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民間デジタル化促進策(その2)(デジタル化で「日中」に歴然の差がつく根本理由 中国の挨拶は「起業したか?」に変わりつつある、「DXの第一歩はペーパーレス」10年前に紙をなくしたソフトバンクは、今どうなっているのか 【DOLイベントレポート】脱はんこ・ペーパーレスの実践 ~バックオフィスのデジタル変革~、インドのIT化が猛スピードで進む「3つの要素」 日本はもうかなわない?) [経済政策]

民間デジタル化促進策については、昨年10月24日に取上げた。今日は、(その2)(デジタル化で「日中」に歴然の差がつく根本理由 中国の挨拶は「起業したか?」に変わりつつある、「DXの第一歩はペーパーレス」10年前に紙をなくしたソフトバンクは、今どうなっているのか 【DOLイベントレポート】脱はんこ・ペーパーレスの実践 ~バックオフィスのデジタル変革~、インドのIT化が猛スピードで進む「3つの要素」 日本はもうかなわない?)である。

先ずは、本年2月12日付け東洋経済オンラインが掲載した伊藤忠総研 産業調査センター 主任研究員 の趙 瑋琳氏による「デジタル化で「日中」に歴然の差がつく根本理由 中国の挨拶は「起業したか?」に変わりつつある」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/409659
・『新型コロナウイルス危機を契機に、日本ではオンライン診療の拡充や押印の旧習から電子署名への移行の促進など、新たな動向がみられた。他方で、例えば、給付金の支給にデジタル技術がほとんど活用できないなどデジタルトランスフォーメーション(DX)の遅れで生じた問題が多く露呈してしまった。 『チャイナテック:中国デジタル革命の衝撃』を上梓した、趙瑋琳氏が、なぜデジタル化において中国と日本で差が生まれたのか解説する』、興味深そうだ。
・『日本は社会インフラが成熟しすぎていた  中国と比較し、日本がデジタル化の波に乗り遅れていることは以前より多くの識者によって指摘されている。では、いったいなぜこれほどまでに差が生まれてしまったのか。 昨年日本では、キャッシュレス推進のためにポイント還元事業が行われていたが、依然としてスマホ決済の普及は遅れている。 対して中国で急速にキャッシュレス社会が実現したのは、リープフロッグが起こったからだと考えられる。 リープフロッグとは、ある技術やサービスに関して未成熟な社会が、最新の技術を取り入れることで、発展過程の段階を飛び越え、一気に最先端に到達する現象を言う。加入電話の通信網や銀行のATMサービスが行き届いていなかったアフリカ諸国で、一気にスマートフォンが普及したり、モバイル通信を利用した送金手段が普及したりしたのはその典型例で、クレジットカードの普及が遅れていた中国で、スマートフォン決済が急速に普及しキャッシュレス社会を実現させたのも同じ現象だ。 日本でスマートフォン決済の普及が遅れているのは、すでに現金以外の、キャッシュレス決済手段が成熟しているからだ。1980年代にはすでにクレジットカード決済がかなり普及していた。加えて、前世紀末からさまざまな電子マネーが登場し、現金以外の決済手段が普及したため、スマートフォン決済に他の決済手段より高い利便性を感じる人は少なく、それが普及の妨げになっているのだ。 日本では決済方法に限らずありとあらゆる社会インフラが成熟しているため、最先端のデジタル技術への移行が遅れるという皮肉な現象が起きている。既存の枠組みに不自由を感じるユーザーが少ない日本よりも中国のほうが、社会インフラが未成熟だったため一気にデジタル化が進んだのだ』、「リープフロッグ」とは確かに説得力ある説明だ。ただ、欧米のような先進国ではこれは利かないので、欧米との比較も欲しいところだ。
・『差が生まれたのは、リープフロッグ現象が起きたからだけではない。 生活を変えてしまうような新しいテクノロジーを積極的に受容するか、それとも忌避するのか、その意識の相違もデジタルシフトで日本が中国に先行されている原因の1つと考えられる。例えばAI技術に対し、日本ではAIは人々の仕事を奪うと否定的な受け止め方をする人が多いのに対し、中国ではAIを活用した新しい技術を期待するなど、圧倒的に前向きな議論が多い。 デジタルシフトに対する日中の社会的受容度の差異の要因の1つは、両国の人口構成の差異にあると考えられる。世界で最も高齢化が進んでいる日本に対し、中国では生まれたときから携帯電話などが身の回りにあったデジタルネイティブの世代の層が厚く、高いデジタルマインドを持つ人が多いのだ。そのため、デジタルシフトに対し戸惑いや嫌悪感を持つ人は多くない。 他方、日本ではデジタルシフトへの受容度に世代間で大きな違いがみられ、それが日本でデジタル化が進まない一因となっている。日本社会がデジタルイノベーションを広く受容していくためには、よりポジティブな世論形成と、デジタルマインドの涵養が重要だと思われる』、その通りだろう。
・『起業家気質の差異  デジタル分野の技術開発で日本企業が中国企業の後塵を拝するようになった要因には、起業家気質の差異があると考えられている。 アメリカ・バブソン大学やロンドン大学ロンドン・ビジネススクールなどの研究者らが継続的に行っている国際調査「グローバル・アントレプレナーシップ(Global Entrepreneurship)」の2014年版によると、「職業として起業家はいい選択」に賛成した人(18歳から64歳)の割合は、中国の65.7%に対し日本は31%で半数以下だ。中国はアメリカの64.7%よりも高く、起業を積極的に評価する人が多いことがうかがえる。 「一兵卒にも天下とりの大志あり」はナポレオンの名言だが、中国ではこの語録を好み、今は雇われの身でもいずれ起業し社長になりたいと考える人が大勢いる。また、失敗に寛容な社会的土壌も豊かなのが特徴だ。労働市場の流動性が高く、起業に失敗しても、再就職のチャンスが失われることはない。そうした社会的土壌に加え、起業を奨励する政府の政策も影響し、中国では近年、起業ブームが起きている。 挨拶の言葉は「你好(こんにちは)」から「創業了?(起業したか?)」に変わったといわれるほどだ。起業が「下海」と呼ばれていた1990年代から起業DNAは脈々と受け継がれ、起業家マインドは人々の間に定着しているのだ。 一方、日本では学生の希望する就職先で公務員の人気が高いなど安定志向が定着し、また、労働市場の流動性は比較的低い。そのため、起業を志す人は中国やアメリカと比較すれば著しく少ないと考えられる。 アメリカのGAFAや中国のアリババ、テンセントの名前を挙げるまでもなく、これまでデジタル革命をリードしてきたのはベンチャー企業だ。ベンチャー企業が数多く生まれた国がデジタル革命に勝利してきた。そのような状況にあって、残念ながら、日本のベンチャー企業は、米中の後塵を拝しているのが現状だ。それが、日本のデジタル化の進展に深刻な影響を及ぼしていることは疑いようがない。 この状況を打開するには、起業教育や人材育成、意識改革、規制緩和など、あらゆる側面から議論を深め、行動を起こすことが求められる』、その通りだが、変革には時間がかかり、即効は期待できないようだ。

次に、6月23日付けダイヤモンド・オンライン「「DXの第一歩はペーパーレス」10年前に紙をなくしたソフトバンクは、今どうなっているのか 【DOLイベントレポート】脱はんこ・ペーパーレスの実践 ~バックオフィスのデジタル変革~」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/271268
・『日本の企業の中でもかなり早く、約10年前から本格的にペーパーレス化を進めていた企業がソフトバンクだ。その動きは今も続いており、ペーパーレス化はDXとなって、2000人の業務自動化、95億円の業務委託費削減、人事部門のAI活用などの成果を上げているという。ソフトバンクはどのようにペーパーレス化を行ってきたのか。ダイヤモンド社・デジタルビジネス局が2021年3月8日に、エフアンドエム、SmartHR、コンカーの協賛を得て行ったWebセミナー「脱はんこ・ペーパーレスの実践 ~バックオフィスのデジタル変革~」の基調講演の様子をお伝えする。(ダイヤモンド・セレクト編集部、ライター 笹田 仁)』、「ソフトバンク」はさぞかし先進的なのだろう、興味深そうだ。
・『DXの第一歩はペーパーレス化。紙が残っていたら、変革はできない  脱はんこ」や「ペーパーレス」と聞くと、「古い」「当たり前」と感じる人もいるかもしれない。今や、デジタル技術でビジネスモデルを根底から改革、さらには企業としてのあり方まで一変させる「デジタルトランスフォーメーション(DX)」が花盛りだ。しかしよく考えてほしい、DXで最初に乗り越えなければならないハードルは「脱はんこ」や「ペーパーレス」ではないだろうか。 ソフトバンクで総務本部副本部長を務める吉岡紋子(あやこ)氏は、日本テレコム(現ソフトバンク)に入社以来、営業、社長付を経験し、2006年より総務を担当している。現職である人事総務統括 総務本部 副本部長には2019年に就任しており、2020年には同社としては初めての「ハイブリッド出席型バーチャル株主総会」の実行や、本社移転で指揮を執った人物だ。 吉岡氏はまず、現時点でのソフトバンクの収益源と、今後の成長戦略について説明した。ソフトバンクというと携帯電話をイメージされる人が多いと思うが、ソフトバンク全社の収益は、携帯電話事業の他、法人事業や流通事業、3月1日にLINEとの事業統合を果たしたヤフーの事業、そして新領域で構成されている。その中でも「PayPayなどの新領域の事業で新たなユニコーン企業を育成していくことで今後の成長を目指している」と付け加えた。つまり、ソフトバンクは恒常的に新事業領域を開拓し、自社を変革させていかなければならないということだ。 そのソフトバンクがデジタル化に取り組み始めたのは、もう10年以上前のことだ。「デジタルトランスフォーメーション(DX)」という言葉が流行し始めたのはここ数年だが、ソフトバンクはそれよりもかなり早くに、DXに取り組んでいたということになる。恒常的に新事業領域を開拓し、自社を変革させていかなければならないという背景があり、自然にデジタル化の道を歩み始めたという。 そして吉岡氏はDXに挑もうとする企業とその関係者に「DXの第一歩はペーパーレス化。紙が残っていたら、変革はできない」とアドバイスする。一見、当たり前のように聞こえるかもしれないが、このあと説明するソフトバンクのペーパーレス化&DXの歩みと成果を聞けば、実に大きな意味がある言葉だと実感できるはずだ』、「ソフトバンク」は文字通り元祖「DX」のようだ。
・『4000人分の仕事を自動化するプロジェクト  ソフトバンクはペーパーレス化&DXに取り組むことで、どんな良いことがあったのだろうか。 ソフトバンクでは2年前から「デジタルワーカー4000プロジェクト」に全社で取り組んでいる。これは、4000人分の仕事をデジタル技術を活用して自動化しようというものだ。開始して2年たった現在、人間がやっていた作業のうち、目標の半分に当たる2000人相当の作業を自動化できたという。そしてその結果、業務委託費を95億円削減でき、600人の従業員を成長領域に配置換えできたそうだ。 このプロジェクトで得られる効果は大きく3つあると吉岡氏は振り返る。1つ目はコスト余力。吉岡氏は、「デジタル技術の費用対効果がかなり良好。正しく導入すれば必ずコストは浮く」と断言した。そして浮いたコストで成長領域を育て、収益化するための投資に充てることで、新事業に取り組みながら、全社の固定費は増やさずそのままで運用できたという。 2つ目は、社員の時間に余力が生まれるという効果。数人で何時間もかけていた作業がクリック1回で済むようになるなど、業務にかかる時間を短縮できるようになった。浮いた時間で人材育成の強化に取り組んだり、従業員の自己成長を促す制度を作って参加してもらうなどの機会を作り、新しいスキルの習得などの教育にかける時間ができたと語る。 3つ目は新しい課題解決だという。例えば現在、新型コロナウイルス感染症の感染拡大のため、対面営業ができない。そこで、オンラインでの商談を始めたところ、顧客との接触も容易になり、実際に先方に出向いて商談をしていた当時に比べると、商談の数が5.5倍に増加し、生産性が上がっているという。 以上のような効果があったからこそ、人材の配置転換や軌道に乗るまでの投資など、成長分野に注力する態勢が素早くできたと吉岡氏は語る。さらに、ペーパーレス化やデジタル化の素地があったからこそ、新型コロナウイルス感染症の感染拡大など環境変化への対応も容易かつ迅速にできたとしている』、「開始して2年たった現在、人間がやっていた作業のうち、目標の半分に当たる2000人相当の作業を自動化できたという。そしてその結果、業務委託費を95億円削減でき、600人の従業員を成長領域に配置換えできた」、大したものだ。
・『重要なのは紙ではなく、紙に書いてある「情報」  ソフトバンクにおけるペーパーレス化の動きが本格化したのは、2012年4月の決算発表で孫正義社長(当時)が「ペーパーゼロ宣言」を打ち出してからだ。この根底には「重要なのは紙ではなく、紙に書いてある情報」という考えがある。この考えがあったからこそ、ソフトバンクにおけるペーパーゼロをDXの出発点とすることができたといえる。 ペーパーゼロ宣言以前、2011年度はソフトバンク社内で少なくとも3億3000万枚の紙を使っていたが、宣言以降、さまざまな施策を打ち出していき、2020年度は全社で1000万枚以内に収まる見込みとなるほど紙の量を減らせたという。 では、具体的にはペーパーレスに向けてどのような施策を打ち出していったのか。まず、3億3000万枚のうち2億3000万枚を占めていた携帯電話などの申込書類を削減するために、新たに専用のシステムを導入し、契約がすべてペーパーレスでシステムの中で完結するようにした。 残りの1億枚はオフィスで使っていたものだ。これを削減するため、紙がなくても仕事や会議ができるように、従業員に配布しているノートパソコンやiPhone、iPadの活用を促すとともに、会議室にはディスプレイやテレビ会議システムなどを整備した』、「ペーパーゼロ宣言」の「根底には「重要なのは紙ではなく、紙に書いてある情報」という考えがある」、なるほど。「2011年度は」「3億3000万枚の紙を使っていた」のが、「2020年度は全社で1000万枚以内に収まる見込み」、とはさすがだ。削減の2/3は、「携帯電話などの申込書類」の「ペーパーレスでシステムの中で完結」、のようだ。
・『社内で使う「紙」を、レッド・グレー・ホワイトの3レベルに分類  そして、各部門で印刷している文書を3つに分類した。今すぐに印刷を止められるものを「レッドリスト」、今すぐには減らせないが、システム化などの工夫で減らせそうなものを「グレーリスト」、法令順守などのために当面は印刷しなければならないものを「ホワイトリスト」という具合だ。 さらに、「情報保管ガイドライン」を作成して全社員に提示したという。ガイドライン提示前は、紙の保管方法は定めていたが、いつ捨てるのかを決めていなかったため、保管期間と廃棄時期をはっきりさせて、保管する紙の量を減らすことを狙ったのだ。保管が必要だが、現物の紙が必要でないときはデータ化して紙を廃棄するなど、残しておくとしても極力データで残して紙を廃棄する方針を打ち出した。 そして、宣言から現在までのペーパーレスの効果を金額に換算すると、年間12億円を削減できたという。驚くべきことに、そのうちおよそ60%が、従業員が紙の準備に費やしていた工数だということだ。会議資料の準備や印刷、コピーなどに従業員1人当たり、1カ月におよそ1時間費やしていたという。紙に書いてある情報には関係のない作業に時間を費やしていたということだ。その時間を集計して、人件費に換算すると年間およそ7億2000万円にも達していた。 吉岡氏は、ペーパーレスに取り組むことで得られる効果として、従業員が雑務から解放されるという点と、情報が紙ではなくデータで流れるようになるため、意思決定のスピードが上がる、さらに、場所にとらわれない働き方にも対応しやすくなる点を挙げた』、「およそ60%が、従業員が紙の準備に費やしていた工数だということだ。会議資料の準備や印刷、コピーなどに従業員1人当たり、1カ月におよそ1時間費やしていたという。紙に書いてある情報には関係のない作業に時間を費やしていたということ」、往々にしてありそうなことだ。
・『業務の規模や性質に応じて自動化の方法を使い分ける  次に話題は業務の自動化に移った。ソフトバンクでは業務が定型的か、非定型的かという尺度と、業務で扱う情報量の多さという2つの尺度で、自動化に使用する手法を使い分けているという。グラフにすると以下の図のようになる。 定型的な業務で、扱うデータ量が多い場合はパッケージソフトウェア。業務がもう少し非定型的になると独自システムやAI(Artificial Intelligence)が選択肢に入ってくる。扱うデータ量が少ない、個人レベルの自動化ならVBA(Visual Basic for Applications)やSQLも選択肢となるという具合だ』、「自動化の方法を使い分け」は合理的に思える。
・『人事部門:新卒採用にAIを活用  吉岡氏は事例として人事部門がAIを活用している例と、社内文書の電子押印の例を紹介した。人事部門の例では、新卒採用のエントリーシートの合否判定や、動画面接にIBMの「Watson」を活用しているという。エントリーシートでは、過去のエントリーシートと合否結果を学習させ判定モデルを作り、新規のエントリーシートをWatsonに投入し、自動的に合否を判定させている。Watsonが合格判定した場合は合格とし、不合格判定した場合は人事担当者が確認して最終合否判断を行っている。加えて、学生からの一次問い合わせ対応にもWatsonを活用し、チャットボットで自動化しているという。 動画面接では、エントリーシートと同様のフローで、学生が提出した動画をAIで分析し、合否判定している。AIの活用により、エントリーシートの確認に割いていた時間を75%削減、動画面接では85%削減できたという。さらに、統一された判定基準で評価できている点も、大きな効果だとしている』、「AI」の効果は絶大なようだ。
・『電子押印&電子署名:紙でのやりとりが必要な文書も将来的に100%電子化  電子押印のシステムは、主に先述の「グレーリスト」と「ホワイトリスト」の一部、つまりシステムによって電子化が可能な文書や、これまで紙でのやりとりが求められていた契約書などの文書を対象にしている。これを電子押印、電子署名のシステムを利用し、100%電子化することを目指す取り組みだ。 政府が2024年度までに行政手続きにおける押印を原則廃止とする方針を打ち出していることから、2022年度には民間企業宛ての書類を100%電子化し、2024年度には行政手続きの書類も100%電子化する予定だという。そのスケジュールから考えて、2021年度内には、ソフトバンク社内の電子押印のシステムは整備を済ませるとしている。 電子署名、電子押印には、すでにあるソフトバンク独自の稟議、押印申請、書類保管のシステムと、社外向けには米DocuSign社のサービスを連携させて利用するとしている。新型コロナウイルス感染症の感染拡大で基本的には在宅勤務となっているが、それでもソフトバンクの調べでは平均で1日当たり110人が押印のために出社しているという。電子押印のシステムが稼働を始めれば、押印のための出社をゼロにできると見込んでいる』、「ソフトバンク」でも「平均で1日当たり110人が押印のために出社」、にはやや驚かされた。
・『DX推進に必要な3つの要素とは?  最後に吉岡氏はDX推進に必要な3つの要素として「トップダウン」「環境構築」「チェンジマインド」を挙げた。ただしトップダウンといっても、上から無理矢理やらせるということではなく、従業員全員が前向きに取り組めるようなビジョンを打ち出すことや、取り組みの意義をトップ自らが全社の従業員に説明することが重要だという。 環境構築はiPhone、iPad、ノートパソコンを従業員に配布したり、自動化の手段を選ぶ尺度を示すなど、従業員が自動化に取り組める環境を整備しないと何も始まらないということだ。 最後のチェンジマインドは、従業員に前向きなチャレンジを促す、変化を起こすことを促すような仕掛けが必要だと吉岡氏は考えているという。ソフトバンクでは、自動化などの事例を横展開することを非常に重視しており、コンテスト形式で事例の発表会を開いている。 現在、ソフトバンクは東京・竹芝に移転したばかりの新本社で、最新技術を使ったさまざまな実証実験を実施しているそうだ。今後も、あっと驚くような発表があるかもしれない』、「トップダウンといっても、上から無理矢理やらせるということではなく、従業員全員が前向きに取り組めるようなビジョンを打ち出すことや、取り組みの意義をトップ自らが全社の従業員に説明することが重要だという」、強引なリーダシップかと思っていたが、意外にソフトなようだ。

第三に、6月25日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したテクノロジーライターの大谷和利氏による「インドのIT化が猛スピードで進む「3つの要素」、日本はもうかなわない?」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/274946
・『Google、Microsoft、IBM、Adobe……この4つの企業はすべてCEOがインド人である。さらに、AppleやIntelにも副社長など多数のインド人幹部がおり、今や“インドの強さ”はIT業界における世界的な共通認識になっている。日本ではまだ「インドがIT先進国」という認識の人は少ないのではないだろうか。しかし実際のインド社会は、ものすごいスピード感でIT化・デジタル化が進んでいる。モバイルファーストが徹底しており、キャッシュレス決済も日本よりも普及しているほどだ。 最近、ニュースなどでインドの話題を目にすることが多い。残念ながら、それはインド株とも呼ばれる新型コロナウイルスの変異株絡みのもので、世界各国で問題視され、ネガティブな印象につながっている。 しかし、本来のインドは、IT業界のトップ人材を数多く輩出しており、高齢化とは無縁な人口構成や国外からの投資増大などの要素も相まって、2020年代後半から2030年代にかけて市場としても、また世界企業の製造拠点としても大きな躍進が期待される国なのである。今回は、ここ数年にわたって筆者が目の当たりにしたインドの実情についてまとめてみた』、「世界有数のIT企業」での「インド人」「CEO」の活躍は確かに驚くべきことだ。
・『ステレオタイプや誤解も多いインドのイメージ  インドについて、今でも「仏教」「ヨガ」「カレー」「ターバン」の国というようなイメージしか持ち合わせていないとすれば、それは大きな間違いだ。インドにおける仏教は、ヒンズー教、イスラム教、キリスト教、シク(シーク)教に次ぐ5番目の宗教であり、信者は人口の1%にも満たない。バラモン教の修行としての本来のヨガもごく一部の人が実践するのみで、それ以外は他国と同じくエクササイズとしてのものが主流だ。また、日本人が考えるカレーという料理はなく、カレーに見える多彩な料理には、すべて固有の名前が付いている。そして、いわゆるターバンも、人口の2%以下というシク教徒の中でも特に教義に忠実な人しかまとっていない。 一方では、世界有数のIT企業であるGoogle、Microsoft、IBM、AdobeのCEOはすべてインド人であり、他の産業でもトップや幹部がインド人という例は少なくない。Appleも、上級副社長の中にインド人を擁している。同国の優秀な人材確保のために、研究所やインターン施設を、インド国内に23校あるIIT(Indian Institutes of Technology、インド工科大学。GoogleのCEOなど多数のエリートを輩出する名門大学)の近くに建設するIT企業は多く、Appleも、バンガロールと並ぶテクノロジー拠点のハイデラバードに2500万ドルを投じ4500人規模のR&Dセンターを設立した。 さらにAppleは、iPhone 12を製造する鴻海(ホンハイ)精密工業の工場も同国内で稼働させるなど、インドへの投資を加速させている。というのも、インドは、現時点ではまだ貧富の差が激しいものの、国民の過半数が25歳以下の若者であり、2023年には全人口で中国を抜く見込みだ。同時に、2020年代の後半には中間層の購買力がEUやアメリカ、中国を抜いて世界のトップに躍り出ると予想されており、市場としても非常に魅力的な地域となるためである』、「2020年代の後半には中間層の購買力がEUやアメリカ、中国を抜いて世界のトップに躍り出ると予想」、とは初めて知った。
・『モバイルファーストが当たり前  実際に筆者がコロナ禍の前に3度ほど渡印した際に感心したのは、渡航前にネット経由でe-Visa(電子ビザ)を取得でき、入国時にパスポートに正式なスタンプがもらえる仕組みや、e-Visaの取得者には、現地の主要空港で一定の通話と通信料がチャージされたSIMカードが無料でもらえるという特典の存在、そして、訪れた企業からホテルに帰る際に担当者から「タクシーを呼びましょうか?」ではなく「Uber(あるいは、そのインド版のOla Cabs)を手配しましょうか?」と言われたことだったりした。 また、インドでは3輪タクシーや屋台にまで「Paytm(ペイティーエム)」というキャッシュレス決済サービスが普及している。日本で2018年にスタートし、急速に普及した「PayPay」は、インドのPaytmの技術を基にして日本向けにローカライズしたサービスである。 インドの三輪タクシーでも使えるPaytmは、日本のPayPayのベースとなっている技術だ。 これらのことからもわかるように、インドでは無数のサービスがアプリを介して瞬時に数億人の消費者に直結できることを念頭に作られており、何をするにもスマートフォンなどを利用するモバイルファーストの考え方が常識なのだ。 日本のマイナンバーに相当する国民識別番号の「アドハー」も、すでにほぼ全国民に普及しており、そこには指紋・虹彩・顔のデータも登録しているため、完全な生体認証システムとして機能する。そして、国が管理するこのデータによる認証サービスを民間企業にも積極的に利用させることで、銀行口座の開設などの手続きも簡略化しているのである。ちなみにアドハーの生体認証にはNECの技術が使われており、国家の根幹となる部分に日本が貢献できていることは、喜ばしい限りだ』、なるほど。
・『海外で成功した人がインドに戻り祖国へ投資 スタートアップや産学官の取り組みが進む  もちろん、インド市場に注目しているのは国外企業ばかりではない。これまで、数多くの若さと能力にあふれた人々がいても資金調達の問題があったが、一度、海外で成功した人たちがインドに戻って祖国のために投資する動きも強まっており、起業家たちがそうした支援を受けてさまざまなビジネス展開を始めている。  そのような新興企業をサポートするインキュベーター&アクセラレーター施設を大学が整備したり、大手企業の資金力とスタートアップのアイデアを組み合わせて共創する流れや、企業が周辺住民に対する研究施設の見学会的なものを開催して積極的に社会との交流を図る動きが見られるなど、産学官の取り組みもダイナミックに進みつつある。 たとえば、ハイデラバードのIITに設置されたT-HUBと呼ばれるインキュベーター&アクセラレーター施設では、2017年3月の開設以来、120社を超えるスタートアップをインキュベーションし、1100社を超えるスタートアップの支援を行い、1500社以上の企業を結び付けてきた。また、新たに3万2500平方メートルという巨大な新館のReactor Buildingも建設中で、さらなる躍進が期待されている。 残念なのは、このインド最大級のインキュベーター&アクセラレーター施設のパートナーとして錚々たる国際的大企業が名を連ねているにもかかわらず、日本企業の名前がないことだ。 また、ドイツで設立され、今やヨーロッパで最大級のソフトウエア企業へと成長して世界規模で多様なビジネスアプリ開発を行っているSAPのインドにある研究施設、SAP Labs Indiaもユニークな存在だ。この施設は、全世界に20あるSAPの研究開発ラボの中でもドイツ本国に次ぐ規模を持ち、SAP Startup Studioという名のインキュベーション施設で培われたアイデアを製品化するなど、スタートアップとの共創が行われている。 SAP Labs Indiaのキャンパスは2週間ごとにバンガロール市民に開放され、AIやマシンラーニングなどを含む最新テクノロジーのショーケースイベントが開催される。この取り組みにより、経済的な事情で望む道に進めなかった人でも、意欲さえあれば最先端の技術に触れたり、研究者とのやりとりができるのだ』、「インド最大級のインキュベーター&アクセラレーター施設のパートナー」に「日本企業の名前がない」こと、は残念だ。「SAP」が「全世界に20ある」「研究開発ラボの中でもドイツ本国に次ぐ規模」とはさすがだ。
・『「ジュガール」の精神とインド人が重視する3つの要素  そして、今、インドは新型コロナウイルス禍によって多くの感染者と死者を出している。その数字は驚くべきもので、もちろん、深刻ではあるのだが、これは人口の母数が多いことも関係しており、死亡率自体は筆者の自宅のある大阪府よりも低かったりする。 インド人がよく使う言葉に「ジュガール」というものがあり、これは良い意味で現状を受け入れて、その中で解決策を見いだすようなことを指している。たとえば、あるプロジェクトで、急に納期や予算が半分になったとしたら日本人はパニックを起こすかもしれないが、インド人は、その制約の中でやり遂げようとする。当初と同じ100%の成果は期待できなくとも、何とかそこに近づこうと努力するのである。したがって、ウイルス禍に関しても、筆者は中・長期的に見て必要以上に心配はしておらず、何らかの解決策を見いだしていくものと考えている。 このように書いた後から、インドでの1日あたりのワクチン接種者の数が、750万人という新記録を達成したとのニュースが飛び込んできた。このペースでも、全国民に行き渡るまでにはまだ時間がかかるが、インドの場合には人々が接種会場に足を運ぶほかに、医師らが人々のところを巡回して接種する方法も採られ、ジュガール精神の健在さを印象付けている。 最後に、ある大手日本企業のインド駐在員の方との話の中で、インド人の日本に対するイメージを尋ねたところ、「先進的な技術立国としてのイメージの“貯金”はまだ多少残っているが、このままでは数年のうちに失われるだろう」と危惧されていた。日本企業は、その貯金があるうちに何をなすべきか、真剣に考える時が来ているといえよう。 インドでは、企業人も起業家もデザイナーも、何かを作り出すに当たって、3つの要素を重視する。それは、社会的なインパクトがあるか? インクルーシブ(全員参加型)か? そして、スピード感を持って事に当たっているか? という3点だ。手始めに、自分の会社がこの3つの要素を満たせるかどうか、考えるところから始めてみるのも一つの方法である』、「インド人が重視する3つの要素」である「社会的なインパクトがあるか? インクルーシブ(全員参加型)か? そして、スピード感を持って事に当たっているか?」、というのは日本人も大いに参考にすべきだろう。
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