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メディア(その26)(数百人の新聞記者が束になっても、少数精鋭の"文春砲"に完敗する根本原因 一緒に「賭け麻雀」をする浮世離れ、グーグルやFBを揺るがすニュース表示の対価支払い 世界初義務化の波紋。フジと日テレ」の外資比率が 東北新社を超えても許される理由) [メディア]

メディアについては、1月21日に取上げた。今日は、(その26)(数百人の新聞記者が束になっても、少数精鋭の"文春砲"に完敗する根本原因 一緒に「賭け麻雀」をする浮世離れ、グーグルやFBを揺るがすニュース表示の対価支払い 世界初義務化の波紋。フジと日テレ」の外資比率が 東北新社を超えても許される理由)である。

先ずは、3月25日付けPRESIDENT Onlineが掲載した立命館大学 国際関係学部 教授の白戸 圭一氏による「数百人の新聞記者が束になっても、少数精鋭の"文春砲"に完敗する根本原因 一緒に「賭け麻雀」をする浮世離れ」を紹介しよう。
・『なぜ週刊文春はスクープを連発できるのか。立命館大学国際関係学部教授の白戸圭一氏は「文春は『なにがニュースになるのか』という感覚が鋭い。大手新聞社と違い、国民の関心を的確に捉えたスクープを出している。両社の違いが明確になったのが、黒川元検事長の賭け麻雀問題だ」という――。 ※本稿は、白戸圭一『はじめてのニュース・リテラシー』(ちくまプリマ―新書)の一部を再編集したものです』、興味深そうだ。
・『新聞と雑誌のニュース感覚の違いを明確にした「賭け麻雀問題」  新型コロナの感染拡大によって初の緊急事態宣言が発令されていた2020年5月、ともに活字メディアでありながら、新聞の「ニュース感覚」と雑誌の「ニュース感覚」の違いを痛感させる出来事があった。検察官の定年延長問題の渦中にいた黒川弘務・東京高等検察庁検事長(2020年5月22日付で辞職)の「賭け麻雀」に関する報道である。 経緯を簡単におさらいしよう。検事長の定年は63歳であるため、東京高検検事長だった黒川氏は63歳の誕生日前日の2020年2月7日に退官する予定であった。ところが、その直前の1月31日、当時の安倍内閣は「検察庁の業務遂行上の必要性」を理由に黒川氏の定年を半年延長する閣議決定をした。 検察トップの検事総長の定年は、検事長よりも2歳上の65歳。当時の稲田伸夫・検総長は定年を待たずに2020年7月に退官するとみられていたが、黒川氏は2月に63歳で定年を迎えるので、検事総長就任は不可能であった。 ところが、閣議決定で定年が半年間延長されたことにより、黒川氏は8月まで検察官の仕事を続けることが可能になり、7月に稲田検事総長が退官すれば、検事総長に昇格できる可能性が開けたのである。 黒川氏は霞が関・永田町界隈で「安倍政権に近い人物」などと噂されていたため、定年を延長する閣議決定に対して、野党やマスメディアから「政権に近い黒川氏を検事総長に据えることで、安倍政権下で起きた様々な不祥事に関する捜査をやめさせようとしているのではないか」などと批判が出ることになった』、「黒川氏」は「安倍政権」の守護神と言われていた。
・『「三密の賭け麻雀」を報道した週刊文春  以上が黒川氏の「賭け麻雀」に関する報道が出るまでの顚末てんまつであるが、黒川氏の定年を延長した安倍政権の狙いがどこにあったのかについては、本書の内容に関係ないので、これ以上言及しない。 黒川氏の定年延長を巡って与野党が国会で激しくぶつかり合っていた5月20日、文藝春秋社運営のニュースサイト「文春オンライン」は『週刊文春』の発売にあわせて、黒川氏が新型コロナウイルスによる緊急事態宣言発令下の5月1日から2日に東京都内の産経新聞記者の自宅を訪れ、産経新聞記者二人と朝日新聞の元検察担当記者(当時は記者職を離れ管理部門勤務)と賭け麻雀に興じていた疑いがあると報道した。 黒川氏は法務省の聴き取りに対し、賭け麻雀に興じたことを認めて辞意を示し、5月22日の閣議で辞職が承認された。一方のメディア側では、朝日新聞社が元検察担当記者を停職1カ月、産経新聞社は記者2人を停職4カ月とした。 黒川氏と新聞社の3人が雀卓を囲んでいたのは、緊急事態宣言の発令期間中であった。飲食店は休業や時短営業による減収を強いられ、閉店を余儀なくされる店も出るなど経済への影響が深刻になり始めていた。学校が休校し、映画館や美術館といった文化施設は休館を余儀なくされ、外出自粛を強いられた国民の多くがストレスを抱え、不安の渦中にいた。 そうしたタイミングで、国会で「渦中の人」である検察の最高幹部が、よりによって「権力の監視役」であるはずの新聞記者と「三密」状態で賭け麻雀に興じていた――』、まるで絵に描いたような不祥事の典型だ。
・『賭け麻雀を取材の一環としてとらえた新聞社  『週刊文春』の報道で明らかになったその事実は、新型コロナウイルスで自粛生活を強られている国民の間に猛烈な反発を巻き起こした。多くの人が、麻雀のメンツが『産経新聞』と『朝日新聞』の検察担当のベテラン記者だった事実を知り、大手新聞社と捜査機関の癒着を見せつけられた気分になった。 この一連の顚末の興味深い点は、賭け麻雀の事実を報道したのが雑誌メディアの『週刊文春』であり、新聞ではなかったことである。 『週刊文春』の編集部は、多くの国民が営業自粛や失業で苦しんでいる最中に、国会で渦中の人である検察ナンバー2が「三密」状態で違法性のある賭け事に興じている事実を何らかの方法で知り、「これはニュースだ」と判断したから記事化したのだろう。 一方の新聞記者たちは、「黒川氏が賭け麻雀に興じている」という事実を知っていたどころか、一緒に雀卓を囲み、黒川氏が帰宅するためのハイヤーも用意していた。 新聞社の人間たちは、この状況で黒川氏と雀卓を囲む行為が「ニュース」になってしまうかもしれないとは、想像すらしなかったのだろう。『週刊文春』の報道が出た直後に産経新聞社の東京本社編集局長が紙面に掲載した次の見解が、自社の記者二人が黒川氏と麻雀に興じていた理由について正直に説明している』、「新聞社の人間たちは、この状況で黒川氏と雀卓を囲む行為が「ニュース」になってしまうかもしれないとは、想像すらしなかったのだろう」、ジャーナリスト失格である。
・『国民の「ニュース感覚」を捉えた文春  「産経新聞は、報道に必要な情報を入手するにあたって、個別の記者の取材源や取材経緯などについて、記事化された内容以外のものは取材源秘匿の原則にもとづき、一切公表しておりません。取材源の秘匿は報道機関にとって重い責務だと考えており、文春側に「取材に関することにはお答えしておりません」と回答しました」 つまり、雑誌にとって、緊急事態宣言下の検察トップの賭け麻雀は「ニュース」であったが、新聞にとってそれは「ニュース」ではなく「取材」の一環であった。 だから「○○新聞の記者である私は本日、国会で問題になっている検察ナンバー2の東京高検検事長と緊急事態宣言下で三密状態で雀卓を囲み、検事長の帰宅のためにハイヤーも提供した」などという新聞記事が彼ら自身の手で書かれることはなく、代わりに週刊誌が書いた。 そこで明らかになったのは、「文春砲」と言われるスクープ連発の週刊誌のニュース感覚と、大手新聞社のニュース感覚の決定的な違いである。そして、国民の多くは『週刊文春』とニュース感覚を共有していたから賭け麻雀に怒った。その反対に、大新聞の社会部の検察担当記者のニュース感覚は、国民のニュース感覚とは違っていた、ということだろう』、「新聞にとってそれは「ニュース」ではなく「取材」の一環であった」、「大新聞の社会部の検察担当記者のニュース感覚は、国民のニュース感覚とは違っていた」、「社会部」の「記者」にあるまじきことだ。

次に、4月2日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した朝日新聞シドニー支局長の小暮哲夫氏による「グーグルやFBを揺るがすニュース表示の対価支払い、世界初義務化の波紋」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/267028
・『オーストラリア政府が、インターネット上でのニュース表示の対価を支払うように義務づけた。 念頭にあるのは、巨大IT企業のグーグルとフェイスブック(FB)だ。 各国にも影響を与えそうな「世界初」の義務化の背景には、何があったのか』、「「世界初」の義務化」とは思い切ったことをしたものだ。
・『グーグルやFBを念頭に豪で法案成立、従わないと「罰金」  「これで報道機関の記事への公正な対価の支払いが保証される。公共の利益となるジャーナリズムが豪州で存続する助けになる」 豪州のフライデンバーグ財務相は2月25日、議会が法案を可決した直後、声明でこう誇った。 法案が定めたのは、巨大IT企業と報道機関が対価の支払い契約を結ぶ際の「交渉規則」とその手続きだ。 政府がまず、対象となるIT企業とその企業のサービスを指定する。報道各社が、そのサービスで表示される自社のニュースについて対価の支払いを求めれば、IT企業は交渉に応じなければならない。 交渉がまとまらない場合、仲裁機関が支払いの条件を決める。 仲裁決定にIT企業が従わないと、罰金が科せられる。 罰金額は、1000万豪ドル(約8億円)を基準に、「対象サービスの利益の3倍」を比較。この額が確定できない場合、「豪州での売り上げの10%」を比べ、より大きい額が採用される。 豪競争消費者委員会(ACCC)の報告書によると、2018年のオーストラリアでの売り上げは、グーグルが37億豪ドル(約3100億円)、フェイスブックが17億豪ドル(約1400億円)。罰金が数百億円の巨額になる可能性がある。 さらに、IT企業が自社が設定するニュースの表示順などの決定法(アルゴリズム)を変更する場合、事前に報道機関に通知しなければならない規定も盛り込んだ』、「罰金額」など「契約を結ぶ際の「交渉規則」とその手続き」などの「仲裁」の仕組み、はよく出来ているようだ。
・『ネット広告で2社が半分のシェア 激減の既存メディアに優位に  一連の動きは、2017年12月にさかのぼる。 モリソン財務相(当時、現首相)がACCCに、巨大IT企業が、報道機関や広告市場に与える影響を調べるように指示したのが始まりだ。 巨大IT企業がネットサービス市場を独占する状況を米国や欧州連合(EU)が規制しようとしていた動きに触発されたといわれる。 ACCCが18年12月と19年6月にまとめた報告書が示したのは、グーグルとフェイスブックの豪州市場の占有ぶりと報道機関の苦境だった。 人口が約2500万人のオーストラリアで毎月、グーグル検索を1900万人が利用。検索サイトのシェアの95%を占めた。フェイスブックも1700万人が利用していた。 豪州全体の広告市場に占めるインターネット広告の割合は、12年の25%から17年には2倍の51%に増え、一方で活字メディアは33%から12%、テレビは29%から24%に減少した。 インターネットの広告収入の55%をグーグルとフェイスブック2社が稼いでいた。 報告書を受けて、モリソン氏の後任のフライデンバーグ財務相は19年12月、両社と報道機関に対価支払いのルールづくりを促した。 それが、昨年4月に一転、政府が義務づける方針を発表した。 ルールづくりにグーグルやフェイスブックが応じる気配を見せなかった上、新型コロナウイルスの影響で報道機関の広告料収入が大きく落ち込む厳しい状況が表面化し、自ら乗り出したのだ。 規模で大きな差がある巨大IT企業と報道機関との間で「公平なビジネス環境をつくる」と強調した』、「ルールづくりにグーグルやフェイスブックが応じる気配を見せなかった上、新型コロナウイルスの影響で報道機関の広告料収入が大きく落ち込む厳しい状況が表面化」、「政府が義務づける方針」に転換したようだ。
・『「力を持ち過ぎ」と世論は支持 対応分かれたグーグルとFB  法案が発表されたのは昨年12月。フライデンバーグ財務相は、義務化の対象として、グーグルのニュース検索、フェイスブックのニュースフィードを想定していると明らかにした。 世論は好意的だった。 同月の民間の世論調査では、59%が「グーグルやフェイスブックは力を持ち過ぎで、規制すべきだ」、57%が「対価を支払うべきだ」と答えた。 健全なジャーナリズムを維持することは民主主義社会にとって大切だ、という意識が国民に根着いていることが背景にある。 両社は反発した。 今年1月、議会の委員会に呼ばれたグーグル現地法人幹部は、義務化は「対処できないリスク」だとして、オーストラリアからの検索サービスの撤退も示唆した。 フェイスブック現地法人幹部も「報道機関はフェイスブックに投稿して利益を得ている」と主張し、フェイスブック上でニュースの表示をやめる可能性を示した。 だが、2月に入ると、両社の姿勢に温度差が見え始める。 2月3日、検索サービス「Bing」を運営するマイクロソフトのブラッド・スミス会長が義務化に従うと語った、とシドニー・モーニング・ヘラルド紙が報じた。 スミス氏はグーグルが撤退した場合、その穴を埋める意欲を見せ、モリソン首相とも話をしていることも明言した。 翌4日は、グーグルのスンダー・ピチャイ最高経営責任者が、モリソン氏やフライデンバーグ財務相らと電話で協議。モリソン氏は「建設的な話し合いだった」と語った。 その後、2月中旬になると、グーグルが、新聞や民放を傘下に収めるセブン・ウエスト・メディアやナイン・エンターテインメント、新聞最大手のニューズコープ、オーストラリアで電子版を発行する英ガーディアン、と相次いで対価の支払いで基本合意したことが明らかになった。 一方で、フェイスブックの対応は逆のものだった。18日にはフェイスブック上で「ニュース制限」に突如、踏み切った。 豪州の報道機関のほか、CNNやBBCなどの海外メディアのフェイスブックの公式ページを閲覧できなくし、これらの報道機関の自社のホームページで報じられたニュースをシェアすることもできなくした』、すぐ妥協した「グーグル」に対して、「フェイスブック」は抵抗したようだ。
・『存続に「かなりの貢献」をすれば義務化の対象外に  フライデンバーグ財務相はフェイスブックの措置を受けて18日、「フェイスブックの行為は不必要で強引だ。法案を成立させる方針は変わらない」と批判した。 ツイッター上では、「DeleteFacebook(フェイスブックを削除しよう)」とボイコットを呼びかけるハッシュタグがトレンド入りした。 その後、法案の審議が大詰めを迎えていた23日、事態は急展開する。 フライデンバーグ財務相は法案の修正を発表。IT企業が個別契約を通じてメディア産業の存続に「かなりの貢献」をすれば、義務化の指定をしないことも検討する、という内容を加えた。 フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者と電話で協議を重ね、解決の道を探っていたのだ。 フェイスブックは同日、ニュース制限の措置を数日内に解除すると発表。直後にセブン・ウエスト・メディアが、フェイスブックとニュース提供に関して基本合意したと発表した。 豪議会は25日、修正案を可決。フェイスブックは26日に制限を解除した』、「フライデンバーグ財務相」が自ら「ザッカーバーグ最高経営責任者と電話で協議を重ね」、「法案の修正」したとはさすがだ。
・『報道機関側も現実的判断 少なくない経営への寄与  グーグルやフェイスブックが、義務化の対象企業に科せられる恐れのある巨額の罰金や、企業秘密のアルゴリズムについての情報開示を避けるために動いたことは明らかだ。 一方で報道機関側も現実的に判断をしたようだ。 オーストラリアン・フィナンシャル・レビュー紙によると、オーストラリアの報道機関がグーグルと合意したのは、もともと要求していた検索表示への対価ではなく、グーグルの新しいサービス「ニュース・ショーケース」の記事表示に対してだ。 ナイン・エンターテインメントやセブン・ウエスト・メディアがグーグルと合意した支払額は、それぞれ年間3000万~5000万豪ドル(約25億~42億円)程度とされる。 これはグーグルが新サービスについて他国の報道機関と合意した内容より、かなりの好条件だという。 仏紙のフィガロやルモンドが1月に合意したとされる条件はそれぞれ年350万ユーロ(約540万豪ドル=約4億5000万円)だ。 20年6月期の税引き後の利益は、ナイン社が年1億6000万豪ドル、セブン社が年4000万豪ドルであることを考えると、対価支払いの経営の押し上げ効果は大きい。 相応の支払いが得られれば、その対象にはこだわらない姿勢に転換したようだ』、「ナイン・エンターテインメントやセブン・ウエスト・メディアがグーグルと合意した支払額は」確かに「他国の報道機関と合意した内容より、かなりの好条件」のようだ。
・『メディア支援に「10億ドル」を拠出 英国やカナダでも法整備の動き  フェイスブックは3月、ニューズコープ、ナイン・エンターテインメントとも基本合意した。やはり、新サービス「ニュース」に提供する記事への対価の支払いだ。 フライデンバーグ財務相は、「交渉規則が報道機関とIT企業との交渉力の差を埋め、商業上の交渉を促した」と義務化が、両社の自発的な対価の支払いを促す「実利」を強調している。 法案の作成に関わってきたACCCのロッド・シムズ委員長も「義務化の規則は、(個別契約が報道機関にとって不十分など)必要であれば、いつでも使える」と解説する。 グーグルやフェイスブックはともに、今後3年でニュースメディアの支援のためにそれぞれ少なくとも10億ドル(約1100億円)を投じる方針を表明している。「対価を支払っていない」という批判をかわすためとみられる。 英国やカナダもオーストラリアをモデルにした法整備を検討していると伝えられ、今後、各国で義務化が進めば、巨大IT企業に対する報道機関側の交渉力が増す可能性はある』、日本も追随すべきだが、まだ具体的な動きはないようだ。

第三に、4月2日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した株式会社アシスト社長の平井宏治氏による「「フジと日テレ」の外資比率が、東北新社を超えても許される理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/267285
・『武田良太総務相は3月26日の閣議後の記者会見で、放送事業会社「東北新社」の衛星放送事業の一部の認定を5月1日付で取り消すことを明らかにした。放送法で定める外資規制により、外国人等議決権割合が20%を超えていたにもかかわらず、事実と異なる申請を行っていたことが理由だ。だが、外国人による株の保有比率を見ると、東北新社よりも高いのがフジ・メディア・ホールディングスと日本テレビホールディングスの2社である。東北新社の問題をきっかけに、今後、放送業界の外資規制に注目が集まりそうだ』、どういうことなのだろうか。
・『各国で放送事業者に外資規制が設けられている理由  2021年3月23日に行われた武田良太総務相の定例会見で、記者からは次のような質問が上がった。 「東北新社は免許を取り消され、他方、(外国人等議決権比率が外資規制を超えている)フジテレビと日本テレビが見逃されているのはどういうわけでしょうか。法の下の平等や公平性、公正性に反するように思われます。理由をお聞かせください」 だが、これに対し、武田大臣は「事実関係をよく確認した上で、適切に対処してまいりたい」とだけ述べ、具体的な対応については言及しなかった。 わが国では、電波法や放送法により放送会社の外国人等議決権割合は5分の1(20%)を超えてはならないと定められている。放送業者に対する外資規制が行われている理由は、放送が世論に及ぼす影響を考慮した安全保障上の理由による。放送業者に対する外資規制は、わが国だけでなく、アメリカ合衆国でも欧州でも類似の制限が設けられている。 電波法第5条3項は、認定放送持株会社の欠格事由として、放送法5条1項に定める外国人等の議決権割合が全ての議決権の5分の1を超えないこととしている。 だが、外国人直接保有比率が、5分の1を超えている企業は、東北新社だけではない。2021年3月26日において、フジ・メディア・ホールディングス、日本テレビホールディングスの外国人直接保有比率はそれぞれ、32.12%、23.77%と、発行済株式総数の5分の1を超えている。 とはいえ、発行済株式総数は議決権の数とは一致しない。定款で単元株式数を定めている場合は、1単元の株式につき1個の議決権となるが、単元株式数未満の株式(端株)には議決権はない。そして、放送免許の欠格事由では議決権の個数が問題になる』、「武田大臣」が「3月23日」の「定例会見で、記者から」の質問に直ぐに答えられなかったのは、お粗末だ。
・『総務省の通達で変更された外国人等議決権の計算方法  だれでも証券会社を通じて上場会社の株式を購入することができる。多くの外国人が上場放送会社の株式を買えば、単元株に付いている議決権も総議決権個数の5分の1を超えてしまい、上場放送会社は何もできない。 そこで、放送法116条では、外国人等の議決権割合が、全ての議決権の5分の1を超え、欠格事由に該当した場合は、その氏名および住所を株主名簿に記載し、または記録することを拒むことができるとしている。 なお、外国人等の議決権割合の計算方法は、総務省が2017年9月25日に上場する放送事業会社に出した通達文書により、計算方法が変更されている。 筆者が総務省と上場放送会社に確認したところ、通達前は、総議決権個数に19.99%を掛けた個数が、外国人等の議決権割合とされていた。例えば、総議決権個数が1万個の場合、1999個(1万×19.99%)が外国人等の議決権割合とされていた。 しかし、この計算方法では、実際に株主総会で外国人等が行使できる議決権個数が5分の1を超えてしまう。どういうことか、順を追って説明したい。 放送事業者A社について、総議決権個数が1万個、外国人等が保有する議決権の個数が3000個だったと仮定する。 日本人の保有する議決権個数は、7000個(1万-3000)になる。一方、外国人等が保有する議決権3000個のうち、1999個は議決権行使ができるが、残る1001個は上場する放送会社が名義書き換え拒否をする。 この1001個の議決権を持つ外国人等の株主は株主名簿に記載されないので、株主総会の招集通知は送付されない。 その結果、株主総会は、1999個の議決権を持つ外国人等株主と7000個の議決権を持つ日本人株主で行われる。外国人等が行使できる議決権割合は、1999÷8999=22.21%になり、全議決権個数の5分の1を超えてしまうのだ。 筆者は、2011年頃からこの問題に気づき、総務省に外国人等が行使できる議決権個数の計算方法を変えるように陳情を行った。筆者以外にこの問題に気づいた人たちからも指摘があり、2017年9月25日、総務省は外国人等が行使できる議決権の計算方法を変更する通達を対象となる放送事業者へ出した。 では、一体どのような通達なのか。通達内容は非公開だが、筆者が総務省と上場する放送会社に確認した内容を基に、先述のA社の例を使い説明する。少し難しいことはご容赦いただきたい。 日本人の持つ議決権は7000個だ。この日本人の議決権を総議決権個数の80%とするため、まずは7000÷0.8を計算(8750個)。さらに外資規制では外国人等議決権割合が20%を下回る必要があるため、8750個から議決権1個を引いた8749個を総議決権個数とする。 総議決権個数が8749個なので、外国人等が行使できる議決権個数は、8749-7000=1749個になる。 その結果、外国人等が保有する議決権総数のうち、1251個(3000-1749)が名義書き換え拒否の対象になるのだ。 なお、実際の計算は、自己株式の議決権を除いたりするので、これらを加味した計算結果が公表される。 実際に日本テレビホールディングスの状況はどうなっているのか。 同社のプレスリリース(2020年4月17日)によれば、2020年3月31日の算定となる総議決権個数は、242万9423個。そのうち、外国人等が行使できる議決権個数は48万5884個と、外国人等議決権割合は19.99%(正確には、19.99998%)となり、欠格事由を回避している。また、同社の有価証券報告書には、名義書き換え拒否をした議決権個数は10万8693個だったことなどが記載されている。 ところが、東北新社は外国人等が行使できる議決権個数の割合が全議決権個数の5分の1を超えていたにもかかわらず名義書き換え拒否の処理を行わなかったため、欠格事由に該当することになった。初歩的なミスだが、法律は法律だ。衛星放送の認可が取り消しになるのは当然であり、東北新社の衛星放送認可取り消しの理由は、これ以上でもこれ以下でもない』、「筆者は・・・総務省に外国人等が行使できる議決権個数の計算方法を変えるように陳情を行った・・・総務省は外国人等が行使できる議決権の計算方法を変更する通達を対象となる放送事業者へ出した」、なるほど。ただ、「通達内容は非公開」というのは解せない。公開しても問題ない筈だ。
・『保守系メディアの外国人直接保有比率は高い傾向  有価証券報告書を使い、在京5局の外国人等が行使できる議決権個数比率をグラフにまとめた。このグラフは、分子は「外国法人等+外国人持株調整株式の単元数」、分母は「全単元株数-自己株式の単元数」とし、それ以外の調整は行っていない。 図表:外国人が保有する議決権割合 テレビ番組が国民世論に及ぼす影響が大きいことを考慮すると、電波法や放送法により放送会社の株主総会で行使できる議決権を制限すれば事足りることだろうか。確かに議決権行使は19.99%に調整される。しかし、実際に外国人等が放送会社の株式を大量に保有することが、放送会社の運営に影響を与えないと断言はできない。外国人直接保有比率が高ければ、外国による影響が高くなるし、外国人直接保有比率が低ければ、外国による影響が低くなるだろう。 グラフからも明らかだが、放送業界全体の外国人直接保有比率が高いのではない。日本テレビ(読売系)、フジテレビ(産経系)のいわゆる「保守系」メディアの外国人直接保有比率が高い一方で、TBSやテレビ朝日(朝日系)といったいわゆる「リベラル系」メディアの外国人直接保有比率は低い。 外国人直接保有比率の高低には配当性向や配当利回りの違いがあるとする意見もあるが、こうしたメディアとしてのスタンスが影響している可能性はないのだろうか。 保守系メディアの株式を買い、大株主となった外国の思惑が放送会社へ及び、外国の意向を忖度(そんたく)した放送を流しているという意見がある一方で、放送局は外国人直接保有比率に関係なく、日本の国益に資する放送を流しているという意見もある。いずれにせよ、外資規制導入の趣旨を考えると、外国人直接保有比率が高いことは、好ましい状況ではない』、「「保守系」メディアの外国人直接保有比率が高い一方で・・・「リベラル系」メディアの外国人直接保有比率は低い」、真の理由はどう考えても不明だ。
・『国際情勢や安全保障問題などを取り上げる番組の多くが地上波放送から姿を消し、グルメ番組、お笑い番組、スポーツ中継、ワイドショーばかりが放送されている。核兵器保有国の谷間にあるわが国の状況や尖閣諸島への領土・領海侵入危機など、国民が知るべき報道が不十分であることを憂慮すべきだ。 インターネットなどさまざまな方法で情報を集め分析し判断する人たちがいる一方で、情報端末操作ができず地上波だけが唯一の情報収集手段の人たちもいる。地上波だけが情報収集手段の有権者に対し、外国の意向を反映した報道が流れ、外国の思惑通りに世論形成され誘導されるリスクを踏まえて、外国人直接保有比率の是非を改めて議論すべきだろう。 また、外国人直接保有比率については、国別の情報が開示されないことは問題だ。放送会社の株主名簿を見ると、主要株主にカストディアン(投資家に代わって有価証券の保管・管理を行う金融機関)の名前が並んでいる。また、日本に帰化した外国人が保有する株式は、日本人保有株式にカウントされることも留意する必要がある。 放送事業が国民世論に及ぼす影響を考えれば、最低限でも国別の開示は必要であるし、タックスヘイブンやファンドなど真の持ち主の正体を隠す投資家による放送業界の株式取得は規制されてもよいのではないか。 放送業界と安全保障との関係を考えると、非上場化を行い、非上場化の際に外国人株主をスクイーズアウト(少数株主の排除)する選択肢もある。外国の影響を排除するならば、官民ファンドを設け、MBO(経営陣が参加する買収)を行い、外国人投資家を株主から一掃することは可能だ。 とはいえ、非上場化しても、放送番組の政治的公平性などを定めた放送法4条が守られるとは限らないとの指摘もある。放送番組の制作に外国の影響を受けないための制度設計が必要なことは言うまでもない。 東北新社の認可取り消しで放送業界の外資規制に注目が集まった。このことをきっかけに放送と安全保障の議論が盛り上がることを期待したい』、「国際情勢や安全保障問題などを取り上げる番組の多くが地上波放送から姿を消し」、確かに由々しい問題だ。ただ、これは「外国人投資家」と関連づけるよりもまず、ニュースなどの番組の時間を一定の枠以上にするなどの規制で対応するほうが実効的だと思う。 
タグ:メディア ダイヤモンド・オンライン PRESIDENT ONLINE (その26)(数百人の新聞記者が束になっても、少数精鋭の"文春砲"に完敗する根本原因 一緒に「賭け麻雀」をする浮世離れ、グーグルやFBを揺るがすニュース表示の対価支払い 世界初義務化の波紋。フジと日テレ」の外資比率が 東北新社を超えても許される理由) 白戸 圭一 「数百人の新聞記者が束になっても、少数精鋭の"文春砲"に完敗する根本原因 一緒に「賭け麻雀」をする浮世離れ」 『はじめてのニュース・リテラシー』 新聞と雑誌のニュース感覚の違いを明確にした「賭け麻雀問題」 「黒川氏」は「安倍政権」の守護神と言われていた 「三密の賭け麻雀」を報道した週刊文春 まるで絵に描いたような不祥事の典型だ 賭け麻雀を取材の一環としてとらえた新聞社 「新聞社の人間たちは、この状況で黒川氏と雀卓を囲む行為が「ニュース」になってしまうかもしれないとは、想像すらしなかったのだろう」、ジャーナリスト失格である 国民の「ニュース感覚」を捉えた文春 「新聞にとってそれは「ニュース」ではなく「取材」の一環であった」、「大新聞の社会部の検察担当記者のニュース感覚は、国民のニュース感覚とは違っていた」、「社会部」の「記者」にあるまじきことだ 小暮哲夫 「グーグルやFBを揺るがすニュース表示の対価支払い、世界初義務化の波紋」 「「世界初」の義務化」とは思い切ったことをしたものだ グーグルやFBを念頭に豪で法案成立、従わないと「罰金」 「罰金額」など「契約を結ぶ際の「交渉規則」とその手続き」などの「仲裁」の仕組み、はよく出来ているようだ ネット広告で2社が半分のシェア 激減の既存メディアに優位に 「ルールづくりにグーグルやフェイスブックが応じる気配を見せなかった上、新型コロナウイルスの影響で報道機関の広告料収入が大きく落ち込む厳しい状況が表面化」、「政府が義務づける方針」に転換したようだ 「力を持ち過ぎ」と世論は支持 対応分かれたグーグルとFB すぐ妥協した「グーグル」に対して、「フェイスブック」は抵抗したようだ。 存続に「かなりの貢献」をすれば義務化の対象外に 「フライデンバーグ財務相」が自ら「ザッカーバーグ最高経営責任者と電話で協議を重ね」、「法案の修正」したとはさすがだ。 「ナイン・エンターテインメントやセブン・ウエスト・メディアがグーグルと合意した支払額は」確かに「他国の報道機関と合意した内容より、かなりの好条件」のようだ 日本も追随すべきだが、まだ具体的な動きはないようだ。 平井宏治 「「フジと日テレ」の外資比率が、東北新社を超えても許される理由」 「武田大臣」が「3月23日」の「定例会見で、記者から」の質問に直ぐに答えられなかったのは、お粗末だ 「筆者は・・・総務省に外国人等が行使できる議決権個数の計算方法を変えるように陳情を行った・・・総務省は外国人等が行使できる議決権の計算方法を変更する通達を対象となる放送事業者へ出した」、なるほど。ただ、「通達内容は非公開」というのは解せない。公開しても問題ない筈だ 「「保守系」メディアの外国人直接保有比率が高い一方で・・・「リベラル系」メディアの外国人直接保有比率は低い」、真の理由はどう考えても不明だ 「国際情勢や安全保障問題などを取り上げる番組の多くが地上波放送から姿を消し」、確かに由々しい問題だ ただ、これは「外国人投資家」と関連づけるよりもまず、ニュースなどの番組の時間を一定の枠以上にするなどの規制で対応するほうが実効的だと思う。
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