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非正規雇用問題(その2)(ハローワーク職員がワーキングプア? 年収200万円公務員の実態、待遇格差訴訟 最高裁判決が真逆に割れたワケ 各種手当は認めた一方、賞与・退職金は認めず、大学生バイト「違法状態で使われる」驚愕の実態 201人調査でわかった具体的な「賃金支払い」) [社会]

非正規雇用問題については、2018年6月13日に取上げた。今日は、(その2)(ハローワーク職員がワーキングプア? 年収200万円公務員の実態、待遇格差訴訟 最高裁判決が真逆に割れたワケ 各種手当は認めた一方、賞与・退職金は認めず、大学生バイト「違法状態で使われる」驚愕の実態 201人調査でわかった具体的な「賃金支払い」)である。

先ずは、本年9月23日付け日経ビジネスオンラインが掲載した健康社会学者(Ph.D.)の河合 薫氏による「ハローワーク職員がワーキングプア? 年収200万円公務員の実態」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00118/00092/?P=1
・『私は講演会に呼ばれたときに、担当者の方に必ず聞くことがある。 企業の場合は「女性の役員は何人くらい、いらっしゃるんですか?」、地方自治体の場合は「これからは地方地自体が色々と頑張らなきゃいけない時代ですね」といった具合だ。 ん? 質問のトーンが違うじゃないかって? はい。そうです。後者は質問とは言い難い、が、これでいいのです』、「これでいいのです」、とはどいうことなのだろう。
・『常勤公務員の「枠の外」にある存在  「女性活用」というワードはほぼ完全に企業にも浸透しているので、大抵の場合、この質問から“その企業が直面している問題”に話は転がっていく。 一方、地方自治体では、高齢者や児童に関する相談への対応など住民に寄り添う仕事が増えているので、「いや~、実は……」という具合にさまざまな話題に広がるのだ。 そこで決まって登場するのが、「非正規公務員」問題だ。 非正規公務員とは、「常勤公務員」の枠外で任用されている「非常勤の公務員」のこと。行政のスリム化により急増し、現在は地方自治体で働く公務員の3人に1人が非正規公務員だ。 で、その非正規公務員を巡り、 「非正規公務員は、賃金がものすごく安い。現場から声をあげてもどうにもならなくて……」「非正規公務員が住民のことをいちばん分かっているのに、彼らの経験知は全く評価されない」「非正規公務員は、優秀な職員が多いのに、若い正規の公務員にあごで使われるようなこともあるので……」「非正規というだけで、パワハラの対象になる」……などなど問題山積で、「これでもか!」というくらい現場の担当者たちから“嘆き”を聞かされてきた。 そして、今。コロナ禍で、非正規公務員が厳しい状況にますます追いやられ、「冗談のような過酷な現実」に直面している。 そもそも「公務員=安定」のはずなのに、「非正規=不安定」という雇用形態で雇われているのだから訳が分からない。というか、「公務員=安定」というパワーワードのせいで、厳しい実態が陰に隠れ、スポットが当てられてこなかった側面もある。 正規と非正規公務員の間には、民間の非正規雇用以上の“理不尽な格差問題”が生じているにもかかわらず、だ。 政権が変わり「地方創生」に期待する声が高まっているけれど、地方創生という言語明瞭意味不明確な理念の中に、「非正規公務員」問題は含まれているのだろうか。 そこで、今回は「谷間に落ちる非正規公務員」について、あれこれ考えてみる。 先日、新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化した4月前後に、少なくとも1都13県で自治体の職員が「過労死ライン超」の、月100時間を超える残業を余儀なくされていたことが分かった。 月200時間を超えたケースも相次いでいて、山口県では最も長い職員で266時間、福井県では232時間、千葉県では217時間に達していたという(NHK調べ)』、「非正規公務員」といっても、「少なくとも1都13県で自治体の職員が「過労死ライン超」の、月100時間を超える残業を余儀なくされていた」、とは驚かされた。
・『「時間外手当は一切なかった」  新型コロナウイルスに対応するための業務を担当していた保健所などの職員の多忙ぶりは連日報道されていたけど、「特別定額給付金」の給付なども加わり、その他の多くの職員たちが身を粉にして昼夜問わず働き続けていたのである。 で、その中には多くの非正規公務員が含まれていて、「残業代=時間外手当」が払われていない可能性が高まっているのだ。 実際、NHKが5月に放送した特集では、「給付金の申請が殺到し残業は増えたが、時間外手当は一切なかった」というコメントが非正規公務員から寄せられていた。 特別給付金の給付では、夫から暴力を受けシェルターなどで暮らす女性に、給付金がきちんと届くように手続きを行う必要があった。そこで非正規の同僚2人と、給付金を届けるために今の生活状況などについて一人一人、聞き取りなどを行い書類を作成。対象となったのはおよそ50人で、残業に加え、休日出勤も余儀なくされたが、その分の時間外手当は一切なかったそうだ。 本来、地方公務員には労働基準法が適用されるので、自治体は非常勤公務員にも残業代を支払わなくてはならない。ところが、これまでも多くの自治体で払われていなかった。 その理由とされているのが、自治法の規定である。 自治法204条2項の規定が「常勤職員には手当を支給する」と規定しているため、その反対解釈として「非常勤職員には手当を支給できない」とされてきたという(上林陽治著『非正規公務員の現在~深化する格差』、日本評論社)。) なんとも“行政っぽい”解釈ではあるが、2017年3月3日に西日本新聞に、「非正規職員に残業代支給へ 新年度から福岡市方針 対象2700人 同一労働同一賃金 各自治体でも急務に」という見出しで大きく報じられたことからも、いかに反対解釈が一般的だったかが分かるであろう。 記事によれば、2017年度の当初予算案に、各部局の人件費を計約1030万円上積みする形で残業代相当分を計上したという。 要するに、制度が実態に追いついていない。自治法が制定されたときには、今のように非正規公務員が基幹職化していなかったので、悲しいかな非正規公務員は「法律の谷間に落ちた存在」になってしまったのだ。 冒頭で、「3人に1人が非正規公務員」と書いたが、以下のグラフを見ればその急増ぶりが分かるだろう(「非正規公務員酷書」全国労働組合総連合(全労連)公務部会)。 地方公務員における非正規職員数の推移(出所/「非正規公務員酷書 」全労連公務部会)(グラフはリンク先参照)』、「自治法204条2項の規定が「常勤職員には手当を支給する」と規定しているため、その反対解釈として「非常勤職員には手当を支給できない」とされてきた」、こんな乱暴な解釈がまかり通ってきたのにも驚かされた。
・『求職者をサポートする「不安定な身分の職員」  05年には全国で45.5万人だったが、16年には64.3万人と11年間で18.7万人、41.1%も増加している。非正規公務員が全職員に占める平均比率も33.1%で、08年の27.4%から拡大し、3人に1人が非正規公務員だ。 職種別に見ると、最も人数が多いのは一般事務職員で16万人、次が消費生活相談員や女性相談員などの各種の相談員で12万人、保育士も10万人。2005年からの11年間で最も人数が増えたのは教員・講師で、倍増している。 また、国家公務員でも非正規化が進んでいて、正規職員26.5万人余に対して非常勤職員は7.8万人余(2017年)。非正規率は22.7%で、省庁別に見ると厚生労働省が圧倒的に多くて3.4万人、52.6%と半数以上が非正規公務員だ。 これはハローワークの相談員が非常勤化されているためで、2014年の時点でも、相談員5人のうち3人が非正規公務員で占められていた。 つまり、「仕事を失った人」を、不安定な身分の職員=非正規公務員がサポートするという、やりきれない現実が存在しているのだ。 実際、これまでもハローワークの職員が「雇い止め」にあうという、嘘のようなホントが度々報じられてきた。2014年には東京新聞が、ハローワークに6年もの間、就労支援員として働いていた男性が雇い止めにあった問題を、「職安なのに『職不安定』?」という見出しで報じ、今年の初めには、ハローワークの非正規公務員2人が、「雇い止め」が横行しているとして雇用環境の改善をSNS上で呼びかけ、2万人超の署名が集まり話題となった。 前述したとおり、地方公務員法や地方自治法が制定された時点では、非正規公務員はいなかった。さらに、非正規公務員には、パートタイム労働法(均衡待遇等)や労働契約法(雇止め法理等)は適用されない。 つまり、これだけ非正規公務員が増えているのに、彼らを守るものがない。民間の企業なら、わずかながら「正社員」への道があるけど非正規公務員には、その道もない』、「求職者をサポートする「不安定な身分の職員」」、「国家公務員」では「非正規率は22.7%」、特に厚労省では「52.6%と半数以上が非正規公務員だ。 これはハローワークの相談員が非常勤化されているため」、「これまでもハローワークの職員が「雇い止め」にあうという、嘘のようなホントが度々報じられてきた」、「非正規公務員」がここまで広がっているとは初めて知った。
・『同一業務なのに低賃金の非正規公務員  おまけに、非正規公務員と常勤公務員とで仕事の差はなく、基幹化している非正規公務員の仕事の責任は極めて高い上に、専門的な知識が求められる。にもかかわらず、常勤の公務員との賃金格差はかなり大きい。 何度も書くが、非正規公務員の多くは正規の公務員と仕事内容はほとんど同じなのに、賃金は2分の1から3分の1程度と「なんでやねん!」というほど低くなっているのだ。 常勤の地方公務員の場合、平均給与(給料と手当)は月額41万1270円で、年2回支給される一時金は合計で平均162万4517円。これらを合算すると年収は665万9757円となる。 一方、非正規公務員の年収は200万円程度。最も高額に算出される市町村の特別職非常勤職員の事務補助職員でも約212万円だ(前出「非正規公務員の現在 深化する格差」)。 また、2016年に総務省が実施した調査では、非正規公務員の報酬水準は時給換算で平均845円だったことが分かっている。1日8時間、月20日、12カ月を休みなく働いても、年収で約162万円にしかならないという計算になる。 これほと?の低賃金て?雇われた「官製ワーキンク?フ?ア」=非正規公務員たちか?、私たちの生活に極めて必要な福祉サーヒ?スを支えている。 自分も不安定なのに、「相談員」として、私たちに「傘」を貸してくれているのた?。 「非正規公務員の人たちなくして、役場はなりたちません。彼らは支えが必要な住民の声を聞き、寄り添い、専門的な知識と経験で、住民のために働く人たちです。 プロ意識も高いし、誇りを持って働いている職員が本当に多いんです。みんなね、自費で心理カウンセラーの資格をとったりしてるんですよ。 いろんな制度の内容も熟知しておかないとダメでしょ。だから本当によく勉強している。頭がさがる思いです。 でも、彼らの頑張りを評価する制度がないんです。昇給もなければ、昇進もない。どんなに優秀でも常勤になれるわけでもない。 本来、彼らのスキルはお金に換算できない財産です。でも、そのスキルが非正規というだけで全く評価されないんだから、悔しいですよね。 住民の中には、安定した公務員だから何を言ってもいいだろう、とひどいことを言う人もいる。まさか安い賃金で不安定な身分で雇われているなんて思いもしないのでしょう」』、「「官製ワーキンク?フ?ア」・・・たちか?、私たちの生活に極めて必要な福祉サーヒ?スを支えている。 自分も不安定なのに、「相談員」として、私たちに「傘」を貸してくれているのた?」、「非正規公務員の人たちなくして、役場はなりたちません」、「非正規公務員」のあり方を本格的に見直すべきだろう。
・『ヒューマンサービスの現場が疲弊  講演会に行ったときにこんなふうに話してくれた課長さんがいた。 商品の苦情処理などを行う消費生活相談員、DVなどの相談にのる女性相談員、子供たちのケアをする学童指導員や保育士……、どれもこれも公共サービスに欠かせない「人」たちである。 その「人」のコストを削減し続けていることで、非正規公務員が厳しい労働環境に追い込まれているのだ。 日本を見渡すと、ありとあらゆるヒューマンサービスの現場が疲弊している。 低賃金、不安定。彼ら彼女らの“上”には、安定した高賃金の人たちがいる。 以前、何かの会合があったときに、「なんでヒューマンサービスの賃金って安いんだろう」と、ふと私がつぶやいたらこんなことを言った人がいた。 「例えばね、自動改札とかを考えた人たちっていうのは、生活を変えてくれたわけですよ。それってすごいことだから、そういう知的労働者の賃金は高くて当たり前なんだよ」と。 なるほど。いわゆる「イノベーション」ということだろうか。 だが、「私」が困ったときに支えてくれるハローワークや役場で働くのは、「私」の人生に「光」のありかを教えてくれる人たちだ。自分の傘ではどうにもならないときに、傘を貸してくれる人。人生を豊かにしてくれる存在でもある。 そんな彼らをきちんと評価し、守る制度をもっと考える時期にきているのではないか。 最後に、こちらのグラフも興味深いので紹介しておく。 OECD加盟国における総雇用者数に占める公務員の割合とGDPに占める公務員人件費の比較(出所/「非正規公務員酷書 」全労連公務部会)(グラフはリンク先参照)』、グラフによれば、「総雇用者数に占める公務員の割合」「GDPに占める公務員人件費」とも日本はOECDで最低である。「「私」が困ったときに支えてくれるハローワークや役場で働くのは、「私」の人生に「光」のありかを教えてくれる人たちだ。自分の傘ではどうにもならないときに、傘を貸してくれる人。人生を豊かにしてくれる存在でもある。 そんな彼らをきちんと評価し、守る制度をもっと考える時期にきているのではないか」、同感である。

次に、10月20日付け東洋経済オンライン「待遇格差訴訟、最高裁判決が真逆に割れたワケ 各種手当は認めた一方、賞与・退職金は認めず」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/382838
・『「時代の扉が動く音が聞こえた。とてもうれしい判決です」―― 10月15日、日本郵便の契約社員が年末年始の待遇や病気休暇、扶養手当などについて、正社員との格差是正を求めた3つの訴訟の上告審で、最高裁第1小法廷は不合理な格差であり違法とし、争点となった5項目の支給をすべて認めた。 「画期的な勝利判決だ」「全国で苦しむ非正規の仲間たちも、この判決を胸に前進できる」。判決後の会見で、原告の契約社員たちは口々に喜びの声を上げた』、「最高裁判決が真逆に割れた」理由とは興味深そうだ。
・『手当不支給はすべて「不合理」  格差が不合理とされたのは、扶養手当、年末年始勤務手当、年始の祝日の割増賃金、夏期冬期休暇、有給の病気休暇の5項目。正社員には与えられるのに、契約社員にはいずれも与えられていなかった。 裁判は郵便配達業務などを担当する契約社員らが東京、大阪、佐賀の3地裁に起こした。これらの格差は労働契約法20条(現在のパートタイム・有期雇用労働法8条)が禁じる正社員と非正社員との「不合理な格差」に当たるかが争われ、下級審では判断が割れていた。 最高裁は2018年に同様の待遇格差を巡る訴訟で示した、賃金総額ではなく、賃金項目ごとに目的や趣旨を考え不合理か否かを個別に判断するとの基準を用いて、日本郵便の手当の中身を具体的に検討した。 その結果判決は、年末年始勤務手当は年賀状シーズンの最繁忙期に働いたことが支給要件で、その趣旨は契約社員にも当てはまると指摘。継続的な雇用を確保する目的があるとされた扶養手当も、継続的な勤務が見込まれる契約社員も対象になると判断した。 判決後の会見で、複数の原告から指摘されたのが、判決で支給が認められた有給の病気休暇の必要性だ。同社では正社員は1年目から90日の有給の病気休暇が与えられる一方、契約社員は何年働いても10日、しかも無給の休暇制度しかなかった。 「私が今回の裁判の中で、最もこだわったのが有給の病気休暇だ」。東京訴訟の原告、宇田川朝史さん(55)は語る。2008年に契約社員となり千葉県内の郵便局でゆうパックの集配に従事してきた。 ある時、同僚の契約社員が脳梗塞で倒れ、リハビリも実らず職場を去ることを余儀なくされた。「まじめに一生懸命働く人で仕事ぶりは正社員にも見劣りしなかったが、手当もなく治療費も苦しかっただろう。小さな子どももいる中、さぞかし無念だったはずだ」と宇田川さんは振り返る。「この時、有給の病気休暇は労働者にとって絶対に必要だと痛感した。だから今回、原告として立ち上がった」。 「同じ日本郵便の非正規として働く妻が乳がんになったとき、病気休暇の重要性をひしひしと感じた」。大阪訴訟の原告の一人で勤続13年の竹内義博さん(58)は振り返る。「抗がん剤治療の副作用に苦しめられ、相当無理して出勤しては早退、欠勤の繰り返しだった。もともとあった年次有給休暇はあっという間に使い果たしてしまった。もし有給の病気休暇があったら、安心して治療に専念することができたのに」』、「正社員は1年目から90日の有給の病気休暇が与えられる一方、契約社員は何年働いても10日、しかも無給」、日本郵政の「正社員」は「90日の有給の病気休暇」とは恵まれた待遇で、「契約社員」との格差も目立つ。
・『同一労働同一賃金が追い風  従来は労働契約法20条を根拠に非正社員が待遇改善を求めても、裁判所ではなかなか認められなかった。風向きが変わってきたのは、安倍晋三政権が掲げた「働き方改革」の柱の1つ、「同一労働同一賃金」制度の導入にある。今年4月から制度は開始されている。 これは同じ会社・団体における正社員と契約社員やパート、派遣などの非正社員の間で、基本給や賞与(ボーナス)、各種手当などの待遇について不合理な格差を禁ずるものだ。どのような格差が不合理となるのかについて、政府はガイドラインを策定しており、手当については時間外や深夜・休日労働は同じ割増率での支給を求め、通勤手当や精皆勤手当などについては格差を認めないとするなど、かなり具体的に基準を明示している。今回の最高裁の判断もその流れに沿っている。 最高裁判決を受け、日本郵便は制度変更を迫られることになる。従業員約38万人のほぼ半数の18万4000人が非正社員という、日本有数の大企業はどう動くのか。実は同社はすでに訴訟中から手当の見直しを進めている。 東京、大阪両地裁の段階から不合理な格差にあたり違法とされた住宅手当は、転勤のない正社員については、すでに廃止している。ただ、コロナ禍で経営環境が厳しい中、正社員の待遇を維持するために、手当を廃止しその原資をボーナスに組み替える動きが出ることを懸念する声が挙がる。原告側代理人の棗(なつめ)一郎弁護士は、「今回の判決を受け、各種手当を廃止しボーナスに回す事は十分にありうる。ボーナス等での格差是正も再度、旗を揚げて挑む必要がある」と語る。 だが、金額が大きく待遇格差是正の「本丸」であるボーナスや退職金について、最高裁はこの判決の2日前、非正社員側の訴えをほぼ全面的に退ける判決を出している。 大阪医科薬科大学の元アルバイトの秘書と、東京メトロ子会社のメトロコマースの元契約社員が、それぞれボーナスと退職金が支払われないのは不合理な格差で違法だと争った訴訟で、最高裁第3小法廷は10月13日、いずれも不支給は不合理とまではいえないとの、非正社員側が逆転敗訴となる判決を出した』、「各種手当」については、「同一労働同一賃金が追い風」になって、格差撤廃、他方で、「ボーナスや退職金」の「不支給は不合理とまではいえない」としたようだ。
・『正社員との職務内容の違いを認定  「この日の判決を2100万人の非正規労働者が待ち望んでくれていたのに、本当に奈落の底に突き落とされた感じです」 メトロコマースの売店で10年以上契約社員として働いてきた疋田節子さん(70)は、判決後の記者会見で声を震わせながら話した。疋田さんたち契約社員だった女性4人は、約10年にわたり正社員と同様に駅の売店で働いてきたのに退職金がでないことは不合理な差別だと訴えた。 最高裁は原告らと正社員の職務の内容は「おおむね共通する」としつつも、正社員は複数店舗を統括するエリアマネジャー業務への従事や配置転換を命じられる可能性があるなど、「一定の相違があったことが否定できない」とした。また、退職金の支給目的が、「正社員としての職務を遂行しうる人材の確保や定着を図る」ことにあるとして、「不合理とまでは判断できない」と結論付けた。 ボーナスが争点となった大阪医科薬科大も同様だ。アルバイトの秘書として働いた50代女性が正職員や契約職員には支払われるボーナスがゼロなのは違法だと争ったが、やはり職務内容の違いや配置転換の可能性の有無、登用制度の存在、そしてボーナスの支給目的(退職金と同様に「正社員としての職務を遂行しうる人材の確保やその定着を図る」目的とされた)から、違法とはいえないと判断された。 「退職金制度の構築に関し、使用者の裁量判断を尊重する余地は比較的大きいものと解される」。メトロコマース事件の判決で裁判長がこうした補足意見を付した通り、両判決とも経営者の裁量に理解を示した格好だ。 ただ両判決とも、単純に「企業側によった判決」と解することはできない。賃金項目ごとに目的や趣旨を個別に判断するという規範は同じであり、判決ではボーナスや退職金でも、格差が「不合理と認められるものにあたる場合はありうる」と指摘している。今後はボーナスや退職金であっても、その制度設計や運用の実態次第で、裁判所の判断が変わる可能性は十分にある。 そもそも今回の両事件は、東京高裁、大阪高裁が一定の支払いを命じる判決を出したことからもわかるとおり、不合理か否かはかなり微妙なケースだった。メトロコマース事件の判決では1人の裁判官が、「業務内容に大きな差はなく、格差は不合理だ」と反対意見を述べ、高裁判決を支持している』、「ボーナスや退職金」「判決とも、単純に「企業側によった判決」と解することはできない。賃金項目ごとに目的や趣旨を個別に判断するという規範は同じであり、判決ではボーナスや退職金でも、格差が「不合理と認められるものにあたる場合はありうる」と指摘・・・今後はボーナスや退職金であっても、その制度設計や運用の実態次第で、裁判所の判断が変わる可能性は十分にある」、なるほど。
・『欠かせない透明性の確保  「アスベスト被害の訴訟では、原告側は当初企業にも国にも負け続けたが、何度も戦い続けることで勝利することができた。今回は前に進めず申し訳なかったが、同一労働同一賃金をめぐる訴訟は始まったばかり。どんどん裁判を起こしてほしいし、労働運動でも声を上げてほしい」。大阪医科薬科大の元秘書は強く訴える。 実際、退職金については政府のガイドラインに記載がないなど、同一労働同一賃金の制度には曖昧な部分が多く、今後の司法判断の積み重ねが欠かせない。 いずれにせよ、いまや非正規の働き手は雇用者の4割弱を占めるに至っている。労働力不足が深刻化する中、正規非正規を問わず納得性の高い賃金体系への再構築など処遇制度の透明化は、生産性の向上のためにも欠かせないはずだ』、同感である。

第三に、10月22日付け東洋経済オンラインが掲載した立教大学法学部消費者法ゼミと日本女子大学教授の細川 幸一氏による「大学生バイト「違法状態で使われる」驚愕の実態 201人調査でわかった具体的な「賃金支払い」」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/381568
・『全国の大学生の86.1%がアルバイトという労働者の立場で働いている(独立行政法人日本学生支援機構平成30年度学生生活調査結果)。コンビニ、レストラン、居酒屋、学習塾など多くの産業でアルバイト学生はなくてはならない存在だろう。 一方、社会経験がなく「おとなしい」といわれる若者が、労働者として正当に扱われているか、疑問な点も多い。「15分未満の残業は賃金が支払われない」「有給休暇など一度も取ったことがない」といった声をよく聞く。 そうした中で、アルバイトをする多くの学生が必ずしも法律について十分な知識を持っているわけではないという弱点を突かれて、実は違法な労働環境で働いているケースが多いのではないか。 立教大学法学部消費者法ゼミ(細川幸一兼任講師)のゼミ生有志が、学生アルバイトの労働条件通知書、残業時間の賃金支払い、有給休暇取得の3点について実態を調査した』、興味深そうだ。
・『労働条件通知書の交付がない  労働基準法15条には「使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない」とあり、書面での交付が定められている(2019年4月からはファクス、電子メールを含む)。 しかし、厚生労働省が2015年に行った「大学生等に対するアルバイトに関する意識等調査」では、学生1000人が経験したアルバイト延べ1961件で、58.7%が「労働条件通知書等を交付されていない」と回答した。そのうち労働条件について口頭でも具体的な説明を受けた記憶がないアルバイトは全体の19.1%だった。 この調査を受け、細川ゼミでも学生74人にアンケートをとった。その結果、約18%に当たる13人が労働条件通知書等を受け取っていないことがわかった。 さらにこのアンケート調査において、アルバイトをしている学生から労働条件通知書計10枚を手に入れ、内容を検証した。「法定通り・就業規則通り」などのみで詳しい内容が書かれていないものが多くを占めた。また、有給休暇について言及されていない、あってもその規定が理解しづらい文面もあった』、不親切なのは、「アルバイト」する「学生」たちがじっくり読むこともない、ことも影響しているのかも知れない。
・『1分単位での賃金支払いが基本だが  労働基準法第24条(賃金全額支払い)で「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない(以下省略)」と定められており、この解釈から1分単位で支払うものとされている。 ただし、行政通達により、1カ月の時間外労働時間を計算するときに1時間未満の端数が生じた場合、30分未満の端数を切り捨て、30分以上を1時間に切り上げることは事務簡便を目的として認められている。 アルバイトをしている大学生201人に対して、賃金の支払いについての実態を調査すると、アルバイトの賃金計算のさまざまな実態について聞くことができた(カッコ内はアルバイトの業種)。 ● 制服に着替える時間が含まれていない(飲食) ● 15分以下で残業をしても残業代がでない(飲食) ● 塾で120分授業だが、集団ではなく個別授業のケースだと90分授業+30分事務給(最低賃金換算)として扱われてしまう(塾講師) ● 残業代が出ているかどうかなどが労働者にわかるようになっていない(販売) ● 準備と片付けの時間に賃金が支払われない(サービス) 賃金の支払い単位時間についても調査すると、1分にほぼ並んで15分単位が多くを占めた。中には30分単位という回答もあった。こうしたことが実働時間に対して、適正に賃金が支払われない原因であるように思われる。 ただし、15分単位等に区切って仕事をさせること自体は、適正に賃金が労働時間を反映しているのであれば問題ない。問題は労働時間の切り捨てである(例えば、14分残業しても15分未満であるとして賃金未払いなど)。 この写真は、1日の就業時間を15分単位で区切っているあるコーヒーショップのタイムカード記録だ。カッコの中の時間で実際に給料として支払われる。13時53分に出勤したはずが、14時00分に。22時49分に退勤したはずが、45分となり合計11分がなくなっている。 事業者サイドからすれば、「タイムカードの記録が実労働の開始・終了を適正に反映しているわけではない」ということのようだが、そうなると労働時間を把握する手段がなくなってしまう。上記の11分は店長の管理の下の実働時間だ』、「タイムカードの記録」と「実労働の開始・終了」時刻の関係については、もっと一般的な事例があるのではなかろうか。
・『アルバイトに有給休暇はない?  アルバイトにも、有給休暇は正社員等と同様に労働基準法39条によって付与される。「雇入れの日から起算して6カ月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない」と定められている。 これは、正社員と同様に、基本的に週所定労働時間が30時間以上または週所定労働日数が5日以上のアルバイトにも適用される。学生の中にはそれに満たない人もいるだろう。そこで「比例付与」というものがある。 週所定労働時間が30時間未満で、なおかつ週所定労働日数が4日以下のアルバイトやパートに適用される。例えば、週所定労働日数が3日の場合、全所定労働日数の8割働けば半年後には5日の有給休暇が与えられる。 では実際に有給休暇を適切に使っているのだろうか。6カ月以上勤務する学生124人に取得経験の有無を聞くと、「ない」が74%、「ある」が26%という結果になった。 有給休暇はあっても取得経験のない人に理由を聞くと、次のような回答が得られた(2019年4月からは、10日以上の有給休暇がある労働者には5日間の有給休暇を取らせることを使用者に義務化)。 ●有給は辞める人が優先してとることになっている(暗黙の了解) ●4年生以外は、あまり取るなといった雰囲気がある ●有給を取れることは知っているけど、申請方法を知らない ●みんなが取っていないから、自分だけ有給を取る勇気がない ●有給が取れるのが知らなかった。取り方も不明』、権利意識が薄い「学生」の捉え方はこんなものだろう。 
・『賃金の支払いについて、学生の意識も聞いた。1分単位でないにもかかわらず「特に何も思わない」という回答が過半数を超えていた。規定の単位時間以内の残業はタダ働きになってしまうことも当然のように受け止めているように見受けられる。こうした意識も問題だ。 東京労働局にこうした実態についての見解を聞いたものの、「全事業主に対して一律の指導や立ち入り調査は難しい」という見解で、「もし違法な状況があるなら報告してほしい」ということだった。 違法な状態を改善したいのならば、自分たちで声を上げるべきということだ。つまり、アルバイト学生が「行動する労働者」にならなければならない』、「違法な状態を改善したいのならば、自分たちで声を上げるべき」、当然だ。
・『事業者側の問題点  労働条件通知書等の交付の実態について、厚労省の調査では受け取っていないケースが58.7%、ゼミの調査は18%である。法律で義務付けられている以上、全員が交付されている状況でなければならないはずだが、それが実行されていない。これが一番問題であろう。 記載内容にも改善の余地がある。例えば、有給休暇に関しては、多くの契約書には「労働基準法の39条に定めるところにより付与する」等とだけ書かれている。これはあまりにも不親切ではないだろうか。法律は労働者すべてが一律に把握しているものではない。 実際、私たちも法学部に所属していなければ目にも留めなかっただろう。法律何条に従うというような無機質な言葉ばかり並べて契約書にサインさせて、言われなければ何も伝えない。 例えば、雇用契約時に当人の労働条件で働き続けたら半年後何日間付与される予定など、誰でも理解できる文面としての記載や、厚労省が出している「有給休暇ハンドブック」の提示を義務化して、主張しやすい環境の構築や、労働者、事業主への周知を確実にすべきである。 賃金支払い単位時間については、前述のように1分単位でないことが即座に問題になるわけではないが、その単位時間に満たない労働時間を切り捨てることにつながりやすい。 実際に学生から、切り捨てられているという声が多くある以上、そのような企業が多数存在しているのは事実である。働いた分が支払われるような制度に変えなければならない。 このような問題をひとつずつ改善することが健全な労働環境整備の一歩になり、働きやすい社会の実現につながる。労働者の権利の自覚が重要だが、それには行政による啓発や事業者の情報提供義務の強化も必要だ』、その通りだ。
タグ:東洋経済オンライン 日経ビジネスオンライン 非正規雇用問題 河合 薫 細川 幸一 (その2)(ハローワーク職員がワーキングプア? 年収200万円公務員の実態、待遇格差訴訟 最高裁判決が真逆に割れたワケ 各種手当は認めた一方、賞与・退職金は認めず、大学生バイト「違法状態で使われる」驚愕の実態 201人調査でわかった具体的な「賃金支払い」) 「ハローワーク職員がワーキングプア? 年収200万円公務員の実態」 常勤公務員の「枠の外」にある存在 「非正規公務員」といっても、「少なくとも1都13県で自治体の職員が「過労死ライン超」の、月100時間を超える残業を余儀なくされていた」 「時間外手当は一切なかった」 自治法204条2項の規定が「常勤職員には手当を支給する」と規定しているため、その反対解釈として「非常勤職員には手当を支給できない」とされてきた」、こんな乱暴な解釈がまかり通ってきたのにも驚かされた 求職者をサポートする「不安定な身分の職員」 「国家公務員」では「非正規率は22.7%」 、特に厚労省では「52.6%と半数以上が非正規公務員だ。 これはハローワークの相談員が非常勤化されているため」 これまでもハローワークの職員が「雇い止め」にあうという、嘘のようなホントが度々報じられてきた 同一業務なのに低賃金の非正規公務員 「官製ワーキンク?フ?ア」・・・たちか?、私たちの生活に極めて必要な福祉サーヒ?スを支えている。 自分も不安定なのに、「相談員」として、私たちに「傘」を貸してくれているのた? 非正規公務員の人たちなくして、役場はなりたちません ヒューマンサービスの現場が疲弊 「私」が困ったときに支えてくれるハローワークや役場で働くのは、「私」の人生に「光」のありかを教えてくれる人たちだ。自分の傘ではどうにもならないときに、傘を貸してくれる人。人生を豊かにしてくれる存在でもある。 そんな彼らをきちんと評価し、守る制度をもっと考える時期にきているのではないか 「待遇格差訴訟、最高裁判決が真逆に割れたワケ 各種手当は認めた一方、賞与・退職金は認めず」 手当不支給はすべて「不合理」 正社員は1年目から90日の有給の病気休暇が与えられる一方、契約社員は何年働いても10日、しかも無給」、日本郵政の「正社員」は「90日の有給の病気休暇」とは恵まれた待遇で、「契約社員」との格差も目立つ 同一労働同一賃金が追い風 正社員との職務内容の違いを認定 「ボーナスや退職金」「判決とも、単純に「企業側によった判決」と解することはできない。賃金項目ごとに目的や趣旨を個別に判断するという規範は同じであり、判決ではボーナスや退職金でも、格差が「不合理と認められるものにあたる場合はありうる」と指摘 今後はボーナスや退職金であっても、その制度設計や運用の実態次第で、裁判所の判断が変わる可能性は十分にある 欠かせない透明性の確保 立教大学法学部消費者法ゼミ 「大学生バイト「違法状態で使われる」驚愕の実態 201人調査でわかった具体的な「賃金支払い」」 日本学生支援機構平成30年度学生生活調査結果 労働条件通知書の交付がない 1分単位での賃金支払いが基本だが 「タイムカードの記録」と「実労働の開始・終了」時刻の関係については、もっと一般的な事例があるのではなかろうか アルバイトに有給休暇はない? 違法な状態を改善したいのならば、自分たちで声を上げるべき 事業者側の問題点
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