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香港(その7)(「終刊号は100万部に」香港"リンゴ日報"を廃刊に追い込んだ習近平政権の誤算 言論封殺にはしっぺ返しが必ずある、中国が香港を併合したくてもできない決定的理由 弾圧を強化すれば経済面で大きな打撃を受ける、中国の脅威に香港の日本人が続々帰国 残留する経営者の決断) [世界情勢]

香港については、昨年9月1日に取上げた。今日は、(その7)(「終刊号は100万部に」香港"リンゴ日報"を廃刊に追い込んだ習近平政権の誤算 言論封殺にはしっぺ返しが必ずある、中国が香港を併合したくてもできない決定的理由 弾圧を強化すれば経済面で大きな打撃を受ける、中国の脅威に香港の日本人が続々帰国 残留する経営者の決断)である。

先ずは、本園6月30日付けPRESIDENT Onlineが掲載したジャーナリストの沙鴎 一歩氏による「「終刊号は100万部に」香港"リンゴ日報"を廃刊に追い込んだ習近平政権の誤算 言論封殺にはしっぺ返しが必ずある」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/47451
・『香港から他国に拠点を移す企業が多く出ている  中国・習近平(シー・チンピン)政権に対する批判を続けてきた香港紙「蘋果日報(アップル・デイリー)」が、6月24日付の朝刊を最後に発行を停止し、廃刊した。国家安全維持法(国安法)違反容疑で創業者や主筆、編集幹部らが次々と逮捕されたうえに資産が凍結され、発行が継続できない状態に追い込まれたのである。 これは言論の封殺だ。中国という国は世界第2位の経済大国に成長しても、一党独裁体制の過ちを反省することなく、民主主義の土台となる言論の自由を香港から奪い去った。自由な国際金融都市として大きく発展してきた香港市場も、国際社会の信頼を失い、後は衰退するのみである。すでに香港から他国に拠点を移す企業が多く出ている。 蘋果日報は1995年6月創刊で、発行部数は約10万部で香港第2位、ネット版の閲覧数は香港で最大だ。扇情的なイエロージャーナリズムと批判されたこともあったが、反中国政府・親民主派のスタンスが香港市民の自由と民主主義を求める意識と呼応して、読者を獲得してきた。 ちなみに「蘋果」は中国語でリンゴのことだが、創業者の黎智英れい ちえい氏=英名ジミー・ライ、今年4月に有罪判決を受けて服役中=によれば、新聞名はアダムとイブが食べたリンゴに由来する。アダムとイブがリンゴを口にしなかったら世界に善も悪もなく、ニュースもないという意味だという』、興味深そうだ。
・『中国政府にとっての「政治」とは国民を弾圧すること  蘋果日報の廃刊は、一国二制度の下で認められてきた香港の言論の自由が、国安法という悪法によって崩れ去ったことを意味する。 だが、沙鴎一歩は「ペンは剣よりも強し」という諺を固く信じる。言論を封殺するような習近平政権は、やがて国際社会から見捨てられ、必ず崩壊する。 中国政府は天安門事件(1989年6月)以来、自由と民主主義を求めて立ち上がる知識人や学者、学生、市民を繰り返し弾圧してきた。習近平政権の傀儡に過ぎない香港政府は、自由のために抗議デモを続ける香港市民を力ずくで抑え込み、昨年6月には無期懲役を最高刑とする国安法を制定し、運動家などを次々と逮捕した。 中国政府にとって国民を弾圧することこそが、政治なのである。沙鴎一歩はそんな中国に生まれなくて本当に良かったと思う。 この7月1日、中国共産党は創設100周年を迎える。習近平政権はその祝賀ムードを盛り上げるために中国政府を批判する民主派の一掃に余念がない。中国では国家よりも党が上に位置する。このため習近平・国家主席は、1982年以来廃止されている「党主席」を狙っている』、筆者が「「ペンは剣よりも強し」という諺を固く信じる」、のは勝手だが、報道の自由がない世界では通用しないのではなかろうか。
・『逮捕された香港の運動家は、臓器を抜かれる恐れもある  習近平政権は香港と同様に「絶対に譲れない核心的利益」とみなす台湾と新疆しんきょうウイグル自治地区を軍事的に弾圧している。日本の尖閣諸島(沖縄県)周辺海域では、中国海警船が侵入を繰り返しては日本の漁船を追い回す。東・南シナ海では巨大軍事力を背景に軍事要塞を次々と作る。中国の国際的脅威は増すばかりである。 いまの中国は「ならず者国家」と批判されても文句は言えないだろう。国際社会は中国に対して軍事的優位に立つアメリカを中心に包囲網を築き、中国に対して圧力を加えていくべきだ。 どうしても気になるのが、逮捕された香港の活動家たちの命である。国安法の最高刑が死刑ではなく無期懲役とはいえ、服役中に病死と偽って殺すことも可能だろう。 さらに中国では死刑囚に麻酔をかけて眠らせ、その体から心臓や肝臓などの臓器を摘出し、移植用の臓器として海外の患者に売り払うことが続いてきた。摘出された心臓はひとつ1億~2億円で闇取引されていたという。中国政府は2015年に、刑執行後に死刑囚の臓器を摘出する慣行を廃止するとしているが、実態はわからない。そもそもそうした慣行があったこと自体がおそろしい』、「中国では死刑囚に麻酔をかけて眠らせ、その体から心臓や肝臓などの臓器を摘出し、移植用の臓器として海外の患者に売り払うことが続いてきた」、恐ろしい国だ。これがOECD加盟国とは・・・。
・『ジャーナリズムの原点は権力に屈しない反骨精神にある  6月25日の毎日新聞の社説は「りんご日報の廃刊 許されぬ香港の言論封殺」との見出しを立てて、その冒頭部分でこう訴える。 「24日付が最後の紙面となった。『別れの書』と題した社説は『報道の自由は暴政の犠牲となった』と憤りを込め、読者と香港を『永遠に愛する』と結んだ」 「1995年に創刊され、共産党批判からゴシップまでタブーを恐れない紙面作りで知られた。昨年6月の国安法施行後も民主派支援の論調を貫いた」 「党批判を恐れない」。そこに蘋果日報の素晴らしさの本質がある。ジャーナリズムの原点は、権力に屈することのない反骨精神だ。中国政府を恐れ、香港の新聞やテレビなどが次々と権力批判を中断するなかで唯一蘋果日報だけが批判を続けた。 はたして日本のメディアはどうだろうか。日本の新聞社やテレビ局もそうあってほしい。とくに新聞の社説は、ときの政権の誤った政策をきちんと正す主張を展開し、首相や閣僚らをうならせてほしい』、「日本の新聞社やテレビ局」の場合、忖度や自主規制が目立つことは、このブログのメディアで紹介している通りだ。
・『最後の蘋果日報は通常の10倍以上の100万部を発行  毎日社説は指摘する。「国際都市としての香港の信頼は決定的に損なわれた。言論の自由があればこそ、中国と外部を結ぶ情報の窓口として存在感を発揮できた。共産党体制の内実を知る貴重なルートだった」「国際金融センターの地位も揺らぐ」 前述したが、香港から自由な国際金融都市の姿はなくなり、各国の企業は撤退のスピードアップを図る。香港から自由を奪うことで経済的に大きなダメージを被るのは、中国本土の経済である。潤滑な香港経済があったからこそ、中国の経済は大きく成長した。そこは習近平政権も理解しているはずだ。なのになぜ、香港を悪法でがんじがらめにするのだろうか。 一党独裁国家の頂点に君臨する習近平氏は、自由と民主主義を求めて立ち上がる香港市民が怖いのだ。独裁が民主主義の手で倒されてきたことは、歴史が証明している。習近平氏は独裁者ゆえの自己防衛に走り、自らの地位を維持し、さらには地位の向上を狙っている。 最後に毎日社説は「蘋果日報の危機を知った多数の人が買い求め、最後の新聞は通常の10倍以上となる100万部が発行された。言論の自由を支えようとする香港市民の強い意思表示である」と指摘し、次のように主張する。「抑圧下にあっても自由の価値を信じる人々を、国際社会は孤立させてはならない」 香港市民は中国政府によって命を奪われることさえある。それにも屈せずに彼らは戦ってきたし、これからも戦う意思を示している。今度は欧米や日本などの民主主義国家で構成する国際社会が、断固として中国の習近平政権の悪業を追及しなければならない』、「毎日新聞」が「社説」で主張しても、「中国政府」にとっては痛くも痒くもないだろう。
・『「言論封殺は度を越している」「断じて容認できない」と読売社説・・・。
・『国安法による逮捕者は100人を超えた  読売社説は書く。 「蘋果日報は、国安法の施行後も中国批判を続け、自由で多様な香港社会を代弁する最後の砦となっていた。中国企業の出資に頼る香港メディアが増える中、経営の独立を保つ貴重な存在だった」 「最後の砦」が打ち破られたわけだが、習近平政権も返り血を浴びているはずだ。それが証拠に香港の国際金融センターの機能や地位が消滅しつつある。 その点に関し、読売社説も「国安法による逮捕者は、この1年で100人を超えた。蘋果日報の事例は、香港の民主派やグローバル企業をさらに萎縮させ、『中国化』を加速させることになろう。国際金融センターとしての地盤沈下は避けられまい」と指摘している。 最後に読売社説はこう主張する。 「習近平国家主席は、『愛される中国』の国際イメージ作りを指示したばかりだ。一連の言論封殺は自らの言葉を踏みにじる行為である。これでは、国際社会の信用を失うだけではないか」 その通りである。何が、どこが「愛される中国」なのだ。中国の度重なる強権ぶりを見ていると、「嫌われる中国」としか思えない』、「「国安法による逮捕者は、この1年で100人を超えた・・・国際金融センターとしての地盤沈下は避けられまい」、「中国の度重なる強権ぶりを見ていると、「嫌われる中国」としか思えない」、同感である。

次に、8月23日付け東洋経済オンラインが掲載した大蔵省出身で一橋大学名誉教授の野口 悠紀雄氏による「中国が香港を併合したくてもできない決定的理由 弾圧を強化すれば経済面で大きな打撃を受ける」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/447387
・『香港は、中国経済にとってきわめて重要な役割を果たしている。香港経由の迂回輸出とすると、関税を回避できる場合がある。さらに重要なのは、金融面での役割だ。これまで、中国企業のIPOの大半は香港市場で行われた。アメリカ市場でのIPOが規制されると、香港の役割はますます強まるだろう。 中国が「一国二制度」を踏みにじれば、こうしたメリットは失われる。それは中国経済に深刻な打撃を与えるだろう。 昨今の経済現象を鮮やかに斬り、矛盾を指摘し、人々が信じて疑わない「通説」を粉砕する──。野口悠紀雄氏による連載第50回。 中国は、香港の民主化運動の弾圧を強めている。 6月24日、香港最大の民主派新聞「蘋果日報(アップルデイリー)」が廃刊となった。 中国当局による香港民主化運動の弾圧がついにここまで来たかと、全世界に衝撃を与えた。 1年前の2020年6月、中国の全国人民代表大会常務委員会は、香港での反政府的な動きを取り締まるための「香港国家安全維持法案」を、全会一致で可決した。 これは、「一国二制度」を踏みにじるものであり、中国はいずれ香港を併合してしまうのではないかとの懸念が広がった。 その後の動きを見ると、警察は同法を使って、活動家や民主派の元立法会議員などを相次ぎ逮捕し、収監した。そして、アップルデイリー廃刊事件だ。1年前の懸念は的中しつつあるように思われる。 では、中国共産党は、このまま、まっしぐらに香港併合に向けて進むのだろうか? 経済活動の側面から見ると、それはきわめて難しいと考えられる。 なぜなら、香港は中国経済のために不可欠な役割を果たしており、併合してしまえば、その役割を果たせなくなるからだ。 では、香港は、中国にとってどのような役割を果たしているのか? これには、貿易の側面と金融の側面がある。まず、貿易面を見よう。 2019年において、中国の輸出相手国の第1位はアメリカ(4186億ドル。中国輸出総額の17%)だが、第2位は香港だ(2797億ドル。同11%)。これは対日、対韓の合計(同10%)より多い。 通信設備、コンピューター設備、集積回路設備などが中国から香港に輸出されている。 もちろん、これらは香港で使われるわけではない。中国の製品は、香港に持ち込まれたあと、世界各地に輸出される。つまり、香港は中国の対外貿易の中継点になっているのだ。 2019年において、香港の輸出総額は5357億ドル。うち対米が391億ドルだ。 なぜこうしたことをしているのか? 香港からの輸出とすれば、関税を軽減できる場合があるからだ。 とくに重要なのが、アメリカの「香港政策法」(1992年成立。1997年7月1日に、香港が中国に返還されると同時に効力が発生)だ。これは、中国製品に課している関税を、香港には適用しないという優遇措置だ。 米中貿易戦争によって中国の多くの対外貿易が阻害されたとしても、香港というパイプがあれば、中国は多くのことをすり抜けられる。 香港は中国にとっての合法的な「貿易障壁の抜け道」なのだ。 これを見直されると、中国経済には大きな打撃になる。そして、後述するように、アメリカでは見直すべきだという動きが実際に生じている』、「香港は中国にとっての合法的な「貿易障壁の抜け道」なのだ」、「中国」が「香港」の「一国二制度」を否定するのであれば、米国も「香港」への特典はなくすべきだろう、
・『香港が果たす金融面での役割  金融面において香港が果たす役割は、もっと本質的で、もっと重要だ。 中国では強い資本規制が実施されており、当局が金融市場や銀行システムに介入する。しかし、香港には資本規制がない。香港市場は、世界有数の自由で開放的な市場だ。 このため、中国企業は、香港の株式や債券市場を利用して、外国資金を呼び込むことができる。 外国企業は、中国大陸に進出する際に、香港を足掛かりにする。外国から中国への直接投資も、中国から外国への直接投資も、大半は香港経由で行われる。 1997年に中国が香港の管轄権を回復して以来、香港は何兆ドルもの資金調達を行い、中国と世界をつなぐパイプ役となってきた。 資金調達の第1の形態は、新規株式公開(IPO)だ。 工商銀行などの国有企業も、IT大手の騰訊控股(テンセント・ホールディングス)などの民間企業も、大手中国企業のほとんどは、香港に上場している。 最近では、すでにアメリカ市場で上場を果たした中国企業が香港で上場する動きもある。 阿里巴巴(アリババ)集団は、2014年にニューヨーク証券取引所でIPOを実施したが、2019年11月に香港への重複上場を果たした。 2020年6月には、インターネットサービス大手の網易(ネットイース)やネット通販大手の京東集団(JDドットコム)も相次いで香港に上場した。 そして、アメリカ・ナスダック市場に上場している中国IT大手の百度(バイドゥ)は、2021年3月、香港証券取引所にも上場した。重複上場はバイドゥで15社目になる』、「中国企業」の「米国市場上場」については、情報開示に後ろ向きなことから、上場を認めない方向になりつつあり、その場合、「香港」がますます脚光を浴びることになる。
・『中国当局は中国企業のNY上場を制限  最近起こった滴滴(ディディ)のIPO直後の当局による規制強化事案に見られるように、中国当局は、中国企業がニューヨーク市場で新規上場するのを制限する方針だ。そうなると、香港市場の役割はさらに増すだろう。 リフィニティブのデータによると、2018年の中国企業によるIPOを通じた資金調達額は642億ドルであり、世界全体のIPO総額のほぼ3分の1を占める。そのうち、香港上場の上場での調達額は350億ドルだ。それに対して、上海と深圳は197億ドルにとどまる(Reuters, 2019.9.5) また、香港ドルは米ドルに連動しているため、国際決済通貨で資金調達できることになる。香港市場への上場は、外国企業の買収や国外投資に向けた国際決済通貨を入手できることを意味するのだ。 中国企業はまた、香港を通じ、銀行の融資および社債の発行という形で多額の資金を借り入れている。 中国企業が昨年海外市場で行ったドル建て起債1659億ドルのうち、33%を香港の債券市場が占めた(Reuters, 2019.9.5)。 香港の経済規模は、1997年には中国大陸の18.4%もあった。この比率は、2018年には、2.7%に低下している。 しかし、表現の自由や、独立した司法が保証する国際金融センターとしての地位は、中国の他の都市によって代替することはできない。 香港には、中国内外の金融・ビジネス関係者が公平で非政治的な取引を行うことのできる欧米型の法・規制制度がある。法の支配、有能な規制当局、低い税率、自由な資本移動、英語の使用といった面で、香港は中国本土のライバル都市と比べて大きな違いがある。 上海市場と深圳市場は、以前に比べれば利用しやすい市場になったと言われる。しかし、投資家は、香港における法的保護のほうが依然望ましいと考える。このため、上海市場でさえ、近い将来に香港の役割を果たすことはできないだろうと言われる』、「香港」の「欧米型の法・規制制度」は、今後多少は中国型に近づくだろうが、それでも「上海市場と深圳市場」よりは遥かに自由な市場だろう。
・『中国軍が乗り出せば香港の地位は傷つき、中国にも打撃  こうした仕組みを運営できるのは、「一国二制度」という独特の統治制度があるためだ。この制度の下で、香港には中国本土にはない表現の自由や独立的な司法などの自由が保障されてきた。 これが保障されないことになれば、「安定した国際金融センター」「世界から中国本土への投資の玄関口」という香港の地位は、深刻なダメージを受ける。 貿易面でもそうだ。アメリカが香港に対して「香港政策法」で特別扱いをしてきたのは、香港が中国政府から独立していると判断してきたためだ。それが保障されなければ、アメリカが同法を修正することもありうる。 トランプ政権時代の2020年5月、ポンペオ国務長官(当時)は、香港がもはや中国本土からの自治を維持していないと判断していると議会に伝えた。そして、ドナルド・トランプ前アメリカ大統領は、2020年7月、香港への優遇措置を撤廃する大統領令に署名した。 一部のアメリカ上院議員は、「香港政策法」を修正し、香港を中国本土と別の関税エリアとする扱いを変更する意向を示唆している。 中国政府が今後も香港で強権的な弾圧を続けるなら、海外の投資家は、香港を捨て、シンガポールなどの信頼度が高い金融センターに取引を移す可能性がある。 そうしたことが起きれば、中国経済に対して、きわめて大きな打撃となるだろう』、「中国」が予想以上に早いスピードで「香港で強権的な弾圧」を続けているのは、私も予想外だった。どうも、「中国政府」は政治を重視して、「中国経済に対して、きわめて大きな打撃となる」ことを覚悟の上で「強権的な弾圧」を続けているように思える

第三に、10月15日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したジャーナリストの姫田小夏氏による「中国の脅威に香港の日本人が続々帰国、残留する経営者の決断」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/284031
・『香港を去る住民が増えている。駐在員のみならず、香港で独立起業した日本人でさえも、香港を後にしている。外国人だけではない。一部の香港人は共産化する香港を恐れ、逃げようとしている。今、香港に住むすべての人々に迫られているのが、「去るか、残るか」の決断だ。香港との一蓮托生を選んだある日本人の心境を追った』、「香港で独立起業した日本人でさえも、香港を後にしている」、とはよほどのことで、驚かされた。
・『日本人の間で飛び交う「帰国の挨拶」  「この秋に日本に帰国します。長い間お世話になりました」――そんなメッセージがスマホに着信する。最近、香港に住む多くの日本人の間でこうした「お別れメッセージ」が飛び交っている。 香港で25年にわたり生活してきた鶴見国光さん(52歳)の元にも「帰国の挨拶」が届いた。メッセージの送り主は、駐在員期間中に香港に魅了され、脱サラして起業した香港在住歴30余年のエキスパート。「とうとう彼も日本に帰国してしまうのか…」と、鶴見さんは嘆息する。 1年の中で駐在員の異動が集中するのは2~5月といわれているが、2021年のこの時期は、「送別会ばかりで歓迎会はほとんどない」という寂しい状況となった。理由の一つが新型コロナウイルスだ。香港の日系企業ではリモートワークが定着し、日本人駐在員を帰国させ、現場はローカルスタッフに任せるという動きが加速した。 香港にはさまざまな日系企業が集まっている。ここを中継貿易の拠点にする企業もあれば、中国や東南アジアに進出するための足掛かりとする企業もあり、多くの日本人が居住していた。外務省の資料によれば、近年は2万4000~2万6000人の水準を保っていた。 もっとも、在外公館に在留届を提出していなかったり、あるいは帰国時に届け出なかったりするケースもあり、数字は必ずしも実態を反映していない可能性もある。現地に長く暮らす日本人の間では「すでに2万人を割り込んで、今や1万人ほどなのでは」といった声も聞こえる』、「脱サラして起業した香港在住歴30余年のエキスパート。「とうとう彼も日本に帰国してしまうのか…」、日本を離れて「30余年」も経てば、日本とのつながりも薄くなるだろうが、これでも「帰国」せざるを得ないのは、やはりよほどのことなのだろう。
・『香港人は「移民の決断」に頭を悩ませている  ここを後にするのは日本人だけではなかった。香港では今年8月28・29日の土日を利用し、香港会議展覧センターで2回目となる「国際移民と不動産EXPO」が開かれた。事前の入場予約者は2万8000人だったという。少なくともこれだけの人数が「とどまるのか、それとも去るのか」という大きな決断に思い悩んでいることがうかがえる。 鶴見さんの周辺でも、2021年に入ってから、英国へ4家族、オーストラリアへ2家族、シンガポールへ1家族の合計7家族が移民したという。 「ある程度の資金力があり、また英語圏で仕事ができるという若い世帯を中心に、移民を決断する人は多いです」(鶴見さん) 特に小さい子どもを抱えている世帯は、今後の教育環境の変化を相当心配しているようだ。確かに香港では、教科書検定で「三権分立の原則」が削除されたり、香港全域の学校で中国国旗掲揚や中国国歌斉唱などの活動が行われたりするなど、2019年の反政府活動の反動で、中国共産党の支配色がよりいっそう強くなっている。 家族の団結が強いことでも知られる香港市民だが、若い世帯は「自分の親と子ども」を天秤にかけざるを得ない状況に直面している。年老いた親を残す呵責にさいなまれつつ、若い家族は脱出を考える。2019年の反政府デモ以来、社会は親中派と反中派の分断をもたらしたが、「家族にまで“分断の危機”をもたらしてしまいました」と鶴見さんは無念がる。 鶴見さんの香港歴は25年になる。1996年から香港に駐在し、駐在終了後に退職すると、2016年から日系の三宝不動産香港本店で働き始めた。その後「のれん分け」をしてもらい、三宝不動産九龍支店を設立し、現在は賃貸事業の経営者として奔走する日々を送っている。香港人の妻との間に18歳になる息子が1人いる。その鶴見一家に「日本への本帰国」という選択肢はあるのだろうか。 「確かに本帰国は考えましたが、妻の生活や息子の進路を思えば、日本への帰国は現実的ではありません。何より、私自身が25年も日本を離れてしまっています。私たちはここで生きていくしか道はありません」』、「若い世帯は「自分の親と子ども」を天秤にかけざるを得ない状況に直面している。年老いた親を残す呵責にさいなまれつつ、若い家族は脱出を考える」、悩ましい選択だが、親より子どもを選択する人の方が多いのではなかろうか。
・『香港は「生活者で回す経済」に  鶴見さんの仕事は不動産仲介業だが、そのビジネス環境にも変化が表れる。コロナ禍以前は、多くの日系企業が反政府デモに揺れる政治情勢を様子見していたが、感染拡大を経て国際情勢の見通しが利かなくなる中で、事業規模を縮小あるいは撤退する企業が目立つようになった。在宅勤務も定着した。今の鶴見さんの仕事を回転させているのは、ダウンサイジングを前提とした「引っ越し需要」である。 「旅行やビジネスも含め、海外から香港に来る人もいなくなり、香港経済は生活者だけで回さざるを得ない状況です。不動産賃貸も例外ではなく、厳しい状況が続いています。そんな中でも、『部屋をきれいに使い、家賃の滞納もない日本人に貸したい』というオーナー側のニーズがあるのは有り難いことです。新しく接するオーナーに日本ファンを増やしていく、それが私のもう一つの使命だと思っています」 金融、観光、物流で繁栄した香港だが、反政府デモの混乱とその後のコロナ禍により、香港経済が受けたダメージは決して小さいものではない。とりわけ、デモが激化する以前の2018年時点で観光客の約8割を中国大陸に依存した香港の観光業は、深刻な状況に陥っている。 香港特別行政区の面積は1110平方キロメートル、そこには311のホテルがある。香港の面積は札幌市とほぼ同等で、札幌市にも303のホテルがある(2019年7月現在)。しかし、香港の総客室数は8万6700室と、実に札幌市(総客室数は3万3049室)の2.6倍だ。コロナ前夜まで、香港もまたインバウンドバブルに沸いていたのだ。 中国人客を狙い、無数に店舗数を広げたドラッグストアもシャッターが下りたままだ。香港特別行政区の統計によれば、2019年は2.9%だった失業率が、2020年は5.8%に倍増している』、「コロナ前夜まで、香港もまたインバウンドバブルに沸いていた」、のであれば、影響は深刻だろう。
・『今後の香港は悲観的なのか?  とはいえ、暗い話ばかりではないようだ。買い物客でにぎわう日系大手量販店もあれば、店舗を増やす日系飲食業もあり、コロナ禍で日本に行けない香港人向けの商戦が活発化している点は見逃せない。鶴見さんも「日系飲食業からの賃貸店舗物件の問い合わせが増えています」と話している。 直近の香港の賃貸市況も悪くはない。過去を振り返れば、2019年6月に反政府デモが大規模化したが、それ以前の5年間は、小・中型(40~69.9平方メートル)の物件を中心とした香港の住宅賃料は同年8月まで上昇傾向が続いていた(数字は香港特別行政区の統計)。デモの長期化と暴徒化とともに、8月以降相場は下落を始めたが、最近は下げ止まった感がある。 今後の香港をどう占うのか。中国政府による香港政府への介入がより強まれば、移民を選択する市民はさらに続出するだろう。2015年に729万人だった香港の人口は、2019年には750万人にまで増えたが、2020年には748万人に減少した。 香港では2000年代から、中国マネーがもたらした住宅価格の高騰をはじめ、諸物価の上昇が市民生活を直撃し、富の偏在が社会問題化して若者の不満が蓄積していた。香港の中国返還(1997年7月1日)以降は、住環境の改善、政府退陣、教育と言論の自由などを求める反政府デモが散発していたものの、ある程度の秩序は保たれていた。 しかし、「逃亡犯条例」で火がついた2019年の大規模な反政府デモはあまりにも暴力的で、社会の安定と秩序を揺るがす結果となってしまった。こうした一連の流れを経験した香港市民の中には、中国政府の香港政策で社会が安定することを願う人々が一定数いることも事実だ。 日系企業の駐在員や独立起業した日本人の中には、流転する香港の運命に身を委ね、香港で生きていくことを選んだ人もいる。そこには「一般の市民生活まで脅かされることはないだろう」という推察や希望もある。 今の鶴見さんに本帰国の選択肢はない。だが、決して香港の将来を「悲観一色」だけでは捉えていない』、「香港の人口は、2019年には750万人にまで増えたが、2020年には748万人に減少」、2021はもっと減っているのだろうが、2020年までの減り方はそれほど多くないようだ。「住宅価格」の騰勢も一服した筈だ。政治的な面を除けば、暮らし易くなってきたのかも知れない。
タグ:香港 (その7)(「終刊号は100万部に」香港"リンゴ日報"を廃刊に追い込んだ習近平政権の誤算 言論封殺にはしっぺ返しが必ずある、中国が香港を併合したくてもできない決定的理由 弾圧を強化すれば経済面で大きな打撃を受ける、中国の脅威に香港の日本人が続々帰国 残留する経営者の決断) PRESIDENT ONLINE 沙鴎 一歩 「「終刊号は100万部に」香港"リンゴ日報"を廃刊に追い込んだ習近平政権の誤算 言論封殺にはしっぺ返しが必ずある」 筆者が「「ペンは剣よりも強し」という諺を固く信じる」、のは勝手だが、報道の自由がない世界では通用しないのではなかろうか。 「中国では死刑囚に麻酔をかけて眠らせ、その体から心臓や肝臓などの臓器を摘出し、移植用の臓器として海外の患者に売り払うことが続いてきた」、恐ろしい国だ。これがOECD加盟国とは・・・。 「日本の新聞社やテレビ局」の場合、忖度や自主規制が目立つことは、このブログのメディアで紹介している通りだ。 「毎日新聞」が「社説」で主張しても、「中国政府」にとっては痛くも痒くもないだろう。 「「国安法による逮捕者は、この1年で100人を超えた・・・国際金融センターとしての地盤沈下は避けられまい」、「中国の度重なる強権ぶりを見ていると、「嫌われる中国」としか思えない」、同感である。 東洋経済オンライン 野口 悠紀雄 「中国が香港を併合したくてもできない決定的理由 弾圧を強化すれば経済面で大きな打撃を受ける」 「香港は中国にとっての合法的な「貿易障壁の抜け道」なのだ」、「中国」が「香港」の「一国二制度」を否定するのであれば、「香港」への特典はなくすべきだろう、 「中国企業」の「米国市場上場」については、情報開示に後ろ向きなことから、上場を認めない方向になりつつあり、その場合、「香港」がますます脚光を浴びることになる。 「香港」の「欧米型の法・規制制度」は、今後多少は中国型に近づくだろうが、それでも「上海市場と深圳市場」よりは遥かに自由な市場だろう。 「中国」が予想以上に早いスピードで「香港で強権的な弾圧」を続けているのは、私も予想外だった。どうも、「中国政府」は「中国経済に対して、きわめて大きな打撃となる」ことを覚悟の上で「強権的な弾圧」を続けているようだ、 ダイヤモンド・オンライン 姫田小夏 「中国の脅威に香港の日本人が続々帰国、残留する経営者の決断」 「香港で独立起業した日本人でさえも、香港を後にしている」、とはよほどのことで、驚かされた。 「脱サラして起業した香港在住歴30余年のエキスパート。「とうとう彼も日本に帰国してしまうのか…」、日本を離れて「30余年」も経てば、日本とのつながりも薄くなるだろうが、これでも「帰国」せざるを得ないのは、やはりよほどのことなのだろう。 「若い世帯は「自分の親と子ども」を天秤にかけざるを得ない状況に直面している。年老いた親を残す呵責にさいなまれつつ、若い家族は脱出を考える」、悩ましい選択だが、親より子どもを選択する人の方が多いのではなかろうか。 「コロナ前夜まで、香港もまたインバウンドバブルに沸いていた」、のであれば、影響は深刻だろう。 「香港の人口は、2019年には750万人にまで増えたが、2020年には748万人に減少」、2021はもっと減っているのだろうが、2020年までの減り方はそれほど多くないようだ。「住宅価格」の騰勢も一服した筈だ。政治的な面を除けば、暮らし易くなってきたのかも知れない。
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