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年金制度(その4)(国民年金・厚生年金「積立金統合案」 何が問題か 狙いは年金底上げ、統合案浮上の深刻事情、2020年年金改革は野党炎上商法の潮目になるか コロナ下での与野党協議が示した年金の未来) [国内政治]

年金制度については、2019年12月12日に取上げた。今日は、(その4)(国民年金・厚生年金「積立金統合案」 何が問題か 狙いは年金底上げ、統合案浮上の深刻事情、2020年年金改革は野党炎上商法の潮目になるか コロナ下での与野党協議が示した年金の未来)である。

先ずは、2019年12月16日付け東洋経済オンラインが掲載した慶應義塾大学 経済学部教授の土居 丈朗氏による「国民年金・厚生年金「積立金統合案」、何が問題か 狙いは年金底上げ、統合案浮上の深刻事情」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/319685
・『厚生労働省が厚生年金と国民年金の積立金の統合を検討していることが報じられている。今は別々に管理されている積立金を統合することで、将来大きく下がる見込みである国民年金の給付水準の底上げを図るのが、狙いの1つである。 積立金の統合はいったい何を意味するだろうか。 簡単にいえば、厚生年金が国民年金を救済する案である。厚生年金の加入者は正規社員が多く、年金を多く給付できて財政的に恵まれており、非正規雇用者が多く加入する国民年金の給付が今後大きく減るのを防ぐため、助けてあげてほしいというわけだ』、「厚生年金」VS「国民年金」には、「正規」VS「非正規」問題が絡んでいるようだ。
・『厚生年金の加入者が国民年金の加入者を「救済」  わが国の公的年金制度は「2階建て」と言われ、全員加入している基礎年金(1階部分)と、正規雇用の民間企業従業員や公務員が加入している厚生年金(所得比例の2階部分)から成る。自営業者や非正規雇用者は厚生年金には加入せず、基礎年金部分(国民年金)だけだ。 したがって、国民年金に加入している人は厚生年金の保険料を払うこともない。厚生年金の積立金は、厚生年金加入者が払った保険料を原資としている。 つまり、冒頭の案は、厚生年金保険料によって積み立てられた厚生年金の積立金の一部を、厚生年金保険料を払っていない国民年金加入者の給付に充てるということになる。だから、厚生年金が国民年金を「救済」する案なのである。 しかし、厚生年金加入者からすれば、老後に備えて自ら払った保険料を積み立てていたのに、関係のない国民年金加入者の給付に流用されては、自分の保険料で保険料を払っていない人をなぜ助けなければならないのかと思うだろう。それでは保険としての制度の信頼性が失われてしまう。 まさに正論である。国民年金の財政が安定していて、しっかり給付できるなら、厚生年金と国民年金の積立金を統合する必要はない。ところが、そうでない事情があるから悩ましい問題となっている。 それは、今の仕組みのまま何もしないと、国民年金にしか加入していない人の給付が目減りし、低年金になる人やほぼ無年金の人が増えて、老後に生活保護受給者になりかねないことだ。生活保護の財源は税金で、受給者の医療は全額税金で賄われ、生活保護受給者が増加した費用は国民全体で負担することになる』、「厚生年金の加入者が国民年金の加入者を「救済」」するというのは、余りに安易な解決策だ。
「国民年金」側には、低い加入率など問題が山積している。それを、「低年金になる人やほぼ無年金の人が増え」れば、「老後に生活保護受給者に」なる人間が増え、「国民全体で負担」になるからとの理屈で、そうなる前に「救済」しようとするのは、まさに「保険としての制度の信頼性が失われてしまう」結果をもたらすだろう。
・『国民年金はなぜ将来目減りするのか  国民年金にしか加入していない人の年金給付がなぜ目減りするかというと、マクロ経済スライドによって給付を減額されるからである。拙稿「働く人が減れば生産性は向上、賃金も上がる」で述べたように、マクロ経済スライドは年金給付の世代間格差を是正するためのものだ。 今の年金制度は、保険料負担がこれ以上増えないよう、2017年度以降保険料を上げないこととなっている。今後は、少子化が進んで年金保険料を払う現役世代の人口が減るのに伴い、保険料収入が減ると見込まれる。そのため、現役世代の人口が減るのに合わせて、年金の給付水準を減らさないと帳尻が合わなくなる。これが、マクロ経済スライドの仕組みの本質だ。 ただ、将来世代の年金が目減りし過ぎないよう、年金積立金を取り崩して給付を補うこととしている。 今年8月に厚生労働省が公表した年金の財政検証によると、厚生年金はマクロ経済スライドをほとんど発動しなくても、今後100年間の年金財政の収支尻を合わせることができる。しかし、積立金が少ない国民年金はマクロ経済スライドを使って給付を大きく減らさないと、年金財政の収支尻が合わない。 詳しく言うと、受給開始時の年金額が、その時点の現役世代の所得に対してどの程度の割合かを示す所得代替率で測った給付水準は、2047年度以降の高齢者の場合、50.8%となる(財政検証のケースⅢの値)。) ただし、この所得代替率は、40年間厚生年金に加入し、その間に平均的な賃金を受け取る夫と、40年間専業主婦の妻がいる世帯(モデル世帯という)が受け取る給付水準である。それ以外のタイプの世帯が50%を上回るか否かは保証の限りではない。 国民年金のみに加入する単身高齢者は、40年間欠かさず保険料を払っていても、満額の基礎年金しかもらえない。国民年金のみの高齢者は自営業者や農業者だけでなく、職場で厚生年金には入れない非正規雇用の人たちも該当する。 前述のモデル世帯で得られる所得代替率の内訳は、夫の厚生年金が24.6%、夫婦がともに満額でもらえる基礎年金が2人合わせて26.2%となる』、なるほど。
・『将来、生活保護受給者が増える可能性がある  これに従えば、国民年金のみに40年間加入していた単身高齢者は、所得代替率で13.1%(=26.2%の半分)に相当する給付しか受けられない。仮に未納や未加入の期間があれば、給付水準はさらに下がる。ちなみに、2019年度の基礎年金(満額)の所得代替率は、1人分で18.2%である。 就職氷河期世代は長きにわたる非正規雇用者が多く、単身者も多い。40年間欠かさず保険料を納めても給付がこれだけ減るのに、保険料の納付が40年間に満たなければ、所得代替率が13%を下回る人が続出し、生活保護受給者が今以上に増える可能性がある。 2019年度の生活保護給付費は約3.8兆円。これが、2040年には対GDP比で倍増するという推計もある。生活保護給付費が増えるなら、年金とは別に税負担を増やさなければ財源を手当てできない。 とどのつまり、厚生年金積立金の一部を国民年金加入者の給付に充てるべきでないと突き放しても、国民年金にしか加入していない低年金の単身高齢者が生活保護受給者になると、回り回って税金の形で追加的な負担が増えることになる。 低年金の高齢者が、生活保護受給者にならずに年金で自活できる程度に給付を維持できれば、医療保険料や患者負担を自ら負担する分、税負担は少なくて済む。したがって、低年金の高齢者ができるだけ生活保護受給者にならないで済むような年金給付が必要となる。 何らかの追加措置が必要となるが、その一案が冒頭の厚生年金と国民年金の積立金の統合である。国民年金の給付水準の底上げのために、年金保険料を上げることなく、追加的な増税もすることなく、厚生年金(所得比例部分)の給付を減らしつつも基礎年金部分の給付を底上げする案である。そして、モデル世帯でも所得代替率が50%を割らないようにする』、「所得代替率が13%を下回る人が続出し、生活保護受給者が今以上に増える可能性がある」、「所得代替率が13%を下回る」のが、「生活保護受給」になるボーダーなのだろうか。
・『年金生活者支援給付金で年金給付を底上  この利点は、追加的な増税も年金保険料の引き上げも避けられる点である。しかし、自らが払った年金保険料をほかの受給者への給付に充てる形で国民年金を救済する点で、納得が得られにくいという欠点がある。 その代替策となるのは、積立金を使わずに、税財源などで国民年金加入者の給付減に対応して追加的な給付加算をして、給付の底上げをすることが考えられる。消費税率の10%への引き上げ時に創設された「年金生活者支援給付金」はその目的を果たす仕組みである。 ただ、低年金者が今後増えると見込まれているため、支援給付金を維持するにしても、追加の増税がなければ財源を確保できなくなる。 厚生労働省は、冒頭に挙げた案を検討することを通じて、2025年の国会への法案提出を目指すという。これは、次の財政検証が行われる2024年の後を想定している。厚生年金積立金を使うのか、それとも追加の増税をするのか。低年金者が老後に生活保護受給者にならないような対応が問われている』、「追加の増税」よりは、「厚生年金積立金を使う」方法が採られる可能性が大きいが、因果関係が明確になり、望ましいのは、「追加の増税」だろう。

次に、本年6月20日付け東洋経済オンラインが掲載した慶應義塾大学商学部教授の権丈 善一氏による「2020年年金改革は野党炎上商法の潮目になるか コロナ下での与野党協議が示した年金の未来」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/356976
・『先日、学生のレポートを読んでいると、「誰も賞賛しないが(中略)年金に至っては、年金生活者は、ほかの生活者の経済状況が危機的になっている状況に対して、安定した受給が行われている」と書かれていた。 確かに、新型コロナ禍の下でも、公的年金は滞りなく給付されている。一部の週刊誌などは、公的年金の積立金を預かるGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用に赤字が出たことを騒ぎ立てたくもなるのだろうが、積立金の年金給付への寄与率は、長期的には1割程度である(「社会保障への不勉強が生み出す『誤報』の正体」2018年7月25日参照)。 積立金の1割程度の損害が出ても、1割の1割の影響しか出ないし、そもそも過去のリーマンショックのときもそうであったように、長期的には、大きなショック時の損失のままでいることもないであろう』、しっかりした「学生」もいたものだ。
・『コロナ禍でも黙々と機能する社会保障制度  社会保障の機能を3つ挙げるとすると、国民の生活安定・向上機能、富裕層から中・低所得者へ、そして中央から地方への所得再分配機能、さらに景気が悪いときには社会保障の支出が増え、景気が過熱してくると支出が減るなどを通じて需要を平準化させることによる経済安定機能ということになるであろう(『ちょっと気になる社会保障V3』第10章「社会保障がはたす3つの機能」参照)。 そして公的年金保険は、今起こっている大きなショック下でも、しっかりと、これら3つの役割を果たしているようである。というよりも、公的年金などは、事前には予測できないような不測の事態――これを不確実性uncertaintyという――が起こっても給付を継続することができるように、はじめから設計されている。 公的年金保険の給付規模はGDP(国内総生産)の1割強であるわけだが、その割合は、高齢化の度合いなどに応じて地域ごとに異なる。島根県、鳥取県などは、公的年金が県民所得の20%ほどを占めており、県民消費支出では島根県は約24%にも上っている。この難局にあっても公的年金は地域経済の安定を大きく支えている。) そうした公的年金保険制度を改正する法案が、先月5月29日に参院本会議で可決成立した。今回の政策形成過程で興味深かったのは、与野党で調整が行われた結果、 +与野党共同提出の修正案は、全会一致で賛成 +修正部分除く政府案は、共産党除き賛成 となったことである。 過去の2回、2004年、2016年の改革時には、年金は与野党対立法案となり、2004年は強行採決であったし、2016年でも野党・民進党は与党案に激しく対抗し、このときも強行採決であった。2004年7月の参院選を年金選挙に仕立てて大勝利を得、そこで1匹目のどじょうを手にした旧民主党の年金担当の議員たちは、選挙のたびに、自分たちには対案としての抜本改革案があると言って政局作りに勤しんできたようである。 だがようやく、民主党、民進党、そして国民民主党・立憲民主党と渡り歩いた彼らも、年金を政争の具とすることに不利を感じてきたのであろう。 共産党を除く与野党で賛成された年金法案が成立した今、改めて、2004年年金改革時の年金騒動からこの16年間を、忘れっぽい民主主義が完全に忘れてしまう前に、ひとつの歴史の記録として整理してみよう』、「年金を政争の具とすることに不利を感じてきたのであろう」、大きな進歩だ。
・『年金破綻論に味を占めた旧民主党  元首相の鳩山由紀夫氏が「年金がこのままではボロボロになって、年を取ってももらえなくなるという語りかけは、非常に政権交代に貢献してくれた」と新聞に答えていたように、2009年の民主党政権獲得のころが年金騒動のピークだろう。 始まりは、2004年4月の枝野幸男氏の発言「(現行制度は)間違いなく破綻して、5年以内にまた替えなければならない」辺りであり、彼はその後も同様の発言を繰り返しながら、年金不安を煽りに煽っていく主役を演じていく(海老原嗣生『年金不信の正体』)。 2005年4月には岡田克也氏も「国民年金制度は壊れている」と公言していたのだが、彼を含め、2009年に政権を獲得した後は発言が変わる。岡田氏は、この発言から7年ほど経った2012年5月には、当時の社会保障・税一体改革担当相として国会で「年金制度破綻というのは私もそれに近いことをかつて申し上げたことがあり、それは大変申し訳ない」と詫びるに至る。 政権交代から2カ月ほど後には厚生労働相になっていた長妻昭氏は、テレビで「年金は破綻しません。国が続く限り必ず支える」と言っていたし、数年後の2012年4月には民主党の野田佳彦総理は、「現行制度が破綻している,あるいは将来破綻するということはない」と国会で答弁していた。 おもしろいことに、民主党と彼らの年金論にお墨付きを与えていた「有識者」たちは、民主党案の財政試算を一度も行うことなく抜本改革を唱え続けていたようなのである。社会保障・税一体改革が動き始めた2011年春に、非公開の場で年金局に依頼して彼らの案の財政試算をやってもらっている。ところが、その試算結果があまりにも厳しい現実を突きつけてしまったために、民主党の要人たちは年金試算を封印するという姑息なこともやっていた。 しかしそのことが2011年5月には報道を通じてリークされ、与野党の間で二転、三転の茶番のあげくに、試算は公表され、当時の野党自民党の格好の攻撃材料となっていた。 こうして、年金破綻論、のみならず政権交代がなされれば、自党の改革案によって翌日からでも7万円の最低保障年金が配られるかのようなキャンペーンで政権を得た民主党は、政策の柱とした年金でも行き詰まる』、「2011年春に、非公開の場で年金局に依頼して彼らの案の財政試算をやってもらっている。ところが、その試算結果があまりにも厳しい現実を突きつけてしまったために、民主党の要人たちは年金試算を封印するという姑息なこともやっていた」、「民主党」も当時の対応はお粗末だったようだ。
・『3党合意の一体改革で落ち着くと見られたが… その後、民主党政権下での2012年6月の民主・自民・公明の3党合意で公的年金は「社会保険方式を基本とする」ことが合意され、翌2013年8月には、社会保障制度改革国民会議が、2004年制度改革のフレームの下で次の4つの課題を設定し、社会経済の変化に応じて将来世代のための給付、特に基礎年金のさらなる充実を図っていくという道筋が確認されていった。 +マクロ経済スライドの仕組みの見直し +被用者保険のさらなる適用拡大 +保険料拠出期間と受給開始年齢の選択制 +高所得者の年金給付の見直し これらが実行されるように、2013年12月には、その後の政策方針を計画するプログラム法も作られた。とはいえ、旧民主党の中で年金叩きを職業にしてきた人たちの言動はその後も選挙のたびに再燃していた。 2016年参院選前の年金改革時には、現在の受給者の給付額から、彼らの孫、ひ孫世代の年金へと仕送りを強化するための改革を、当時民進党国会対策委員長であった山井和則氏は「年金カット法案」と呼んで、彼らよりもはるかに年金を理解している記者たちから一斉に批判されるという失態を演じていた(『ちょっと気になる社会保障V3』254~257ページ、「民進党の『年金カット法案批判』は見当違いだ」2016年10月27日参照)。 そしてこのときも、長妻氏は「今すぐ“抜本改革”に取り組む必要がある」と話しており、記者からは「完全にかつての民主党に先祖返りしつつある」と誌面で批判されていた。 2019年参院選前には、旧民主党議員たちは金融庁審議会の報告書に端を発した「老後2000万円不足」問題でキャンペーンを張ってはみたが、すでに公的年金保険とはどういうものかを理解していた一般の人たちからも一斉に、「2009年に抜本改革を掲げて政権を獲得した後、年金に対して何もできなかった体たらくへの批判がなされてしまった」(「金融庁の報告書が実はとんでもない軽挙なワケ」2019年6月30日参照)』、「民進党の『年金カット法案批判』は見当違いだ」、しかも「長妻氏は「今すぐ“抜本改革”に取り組む必要がある」と話しており」、余りにお粗末だ。
・『もはや揚げ足もとれず、支持基盤からの反発も  そして、彼らの老後2000万円キャンペーンのとき、相も変わらずワイドショーや週刊誌などが年金不安を煽る様子を観ながら、まだわからない人たちが世の中にいることを実感した厚生労働省の年金局は、8月に「2019年財政検証」を発表したのであるが、その報告書は世論の噴出を抑えるべく周到な準備がなされたものであった。 野党は、どうにかして財政検証の揚げ足を取ってメディアでの炎上を狙おうとするも、その願いもむなしく、かなうことはなかった。今回の年金改革の山場は、あの2019年夏の財政検証であったということもできよう。 そして重要な動きは、この数年間、野党の支持基盤である連合やその退職者団体が公的年金保険の学習を深め、政争の具として利用しようとする政治家の言うとおりには動かなくなってきていたことである。時代に取り残される野党政治家に呆れ、諫め、彼らに圧力をかけるという状況にもなっていた。 今回の年金改革が国会審議に入る前の昨年末には、立憲民主党に移っていた山井和則氏は、所得源の種類によって不公平をもたらしているなどの問題を持つ「65歳以上の在職老齢年金制度」(高在老)の見直しを今のうちにしておこうと考えていた与党の考えを批判し、相変わらずの仰々しいパフォーマンスを繰り広げていた。 それを受けた与党は面倒さゆえに、高在老改革からさっさと撤退してしまった。今回の年金改革法案に関して、実は、野党は国会で言うことはなくなっていたのである。 そうした経緯を経て、野党が首相の出席を求める「重要広範議案」に指定していた年金法案ではあったが、3月から「コロナ対策よりも桜の会の追及が大切なのか」とその姿勢を批判された野党は、年金法案においても与野党共同での修正に切り替えていく。 与党も、コロナ禍での緊急事態宣言の下、例年以上に円滑な運営を心がけ、審議日程に気を遣わなければならないため、野党の方針に協力していく立場をとることになる。そして4月半ばから年金法案は審議に入り5月29日、2020年年金改革法は静かに成立した。 今回の年金改革は、公的年金保険が人生100年時代に即するように、社会経済の変化を先読みして、将来の給付のさらなる充実を図ろうとしたものである(改正の概要)。そしてそれは先のプログラム法で計画されていた「被用者保険のさらなる適用拡大と保険料拠出期間と受給開始年齢の選択制」に沿った改革であった。 そうした与党による改革法案に対して、与野党協議の下、共産党を除く与野党での賛成の運びとなった。2004年以来の年金政治上、初めてのことである。 ここでは、公的年金論議の将来のために、今回の与野党協議の経緯を簡単に書き残しておこう。 協議過程を要約すれば、現在世代と将来世代の給付配分を調整するマクロ経済スライドに関して、名目下限の撤廃(デフレ下でのマクロ経済スライドのフル発動化)をも視野から外すことなく引き続き検討していくことを規定していた検討条項の削除を当初、野党は求めた。マクロ経済スライドの適用によって、基礎年金の将来給付水準が厚生年金より大きく低下することを問題視したためだった。 これに対して、与野党ともに、基礎年金と厚生年金のバランスがズレてしまうことによる所得再分配機能の弱体化は意識しているのであるから、その問題を解決するための本筋である基礎年金の被保険者期間の延長をともに目指し、その実現に必須となる財源調達(国庫負担分)の議論を建設的にやっていこうという方向にいなしていって、協議成立に至ったとみることができる。 筆者自身も、与野党協議が残した年金の未来の姿を、これから繰り返し読んでいくことになるのだと思う。 与野党の協議から生まれた修正・附帯決議とそれに関する若干の説明は、「令和2年年金改革・与野党協議事項」を参照してほしい。年金に興味のあるセミプロ以上の人たちには参考になるはずだ』、「野党の支持基盤である連合やその退職者団体が公的年金保険の学習を深め、政争の具として利用しようとする政治家の言うとおりには動かなくなってきていたことである。時代に取り残される野党政治家に呆れ、諫め、彼らに圧力をかけるという状況にもなっていた」、野党より先に労働組合の方が現実路線に切り替えていたとは、なるほどと納得した。
・『本当に潮目になるかは「人」次第  はたして、2020年年金改革は、長年、不毛な対立をしかけ、日本の政治そのものを疲弊させてきた旧民主党議員たちの主戦場、年金政治の潮目になるのか。それとも、法律や国会決議として残されたこれらの文言について、かつての社会保障・税一体改革のときの3党合意のように、「あれは間違いだった」と言う者が出てくる運命を辿るのか。 与野党の修正案を国会に提出して成立させるためには、手続き上、野党は修正案・対案を取り下げなければならない。ゆえに今回、野党は自分たちの修正案・対案を取り下げたうえで、与野党修正案を国会に提出して、その修正案に賛成していた。彼ら野党は、それを忘れることが、将来、本当にないのか――それもこれも、やはり、人次第ということになるのであろう』、「本当に潮目になるかは「人」次第」とはいっても、無用な対立を避け、前向きに共に歩んでいってほしいものだ。
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