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黒川検事長問題(その5)(黒川元検事長の略式起訴は大甘 退職金も弁護士資格も無傷、三浦瑠麗「迫真のノンフィクション『安倍・菅政権vs.検察庁』」を読む 官僚と政権のつばぜり合いを抉る、菅首相“銘柄”の黒川元検事長と菅原元経産相 一転して「起訴すべき」となった理由〈週刊朝日〉)

黒川検事長問題については、1月14日に取上げた。今日は、(その5)(黒川元検事長の略式起訴は大甘 退職金も弁護士資格も無傷、三浦瑠麗「迫真のノンフィクション『安倍・菅政権vs.検察庁』」を読む 官僚と政権のつばぜり合いを抉る、菅首相“銘柄”の黒川元検事長と菅原元経産相 一転して「起訴すべき」となった理由〈週刊朝日〉)である。

先ずは、1月19日付け日刊ゲンダイ「黒川元検事長の略式起訴は大甘 退職金も弁護士資格も無傷」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/286717
・『昨年5月「賭けマージャン」が発覚し、引責辞任した黒川弘務・元東京高検検事長(64)が、18日、賭博罪で略式起訴された。 東京地検は昨年7月、不起訴処分(起訴猶予)としていたが、検察審査会が12月に「起訴相当」と議決したことを受けて処分を一転させた形だ。 単純賭博罪の法定刑は、50万円以下の罰金か科料。略式起訴は、公開の法廷で審議されることなく、非公開の書面審理だけで罰金などを求める手続きだ。東京簡易裁判所が略式命令を出し、罰金が納付されれば、手続きは終わる。 略式起訴したことについて、東京地検は「検察審の議決を真摯に受け止めた」などとコメントしているが、黒川元検事長の“救済”に動いたのは明らかだ。 もし、東京地検が再び「不起訴」とすれば、検察審は2度目の審査でも「起訴相当」と議決し、黒川元検事長は「強制起訴」され、正式裁判が開かれる可能性があった。「強制起訴で法廷に立たせるより、略式起訴で終わらせた方が得策」と判断したのはミエミエである。 黒川元検事長を刑事告発した「菅政権による検察・行政の強権支配を糺す会」の藤田高景代表はこう言う。 「裁判になれば、禁固以上の刑に処せられる可能性があります。禁錮刑以上の刑が確定すれば、黒川氏は弁護士資格を剥奪される。5900万円とされる退職金の返納の義務も生じます。罰金刑なら弁護士資格も退職金も守られる。略式起訴は究極の救済策ですよ」 国民は納得しない』、「裁判になれば、禁固以上の刑に処せられる可能性があります。禁錮刑以上の刑が確定すれば、黒川氏は弁護士資格を剥奪される。5900万円とされる退職金の返納の義務も生じます。罰金刑なら弁護士資格も退職金も守られる。略式起訴は究極の救済策ですよ」、検察首脳も高度なテクニックで「黒川氏」を守ったものだ。やれやれ・・・。

次に、1月29日付けプレジデント 2021年2月12日号が掲載した国際政治学者の三浦 瑠麗氏による「三浦瑠麗「迫真のノンフィクション『安倍・菅政権vs.検察庁』」を読む 官僚と政権のつばぜり合いを抉る」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/42582
・『迫真のノンフィクション『安倍・菅政権vs.検察庁』  村山治著『安倍・菅政権vs.検察庁―暗闘のクロニクル』(文藝春秋)が話題だ。検察庁法の改正をめぐるツイッターデモを覚えている方は、ぜひ読んでほしい。 著者は長らく検察を取材してきた記者。丹念な取材に基づき、黒川弘務氏を重用した結果つぶしてしまう官邸と、組織内で決めた人事に一切口を出させるべきでないと考える検察の攻防を描いている。 検察独特の論理と正義感、人間関係、組織防衛のロジック、不祥事が起きたときの官僚同士のかばい合い、官邸にいる人々の思惑などがみごとに浮かび上がる取材だ。人事に関して何が起きていたのか。つい最近の森まさこ前法務大臣とのつばぜり合いまでが描かれていて、いまだ生々しいテーマを扱いながらここまで詳細に物事の経緯が示されているのに感銘を受けた』、興味深そうだ。
・『勧善懲悪ストーリーに矮小化された問題  官邸や大臣は、法に基づき人事に多少なりとも政治の側の評価が反映されるべきだと思っている。検察庁の側は、人事の自律性を最重要視する。しかし、特捜部のみの組織ならばともかく、政策官庁である法務省は、政権や国会の協力なしに1つも法案を進めることはできない。黒川氏は個人の能力としてそうした折衝に長けており、政治に重宝がられた。しかし、検察庁内部の人間には黒川氏に見えている風景がなかなか理解できず、ややもすれば政治に近すぎるとして警戒されてしまう。ボタンの掛け違いと人事が絡み合い、黒川氏と林眞琴氏のあいだの溝が深まった、という見立てである。 検察は政治にも他省庁にも踏み込みうる強権を有しているがゆえに、現場が暴走してしまった場合には権威に大きく傷がつく。例えば村木厚子さんの事件や陸山会問題などで、検察は国民の信を失った。自律性が重んじられるということと、組織の判断の正しさは別ものだからだ。当然、検察は自己改革を求められ、危機感を抱く。そして、政治の側は長年の政治主導改革の延長線として、検察人事にも影響を及ぼそうとする……。 2020年のツイッターデモのあと、検察はいかにあるべきか、公務員制度はいかにあるべきかという議論は残念ながら盛り上がらなかった。政治との人事抗争のみに耳目が集まり、まるで水戸黄門のような勧善懲悪ストーリーにされてしまった。黒川氏の麻雀事件は、単に「政治の側のお気に入り」が自滅した事例としてひっそり片付けられた。本書はそのような単純な世界観に抗うものだ。 一方で、疑問に思った点もある。例えば、著者は安倍内閣がツイッターデモで力を失ったとするが、いささか言いすぎのように思う。また、昨今の有名な経済事件における「検察の論理」への評価も、著者に聞いてみたいと思った。 検察のプロとしてのバランス感覚は尊重すべきだ。しかし、それが無謬性の主張の上に胡坐をかいた密室性の尊重であってはならない。そんなことも思わされた』、「検察はいかにあるべきか、公務員制度はいかにあるべきかという議論は残念ながら盛り上がらなかった。政治との人事抗争のみに耳目が集まり、まるで水戸黄門のような勧善懲悪ストーリーにされてしまった」、同感である。

第三に、3月14日付けAERAdot「菅首相“銘柄”の黒川元検事長と菅原元経産相 一転して「起訴すべき」となった理由〈週刊朝日〉」を紹介しよう。
https://dot.asahi.com/wa/2021031400011.html?page=1
・『去年5月、緊急事態宣言の最中、賭けマージャンをしていた問題で刑事告発され、起訴猶予になった東京高等検察庁の黒川弘務元検事長について東京地方検察庁が検察審査会の「起訴すべき」という議決を受けて再捜査。今度は一転して、賭博の罪で略式起訴することが14日までにわかった。黒川氏とともに賭けマージャンをしていた産経新聞記者2人と朝日新聞元記者は、不起訴となる見通しだ。 安倍政権時代、官邸の「守護神」と呼ばれた黒川氏。安倍晋三氏が首相の座から去った後も、黒川氏を「法律顧問」などと重宝していた菅義偉首相の影響力か、不起訴となっていた。 だが、昨年12月に出た検察審査会の「起訴相当」の判断は重かった。黒川氏は起訴猶予処分とされたが、賭けマージャンでカネを賭けていたことは検察の捜査でも立証されていた。起訴しない理由は「金額が少ない」というものだった。 だが、1円でも賭ければ、賭博となる。長く、検察の幹部だった黒川氏への“温情”ともみられる判断に対し、検察内でも異論が出ていた。検察幹部は苦しい胸の内を打ち明ける。 「再捜査して、検察が不起訴としても再度、検察審査会が起訴相当となれば、強制起訴されてしまう。黒川問題で検察の信頼は地に落ちたので、自らの手で処分すべきとの判断でしょう。罰金刑なら、ほとぼりがさめれば、黒川氏は弁護士になる道も残りますから……」 そんな中、もう一人、2月24日付で「起訴相当」と議決された人物がいた。自民党の衆院議員、元経産相の菅原一秀氏だ。菅原氏は、2017~2019年にかけて選挙区内の有権者に枕花名目で生花18台(計17万5000円相当)を送ったり、秘書に命じて自己名義の香典(計約12万5000円分)などを渡したりしたとして、公職選挙法(寄付の禁止)違反容疑で告発されていた。 20年6月に不起訴処分(起訴猶予)となっていたが、東京第4検察審査会は「起訴相当」と議決した』、「黒川問題」は第一の記事で取上げたので、ここでは「菅原氏」を中心にみていきたい。
・『菅原氏への捜査は、衆院議員で元法相の河井克行被告の公職選挙法違反事件と同時期にされていた。克行被告は、参院議員を辞職に追い込まれた妻の案里氏(有罪確定)とともに逮捕。 菅原氏も克行被告と同じカネのバラマキであり、犯罪事実は認められたにもかかわらず、起訴猶予処分となっていた。こうした検察の「えこひいき」的な判断には、大きな疑問があがっていた。 菅原氏の検察審査会の申立書では、以下のように計画的、常習的な手口を訴えられていた。 <秘書は、常に「菅原一秀」という文字が印字された香典袋を持ち歩き、選挙区内の有権者の逝去の情報を秘書が入手すると、「香典はいくらですか?」とLINEで尋ね、指示された金額を香典袋に包んで、秘書が代理持参していた> <秘書に選挙区内の有権者に関する逝去の情報を収集させ(しかも、その情報を入手し損ねると、「取りこぼし」とされて秘書は罰金をとられる)、報告を受けて秘書に金額を指示して香典を持参させていた> それが検察審査会の「起訴相当」の判断につながったのだ。菅原氏の検察審査会の申立代理人の元東京地検特捜部の郷原信郎弁護士はこう話す。 「河井夫妻と菅原氏の事件の根本は同じ構図です。河井夫妻はやるが、菅原氏は目をつぶってと検察が裏で政権と取引でもしていたんじゃないかと思いたくなる。黒川氏の場合も、起訴猶予だったが、犯罪事実は検察の捜査で確定していた。起訴相当の議決が1度でも出れば、アウト。菅原氏も起訴猶予ですが、検察審査会は起訴相当の判断。検察はまさに大恥をかいた。検察は黒川氏と同様に菅原氏を起訴する道を選ぶのではないか」 自民党幹部はこう愚痴る。 「年内に衆院は解散、確実に選挙はある。すぐ菅原氏を議員辞職させて無所属で選挙に出してもいいのではないかという声もあった。しかし、4月25日投開票の衆院と参院補選、参院広島選挙区の再選挙、どれもが厳しい。3月15日までに菅原氏が辞めれば、同じ日程になるので、現実的じゃない」』、「菅原氏」の「秘書」による「香典配布」工作は実に組織的で、悪質だ。
・『それに菅原氏が今さら、議員辞職しても、起訴相当という判断はそう簡単に覆らないという。 「内閣の支持率も低迷するばかり。それにしても、黒川氏の立件、菅原氏の起訴相当の判断がなぜ、選挙前になるのか……。疑問を感じる」(同前) 河井克行被告の妻、案里氏は懲役1年4か月、執行猶予5年、公民権停止5年間の判決が出て、5年間は選挙に出馬できない。自民党の筋書き通り、菅原氏が議員辞職し、反省の態度を認められて、検察が不起訴と判断したとなれば、菅原氏は公民権停止もなく、次の衆院選にも再出馬できる。そうなれば、案里氏らとの公平性という観点で大きな問題となる。 「菅原氏も公職選挙法違反ですから、検察は起訴して、立件すべき。大事なのは事件が選挙に関連するということ。克行被告、案里氏の事件を見てわかるように、公民権停止で当面、選挙に出馬できない。菅原氏も河井夫妻と同様にカネをバラまいたのだから、次の選挙に出馬することは、絶対に許されない」(郷原弁護士) 検察の捜査の行方を注目される』、仮に「検察」が「起訴」しなくても、「検察審査会」が強制起訴することになる筈だ。
タグ:「裁判になれば、禁固以上の刑に処せられる可能性があります。禁錮刑以上の刑が確定すれば、黒川氏は弁護士資格を剥奪される。5900万円とされる退職金の返納の義務も生じます。罰金刑なら弁護士資格も退職金も守られる。略式起訴は究極の救済策ですよ」、検察首脳も高度なテクニックで「黒川氏」を守ったものだ。やれやれ・・・。 三浦 瑠麗 プレジデント 2021年2月12日号 「黒川元検事長の略式起訴は大甘 退職金も弁護士資格も無傷」 「三浦瑠麗「迫真のノンフィクション『安倍・菅政権vs.検察庁』」を読む 官僚と政権のつばぜり合いを抉る」 「菅原氏」の「秘書」による「香典配布」工作は実に組織的で、悪質だ。 日刊ゲンダイ 「検察はいかにあるべきか、公務員制度はいかにあるべきかという議論は残念ながら盛り上がらなかった。政治との人事抗争のみに耳目が集まり、まるで水戸黄門のような勧善懲悪ストーリーにされてしまった」、同感である。 村山治著『安倍・菅政権vs.検察庁―暗闘のクロニクル』 AERAdot 「菅首相“銘柄”の黒川元検事長と菅原元経産相 一転して「起訴すべき」となった理由〈週刊朝日〉」 「黒川問題」は第一の記事で取上げたので、ここでは「菅原氏」を中心にみていきたい。 仮に「検察」が「起訴」しなくても、「検察審査会」が強制起訴することになる筈だ。 のノンフィクション『安倍・菅政権vs.検察庁』」を読む 官僚と政権のつばぜり合いを抉る、菅首相“銘柄”の黒川元検事長と菅原元経産相 一転して「起訴すべき」となった理由〈週刊朝日〉) 黒川検事長問題 (その5)(黒川元検事長の略式起訴は大甘 退職金も弁護士資格も無傷、三浦瑠麗「迫真
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