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スガノミクス(その2)(三浦瑠麗氏 菅首相のブレーン起用も…専門家から「必然性ない」「コア支持層へのアピール」との声、菅首相 医療のブレーン不在と自白? 「コロナ対策は迷走の可能性大」と専門家、コラム:「経済が大事」という優しさが高める景気底割れリスク=鈴木明彦氏、お粗末すぎる自民党「新たな経済対策への提言」 コロナ禍の影響を無視) [国内政治]

スガノミクスについては、10月2日に取上げた。強は、(その2)(三浦瑠麗氏 菅首相のブレーン起用も…専門家から「必然性ない」「コア支持層へのアピール」との声、菅首相 医療のブレーン不在と自白? 「コロナ対策は迷走の可能性大」と専門家、コラム:「経済が大事」という優しさが高める景気底割れリスク=鈴木明彦氏、お粗末すぎる自民党「新たな経済対策への提言」 コロナ禍の影響を無視)である。今回から(アベノミクス)は外した。

先ずは、11月4日付けAERAdot「三浦瑠麗氏、菅首相のブレーン起用も…専門家から「必然性ない」「コア支持層へのアピール」との声」を紹介しよう。
https://dot.asahi.com/aera/2020110200039.html?page=1
・『菅首相は日本学術会議の問題では「多様性が大事だ」と強調したが、自らを取り巻くブレーンはいかに。その顔ぶれから、菅政権の特徴も見えてくる。AERA 2020年11月9日号では、菅政権のブレーンに注目した。 「私が目指す社会像は、『自助・共助・公助』そして『絆』です。自分でできることはまず自分でやってみる。そして家族、地域で互いに助け合う。その上で政府がセーフティーネットでお守りする。そうした国民から信頼される政府を目指します」 臨時国会が始まった10月26日、菅義偉首相は所信表明で目指す国の姿をこう話した。 「居抜き内閣」などと揶揄(やゆ)されながら、一方で携帯電話料金の引き下げやデジタル庁の創設などで「菅カラー」も出そうとする新首相。この国をどこに向かわせようとしているのか。処遇されたブレーンたちの顔ぶれから考えてみたい。新政権の発足で、安倍政権で成長戦略づくりを担った「未来投資会議」が「成長戦略会議」に衣替えした。後に触れる内閣官房参与も含め、登用された人たちは以下の通りだ』、どんな人物がいるのだろう。
・『菅首相の主なブレーン(敬称略)
<成長戦略会議の有識者メンバー> 金丸恭文・フューチャー会長兼社長 国部 毅・三井住友フィナンシャルグループ会長 桜田謙悟・SOMPOホールディングス社長 竹中平蔵・慶応大名誉教授、パソナ会長 デービッド・アトキンソン・小西美術工藝社社長 南場智子・ディー・エヌ・エー会長 三浦瑠麗・山猫総合研究所代表、国際政治学者 三村明夫・日本商工会議所会頭
<内閣官房参与(カッコ内は担当分野)> 飯島 勲・元首相秘書官(特命) 平田竹男・早大教授(文化・スポーツ健康・資源戦略) 木山 繁・元国際協力機構理事(経協インフラ) 西川公也・元農林水産相(農林水産業振興) 今井尚哉・元首相補佐官兼首相秘書官(エネルギー政策等) 高橋洋一・嘉悦大教授(経済・財政政策) 宮家邦彦・立命館大客員教授(外交) 岡部信彦・川崎市健康安全研究所所長(感染症対策) 熊谷亮丸・大和総研チーフエコノミスト(経済・金融) 中村芳夫・経団連顧問(産業政策) 村井 純・慶応大教授(デジタル政策)
 ここでは民間出身者に注目するが、米金融大手ゴールドマン・サックス出身で小西美術工藝社社長のデービッド・アトキンソン氏と、三井住友フィナンシャルグループ会長の国部毅氏以外は、未来投資会議からの続投だ。会議出席の謝金は職位などにより、最大で1時間当たり1万1300円が払われる』、「アトキンソン氏」と「国部毅氏以外は、未来投資会議からの続投」、まさに「居抜き内閣」だ。
・『中小企業の再編や統合  注目はアトキンソン氏。菅首相は、国内企業の99.7%を占める中小企業の再編や統合を進めようとするが、そこにアトキンソン氏の影響が指摘されている。経済産業研究所の藤和彦・上席研究員はこう話す。 「政策的に正しくても、コロナ禍による失業増が懸念されるときに、雇用の受け皿だった中小企業が再編されて大リストラが行われれば、どうなるのでしょうか。菅内閣がやっている各論の構造改革ばかりでは、これからやってくる100年に1度の大恐慌に太刀打ちできません」 元文部科学次官の前川喜平さんは同じ視点から、日本商工会議所会頭の三村明夫氏の存在を気にかけているという。 「三村氏には中小企業の人たちの立場を代弁することが期待されているでしょうから、アトキンソン氏と対立する場面もあるでしょう。場合によっては『日商会頭も賛成したのだから』と、中小企業者を納得させるためのアリバイづくりに利用されることがあるかもしれません」 元総務相の竹中平蔵氏についても触れざるを得ないだろう。最近では、BSの番組でベーシックインカムの導入に言及した際、「実現すれば生活保護や年金給付が必要なくなる」という趣旨の発言をして世論の反発を買った。格差社会を肯定、推進するような人物と考えられがちだが、識者はどうみるか。 元総務官僚の平嶋彰英・立教大学特任教授は「菅総理も頼りにし、影響力もある人。やっていることが国民に分かるように政治的責任も問われる立場でやってほしい。自由をあまり大切にしないご都合主義的な“新自由主義”と感じます」と指摘する』、「自由をあまり大切にしないご都合主義的な“新自由主義”」とは言い得て妙だ。
・『旧中間階級の切り捨て  階級・階層論が専門の社会学者、橋本健二・早稲田大学教授も菅内閣のブレーンたちに新自由主義的な傾向を強く感じる。 「零細企業や農協などかつての自民党の支持層だった“旧中間階級”を切り捨て、専門職や管理事務職に従事する“新中間階級”への乗り換えが決定的になりました。一つの階級の崩壊につながります。もう一つ気になるのは、非正規雇用者の問題です。顔ぶれからは、今はまだ規制がある建設業などの分野にも切り込んでくる予感がします」 さらに、橋本教授が注目するのは、国際政治学者の三浦瑠麗氏だ。橋本教授はこれまでの研究から、自民党は自己責任論を強く訴え、排外主義的な傾向を持ち合わせる「新自由主義右翼」と名付けた集団による強い支持を受けて、これまで選挙で勝ち続けたとみている。 三浦氏は、2018年にフジテレビの番組に出演した際、「北朝鮮の潜伏工作員が国内にいる」という趣旨の発言をして問題視されたほか、著書では徴兵制の導入も主張。安倍晋三前首相に近い論客として知られ、今夏、アマゾンが有料サービス「プライムビデオ」のCMに三浦氏を起用すると、ネット上で批判を受けて「解約運動」も起きた。 「経済の専門家でもありませんから必然性は感じられません。差別・排外主義の象徴ととらえられることもあった人ですから、そういう意味ではコア支持層へのアピールだと感じられます」(橋本教授)』、「三浦氏」の起用は「新自由主義右翼」への「アピール」、というのは確かなようだ。
・『大失業時代への対応  非常勤国家公務員の内閣官房参与はどうか。内閣官房の内閣総務官室によると、報酬は1回の“仕事”につき2万6400円。前出の藤研究員が注視している人物は、高橋洋一氏だ。 「政府と日銀の財布を一体として考える『統合政府』論者で、政府は借金を心配せずにどんどんお金を使え、という方です。竹中氏やアトキンソン氏の路線とは違うタイプに感じます。今後の大失業時代は政府が中心になって雇用を生んでいくしかないので、高橋氏がどういう役割を果たすか注目しています」 ただ、一方で立教大の平嶋特任教授はこう指摘している。 「研究者としての能力は高いですが、高橋氏は行動原理の基盤に(古巣の)財務省に対する反発があり、それがベースでの助言で政策がゆがむことが心配です。大きな影響力を行使するのであれば、助言内容は国民にオープンにするべきです」 ※【菅首相、医療のブレーン不在と自白? 「コロナ対策は迷走の可能性大」と専門家】へ続く)』、「高橋洋一」氏は、「研究者としての能力は高い」というのは疑問だ。さらに、私が批判している異次元緩和を支持している点でも私は全く評価しない。

次に、この続き、11月4日付けAERAdot「菅首相、医療のブレーン不在と自白? 「コロナ対策は迷走の可能性大」と専門家」を紹介しよう。
https://dot.asahi.com/aera/2020110200041.html?page=1
・『発足早々に何かと話題を集めている菅内閣だが、今後どのような政治手腕をみせるのか。その施政方針を、ブレーンのメンバーから読み解いてみた。AERA 2020年11月9日号では、菅首相のブレーンとなる成長戦略会議と内閣官房参与の顔ぶれを紹介しつつ、そこから見える方向性を専門家らに聞いた・・・(ブレーンの紹介は省略)・・・京都大学大学院の藤井聡教授は安倍内閣で6年間、参与を務めた。参与が、政府とまったく同じ方向を向いていたら意味がないと藤井教授は考えている。助言の必要がないからだ。藤井教授自身は、10%への消費増税に強く反対する意見を各所で表明していたこともあって18年末に参与を退職したが、今回の顔ぶれをどうみるか。 「外交担当の宮家邦彦氏の対米政策や、経済・財政政策担当の高橋洋一氏の構造改革路線など、従来の政府の考え方に沿った人選がされているようです。安倍内閣は実は緊縮内閣だったので、そういう意味では経済・金融担当で消費減税の強力な主張者である熊谷亮丸氏の考え方とも一致しています」 安倍前首相のアベノミクスでは、日本銀行と連携した「金融緩和」(第1の矢)、政府支出で仕事や所得を増やす「財政出動」(第2の矢)、企業などが活動しやすくする「成長戦略」(第3の矢)を打ち出した。 「参与と成長戦略会議のどちらの顔ぶれからも、トータルでは第2の矢を少し引っ込めて、第3の矢をさらに前に出している、というイメージを受けます」(藤井教授) 参与でもう一人注目したいのは岡部信彦氏だ。新型コロナでは、政府の専門家会議やその後の分科会で対応にあたってきたが、徹底的なPCR検査の実施には抑制的な考えだったとされる。医療ガバナンス研究所理事長の上昌広医師はこう話す。 「国立感染症研究所OBの岡部先生は、厚生労働省の“お抱え”と言える存在です。この人事は、菅首相には医療についてのブレーンがいないと告白しているのと同じです。コロナ対策が迷走を続ける可能性が大です」 独自のブレーンがいないと考えているのは、政治評論家の有馬晴海さんも同じだ。 「主に政局で生きてきた菅首相が急にトップに立っても、政策を一緒に構築できる人がいません。だから安倍前首相から引き継いだりテレビに出ている人たちからつまんだりして、なんとなく後押ししてくれそうな人を置いているのだと思います」 日本学術会議問題で波乱含みの船出となった新政権。官僚人事などでも強権的な一面をのぞかせる菅首相だが、ブレーンたちとの付き合い方も注目だ』、「岡部先生は、厚生労働省の“お抱え”と言える存在です。この人事は、菅首相には医療についてのブレーンがいないと告白しているのと同じです。コロナ対策が迷走を続ける可能性が大です」、やれやれだ。

第三に、12月4日付けロイターが掲載した三菱UFJリサーチ&コンサルティング研究主幹の鈴木明彦氏による「コラム:「経済が大事」という優しさが高める景気底割れリスク」を紹介しよう。
https://jp.reuters.com/article/colmn-akihiko-suzuki-idJPKBN28D3KD
・『新型コロナウイルスにより深い痛手を受けた日本経済の現状について、回復ペースが緩やかだとか、コロナショック前の水準に戻るには何年もかかりそうだとか、様々な指摘があるが、景気はすでに回復軌道に入っている。 輸出と生産はコロナショック前の水準に近づいており、在庫調整も進んで在庫率はかなり下がってきた。在庫循環図を見ると、足元で「意図せざる在庫調整局面」に入り、年明けには「在庫積み増し局面」に入る勢いとなっている。少なくとも輸出や生産に関しては、リーマン・ショック後を上回るペースで回復しており、コロナ禍だから回復が遅いということはない。 確かに雇用情勢は厳しい状況が続いているが、それでも就業者数は徐々に持ち直し、有効求人倍率にも下げ止まりの動きが出ている。急速に悪化していた企業収益も7─9月期は6四半期ぶりに改善した。設備投資はまだ減少が続いているが、企業収益の改善が続けば、今年度下期は下げ止まりから回復に転じてもおかしくない。 景気動向指数の基調判断は、早ければ来年1月に発表される11月の指数で「上方への局面変化」に変更されそうだ。この判断は、景気の谷がそれ以前の数カ月にあったことを示している。今年5月ごろを底に景気は回復局面に入ったと考えるのが素直だ』、もっとも「7─9月期」の回復は「4─6月期の落ち込み」を埋めるには力不足だったようだ。
・『第3波襲来で広がる底割れ懸念  一方で、景気の先行きに対する懸念も広がっている。景気が回復していると言っても、インバウンド消費はもちろん、飲食・宿泊、交通など感染拡大の影響を大きく受けるサービス分野では厳しい状況が続いている。 これから発表される10━12月期の経済指標は景気回復が続いていることを示唆する数字が続きそうだが、それでも7━9月期に比べれば成長ペースの減速は避けられない。日本経済に対する弱気な見方が広がりそうだ。 加えて、新型コロナの感染が再び深刻化している。春の第1波、夏の第2波に続いて、秋以降は第3波と言える拡大が続いている。新型コロナが猛威を振るい始めてから初めて迎える本格的な感染シーズンであり、日本よりひと足早く寒くなる欧米の状況からも推測できたように、日本もすでに新規感染者数、重症者数、死亡者数などが過去最高となるなど、第1波、第2波を上回る感染規模になっている。 インフルエンザと同様に考えれば、新型コロナの感染拡大は来年も続きそうであり、再び経済活動が停止して、せっかく回復してきた景気が腰折れしてしまうのではないかとの懸念が強まっている。 確かに春の第1波を受けた4━6月期の景気の落ち込みの記憶が冷めやらぬところで、それを上回る感染拡大が起きるとなれば、先行き懸念が広がるのは無理からぬところだ』、「第3波襲来で広がる底割れ懸念」、というのは確かだ。
・『感染への耐性も備わった日本経済  しかし、その割に株価が堅調に推移しているのはなぜか。 景気が回復して企業収益も上向いていることが株価堅調の背景にあるのは言うまでもないが、社会や経済に感染拡大への備えが整ってきていることが評価されているのではないか。つまり、感染拡大が続く中で、それに対する耐性を日本経済が持つようになり、経済活動が維持されているということだ。 春の第1波によって日本経済が大きなダメージを受けたのは、世界の経済活動の停止が原因であることはもちろんだが、予期しない脅威に不意を突かれたことも影響していると言えそうだ。中国で新型コロナウイルスの感染が広がり始めたころに、日本でここまで感染が拡大すると予想していた人は少ないだろう。 予防の基本であるマスクも手に入らず、テレワークの準備もない中で在宅勤務と言われて当惑した人も多かったはずだ。経済活動の制限と言われても、何をどの程度止めればよいのか分からないままに、混乱と自粛の嵐の中で経済は大きく落ち込むことになった。 夏の第2波の感染拡大では、新規感染者数は第1波を上回ったが、景気は持ち直しが続いた。また、重症者の増加も第1波の時ほどではなかった。 このころになると、マスクの不足も解消され、医療体制も改善が進み、テレワークの広がりなど、「ウイズコロナ」の経済活動が定着してきた。第2波の感染拡大においては、こうした備えが整ったことで、医療崩壊や経済活動の停止といった状況を回避し、経済の持ち直しが続いたと言えよう』、「感染への耐性も備わった日本経済」と「鈴木」氏が強気になっているのは、株価の堅調も影響しているのだろう。
・『万全とは言えない第3波への備え  第2波の時までに準備されたマスク着用、うがい・手洗いの励行、密を避ける工夫といった予防体制は第3波でも有効だろう。テレワークや製造現場の無人化など、人と人との接触を避けながら経済活動を継続する体制も整っている。 草の根の予防が徹底されて、感染爆発を回避している日本経済の強さはもっと評価されていいだろう。第3波が押し寄せていると言っても、感染の広がりは欧米に比べてはるかに抑制されている。 しかし、その強さに頼り過ぎることが、また別の弱さを生み出す。日本は草の根の予防策が功を奏してこれまでのところ感染爆発を辛うじて防いでいる。しかし、ひとたび感染爆発が起きた時の備えは脆弱である。感染爆発に至らなくても、医療体制はひっ迫する懸念が出ている。ワクチンの開発も国際的な競争で日本が優位に立っているとは言えない。 PCR検査の実施体制、重症者に対する医療体制、ワクチン開発への取り組みなど、日本の脆弱な面を強化していかなければならないことは言うまでもない。しかし、今は爆発的感染を防ぐことが喫緊の課題だ』、「今は爆発的感染を防ぐことが喫緊の課題だ」、その通りだ。
・『成長拡大だけでは命と経済は両立しない  爆発的感染を回避できれば、すでに回復軌道に乗っている日本経済が腰折れすることはなさそうだ。しかし、目先の成長率を高めようとして感染爆発を起こすことが最悪のシナリオだ。日本の弱さが表面化して、厳しい経済活動の制限を余儀なくされ、景気は一気に悪化する。 今の景気回復では満足できないことは日本の弱さと言えそうだ。7━9月期の経済成長率は、前期比プラス5.0%という立派な高成長となったが、それでも米国と比べて低いとの評価が多い。しかし、米国の高成長が、世界最悪の感染状況と引き換えに実現したのであれば、日本が見習うべき姿ではない。 目先の経済成長を高めるよりも、地道な感染防止に注力するべきだ。成長率を無理に高めようとする政策が感染リスクを拡大させる。 もちろん、このままでは立ち行かなくなる会社、自営業、個人が増えているのは事実だ。しかし、それは特定の業種に限った話ではない。需要誘発的な刺激策で救われる会社や個人は限られる。本当に救いたいのであれば、景気刺激効果が乏しく、予算規模もはるかに大きくなるが、社会保障としての政策で幅広い救済措置をとるべきではないか。 命と経済の両立というフレーズはよく使われるが、その意味をしっかり考えなければいけない。 確かに、ブレーキを目いっぱい踏んでいたら車は動かない。だからといってブレーキを踏みながらアクセルを踏んだら、車は壊れる。ブレーキとアクセルは踏み分けなければいけない。ブレーキを緩めるだけでも車は動きだす。 今はこれまで慎重に緩めてきたブレーキを少し踏み直すかどうかという判断の時期だ。アクセルを踏む政策は効果があまり期待できないだけではなく、感染拡大のリスクを高める。少なくともこのタイミングで踏むべきではない。そして、ブレーキとアクセルを同時に踏む政策は人々を混乱させ、回復しようという経済の活力をも損なうことになろう』、「目先の経済成長を高めるよりも、地道な感染防止に注力するべきだ。成長率を無理に高めようとする政策が感染リスクを拡大させる」、「今はこれまで慎重に緩めてきたブレーキを少し踏み直すかどうかという判断の時期だ」、同感である。

第四に、12月7日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した室伏政策研究室代表・政策コンサルタントの室伏謙一氏による「お粗末すぎる自民党「新たな経済対策への提言」、コロナ禍の影響を無視」を紹介しよう。
・『先月末、新型コロナウイルスの社会経済への影響に対応するための自民党の提言、「新たな経済対策に向けた提言」が取りまとめられた。しかし、これらの内容は、コロナ禍不況への対応とは無関係な事項ばかりが並び、あまりにも緊張感がなく、お粗末すぎるものだ』、どういうことだろう。
・『実にお粗末 自民党「新たな経済対策に向けた提言」  11月30日、新型コロナの社会経済への影響に対応するための自民党の提言、「新たな経済対策に向けた提言」が取りまとめら、菅総理に申し入れが行われた。これまで2回編成された補正予算と同様に、自民党の提言を受けて予算案政府案を編成することになるので、この提言は第3次補正予算案の下敷きになるものである。 もっとも、今後世論も含めて様々な批判等の評価を受けるとともに、各府省内で協議、審査、そして財務省の査定を受けて最終的に政府案となるので、これがそっくりそのまま第3次補正予算案となるわけではないだろう。 さて、「その内容は…」といえば、実にお粗末であり、新型コロナにより、困窮する事業者や国民の支援、救済とは全く関係のないもののオンパレードである。 そこには本気で新型コロナにより疲弊したわが国経済を立て直そうという姿勢は微塵も感じられない。「国民のために働く」という党のスローガンはどこへ行ったのか?(もしかして「国民」とはごく一部の特定の人たちだけのことなのか?) そこで、この提言が、前回のものとは悪い意味で「隔世の感」がある、いかにお粗末で、端的に言って酷いものなのか、具体的な事項を取り上げつつ見ていくこととしよう』、興味深そうだ。
・『経済対策にかこつけて惨事便乗の市場改革を進めるつもりか?  まず、冒頭の「基本的な考え方」においては、新型コロナウイルス感染症の拡大防止を最優先として政府に万全の対応を求める一方、「感染拡大防止と社会経済活動の両立」を基本戦略として、国民の生活を守り切る姿勢が示されている。これについては異論を挟む余地はないだろう。なんと言っても「当たり前」のことが書かれているだけのことだから。 問題はその先。次のような記載がある。 「我が国の活力を取り戻すのみならず、いわゆる「ウィズロナ」、更には「ポストコロナ」の時代を見据えたとき、我が国社会経済の構造転換は避けて通れない。その際、戦略的に成長力を底上げしなければ、コロナのトンネルを抜けた先で、日本経済が世界に伍してしっかりと回復することができないという危機感を持つべきである。そこで、今回の経済対策にあたっては、従来型の施策のみならず、『国民や企業の前向きな動きを後押ししていく』という視点を取り入れ、日本経済の成長力の強化を図っていくべきである。」 新型コロナへの影響により大企業から中小企業に至るまで売り上げ・収益が激減し困窮状態にあるというのに、「社会経済の構造転換は避けて通れない」であるとか、「戦略的に成長力を底上げしなければ」とは、何をか言わんやである。 この「構造転換」に力点が置かれていることは明らかであるが、ここに出てくるような表現は、過去の大規模自然災害の後によく見られたものである。つまり、経済対策にかこつけてショックドクトリン(大惨事に便乗する過激な市場原理主義改革)を進めようということであろう。その意味では「構造転換」とは「構造改革」、特定の者に都合がいいように社会経済を変えることであると解していいだろう。 そうしたことは個別具体的な事項を見ていけば明らかである。 最重点事項として、(1)新型コロナウイルス感染症の拡大防止策、(2)ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現、そして(3)防災減災・国土強靭化の推進等の安全・安心の確保の3つが記載されている。 (1)については内容が薄いこと以外は、そこに記載された項目自体は特段問題があるものではないし、(3)は常に対応していかなければいけないし、本年も自然災害による甚大な被害を受けた地域があることから特段問題がないというより遅気に失した感さえある。しかし、(2)は別である。新型コロナ感染症による影響を緩和するための更なる緊急対策、例えば持続化給付金等の拡充といったものが記載されているかと思いきや、全く記載されていないのである。 冒頭に出てくるのは、なんと「デジタル改革・グリーン社会の実現」で、「その中身は…」といえば、マイナンバーカードの普及促進や行政のデジタル改革の推進、そしてグリーン社会の実現につながる研究開発を行う企業への支援等である』、こんなに関係が薄いものまでシレッと書き込むとは、恥ずかしいと思わないのだろうか。
・『「お花畑」の中にでも暮らしているのか?  デジタル化は菅政権が掲げる重点政策の一つであるが、今、この状況下、新型コロナ大不況と言ってもいい状況で、補正予算まで組んで優先的に進める話ではなかろう。相変わらず緊張感の欠片もないのか、それともどこか特定の利益に、優先的に進めることを約束したのかと邪推したくなる。 次に出てくるのは、「経済構造の転換・イノベーション等による生産性向上」である。その中身は、まず、中小企業の経営転換支援と称して、経済社会の変化に対応するための事業再構築・事業再編等に向けた取り組みを支援することが記載されている。これはまさに菅政権が、デビット・アトキンソン氏らの言を鵜呑みにしてがむしゃらに進めようとしている、中小企業の再編による数減らし、はっきり言えば中小企業潰し策である。今政府がなすべきは、必要な手厚い財政支援を行って一社も潰さないことであって、企業の数を減らしたり潰したりすることではない。つまりこの内容は新型コロナ大不況への経済対策とは真逆のことを言っているということである。 「~生産性向上」の項には、その次にサプライチェーンの強靭化が記載されているが、国内への生産拠点の回帰は当然のことである一方、今回の新型コロナ感染症によって引き起こされた危機によって明らかとなったのは、生産拠点の海外依存の危険性や脆弱性であって、中国から別の国に分散させればいいという話ではない。それにもかかわらず、海外での生産拠点の多元化が記載されている。これを進言し、記載させた自民党所属議員の国際情勢認識はどうなっているのだろう? どこか違う世界、「お花畑」の中にでも暮らしているのだろうか? さらに「研究開発の促進」と称した、大学等ファンドの創設、大学の抜本改革なるものを進め、「若手研究者支援を含む研究基盤の抜本強化を後押しする仕組みを構築する」としているが、要は更なる集中と選択による研究現場破壊を行いたいという趣旨のようである。そもそもこれまでの大学改革なるものの失敗が指摘されているところ、再検証を促すのであれば別段、それをさらに進めようとはどういう了見か。 それ以前にこの新型コロナ不況下で、補正予算で措置すべき内容ではあるまい。 「~生産性向上」の次に「地域・社会・雇用における民需主導の好循環の実現」が記載されているが、不妊治療に係る助成措置の拡充が最初にでてくるのは、やはり菅総理が総裁選において目玉政策の一つとして述べたことによるものだろうが、新型コロナ不況に対応するための補正予算で措置すべき事項ではない(そもそも少子化の主な原因は不妊治療よりも貧困化なのだが)。 雇用調整助成金の特例措置の延長も記載されているが、これは既定路線。一方で雇用に関しては、「社会経済構造の変化に対応した雇用政策として、在籍出向や再就職等が円滑に行われるよう必要な支援を行うとともに、兼業・副業などの新しい働き方の普及を促進していくこと。」との記載もある。 要は雇用調整助成金の延長はしつつも、大企業を中心とした人件費削減につながる措置を次々と講じていけということであろうが、失業率が増え続け、今後増大すると言われている中で、なんと不謹慎なことか。 その他資金繰り対策も記載されているが、融資が中心で給付という考え方は皆無のようだ』、「人件費削減」策を推進していけば、失業率上昇、賃金低下など副作用は必至だ。
・『今なすべき事業者支援は事業継続の支援である  そして「Go Toキャンペーンの延長」。 来年のゴールデンウィーク直後のころまでトラベルを延長、イートも同様の取り扱いとするようであるが、そもそも「感染の収束」を条件としていた同キャンペーンをその条件が満たされていないにもかかわらず実施したことが間違いである。加えて言えば、今なすべき事業者支援はキャンペーンではなく、失われた粗利の補償による事業継続の支援である。 しかも同キャンペーンは全ての観光関連事業者や飲食関係事業者の支援につながるものではないばかりか、これを利用できる者も限られている。将来的な実施については、否定はしないが、今やるべきことではあるまい。 「農林水産業・食品の輸出力強化」も記載されているが、これも菅総理が基本方針等で記載し、述べてきた事項。輸出よりも国内農業を保護し、育成し、国内自給を高めていくことこそ国家として目指すべき方向性であるのに、種子法を廃止し、種苗法の改正までやってのける党であるし、こちらも新型コロナ不況に対応するための第3次補正予算に盛り込むような内容ではない。日本の農業を日本人のために、地域のために守ろうという気はサラサラないのであろう。 その後には各部会の重点事項が記載されているが、これらは基本的には最重点事項と同じものである。 実は、安藤裕衆院議員らによる「日本の未来を考える勉強会」は、11月27日に、(1)医療機関や介護施設等への更なる支援の継続、(2)持続化給付金の拡充、(3)雇用調整助成金の特例措置の更なる延長等、(4)ひとり親世帯臨時特別給付金の継続的な給付、(5)地方自治体への財政支援を柱とする「新型コロナウイルス感染症対策に係る緊急提言」を党幹部らに提出している。しかし、残念ながらこの提言は完全に無視されてしまったと言っていいだろう(〈3〉の雇用調整助成金の特例措置の延長等は、自民党政調提言に盛り込まれたように見えるかもしれないが、同勉強会の提言では、早期退職や希望退職、雇い止めの拡大を阻止することを明記した、実質的に粗利補償の一部となっており、再就職や在籍出向、副業や兼業による失われた給与の自己の責任による補填を同時に推進しようとする自民党政調提言とは似て非なるものである)』、「「感染の収束」を条件としていた」「Go Toキャンペーン」「をその条件が満たされていないにもかかわらず実施したことが間違いである。加えて言えば、今なすべき事業者支援はキャンペーンではなく、失われた粗利の補償による事業継続の支援である」、その通りだ。
・『なぜこのような緊張感の欠片もない内容となったのか  しかし、なぜこのような緊張感の欠片もない、新型コロナ不況への対応とは無関係な事項ばかりの内容となったのだろうか。 なんと、自民党政調の各部会が、それぞれ関係府省に丸投げして経済対策を作成、提出させ、それをただ単に党政調として取りまとめた(役人用語で言えば「ガッチャンコ」、要するにホッチキスドメ)ことにあるようだ。 しかも、取りまとめに当たって開催されるはずの、開催されるべき政調全体会議は、各部会で意見集約は行ったという理解にしたのか開催されず、幹部だけで取りまとめるという前代未聞の事態となっていたようだ。 前回の第2次補正予算の編成を政府に求めるに至らしめた政調全体会議では、ゴールデンウィーク中に地元選挙区に帰り、新型コロナによる甚大な影響を見聞きした議員達が、腰の重い、煮え切らない岸田政調会長(当時)を突き上げ、詰め寄り、2次補正の編成を求めることを明言させた。 下村政調会長は、官邸の意向を忖度し、そうした事態を避けようとしたのではないかとの憶測もある。もしそうであれば、政調軽視、議論を尽くすという自民党の良さを軽んじたということに他ならず、大いに問題にすべきであろう まさに自民党議員の矜持がかかっている。 その後、政調全体会議を開催しなかったことが問題視されたのか、12月4日に「新たな経済対策(仮称)(案)」について討議する全体会議が開催された。既に菅総理に申し入れを行ったにもかかわらず、「仮称」に「案」というのは極めて不可解であり、元の提言の骨格は変わらないものの、具体的な措置を含め内容が倍近くになったというのもまた然りであり、問題点はより明らかとなった(その詳細な解説は別稿に譲る)。 そもそも、4日といえば臨時国会会期末であり、朝から会期末処理のための各委員会が順次開催されている。当然委員会優先であるから、出たり入ったりとなり、最初から最後まで全体会議に出席することなど不可能である。つまり、一応全体会議は開催するがマトモに議論はさせない。 ただ「『やった』という既成事実を作りたい」、そういうことだろう。どこまで姑息なのか』、「各部会が、それぞれ関係府省に丸投げして経済対策を作成、提出させ、それをただ単に党政調として取りまとめた(・・・ホッチキスドメ)」、「政調全体会議は、各部会で意見集約は・・・開催されず、幹部だけで取りまとめるという前代未聞の事態」、全く呆れ果てるようなお粗末ぶりだ。高い報酬を得ながら、こんな体たらくでは、やれやれだ。
タグ:今は爆発的感染を防ぐことが喫緊の課題だ 全く呆れ果てるようなお粗末ぶりだ。高い報酬を得ながら、こんな体たらくでは、やれやれだ 万全とは言えない第3波への備え 政調全体会議は、各部会で意見集約は・・・開催されず、幹部だけで取りまとめるという前代未聞の事態 各部会が、それぞれ関係府省に丸投げして経済対策を作成、提出させ、それをただ単に党政調として取りまとめた(・・・ホッチキスドメ) なぜこのような緊張感の欠片もない内容となったのか 「「感染の収束」を条件としていた」「Go Toキャンペーン」「をその条件が満たされていないにもかかわらず実施したことが間違いである。加えて言えば、今なすべき事業者支援はキャンペーンではなく、失われた粗利の補償による事業継続の支援である」 今なすべき事業者支援は事業継続の支援である 「人件費削減」策を推進していけば、失業率上昇、賃金低下など副作用は必至だ 経済対策にかこつけて惨事便乗の市場改革を進めるつもりか? 実にお粗末 自民党「新たな経済対策に向けた提言」 自民党の提言、「新たな経済対策に向けた提言」 「お粗末すぎる自民党「新たな経済対策への提言」、コロナ禍の影響を無視」 室伏謙一 ダイヤモンド・オンライン 今はこれまで慎重に緩めてきたブレーキを少し踏み直すかどうかという判断の時期だ 感染への耐性も備わった日本経済」と「鈴木」氏が強気になっているのは、株価の堅調も影響しているのだろう 感染への耐性も備わった日本経済 第3波襲来で広がる底割れ懸念 「7─9月期」の回復は「4─6月期の落ち込み」を埋めるには力不足 年5月ごろを底に景気は回復局面に入った 「コラム:「経済が大事」という優しさが高める景気底割れリスク」 「高橋洋一」 大失業時代への対応 「三浦氏」の起用は「新自由主義右翼」への「アピール」、というのは確かなようだ 旧中間階級の切り捨て 自由をあまり大切にしないご都合主義的な“新自由主義” 中小企業の再編や統合 「アトキンソン氏」と「国部毅氏以外は、未来投資会議からの続投」、まさに「居抜き内閣」だ 鈴木明彦 内閣官房参与(カッコ内は担当分野) 成長戦略会議の有識者メンバー 菅首相の主なブレーン 「居抜き内閣」 「三浦瑠麗氏、菅首相のブレーン起用も…専門家から「必然性ない」「コア支持層へのアピール」との声」 ロイター AERAdot 目先の経済成長を高めるよりも、地道な感染防止に注力するべきだ。成長率を無理に高めようとする政策が感染リスクを拡大させる 成長拡大だけでは命と経済は両立しない 国立感染症研究所OBの岡部先生は、厚生労働省の“お抱え”と言える存在です。この人事は、菅首相には医療についてのブレーンがいないと告白しているのと同じです。コロナ対策が迷走を続ける可能性が大です 「菅首相、医療のブレーン不在と自白? 「コロナ対策は迷走の可能性大」と専門家」 (その2)(三浦瑠麗氏 菅首相のブレーン起用も…専門家から「必然性ない」「コア支持層へのアピール」との声、菅首相 医療のブレーン不在と自白? 「コロナ対策は迷走の可能性大」と専門家、コラム:「経済が大事」という優しさが高める景気底割れリスク=鈴木明彦氏、お粗末すぎる自民党「新たな経済対策への提言」 コロナ禍の影響を無視) スガノミクス
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