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ペット(その2)(猫が飼い主の顔色を読んで振る舞っている証拠 人との長い共生を経て進化した実はすごい能力、「犬は家族を順位付けする」が迷信にすぎない訳 体罰を用いる強制的なトレーニングを正当化、島忠が目論む「動物保護活動新時代」の幕開け 「ステイホーム」でペット人気が高まっている) [生活]

ペットについては、2018年1月31日に取上げた。今日は、(その2)(猫が飼い主の顔色を読んで振る舞っている証拠 人との長い共生を経て進化した実はすごい能力、「犬は家族を順位付けする」が迷信にすぎない訳 体罰を用いる強制的なトレーニングを正当化、島忠が目論む「動物保護活動新時代」の幕開け 「ステイホーム」でペット人気が高まっている)である。

先ずは、昨年10月29日付け東洋経済オンラインが掲載したネコ心理学者・麻布大学特別研究員の高木 佐保氏による「猫が飼い主の顔色を読んで振る舞っている証拠 人との長い共生を経て進化した実はすごい能力」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/383369
・『近年急速に進む猫の研究。そのなかで、これまで謎に包まれていた「猫の能力」が明らかになってきている。猫専用ヒーリングミュージックCD付きの『猫がゴロゴロよろこぶCDブック』を著した猫の心理学者が最新の研究から解説する』、興味深そうだ。
・『猫の鳴き声は人好みにかわいく進化した!?  仕事に集中していると、すたすたと歩いてきて、「にゃお~ん」とかわいく鳴く猫。ついついかまってあげては仕事が進まず……なんていう経験をしている飼い主は、私だけじゃないはず……。 猫の「ミャオ」という鳴き声は、意外にも大人になった猫同士ではほとんど使われません。本来、仔猫が母親の気を引くための鳴き声だからです。 つまり、大人の猫が「ミャオ」と鳴くのは、対人に限定されているのです。 猫は対人用コミュニケーションで自らの強力な武器である「かわいい」鳴き声を使って、人を見事に操っているのですね。 それではその鳴き声は、昔からかわいかったのでしょうか? 祖先種と比較して、本当にかわいくなっているのかを調べた論文があります。 アメリカのコーネル大学の研究者は、ヤマネコの「ミャオ」という鳴き声と猫の「ミャオ」という鳴き声の音響解析を行いました。 すると、猫の「ミャオ」の方がより短く、高くなっていることがわかりました。 一般的に高い声は「小さな生き物」を示唆します。 この解析結果からも、猫の声がかわいい鳴き声になっているといえそうです。 この研究のおもしろい点は、それを実際に人に聞かせて、「どれくらい心地よいのか」を評定してもらったところです。この評定を行うことで、人が聞いて「かわいい」声に進化したのかどうかが明らかになります。 その結果、ヤマネコの鳴き声よりも、猫の鳴き声の方がより心地よいと判断されました。 猫は人と共生するようになって、人が好むような声に変化させてきたといえます。 おそらく、猫と人の共生が始まった頃に、たくさんいる猫のなかでも、たまたま人が聞いてかわいい声で鳴く猫に、人が多くの餌をあげたりしたのでしょう。その猫の栄養状態はよくなり、より多くの子孫を残したと推測されます。 もしくは、甘え上手な猫が屋内で大切に育てられたなどの経緯があったのかもしれません。そのような共生の歴史のなかで、かわいく鳴く猫が多く生き残っていったのだと考えられます。 みなさんは、猫が窓の外を見ながら物思いにふけっているような様子を見たことはありませんか? このような猫の様子を見ていて、1つ気になることがありました。 それは、猫も人のように、楽しかった思い出などをなつかしく思い出したりするのだろうか?ということです。 いわゆる「思い出」を心理学では「エピソード記憶」と呼びます。 猫のエピソード記憶を調べる方法は次の通りです。 4つのさまざまなお皿を用意して、すべてにごはんを入れます。 お皿の前に猫を連れて行き、お皿に入ったごはんのうち2つは食べさせますが、残りの2つのお皿からは匂いを嗅がせるだけで、食べさせません。 その後15分程度、他の部屋で違う実験をしたり、一緒に遊んだりしてごはんのことをいったん忘れてもらいます。 15分後、もう一度お皿の置いてある部屋に猫を入れ、自由に探索させます。 猫が記憶を頼りに探索行動ができるように、お皿の中身は実験者によって取り除かれています(もしごはんがそのまま放置してあると、猫はごはんという外部の手掛かりを用いてしまうため)』、「大人の猫が「ミャオ」と鳴くのは、対人に限定されているのです。 猫は対人用コミュニケーションで自らの強力な武器である「かわいい」鳴き声を使って、人を見事に操っている」、「ミャオ」と鳴くのは、対人に限定とは初めて知った。確かに巧な戦略だ。
・『猫が探索したお皿は?  さて、猫はどのお皿を探索したでしょうか? 結果は、猫は先ほど食べ損ねたお皿を長く探索することがわかりました。 「あれ?さっき食べ残したはずなのに……」とでも思っているのでしょうか。 このような実験から、「猫もエピソード記憶をもつ」ということがわかりました。 実はこの実験は犬でも行われたのですが、結果は猫とほとんど一緒でした。 犬も猫もお留守番中や、ふとした瞬間に「昨日飼い主さんと遊んで楽しかったなあ」「さっきもらったおやつ、おいしかったな」などと思い出しているのかもしれませんね。 また、エピソード記憶は、未来に向けた想像力との関連も指摘されています。 もしかしたら窓の外や飼い主を見つめている猫は、これまでの猫生のいろいろな回想をしたり、「明日、あのおやつをもらえたらいいなあ」と思ったりしているのかもしれません。 猫と暮らしていると、猫の自由奔放な行動に悩まされることもあります。 そこで、日々の暮らしから疑問が湧いてきました。 猫は人の表情(顔色)を読むのでしょうか?そんな疑問に答えた研究があります。 2015年にアメリカの研究者が「猫は人の感情を区別できるのか」についての論文を発表しました。 実験はすごくシンプルです。 飼い主と知らない人がそれぞれ、楽しそうな表情/怒った表情を表出し、その際の猫の行動を観察します。 この実験のポイントは、声の効果を除外するために、表情のみを表出するところです。 怒り声を出してしまうと、本当に猫が表情を読んだのか、声を手掛かりにしたのかがわからないからです』、「猫」や「犬」に「エピソード記憶」があるのであれば、「窓の外や飼い主を見つめている」時には、「いろいろな回想をしたり」「しているのかもしれません」、と想像するだけで楽しくなる。
・『知らない人の表情には関心がない  その結果、猫は飼い主が楽しそうな表情をしているときによく接近し、猫自身ポジティブな行動(耳を前に向ける、リラックスした姿勢をとるなど)をよく見せることがわかりました。 一方で、知らない人が楽しそうな表情を見せても怒りの表情を見せても、猫の行動は変化しませんでした。大変おもしろい結果です。 おそらく猫は、人の表情を一般化して理解してはいないのでしょう。 「飼い主さんがこんな感じの顔をしているときは、近寄っていくといいことがある!」と個別の学習をしていると考えられます。 そのため、知らない人が同じ表情を見せても、猫にはなんのことかわからなかったのかもしれません。もしくは、知らない人に対しては親しくしてほしくなかった可能性もありますが……。 犬の場合、たとえ知らない人の刺激を用いてもポジティブな表情とネガティブな表情を区別できるといわれています。犬はより一般的な「人の表情の理解」が見られるといってもよいのかもしれません。 犬に対して猫は、飼い主の表情を地道に学んでくれているとすると、とってもかわいい結果だなと思います』、「犬」の場合は「猫」と違って、猟犬や犬ぞり牽引などのように、「飼い主」が複数になる場合もあるので、「たとえ知らない人の刺激を用いてもポジティブな表情とネガティブな表情を区別できる」ようになったのだろう。歴史的経緯がペットの世界にもあるようだ。

次に、本年1月4日付け東洋経済オンラインが掲載した獣医師の奥田 順之氏による「「犬は家族を順位付けする」が迷信にすぎない訳 体罰を用いる強制的なトレーニングを正当化」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/397957
・『「犬は家族に順位を付けている」という話が、実際は異なることが最近の研究で明らかになっています。獣医師の奥田順之氏の『“動物の精神科医"が教える 犬の咬みグセ解決塾』より一部抜粋・編集してお届けします』、「俗説」には「要注意」のものもあるようだ。
・『しつけに関する俗説に要注意  かむ犬に対するしつけに関しては、さまざまな俗説が聞かれます。 「かむ犬には上下関係を教えないといけない」 「リーダーウォークが大切」 「かまれたら、手を口の中に押し込め!」 よく聞くこのようなアドバイスは、本当にかむ行動を解決できるのでしょうか?結論からいいますと、これらの俗説を信じて対応することは、意味がないばかりか、攻撃行動を悪化させることすらあります。 もちろん、たまたまうまくいく場合もありますが、深刻な攻撃行動に対しては、大抵はうまくいきません。その理由は犬がかむ行動の原因に目を向けていないからです。 犬がかむ原因はひとつではなく、多様な要因が絡み合っており、改善には、それぞれの要因に合わせた対応を行う必要があります。かむ原因に目を向けずに、「かむ犬には〇〇をすればいい」という、短絡的な対応をしても、かみつきが改善されることは稀です。 たとえば、車が動かなくなった時、エンジンが悪いのか、タイヤが悪いのか、電気系統が悪いのか、バッテリーが悪いのか、わからずに対処するエンジニアはいません。 犬と人の関係も同じです。犬がかむ、人がかまれるという関係は、決して良い共生関係とはいえません。その共生関係の破綻がどのようにして起こっているか、その原因もわからずに、「リーダーウォークで上下関係を教える」という対処をしても、エンジントラブルで動かない車のタイヤ交換をするようなものです。 かむ行動には理由があります。それもとても多くの要因があり、親犬からの遺伝、胎児の時の発達、母犬の子育ての仕方、社会化などの発達の問題や、脳や身体の疾患が関わっていることもあります。 そして、どんな攻撃行動でも、飼い主との相互学習の影響は大きいといえます。そのうえ、それぞれの家庭において、それぞれ独自の学習が起こっています。それぞれの攻撃行動は、個々の環境で多様な要因が積み重なって発生しています。これらの要因を知らずして、攻撃行動への対処はできないわけです。 「犬は家族に順位をつけて、自分が上に立つからかむんでしょ?」という話は、飼い主さんからよく聞きますし、半ば常識化しているような気がしますが、この話は迷信だということをご存じでしょうか。 犬の群れでは、階層的な順位関係が観察されないことが、野犬の群れの観察から見出されています。犬同士ですら明確な順位をつけないのですから、人と犬の間で順位を付けるというのは論理が通りません。さらにその順位を理由にして、犬が上位だから、下位の家族を攻撃するという考え方はとても無理があります』、「犬の群れでは、階層的な順位関係が観察されないことが、野犬の群れの観察から見出されています。犬同士ですら明確な順位をつけないのですから、人と犬の間で順位を付けるというのは論理が通りません」、なるほど。
・『オオカミの行動研究を犬に当てはめていた  では、この順位づけの迷信はどこから生まれたのでしょうか。これはオオカミの行動研究を犬に当てはめて考えたことに起因しています。従来、オオカミの行動観察は、飼育下での行動を中心に研究されてきました。 飼育下のオオカミの群れでは、社会的階層構造が築かれることが知られています。群れの最上位の個体のことをα(アルファ)、その次の個体をβ(ベータ)、その次をθ(シータ)と呼称し、食事の摂取や心地よい寝床の使用など、資源が競合する場面で、順位が上の個体が優先権を持つことが観察されています。 そして、群れのなかはαの座を巡って常に緊張関係にあり、順位関係の挑戦に基づく攻撃行動が観察されたため、オオカミの群れでは、直線的で絶対的な順位関係が存在すると考えられてきました。 しかし、近年、野生のオオカミの群れを観察した研究によって、この考えは覆されました。野生のオオカミの群れは基本的に血縁のある家族であり、両親と子どもたちによって構成され、直線的で絶対的な順位関係を築くのではなく、親や若い個体が、幼い子どもに食餌を与えるなど、互いに支え合いながら生活していることがわかってきました。 「犬は家族との間に序列を作る」という話は、従来の絶対的順位関係を作ると考えられてきたオオカミ像を、犬に当てはめて考えるようになったことがきっかけでした。オオカミの群れのように、人と犬の間でも、人が犬のαにならなければならない、人が犬の絶対的上位者にならなければならないという考え方が広まったのです。 さらに、この考えを攻撃行動に当てはめたものが、アルファシンドローム(権勢症候群)です。アルファシンドロームは、犬が認識している自らの社会的順位が脅かされることによって生じる、もしくはその順位を誇示するためにみせるとして定義されてきました。 たとえば、犬が何か自分にとって嫌なことが起こりそうになった時、食べ物など良いものを取られそうになった時、ソファなど気持ちの良い寝床からどかされそうになった時などに、家族に対して攻撃する状態を指し、その原因について、犬が家庭内でαになってしまったためだと解釈されていました』、「アルファシンドローム」など「俗説」は、一見、もっともらしいだけに騙され易いようだ。
・『「犬が上に立っているからかむ」は迷信  犬をαにしてはいけない、飼い主がαにならなければならないという考え方は旧来行われてきた体罰を用いる強制的なトレーニングを正当化し、また、飼い主にそうしたトレーニングを指導するうえで、都合のいい考え方でした。 そのうえ、オオカミが順位を作り、犬も同じように順位を作るという話は、正しいかどうかは別として、専門家や飼い主にとってわかりやすかったため、世界的にもてはやされました。そして、日本では今でも信じられているという状況です。 しかしながら、野生のオオカミの群れの観察で、α理論の根拠となっている従来のオオカミ像が否定されたうえに、オオカミと犬の行動も大きく異なっていることがわかっている現在、α理論を、人と犬の関係を説明するために用いることは不適切であると考えられています。 かつて、アルファシンドロームと診断された犬でも、あらゆる場面で攻撃的になるわけではなく、攻撃的になる場面では、フードを守る、居場所を守る、触られるのが嫌・怖い等、それぞれに特定の原因が存在します。 
このことから、個別の場面では個別の動機づけを分析する必要があり、序列関係を攻撃行動の原因と考えることは適切ではないという考え方が、行動学者の間でも一般的になっています。「犬が上に立っているからかむんだ」という指摘は、根拠のない、迷信なのです』、「個別の場面では個別の動機づけを分析する必要があり、序列関係を攻撃行動の原因と考えることは適切ではないという考え方が、行動学者の間でも一般的になっています」、今回の「迷信」は「世界的」だったとはいえ、今だに信じる日本人が多いのは、残念なことだ。

第三に、2月14日付け東洋経済オンラインが掲載したフリーライターの圓岡 志麻氏による「島忠が目論む「動物保護活動新時代」の幕開け 「ステイホーム」でペット人気が高まっている」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/409909
・『コロナによるライフスタイルの変化は、動物にも大きな影響を与えている。家にいる時間が長くなったことでペット需要が高まり、ペットショップでの販売数や、保護団体への譲渡申し込みが増えたというのだ。 国全体の犬猫の殺処分数は減っているものの、まだゼロには至っていない。共生社会に向けて、動物と暮らすという選択肢が増えるのは望ましいことだ。 ただ、ペットを巡る社会状況は大きな矛盾もはらんでいる。生きる場を与えられず処分されてしまう犬や猫がいるいっぽうで、ペットを販売するペットショップや繁殖させるブリーダーがいる。一概にどうとは言えず、簡単には答えの出ない問題だ。 こうした状況に一石を投じたのが、ホームセンターの島忠である』、日本は主要先進国のなかでも、「ペットショップ」で「ペット」が「販売」されている数少ない国だ。
・『ペット陳列販売を廃止、保護動物譲渡会の場に  島忠では2020年7月1日より、与野店、浦和南店においてのペット陳列販売を廃止。同店での販売方法を、島忠の認可を得たブリーダーを通じての紹介に切り換えた。また、ペットの陳列販売が行われていた、店内のケージの並ぶスペースは、両店で月に2~3回実施される保護動物譲渡会の場として活用する。 ペットをビジネスとする事業者にとって大きな決断であり、ここまで至るにはさまざまな障壁があったことだろう。それらを越えて一歩を踏み出した思いの強さもまた感じられる。 さいたま市の島忠本社を訪ね、今回の経緯や意図、今後の見通しなどについても聞いた。なお、以下レポートは2020年10月29日に取材した内容をもとに構成している。 まず同社での保護動物に関する一連の取り組みについて、島忠セールスインキュベーション部(取材当時)重田賢一氏は次のように説明する。 「当社での保護動物譲渡会などの取り組みは2017年からです。活動を行うなかで、社会の変化につれ、取り組みを応援するリアルなお客様の声がSNSなどを通じて寄せられるようになりました。もとは1人の社員の熱意から始まったことですが、社内でも意識が変わってきました。今、保護動物が家族としての新しい選択肢として当たり前になろうとしている。そうした大きな潮流を感じています」(重田氏) 同社ではさいたま市ほか都内近郊18店舗(2021年2月現在は実施店舗が増え、28店舗)で保護猫譲渡会を行うほか、「犬猫フード募金」として、犬猫フードの売り上げの一部を保護動物団体に寄付している。 譲渡会については、コロナによりイベント等が中止されていた状況下でも、「流れを止めてはいけない」という思いから、コロナウイルスの感染対策を講じ、6月末から開始していたそうだ。 2回目の宣言が発令されている現時点でも、「イベントではなく、保護動物を救うための社会貢献事業」(同社ホームページより)としての位置づけであるため、一部店舗を除いて、感染症対策に一層の留意をしながら継続させている』、昨年7月から「ペット陳列販売を廃止、保護動物譲渡会の場に」、とは思い切った戦略だ。
・『動物との共生社会…譲渡会を行う意義  同社の立場の難しさが、ペットやペットグッズでビジネスを行っている企業であるいっぽうで、保護動物活動に取り組んでいるところである。皮相的な見方をすれば、保護猫などを里親に譲渡する譲渡会は、ペットショップにとっては競争相手になるともいえる。 しかし同社は、「動物との共生社会」という、より大きな目標に向けて、取り組みを進めていこうとしている。 まず、譲渡会に関しては、全店舗中のペットショップのない店舗に限り行うこととしている。 また譲渡会には、地域における動物愛護活動や、保護猫活動にまつわる意識啓発という面もあるという。今はずいぶん意識が高まっているものの、昔は飼えなくなった動物を無責任に誰かにあげたり、捨てたりするのは当たり前に行われていた。こうしたことも結果的に行き場のない猫や、不幸な猫を増やす原因になる。 「まず地域地域で、意識を高めていく必要があります。その点で、店舗での譲渡会がお客様にとっては気づきの機会になると考えています」(重田氏) もちろん、譲渡会で里親になってくれる家庭が増える利点も大きい。地域にとってはいわゆる「野良猫」が減り、活動団体にとってはレスキューする猫が減るから助かる。そしてペットを飼う家庭ではペットフードやグッズが必要になるが、島忠ではペットフードについては売上金の一部が募金になるので、保護活動と地域の間でお金が循環する仕組みができあがる。 島忠という企業、保護団体、地域や飼い主という3者が連携しながら、共生社会へ向けて取り組みを継続させていくイメージだ。 そして、2020年7月の一部店舗における展示販売廃止はさらに2歩も3歩も先へ行く取り組みだ。同店舗では生体の陳列販売を廃止し、店頭でブリーダーとのマッチングを提案する。 このことについて、同じくセールスインキュベーション部の君島雄貴氏は次のように説明する。 「動物と飼い主が正しく出会う場の選択肢を増やしたいという思いがありました。ブリーダーがわが子のように手塩にかけて育てた動物たちを新しい家族に引き合わせる。命を大量生産して陳列するのではなく、地域のお客様と新しい家族のマッチングの場となるような場所にしたいです」(君島氏) また、ペットショップにとってもメリットがある、と君島氏は説明する。 「地域に飼い主が増えれば、動物病院よりはもう少し身近な相談所が必要になるはずです。現に、コロナ禍では病院が休みになったり、受け入れ制限があったりで、ペットショップに相談に来られた飼い主さんも増えたんですね。また療法食といったプロ用の商品の品揃えや、ケアなどのサービスも含めた、ペットに関する知識に裏付けられたより細やかな接客が求められるようになると考えます」(君島氏) ペットショップ側でも、展示販売といってもただ並べて売っているだけではない。動物の世話をしたり健康を維持する、いわば動物園で言う「バックヤード」の部分が存在する。そのバックヤード機能を前面に出し、より付加価値の高いサービスへと進化させていくということだろう』、「同店舗では生体の陳列販売を廃止し、店頭でブリーダーとのマッチングを提案する」、なるほど。
・『島忠の活動は「エポックメイキングな取り組み」  島忠の今回の取り組みには、ブリーダーの選別という利点もあるそうだ。ブリーダーの中には悪質な業者もあり、十分なスペースがない環境で飼ったり、動物の健康に配慮せず無理な繁殖をさせるところもあるという。 今は全国60店舗のうち2店舗で実験的に始めた取り組みだが、SNSなどでも消費者からポジティブな反響を受けており、広げていくことを願っているそうだ。 こうした島忠の活動について、保護猫団体にも話を聞いた。同社に2017年から協力している川越市の団体「ねこかつ」だ。 「島忠さんはわれわれにとっては希望の光です。島忠さんで譲渡会を開催していただいていることは、世の中をガラッと変える、エポックメイキングな取り組みだと思いますよ」(ねこかつ代表の梅田達也氏) 梅田氏は小学生の頃から「保健所などに送られる猫を助ける仕事がしたい」という目標をもち、会社員時代は休日を保護猫ボランティアに費やしていた。 2011年、東日本大震災における動物レスキューにボランティアで参加。 しかし、収容するための人手も場所も不足し「助けたくても助けられない」という悲しさ、悔しさを噛みしめた。このことをきっかけとし、保護すべき猫をゼロにすることを目標に、2013年、保護猫カフェである「ねこかつ」を始めた。 団体名には、猫の保護活動を「婚活」「就活」のように当たり前のこととしたい、という思いが込められている。 島忠と連携するようになったきっかけは、島忠側から保護猫譲渡会の依頼があったことだそうだ。 「いろいろな施設にご協力いただいて譲渡会を行ってきました。動物愛護に関する施設側の熱意や取り組みはそれぞれ異なりますが、その中でも島忠さんは一貫して続けてこられていて、しかも年を追うごとに、熱意が強くなっていった感じがしています」(梅田氏) 2017年当時窓口になっていた1人の担当者の思いが社内に広がっていったことを感じたという。 「社員の方による動物愛護センターの視察も不定期に行っており、私も3回ほど立ち会っています。つまり、殺処分を待っている動物たちがいる現場ということです。私たち保護活動家はかわいそうで見られないんです。でも、島忠の社員さんは『実際に見ないといけない』という覚悟を持っていらっしゃるようですね」(梅田氏) なお島忠ではこうした活動のほか、2019年には海外の現地調査も実施。社員を派遣し、アメリカの動物愛護活動に取り組んでいる企業を視察した。一般的に、動物保護の法制度や体制に関しては欧米のほうが先進的であるとされている』、「ブリーダーの中には悪質な業者もあり」、今回の措置は「ブリーダーの選別という利点もあるそうだ』、「悪質な業者」を淘汰する意義は大きそうだ。
・『コロナ禍でのペットブームとこれから  最後に、島忠、ねこかつ両者にコロナ禍でのペットブームについても聞いてみた。ペットを受け入れたものの、実際には飼えなくなるケースも出ているのでは、と考えたためだ。 「緊急事態宣言下では、HC(ホームセンター)の売り上げ同様、ペットの生体販売やペット用品の売り上げは伸長しておりました。また保健所への問い合わせが増えたということは耳にしました。都内近郊は保護団体が活発なのですが、地方に行くほど団体が少なくなるし、動物保護に対する意識も遅れているように感じます。自粛期間(筆者注:2020年4〜5月の緊急事態宣言期間)はまた保護団体も譲渡などの活動ができなくなりましたし……。近県での動物愛護センターが犬や猫で満杯になった、という話です」(君島氏) 一方、ねこかつでは里親を希望する家庭の面接をし、飼うのが難しいと判断した場合は譲渡を断る場合もある。そのため飼い続けられない、という相談は入っていないそうだ。 今は改定動物愛護法のもと、動物を捨てることは犯罪として禁じられている。また動物保護団体はねこかつのように、飼い主の家庭環境を見極めたうえで譲渡するところがほとんどだ。愛護動物を巡っては、人の意識も社会制度も、一昔前とはずいぶん変わってきているのだろう。 コロナ禍など社会の変化があったとしても、この流れを中断させるようなことがあってはならない。企業の保護活動についても、その火が絶えることのないよう、消費者自身も手を携えて守っていかねばならないだろう』、「愛護動物を巡っては、人の意識も社会制度も、一昔前とはずいぶん変わってきている」、他の先進国に比べ遅れていた日本も漸く変わりだしたのは好ましいことだ。広く定着してほしいものだ。
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