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日本型経営・組織の問題点(その11)(サイボウズ青野社長が説く「がんばるな」の意味 昔ながらのオジサンたちは何も変わっていない、「40歳までに退職が当たり前」リクルートこそが世界に通用する希有な日本企業である 日本的経営とは正反対の成長戦略、ひろゆきが断言「体育会系の『痛みを耐える文化』は間違っている」) [経済政治動向]

日本型経営・組織の問題点については、昨年8月15日に取上げた。今日は、(その11)(サイボウズ青野社長が説く「がんばるな」の意味 昔ながらのオジサンたちは何も変わっていない、「40歳までに退職が当たり前」リクルートこそが世界に通用する希有な日本企業である 日本的経営とは正反対の成長戦略、ひろゆきが断言「体育会系の『痛みを耐える文化』は間違っている」)である。

先ずは、1月29日付け東洋経済オンライン「サイボウズ青野社長が説く「がんばるな」の意味 昔ながらのオジサンたちは何も変わっていない」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/399900
・『新型コロナウイルスの感染拡大で、多くの人にとって、仕事のあり方は大きく変わった。先が見えない不透明な今、個人にとって仕事とは何か? 1月25日(月)発売の週刊東洋経済1月30日号「1億人の職業地図」特集では、現在から2030年に向けて、将来の職場や働き方の変化を大予測。特集の中で、社長自身が3度の育児休暇を取得するなど先進的な働き方の取り組みで知られるソフトウェア会社、サイボウズの青野慶久社長(49)に話を聞いた(Qは聞き手の質問、Aは青野社長の回答)』、「社長自身が3度の育児休暇を取得するなど先進的な働き方の取り組みで知られる」、「青野」氏は「社長」としては珍しい存在として注目していたので、興味深そうだ。
・『1本足打法でなく、複数の得意を持つこと  Q:コロナ禍を経て仕事に対する価値観が変わった人も多いです。これから私たちはどのような仕事を選べばいいと考えますか。 A:自分がどのように働きたいか、何に喜びを感じるかは、人それぞれだと思う。そんな多様性のある時代に自らが責任をもって選択できる軸というものを持たなければならない。私が1994年に新卒で入社したのは松下電工(現・パナソニック)。1971年生まれで、できるだけ偏差値の高い大学に入学して大企業を目指すというのが、多くの学生が目指す流れだった。それから20年以上を経て、価値観は大きく変化した。 そもそも、正社員として働くのではなく週3日働き、副業にいそしむ人も増えている。それぞれの人の価値観で組み合わせがより一層多様化していく。そんな時代に自分がどうしたいかは、若いうちから考える必要があり、教育段階のところから意識していかないとダメだと思っている。 Q:青野社長は苦手を克服するのではなく、得意を伸ばす教育が重要だと以前から話しています。 A:2030年という10年後の変化は読みにくいが、AI(人工知能)やロボットの発達は間違いない。将棋のAIがプロ棋士を倒しているように、人間がコンピューターに勝つことは難しくなる。人間が人間に指示してやっていた定型業務はこの10年で多くが置き換わっていくだろう。そうなったとき、人間として何をやりたいのか、何が得意なのかを究められるようにしないといけない。いくら将棋AIが発達しても、藤井聡太氏のようなポジションは必要とされるように、その道のプロは生き残る。 もちろん、多くの人がその道を究め、実現できるわけではない。そういう人たちへの示唆としては、1本足打法ではなく、複数の得意を持つということだ。たとえば、マネジメントスキルもあり、プログラミングもできる。司会業が得意で手品もできますといったように、凡人でも身につけられるスキルを磨くことが重要となる。複数の得意を持っていると、活躍の機会がいくつもあるので、食えなくなるようなことはないだろう。) 今の時代でもネットを通じて、ちょっとした仕事や副業のマッチングができる時代になっている。その道のカリスマと呼ばれる人たちに依頼するには仕事の単価も高いが、それなりのスキルがあればそれなりの値段で仕事を請け負うことができる。スーパーエリートでなくても稼ぐ手段は増やすことができる。 Q:コロナ禍以前の社会では、東京に一極集中し、多くのお金を稼ぐという価値観がもてはやされていました。 A:私たちは単に“お金獲得競争”をしていただけだったのかもしれない。コロナ禍以前であっても、お金がなくても楽しく生活している人がいたものの、注目されていなかった。今回のコロナ禍をきっかけに東京で働かなくてもいいとなったことで、地方に目を向けることや自分の家庭に目を向けることで、幸せを見つけた人も多いはずだ。東京でみんなが一斉に集まってお金獲得競争をしていることは、果たして本当に幸せなのかということを考えるきっかけになったと思う。 あおの・よしひさ/サイボウズ代表取締役社長。1971年愛媛県生まれ。松下電工(現・パナソニック)を経て、1997年にサイボウズを設立。政府の「働き方変革プロジェクト」の外部アドバイザーも務める。2男1女の父(写真:サイボウズ) Q:サイボウズでは募集要項に「日本全国どこでも仕事ができる」と書いていますね。 A:(人々が生活するうえで欠かせないエッシェンシャルワーカーの職種を除いて)わが社はテレワーク(在宅勤務)禁止ですと言ったら、今の若い人たちは応募してこない。好きなところで好きなように働いてくださいと募集をしている。もちろん裏側にはITの仕組みがある。新型コロナが教えてくれたのは、自分たちはまだまだITを十分に活用していなかった、ということだ。サイボウズのようなIT企業は本来ならテレワークし放題だったはずなのに、社長が毎日出勤して毎日対面での会議を開催していた(笑)。 全社一斉テレワークに切り替えてウェブ会議を導入してから、いかに今の働き方がいいかがわかった。ITをちゃんと活用すれば、東京でなくても働くことができるし、ネットを通じて副業も自由にできる』、「全社一斉テレワークに切り替えてウェブ会議を導入してから、いかに今の働き方がいいかがわかった。ITをちゃんと活用すれば、東京でなくても働くことができるし、ネットを通じて副業も自由にできる」、その通りだろう。
・『ヒエラルキーの強い会社は生き残れない  もちろんテレワークが浸透する中でのデメリットもある。仕事の質を高めるためには、リアルな場で会ったほうがいいこともある。また、社員同士のコミュニケーションが希薄になるので、リモート環境でも自由に雑談できるように工夫するなど必要になる。ただ、世界中どこでも移動時間ゼロでウェブ会議をできることは、肉体的な負担も減って生産性向上にもつながっている。 Q:私たちがこれから仕事をする会社を選ぶうえで、どのような会社が伸びると考えていますか。 A:年功序列でヒエラルキーが強く、上司からの指示によって動く管理型の組織では、いまのビジネスモデルが強くても、これからの時代には淘汰されていく。変化へのスピードに対応できないからだ。 Q:2020年夏に「がんばるな、ニッポン。」というメッセージを放映したテレビCMが話題となりました。がんばるな、というメッセージには、どんな狙いがあったのですか? A:放映したCM自体は緊急事態宣言下にもかかわらず、経営者は社員に出社をがんばらせないでくださいというメッセージだった。その裏側に込めた思いは日本のガンバリズムに疑問を投げかけたかったというのがある。 このガンバリズムというのは、練習時間が長い人、睡眠時間が短い人、会社に長くいる人というように、がんばりを美徳としているのは本当に意味があることなのですか、ということだ。がんばりの結果として何が得られるのか、その過程で何が得られるのかというのが重要だった。がんばったことそのものを評価するのではなく、その成果物をもっと理解するようにしないといけない。 多くの社員にとっては、企業が前年比でプラス成長するかどうかより、自分の給料が多くもらえることのほうが重要だ。それなのに、企業の競争により社会が発達していくという20世紀にできあがった仕組みが正しい、と私たちは刷り込まれている。いやいや、ちょっと落ち着いて考えてみようよ、手段と目的が入れ替わっていないかと。私たちが幸せになるために企業が成長していくものじゃないの?企業を成長させるために私たちががんばってしんどい思いで働かなければならないのはおかしい』、「これからの強い企業の考え方は、新しい組織形態である自律型の組織が必要となる。自律型の組織は1人ひとりが自ら考え行動できる組織だ。組織として自律的な行動ができる環境が整っているかという基準で見ていくのがいいだろう」、なるほど。「がんばるな、ニッポン。」は面白いメッセージとして記憶していた。
・『会社に出社しなくても仕事は回る  今回のコロナ禍をきっかけに、若い人を中心に働く価値観は変わった。2020年に新卒入社した新入社員の1人は会社に出社したのが8カ月間でわずか3回だけだったという。それでも仕事は回っている。 しかし、昔ながらのオジサンたちは正直、何も変わっていない。緊急事態宣言が終わったから、みんな出社してみんなが対面で顔を合わせて働くのが正しい、と思っている。古い価値観の経営者はマインドチェンジしていかなければいけない。マインドチェンジができない経営者は淘汰されていくだろう。このコロナ禍をきっかけにパラダイムシフトが起こってほしいと考えている』、「マインドチェンジができない経営者は淘汰されていくだろう」、そうなってほしいものだ。

次に、4月18日付けPRESIDENT Onlineが掲載した日本共創プラットフォーム代表取締役社長の冨山 和彦氏とジャーナリストの田原 総一朗氏の対談「「40歳までに退職が当たり前」リクルートこそが世界に通用する希有な日本企業である 日本的経営とは正反対の成長戦略」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/44969
・『世界に通用する企業にはどんな特徴があるか。経営共創基盤グループ会長の冨山和彦氏は「どんな時代も生き残っていける企業は“両利きの経営”ができている。日本における代表例はリクルートだ」という――。(第5回/全5回)※本稿は、冨山和彦、田原総一朗『新L型経済 コロナ後の日本を立て直す』(角川新書)の一部を再編集したものです』、興味深そうだ。
・『新卒一括採用と終身雇用を廃止すべき  【田原】それで冨山さんは、ずっと日本型システムの外部から見てきた。いま、日本的経営を根底から変えなくちゃいけない時期に、冨山さんのサラリーマン社会の論理から離れた物の見方はとても大事だと思う。 冨山さんは根底から変えるためにはいわば憲法改正ぐらいの変革が会社にも必要で、憲法のレトリックにのっとった形で古い会社をしばる「旧憲法」と、これからの経営の指針となる「新憲法」を提示している。日本型企業の骨子を具体的に説明してほしい。 (コーポレートトランスフォーメーション 新旧憲法比較出所=『新L型経済 コロナ後の日本を立て直す』の図はリンク先参照) 【冨山】まずG型の大企業に対する私の主張は、終身雇用を前提とした雇用制度の見直しです。新卒を一括で採用し、一度雇った人は基本的に終身年功制で定年までというのをやめましょう。これは特に大企業ですね。 L型産業はだいぶ前からかなりジョブ型、技能職型で、転職は当たり前のことです。ある意味でL型のほうがすでに時代に適合していて、バスの運転手ならばバス会社やトラック物流会社を何社か渡り歩くというのは、特別驚くべきことではありません。 問題はそうした技能職が非正規雇用に結びつき、低い待遇になりがちであるという点です。経営側の側面から見ると、終身雇用は会社の新陳代謝、事業のイノベーションを阻害する一因になっています』、「G型」が何を指しているのか説明がないのは残念だ。「L型産業」はどうもタクシー・トラック運転などの運輸業を指しているのだろう。「終身雇用を前提とした雇用制度の見直し」には、そうしたい企業がやればいいのであって、一斉にやるのには反対だ。
・『生き残れる企業に共通する「両利き経営」  現在、世界的には「両利きの経営」というのが一つのトレンドになっています。スタンフォード大学のチャールズ・A・オライリー教授らが書いた同じタイトルの本(『両利きの経営』東洋経済新報社)が出て、彼の長年の友人として私も解説を寄せていますが、かいつまんで説明すると、次のような内容になります。 この先も何度もイノベーションの波がやってくる。かつてIBMがマイクロソフトに覇権を奪われ、そのマイクロソフトも携帯端末の世界ではアップルに敗北し、いまはGAFAの時代になっている。イノベーションというのは、時代のチャンピオンへの挑戦ですから、ある時に隆盛を極めた企業が没落するということは往々にしてある。 オライリーたちは時代の波に飲まれずに変化しながらも生き残っている企業、組織に目をつけ、イノベーションの波に飲まれるところと、そうではない企業で何が違うのかを調べあげました。 その結論が「両利き」が大事だというもので、「探索(自社の既存の認知の範囲を超えて、遠くに認知を広げていこうという行為)と深化(探索を通じて試したことの中から成功しそうなものを見極めて、磨き込んでいく活動)のバランスが高い次元で取れていること」を意味します』、「探索」と「深化」のバランスとは面白い考え方だ。
・『深化は得意でも探索を避けてきた日本企業  つまり自社の強みを磨き深めていくことと、自分たちにはできていない新しいこと、新しい能力を探して取り込んでいくこととのバランスを取っていないといけない。 日本型企業は探索はやらずに閉じられた世界で深化することにばかりこだわって、イノベーションの機会を逸してきました。そして事業としての寿命が終わっている既存事業を引っ張って稼ぐ力を失い、リスクの大きな未来投資能力、イノベーション能力を失った結果、破壊的イノベーションの時代に入ったこの30年間、長期停滞に陥っています。 その原因は同質性と連続性にあります。要はみんな同じメンバーで、社内の出世ばかりを目指すから、探索もろくにしないで、変化も嫌う。あるいは探索と言っても野球しかやったことのない人間がにわか勉強でサッカーやテニスなどの新領域の探索を行うので、判断を誤るし、探し当てても一流の事業に昇華できない。イノベーションの波が起きる、あるいは起こすためには、組織構成員も常に変化していないといけないんです。 まれにカネボウの化粧品事業やダイエーのコンビニエンスストア事業(ローソン事業)のように探索に大成功しても、従来の本業が苦しくなると、カネボウの場合は化粧品事業が古い繊維事業の赤字補塡ほてんで疲弊し、ダイエーでは翳かげりが見えているGMS事業を救うために将来性のあるコンビニエンスストア事業を売却してしまった。 同質的で連続的な集団はどうしてもそういう意思決定に傾くんです。) ▽「両利き経営」の代表例としてのリクルート(創業経営者がいてもやはり愛着があるのは自分たちが最初に成功させた祖業ですからそういうバイアスがかかる。もしあるべき「両利き経営」ができていたら、どちらも産業再生機構案件にはなっていません。 本当にグローバルで戦える会社を目指すなら、新卒一括採用生え抜きの同じ人材で回すより、経営層はもちろん、多くの人材が周期的に入れ替わりながら、その時々の状況に合わせて最適メンバーで戦えるようにすべきです。 【田原】冨山さんのいうことはよくわかるけど、もうちょっと実例がほしい。そんなモデルでうまくやってきた日本企業はあるのかな。 【冨山】やはり代表例はリクルートでしょうね。創業者の江副浩正えぞえひろまささんは光と影がある人ですが、彼の光の部分に関して言えば、日本的経営モデルというのをほぼまったく採用しないで、リクルートという会社をつくった偉大な起業家です。 【田原】終身雇用を採用しなかった。 【冨山】そうです、ほとんどの社員は40歳までに辞めています。別に解雇するんじゃないけど、昔は30歳まで、いまだと40歳までに独立できない社員はダメだという風潮が社内にある。だからリクルートからは様々な起業家が生まれています。 【田原】僕も江副は面白いと思っていて、ずっと付き合ってきた。彼が面白いのは、学生時代、2020年に100周年を迎えた東京大学新聞(東大の学生新聞)の広告担当だったことにある。 採用広告を企業に出させるというアイデアを発明して広告をかき集めて、だいぶ儲もうけた。その資金をもとに起業したリクルートも、最初は出版・広告業だった。 【冨山】出版業として出発しながら、紙の出版がダメだとなると、あっという間に跡形もなくやめちゃうんです。気がついたら全部ネットベースに変わっていました。出版業のなかで、あれだけのデジタルシフトを短期間でやったのは、リクルートだけでしょう』、「日本型企業は探索はやらずに閉じられた世界で深化することにばかりこだわって、イノベーションの機会を逸してきました。そして事業としての寿命が終わっている既存事業を引っ張って稼ぐ力を失い、リスクの大きな未来投資能力、イノベーション能力を失った結果、破壊的イノベーションの時代に入ったこの30年間、長期停滞に陥っています。 その原因は同質性と連続性にあります」、鋭く的確な指摘だ。「あれだけのデジタルシフトを短期間でやったのは、リクルートだけでしょう」、やはり「リクルート」は並みの会社とは違う。
・『人材を囲わず“リクルート出身者”のエコシステムを作る  とにかく変わり身が早い。既存の事業をやめる勇気もすごいんですが、創業時の事業にこだわらずに、新しい事業をどんどん立ち上げているところがすごいんです。アントレプレナーシップが社員レベルにまで共有されて、現在まで続いている。こんな会社は日本だとリクルートくらいだと思います。 【田原】新しい事業をどんどん作るんだね。 【冨山】結局リクルートにおいて評価されるのは、儲かる事業を新しく作ることなんです。儲かる事業を新しく作ることが評価されるし、作った事業は、独立して続けてもらってもかまわない。だから社員はどんどんチャレンジする。 ベンチャーのタネを徹底的に探していくというモデルをつくり、長期に循環させていくというモデルは日本的経営とは相反するものです。そして、リクルートが持っている事業ポートフォリオはガンガン入れ替えていく。さらに日本的経営と真逆で、人材も囲わない。 だから、どんどん元リクルートだらけの世の中になって、会社員をやめて独立しましたというベンチャー企業の経営者に会うと、半分くらいはリクルートという状況になります。 彼らがリクルートの大きな意味でのエコシステムの中で、恩返しをしてくれるので、リクルート本体のブランド価値はどんどん上がり、それがビジネスにも好影響を与えて、リクルート自体がさらに発展して、そうなるとまた変な若者が集まってきて、おもしろいビジネスを立ち上げて……と循環するんですね。 何をやっているか分からない、何をこれからやるか分からない会社だから魅力的なんです』、「人材も囲わない。 だから、どんどん元リクルートだらけの世の中になって、会社員をやめて独立しましたというベンチャー企業の経営者に会うと、半分くらいはリクルートという状況になります」、人材の宝庫のようだ。
・『企業の持続的な成長力の源泉は新陳代謝力  私が社外取締役を務めているパナソニックも時に昭和な経営評論家やOBから「何をやっているのか分からない会社になってけしからん」と批判されます。 しかし、GAFAやマイクロソフトが何をやっている会社かスパッと言えますか? 今、ソニーや日立もテレビやウォークマンといった、モノで会社を分かりやすく語れなくなってから復活を遂げています。グローバル化とデジタル革命の破壊的イノベーションの時代、むしろ何をやっているかモノで語れる会社は危ない。社名もそういう名前はやめたほうがいいでしょう。 しかし、リクルートにしてもマイクロソフトにしても世の中に訴求している根本価値、コアコンピタンス(企業の中核となる強み)は揺らいでいない。松下幸之助によるパナソニックの経営理念「綱領」「信条」「私たちの遵奉すべき精神」には一言も「家電」も「メーカー」も出てきません。 それはある時代環境でその会社が世の中に役立つためのビジネス上の表現手段に過ぎない。時代が変われば新陳代謝するのは当たり前です。「両利き経営」の時代、企業の持続的な成長力の源泉は何と言っても新陳代謝力です。破壊的イノベーションの時代、日本的経営はその新陳代謝力において致命的に劣っている。だからG型産業では決別すべしと言っているんです。 【田原】人材が外に出ることが価値になっていって、それが人材流出じゃなくて、むしろリクルートにはプラスに働くのか。そういう発想は僕にはなかったな』、「グローバル化とデジタル革命の破壊的イノベーションの時代、むしろ何をやっているかモノで語れる会社は危ない・・・しかし、リクルートにしてもマイクロソフトにしても世の中に訴求している根本価値、コアコンピタンス(企業の中核となる強み)は揺らいでいない」、「リクルート」は「江副」氏による政治家への未公開株譲渡という犯罪を除けば、素晴らしい会社で、現在も人材を輩出し続けているようだ。

第三に、7月29日付けダイヤモンド・オンライン「ひろゆきが断言「体育会系の『痛みを耐える文化』は間違っている」」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/277657
・『現在、テレビやYouTubeで圧倒的な人気を集める、ひろゆき氏。 29万部を超えるベストセラー『1%の努力』では、その考え方について深く掘り下げ、人生のターニングポイントでどのような判断をして、いかに彼が今のポジションを築き上げてきたのかを明らかに語った。 この記事では、ひろゆき氏に気になる質問をぶつけてみた(Qは聞き手の質問)』、興味深そうだ。
・『体育会が生む「負の連鎖」  Q:オリンピックが始まって、スポーツ選手の活躍に感動する場面が増えています。 ひろゆき氏:あまりイメージがないかもしれませんが、僕も体育会系の部活に長く入っていた経験があるので、スポーツ選手の頑張りには一目置いてますよ。 体育会系の人たちって、上下関係を重んじるので、その後の就職なんかも有利ですよね。商社やマスコミの会社にも多いです。理不尽に対する免疫があるんですよね。上からの無茶振りにも耐えますし、それを疑うことをしない人もいます。 基本的には良いことが多いように見えます。ただ、1つだけ気になる点はあるんですよね。 Q:なんでしょうか? ひろゆき氏:体育会系で養われる「忍耐」が、自分自身にだけ向いている場合は無害なんですが、他人に押し付けてしまうと、いわゆる「パワハラ構造」になります。 上からの重圧に自分が耐えるのは勝手に頑張ってもらえればよいのですが、「我慢したから、次はやり返す」というように考えてしまうのはよろしくない。 Q:先輩・後輩の関係は連鎖すると言われますよね。 ひろゆき氏:自分が苦労しているときに、「楽している人」がどう見えるかが大事です。「うらやましい」「自分もそうなりたい」と表面だけを見るのか、「いや、彼らもたぶんつらいはずだ」と見えない部分を想像するのか。 表面しか見ない人は、「やり返す」「同じ分だけ苦労してもらう」といった考え方をしてしまいます。 Q:連鎖を止めるには、どうすればいいですかね? ひろゆき氏:僕がよく他人に言っているのは、「頑張りを見えるようにする」ということです。見えないところで頑張るタイプの人は、承認欲求がないのなら別にそのままで大丈夫です。しかし、人から認められたいタイプなのであれば、頑張りは見えるようにしたほうがいい。 頑張りアピールって、SNSなんかではウザがられたりするんですが、それでもやっといたほうがいいと思います。アイドルや芸能人も、努力の過程を見せる時代ですから。見えることに越したことありません』、「体育会系で養われる「忍耐」が、自分自身にだけ向いている場合は無害なんですが、他人に押し付けてしまうと、いわゆる「パワハラ構造」になります」、さすが「体育会系」出身のひろゆき氏らしい鋭い指摘だ。
・『日本人は我慢が大好き?  Q:体育会系に限らず、日本人全員にも言えることなんでしょうか。 ひろゆき氏:基本的に、社会は「楽になるべき」と僕は思っています。だから、痛みや苦労は少ないほうがよい。でも、「痛みを我慢したその先に大きなご褒美が待っている」という信仰が多いですよね。宗教も、学校も、会社も。 たとえば、「おなかを痛めて産んだ赤ちゃん」という表現があります。痛みを我慢したら、その分が愛情に変わるという。これだって、いわば「宗教」のような考えです。 無痛分娩を用いて、痛くないようにしたほうがいいに決まっています。それなのに、古い考えの人は、「私はそんなことをしなかった」と言い出します。 Q:考えが古い人には、どう反論すればよいでしょうか? ひろゆき氏:簡単ですよ。その人が楽することを認めないようにすればいいだけです。 「掃除機ではなく、ほうきを使わないんですか? そうやって昔の人は苦労していましたけど、あなたはしないんですか?」などと言い返せばいいでしょう。 「だって楽だから……」という言葉が聞けたら、「じゃあ、○○だって認めたほうがいいですよね?」と言い返せます(笑)。ぜひ、みなさん、ムダな苦労や我慢を強いる人たちと戦ってみてください』、「日本人は我慢が大好き?」というのは困った傾向だ。これに対抗するのは、「その人が楽することを認めないようにすればいいだけ」とは確かに有効そうだ。 
・『大好評! ひろゆき氏の人気記事 TOP5(リンク先参照) 「1%の努力」とは何か  「99%の努力と1%のひらめき」というのは、発明家エジソンの有名な言葉だ。これの真意をみんな誤解している。本当は、「1%のひらめきがなければ、99%の努力はムダになる」ということだ。しかし、「努力すれば道が開ける」という表現で広まっている。 発明の世界では、出発点が大事だ。「光る球のようなものを作ろう」という考えが先にあって初めて、竹や金属などの材料で実験をしたり、試行錯誤を重ねたりして努力が大事になってくる。 ひらめきもないまま、ムダな努力を積み重ねていっても意味がない。耳障りのいい言葉だけが広まるのは、不幸な人を増やしかねないので、あまりよくない。 そんな思いから、この本の企画は始まった』、確かに「1%のひらめき」は多くの人が無視している。
・『「自分の頭で考える世代」の教え  僕は、1976年生まれの「就職氷河期世代」だ。 この世代の特徴は、「自分の頭で考えることができる」ということだと思う。 僕らより上の世代は、バブル世代であり、時代を謳歌してきた。会社からも守られてきただろう。 彼らの世代が、いま、早期退職でリストラの嵐に巻き込まれている。僕の世代は時代が悪かったぶん、考えることを余儀なくされ、おかげで能力が身についた。 僕より上の世代は、「昔はよかった」と話す人が多い。しかし、ちゃんとデータを見ることができれば、昭和の時代より平成のほうが、殺人事件や餓死が少なく幸せの総量は多いことがわかる。 人生で選択肢が目の前にあるときに、どういう基準で考えるのかは人それぞれ違う。そこには、「判断軸」が存在する。「考え方の考え方」みたいな部分だ。 これについては、僕の経験をもとに教えられるのではないかと思った。できるだけ長期的な目線を持ち、「よりよい選択肢をとる」というクセがつくように、根っこの部分を書いた。それが、この本だ。 本書の内容(以下はリンク先参照))』、「ひろゆき」氏が「就職氷河期世代」とは初めて知った。そのせいで、「自分の頭で考えることができる」ようになったとすれば、恩恵をフルに活かした例外的存在のようだ。私は同氏の極めて合理的な考え方には同感する部分が多い。
タグ:対談「「40歳までに退職が当たり前」リクルートこそが世界に通用する希有な日本企業である 日本的経営とは正反対の成長戦略」 田原 総一朗 冨山 和彦 「体育会系で養われる「忍耐」が、自分自身にだけ向いている場合は無害なんですが、他人に押し付けてしまうと、いわゆる「パワハラ構造」になります」、さすが「体育会系」出身のひろゆき氏らしい鋭い指摘だ。 「ひろゆきが断言「体育会系の『痛みを耐える文化』は間違っている」」 ダイヤモンド・オンライン PRESIDENT ONLINE 「マインドチェンジができない経営者は淘汰されていくだろう」、そうなってほしいものだ。 「これからの強い企業の考え方は、新しい組織形態である自律型の組織が必要となる。自律型の組織は1人ひとりが自ら考え行動できる組織だ。組織として自律的な行動ができる環境が整っているかという基準で見ていくのがいいだろう」、なるほど。「がんばるな、ニッポン。」は面白いメッセージとして記憶していた。 「全社一斉テレワークに切り替えてウェブ会議を導入してから、いかに今の働き方がいいかがわかった。ITをちゃんと活用すれば、東京でなくても働くことができるし、ネットを通じて副業も自由にできる」、その通りだろう。 「グローバル化とデジタル革命の破壊的イノベーションの時代、むしろ何をやっているかモノで語れる会社は危ない・・・しかし、リクルートにしてもマイクロソフトにしても世の中に訴求している根本価値、コアコンピタンス(企業の中核となる強み)は揺らいでいない」、「リクルート」は「江副」氏による政治家への未公開株譲渡という犯罪を除けば、素晴らしい会社で、現在も人材を輩出し続けているようだ。 「人材も囲わない。 だから、どんどん元リクルートだらけの世の中になって、会社員をやめて独立しましたというベンチャー企業の経営者に会うと、半分くらいはリクルートという状況になります」、人材の宝庫のようだ。 「日本型企業は探索はやらずに閉じられた世界で深化することにばかりこだわって、イノベーションの機会を逸してきました。そして事業としての寿命が終わっている既存事業を引っ張って稼ぐ力を失い、リスクの大きな未来投資能力、イノベーション能力を失った結果、破壊的イノベーションの時代に入ったこの30年間、長期停滞に陥っています。 その原因は同質性と連続性にあります」、鋭く的確な指摘だ。「あれだけのデジタルシフトを短期間でやったのは、リクルートだけでしょう」、やはり「リクルート」は並みの会社とは違う。 「99%の努力と1%のひらめき」 「探索」と「深化」のバランスとは面白い考え方だ。 「ひろゆき」氏が「就職氷河期世代」とは初めて知った。そのせいで、「自分の頭で考えることができる」ようになったとすれば、恩恵をフルに活かした例外的存在のようだ。私は同氏の極めて合理的な考え方には同感する部分が多い。 確かに「1%のひらめき」は多くの人が無視している。 「G型」が何を指しているのか説明がないのは残念だ。「L型産業」はどうもタクシー・トラック運転などの運輸業を指しているのだろう。「終身雇用を前提とした雇用制度の見直し」には、そうしたい企業がやればいいのであって、一斉にやるのには反対だ。 「日本人は我慢が大好き?」というのは困った傾向だ。これに対抗するのは、「その人が楽することを認めないようにすればいいだけ」とは確かに有効そうだ。 「青野」氏は「社長」としては珍しい存在として注目していたので、興味深そうだ。 「サイボウズ青野社長が説く「がんばるな」の意味 昔ながらのオジサンたちは何も変わっていない」 東洋経済オンライン (その11)(サイボウズ青野社長が説く「がんばるな」の意味 昔ながらのオジサンたちは何も変わっていない、「40歳までに退職が当たり前」リクルートこそが世界に通用する希有な日本企業である 日本的経営とは正反対の成長戦略、ひろゆきが断言「体育会系の『痛みを耐える文化』は間違っている」) 日本型経営・組織の問題点
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