総額といってもいいのだけれども、今回立件されたのは2017年8月から11月にかけて12人に対して8000万円。随分しょぼいじゃないかと』、。
・『立件が難しい「詐欺」  須田)それはなぜかといいますと、実は最終的に大きく債務超過に陥ったのは2017年3月時点なのです。このとき338億円の債務超過。どうひっくり返ったってお金返せないよねと。あなた返すつもりだったというけれど、返すことはできないじゃないか、これは普通の経営者だったら分かるよねと。この状況以降の立件になってきているのです。 飯田)それ以降も勧誘しただろうと。 須田)お金集めただろうということ。ただですね、そのことを抑えた上で今回不思議というか、疑惑の核心的なところを申し上げると、飯田さんが冒頭言われたようにずっとマルチ商法で問題視されてきていた、かなりそのことについては世の中的に知られていた、もちろん行政サイドも強く問題意識を持っていた。そこで内閣府の所管とする消費者庁というところがありますよね。消費者の問題について対応するというのが消費者庁という役所なのだけれども、ここは立ち入り調査権とか検査権を持っているのですよ。取引対策課というところがあって、ここがずっとジャパンライフについては調査を進めていたのです』、「消費者庁」が「立ち入り調査権とか検査権を持っている」とは初めて知った。
・『立ち入り検査目前、突如、消費者庁の課長が人事異動  須田)とはいっても予備調査という頃で、強制力を持った調査ではなかった。ヒアリングですといって聞き取り調査をやってきて、このままいったら大変な被害が出るということで、当時の課長は本調査つまり法的強制力を持った立ち入り検査を実施して、なんらかの処分をすることを前提として立ち入り検査をやるべきだということで、法律を詰めていたのです。この課のなかに法令班というのがあって、そこに指示を出して、法令班の方もこのままいったら大変なことになるから検査をするという方向で消費者庁は進んでいたのです。2013年秋くらいの話です。 飯田)2013年秋、債務超過に陥っていたけれども破綻する前ですね。 須田)ところが大変なことが起こるのです。明けて2014年、突如課長が人事異動で交代するのです。 飯田)明けですか、つまり夏の定期人事異動ではないのですか。 須田)いや、それに絡む形で。後任の課長が、立ち入り検査をやると、それが世の中的に広がると相手の経営に対して甚大な影響を与えることになるのではないか。消費者庁が検査したとなるとマスコミは一斉に報道しますからね。そしてジャパンライフの問題性というのはマスコミも共有していましたから、そういう報道が出ると、場合によっては消費者庁が潰したということになるかもしれないということもあって、結果的に立ち入り検査は立ち消えになるのです。2014年段階で。そして、呼んでヒアリングをするという柔らかい方向に切り替わる。それは公表するベースではないので世の中の知るところではないというところになるのですが。 そしてようやく2016年12月になって、最初の行政処分。合計4回出るのですがね。3ヵ月の一部業務停止命令。このあたりからぐっとジャパンライフの経営は苦しくなってくるのですが、本来であれば2014年段階でやっておくべきことなのです』、「立ち入り検査目前、突如、消費者庁の課長が人事異動」、この裏に何があったのだろう。
・『後任の課長は、なぜやるべきことをやらなかったのか  須田)この2年以上にわたるタイムラグは一体何だったのか。やるべきことをなぜ消費者庁はやらなかったのか。そのときの課長はなぜそれまでの方針を覆したのか。誰からか何か言われたのか、圧力でもかかったのか。こういう点が出てきています。これやばいということで2014年段階でジャパンライフは慌てて更に営業を強化して、結果的に2015年の被害額がいちばん多いのです。このままいったら大変なことになるぞと。こういうところで被害額が増額されているというね。 飯田)それがなければ、という。早めに手を打っておけばと、いま考えるとかもしれませんが。 須田)ですからこの課長というのは代々経産省のキャリア官僚が就くのです。 飯田)内閣府ということはいろいろなところから人が来る。そのなかでも消費者庁のここの部署というのは経産省のポスト。 須田)経産省でずっと取材していくと、後任の課長はけっこう自分というものがなくて、人から何か言われるとその通りやるタイプなのかと。前任は、思い立ったら、という人で。 飯田)俺の気持ちで、と前に前にいくタイプだったけれども。消費者庁って、内閣所管ですよね。そうすると、政治サイドから何か、というのがどうかかるのですかね。それとも経産省マターになるのかな。 須田)経産省マターになってくるのかな。 飯田)なるほど。 須田)経産省人脈なのかなと。或いは経産省に対して政治力を行使できる人なのかなというような感じもしますよね。 飯田)前政権は確かに経産省内閣なんて言い方をしたこともありましたけれども、まだその辺というのはこれから先にかかってくるのかもしれませんが』、「経産省マター」というのはありそうなシナリオだ
・『有力なマスコミのOBが動いた形跡も  須田)そのあたりを含めて、先ほど飯田さんも言われたように、前政権のことを言われましたが、桜を見る会の招待状がどういう経緯でできたのかというところもかかわってくるのかなと思います。あれが2015年の4月ですから。 飯田)この山口隆祥元会長という人はマスコミや政界も含めていろいろなしがらみや人脈があったとされていますよね。 須田)どうも有力なマスコミのOBがこのあたりで動いた形跡もあるのです。はっきり言ってしまうと。官邸というよりもね。 飯田)けっこう新聞広告出ていましたね……。CMもばんばん出ていましたね……。いろいろなことが見えてきてしまって、怖くなりますね。 須田)ここまで踏み込んで話していいのかなと……実は恐る恐る話しています。 飯田)僕は局アナですよ……』、「有力なマスコミのOBが動いた形跡も」と気をもたせたのに、具体的な事実の提供がなく、裏切られた印象だ。

第三に、10月12日付けダイヤモンド・オンライン「コロナで変わる詐欺集団、「悪徳マルチ」最新手口とは」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/250207
・『「とてもタメになるセミナーがあるから一緒に行かない?」「絶対に儲かる事業の話がある」など、「悪徳マルチ」の勧誘といえば、直接会って、セミナーへ誘導したり、第三者の勧誘役が登場したりすることがお決まりだった。ところがこのコロナ禍で、マルチ勧誘の手法にも変化が訪れているという』、「コロナ禍」が「マルチ勧誘の手法にも変化」を与えたとは驚きだ。
・『リモート飲み会がマルチ勧誘の入り口に  新型コロナウイルスの流行により、人々の生活は大きく変化した。ビジネスマンのなかには、“3密”を避けるために在宅勤務となった人も多いことだろう。 会議やミーティングなどの業務はもちろん、飲み会や帰省といったプライベートのイベントもすべてが「リモート」で行われる今、なんと、「悪徳マルチ」の勧誘にも「リモート」がうまく取り入れられているという。 実際に、このコロナ禍で、リモートでの勧誘を体験した木島夏美さん(仮名・27歳)は、こう語る) 「私を勧誘してきたのは、大学時代に所属していたダンスサークルのYという先輩でした。同じサークルといっても、私はほぼ幽霊部員だったので、Y先輩との交流はほぼなかったんですけど…」 先輩から木島さんに連絡が来たのは、ちょうどゴールデンウィークも終わりかけのタイミングだった。 「アパレルブランドで販売員をしているのですが、当時、仕事はコロナの影響で休業していたし、外出自粛でどこにも行けない、誰にも会えないという状況で、とにかく気持ちが落ち込んでいました。そんなとき、先輩から急にSNSでメッセージがきて、『リモート飲み会をしようよ!』と誘われたんです」 さほど親しくない相手ではあったが、「まあリモート飲み会なら…」と、快諾してしまった木島さん。言われるがまま、数日後にその先輩とリモート飲み会を行ったという。そのときは、まだ悪徳マルチに関する話はされなかったそうだ。 「直接的な勧誘はされませんでしたが、今の給料や家賃、今後のライフプランなど、とにかく根掘り葉掘り聞かれましたね。正直に答えてしまった自分もバカだとは思いますが、コロナ禍で弱っていたときに、親身になって相談に乗ってもらえて、心を許してしまったんです」 こうして、木島さんのあらゆる情報を得た先輩は、次なる一手に出る。 「『直接会おうよ』と誘われました。そのときにはちゃんと『今やっているビジネスの話を聞いてほしい』と言われましたが、その言葉を聞いて確信しましたね。『やばい、これは絶対、マルチの勧誘だ。今までの会話は全部、マルチに勧誘するための情報収集だったんだ』と」』、「「まあリモート飲み会なら…」と、快諾」、大いにありそうな話だ。しかし、「今の給料や家賃、今後のライフプランなど、とにかく根掘り葉掘り聞かれました」、「『直接会おうよ』と誘われ・・・『今やっているビジネスの話を聞いてほしい』と言われました」、「『やばい、これは絶対、マルチの勧誘だ。今までの会話は全部、マルチに勧誘するための情報収集だったんだ』と」、「マルチ」への警戒心を持っている人は例外的だろう。
・『対面を避けてビデオ通話で勧誘  しかし、木島さんの仕事がコロナで休業中だということは、リモート飲み会の時点で知られていた。そのため、多忙を理由に断ることもできず、渋々、先輩と2人で会うことになったのだ。 マルチ勧誘の常套手段に「ABC」と呼ばれるものがある。 「ABC」とは、勧誘される「C」(この場合は木島さん)と、Cに声をかける橋渡し役の「B」(この場合はY先輩)、そして、Bの上司にあたる「A」が同席し、Cを勧誘するという、悪徳マルチ勧誘のお決まりの手法だ。 木島さんは不審に思ったものの「ネットで調べたら、『ABCを行う場合、BはCに、あらかじめAが来ることを伝えないといけない』と書いてありました。ところが、そのとき先輩から、他の人が来るということは聞かされていなかったんです。だから、『これはABCじゃないし、マルチの勧誘じゃないかもしれない』と、ちょっと油断していたんですね」 だが、木島さんの期待を裏切るように、喫茶店に入店した直後、Y先輩による勧誘が始まった。数日前のリモート飲み会で木島さんの悩みや興味を聞き出していた先輩のプレゼンは非常に巧みで、木島さんは「もしかしたら本当に稼げるのかも…」と、心が揺らいでしまったという。 「私が興味を傾けていることを見抜かれたのでしょうね、『夏美に会ってほしい人がいるの。私もその人に感化されてこのビジネスを始めたんだけど、本当にすごい人。会えば分かるから!』と、畳み掛けてきました」 だが、こうした勧誘で、事前告知なしに第三者がやってきて勧誘を行うことは違法だ。そこで先輩が用いた手段が、「ビデオ通話」だったという。 「対面の勧誘はアウトでも、ビデオ通話ならセーフになるんですかね?本来は限りなく黒に近いグレーのような行為だとは思いますが、なにせ前例があるのかもよく分からないですからね。気付いたら、リモートによるABCが始まっていました」 こうして画面越しにAとなる勧誘役の女性が登場し、いよいよ逃げ切れなくなった木島さん。そのまま、先輩が持っていた書類にサインをし、入会してしまった。 「入会したのは6月の頭でした。入会後は、セミナーや勉強会、成績優秀者を表彰する会などに参加しました。オフラインで開催されていたイベントもあったけど、基本はオンラインの催しだけ参加していましたね。密になるのが怖いという気持ちもありましたし、なにより、流されるままに入会した自分には、先輩たちのようなマルチに注げる情熱がなかったので」』、「入会して」も、「先輩たちのようなマルチに注げる情熱がなかった」、とは幸運だ。
・『コロナ禍の長期化が悪徳マルチの追い風に  悪徳マルチをやっていることがバレれば、友人や、周囲の人間からの信頼を失ってしまう。それを理解していながら、木島さんはなぜ勧誘を断り切れなかったのか。 「入会してしまったときの自分を振り返ってみると、コロナのせいで給与が減り、将来への不安を感じていて、先輩の甘い誘いを信じてしまったんです。オンラインのセミナーや勉強会で話した範囲ですが、私と同時期に入会した人は、同じような境遇の人が多かったように思います」) 木島さんのようにコロナ不況のあおりを受け、苦しんでいた人たちが、格好の獲物になってしまったというわけだ。 「仕事が減ったり、なくなったりした人のほとんどは、やることがなくて家にいます。こうした人を見つけた瞬間、『リモート飲み会をしよう!』とコンタクトをとり、逃さないように囲い込んでくるのです。このコロナ禍で、多くの人がZoomなどの使い方を心得ましたよね。悪徳マルチの側からすると、直接会わなくても勧誘ができるという、条件が整った状況になっているんだと思います」 木島さんの同級生や後輩にも、Y先輩からの勧誘を受けた人が数人いたという。そのほぼ全員が、ゴールデンウィークに、「暇ならリモート飲み会をしようよ!」と誘われたそうだ。 「今はSNSで相手の近況もすぐ知ることができるうえ、コンタクトだって簡単に取れる時代です。SNSの投稿からも、『この人は仕事がうまくいっていないみたいだから、勧誘できそう』と、獲物を見極めているんでしょうね」 ちなみに木島さんは、入会の2週間後には退会の意志を固め、Y先輩に連絡をしたという。 「自分から連絡してくるときはガツガツしているのに、こっちが『やっぱり辞めたいです』と連絡したLINEには、しばらく既読がつきませんでした。それでも今はキレイサッパリ、足を洗うことができました」 リモートのシステムを駆使したマルチの勧誘は、一度話を聞いたが最後、対面での勧誘以上にうまく包囲されてしまい、断りづらいものだ。次々に便利なツールが登場する一方で、そうしたツールを利用して悪事を働く輩がいることを、頭の片隅に留めておいてほしい』、「コロナ禍の長期化が悪徳マルチの追い風に」、「リモートのシステムを駆使したマルチの勧誘は、一度話を聞いたが最後、対面での勧誘以上にうまく包囲されてしまい、断りづらいものだ」、「マルチの勧誘」方法も日進月歩のようだ。 

第四に、10月14日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した弁護士・全国霊感商法対策弁護士連絡会事務局長の山口 広氏へのインタビュー「カルト宗教がコロナ禍に乗じて拡大、霊感商法対策の著名弁護士が警鐘」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/249019
・『新型コロナウイルスの感染拡大は、新宗教やカルト教団の活動にどのような影響を与えたのか。特集『賢人100人に聞く!日本の未来』(全55回)の#47では、全国霊感商法対策弁護士連絡会事務局長として、30年以上にわたり被害者救済のためカルト教団と戦ってきた山口広弁護士に話を聞いた(Qは聞き手の質問、Aは山口氏の回答)』、興味深そうだ。
・『不安に乗じるのがカルト教団の常道  Q:新型コロナウイルスの感染拡大により、一部の大学が注意喚起を促すなど、カルト教団の活性化が懸念されています。 A:カルト教団は、かつてのオウム真理教がそうだったように、社会不安に乗じて“教勢拡大”を図るのが常です。実際、このコロナ禍でも、例えば全国の大学が、学生たちをどうやってカルトから守ればよいのか非常に頭を悩ませる事態になっています。 今の学生は、コロナ前は当たり前だった他者との接触ができません。入学したはいいが友達もできない、講義はオンライン……。「一体、何をしに大学に入ったのだろう」という不安な状態に置かれているわけです。あるいは、テレワークにより自宅で鬱々としているビジネスマンもおそらく多いでしょう。 そういう“閉じこもる”人々をターゲットに、一部のカルト教団は、楽しげなサークル活動を装うなどしてSNSをはじめ、インターネットを駆使した布教を活発化させています。 しかしながら、大学側は、それまでオリエンテーションなど講義室で行ってきた注意喚起が「3密」回避のためにできず、布教の実態もつかめない状態に陥っているのです』、「“閉じこもる”人々をターゲットに、一部のカルト教団は、楽しげなサークル活動を装うなどしてSNSをはじめ、インターネットを駆使した布教を活発化させています」、恐ろしいことだ。大学も何とか対抗してほしいものだ。
・『Q:具体的にどの教団が、勢力を伸ばすことに成功しているのでしょうか。 A:まずは、韓国系の摂理(キリスト教福音宣教会)でしょう。現在、全国の大学で摂理が最も信者数を伸ばしており、5000人近い信者が活動しているとみられています。 その活動は都心にとどまらず、およそ20もの地方本部をつくるなどして日本全国に及んでいます。例えば、福岡県で私の知人による調査が行われているのですが、九州大学や西南学院大学でおよそ20人、福岡大学では十数人の学生信者が活動しています。 摂理は、強姦罪などで懲役刑に服した鄭明析・元教祖が満期で釈放されたことを機に日本での活動を活性化し、コロナ禍に乗じて正体を隠した勧誘をシステム化してネットで活発に展開しています。それも、“入り口”として就職セミナーを開催するなど勧誘の手口は非常に巧妙化しているのです。このほかでは、やはりネットを利用した自己啓発や占いなどを隠れみのにしたミニカルトの被害相談も急増しています。 (やまぐち・ひろし氏の略歴はリンク先参照) Q:歴史の長い巨大新宗教も同様に布教活動が活発化しているのですか? A:いいえ。例えば、摂理と同じ韓国系でも、統一教会は、新天地イエス教会のコロナ集団感染の騒動を受けて、いわゆる「3密」の回避を至上命令にした結果、布教活動が沈滞しているといわれています。 これは、日本の創価学会を始めとする老舗の巨大新宗教も同じで、その共通項は信者の高齢化にあります。統一教会は50~60代の信者が中心なのに対して、摂理は20~30代の若年層が主軸です。つまり、コロナによって、対面での布教を基本とする宗教団体が停滞し、摂理やミニカルトといったネット社会に適合した布教活動に抵抗がなく、技術を持つ“若い団体”が伸びているといえるでしょう』、「歴史の長い巨大新宗教」は、「「3密」の回避を至上命令にした結果、布教活動が沈滞」、「信者の高齢化」で伸び悩んでいるが、「ネットを利用した自己啓発や占いなどを隠れみのにしたミニカルト」が活発化しているようだ。
・『サークル的な軽いノリで現代カルトは近づいてくる  彼らは統一教会やオウムなどと異なり、信者を出家させて学業や仕事をやめさせたり、必ずしも全財産を寄付させたりはしないのです。例えば、摂理が求める献金額は、収入の10%。「10分の1献金」と呼ばれています。サークル的な軽いノリと、お小遣い程度の出費で活動させることで被害が表面化しにくくなっています。 Q:いまだコロナの終息が見えない中、カルト教団に付け込まれないためにはどうすればよいでしょうか。 A:カルトがはびこる理由の根っこには、人々が感じている寂しさ、孤独感があります。そして、カルトは、精神医学や心理療法などの都合の良い部分を切り取った疑似科学的な要素を組み入れて、人々の悩みを解決すると言って最初は接触してきます。そこに宗教的な要素を徐々に織り交ぜ、やがてそちらがメインになっていく。宗教に勧誘されているという意識がないまま、気付いたらはまっているという流れです。これは今も昔もあまり変わりません。 問題は、人々が巣ごもり状態になり不安感が高まる一方、リアルのつながりが以前よりも薄くなっていることです。逆説的ですが、自宅に閉じこもりがちになる今だからこそ、家族や友人をはじめとしたリアルの人間関係の重要性が見直されることになると思います。 「こういうサークルに誘われているんだけれど、どう思う?」と、現実に相談できる人が一人でも身近にいることが、カルトに付け込まれないための防波堤になるのですから』、「サークル的な軽いノリで現代カルトは近づいてくる」、「宗教に勧誘されているという意識がないまま、気付いたらはまっているという流れです」、恐ろしいことだ。「家族や友人をはじめとしたリアルの人間関係の重要性が見直される」、「現実に相談できる人が一人でも身近にいることが、カルトに付け込まれないための防波堤になる」、その通りなのだろう。
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