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バイデン政権(その1)(バイデン政権へ影響力高めるもう1人のジョー 中間選挙へ向け左傾化のイメージ払拭に一役、「トランプ逮捕」はあるか 財務記録入手で不正疑惑捜査は核心に、政局を横目にバイデン政権は安全運転 その先は?) [世界情勢]

今日は、バイデン政権(その1)(バイデン政権へ影響力高めるもう1人のジョー 中間選挙へ向け左傾化のイメージ払拭に一役、「トランプ逮捕」はあるか 財務記録入手で不正疑惑捜査は核心に、政局を横目にバイデン政権は安全運転 その先は?)を取上げよう。なお、前回は「トランプ VS バイデン(その3)」として、1月26日に取上げた。

先ずは、3月6日付け東洋経済オンラインが掲載した米州住友商事会社ワシントン事務所 調査部長の渡辺 亮司氏による「バイデン政権へ影響力高めるもう1人のジョー 中間選挙へ向け左傾化のイメージ払拭に一役」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/415358
・『バイデン大統領は任期中で最も重要となるかもしれない法案に間もなく署名する。それは過去1年間、アメリカ国民を悩ましてきたパンデミックに終止符を打つべく、最大1.9兆ドル(約200兆円)規模の追加経済支援策「アメリカ救済計画法案」だ。だが、バイデン政権は選挙公約に反し、初っ端から民主党単独で強行採決し、法制化に至る見通しだ』、興味深そうだ。
・『バイデンの理想どおりに進む議会審議  追加経済支援策では、バイデン大統領は最初から超党派合意は棄てていたように見える。政権発足から2週間も経たない2月1日、バイデン大統領は穏健派の共和党上院議員10人とホワイトハウスで面談。彼らが提案する6180億ドルの支援策と政権の目指す1.9兆ドルの支援策の妥協案を模索する交渉がその後始動するかとも思われた。 だが、その期待はすぐに消え去った。政権は聞く耳を持っているそぶりを見せていたものの、共和党との妥協案を交渉する意思はなかったのだ。会合から約1週間後には議会民主党が予算決議を通し、バイデン政権が民主党のみで可決できる財政調整法を利用し法案策定を進めたことは、共和党を激怒させた。 政権が超党派合意を早期に放棄したのには理由がある。バイデン政権では、ロン・クレイン大統領首席補佐官をはじめ2009年の苦い経験を鮮明に記憶しているオバマ政権経験者が多数、要職に就いている。当時、リーマンショック後の景気対策「アメリカ再生・再投資法(ARRA)」で、オバマ政権は共和党の支持獲得のために支援額を減らすことなどに妥協するも、結局、ほとんど共和党の支持を得ることができなかった。 減額されたことが経済回復の遅れをもたらし、オバマ政権の経済対策を批判する共和党が翌年の中間選挙で下院議席を63も民主党から奪い大勝し、民主党にとって悲惨な結果をもたらした。これを教訓に、危機の中で時間を無駄に過ごすという同じ過ちを犯してはいけないと政権幹部は考えているのだ。 そしてバイデン政権は単独行動に強気となれるもう1つの理由がある。議会では共和党が1人も賛成しないとしても、国民世論において追加経済支援策は党派を問わず幅広い支持を得ているのだ。モーニングコンサルト紙・ポリティコ紙が実施した世論調査(2月26日~3月1日)によると、追加経済支援策は全国民の77%、共和党支持者のみでも59%の支持を集めている。民主党は超党派の定義を「議会」ではなく「国民」にすり替え、公約違反でないことを主張している。 いずれも「上院の生きもの」とも呼ばれるバイデン大統領と共和党のミッチ・マコネル上院院内総務は、上院で24年間ほど肩を並べて働いた仲だ。お互いの信頼関係は揺るぎがないとも報道されてきた。ジョージア州決戦投票により民主党の上院奪還が確定するまでは、ワシントンの「パワーカップル」になるとも称され、超党派合意に期待感が高まっていた。 だが、その期待は甘く、2極化社会における議会には個人的な信頼関係では乗り越えられない壁があることが明らかになってきた。追加経済支援策のように国民に人気の法案でさえ、議会で超党派の合意を得られていない。そのことは、今後4年間の政権運営の厳しさを示唆し、多くの場面でバイデン大統領は民主党のみで可決できるものに頼らざるをえない。したがって今日、バイデン政権にとって重要なのは、超党派合意よりも民主党の党内団結となっている』、「オバマ政権」時代の「共和党の支持獲得のための妥協が、民主党のトラウマになっているようだ。「バイデン政権にとって重要なのは、超党派合意よりも民主党の党内団結」、なるほど。
・『民主党穏健派ジョー・マンチンの影響力  民主党がホワイトハウス、そして上下両院を握る「三冠(トライフェクタ)」が実現したワシントン政治において、新たな「パワーカップル」は2人のジョーだ。1人はもちろん、ジョー・バイデン大統領。そして、もう1人は民主党穏健派の代表格ジョー・マンチン上院議員だ。その影響力は議会民主党トップのナンシー・ペロシ下院議長やチャック・シューマー上院院内総務をも上回ると指摘される。 トライフェクタであっても、民主党内では急進左派と穏健派で政策は大きく異なり一枚岩ではない。特に上院では民主党50議席・共和党50議席で、カマラ・ハリス副大統領の決定票でぎりぎりの過半数を得る窮屈さで、民主党議員の造反を1人も許す余裕がない。バイデン政権は党内で最も勢いがある民主党急進左派の望む項目を多々、政策目標に盛り込んでいるが、大幅な左傾化からの防波堤となっているのがマンチン氏を筆頭とする数名の民主党穏健派議員だ。 マンチン氏は、人口が日本の札幌市よりも少ない約180万人のウェストバージニア州選出の上院議員だ。同州ではトランプ大統領が2016年も2020年も圧勝し、2020年は全米でワイオミング州に次ぐ大差で勝利したレッドステートだ。ウェストバージニア州選出の政治家は共和党ばかりで同氏は孤立している。 マンチン氏は政策によっては同じ政党の急進左派よりも、共和党穏健派に近い。ホワイトハウスは、コロナ対策をはじめ重要な政策で民主党穏健派の中でも特に同議員の動向を注視している。直近ではリベラル派のニーラ・タンデン氏を行政管理予算局(OMB)局長に指名する案を撤回させるなど、人事面でもマンチン氏は影響力を行使している。) 追加経済支援策の中身は大きく分けると、3つ。第1に伝統的な景気刺激策、第2にコロナ対策に直接関わる支援、第3に支援策に便乗して追加された民主党が長年掲げる政策だ。支援規模以外では民主党穏健派や共和党は3つ目の便乗政策について特に懸念を示してきた。便乗政策の中で最も注目を集めたのが最低賃金引き上げだ。 バイデン政権は上院の財政調整法を利用する場合、そもそも時給15ドルへの最低賃金引き上げは議会職員である議事運営専門員(パーラメンタリアン)の判断で、最終法案に盛り込まれないと見ていた。財政調整法の適用範囲は、歳出、歳入、債務上限に関わる分野などに限定されている。にもかかわらず、あえて法案に含めることを支持してきたのは、長年、急進左派が強くこだわっている政策であるからだ。 パーラメンタリアンは各政策について中立的な立場で財政調整法に盛り込むことが適切か判断を下す。その際の判断基準は、ウェストバージニア州選出という意味ではマンチン氏の大先輩に当たるロバート・バード元上院議員が作成した「バードルール(Byrd rule)」だ。パーラメンタリアンの審査はバードバス(Byrd(bird) bath:鳥の水浴び)、そしてその過程でバードルール違反として却下(drop)される行為はバードドロップ(Byrd(bird) drop:鳥の糞)と議会職員の間では呼ばれている』、「パーラメンタリアン」とは面白い制度だ。
・『2人のジョーを救ったパーラメンタリアン  バイデン政権は党内団結のためにも、急進左派と穏健派の微妙なバランスを取らなければならない。だが、中立な立場のパーラメンタリアンといった第三者が判断するのであれば、急進左派も政権に対し文句をいえないであろうとの計算があった。したがって2月25日、パーラメンタリアンが最低賃金をバードドロップしたことはバイデン政権にとっては理想の結果であったのだ。 仮にパーラメンタリアンが時給15ドルの最低賃金引き上げを認めていたら、バイデン政権にとって厄介なこととなっていた。その場合、上院では少なくとも穏健派のキルステン・シネマ氏(アリゾナ州選出)とマンチン氏の民主党議員2人が支援策に反対票を投じ廃案となるか、あるいは、可決に時間を要することが想定されていたからだ。バイデン政権の重要法案を廃案に追い込んだとすれば、民主党穏健派議員は民主党支持基盤からの批判を受け、苦境に陥っていたであろう。) だが、実際にはパーラメンタリアンの判断はあくまでも助言にすぎず法的拘束力は伴っていない。議会ではカマラ・ハリス副大統領がパーラメンタリアンの判断を覆すシナリオに関するメモが出回っていた。特に下院の急進左派が最低賃金の引き上げを長年支持してきた同副大統領に圧力をかけていたのは確かだ。 しかし、急進左派からの圧力は見られたものの、追加経済支援策が崩壊する事態までには発展せず、法案可決に向けて民主党は団結し着実に前進している。バイデン大統領にとって理想通りの展開となっている』、「民主党」も「穏健派」と「急進左派」の幅が広いので、バランスを取る「バイデン大統領」も大変だ。
・『左傾化を避け、中間選挙で三冠を堅持できるか  政権と同じ政党が上下両院を握っている場合、大統領は任期1期目の中間選挙で上院あるいは下院で多数派の座を失うケースが多い。たいていは与党内の左派あるいは右派の行きすぎた政策に対し、国民からしっぺ返しを食らうものだ。 議会で共和党の支持を得られず民主党のみで間もなく成立する追加経済支援策も、同様の運命にあるのか。今後、共和党が同支援策は急進左派の望むリベラルな政策であると烙印を押す格好でイデオロギーをめぐる争いを仕掛けるであろう。 一方、民主党は危機時に国民に人気の現金給付などに共和党が反対したことを訴えて反論するであろう。そもそも現金給付はトランプ前政権も支持していたことだ。追加経済支援策への国民の高い支持率が、中間選挙に向けてどう推移するか注目だ。15ドルへの最低賃金引き上げ断念に加え、タンデン氏指名承認の断念は一見、バイデン政権の失敗とも見えるが、左傾化のイメージを払拭するうえで、バイデン政権にとって中長期的には喜ぶべきことかもしれない。 今年10月以降の2022年度予算では、バイデン政権の次の重要法案である環境に軸足を置いたインフラ整備法案を再び民主党のみで可決しようとするだろう。マンチン氏をはじめ穏健派の抵抗によって政策の左傾化を避け、同時に経済回復の追い風が吹けば、民主党は2022年中間選挙での敗北を免れるかもしれない。アメリカ政治の行方はパンデミック、経済の行方などさまざまな不確実性がつきまとうが、確実なのは2人のジョーが中間選挙までの約20カ月間、ワシントンの政治を大きく動かしていくことだ』、「2人のジョー」のお手並みを拝見するとしよう。

次に、3月26日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した国際ジャーナリスト・外交政策センター理事の蟹瀬誠一氏による「「トランプ逮捕」はあるか、財務記録入手で不正疑惑捜査は核心に」を紹介しよう』。
https://diamond.jp/articles/-/266588
・『ハードディスクの入手でトランプへの捜査は核心へ  逮捕され刑務所に送られるのか。それともお得意のウソとハッタリでまたも法の網を潜り抜けるのか。司法当局によるドナルド・トランプ前米大統領に対する捜査が核心に迫りつつある。 吹雪の中、ニューヨーク郊外の会計事務所を訪れた地方検事補佐と2人の捜査官は「ある物」を受け取ると急いでマンハッタン南端に立つ古びた州庁舎へ車を走らせた。2月末のことである。 「ある物」とは、トランプの過去8年分の納税記録など財務資料が記録されたハードディスクだ。脱税や保険詐欺、業務記録の改ざんなど前大統領の犯罪を裏付ける重要な証拠である。) 地元メディアの報道によると、そのハードディスクは州庁舎の特別な部屋に保管されている。入口は頑丈な二重の金属ドアで、内部の壁や天井には銅箔が張られているという。外部からリモートでデジタル情報にアクセスさせないためだ。そんな厳重な警戒ぶりからみても、資料の中には「大統領の犯罪」を立証する決め手が含まれていることは間違いないだろう。 トランプは在任中、大統領の免責特権を盾に背任、共謀、職権乱用、司法妨害、脱税、詐欺などさまざまな疑惑の追及を逃れてきた。歴代大統領が慣例として行ってきた納税申告書の公開も、「政治的な魔女狩りだ!」と叫んで拒否し続けた。 しかし、今や「ただの一市民」となったトランプに免責特権はない。最高裁は2月22日、ニューヨーク州マンハッタン地区主席検事サイラス・ヴァンスの要請を認め、前大統領に財務資料の提出を命令した。さすがのトランプもこれには逆らえない。判決からわずか数時間後、膨大な資料が収められたハードディスクがトランプの会計事務所から司直の手に渡った。 この資料を基に検察が起訴すれば、内容が一般にも公開される可能性がある。場合によってはトランプ自身が法廷で証言を求められるかもしれない。そうなれば見ものだ』、「大統領の免責特権を盾に背任、共謀、職権乱用、司法妨害、脱税、詐欺などさまざまな疑惑の追及を逃れてきた」のが、「過去8年分の納税記録など財務資料が記録されたハードディスク」から何が出てくるのか、楽しみだ。
・『脱税と不正税申告を集中的に捜査  ニューヨーク州検察が集中的に捜査しているのは脱税と不正税申告だ。そのため州検察は捜査チームにFTIコンサルティングというフォレンジック会計の専門家を雇った。フォレンジック会計は訴訟会計とも呼ばれ、会計上の違法行為を見つけて裁判に耐えうるデータを集める作業のことだ。トランプの不明朗な金の流れを精査するのが目的だが、捜査の中立性を担保する狙いもある。 それだけではない。ニューヨーク・マフィア5大ファミリーのひとつ、ガンビーノ一家のボスの息子を有罪にしたことで有名な元連邦検察官マーク・ポメランツも捜査チームに加わっている。マフィアの巧妙な脱税手口を知り尽くしたベテランだ。 「彼らは本気だ。すでに確証に近いものを手に入れ、その仕上げにかかっているようだ」と、トランプ大統領上級顧問だったケリーアン・コンウェイの夫で反トランプ弁護士のジョージ・コンウェイは地元誌のインタビューで語っている。 トランプの財務記録を巡っては、すでに米ニューヨーク・タイムズ紙が独自入手した資料を基にスッパ抜いている。例えば、富豪のはずのトランプが大統領選以前の15年間のうち10年間にわたり連邦所得税を納めなくて済んだカラクリや、勝利が決まった2016年の納税額がたったの750ドル(約8万円)だったことなどだ。 そもそもトランプの犯罪捜査は2018年までさかのぼる。当初は2016年の大統領選挙中にポルノ女優とのセックススキャンダルをもみ消すために数十万ドルの口止め料を支払ったことが公職選挙法違反に当たるというものだった。しかしその後、捜査はトランプ個人の不正疑惑だけでなく一族が経営するトランプ・オーガニゼーションを巻き込んだ粉飾決算、詐欺、背任などに広がっていった。 すでに元顧問弁護士でトランプの忠実な「ピットブル(闘犬)」と呼ばれたマイケル・コーエンが司法取引に応じて有罪を認め、脱税と選挙資金法違反で禁固3年の有罪判決を受けている。ボスに見捨てられた恨みは深い。「あいつ(トランプ)はずるいウソつき、詐欺師だ」と議会証言で前大統領をこき下ろし、今も捜査に協力している。 新司法長官メリック・ガーランド(民主党)が許可すれば、検察は年内にもトランプを複数の容疑で刑事告発できるとヴァンス主席検事は自信を深めているという』、「年内にもトランプを複数の容疑で刑事告発できる」、とは既に証拠を握ったのだろうか。
・『検察の切り札は金庫番との司法取引  しかし法律専門家の間では、前大統領の刑事告発はそう簡単ではないという指摘がある。なぜなら裁判では、トランプに「合理的疑いの余地のない」明確な犯罪の意図があったことを陪審に証明しなくてはならないからだ。そのためには財務資料とともに決め手となる関係者の証言が欠かせない。 すでに検察はトランプ一族と関係の深いドイツ銀行従業員など関係者多数に聞き取りを行った模様だが、油断は禁物だ。実業家時代にトランプは4000件近くの訴訟を抱えたが、いずれも狡猾な手段を使って切り抜けているからだ。 じつはトランプの側にはマフィアの守護神といわれた悪徳弁護士ロイ・コーンが常についていた。ウソとハッタリで敵を容赦なくたたきつぶす者が最後に勝者となるという処世訓をトランプにたたき込んだのもこの男だった。 コーンはすでにこの世を去っているが、トランプは彼から犯罪の痕跡を残さない術を学んでいる。例えば、自分の机にはコンピューターを置かず個人的電子メールアドレスも持たない。メッセージは側近に書かせる。不正行為を指示するときには言質を取られないよう曖昧な言葉を使って自分の意図を部下に忖度(そんたく)させる。悪徳政治家やヤクザの常とう手段だ。いざとなったら知らんふりをして責任を他人になすりつけることができる。 そんな悪賢い前大統領に対して、検察の切り札は長年トランプ一族の忠実な金庫番を務め誰よりも黒い金の流れを知る最高財務責任者のアレン・ワイゼルバーグ(73歳)だ。もしワイゼルバーグがコーエン受刑者と同じように司法取引に応じて証言すれば、トランプは窮地に追い込まれるだろう。 前大統領のめいで自著でトランプ一家の暗部を暴露したメアリー・トランプはこう言ってはばからない。 「すべての死体(犯罪の証拠)がどこに埋められているかはワイゼルバーグが知っています」』、「ワイゼルバーグ」は確かに「検察の切り札」のようだ。
・『平静を装うトランプだが 無傷の逃げ切りは困難  それではトランプ本人は何をしているのだろうか。知人で米ニュース誌記者のビル・パウエルによると、フェイスブックやツイッターから排除されて発信力を失った前大統領は平静を装ってフロリダの高級リゾートでゴルフ三昧の日々を過ごしているそうだ。 しかし、誇大妄想で偏執狂のトランプがそうたやすく引き下がるわけがない。パームビーチに「The Office of the Former President(元大統領のオフィス)」という珍妙な名前の事務所を開設し、陣営の上級顧問ジェイソン・ミラーや元主席戦略官だったスティーブ・バノンたちと共和党乗っ取りをひそかに画策しているという。いまだにトランプを恐れる大多数の共和党議員を利用して白人至上主義とアメリカファーストを推し進めようというのだ。 トランプの政治資金団体である「Save America(アメリカを救え)」はすでに約8000万ドルもの寄付金を集めており、来年の中間選挙でトランプに忠誠を誓う共和党候補につぎ込む手はずだ。 弾劾裁判でトランプに反旗を翻した共和党議員への仕返しも忘れていない。「復讐リスト」には、下院共和党ナンバー3のリズ・チェイニー下院議員を含む10人以上の共和党議員の名前がズラリと並んでいる。どんな汚い手を使っても彼らを落選させるつもりだ。 とにかくトランプは蛇のように執念深い。実業家時代に黒い組織の人脈から2つのおきてを学んでいるからだ。ひとつは「やられたら容赦なくやり返せ」。もうひとつは「ボスを裏切ったヤツを絶対に許さない」である。 そんな負けず嫌いのトランプも今度ばかりは無傷で逃げ切るのは難しいだろう。検察側が時間をかけて周到に物的証拠や証言を積み重ねてきているからだ。 コロナ感染対策と経済再建で手いっぱいのバイデン大統領はトランプ起訴には消極的だ。だが、これほどまでに悪質な「大統領の犯罪」を見逃せば、民主主義の根幹である法の支配を揺るがすことになりかねない。不安の声が法曹界や民主党支持者の間で高まっている。 アメリカ社会を分断し世界秩序を混乱させたトランプ前大統領は、果たしてどのように裁かれるのか。重厚なローマ様式のニューヨーク郡裁判所ビルの正面を見上げると、初代大統領ジョージ・ワシントンの次のような碑文が刻まれている。 「真の司法権は良識ある政府の最も強固な柱である」』、「「Save America・・・はすでに約8000万ドルもの寄付金を集めており」、「「復讐リスト」には・・・チェイニー下院議員を含む10人以上の共和党議員の名前がズラリと並んでいる」、やはり司法的手段で葬り去るのが王道のように思える。

第三に、在米作家の冷泉彰彦氏が3月6日付けメールマガジンJMMに掲載した「政局を横目にバイデン政権は安全運転、その先は?」from911/USAレポートを紹介しよう。
・『何かと社会を騒がせてきたトランプがフロリダに隠棲して、アメリカ社会は静かになるかと思われたのですが、そうも簡単には行かない状況があるようです。トランプ不在の政局とはいえ、アメリカの政界は落ち着く暇はないようです。 騒がしいということでは、まずニューヨーク州のクオモ知事に対する批判の声が非常に大きくなっています。クオモ知事に関しては、前回この欄でお話した、高齢者施設入居者におけるコロナ死亡者の問題については、さすがに知事を一方的に叩くムードは収まりました。 感染爆発の最悪のシナリオを前提とした上で、なおかつ一般診療のキャパシティーも確保しながら医療崩壊を食い止めるために、施設入居者については病院ではなく、施設に戻すというのが知事の政策でした。施設であれば「自分のベッドがあり、施設として看護師等のケアが受けられる」というのが理由で、あくまで医療崩壊を回避するための苦肉の策だったのです。 ですが、知事の策は完全に裏目に出ました。まず感染爆発は深刻でしたが、知事の覚悟した「最悪」には至りませんでした。一方で、必死に確保した一般病棟には、コロナを恐れて患者はほとんど来ず、対策はムダに終わりました。その反対に、施設内ではPPE不足、ノウハウ不足のためにクラスターが多数発生して多くの人命が失われました。 そうした施設等で高齢者の家族を亡くした人々には、結果論ではあるものの、クオモ知事への反感があり、政治家の多くはその反感を使って知事を追い詰めようとしたわけですが、知事の側の主張は一貫しており「攻め切れない」というムードになっていたのです。ところが、そのアンチ・クオモのモメンタムを引き継ぐように、今度は知事のセクハラ的な言動が問題になっています。 公職にある人間として、この世代の人は相当に気をつけてきたはずなのですが、とにかく様々な過去の言動が蒸し返されて激しい批判が起きています。知事自身はどのケースについても「心外」であるようで今のところは、辞任せずに徹底抗戦という構えですが、どうなるかは分かりません。 ちなみに、現時点でクオモ知事への追及を強めているのは共和党よりも、民主党の左派が中心となっています。捜査開始を示唆しているニューヨーク州の検事総長も、弾劾審査を検討中という州議会のグループも民主党系で、いわば党内抗争という趣になっています』、「民主党」も左右の党内抗争に熱を上げているようでは、共和党への対抗策は二の次のようだ。
・『実は、ニューヨークの民主党内は、デブラシオ市長が左派でバーニー・サンダース議員などに近い一方で、クオモ知事はクリントン夫妻やオバマの人脈と重なる中道派です。そして、この2人はこの約8年間にわたって一方が知事、一方が市長という立場で何度も衝突を繰り返してきました。 例えばですが、ハリケーンで海水が入って水没したNY地下鉄の電気系統について、どうやって抜本的な補修工事をするかといった実務的な部分でも衝突していました。デブラシオ市長がコンサルの口車に乗せられて高額で、長期運休を余儀なくされるような工事計画で進めようとしたところで、クオモ知事が低コスト短期間の抜本補修案を持ち込んでひっくり返したという事件があり、そこで両者の関係は決定的になっていたようです。 その流れもあって、2020年春以降の新型コロナ感染拡大においては、デブラシオ市長が市内の感染拡大防止に対して動くと、クオモ知事はNY市より200キロ北にある州都オルバニーから、その政策を否定して「上書き」するということが繰り返されていました。そんな中で、任期4年で3選禁止となっている市長の方は、この2021年で退任が決定していることもあり、存在感はやや弱くなっていたのです。 そのデブラシオ市長の支持派は、そうした経緯もあって今回のセクハラ疑惑においては、クオモ批判に動いています。大物政治家、例えば民主党左派のAOCことアレクサンドリア・オカシオコルテス下院議員なども、かなり厳しい姿勢でクオモ批判の側に立っています。そうした中で、デブラシオ市長は急速に存在感を回復しており、ここ数週間で激しくなっているアジア系へのヘイトクライムに対して、率先して批判と防犯の指揮を執っています。 では、この秋の市長選がどうなるかということでは、民主党では「べーシック・インカム(BI)」政策を掲げた台湾系のアンドリュー・ヤング候補が先行していたのですが、ここへ来て元警官でアフリカ系のエリック・アダムス・ブルックリン区長が迫ってきています。アダムス候補は、ミレニアル世代に受ける左派というよりも、古典的なリベラル・ニューヨーカーという感じです。ですから、この2人の対決は、民主党内の中道対左派という軸とはまた違ってきています』、「民主党内」の対立の「軸」は多様なようだ。
・『一方で、ワシントンDCの中央政界では、閣僚人事とコロナ対策法案の審議で、連邦上院における動きが連日のように報じられています。その中では、民主党内での造反が話題になっていますが、その中心人物であるジョー・マンチン議員(ウェスト・バージニア州選出)は、保守州から保守票を獲得して上院の民主党議席を守っているというアクロバット的な存在ですので、コロナ対策への財政出動枠を抑制するとか、最低賃金の全国15ドル化に反対するというのは、基本的には想定されたことであり、その中で是々非々の調整がされているということだと思います。 では、共和党の方はどうかというと、例えば2月28日には、フロリダ州のオーランドで行われた保守派の政治集会「CPAC」にトランプ前大統領が登場して、2024年の大統領選挙における出馬を匂わせたりしていますが、これも想定された事態です。そのトランプに関しては、一旦は「トランプ離れ」に踏み出したとされる、共和党上院のマコネル院内総務が「仮に2024年にトランプが共和党の大統領候補に指名されたら」という前提での質問に対して「勿論、支持する」と答えています。 メディアは、「やっぱり、マコネルはまだトランプ支持なのか」などと落胆していましたが、マコネル議員としたら、「仮に共和党の予備選で勝ったら」という前提での質問だったので、即座に「支持する」としただけで、その予備選で自分がトランプを支持するとは一言も言っていないわけです。ですから、マコネルとしては、全く「ブレ」てはいないということになります。 そのマコネルとして、また共和党の上下両院の議員団としては、できる限りはトランプを過去の人にして行こう、だが、現時点ではその影響力をゼロにはできない、という共通理解があるわけです。その上で、政治家各個人として、トランプとの距離感をそれぞれに取っているというのが現状です。 一方で、局所的な動きとしてはテキサス州のアボット知事(共和)が、いきなり公共の場における「マスク着用義務化の終了」を宣言し、同時に「レストランの屋内営業を含むあらゆるビジネスへのコロナ関連の規制を解除」するとして話題になりました。 テキサス州の場合、実は2月末の寒波に伴う大規模な停電や断水のために、多くの家庭が避難生活を送ったり、地域での相互扶助活動が活発化する中で、残念ながら感染拡大の小規模なリバウンドが起きていた中での「規制全面解除」となった格好です。ただ、大規模停電については、初動における言動が迷走したことも含めてアボット知事には政治的な責任を問う声も大きい中では、テキサスの世論の一部に強く迎合する形での「規制解除」をやらざるを得なかったというのは政治的には理由のあることと言えます』、「テキサス州のアボット知事(共和)が、いきなり公共の場における「マスク着用義務化の終了」を宣言」したのは、「大規模停電」への「政治的な責任を問う声も大きい」のが背景にあったというのは納得した。
・『そんなわけで、民主党も共和党も様々な葛藤を抱え、また中央と地方ではそれぞれに独立した政局が展開しているわけですが、トランプ時代のシナリオのない、ハチャメチャな流れと比較すると、とりあえず全てが想定の中に収まっているのは事実だと思います。その上で、「最初の100日間」というこの時期、バイデン政権はとりあえずワクチン接種の劇的な加速を軸に、社会を前へ進めようということで、政争には超然とした立場を維持しているように見えます。 そのバイデン政権は、移民政策、環境政策などで前政権の行った「揺り戻し」を一気に修正していますが、これも想定内の行動と言えるでしょう。ただ、バイデン政権の動きの中で、中東における軍事外交に関しては、少々解説が必要と思います。 2月25日にバイデン政権は発足後初めての「空爆」を、シリア領内のイラン系の民兵組織に対して実施しました。これは唐突な行動のように見えますが、実は突発的な動きではなく、2月15日にイラク領内のクルド自治区にあるアルビールで、イラン系のミサイル攻撃によってアメリカの民間軍事会社の関係者が1名死亡し、数名が負傷するという事件があり、これが背景となっていました。この事件を放置することは、イランに対して誤ったメッセージを送ることになるという理由から、25日の限定的な攻撃となったものです。 この25日の攻撃については、「強・中・弱」の3つのオプションの中の「中」だという説明が大統領からありましたが、これに対してイランはイラク領内の米軍基地をミサイル攻撃しています。但し、報復とはいえ、急所は外した攻撃であり、今後は何らかの交渉となる道筋を残したものと言えます。 一方で、これと同時にバイデン政権は、前政権がひた隠しにしていた「サウジの反政府ジャーナリスト暗殺事件」に関する調査結果を公表して、ムハンマド皇太子の関与を指摘しました。こちらは、トランプ政権当時のムハンマド皇太子との「癒着関係」を断ち切るとか、イランとの小規模な攻撃の応酬をする一方で、イランの宿敵であるサウジとも距離を置く姿勢を見せて、一種の超然的な姿勢を見せたようにも見えます。 こうした中東政策の全体としては、「全てが想定内」という中で、トランプ時代のアメリカが陥った「シリア政策の迷走」「クルド支援の放棄」「イラクのイラン化放置によるイランへの誤ったメッセージ」「サウジへの過剰な甘やかし」といった問題をリセットして、改めてアメリカとしての中東政策を描き直す準備をしている、そのように受け止めることも可能です』、「中東政策」がバランスを取り戻しつつあるのは結構なことだ。
・『では、今月中旬に組まれた日米「2+2(という言い方は何故か今回はしないようですが)」つまり外相と防衛相の会談では、現時点での「ベスト・アンド・ブライテスト」と言っていい本格閣僚であるブリンケン国務長官とオースティン国防長官は、日本と何を協議するためにやって来るのでしょうか? 1つは、対中国の「リバランス」であり、2つ目は、そのための必要条件としての日米韓3カ国の関係改善へ向けた協議になると思います。ここまでは想定内ですが、仮に第3の議題としてミャンマー情勢の落とし所、そして第4の議題として環境外交の問題を持ち出す可能性もあるかもしれません。 そうなると、日米の協議は単にトランプ時代の迷走のリセットだけでなく、2021年という現時点での「全くの未体験ゾーン」における同盟の再定義と強化というレベルの問題になってくるのではないかと思われます。とりあえず、現在のバイデン政権は想定内の動きが主であり、また日々の政局には超然的に振る舞っています。 ですが、日米関係においては、もっと意欲的に仕掛けてくることが予想される中では、菅政権としてはこれと真剣に向かい合うことが求められます。少なくとも、ミャンマー軍政にも「一部の理がある」とか、「原発ゼロなら火力継続か水素輸入で」「日韓関係改善ができるほど政権は強固でない」などという本音を見透かされるようでは、同盟の強化は持ち越しとなるのではないかと思われます』、同感である。
タグ:バイデン政権 東洋経済オンライン (その1)(バイデン政権へ影響力高めるもう1人のジョー 中間選挙へ向け左傾化のイメージ払拭に一役、「トランプ逮捕」はあるか 財務記録入手で不正疑惑捜査は核心に、政局を横目にバイデン政権は安全運転 その先は?) 渡辺 亮司 「バイデン政権へ影響力高めるもう1人のジョー 中間選挙へ向け左傾化のイメージ払拭に一役」 バイデン政権は選挙公約に反し、初っ端から民主党単独で強行採決し、法制化に至る見通しだ 「オバマ政権」時代の「共和党の支持獲得のための妥協が、民主党のトラウマになっているようだ。 「バイデン政権にとって重要なのは、超党派合意よりも民主党の党内団結」、なるほど。 「パーラメンタリアン」とは面白い制度だ 「民主党」も「穏健派」と「急進左派」の幅が広いので、バランスを取る「バイデン大統領」も大変だ 「2人のジョー」のお手並みを拝見するとしよう。 ダイヤモンド・オンライン 蟹瀬誠一 「「トランプ逮捕」はあるか、財務記録入手で不正疑惑捜査は核心に」 「大統領の免責特権を盾に背任、共謀、職権乱用、司法妨害、脱税、詐欺などさまざまな疑惑の追及を逃れてきた」のが、「過去8年分の納税記録など財務資料が記録されたハードディスク」から何が出てくるのか、楽しみだ 「年内にもトランプを複数の容疑で刑事告発できる」、とは既に証拠を握ったのだろうか 「ワイゼルバーグ」は確かに「検察の切り札」のようだ 「「Save America・・・はすでに約8000万ドルもの寄付金を集めており」 「復讐リスト」には チェイニー下院議員を含む10人以上の共和党議員の名前がズラリと並んでいる やはり司法的手段で葬り去るのが王道のように思える 冷泉彰彦 JMM 「政局を横目にバイデン政権は安全運転、その先は?」from911/USAレポート 「民主党」も左右の党内抗争に熱を上げているようでは、共和党への対抗策は二の次のようだ。 「民主党内」の対立の「軸」は多様なようだ。 「テキサス州のアボット知事(共和)が、いきなり公共の場における「マスク着用義務化の終了」を宣言」したのは、「大規模停電」への「政治的な責任を問う声も大きい」のが背景にあったというのは納得した 「中東政策」がバランスを取り戻しつつあるのは結構なことだ 少なくとも、ミャンマー軍政にも「一部の理がある」とか、「原発ゼロなら火力継続か水素輸入で」「日韓関係改善ができるほど政権は強固でない」などという本音を見透かされるようでは、同盟の強化は持ち越しとなるのではないかと思われます
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