パンデミック(医学的視点)(その18)(新型コロナ 「ワクチンを打てば感染対策は不要」が間違いな理由、感染力高い変異種の病原性「弱いはずがない訳」 インフル研究の第一人者が見るコロナの先行き、いまだに「マスクに基準がない」という大問題 アメリカではようやく規格づくりが進んでいる) [パンデミック]
パンデミック(医学的視点)については、昨年12月14日に取上げた。今日は、(その18)(新型コロナ 「ワクチンを打てば感染対策は不要」が間違いな理由、感染力高い変異種の病原性「弱いはずがない訳」 インフル研究の第一人者が見るコロナの先行き、いまだに「マスクに基準がない」という大問題 アメリカではようやく規格づくりが進んでいる)である。
先ずは、本年1月10日付けダイヤモンド・オンラインが転載したヘルスデーニュース「新型コロナ、「ワクチンを打てば感染対策は不要」が間違いな理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/259387
・『ワクチンを打てばCOVID-19対策は不要? 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチンの接種が一部の国で開始され、国内でも今春の接種開始が見込まれている。1年にわたり、外出自粛やマスク着用などの物理的な手段に限られていた感染予防対策だが、ようやく医学的な手段でウイルスに対抗できることになる。感染後の重症化リスクの高い基礎疾患のある人は、優先的にワクチン接種を受けられる可能性があり、糖尿病患者の期待も大きい。 ワクチン接種さえ受ければ以前の日常を取り戻せると、期待を膨らませている人もいるだろう。しかし、感染症の専門家は、既に供給が開始されているファイザー社やモデルナ社のワクチン、あるいは現在開発中のワクチンのいずれであっても、接種したからといって感染予防策が不要になるわけではなく、引き続きマスクを着用し、社会的距離を維持する必要があると警告している。 専門家によると、これらのワクチンの安全性と有効性を検証した臨床試験では、主にCOVID-19の重症化や死亡を防ぐことができるかどうかに焦点が当てられているという。よって、ワクチン接種を受けた人が感染した場合は無症状で経過することが多いと考えられるものの、その人から周囲の人にウイルスが伝播してしまう可能性の有無は、まだ分かっていない。 米ヴァンダービルト大学医療センターのWilliam Schaffner氏は、「ワクチンを接種していても感染する可能性があり、かつ他者に感染させる可能性もある。COVID-19のワクチン接種後にそのようなことが起きた事例はまだ確認されていないが、それが起きないと否定できる根拠もない」と述べている。 この意見には他の専門家も同意している。米ジョンズ・ホプキンス大学健康安全保障センターのAmesh Adalja氏もその一人だ。「ワクチン接種を受けた後に症状のない状態が続いていたとしても、ウイルスを保持しておらず他者に感染させることはないとの保証はできず、引き続き注意が必要だ」と同氏は語っている。そして、ワクチン接種後にもマスクを着用し社会的距離を保つことで、自分が無症候性の保因者になるリスクを下げられるとしている』、「接種したからといって感染予防策が不要になるわけではなく、引き続きマスクを着用し、社会的距離を維持する必要があると警告」、「ワクチンを接種していても感染する可能性があり、かつ他者に感染させる可能性もある」、期待が大きかっただけに、いささか失望した。
・『同氏はまた、「ワクチン接種後に、もし糖尿病患者や60歳以上などのハイリスクの人をハグしたりすると、その人たちに感染させてしまうかもしれない」と警告を発している。 一方、ワクチンの有効性が十分でないと指摘する声も聞かれる。接種により罹患リスクが低下するが、それでもわずかながらリスクは存在するという。米マウントサイナイ医科大学のWaleed Javaid氏は、「ワクチンの有効性は95%だ。つまり、5%のリスクが残されているということだ」と指摘する。 ワクチンが広く行き渡るまでの期間も問題だ。米フィラデルフィア小児病院のPaul Offit氏は、「米国内のすべてのハイリスク者を守るために必要な、推定3億回分のワクチンを生産するには、2021年の秋までかかる可能性が高い」と述べている。これに関連し、前出のJavaid氏は「今は忍耐の時期だ」と語る。同氏は、「現在われわれは効果的なワクチンを手にし、その供給が急速に広がっている。ワクチン接種者の増加とともに、このパンデミックは終息していくだろう」と、展望を示している。(HealthDay News 2020年12月16日)』、「「ワクチンの有効性は95%だ。つまり、5%のリスクが残されているということだ」と摘する」、言われてみれば、その通りだ。「米国内のすべてのハイリスク者を守るために必要な、推定3億回分のワクチンを生産するには、2021年の秋までかかる可能性が高い」、しばらくは「忍耐の時期」のようだ。
次に、1月28日付け東洋経済オンラインが掲載したノンフィクション作家の辰濃 哲郎氏による「感染力高い変異種の病原性「弱いはずがない訳」 インフル研究の第一人者が見るコロナの先行き」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/407734
・『イギリスなどで蔓延している新型コロナウイルスの変異株(変異種)が日本にも上陸しているが、どう対処したらよいのだろう。インフルエンザ研究の第一人者で、1968年の香港かぜの伝播経路を突き止めた北海道大学人獣共通感染症リサーチセンターの喜田宏特別招聘教授に話を聞いた。ウイルスが蔓延すれば、人に適合した変異株が必ず優勢になるのは自然のなりゆきだという。こういったウイルスは人の体内で増殖力が高く、つまりは病原性が高くなるとも指摘する(Qは聞き手の質問、Aは喜田氏の回答)。 Q:イギリスなどで新型コロナウイルスの変異株が出現し、世界中が警戒をしています。 A:大騒ぎになっているけど、これは当たり前のこと。人の間で感染を繰り返すうちに、体内で増殖しやすいウイルスが選ばれ、生き残った結果なんです。ウイルスは変異株の集団で、なかには増えやすい変異ウイルスもいる。その増えやすいウイルスが優勢になって感染を繰り返すと考えたらいい。 コロナウイルスの遺伝子RNAは、4種類の塩基が約3万個並んでいる。その配列に塩基が新たに挿入されたり、欠失したり、置換されたりして配列が変わることを遺伝子変異と呼んでいる。人の体内で細胞への侵入効率が高くなるなど、増殖しやすいウイルスが優勢になるわけです。それはイギリスや南アフリカ、ブラジルなど報告のあった国々だけでなく、日本でもまったく新しい変異ウイルスがいつ見つかるかわからない。すでに増殖しやすい変異ウイルスが生まれている可能性もある』、「ウイルスは変異株の集団で、なかには増えやすい変異ウイルスもいる。その増えやすいウイルスが優勢になって感染を繰り返すと考えたらいい」、なるほど。
・『増殖力の高いウイルスは要注意 Q:イギリスの変異株は感染性が70%高まったそうですが、一層の注意が必要になりますか。 A:70%というのが確実に証明されているわけではないが、感染性が高いということは、病原性が高いとみていい。人の体内でどんどん増えたら、重症化するのは当然でしょう。上気道や肺の細胞で増えるウイルスも、もしかしたら別の臓器、あるいは全身で増えるようなウイルスが優勢になるかもしれない。 昨年の春先に、あなた(聞き手の辰濃のこと)に「今のうちにかかったほうが得かも」って冗談で話したけど、人獣共通感染ウイルスが動物から人に感染してすぐは、さほど増殖効率がよくないはず。人から人に感染を繰り返すうちに、人に順応して体内でより増殖する、すなわち病原性の高い変異ウイルスが出てくることを警告したかった。 例えば、2009年の新型インフルエンザウイルス(H1N1)のパンデミックのとき、そのシーズンでの死者は国内で約200人でしたね。世界的にも15カ月で2万人足らずしか亡くなっていない。でも、その子孫ウイルスが起こす季節性インフルエンザでは、死者は何十倍にも膨れ上がっている。ウイルスが人に適合して、増殖する変異ウイルスが優勢になったから。 1918年にパンデミックを起こしたスペインかぜでも、第1波より、その子孫ウイルスが起こした第2波、第3波、すなわち季節性インフルエンザのほうが重症者も死者も多かった。感染性と病原性はリンクしていることを知っておいたほうがいい』、「人獣共通感染ウイルスが動物から人に感染してすぐは、さほど増殖効率がよくないはず。人から人に感染を繰り返すうちに、人に順応して体内でより増殖する、すなわち病原性の高い変異ウイルスが出てくる」、困ったことだ。
・『ウイルスを擬人化して議論するのは間違いのもと Q:宿主を殺してしまうとウイルスが生存できないから、弱毒化すると話す専門家もいますが。 A:ウイルスを擬人化して進化論や適者生存、選択淘汰の議論をするのは、間違いのもと。ウイルスは賢いとか、ウイルスの戦略など「たとえ話」の範疇からはみ出している言葉が使われるのは嘆かわしい。何万年もかけて自然宿主との共生関係ができるのは、選択圧力(変異を促す要素)がなくなってから、の話です。いまの新型コロナウイルスには、当てはまらない。 第1に、毒性とか強毒化とか弱毒化とか言っている時点でおかしい。ウイルスは毒素ではないから正しくは「病原性」です。ウイルスの体内増殖に対する人の免疫応答が病気なのですから。 Q:先生は専門のインフルエンザウイルスの観点から、コロナウイルスを見ています。 A:新型コロナウイルスの正体を探るためには、インフルエンザウイルスを参考にするとわかりやすいかもしれません。インフルエンザウイルスの自然宿主はカモで、大腸で増殖して糞とともに排出されます。夏場はシベリアの営巣湖沼にいるが、秋になると南方へカモと一緒に飛来する。でも、病原性がないのでカモも死なないし、人に感染することもない。 でも、ウイルスが渡った先で他の鳥や動物に感染すると、新しい宿主で感染を繰り返すうちに、増殖する変異ウイルスが選ばれて感染が拡大する。それが鶏の間で受け継がれているうちに、養鶏場の鶏の全身で増殖する高病原性鳥インフルエンザウイルスが生まれるわけです。100%の致死率です。これは鶏の間で何百、何千代もの継代を経てやっと生まれる。新型コロナウイルスが人の間でどんどん感染を繰り返すうちに、増殖しやすいウイルスが優勢になるのと同じこと。 加えて、人の新型インフルエンザウイルスは、鳥のウイルスから直接、人に感染したものではない。 カギを握るのはブタです。ブタは人と鳥の両方のインフルエンザウイルスに感染するレセプターを持っている。レセプターとは、ウイルスの持つ鍵に合致する受容体のこと。 つまり、人と鳥の両方のインフルエンザウイルスの鍵穴を持っているブタに、両方のウイルスが同時感染し、体内で交雑してブタで受け継がれた結果、人に感染できるウイルスが生まれることがある。人類が経験したことのない型だと、これが新型インフルエンザウイルスとしてパンデミックを起こすことになる』、「人と鳥の両方のインフルエンザウイルスの鍵穴を持っているブタに、両方のウイルスが同時感染し、体内で交雑してブタで受け継がれた結果、人に感染できるウイルスが生まれることがある」、「ブタ」がパンデミックの仲介役になっているとはやれやれだ。
・『ウイルスの起源と伝播経路は未解明 Q:1968年の香港かぜの伝播経路を突き止めましたね。 A:カモ由来のウイルスがアヒルなどの家きんを経由してブタに感染し、同時に人のアジアかぜウイルス(H2N2)に感染したブタの体内で、この両方のウイルスが交雑して生まれたのが、H3N2の香港かぜであることを実証しました。2009年の新型インフルエンザウイルスも、メキシコかアメリカ南部のブタを介して生まれたことがわかっています。 全世界でブタの感染を注視しておくことが、新型インフルエンザウイルスの出現予測につながります。だから伝播経路の解明は大切なんです。重症急性呼吸器症候群(SARS)もコウモリが自然宿主だというのは確かかもしれないが、中間宿主が分かっていない。 新型コロナウイルスの伝播経路を解明するためにWHOの調査団が中国に入っているが、中国がどこまで調査に協力してくれるかにかかっている。そう簡単ではない。いずれにせよ、このウイルスの宿主と考えられるコウモリから直接、人に感染したとは思えない。必ず中間宿主がいるはず。 気になるのは、動物から人に感染を始めたばかりの新型コロナウイルスが、いきなりこれほど人に適合して中国・武漢で見られたような効率のいい感染爆発を起こすとは思えない。どこかで小規模の流行があって、インフルエンザと勘違いして見逃していた可能性もある。少なくとも、武漢の海鮮市場で人への感染が始まったという情報には疑問がある。 Q:変異株対策として、国境封鎖は有効ですか。 A:感染症に国境なんてありません。国境の封鎖がまったくダメだとは言わないが、いずれ入ってくるわけだし、日本だけで解決しようとしても意味はない。それに日本で増殖しやすい別種の変異株が生まれている可能性だってあります。全世界が連帯して対策を練らないといけないし、すべきことは、いまと同じです。マスクに消毒、それに3密をさけるなどの基本的な対策の徹底だ。) 実は、鳥インフルエンザウイルスの場合は、水を介して鳥に感染するのが主だが、感染した鳥を食べたカラスやアザラシが全身感染して死んでいるケースを何回も目撃した。個人的な感触だが、飛沫感染より胃に入ったほうが重症化するような気がする。だから、ウイルスの付いた手で食事をしないよう手洗いは重要だと、知人には伝えている。 とにかくいまは、感染拡大を止めることに力を注ぐべき。重要なのは経済か感染防御かで、あやふやな対策を講じないこと。そもそも両立させるのは無理です。優先順位を決めて失敗を恐れずにやること。命を最優先するためにはどうしたらよいかを考えるべきだと思います』、「いまは、感染拡大を止めることに力を注ぐべき。重要なのは経済か感染防御かで、あやふやな対策を講じないこと。そもそも両立させるのは無理です」、その通りだ。
・『ワクチンは感染を防がない Q:ワクチンが間もなく日本でも接種される予定ですが。 A:変異株に対するワクチンの有効性は、塩基配列が少しくらい変わったとしても、抗体を誘導する抗原を決める部分に大きな変異がない限り大丈夫だとは思う。世界中の人に免疫ができた後、選択圧力が加わって、その部分に変異が起きる可能性はゼロではないが。流通し始めたメッセンジャーRNA(mRNA)のワクチンは、人類史上初めての試みで、効き目と副反応の程度については未知数です。 これまでのワクチンは不活化ワクチンが主流で、有効性に疑問符が付けられていた。今回のmRNAワクチンは90%とか95%とか言われる有効性だけど、そもそも感染を完全に防ぐことはできない。気をつけなければならないのは、ワクチンを打っても症状を抑えるが、無症候や軽症だとしても少量ながらウイルスは排出する。ウイルスを撲滅できるわけではない。 中国では、鳥インフルエンザのワクチン製造を国策として進めている。そのために鳥インフルエンザウイルスがなかなか消えないのと同じ理屈です。ワクチンは発症を抑えるが、感染しても、それに気づかない。結果的にウイルスが広がってしまっている。昨年から今年にかけて日本でも相次いでいるH5N8鳥インフルエンザウイルスによる養鶏場の被害も、このため。 新型コロナウイルスも、ウイルスの特性をよく解析したうえで対策を立てないと、間違った方向に進んでしまうと思いますよ』、「ワクチンを打っても症状を抑えるが、無症候や軽症だとしても少量ながらウイルスは排出する。ウイルスを撲滅できるわけではない」、「ワクチンは発症を抑えるが、感染しても、それに気づかない。結果的にウイルスが広がってしまっている」、大いに留意すべきだ。
第三に、1月17日付け東洋経済オンラインが転載したThe New York Times「いまだに「マスクに基準がない」という大問題 アメリカではようやく規格づくりが進んでいる」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/404218
・『現在、10万以上の種類のフェイスマスクが売られている。絹製のもの、綿製のもの、合成繊維のものがあり、フィルター付きのものとないものがある。またオーバーヘッドバンド式のものと耳に掛けるものがある。キラキラがついたもの、ひまわり柄のもの、友好的なあいさつや侮辱する言葉がついたもの、漫画のキャラクター柄がついたものがある。 こうしたマスクに欠けているのが、どの程度感染粒子を防ぐことができるかを示す表示であり、この欠如はコロナ禍にあって公衆衛生当局者をいらだたせている。専門家の多くは、デザインによってその効果に大きな幅があると指摘しており、中にはほとんど粒子を除去しないものもあるとしている』、日本では大学入試の共通試験で、鼻出しマスクをした受験生が監督者の注意に従わず、受験が無効化される問題が起きたばかりだ。「マスク」を軽視していたアメリカで「マスクに基準がない」のは当然だろう。
・『安全なマスクを身につけているかわからない 「もっとも根本的で、基本的な疑問はどれが最も安全なマスクなのか、そうしたマスクを自分や、自分の家族、子どもたちが持っているか、ということだ」と、昨年8月にアメリカ・メリーランド州の副書記官としての職を辞したフラン・フィリップス氏は語る。「われわれがいまだにそうした情報を持っていないというのは驚くべきことだ」。 それももうすぐ変わるかもしれない。疾病対策センター(CDC)は最低限度のフィルター効果基準を策定し、どの製品がそうした基準を満たすのかを示す表示を作ろうとしている。というのも、マスクやフェイスカバーの市場は巨大化していると同時に混乱しているからだ。 CDCの一部門であり、「NIOSH」として知られる国立労働安全衛生研究所は、ASTMインターナショナル(かつてのアメリカ材料試験協会)とともに粛々とガイドラインを書き続けてきた。それらは近々に公表されることが予想されている。 「基準を設けることによって、出回っているマスク製品を評価する首尾一貫した見方を得ることができ、どの程度の予防効果を期待できるのか知ることができる」と、NIOSHの国立個人用保護具技術研究所の所長マリアン・ダレッサンドロ氏は話す。 パンデミックが始まって以来、マスクやフェイスカバーに対するアメリカ政府の監督はほとんどなされてこなかった。食品医薬品局(FDA)とCDCそれぞれが産業を監督する権限を持っている。入手可能なうち最も予防力のあるN95マスクについてはFDAとNIOSHがそれぞれ監督権限を持っているが、多くのアメリカ人が身につけている布切れのようなマスクはいかなる規制当局も監督権限を持っていない。 昨年4月、FDAが緊急措置を公表したときはちょうど医療施設が防護服などを確保しようと躍起になっており、マスクの売り上げも急激に伸びた。この時の発表を見ると、マスクを販売する会社に対してFDAが規制等を講じることはない、と部分的には読み取れる』、「疾病対策センター(CDC)は最低限度のフィルター効果基準を策定し、どの製品がそうした基準を満たすのかを示す表示を作ろうとしている」、「国立労働安全衛生研究所は、ASTMインターナショナル・・・とともに粛々とガイドラインを書き続けてきた。それらは近々に公表されることが予想」、どんなものになるのだろう。日本の当局も直ぐ追随するのだろう。
・『「マスクの効果は0%〜80%」 一方、FDAは同時にこうしたマスクは「液体防御性やろ過効率の基準を満たすかもしれないし、満たさないかもしれない」とも述べていた。もっともこうした警告が市場を弱めることはなく、多くの効果が鈍い製品が売られているのはFDAの責任だと非難する専門家もいる。 「FDAには状況改善に向けてできることがたくさんあった。とくにどのマスクが有効で、どのマスクがそうでないのか、という研究が世に知れ始めた頃だったのだから」と、非営利の健康政策団体である国立健康研究センターの所長ダイアナ・ズッカーマン氏は話す。 「FDAはマスクをぴったり着用すること、少なくとも二層の布でできており、伸縮性の素材で作られていないことといったガイドラインを発表することだってできたはずだ。かわりに会社間の自由競争になってしまった」 マスクの効果は「素材の構成、層の数、層の接着の仕方によって0%から80%」の幅が生じることがある、と防護装備コンサルティングサービスの会長デール・フリーム氏は語る。同氏はまた、マスクのガイドライン作成に関わる基準策定作業部会のメンバーでもある。 マスクの絶対的な基準はN95である。このマスクはぴったり肌に密着し、とても小さな粒子でも少なくとも95%を除去することができる。だがN95マスクは一般的に医療従事者に用意されたものであり、感染爆発が起こって以来品薄になっている。一部の病院はN95を確保するために、闇市場で手に入れようとしていた。 こうした品不足分を補うためにFDAは昨春、KN95の販売を認可した。アメリカのN95に相当する中国産のものだ。しかしFDAはただちに不正かつ偽造の製品を見つけ、許容できるKN95の輸入範囲を狭くした。それでもいまだに不正品が横行しており、無数の会社がFDAの基準に満たないマスクに「KN95」の表示をつけている。 予防の観点でN95より一段劣るものが、FDAが認可した外科手術用マスクであり、特定の基準を満たさなければならない。外科手術用マスクもまた、多くの企業によってコピーされ、予防レベルが同等ではない模造品が出回るようになった。 そしてもちろん荒ぶる西部のスタイルがある。あらゆる使用可能な生地から作り上げた何百万とあるマスクのことだ。中にはバンダナやゲートルといったものもある。バンダナとゲートルは首の周りに巻き付けた生地をループ状にして1つにつなげたもので、伸ばして顔の下半分を覆うことができる』、「荒ぶる西部のスタイルがある]、いかにもアメリカらしい。,
・『国主導のマスク認可プログラムが必要 まったくマスクをしないよりは、どんなマスクでも付けたほうがいいと公衆衛生の専門家たちは言う。CDCはマスクに関する自らのガイダンスを何度となく改定し、密に編み込まれた多層構造の生地のほうが一層の生地もしくは緩いニットから作られたマスクよりも予防効果が高いとしている。これは装着している人だけでなく、その人が接触する人たちにとってもそうだとしている。 ただし、CDCのウェブサイトはフィルター付きのマスクがフィルターのないマスクよりも予防効果があるかどうかについて明らかにしていないし、合成繊維が綿やそのほかの素材と比較してどうなのかについても明らかにしていない。 「マスクをテストして認定する国主導の機関が必要だし、一般の人々にマスクの使い方や手入れ方法などを伝える必要性もある」と、バージニア工科大学で土木環境工学の教授を務めるリンゼイ・マー氏は語る。同氏は空気中の浮遊ウイルスに関する専門家でもある。 アメリカ政府と産業界の代表者で構成される作業部会は、製造業者が最高ろ過率と最低ろ過率を製品表示に入れられるようにした。最低の基準は20%で、最高は50%だ。 一見低いように見えるが、予防効果は低くない。ろ過効率とは0.3ミクロン大の粒子をろ過する場合の製品効率に基づく。0.3ミクロンは一般に最も貫通力のある粒子としてNIOSHのテストで基準とされている。 「0.3ミクロンで20%の効率ということは、1から2ミクロンの粒子では50%の効率ということになり、粒子をブロックする効率が80%の場合は、4から5ミクロンもしくはそれ以上の粒子ということになる」とマー氏は言う。「この数値のマスクであれば有用だと言える」。 マー氏によると、コロナウイルス自体は0.1ミクロンではあるが、だいたい0.5ミクロン以上のエアロゾルに包まれて運ばれる』、「アメリカ政府と産業界の代表者で構成される作業部会は、製造業者が最高ろ過率と最低ろ過率を製品表示に入れられるようにした」、やはりこうした標準は必要だろう。
・『信頼できる研究所での製品テストが必要 基準策定の助手を務めているジェフリー・スタル氏が語るには、作業部会は「呼吸しやすさ」の点でもマスクとフェイスカバーを評価していくという。基準策定プロジェクトは長期にわたる仕事だった、と彼は話す。 ASTMの規格を満たしていると表示するには生産業者はまず、自社製品を信用のある研究所で製品テストをしてもらう必要がある。また、マスクが国民の多くに十分にフィットすることも示さなければいけない。これをクリアできた場合、製品あるいはパッケージにASTMの規格を満たしていると表示することができる。ただし、表示は強制されるものではない。 ハーバード大学の政治学教授、ダニエル・カーペンター氏はNIOSHの基準を策定する仕事を「規制における起業化精神」と呼んだ。 「『たとえ正式な規制の道具を持っていないにしても、今持っている道具を使おう』と言っているようなものだ」とカーペンター氏は話す。「これは従来とは違う規制のあり方で、これによって極めて重要な規制効果を得ることができる。なぜならもし基準を満たしていなければ、承認の印を得ることができないのだから」 フリーム氏もこの基準が広まることを期待している。「今回できた基準は非常にいいものだ」と同氏は話す。「製造業者はこれに合わせて製品をデザインするだろうし、市場に出荷する製品とパッケージにも規格を満たしているか表示するだろう。消費者もその商品を信頼することができる」。 「ショッピングサイトで売り出されている多く、そして、隣人の車庫で作られているような製品の多くはこの規格を満たすことはできないだろう」 』、「ASTMの規格を満たしていると表示することができる」ためには、「自社製品を信用のある研究所で製品テストをしてもらう必要がある。また、マスクが国民の多くに十分にフィットすることも示さなければいけない」、などの努力も求められるようだ。日本でもマスクの規格づくりを検討すべきだ。
先ずは、本年1月10日付けダイヤモンド・オンラインが転載したヘルスデーニュース「新型コロナ、「ワクチンを打てば感染対策は不要」が間違いな理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/259387
・『ワクチンを打てばCOVID-19対策は不要? 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチンの接種が一部の国で開始され、国内でも今春の接種開始が見込まれている。1年にわたり、外出自粛やマスク着用などの物理的な手段に限られていた感染予防対策だが、ようやく医学的な手段でウイルスに対抗できることになる。感染後の重症化リスクの高い基礎疾患のある人は、優先的にワクチン接種を受けられる可能性があり、糖尿病患者の期待も大きい。 ワクチン接種さえ受ければ以前の日常を取り戻せると、期待を膨らませている人もいるだろう。しかし、感染症の専門家は、既に供給が開始されているファイザー社やモデルナ社のワクチン、あるいは現在開発中のワクチンのいずれであっても、接種したからといって感染予防策が不要になるわけではなく、引き続きマスクを着用し、社会的距離を維持する必要があると警告している。 専門家によると、これらのワクチンの安全性と有効性を検証した臨床試験では、主にCOVID-19の重症化や死亡を防ぐことができるかどうかに焦点が当てられているという。よって、ワクチン接種を受けた人が感染した場合は無症状で経過することが多いと考えられるものの、その人から周囲の人にウイルスが伝播してしまう可能性の有無は、まだ分かっていない。 米ヴァンダービルト大学医療センターのWilliam Schaffner氏は、「ワクチンを接種していても感染する可能性があり、かつ他者に感染させる可能性もある。COVID-19のワクチン接種後にそのようなことが起きた事例はまだ確認されていないが、それが起きないと否定できる根拠もない」と述べている。 この意見には他の専門家も同意している。米ジョンズ・ホプキンス大学健康安全保障センターのAmesh Adalja氏もその一人だ。「ワクチン接種を受けた後に症状のない状態が続いていたとしても、ウイルスを保持しておらず他者に感染させることはないとの保証はできず、引き続き注意が必要だ」と同氏は語っている。そして、ワクチン接種後にもマスクを着用し社会的距離を保つことで、自分が無症候性の保因者になるリスクを下げられるとしている』、「接種したからといって感染予防策が不要になるわけではなく、引き続きマスクを着用し、社会的距離を維持する必要があると警告」、「ワクチンを接種していても感染する可能性があり、かつ他者に感染させる可能性もある」、期待が大きかっただけに、いささか失望した。
・『同氏はまた、「ワクチン接種後に、もし糖尿病患者や60歳以上などのハイリスクの人をハグしたりすると、その人たちに感染させてしまうかもしれない」と警告を発している。 一方、ワクチンの有効性が十分でないと指摘する声も聞かれる。接種により罹患リスクが低下するが、それでもわずかながらリスクは存在するという。米マウントサイナイ医科大学のWaleed Javaid氏は、「ワクチンの有効性は95%だ。つまり、5%のリスクが残されているということだ」と指摘する。 ワクチンが広く行き渡るまでの期間も問題だ。米フィラデルフィア小児病院のPaul Offit氏は、「米国内のすべてのハイリスク者を守るために必要な、推定3億回分のワクチンを生産するには、2021年の秋までかかる可能性が高い」と述べている。これに関連し、前出のJavaid氏は「今は忍耐の時期だ」と語る。同氏は、「現在われわれは効果的なワクチンを手にし、その供給が急速に広がっている。ワクチン接種者の増加とともに、このパンデミックは終息していくだろう」と、展望を示している。(HealthDay News 2020年12月16日)』、「「ワクチンの有効性は95%だ。つまり、5%のリスクが残されているということだ」と摘する」、言われてみれば、その通りだ。「米国内のすべてのハイリスク者を守るために必要な、推定3億回分のワクチンを生産するには、2021年の秋までかかる可能性が高い」、しばらくは「忍耐の時期」のようだ。
次に、1月28日付け東洋経済オンラインが掲載したノンフィクション作家の辰濃 哲郎氏による「感染力高い変異種の病原性「弱いはずがない訳」 インフル研究の第一人者が見るコロナの先行き」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/407734
・『イギリスなどで蔓延している新型コロナウイルスの変異株(変異種)が日本にも上陸しているが、どう対処したらよいのだろう。インフルエンザ研究の第一人者で、1968年の香港かぜの伝播経路を突き止めた北海道大学人獣共通感染症リサーチセンターの喜田宏特別招聘教授に話を聞いた。ウイルスが蔓延すれば、人に適合した変異株が必ず優勢になるのは自然のなりゆきだという。こういったウイルスは人の体内で増殖力が高く、つまりは病原性が高くなるとも指摘する(Qは聞き手の質問、Aは喜田氏の回答)。 Q:イギリスなどで新型コロナウイルスの変異株が出現し、世界中が警戒をしています。 A:大騒ぎになっているけど、これは当たり前のこと。人の間で感染を繰り返すうちに、体内で増殖しやすいウイルスが選ばれ、生き残った結果なんです。ウイルスは変異株の集団で、なかには増えやすい変異ウイルスもいる。その増えやすいウイルスが優勢になって感染を繰り返すと考えたらいい。 コロナウイルスの遺伝子RNAは、4種類の塩基が約3万個並んでいる。その配列に塩基が新たに挿入されたり、欠失したり、置換されたりして配列が変わることを遺伝子変異と呼んでいる。人の体内で細胞への侵入効率が高くなるなど、増殖しやすいウイルスが優勢になるわけです。それはイギリスや南アフリカ、ブラジルなど報告のあった国々だけでなく、日本でもまったく新しい変異ウイルスがいつ見つかるかわからない。すでに増殖しやすい変異ウイルスが生まれている可能性もある』、「ウイルスは変異株の集団で、なかには増えやすい変異ウイルスもいる。その増えやすいウイルスが優勢になって感染を繰り返すと考えたらいい」、なるほど。
・『増殖力の高いウイルスは要注意 Q:イギリスの変異株は感染性が70%高まったそうですが、一層の注意が必要になりますか。 A:70%というのが確実に証明されているわけではないが、感染性が高いということは、病原性が高いとみていい。人の体内でどんどん増えたら、重症化するのは当然でしょう。上気道や肺の細胞で増えるウイルスも、もしかしたら別の臓器、あるいは全身で増えるようなウイルスが優勢になるかもしれない。 昨年の春先に、あなた(聞き手の辰濃のこと)に「今のうちにかかったほうが得かも」って冗談で話したけど、人獣共通感染ウイルスが動物から人に感染してすぐは、さほど増殖効率がよくないはず。人から人に感染を繰り返すうちに、人に順応して体内でより増殖する、すなわち病原性の高い変異ウイルスが出てくることを警告したかった。 例えば、2009年の新型インフルエンザウイルス(H1N1)のパンデミックのとき、そのシーズンでの死者は国内で約200人でしたね。世界的にも15カ月で2万人足らずしか亡くなっていない。でも、その子孫ウイルスが起こす季節性インフルエンザでは、死者は何十倍にも膨れ上がっている。ウイルスが人に適合して、増殖する変異ウイルスが優勢になったから。 1918年にパンデミックを起こしたスペインかぜでも、第1波より、その子孫ウイルスが起こした第2波、第3波、すなわち季節性インフルエンザのほうが重症者も死者も多かった。感染性と病原性はリンクしていることを知っておいたほうがいい』、「人獣共通感染ウイルスが動物から人に感染してすぐは、さほど増殖効率がよくないはず。人から人に感染を繰り返すうちに、人に順応して体内でより増殖する、すなわち病原性の高い変異ウイルスが出てくる」、困ったことだ。
・『ウイルスを擬人化して議論するのは間違いのもと Q:宿主を殺してしまうとウイルスが生存できないから、弱毒化すると話す専門家もいますが。 A:ウイルスを擬人化して進化論や適者生存、選択淘汰の議論をするのは、間違いのもと。ウイルスは賢いとか、ウイルスの戦略など「たとえ話」の範疇からはみ出している言葉が使われるのは嘆かわしい。何万年もかけて自然宿主との共生関係ができるのは、選択圧力(変異を促す要素)がなくなってから、の話です。いまの新型コロナウイルスには、当てはまらない。 第1に、毒性とか強毒化とか弱毒化とか言っている時点でおかしい。ウイルスは毒素ではないから正しくは「病原性」です。ウイルスの体内増殖に対する人の免疫応答が病気なのですから。 Q:先生は専門のインフルエンザウイルスの観点から、コロナウイルスを見ています。 A:新型コロナウイルスの正体を探るためには、インフルエンザウイルスを参考にするとわかりやすいかもしれません。インフルエンザウイルスの自然宿主はカモで、大腸で増殖して糞とともに排出されます。夏場はシベリアの営巣湖沼にいるが、秋になると南方へカモと一緒に飛来する。でも、病原性がないのでカモも死なないし、人に感染することもない。 でも、ウイルスが渡った先で他の鳥や動物に感染すると、新しい宿主で感染を繰り返すうちに、増殖する変異ウイルスが選ばれて感染が拡大する。それが鶏の間で受け継がれているうちに、養鶏場の鶏の全身で増殖する高病原性鳥インフルエンザウイルスが生まれるわけです。100%の致死率です。これは鶏の間で何百、何千代もの継代を経てやっと生まれる。新型コロナウイルスが人の間でどんどん感染を繰り返すうちに、増殖しやすいウイルスが優勢になるのと同じこと。 加えて、人の新型インフルエンザウイルスは、鳥のウイルスから直接、人に感染したものではない。 カギを握るのはブタです。ブタは人と鳥の両方のインフルエンザウイルスに感染するレセプターを持っている。レセプターとは、ウイルスの持つ鍵に合致する受容体のこと。 つまり、人と鳥の両方のインフルエンザウイルスの鍵穴を持っているブタに、両方のウイルスが同時感染し、体内で交雑してブタで受け継がれた結果、人に感染できるウイルスが生まれることがある。人類が経験したことのない型だと、これが新型インフルエンザウイルスとしてパンデミックを起こすことになる』、「人と鳥の両方のインフルエンザウイルスの鍵穴を持っているブタに、両方のウイルスが同時感染し、体内で交雑してブタで受け継がれた結果、人に感染できるウイルスが生まれることがある」、「ブタ」がパンデミックの仲介役になっているとはやれやれだ。
・『ウイルスの起源と伝播経路は未解明 Q:1968年の香港かぜの伝播経路を突き止めましたね。 A:カモ由来のウイルスがアヒルなどの家きんを経由してブタに感染し、同時に人のアジアかぜウイルス(H2N2)に感染したブタの体内で、この両方のウイルスが交雑して生まれたのが、H3N2の香港かぜであることを実証しました。2009年の新型インフルエンザウイルスも、メキシコかアメリカ南部のブタを介して生まれたことがわかっています。 全世界でブタの感染を注視しておくことが、新型インフルエンザウイルスの出現予測につながります。だから伝播経路の解明は大切なんです。重症急性呼吸器症候群(SARS)もコウモリが自然宿主だというのは確かかもしれないが、中間宿主が分かっていない。 新型コロナウイルスの伝播経路を解明するためにWHOの調査団が中国に入っているが、中国がどこまで調査に協力してくれるかにかかっている。そう簡単ではない。いずれにせよ、このウイルスの宿主と考えられるコウモリから直接、人に感染したとは思えない。必ず中間宿主がいるはず。 気になるのは、動物から人に感染を始めたばかりの新型コロナウイルスが、いきなりこれほど人に適合して中国・武漢で見られたような効率のいい感染爆発を起こすとは思えない。どこかで小規模の流行があって、インフルエンザと勘違いして見逃していた可能性もある。少なくとも、武漢の海鮮市場で人への感染が始まったという情報には疑問がある。 Q:変異株対策として、国境封鎖は有効ですか。 A:感染症に国境なんてありません。国境の封鎖がまったくダメだとは言わないが、いずれ入ってくるわけだし、日本だけで解決しようとしても意味はない。それに日本で増殖しやすい別種の変異株が生まれている可能性だってあります。全世界が連帯して対策を練らないといけないし、すべきことは、いまと同じです。マスクに消毒、それに3密をさけるなどの基本的な対策の徹底だ。) 実は、鳥インフルエンザウイルスの場合は、水を介して鳥に感染するのが主だが、感染した鳥を食べたカラスやアザラシが全身感染して死んでいるケースを何回も目撃した。個人的な感触だが、飛沫感染より胃に入ったほうが重症化するような気がする。だから、ウイルスの付いた手で食事をしないよう手洗いは重要だと、知人には伝えている。 とにかくいまは、感染拡大を止めることに力を注ぐべき。重要なのは経済か感染防御かで、あやふやな対策を講じないこと。そもそも両立させるのは無理です。優先順位を決めて失敗を恐れずにやること。命を最優先するためにはどうしたらよいかを考えるべきだと思います』、「いまは、感染拡大を止めることに力を注ぐべき。重要なのは経済か感染防御かで、あやふやな対策を講じないこと。そもそも両立させるのは無理です」、その通りだ。
・『ワクチンは感染を防がない Q:ワクチンが間もなく日本でも接種される予定ですが。 A:変異株に対するワクチンの有効性は、塩基配列が少しくらい変わったとしても、抗体を誘導する抗原を決める部分に大きな変異がない限り大丈夫だとは思う。世界中の人に免疫ができた後、選択圧力が加わって、その部分に変異が起きる可能性はゼロではないが。流通し始めたメッセンジャーRNA(mRNA)のワクチンは、人類史上初めての試みで、効き目と副反応の程度については未知数です。 これまでのワクチンは不活化ワクチンが主流で、有効性に疑問符が付けられていた。今回のmRNAワクチンは90%とか95%とか言われる有効性だけど、そもそも感染を完全に防ぐことはできない。気をつけなければならないのは、ワクチンを打っても症状を抑えるが、無症候や軽症だとしても少量ながらウイルスは排出する。ウイルスを撲滅できるわけではない。 中国では、鳥インフルエンザのワクチン製造を国策として進めている。そのために鳥インフルエンザウイルスがなかなか消えないのと同じ理屈です。ワクチンは発症を抑えるが、感染しても、それに気づかない。結果的にウイルスが広がってしまっている。昨年から今年にかけて日本でも相次いでいるH5N8鳥インフルエンザウイルスによる養鶏場の被害も、このため。 新型コロナウイルスも、ウイルスの特性をよく解析したうえで対策を立てないと、間違った方向に進んでしまうと思いますよ』、「ワクチンを打っても症状を抑えるが、無症候や軽症だとしても少量ながらウイルスは排出する。ウイルスを撲滅できるわけではない」、「ワクチンは発症を抑えるが、感染しても、それに気づかない。結果的にウイルスが広がってしまっている」、大いに留意すべきだ。
第三に、1月17日付け東洋経済オンラインが転載したThe New York Times「いまだに「マスクに基準がない」という大問題 アメリカではようやく規格づくりが進んでいる」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/404218
・『現在、10万以上の種類のフェイスマスクが売られている。絹製のもの、綿製のもの、合成繊維のものがあり、フィルター付きのものとないものがある。またオーバーヘッドバンド式のものと耳に掛けるものがある。キラキラがついたもの、ひまわり柄のもの、友好的なあいさつや侮辱する言葉がついたもの、漫画のキャラクター柄がついたものがある。 こうしたマスクに欠けているのが、どの程度感染粒子を防ぐことができるかを示す表示であり、この欠如はコロナ禍にあって公衆衛生当局者をいらだたせている。専門家の多くは、デザインによってその効果に大きな幅があると指摘しており、中にはほとんど粒子を除去しないものもあるとしている』、日本では大学入試の共通試験で、鼻出しマスクをした受験生が監督者の注意に従わず、受験が無効化される問題が起きたばかりだ。「マスク」を軽視していたアメリカで「マスクに基準がない」のは当然だろう。
・『安全なマスクを身につけているかわからない 「もっとも根本的で、基本的な疑問はどれが最も安全なマスクなのか、そうしたマスクを自分や、自分の家族、子どもたちが持っているか、ということだ」と、昨年8月にアメリカ・メリーランド州の副書記官としての職を辞したフラン・フィリップス氏は語る。「われわれがいまだにそうした情報を持っていないというのは驚くべきことだ」。 それももうすぐ変わるかもしれない。疾病対策センター(CDC)は最低限度のフィルター効果基準を策定し、どの製品がそうした基準を満たすのかを示す表示を作ろうとしている。というのも、マスクやフェイスカバーの市場は巨大化していると同時に混乱しているからだ。 CDCの一部門であり、「NIOSH」として知られる国立労働安全衛生研究所は、ASTMインターナショナル(かつてのアメリカ材料試験協会)とともに粛々とガイドラインを書き続けてきた。それらは近々に公表されることが予想されている。 「基準を設けることによって、出回っているマスク製品を評価する首尾一貫した見方を得ることができ、どの程度の予防効果を期待できるのか知ることができる」と、NIOSHの国立個人用保護具技術研究所の所長マリアン・ダレッサンドロ氏は話す。 パンデミックが始まって以来、マスクやフェイスカバーに対するアメリカ政府の監督はほとんどなされてこなかった。食品医薬品局(FDA)とCDCそれぞれが産業を監督する権限を持っている。入手可能なうち最も予防力のあるN95マスクについてはFDAとNIOSHがそれぞれ監督権限を持っているが、多くのアメリカ人が身につけている布切れのようなマスクはいかなる規制当局も監督権限を持っていない。 昨年4月、FDAが緊急措置を公表したときはちょうど医療施設が防護服などを確保しようと躍起になっており、マスクの売り上げも急激に伸びた。この時の発表を見ると、マスクを販売する会社に対してFDAが規制等を講じることはない、と部分的には読み取れる』、「疾病対策センター(CDC)は最低限度のフィルター効果基準を策定し、どの製品がそうした基準を満たすのかを示す表示を作ろうとしている」、「国立労働安全衛生研究所は、ASTMインターナショナル・・・とともに粛々とガイドラインを書き続けてきた。それらは近々に公表されることが予想」、どんなものになるのだろう。日本の当局も直ぐ追随するのだろう。
・『「マスクの効果は0%〜80%」 一方、FDAは同時にこうしたマスクは「液体防御性やろ過効率の基準を満たすかもしれないし、満たさないかもしれない」とも述べていた。もっともこうした警告が市場を弱めることはなく、多くの効果が鈍い製品が売られているのはFDAの責任だと非難する専門家もいる。 「FDAには状況改善に向けてできることがたくさんあった。とくにどのマスクが有効で、どのマスクがそうでないのか、という研究が世に知れ始めた頃だったのだから」と、非営利の健康政策団体である国立健康研究センターの所長ダイアナ・ズッカーマン氏は話す。 「FDAはマスクをぴったり着用すること、少なくとも二層の布でできており、伸縮性の素材で作られていないことといったガイドラインを発表することだってできたはずだ。かわりに会社間の自由競争になってしまった」 マスクの効果は「素材の構成、層の数、層の接着の仕方によって0%から80%」の幅が生じることがある、と防護装備コンサルティングサービスの会長デール・フリーム氏は語る。同氏はまた、マスクのガイドライン作成に関わる基準策定作業部会のメンバーでもある。 マスクの絶対的な基準はN95である。このマスクはぴったり肌に密着し、とても小さな粒子でも少なくとも95%を除去することができる。だがN95マスクは一般的に医療従事者に用意されたものであり、感染爆発が起こって以来品薄になっている。一部の病院はN95を確保するために、闇市場で手に入れようとしていた。 こうした品不足分を補うためにFDAは昨春、KN95の販売を認可した。アメリカのN95に相当する中国産のものだ。しかしFDAはただちに不正かつ偽造の製品を見つけ、許容できるKN95の輸入範囲を狭くした。それでもいまだに不正品が横行しており、無数の会社がFDAの基準に満たないマスクに「KN95」の表示をつけている。 予防の観点でN95より一段劣るものが、FDAが認可した外科手術用マスクであり、特定の基準を満たさなければならない。外科手術用マスクもまた、多くの企業によってコピーされ、予防レベルが同等ではない模造品が出回るようになった。 そしてもちろん荒ぶる西部のスタイルがある。あらゆる使用可能な生地から作り上げた何百万とあるマスクのことだ。中にはバンダナやゲートルといったものもある。バンダナとゲートルは首の周りに巻き付けた生地をループ状にして1つにつなげたもので、伸ばして顔の下半分を覆うことができる』、「荒ぶる西部のスタイルがある]、いかにもアメリカらしい。,
・『国主導のマスク認可プログラムが必要 まったくマスクをしないよりは、どんなマスクでも付けたほうがいいと公衆衛生の専門家たちは言う。CDCはマスクに関する自らのガイダンスを何度となく改定し、密に編み込まれた多層構造の生地のほうが一層の生地もしくは緩いニットから作られたマスクよりも予防効果が高いとしている。これは装着している人だけでなく、その人が接触する人たちにとってもそうだとしている。 ただし、CDCのウェブサイトはフィルター付きのマスクがフィルターのないマスクよりも予防効果があるかどうかについて明らかにしていないし、合成繊維が綿やそのほかの素材と比較してどうなのかについても明らかにしていない。 「マスクをテストして認定する国主導の機関が必要だし、一般の人々にマスクの使い方や手入れ方法などを伝える必要性もある」と、バージニア工科大学で土木環境工学の教授を務めるリンゼイ・マー氏は語る。同氏は空気中の浮遊ウイルスに関する専門家でもある。 アメリカ政府と産業界の代表者で構成される作業部会は、製造業者が最高ろ過率と最低ろ過率を製品表示に入れられるようにした。最低の基準は20%で、最高は50%だ。 一見低いように見えるが、予防効果は低くない。ろ過効率とは0.3ミクロン大の粒子をろ過する場合の製品効率に基づく。0.3ミクロンは一般に最も貫通力のある粒子としてNIOSHのテストで基準とされている。 「0.3ミクロンで20%の効率ということは、1から2ミクロンの粒子では50%の効率ということになり、粒子をブロックする効率が80%の場合は、4から5ミクロンもしくはそれ以上の粒子ということになる」とマー氏は言う。「この数値のマスクであれば有用だと言える」。 マー氏によると、コロナウイルス自体は0.1ミクロンではあるが、だいたい0.5ミクロン以上のエアロゾルに包まれて運ばれる』、「アメリカ政府と産業界の代表者で構成される作業部会は、製造業者が最高ろ過率と最低ろ過率を製品表示に入れられるようにした」、やはりこうした標準は必要だろう。
・『信頼できる研究所での製品テストが必要 基準策定の助手を務めているジェフリー・スタル氏が語るには、作業部会は「呼吸しやすさ」の点でもマスクとフェイスカバーを評価していくという。基準策定プロジェクトは長期にわたる仕事だった、と彼は話す。 ASTMの規格を満たしていると表示するには生産業者はまず、自社製品を信用のある研究所で製品テストをしてもらう必要がある。また、マスクが国民の多くに十分にフィットすることも示さなければいけない。これをクリアできた場合、製品あるいはパッケージにASTMの規格を満たしていると表示することができる。ただし、表示は強制されるものではない。 ハーバード大学の政治学教授、ダニエル・カーペンター氏はNIOSHの基準を策定する仕事を「規制における起業化精神」と呼んだ。 「『たとえ正式な規制の道具を持っていないにしても、今持っている道具を使おう』と言っているようなものだ」とカーペンター氏は話す。「これは従来とは違う規制のあり方で、これによって極めて重要な規制効果を得ることができる。なぜならもし基準を満たしていなければ、承認の印を得ることができないのだから」 フリーム氏もこの基準が広まることを期待している。「今回できた基準は非常にいいものだ」と同氏は話す。「製造業者はこれに合わせて製品をデザインするだろうし、市場に出荷する製品とパッケージにも規格を満たしているか表示するだろう。消費者もその商品を信頼することができる」。 「ショッピングサイトで売り出されている多く、そして、隣人の車庫で作られているような製品の多くはこの規格を満たすことはできないだろう」 』、「ASTMの規格を満たしていると表示することができる」ためには、「自社製品を信用のある研究所で製品テストをしてもらう必要がある。また、マスクが国民の多くに十分にフィットすることも示さなければいけない」、などの努力も求められるようだ。日本でもマスクの規格づくりを検討すべきだ。
タグ:パンデミック (医学的視点) (その18)(新型コロナ 「ワクチンを打てば感染対策は不要」が間違いな理由、感染力高い変異種の病原性「弱いはずがない訳」 インフル研究の第一人者が見るコロナの先行き、いまだに「マスクに基準がない」という大問題 アメリカではようやく規格づくりが進んでいる) ダイヤモンド・オンライン ヘルスデーニュース 「新型コロナ、「ワクチンを打てば感染対策は不要」が間違いな理由」 ワクチンを打てばCOVID-19対策は不要? 接種したからといって感染予防策が不要になるわけではなく、引き続きマスクを着用し、社会的距離を維持する必要があると警告 「ワクチンを接種していても感染する可能性があり、かつ他者に感染させる可能性もある」、期待が大きかっただけに、いささか失望した 「「ワクチンの有効性は95%だ。つまり、5%のリスクが残されているということだ」と摘する」、言われてみれば、その通りだ 「米国内のすべてのハイリスク者を守るために必要な、推定3億回分のワクチンを生産するには、2021年の秋までかかる可能性が高い」、しばらくは「忍耐の時期」のようだ 東洋経済オンライン 辰濃 哲郎 「感染力高い変異種の病原性「弱いはずがない訳」 インフル研究の第一人者が見るコロナの先行き」 「ウイルスは変異株の集団で、なかには増えやすい変異ウイルスもいる。その増えやすいウイルスが優勢になって感染を繰り返すと考えたらいい」 増殖力の高いウイルスは要注意 「人獣共通感染ウイルスが動物から人に感染してすぐは、さほど増殖効率がよくないはず。人から人に感染を繰り返すうちに、人に順応して体内でより増殖する、すなわち病原性の高い変異ウイルスが出てくる」 ウイルスを擬人化して議論するのは間違いのもと 「人と鳥の両方のインフルエンザウイルスの鍵穴を持っているブタに、両方のウイルスが同時感染し、体内で交雑してブタで受け継がれた結果、人に感染できるウイルスが生まれることがある」、「ブタ」がパンデミックの仲介役になっているとはやれやれだ ウイルスの起源と伝播経路は未解明 「いまは、感染拡大を止めることに力を注ぐべき。重要なのは経済か感染防御かで、あやふやな対策を講じないこと。そもそも両立させるのは無理です」 ワクチンは感染を防がない ワクチンを打っても症状を抑えるが、無症候や軽症だとしても少量ながらウイルスは排出する。ウイルスを撲滅できるわけではない ワクチンは発症を抑えるが、感染しても、それに気づかない。結果的にウイルスが広がってしまっている The New York Times 「いまだに「マスクに基準がない」という大問題 アメリカではようやく規格づくりが進んでいる」 鼻出しマスクをした受験生が監督者の注意に従わず、受験が無効化される問題が起きたばかりだ 安全なマスクを身につけているかわからない 「マスク」を軽視していたアメリカで「マスクに基準がない」のは当然だろう 疾病対策センター(CDC)は最低限度のフィルター効果基準を策定し、どの製品がそうした基準を満たすのかを示す表示を作ろうとしている 「国立労働安全衛生研究所は、ASTMインターナショナル・・・とともに粛々とガイドラインを書き続けてきた。それらは近々に公表されることが予想」 どんなものになるのだろう。日本の当局も直ぐ追随するのだろう 「マスクの効果は0%〜80%」 「荒ぶる西部のスタイルがある]、いかにもアメリカらしい 国主導のマスク認可プログラムが必要 「アメリカ政府と産業界の代表者で構成される作業部会は、製造業者が最高ろ過率と最低ろ過率を製品表示に入れられるようにした」、やはりこうした標準は必要だろう 信頼できる研究所での製品テストが必要 「ASTMの規格を満たしていると表示することができる」ためには、 「自社製品を信用のある研究所で製品テストをしてもらう必要がある。また、マスクが国民の多くに十分にフィットすることも示さなければいけない」 などの努力も求められるようだ
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