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中国経済(その12)(住民にとってはたまらない!習近平の「信念」が起こした大停電 予告のない電力供給停止で経済活動 地域住民の生活が大混乱、「チャイナショック」が再来?中国不動産バブル崩壊が世界にもたらす激震、中国「恒大危機」で経済の主力エンジンが止まる日 不動産バブル凍結が消費失速の引き金に) [世界情勢]

中国経済については、9月27日に取上げた。今日は、(その12)(住民にとってはたまらない!習近平の「信念」が起こした大停電 予告のない電力供給停止で経済活動 地域住民の生活が大混乱、「チャイナショック」が再来?中国不動産バブル崩壊が世界にもたらす激震、中国「恒大危機」で経済の主力エンジンが止まる日 不動産バブル凍結が消費失速の引き金に)である。

先ずは、9月30日付けJBPressが掲載したジャーナリストの福島 香織氏による「住民にとってはたまらない!習近平の「信念」が起こした大停電 予告のない電力供給停止で経済活動、地域住民の生活が大混乱」を紹介しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/67139
・『9月下旬、中国の東北3省の多くの都市で相次いで大規模な停電が発生した。23日、瀋陽の公道では信号が消えたため渋滞が起こり、マンション、ビルではエレベータが止まり、断水し、食事が作れなかったりトイレが流せない状況が起きた。停電時間は短くて5時間、長い場合は十数時間に及び、断水は2日に及ぶところもあった。携帯電話が充電できず電子決済ができなかったり、親戚と連絡が取れない状況も起きた。パソコンが使えないから仕事もできない。学校は休校。一部商店ではロウソクで営業するありさまとなった。 予告なしの突然の電力供給停止であったため、一部工場や家屋では、石炭火力を使った装置や暖房の排気のための換気システムが止まり、一酸化炭素中毒などの事故も発生した。たとえば9月24日、遼寧澎輝鋳業有限公司では、停電で排気システムが止まり、鋳造用の高炉から発生するガスによる一酸化炭素中毒で工員23人が遼陽市内の病院に運び込まれた』、「予告なしの突然の電力供給停止」であれば「事故も発生」、市民や進出した日系企業の迷惑も甚だしいだろう。
・『突然の大停電が経済活動、市民生活を直撃  この停電について地域住民は地方当局から一切説明を受けていなかった。 9月26日、吉林市新北水務有限公司(水道会社)は微信のオフィシャルアカウントで、次のような公告を出した。 「国家電力網公司(ステート・グリッド)の要請に応じ、東北電力管理局と吉林省エネルギー局は電力使用の優先順位にあわせて、不定期、不定時に非計画、非通知の電力供給停止、電力使用制限を実施します。この措置により2022年3月まで、停電や断水などが常態化します」) この通知をみて、地元の企業や住民たちが真っ青になって飲料水やロウソクを買い占めに走ったのは言うまでもない。 さすがに、この公告は地元の不安を引き起こしたとして上層部から厳しい叱責があったようで、新北水務公司は27日に再度SNSを通じて公告を出し、次のように釈明した。 「臨時停電によって供水地域のユーザーに対して臨時断水が引き起こされるとの懸念から、弊社アカウントはユーザーの皆様に適時に水の備蓄を準備してもらうよう(26日のSNSで)注意を促しました。ですが、この通知には不適切な言葉遣いと不正確な内容があり、ユーザーの皆様に誤解を生んでしまいました。深く責任を感じ、厳粛に対応し、会社の規則に厳格に則って関連の責任者を処遇します」 こうした電気・水道企業の慌てぶり、混乱ぶりが示すように、今回の東北大規模停電は尋常ではない事件だった。 中国で計画停電、電力使用制限措置は珍しいことではない。雨季の大洪水や冬季の大雪害による送電網の寸断、乾期の水不足によるダム湖枯れの水力発電不足、あるいは国家的大規模イベントの開催に合わせて空気のきれいな青空を演出するために火力発電所の稼働時間を制限したりして電力が逼迫することもあった。だが、今回の大規模な予告なしの電力使用制限、停電の背景は、もっと複雑にいろんな問題が絡み合っている。 まず、これまでの電力使用制限措置は、主に工業用電力に対して計画的に行われてきた。だが今回の東北停電は計画的でなく、地域住民の生活にも混乱をもたらした。東北はすでに冬が始まっており、この調子で民生用電力にも影響が及び続けるようであれば、これから零下十数度から数十度の極寒地域での人々の生活安全すら脅かされかねない。 なぜ、このような広範囲にして「突然の電力供給制限」が今秋、中国で起きたのだろうか』、計画経済の中国で発生した要因を知りたいものだ。
・『背景に石炭火力発電の電力不足  多くの人たちが想像したのは、習近平政権が導入している「エネルギー消費双制御」(総エネルギー消費制御、エネルギー消費強度制御)政策によるものではないか、ということだった。 実のところ電力供給制限はメディアで騒がれている東北3省(吉林、遼寧、黒竜江)だけでなく全国範囲で散発している。特に9月中旬以降、全国の多くの省で電力使用制限措置を取らざるを得ない状況に陥っていた。中でも、江蘇、雲南、浙江などの省の電力使用制限は、中央の「2030年カーボンピークアウト・2060年カーボンニュートラル」政策における温暖化ガス排出削減目標を達成するために、地方政府が企業に対して電力使用制限を要請したものだった。 一方、広東省、湖南省、安徽省などの電力使用制限措置は、電力逼迫が主な原因だった。昨年(2020年)から顕著になっている石炭の高騰により、発電企業は赤字削減のために発電量を圧縮した。電気料金は政府により低価格で抑えられているため、原料の石炭が高騰すれば、電力企業は発電所を稼働させるほど赤字になる。しかも、習近平の政策では温暖化ガス削減目標が掲げられているのだ。この結果、電力会社の発電量は、新型コロナ流行から脱して生産量、輸出量が回復してきた企業・工場の電力需要を下回ってしまい、こうした地域は産業の優先順位に従って工場ごとに稼働時間を割り振ったり計画停電を実施する措置がとられた。 だが、東北地域の大停電は、政府による「エネルギー消費双制御」政策とは関係なく、計画停電でもないという。 遼寧省でも実のところ7月以降、広東省などと同じように電力逼迫は起きており、9月10日から計画停電措置が導入され、プライオリティの高い産業から優先的に電力が割り振られるようになっていた。だが、そうした逼迫状況に加えて、9月23~25日の気候変化のせいで風力発電量が急落した。この地域の送電網は一般に50ヘルツで稼働している。49.8ヘルツ以上が安全閾値で、これより低くなると電力系統の安定維持のために出力抑制や負荷(需要)遮断が行われる。遼寧では急激な電力不足による周波数低下が起きたため、この安全措置が取られたのだった。同様の停電はたとえば2019年8月9日に英国で発生している。 遼寧では今年1~8月、社会用電力使用量が前年同期比で9.47%増え、電力負荷が過去最高になっていた。これは新型コロナ禍から社会・経済活動が急激に回復したことにもよるものだ。 同時に習近平政権の打ち出すカーボンニュートラル目標、温暖化ガス排出制限目標に従って火力発電所の稼働が次々と停止されていった。それを風力など再生可能エネルギーが補う格好になっていたという。2020年末の段階で、東北3省の電力供給バランスは、火力発電が63%、風力発電が18%、太陽光8%、水力7%、原子力4%。だが、中国「財経」誌によれば、遼寧の火力発電出力は設備容量の半分ほどにとどめられていたという。このため、発電量が気候の変化で急減する風力発電に頼る部分が大きくなったことが、周波数低下リレーによる負荷遮断を引き起こした要因といえる。 直接的な原因は、風力発電量の急落だが、その背景には石炭火力発電の電力不足がある。 石炭火力発電の電力不足は、カーボンニュートラル政策のための発電所の稼働停止と、全国的な石炭不足、石炭価格の高騰による電力企業の発電量圧縮が原因である。 石炭が高騰している理由は、カーボンニュートラル政策を掲げたことから石炭採掘への投資が大きく落ち、石炭生産量の伸びが減速中であることに加え、習近平の戦狼外交が招いたオーストラリアとの関係悪化により、オーストラリアからの石炭購入を昨年以来取りやめていることが挙げられる。石炭価格は環渤海石炭価格指数によれば、昨年1月に1トン当たり550元前後だったのが、今年9月には750元前後に高騰。中国の石炭の備蓄量は昨年1月の段階では2億2000万トン近くあったのが、今は1億2000万トンを切りそうな状況となっている。) 業界内の事情通が財経誌に語ったところによれば、東北地域で1990年代以降、こうした大規模な電力使用制限措置が取られたことはなかったという。そもそも東北の電力需要は沿海部ほど高くなく、長らく電力不足とは無縁であった。東北送電網はむしろ、河北や山東へ電力輸出をしていたくらいなのだ。このため、東北地元政府が電力不足による電力使用制限の対応に慣れておらず、また送電網の電力制御の経験も不足していたことが、今回の混乱に一層の拍車をかけたという。 とりあえず、東北3省からの省外への電力輸出はすでに一時停止している。このため山東、華北地域の電力供給も逼迫してくるとみられている』、「突然の電力供給制限」の要因は様々のようだが、「オーストラリアからの石炭購入を昨年以来取りやめている」のも一因となっているようだ。
・『習近平の譲れない政治目標  こうした背景をみると、今回の東北大停電の問題は一時的なものではなく、かなり長引く問題ではないかと思われる。そもそもなぜ電力が逼迫しているかというと、すべて習近平の政策がもたらしたものだ。たぶん、それは最初から分かっていたことである。 おそらく習近平としては、経済成長を犠牲にしても譲れない政治目標がいくつもあるのだろう。2030年までのカーボンピークアウト、2060年までのカーボンニュートラル実現もその1つだ。不動産バブルの圧縮も、インターネットプラットフォームや教育、文化、エンタメ産業のコントロール強化も、結果的には成長産業の目をつぶし、民営企業家を委縮させ、GDPにはマイナスの影響を及ぼすだろう。だが、自らが考える理想の中国、共同富裕社会への道、そして自らの政治権力集中のためならば、経済や人民の暮しを犠牲にすることに躊躇しないのが、習近平の性格なのだろう。 目下、程度の差はあれ、電力使用制限措置が取られているのは20省に拡大している。人民にとっても企業にとっても厳しい冬になりそうだ。そんな中で、北京冬季五輪が国威発揚とばかり華々しく豪華に開催される。それが習近平の理想とする共同富裕社会らしい』、「自らが考える理想の中国、共同富裕社会への道、そして自らの政治権力集中のためならば、経済や人民の暮しを犠牲にすることに躊躇しないのが、習近平の性格なのだろう」、「北京冬季五輪が国威発揚とばかり華々しく豪華に開催」、日本のようにマスコミからの批判もないのでやり易いのだろう。

次に、9月19日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した法政大学大学院教授の真壁昭夫氏による「「チャイナショック」が再来?中国不動産バブル崩壊が世界にもたらす激震」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/285076
・『10月に入り中国の不動産業界では、恒大集団(エバーグランデ)などが発行してきたドル建て社債などの元利金の支払い遅延が日増しに増加している。過去、世界各国で起きたバブル崩壊の事例では、まず不動産業界で資金繰りに行き詰まる企業が増え、本格的なデフォルトが発生する。中国経済が急減速すると、2015年に起きた「チャイナショック」の再来というべき負の影響が、世界的に波及すると予想される』、興味深そうだ。
・『中国の不動産業界が下降局面 世界経済にマイナス要因  中国の不動産業界で、いよいよバブル崩壊が現実味を帯びてきた。大手の恒大集団(エバーグランデ)に続き、いくつかのデベロッパーのデフォルト懸念が一段と高まっている。これまで経済成長を支えた不動産業界が、下降局面を迎えることは、中国経済全体にとって潮目が変わることになるだろう。それは、世界経済にとっても無視できないマイナス要因になるはずだ。 今後、エバーグランデなどが本格的なデフォルトに陥り、中国内外の社債投資家、国内の理財商品などにマイナス影響が及ぶ恐れがある。その影響は、二つの経路を通って世界経済に影響を及ぼすと考えられる。 一つは、エバーグランデなどのデフォルトが直接的なトリガーとなって、リーマンショックのような世界的な金融危機が発生することだ。ただ、詳細は後述するが、現時点ではその可能性は低いだろう。 もう一つの経路は、デフォルトの増加により中国経済が急減速し、世界経済の足を引っ張ることだ。それが現実のものになると、2015年に起きた「チャイナショック」の再来というべき負の影響が、世界的に波及すると予想される』、なるほど。
・『現実味を帯びるエバーグランデなどのデフォルト  エバーグランデなどのデフォルトが現実味を帯び始めた。10月に入り中国の不動産業界では、エバーグランデなどが発行してきたドル建て社債などの元利金の支払い遅延が日増しに増加している。エバーグランデは、9月23日、29日に続き、10月11日のドル建て社債の利払いも実施できなかった。 加えて、当代置業(モダン・ランド・チャイナ)が、10月25日のドル建て社債の償還を延期するよう投資家に要請した。中国共産党政権が不動産への投機抑制のために導入した「3つのレッドライン」によって、これまで借り入れを増やして投資を実行してきた不動産デベロッパーの資金繰りは一段と悪化している。 共産党政権は、経営問題を抱えるデベロッパーなどへの救済にかなり慎重な姿勢を維持している。例えば9月下旬、融創中国(サナック)が浙江省紹興市当局に支援を求めたと報じられた(会社側は後に否定した)。中国の不動産業界では、資金繰りの悪化、住宅価格の下落などによって、事業継続が困難になる企業が増加している。それでも、共産党政権はデベロッパーへの公的資金注入を行っていない。 過去、世界各国で起きたバブル崩壊の事例では、まず不動産業界で資金繰りに行き詰まる企業が増え、本格的なデフォルトが発生する。そして不動産デベロッパーは、資産の売却によって債務の返済を行おうとするが、一方で急速に不動産などの価格が下落して不良債権が増える。その結果、債務再編や経営破綻に追い込まれる企業が増え、金融システムにストレスがかかる恐れがある』、「共産党政権はデベロッパーへの公的資金注入を行っていない」、この姿勢をいつまで続けられるのだろうか。
・『半導体、自動車、工作機械 IT機器、鉱物資源が落ち込む恐れ  中国の不動産市場の先行きは楽観できない。エバーグランデなどの本格的なデフォルトが起きれば、世界経済にさまざまな経路でマイナス影響が波及することになる。 まず、経営破綻に陥った中国企業の社債などを保有する、主要先進国の金融機関が直接、損失を被るリスクだ。ただ、今回のケースでは、もともと格付けの低い中国の不動産会社の債権を保有している欧米企業は限定的とみられ、その損失は限られた範囲にとどまるだろう。エバーグランデなどのデフォルトが、リーマンショックに匹敵する世界的な金融危機を発生させる可能性は低い。 一方、世界経済に対して間接的な影響は軽視できない。デベロッパーのデフォルト発生は、中国経済を支えてきた不動産市況を悪化させる。それによって、中国経済の減速は一段と鮮明化するだろう。その展開が現実のものになると、中国の個人消費は減少し、設備投資も落ち込む。日本をはじめドイツや韓国、アジア新興国など、中国経済に依存する国の経済は大きく足を引っ張られ、世界全体でGDP成長率が低下する恐れがある。 具体的には半導体、自動車、工作機械、産業用ロボット、パソコンなどのIT機器、鉱物資源、中国から海外への観光需要などが落ち込む恐れがある。世界経済における中国の存在感が大きくなってきただけに、中国経済の減速が世界経済に与える負の影響は軽できない』、その通りだろう。
・『世界経済を取り巻く不確定要素は増えている  今後の展開として懸念されるのは、15年夏に起きたチャイナショックの再来だ。当時、カネ余りに支えられて上海株などが大きく上昇していたところ、急落した。中国人民銀行は人民元切り下げや金融緩和を実施したが、景気は減速し、世界経済全体で景況感が悪化した。 当時と比べると、現在の世界経済を取り巻く不確定要素はむしろ増えている。「エネルギー危機」と呼ばれるほど、天然ガスや石炭、原油などの需給がひっ迫し価格が高騰している。それに伴いインフレ懸念が高まっている。国ごとに違いはあるが新型コロナウイルス感染再拡大によって物流・人流が絞られた影響も残り、世界的に供給制約が深刻だ。 そうした状況下、中国の不動産バブルが崩壊し中国経済が急減速すると、チャイナショックと同様のマイナス影響が世界に波及するだろう。デフォルト増加で中国国内の理財商品の価格が下落すると、個人の金融資産が毀損(きそん)し消費は減少するだろう。中国事業を強化してきた主要国の企業業績は悪化し、世界経済が減速する可能性がある。 その場合、共産党政権はインフラ投資の積み増しや金融システムへの流動性供給などによって、景気減速を食い止めようとするだろう。それは一時的に景気を下支えするだろうが、インフラ投資が一巡した現在、景気刺激効果は限定的になる可能性がある。 長期の傾向として中国では資本効率性が低下し、投資に依存した経済成長は限界を迎えつつある。一時的な効果があったとしても、需要が飽和しつつある中でのインフラ投資の積み増しは、結果的に経済全体での過剰投資を増加させ、債務問題は深刻化する恐れがある。バブル崩壊後のわが国の教訓をもとに考えると、いかにして成長期待の高い新産業を育成して新しい需要を創出するか、共産党政権の経済運営の実力が問われる。 エバーグランデのデフォルトなどに端を発する中国経済の減速リスクは、わが国をはじめ世界経済に逆風だ。不確定要素が増える中、岸田新政権が経済のパイ拡大につながる政策を迅速に実施できるか、中長期的なわが国経済の展開に大きく影響することになる』、「岸田新政権が経済のパイ拡大につながる政策を迅速に実施できるか」、政権発足時の公約をいち早く大幅修正しているようでは、信頼に足る「政策」は到底、待できない。

第三に、10月19日付け東洋経済オンラインが転載したThe New York Times「中国「恒大危機」で経済の主力エンジンが止まる日 不動産バブル凍結が消費失速の引き金に」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/462575
・『中国政府は、負債が危険なまでに膨らんだ住宅市場の熱を冷まそうとしている。住宅市場の過熱が以前にも増して国家的な脅威と見なされるようになったのだ。 しかし、3000億ドル(約34兆円)の負債を抱える不動産開発大手・中国恒大集団がもたらす危機の封じ込めを進める中で、中国政府は経済成長の主力エンジンを傷つけるおそれがある。そのエンジンとは、ホー・チエンさんのような住宅購入者だ。 中国の不動産市場を楽観視していたホーさんは、問題の恒大集団からマンションを購入。その後、自らも不動産仲介業者となり、同社のマンションを何百戸と販売した。 「人々はもう不動産を買う気分ではない」 ホーさんは最近、かなり悲観的になっている。中国南部の岳陽市出身の彼は、自身が購入したマンションにまだ入居できていない。恒大集団が建設を中断したためだ。住宅購入に神経質になっている人があまりにも多いため、以前の自動車販売の仕事に戻ることを考えているという。 「人々はもう不動産を買う気分ではない」とホーさん。 ホーさんのような現役世代を魅了した中国の不動産ブームは目下、劇的な修正局面を迎えている。一時は購買意欲が熱狂的に高まり、販売開始から数分で物件が売り切れる状況が続いていた。投機的な購入によって物件価格は高騰。一部の推計によると、中国の経済成長に対する不動産市場の貢献度合いは25%を超えるレベルにまで拡大し、中国では住宅が家族の主な資産形成手段になった。 今では、中国における世帯資産のおよそ4分の3が不動産と結びついている。不動産市場に対する信頼の喪失は、自動車や家電製品の販売減に波及し、経済にさらなる打撃を及ぼす可能性があるということだ。 中国の小売売上高の減速はすでに始まっており、消費者が不安を募らせている兆候がうかがえる。人々が住宅の購入を敬遠する中、不動産市場に介入し債務を抑制するという政府の決定は経済全体の成長を危うくしかねないと専門家らは指摘する。 「不動産市場は現に深刻な落ち込みを示している。価格、販売、建設活動は低下しており、今後数四半期にわたって経済成長の足を引っ張る可能性が高い」と独立調査会社ガベカル・ドラゴノミクスのマネージング・ディレクター、アーサー・クローバー氏は語る』、「中国の経済成長に対する不動産市場の貢献度合いは25%を超えるレベルにまで拡大」、「不動産市場に対する信頼の喪失は、自動車や家電製品の販売減に波及し、経済にさらなる打撃を及ぼす可能性がある」、その通りだ。
・『高級不動産会社もデフォルト  恒大集団はかつて中国不動産ブームの象徴だったが、最近では経営危機のニュースで世界の市場を揺るがす存在となった。ここ数週間だけでも、外国人投資家に対する重要な利払いをいくつも見送っている。 恒大問題は世界各国の中央銀行トップがコメントを発し、アメリカの国務長官が中国に「責任ある行動」を求める事態にまで発展している。 不動産業界のデータ企業・中国房産信息集団(CRIC)によると、中国の不動産企業上位100社の9月売上高は前年比で3分の1以上減少したもようだ。10月初旬には高級マンションで知られる不動産開発企業・花様年控股集団(ファンタジア)が予想外のデフォルト(債務不履行)を起こし、金融市場に衝撃が広がった。 恒大危機は9月にもっと深刻なものになっていた可能性もある。恒大集団は投資家に対し、売上高の「著しい落ち込みが引き続き」見込まれると警告。中国のあらゆる都市で同社物件の建設は停止しており、約160万人のマンション購入者が待ちぼうけを食らって、にっちもさっちも行かない状況に置かれている。 以前は不動産の購入に興味を示していたホーさんの知人や隣人は、決して完成することのないマンションに頭金を支払うことになるのではないかという不安を口にするようになった。以前は多くの家族を引き寄せていた恒大集団の洗練された営業所も、今では人々から避けられるようになっている。 ホーさんは、このような人たちを責める気にはなれない。) 自分が買ったマンションの建設も6月にストップしたからだ。このほかにも、ホーさんの住む町では恒大集団が進めていた3つの大規模プロジェクトの建設が停止したか、停止する見通しだ。建設業者への支払いが滞ったためとされる。 地元住民の声を吸い上げる目的で政府がオンライン上に用意した掲示板は、恒大集団からマンションを購入した人々からの怒りのこもった苦情であふれかえっている。完成もしていない物件に対し住宅ローンを払い続ける必要があるのか、恒大集団が倒産したら全財産が「水の泡」になるのか、といった疑問をぶつける人もいる。 ある住宅購入者の一団は広州の掲示板で、恒大集団が頭金で得た資金を、地方政府の管理下で厳格に管理されているのとは違う私的な口座に入れていることがわかったと述べた。四川省眉山市の別の住宅購入者は掲示板を使って、当局者に「国民のために正義を!」と訴えた』、「恒大集団が頭金で得た資金を、地方政府の管理下で厳格に管理されているのとは違う私的な口座に入れていることがわかった」、こういった不正も部分的にはあるのだろう。
・『当局の沈黙がもたらす景気の沈滞  恒大集団の倒産は2008年に世界金融危機の引き金を引いたリーマンショックの中国版になるのではないか——。そうした疑問が著名な投資家らの間で浮上しているにもかかわらず、中国政府はほぼ沈黙を貫いている。 「大きすぎて潰せない」とみられてきた企業であっても救済の対象とはならない、というスタンスだ。そのため地方政府は、住民のいら立ちに孤立無援で対応しなければならない状態となっている。 恒大集団をはじめとする不動産開発企業の建設継続や巨額債務対応を支援するという明確なメッセージが中国政府から発せられない中、多くの国民は現金にしがみつき、住宅購入を先延ばしするようになった。 ホーさんはまだ、恒大集団から購入したマンションの完成予定を聞けていない。同社から遅延の通知は来ていないとはいえ、建設が数カ月前に止まったのは見ればわかる。 ホーさんは来年5月に結婚する予定だが、それも見直さなければならない状況だ。本来ならマンションは年末までに完成する予定で、結婚式の一環として華々しく披露できるよう内装に手を加える時間も十分に確保できるはずだった。 ホーさんが言う。「建設が遅れたから、結婚式も延期だね」』、「中国政府は・・・「大きすぎて潰せない」とみられてきた企業であっても救済の対象とはならない、というスタンスだ」、こうした建前論をどこまで貫けるのだろうか。 
タグ:中国経済(その12)(住民にとってはたまらない!習近平の「信念」が起こした大停電 予告のない電力供給停止で経済活動 地域住民の生活が大混乱、「チャイナショック」が再来?中国不動産バブル崩壊が世界にもたらす激震、中国「恒大危機」で経済の主力エンジンが止まる日 不動産バブル凍結が消費失速の引き金に) JBPRESS 福島 香織 「住民にとってはたまらない!習近平の「信念」が起こした大停電 予告のない電力供給停止で経済活動、地域住民の生活が大混乱」 「予告なしの突然の電力供給停止」であれば「事故も発生」、市民や進出した日系企業の迷惑も甚だしいだろう。 計画経済の中国で発生した要因を知りたいものだ。 「突然の電力供給制限」の要因は様々のようだが、「オーストラリアからの石炭購入を昨年以来取りやめている」のも一因となっているようだ。 「自らが考える理想の中国、共同富裕社会への道、そして自らの政治権力集中のためならば、経済や人民の暮しを犠牲にすることに躊躇しないのが、習近平の性格なのだろう」、「北京冬季五輪が国威発揚とばかり華々しく豪華に開催」、日本のようにマスコミからの批判もないのでやり易いのだろう。 ダイヤモンド・オンライン 真壁昭夫 「「チャイナショック」が再来?中国不動産バブル崩壊が世界にもたらす激震」 「共産党政権はデベロッパーへの公的資金注入を行っていない」、この姿勢をいつまで続けられるのだろうか。 世界経済における中国の存在感が大きくなってきただけに、中国経済の減速が世界経済に与える負の影響は軽できない』、その通りだろう。 「岸田新政権が経済のパイ拡大につながる政策を迅速に実施できるか」、政権発足時の公約をいち早く大幅修正しているようでは、信頼に足る「政策」は到底、待できない。 東洋経済オンライン The New York Times 「中国「恒大危機」で経済の主力エンジンが止まる日 不動産バブル凍結が消費失速の引き金に」 「中国の経済成長に対する不動産市場の貢献度合いは25%を超えるレベルにまで拡大」、「不動産市場に対する信頼の喪失は、自動車や家電製品の販売減に波及し、経済にさらなる打撃を及ぼす可能性がある」、その通りだ。 「恒大集団が頭金で得た資金を、地方政府の管理下で厳格に管理されているのとは違う私的な口座に入れていることがわかった」、こういった不正も部分的にはあるのだろう。 「中国政府は・・・「大きすぎて潰せない」とみられてきた企業であっても救済の対象とはならない、というスタンスだ」、こうした建前論をどこまで貫けるのだろうか。
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