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中南米(その2)(なぜブラジルは「新型コロナ感染大国」へ転落したのか、暴走するボルソナロ大統領 ブラジルに忍び寄る軍事独裁政権の足音、元国防相逮捕!メキシコ麻薬組織のヤバい実態 「まるでゴッドファーザーの世界」と話題) [世界情勢]

中南米については、昨年11月7日に取上げた。今日は、(その2)(なぜブラジルは「新型コロナ感染大国」へ転落したのか、暴走するボルソナロ大統領 ブラジルに忍び寄る軍事独裁政権の足音、元国防相逮捕!メキシコ麻薬組織のヤバい実態 「まるでゴッドファーザーの世界」と話題)である。

先ずは、5月31日付けNewsweek日本版がロイター記事を転載した「なぜブラジルは「新型コロナ感染大国」へ転落したのか」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/05/post-93551_1.php
・『3月中旬、ブラジルは感染の足音が聞こえ始めていた新型コロナウイルスに先制攻撃を加えた。保健省はクルーズ船の運航停止を命じ、地方自治体に大規模イベントの中止を要請した。海外からの旅行者には1週間の自主隔離を呼びかけた。 世界保健機構(WHO)がパンデミック(世界的大流行)を宣言してからわずか2日後、3月13日のことだった。この時点でブラジルでは新型コロナウイルスによる死者は1人も報告されていなかった。公衆衛生当局は、先手先手を打とうとしているように見えた。 だが、それから24時間も経たないうちに、保健省は各地の自治体から「批判と提言」があったとして、自らの勧告を骨抜きにしてしまった。 当時の状況に詳しい関係者4人によると、この変化の背景にはボルソナロ大統領の首席補佐官室の介入があったという。 「軌道修正は圧力によるものだ」と、保健省の免疫・感染症局長だった疫学者ジュリオ・クロダ氏は語る。 当時、この方針転換が関心を集めることはあまりなかった。しかし、この関係者4によると、ブラジル政府の危機対応の転機になった。ウイルス対応の主導権は、公衆衛生に責任を持つ保健省から、「カーサ・シビル」と呼ばれる大統領首席補佐官室へと移っていたという。同室を率いるのは、ウォルター・スーザ・ブラガ・ネット陸軍大将である。 ブラジルではこの6週間で2人の保健相が職を去った。1人は解任、もう1人は辞任である。いずれも、ウイルス対応を巡り、大統領と公然と意見が対立したためだ。現在、暫定的に保健相となっているのは、これまた陸軍の将軍である。 ブラジル政府の方針変更は、「経済活動を止させないことが至上命題」というボルソナロ大統領の頑な態度の表れだ。陸軍大尉だった極右のボルソナロ氏は、3月中旬の重要な数日間にこうした姿勢を固めてからというもの、ブレる様子が全くない。その間も、ブラジルの新型コロナウイルス対策は国内外から批判を浴び、死者数は膨れ上がっている。 ブラジルの感染の深刻さは、今や米国に次ぐ。感染者数は確認されているだけでも37万4000人以上。死者は2万3000人を超えた。 ボルソナロ氏はさきごろ、「犠牲者の増大について質問した記者たちに対し、「それがどうした」と応じた。「私にどうしろというのか」 首席補佐官室は、3月13日の指針変更は、各州・自治体からの意見を受けて保健省が決定したものだとしている。一方で保健省は、全国の州・都市の状況がそれぞれに異なることから意見の相違が生まれたとしている。その上で保健省は、ソーシャル・ディスタンシング(社会的距離)を確保するための措置は、地方の保健当局の責任だとしている。「ブラジルの新型コロナウイルス対策は、いつの時点においても妨害されたことはない」と、同省は見解を示している。 ロイターはこの記事を配信するに当たり、大統領府にコメントを求めたが、応じることはなかった。 ロイターは、ブラジルが世界最悪の感染国に転落した背景を探るため、現職の政府当局者、元当局者、医療研究の専門家、医療産業の関係者、医師、合わせて20人以上を取材した。浮かび上がってきたのは、大統領と保健省などの対立により、好スタートを切ったはずの新型コロナ対策が崩れていく様子だった。 保健省を始めとした行政は、公衆衛生問題の観点から対応することが、結果的にブラジル経済にとって重要になると説得を試みたが、失敗に終わった。医療研究の専門家は第一線から外され、ボルソナロ大統領は裏付けのない治療法を支持したと、取材に応じた関係者は語る。 全国レベルでの調整は停滞し、各州知事は独自の感染抑制策の策定を迫れられた。ボルソナロ氏にとって州知事は、次期大統領選のライバルでもある。その一方で、はびこる官僚主義が検査体制の整備の遅れにつながった』、「死者は1人も報告されていなかった」「3月中旬」「保健省は」「新型コロナウイルスに先制攻撃・・・クルーズ船の運航停止を命じ、地方自治体に大規模イベントの中止を要請した。海外からの旅行者には1週間の自主隔離を呼びかけた」、当初は万全の準備をした上で、しっかり対応したようだが、「ボルソナロ大統領の首席補佐官室の介入」により「自らの勧告を骨抜きにしてしまった」ようだ。
・『「冷蔵庫が空では」  ブラジルで初めて新型コロナウイルスの感染者が確認されたのは2月26日だ。実は保健省は、この2カ月近くも前から対策を練っていた。 複数の関係者によれば、同省の職員は州・地方自治体の当局者と協力しつつ、自宅待機指示の時期や方法を探ろうとシミュレーションを重ねていた。省庁を横断した連邦レベルの対応を調整する緊急委員会の司令塔が保健省だった。 ブラジルの広大な国土、公立病院の資金不足、貧困の広がりといった弱点はあった。それでも、この国の医療研究の専門家は質が高く、民間の医療セクターも優れていた。すでに中国やイタリアなどででウイルス感染が広がっていたため、警戒を強化する時間的な余裕もあった。最前線に立つ人々は、万全の状態にあると考えていた。 しかし、取材に応じた人たちによると、事態は2つの側面で破綻しはじめたという。保健省が支持していた封鎖措置にボルソナロ大統領が反対したこと、そして検査体制の拡充に向けて政府が無能だったことだ。 政権内の協議を直接知る関係者によると、閣僚らは全国的なロックダウン(都市封鎖)に同意するよう、何度となくボルソナロ大統領の説得を試みた。だが大統領は、ウイルスはじきに消滅すると信じ、保健省当局者は他国で効果を発揮していたソーシャル・ディスタンシングの必要性を誇張しているとして、拒絶したという。 ボルソナロ大統領は4月20日、ブラジリアにある大統領公邸の外で、メディアに対し「冷蔵庫が空では、人々が自宅に閉じこもることなど不可能だ」と語った。 ボルソナロ氏が経済を優先した理由について、大統領府はコメントを拒んでいる。とはいえ、ボルソナロ氏にこうした決断を強いるプレッシャーもあった。支持基盤である保守層は、ボルソナロ氏の公約である経済成長の回復を危うくさせるロックダウンに反対し、ブラジル各地の都市で抗議行動を行った。 一方で、ボルソナロ大統領の経済顧問たちは危機の規模をなかなか把握できなかったようだ。自由市場主義者であるパウロ・グエデス経済相は3月中旬、現地のCNNに対し、2020年のブラジル経済について「(新型コロナウイルスで)世界各国が不振に沈むなかで、2%ないし2.5%の成長があっても不思議はない」と語った。 この予想は大外れとなった。製造業は総崩れ、失業率は上昇している。通貨レアルは今年に入り、対ドルで約30%下落した。英金融バークレイズは5月15日、2020年のブラジルの国内総生産(GDP)成長率予測をマイナス3.0%からマイナス5.7%に下方修正した。理由として、ブラジルのパンデミック対応策が「無効」であることが挙げられている。 ブラジル経済省は現在、今年の成長率をマイナス4.7%と予想。電子メール(注:正しくは「経済省」?)は電子メールによる声明で、事態の深刻さに合わせて予想が変化してきた、と述べている。以前の予想についてグエデス経済相にコメントを求めたが、回答は得られなかった』、「保健省」の「事前準備」はずいぶんしっかりしたものだ。大統領府に邪魔されずに、このままやっていれば、被害ははるかに小さなもので済んだ可能性がありそうだ。
・『検査件数も伸びず  ボルソナロ大統領がソーシャル・ディスタンシングに反対し、ロックダウンに傾く地方自治体への支援を拒んでいるために、制限措置の順守状況も芳しくない、と専門家は指摘する。 スマートフォンの位置情報を元にグーグルが提供している人の移動データをロイターが分析し、パンデミック前の基準値と比較したところ、外出制限措置が施行されているイタリアやフランス、英国といった欧州諸国に比べ、ブラジル国内では、(鉄道駅など)交通の拠点や職場に出入りする人たちの減少数がはるかに小幅にとどまっていた。 また米国などと同様、ブラジルも必要な検査数を確保するのに苦労している。一部の疫学者は、こうした検査不足が、ブラジルにおけるウイルス感染の追跡・抑制を難しくし、大きな弱点になっていると言う。 検査不足の1つの要因は、保健省が単一の機関に依存しすぎたためでもある。 ロイターが閲覧した保健省の内部文書によると、同省は1月から2月にかけて、著名な公衆衛生研究所であるオズワルド・クルーズ財団を通じて診断検査キットの購入を開始した。だが、4月7日までに納品された検査キットは10万4872個で、保健省が発注した約300万個の3.5%にすぎない。 前出のクロダ氏などによれば、必要不可欠な試薬を財団が国際市場でなかなか確保できなかったという。業界関係者によれば、何年にもわたる予算削減も1つの要因になった可能性があるという。 ある情報提供者は、保健省が官民問わず幅広く研究所とのネットワークを築いておくべきだったと指摘する。そうしたネットワークがあれば試薬を確保し、検査を処理する能力も改善されていただろうという。 同財団は、4月13日までに当初の目標であった22万個を納品し、4月最終週までに130万個近い検査キットを納めたとしている。9月までに1170万個の検査キットを提供できる見込みだという。「この種の検査をめぐる世界的な競争は非常に激しく、検査キットの不足が生じた」と、財団は釈明している。 さらに、官僚主義もブラジルの対応ををむしばんでいる。サンパウロのグアリューロス国際空港では、ウイルス感染履歴を判定するために使われる抗体検査薬50万件分が9日間にわたり滞留した。事情に詳しい関係者2人によると、保健当局がポルトガル語の表記無しで流通を認める特例措置を処理するのに時間を要したという。 保健省は検査能力を強化しており、4620万件の検査を行う予定だと述べているが、そのスケジュールは明らかにしていない。「この試みは、国内・国際市場において新たに(検査キットを)購入するための取組みの一環だ」と同省は言う。 しかし、ブラジルにおける検査件数は5月12日の時点で48万2743件にとどまる。新型コロナウイルスによる死者の多い世界上位10カ国のうち、ブラジルより検査数が少ないのはオランダだけ。その人口はブラジルの12分の1だ』、「検査件数は5月12日の時点で48万2743件にとどまる」、日本もなかなか増えないようだが、ブラジルも苦労しているようだ。まして「ボルソナロ大統領」は、次の記事にあるようにコロナ問題では本当に酷いようだ。

次に、6月5日付けYahooニュースがHARBOR BUSINESS Onlineを転載したスペイン在住の貿易コンサルタントの白石和幸氏による「暴走するボルソナロ大統領。ブラジルに忍び寄る軍事独裁政権の足音」を紹介しよう。
・『無礼な大統領にメディアが会見ボイコット  5月25日、ブラジル最大メディアの「Globo」はアルボラダ大統領官邸での取材には今後出席しないことを決めたと発表した。取材班が赴いてもボルソナロの支持者から罵声や怒声が浴びせられて、取材業務を安全に遂行する保障がないからだとした。 それにすぐに追随したのがブラジルで最大の発行部数を持つフォーリャ・デ・サンパウロ紙だった。他のメディアも同様の姿勢を取るか否か検討中だという。(参照:「Infobae」) メディアが今回の決定を下したのも、ボルソナロ自身のメディアへの誹謗がある。例えば、5月6日に起きた出来事だ。彼に同行しての取材で、ある記者がボルソナロが連邦警察の長官を変えようとしていることについて質問すると、ボルソナロは「口をつむげ!そのような質問は受けない」と憤りながら返答をした。それも彼の支持者に囲まれた中での彼からの無礼な返答であるが故に支持者がそれに便乗して記者に危害を加えるのも容易な状況にあったという。(参照:「El Mundo」』、「無礼な大統領にメディアが会見ボイコット」、とは驚かされた。
・『越権行為を繰り返す大統領に最高裁判事も鉄槌  ボルソナロにとってメディアは敵でしかない。4月22日の閣議の様子を録画したビデオを最高裁判事セルソ・デ・メロは一般公開することを許可した。ブラジルの誰でもそれをテレビで見ることができるようになった。このビデオでボルソナロは「連邦警察の長官を変えることが出来ないのなら、大臣を変えてやる」と言っているのが明らかにされている。大統領の権力の乱用と越権行為が明らかにされたビデオである。 それに対しても、ボルソナロはツイッターとファイスブックを介してセルソ・デ・メロ判事がこのビデオの公開を許したのは違法行為で逮捕するに値するものだと述べたのである。ボルソナロの見解に賛成するかのようにウエイントゥラウブ教育相も最高裁判事は刑務所に送られるべきだと表明。 ボルソナロからの批判に対してセルソ・デ・メロ判事はビデオの内容は明らかに犯罪に繋がる内容のもので、セルジオ・モロ前法相の弁護にはその公開は正当づけられるものだとした。そして、ボルソナロが指摘していたビデオの公開は国家の安全を損なうものだという見解を退けた。(参照:「El Pais」』、「ボルソナロが指摘していたビデオの公開は国家の安全を損なうものだという見解」、なぜ犯罪組織をかばうのだろう。
・『ボルソナロの独善的行動に軍部が同調  更に、ボルソナロは攻撃を緩めることなく、次の標的を下院議長ロドリゴ・マイアに向けた。  ボルソナロを罷免させようとする嘆願書をすべて却下させるためである。今のところ罷免できるだけの十分なる議席は確保されていない。次に最高裁のアレクサンドゥレ・モラエス判事への批判だ。というのは、連邦警察長官にボルソナロが信頼しているアレクサンドゥレ・ラマゲンの任命を却下したからであった。 最高裁への批判は大統領府安全保障相アウグスト・エレノ将軍からも上がった。最高裁が捜査の対象物件として大統領の携帯電話の引渡しを要請するのは国家の安定を損なうのに計り知れないものがあると指摘したのである。それに共鳴するかのように国防相フェルナンド・アゼベド将軍もそれにに同意を表明した。 更に、退役した89人の軍人も先月24日、ボルソナロに味方して、最高裁のこの要請を批判。(参照:「El Pais」) ボルソナロの閣僚22人の中で軍人が9人もいるというのは脅威である。ボルソナロ自身も昨年11月に左翼の勢いが活発になった時に軍事政権を望んでいることを表明したことがあった。(参照:「HispanTV」) ブラジルは20年余り軍事政権が続いたことがある。その後、1985年から民主政権が誕生して、その10年後にブラジルの発展の基盤を築いたフェルナンド・エンリケ・カルドゾ元大統領だった。彼は「今のところ軍人が政権に就くことを望んでいるとは思わない」と指摘している。(参照:「El Pais」) 一方、ルラ元大統領はそれとは見解を異にして「(軍人)クーデター遂行者は既に我々のバルコニーに一つ足を突っ込んでいる。それに反応がない場合は、我々の扉を取り除くだろう」と述べている。(参照:「HispanTV」) 仮にボルソナロを罷免しても、現副大統領のハミルトン・モウランは将軍だ。彼が大統領に昇格すれば自ずと軍事政権の成立を容易にさせてしまう。 カルドゾ元大統領が指摘しているように、ボルソナロは大統領のポスト遂行できるだけの資格はない。だから、大統領のポストを担い切れない時が来るはずである。それが2022年の大統領選挙の前までに来れば、モウラン将軍が大統領に就任して必然的に軍事政権の樹立への道が開かれることになる。 ブラジルは非常に危険な方向に向かっている』、「ボルソナロの閣僚22人の中で軍人が9人もいる」、殆ど軍政に近いようだ。反軍部の労働党や中道右派社会民主党などの勢力は汚職問題で衰退してしまったのだろうか。困ったことだ。アメリカ大統領選挙で、トランプが再選されなかったことが、ボルソナロの命運にも影響するかも知れない。
タグ:トランプが再選されなかったことが、ボルソナロの命運にも影響するかも知れない。 ボルソナロの独善的行動に軍部が同調 「暴走するボルソナロ大統領。ブラジルに忍び寄る軍事独裁政権の足音」 白石和幸 HARBOR BUSINESS Online yahooニュース 検査件数は5月12日の時点で48万2743件にとどまる 「保健省」の「事前準備」はずいぶんしっかりしたものだ。大統領府に邪魔されずに、このままやっていれば、被害ははるかに小さなもので済んだ可能性がありそうだ 「冷蔵庫が空では」 クルーズ船の運航停止を命じ、地方自治体に大規模イベントの中止を要請した。海外からの旅行者には1週間の自主隔離を呼びかけた」、当初は万全の準備をした上で、しっかり対応したようだが、「ボルソナロ大統領の首席補佐官室の介入」により「自らの勧告を骨抜きにしてしまった」ようだ (その2)(なぜブラジルは「新型コロナ感染大国」へ転落したのか、暴走するボルソナロ大統領 ブラジルに忍び寄る軍事独裁政権の足音、元国防相逮捕!メキシコ麻薬組織のヤバい実態 「まるでゴッドファーザーの世界」と話題) ロイター Newsweek日本版 中南米 ボルソナロの閣僚22人の中で軍人が9人もいる 「死者は1人も報告されていなかった」「3月中旬」「保健省は」「新型コロナウイルスに先制攻 越権行為を繰り返す大統領に最高裁判事も鉄槌 「なぜブラジルは「新型コロナ感染大国」へ転落したのか」 無礼な大統領にメディアが会見ボイコット
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