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鉄道(その7)(終電繰り上げ 人は消えても回送が走る不条理 「ダイヤ改正」は困難、電車は急に止められない、乗客激減で大ピンチ「ユーロスター」が破綻危機 政府支援なく「航空会社に準じた救済」求めるが、世界2大鉄道メーカー 小さくない「合併」の代償 市場寡占避けるため手放さざるをえない製品も) [産業動向]

鉄道については、2019年11月20日に取上げたままだった。今日は、(その7)(終電繰り上げ 人は消えても回送が走る不条理 「ダイヤ改正」は困難、電車は急に止められない、乗客激減で大ピンチ「ユーロスター」が破綻危機 政府支援なく「航空会社に準じた救済」求めるが、世界2大鉄道メーカー 小さくない「合併」の代償 市場寡占避けるため手放さざるをえない製品も)である。

先ずは、本年1月22日付け東洋経済オンライン「終電繰り上げ、人は消えても回送が走る不条理 「ダイヤ改正」は困難、電車は急に止められない」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/405692
・『新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからない状況を受け、1月7日に東京・埼玉・千葉・神奈川の1都3県に発令された緊急事態宣言。1月13日には栃木や愛知、大阪、福岡など7府県にも対象が広がった。首都圏の鉄道各社は、「夜間の外出自粛」を強く呼びかける国や自治体の要請を受け、1月20日から終電の時刻を繰り上げた。 終電の繰り上げは、夜間の保守作業時間確保などを目的に都市部のJR各線や大手私鉄各社が今春のダイヤ改正から予定している。それだけに、今回の緊急事態宣言に伴う繰り上げは「前倒し」での実施のように見えるが、内容は別物だ。 単に春からの新ダイヤと時刻が違うだけではない。繰り上がった「終電」の後も、電車そのものは走るケースが少なくないのだ』、「国や自治体の要請」に従ったフリをしただけのようだ。
・『基本のダイヤは変えずに対応  今回、首都圏で終電を繰り上げたのは、JR東日本や大手私鉄各社をはじめ、1都3県の計25事業者。今春のダイヤ改正では繰り上げを行わない予定の路線も含まれる。 JR東日本は山手線や中央線快速、京浜東北・根岸線など、首都圏の計11線区で終電時刻を繰り上げた。山手線外回りの池袋―品川間は14分程度、中央線快速の東京―武蔵小金井間は30分程度と、各線でおおむね10~30分早まっている。「要請があった1都3県の路線で、終電時刻が遅い路線を対象にした」とJRの広報担当者は話す。 20日からの終電繰り上げは、基本となるダイヤは変えずに深夜の電車を運休したり、運転区間を短縮したりすることで対応している。例えば、中央線快速の下りは東京駅0時10分発以降の4本を運休し、終電を0時06分発に繰り上げた。池袋発の山手線品川方面行きは0時38分発が最後だったが、同列車を池袋止まりにすることで0時26分発が終電になった。 ただ、運休や運転区間の短縮によって終電時刻は繰り上がるものの、「運休となった部分も『回送』として電車自体は走る」(同社広報)ケースがあるという。「翌朝の列車を走らせるために(本来の終点に)回送しなければならない」ためだ。 私鉄も同様だ。例えば、首都圏の大手私鉄の中でも終電時刻が比較的遅い西武鉄道は、本来の終電を含め深夜帯の電車を運休する形で対応するが、運休となる列車も「基本的には回送として走る」(西武鉄道広報部)。「要請への対応で急を要するため、やむをえずこのような(回送する)形になった」という。 ほかの鉄道も「すべてではないが、現行ダイヤの一部を回送として運用するものがある」(東京メトロ)、「列車によって異なるがそういった(回送する)場合もある」(京王電鉄)など、客を乗せる営業列車としては運休しても、回送として電車を走らせるケースは少なくない』、「客を乗せる営業列車としては運休しても、回送として電車を走らせるケースは少なくない」、無駄に思えるが、「夜間の外出自粛」に寄与していることは確かだ。
・『作業時間確保には効果なし  鉄道のダイヤは乗務員のシフトや車両の運用などさまざまな要素が複雑に関連しており、ダイヤ改正の準備には長期間を要する。一方、今回の終電繰り上げは緊急事態宣言発令による国や自治体の要請を受けて急きょ実施したため、車両などの運用まで変えるのは難しい。運休による終電時刻の前倒しと「運休列車の回送」は、要請に対応するための苦肉の策といえる。 鉄道各社が今春のダイヤ改正で実施する予定の終電繰り上げは、夜間の保線作業や工事の時間確保、現場の労働負荷の軽減などが大きな狙いだ。 だが、今回の繰り上げは「要請を受けた急きょの対応なので、そもそもその点は想定していない」(ある大手私鉄)。終電後に回送電車が走るケースもあり、「作業時間を確保するなどの効果はない」と複数の鉄道会社関係者はいう。 さらに、発表から実施までの期間が約1週間と短かったため、利用客への周知も課題となった。各社は駅へのポスター掲示や車内の案内放送などで告知したが、「JRなどエリアの広い鉄道は相当大変では」(大手私鉄の広報担当者)。今回の終電繰り上げは、負荷軽減どころか「苦労はむしろ増えている」と、ある私鉄社員は漏らす。 今回、国や自治体が終電の繰り上げを要請したのは、深夜の人出を減らし、コロナの蔓延を防ぐことが狙いだ。東京都の小池百合子知事は緊急事態宣言が発令された1月7日の記者会見で、都民に外出自粛などを求めるとともに「人流を抑える具体的な対策」として、鉄道各社に終電時刻の繰り上げなどを要請すると述べた。 だが、深夜の電車はコロナ感染が広まった昨年春以来、大幅に利用が減っている。 とくに減っているのが終電間際の時間帯だ。JR東日本が公開しているデータによると、昨年10月の山手線終電付近(0時台)の利用者は、コロナ禍以前の前年と比較して40%減少。ほかの鉄道も同様で、東急は23時以降に渋谷を発車する電車の混雑率がコロナ禍前と比べて東横線で49%、田園都市線で46%減少している』、「深夜の電車はコロナ感染が広まった昨年春以来、大幅に利用が減っている。とくに減っているのが終電間際の時間帯だ」、こんなにも「利用」が急減したとは初めて知った。
・『感染抑制の効果はあるのか  緊急事態宣言の発令後はさらに減っているとみられる。終電繰り上げを控えた平日、東京駅を0時06分に発車する中央線快速電車に乗ってみると、発車時点で乗客は各車両に3~4人ほど。新宿駅からは乗客が増えるものの、それでも立客の姿はほとんど見られなかった。コロナ禍以前は満員だった0時台の田園都市線下り電車も、渋谷駅発車時点で最も人の多い車両でも1人おきにシートに座れるほどだった。 深夜の人出がすでに激減している中、終電繰り上げが感染拡大防止につながるのかは疑問符が付く。 しかし、鉄道側としては国や自治体の要請を受けないわけにもいかないのが実情だ。ある鉄道関係者は「各社が終電繰り上げのダイヤ改正を予定していたから『前倒し』要請ということになったのだろうが、ダイヤ改正は簡単に前倒しできるものではない」と語る。 緊急事態宣言の期間は2月7日までだが、終電の繰り上げ期間は今のところ「当面の間」だ。迷走するコロナ対策に、ライフラインである鉄道も振り回されてる』、「深夜の人出がすでに激減している中、終電繰り上げが感染拡大防止につながるのかは疑問符が付く」、確かだが、「国や自治体の要請を受けないわけにもいかないのが実情」、大人の対応のようだ。

次に、3月17日付け東洋経済オンラインが掲載した在英ジャーナリストのさかい もとみ氏による「乗客激減で大ピンチ「ユーロスター」が破綻危機 政府支援なく「航空会社に準じた救済」求めるが」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/417127
・『国と欧州大陸を結ぶ国際高速列車ユーロスターが、コロナ禍による移動需要の蒸発で破綻の危機にさらされている。コロナ以前のユーロスターはビジネス需要も観光利用も極めて好調で、平均の乗車率は80%を超えていたが、新型コロナの影響により乗車率が1%まで落ちる大打撃を受けている。 欧州の鉄道会社はコロナ禍で軒並み事業環境が悪化し、救済のための政府支援が積極的に行われた。例えば、英国国内の鉄道各線は一時的に「国有化」される形となったほか、フランス政府は国鉄(SNCF)に対し、コロナ禍による利用減少だけでなくSDGs (持続可能な開発目標)を見越した財政支援を行っている。 その中で、なぜユーロスターが破綻の危機に陥っているのか。それは、運行会社のユーロスター社が会社としては英国の企業であるものの、複数国を結ぶ国際高速列車であることなどから、一筋縄ではいかない事情を抱えているためだ』、「乗車率が1%まで落ちる大打撃」、で「消滅リスク」に瀕しているのに、どういうことだろう。
・『「支援なければ消滅リスク」  コロナ禍以前のユーロスターは、ロンドンとパリ、ブリュッセル、アムステルダムをつなぐ列車を1日当たり片道約50本運行。ロンドン―パリ間は早朝から夕方まで毎時1本程度走っていた。 ところがコロナ感染拡大を受けて各国が厳しいロックダウン措置を取る中、国際間の人の動きが激減。今やロンドン―パリ便1往復と、ロンドン―ブリュッセル―アムステルダム便1往復のみまで減便された。 この状況を受け、ユーロスター社は今年1月下旬、自ら「現状は極めて深刻で、政府からの支援がなければ、ユーロスターは消滅リスクに直面する」と述べ、英政府に対し「航空会社に与えられた政府支援の融資をわれわれにも適用してほしいと改めて求めたい」と窮状を訴えた。 ユーロスターの現状については、フランス国鉄の旅客運行部門SNCF Voyageursのクリストフ・ファニシェ(Christophe Fanichet)最高経営責任者(CEO)も「非常に危機的な状況」だと認めている。しかし目下のところ、英政府の動きは重い。 法人としてのユーロスター社の登記先はロンドンにあり、れっきとした英国企業である。だが、英政府の支援が得られず立ち往生している理由として大きなポイントは2つあると筆者は考えている。 1つは、現状では英国政府や鉄道会社の資本がまったく入っていないことだ。 ここでユーロスター社の資本関係について解説しておこう。会社の設立当初は、列車が乗り入れている3カ国が応分出資しており、その割合はフランス国鉄(SNCF)が55%、英運輸省が出資するロンドン&コンチネンタル鉄道(LCR)が40%、そしてベルギー国鉄(SNCB)が5%となっていた。 ところが2014年、英政府はLCR保有のユーロスター株の民間放出を決めた』、なるほど。
・『英ではフランスの企業扱い?  その結果、英政府の保有分はカナダ・ケベック州の政府系基金が30%、アメリカのインフラ投資ファンドであるヘルメス・インフラストラクチャーが10%をそれぞれ買収。英国が拠点でありながらも、英国関連の出資者はいなくなってしまった。 英経済紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は、「ユーロスター社は、英国においては英国の支援を受けていないフランスの企業と見なされる一方、フランスではフランスの支援を受けていない英国を拠点とする企業と見なされている」と説明。どういう根拠で支援を進めていいかさえも決まっていない状況が見え隠れする。 そしてもう1つは、英国の鉄道として「国内間列車」としての機能を持たないため、そもそも「鉄道フランチャイズ制度」の枠から外れていることだ。英国ではコロナ禍での鉄道事業の苦境を受け、実質的に運営を国有化する救済措置が講じられているが(2020年7月16日付記事「『日本式』がベスト?岐路に立つ英鉄道の民営化」参照)、ユーロスターは国際列車のため、この救済の枠に入らなかった。 英国ではコロナ禍によるロックダウンが合計3回行われたが、最初の実施からまもなく1年が経つ。ユーロスターの需要はそれ以来、「ほぼゼロ」まで収縮してしまった。運輸関係のアナリストの間では、「ユーロスターのキャッシュフローはこの夏まで持たないのではないか」とする声も聞こえてきている。 一方、「政府による救済の必要はない」と訴える英国民も少なくない。彼らの多くは「経営が厳しいのは理解できるが、株主がその責を負うべきだ」と主張する。 しかし、このまま政府支援など新たな動きがなければ、破綻手続きに入るという懸念も生まれてきている。コロナ禍という想定外の問題であるとともに、そもそも公共性の高い交通インフラをこのまま見殺しにするのは正しい道なのだろうか。 目下の最悪のシナリオは、政府支援もなく新たな出資者も出てこないというものだ。通常の破綻処理は投資銀行などが管財人となり、企業や事業の新たな買い手を探すわけだが、それが振るわない場合は資産を現金に換えて清算を進めることとなる。もっとも懸念されるのは、管財人が車両売却を進めてしまい「英国と欧州大陸を結ぶ国際高速列車サービス」が消滅してしまうことだ』、「ユーロスター社は、英国においては英国の支援を受けていないフランスの企業と見なされる一方、フランスではフランスの支援を受けていない英国を拠点とする企業と見なされている」、「ユーロスター」はなんとも難しい立場に追い込まれてしまったようだ。「目下の最悪のシナリオは、政府支援もなく新たな出資者も出てこないというものだ・・・もっとも懸念されるのは、管財人が車両売却を進めてしまい「英国と欧州大陸を結ぶ国際高速列車サービス」が消滅してしまうことだ」、こうした「最悪のシナリオ」も現実味を帯びてきたようだ。
・『最悪シナリオは車両売却  現在ユーロスターで使われている車両は、開業時に導入された「e300」(仏アルストム製11編成)と、ドイツを走る高速列車ICE3と基本設計が同じ「e320」(独シーメンス製17編成)の2タイプがある。e300は20両編成、e320は16両編成と、欧州の高速列車としては長い編成で、全長は両タイプとも約390mだ。 現在の乗車率なら編成両数を減らしてもよさそうだが、車両の構造上の問題だけでなく、ユーロスターはそれができない規程がある。英仏海峡トンネル内部の非常口への避難を前提に編成長が決まっているためだ。 トンネルの非常口は375mごとに設けてあり、編成の長さを非常口の設置間隔以上にすることで、万が一の際、編成中のどこかのドアからより早く非常口にアクセスできることが求められている。このため、需要に応じて編成を短縮するわけにもいかない。 だが、英仏海峡トンネルを通って英国―欧州大陸間を営業運転できる車両は現在、ユーロスター用に使われているものしか存在しないという。関係のない路線に車両が売却されてしまうことは避けたい事態だ。 英国と欧州大陸を結ぶ高速列車がなくなるという事態を避けるため、仮に破綻手続きが始まったとして、管財人は新規出資者を探す際に「英国―欧州大陸間を結ぶ鉄道サービスを提供できることという条件を付けるべき」(英国の鉄道アナリスト)という考え方もある。 現状ではあまり想像したくないオプションではあるが、それでも欧州ではすでに「ユーロスター」の売却先に関する予想があれこれと語られている。 目下有力視されているのはドイツ鉄道(DB)だ。何度となくドイツとロンドンとの直結を求め、さらにICEの試験車両をロンドン・セントパンクラス駅まで乗り入れるなど、さまざまな仕掛けに及んだが、現在まで実現していない。現在のユーロスターの主力車両はドイツ・シーメンス製で、DBにとっては親和性が高い』、確かに「ドイツ鉄道(DB)」は有力な候補になりそうだ。
・『貴重な国際交通をどう維持する?  これは筆者の想像だが、ダークホース的な出資者の候補として香港MTRC(香港鉄路)の名を挙げておきたい。同社は、英国の高速鉄道新線「HS2」の運行オペレーターとしてフランチャイズ獲得に向け、中国の広深鉄路公司とコンソーシアムを組み入札したが、最終候補選出の際に落選した。しかし、MTRCはすでに中国本土から乗り入れる高速鉄道の香港領内での運営、および長年にわたって広州市―九龍半島間を結ぶ直通列車の運行に携わっており、「国際列車」の経験は豊富だ。 ユーロスターの運行がなくなってしまうことは、国際交通インフラ維持の観点から見て由々しき問題だ。それに加え、欧州では環境保護の観点から500~600km程度の移動は航空機でなく列車を利用することが奨励されている。SDGsへの考慮が世界的に叫ばれる中、「島国・イギリス」への鉄道アクセスは残しておくべき貴重な交通インフラのひとつであることは疑いない。 コロナ禍の収束、あるいはワクチン接種の進展など、旅客需要回復までの道のりの予想がつけば、より短期間の融資や支援で延命できる可能性もある。破綻や売却という形での結論は見たくない、というのが大方の意見だ。はたしてどんな格好で生き延びるのだろうか』、「香港MTRC」の場合は、「中国」との関係がネックになる可能性もあろそうだ。「はたしてどんな格好で生き延びるのだろうか」、大いに注目されるところだ。

第三に、3月31日付け東洋経済オンラインが掲載した欧州鉄道フォトライターの橋爪 智之氏による「世界2大鉄道メーカー、小さくない「合併」の代償 市場寡占避けるため手放さざるをえない製品も」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/419791
・『アルストムによるボンバルディアの鉄道部門、ボンバルディア・トランスポーテーションの買収は、欧州委員会(EC)の承認を得たことで順調に進み、2021年1月29日に正式に完了した。買収額は5.5億ユーロ(約711億7500万円)で、これは昨年2月に公表されていた5.8~6.2億ユーロよりはるかに低い額となった。 買収が完了したことで、かつて欧州鉄道メーカーのビッグ3としてしのぎを削った2社は同じ会社となり、70か国で約7万5000人の従業員を抱える巨大企業となった』、興味深そうだ。
・『弱みを相互補完  アルストムは今回のボンバルディア買収により、それまでお互いが弱いとされていた地域を相互補完でき、商業的に高いアドバンテージを持つことになったと自信を見せる。アルストムは地元フランス以外に、イタリア、スペイン、インド、東南アジア、ブラジルに拠点を確立しており、一方のボンバルディアは英国、ドイツ、北欧、中国、北米の市場を開拓している。両社が合併したことで、これらの地域すべてに商業的基盤を持つことになった。 両社の合併は、現在世界シェア1位で、近い将来に自分たちの基盤であるヨーロッパや北米市場において脅威となりかねない中国中車(CRRC)への対抗であることはよく知られている。欧州委員会からの承認を得ることができず破談になったものの、2019年に合併寸前まで至ったアルストムとシーメンスの合併話も、裏ではドイツおよびフランス政府の強力なバックアップがあったからこそと言われている。 アルストムとシーメンスの合併が破談となったのは、とりわけ信号システムと高速列車の2つの分野で市場を独占しかねない、という大きな懸念があったためだ。両社はその対応に奔走することとなったが、結局最後まで欧州委員会を納得させるだけの条件を提示することはできず、合併を諦めざるをえなかった。 欧州委員会は域内における市場の寡占を避けるため、今回の合併にもいくつかの注文を付けている。 対等合併だったシーメンスのときとは異なり、今回はアルストムがボンバルディアを買収する吸収合併だったこと、またシーメンスと違い、ボンバルディアは高速列車の技術プラットフォームは保有しているものの、製品としてラインナップはしていないため、高速列車分野における市場寡占化はないと判断されたことは大きかった。 とはいえ、競合する鉄道メーカー同士であれば、同種の製品を保有しているのは自然なことである。当然、それらのうちいくつかの技術は手放さなければならなかった』、今回の合併が認められた背景の1つに、「中国中車(CRRC)への対抗」がありそうだ
・『高速列車技術はどうなる?  では、合併後に手を離れることになったのは何か。 アルストムが基幹製品である高速列車TGVを手放すはずはない。代わりにボンバルディアの高速列車プラットフォーム「ゼフィーロ」の知的財産などは手放さなければならなくなった。 「ゼフィーロ」プラットフォームは、日立製作所のイタリア法人である日立レールS.p.Aによって製造される高速列車「ETR400型」で採用されている。現在はイタリア鉄道がフランスおよびスペイン国内での営業へ向けて追加編成を注文するなど、今も非常に関係が深いことから、日立製作所が譲渡先の筆頭候補になることは間違いないが、現時点では日立側からも特にアナウンスはされていない。 一方で、「ゼフィーロ」プラットフォームは譲渡されることなく廃止という話もある。もし日立がその技術を入手した場合、高速列車市場ではアルストムのライバルとなることから、その可能性も完全には否定できない。そうなると日立は独自の技術でETR400型の後継車種を構築する必要が出てくる。 欧州ではシーメンスと並んで多数の納入実績がある、ボンバルディアの汎用型機関車TRAXXシリーズも残され、今後は「アルストムTRAXXシリーズ」として販売されることになる。一方で、アルストムにも同様の機関車シリーズ「プリマ」がある。欧州ではまったく鳴かず飛ばずであったが、アゼルバイジャンやインド、モロッコなど、他の地域ではそれなりに販売実績があるため、その処遇は気になるところだ。 近郊列車用連接車両のボンバルディア「タレント3」とアルストム「コラディア・ポリヴァレント」は、ともに工場ごと他社へ譲渡することを決定しているが、譲渡先としてチェコのシュコダの名前が浮上している。同社は低床連接式車両の技術を獲得することで、ドイツおよびフランス市場へ本格参入したい意向だ。 とくにアルストム・コラディアに関しては欧州で注目を集める水素燃料車両の技術も含まれており、もし実現すればシュコダは次世代型低公害車両メーカーとして一躍名を馳せることになる。水素燃料車両については、アルストムはすでにフランス国鉄と最初の契約を締結しており、技術と工場が譲渡された場合、シュコダがその契約を引き継ぐことになる。 トラム車両も、両社それぞれが製品を保有していたので、いずれこれらも整理されていくことになるだろうが、現時点では具体的な情報は入ってこない。 ただし、2020年12月15日の段階で117編成の新型車両を供給する契約をボンバルディアと交わしていたベルリン交通局は、3月16日にそのデザインを公表したが、外見からはボンバルディアの製品であるFlexityをベースしているようだ。これが同シリーズの最後の契約となるのか、今後も製造が続けられるのかが注目される』、「譲渡先」候補の「チェコのシュコダ」は、「次世代型低公害車両メーカーとして一躍名を馳せることになる」、どうなるのだろう。
・『合併でやっかいな問題も  しかし一方で、すでに交わされた契約の中にはややこしい問題が発生している案件もある。パリ市内を走る高速地下鉄RER-B線は、車両老朽化に伴う置き換えを計画しており、2018年に行われた入札で(アルストムとの合併が浮上する前の)ボンバルディアとスペインのCAFによる連合が146編成+最大34編成分の追加オプションという契約を獲得した。 しかしアルストムは、新型コロナの影響による需要の変動を想定した車両導入計画、および購入後の一時的な車両保管に対して柔軟性を求める内容が契約条件に後付けで加えられたことに異議を唱え、入札を実施したフランス国鉄SNCFとパリ交通局RATPを提訴した。 アルストムとしては、いったん受注し製造した車両を需要変動によって一時的に保管しなければならなかったり、製造の途中で仕様が変更されたりする可能性があるのはリスクが高いうえ、ボンバルディアとCAFが提示した金額では十分な柔軟性を確保できず、メーカーがリスクを背負わなければならない、というのが言い分だ。 パリ司法裁判所はSNCFとRATPに対し、こうした契約後の調達条件変更などを停止するよう命じたが、それに対し両者が控訴するなど問題は複雑な方向へ向かっていた。 アルストムによるボンバルディア買収が完了したことで、状況はさらに複雑化することになった。ボンバルディアの契約はそのままアルストムが引き継ぐことになったが、契約書を確認した後、アルストム側は改めて、この契約については再交渉したいと申し出た。その理由は前述の価格面に加え、技術面においても大きな懸念があるというものだった。 アルストムの会長兼CEOのアンリ・プーパルト=ラファージュ氏は、「契約金額は、ボンバルディアが損失を出している(2021年末の営業を目指してテスト中の新型車両)RER-NGよりもさらに20%も低い」「CAFが提供する予定の台車は技術的問題を抱え、すでに供給されたブラジルの地下鉄では2年間の運転休止を伴う大問題となった」と語っており、再契約は譲れない姿勢を示した。アルストム側はSNCFとRATPに対し、CAF抜きで会議の場を設けたいと打診しており、価格面に加えて技術的に不安のあるCAF製品を排除し、すべて自社製に切り替えたい意向を示すものと考えられる。 対してSNCFとRATPは、ボンバルディア=CAFコンソーシアムに対する契約は継続されていることを確認し、「ボンバルディアを買収したアルストムは、本契約とコミットメントをすべて引き継いでいる」と譲らない姿勢だが、車両の老朽化が進んでいることから速やかな問題解決を必要としている。新型車両への置き換えは2024年には開始される予定であったが、この期限内には不可能になるとRATPは述べており、問題が長引けば納入はさらに遅れることになる』、こうしたややこしい問題は、ある意味で「合併」につきものではある。
・『世界メーカー3位に日立が浮上  さて、2社が合併した後の各鉄道メーカーの年間売り上げの最新シェアについて、現地ニュースが興味深いデータを掲載した。1位のCRRCは揺るがないものの、アルストム+ボンバルディアが2位に浮上した。ここまでは容易に想像できるが、3位にはシーメンス・モビリティと並び、なんと日立製作所が急浮上したのだ。 つまり2021年のビッグ3ならぬ「新ビッグ4」とは、「CRRC・新生アルストム・シーメンスおよび日立」ということになる。上位3社の顔触れは基本的に変わらないが、ついにそこへ肩を並べるに至った日立製作所の今後にも大いに期待したい』、「世界メーカー3位に日立が浮上」とは喜ばしいことだ。「日立」の「今後にも大いに期待したい」、同感だ。
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