パンデミック(医学的視点)(その23)(3回接種が進んだイスラエルで感染爆発 4回目を準備 データ提供という「偉大な貢献」、政府の説明ではさっぱり分からない「なぜ第5波は終息したのか」 感染者データを用いたコロナ感染者予測モデルから分かること、感染急減の日本が油断大敵になってはいけない訳 ワクチン効果は徐々に薄れ 追加接種が不可欠、ワクチン3回目接種 2回終えた“全員対象”の方針 厚労省分科会) [パンデミック]
パンデミック(医学的視点)については、9月24日に取上げた。今日は、(その23)(3回接種が進んだイスラエルで感染爆発 4回目を準備 データ提供という「偉大な貢献」、政府の説明ではさっぱり分からない「なぜ第5波は終息したのか」 感染者データを用いたコロナ感染者予測モデルから分かること、感染急減の日本が油断大敵になってはいけない訳 ワクチン効果は徐々に薄れ 追加接種が不可欠、ワクチン3回目接種 2回終えた“全員対象”の方針 厚労省分科会)である。
先ずは、10月4日付けPRESIDENT Onlineが転載した「ニューズウィーク日本版」「3回接種が進んだイスラエルで感染爆発、4回目を準備 データ提供という「偉大な貢献」」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/50503
・『<ブースター接種が1回で不十分だとすれば、いったい何回打てば感染を防げるのか、ワクチンは万能薬ではないのか、世界も近く問題に直面する:サマンサ・ロック> 新型コロナウイルスのワクチン接種で世界の先陣を切ったイスラエルは、ワクチンの効果を持続させるブースター接種(3回目の接種)にもいち早く着手した。それにもかかわらず今、感染者が急増している。 9月14日には新たな感染者数が1万730人、直近7日間の平均は1万1027人だ。 「これまでの波では存在しなかった記録だ」イスラエル保健省の新型コロナ対策を率いるナフマン・アッシュは9月14日に議会の委員会にオンラインでそう語ったと、地元メディアが伝えた。 今年6月には1日の感染者数を10数人前後まで抑え込めていたが、今は過去のピークを上回る第4波の真っ只中にある。 「1週間前には明らかな減少傾向が見られたが、ここに来て下げ止まり、Rの数字が(再び)1を上回った」と、アッシュは警告した。Rとは1人の感染者が何人に感染させるかを示す実効再生産数(Rt)のこと。1を下回れば感染は収束に向かうが、上回れば拡大を続ける。「今後より顕著に減少すると思いたいが、現時点ではその兆しは見えない」』、せっかく「ブースター接種」に「着手」しても、「感染者が急増」しているようだ。
・『学生フェスや巡礼で密集 イスラエル政府のコロナ対策の最高責任者サルマン・ザルカによると、9月13日の新規感染者1万556人の半数は未成年者だ。 ザルカによれば、保健省は政府に対し、大規模な集会を規制し、サッカーの試合など大観衆が集まるイベントを禁止するよう要請してきた。だが当局の警告にもかかわらず、9月初めには港湾都市エイラートで恒例の学生フェスが実施され、全土から集まった若者たちがどんちゃん騒ぎを繰り広げた。高名なラビ(ユダヤ教の聖職者)の墓があるウクライナ中部のウマニへの巡礼も、昨年は見送られたが今年は再開され、ワクチン接種を拒む超正統派のユダヤ教徒が大挙して参加した。 今後もこうした大規模イベントが次々に実施されると見られる。 今月に入りザルカは4回目のワクチン接種に向けて準備を進める考えを示した。 「ウイルスが存在し、今後も存在し続ける以上、4回目の接種にも備える必要がある」と、ザルカは9月4日、公共ラジオの取材に応えて語ったが、実施時期は明らかにしなかった。 ザルカによれば、4回目の接種では、感染力が強いデルタ株など新たな変異株に対応した改変型のワクチンを使う予定だ。今後も新たな変異株が次々に出現し、感染拡大の「波が繰り返される」と見られるため、定期的なブースター接種が「ニューノーマルになる」と、ザルカは予告する。イスラエル保健省は、今の第4波を乗り越えても、第5波は必ず起きるとの前提で準備を進めているという。 イスラエルは昨年12月に他国に先駆けてワクチン接種を開始し、今年3月初めには国民の半数以上が2回目の接種を済ませていた。 その後保健当局は、新たなデータで時間の経過と共にワクチンの効果が低下することがわかったと発表。7月末には高齢者を対象にいち早くブースター接種を開始した。 当初は、重症化のリスクが高い60歳以上を対象に、ファイザー製ワクチンの3回目接種を行なっていたが、8月には対象年齢が40歳以上に拡大された』、「4回目のワクチン接種に向けて準備を進める」、ずいぶん手回しがいいようだ。「高名なラビ・・・の墓があるウクライナ中部のウマニへの巡礼も、昨年は見送られたが今年は再開され、ワクチン接種を拒む超正統派のユダヤ教徒が大挙して参加した」、「ワクチン接種を拒む超正統派のユダヤ教徒」とは困ったものだ。
・『米政府も追加接種を目指すが イスラエルのナフタリ・ベネット首相は先月フェイスブックの公式アカウントで、わが国は世界に先駆けてブースター接種を実施することで、グローバルなコロナとの戦いに、データ提供という「偉大な貢献」をしていると述べた。 「イスラエルはグローバルな知識に偉大な貢献をもたらそうとしている。われわれなしでは、世界はブースター接種の正確な有効性も、打つべきタイミングも、感染状況への影響も、重症化への影響も分からないだろう」 イスラエルでは早期にワクチン接種を受けた人たちの抗体レベルの低下を示すデータがあると、公衆衛生当局の責任者シャロン・アルロイプライスは述べているが、追加接種が進む今も、全土で感染者が増え続けている状況を見ると、ワクチンだけでは感染拡大は止められそうもない。 アメリカでも近々、ブースター接種が始まる。米食品医薬品局(FDA)は9月12日、臓器移植を受けた人など免疫力が低い人に限り、ファイザー製とモデルナ製ワクチンの3回目の接種を認める方針を発表した。 バイデン政権は9月末から医療従事者や高齢者を対象にブースター接種を進めたい考えだが、FDAも米疾病対策センター(CDC)も今のところ一般の人たちは2回の接種で十分に守られているとして、追加の接種は必要ないとの見解を変えていない』、「イスラエルはグローバルな知識に偉大な貢献をもたらそうとしている。われわれなしでは、世界はブースター接種の正確な有効性も、打つべきタイミングも、感染状況への影響も、重症化への影響も分からないだろう」、その通りだ。「追加接種が進む今も、全土で感染者が増え続けている状況を見ると、ワクチンだけでは感染拡大は止められそうもない」。
次に、10月8日付けJBPressが掲載したスタイルアクト(株)代表取締役・不動産コンサルタントの沖 有人氏による「政府の説明ではさっぱり分からない「なぜ第5波は終息したのか」 感染者データを用いたコロナ感染者予測モデルから分かること」を紹介しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/67233
・『コロナ第5波は終息したが、なぜ終息したかは明らかではなく、何をすれば感染減に繋がるのかという点も曖昧なまま。感染に関わる膨大なデータが日々発表されるにもかかわらず、新型コロナウイルス感染症対策分科会は科学的とは言えない説明に終始している。来たるべき第6波に備えるため、われわれは何を指標とすべきなのか──。統計解析のスペシャリスト、スタイルアクトの沖有人氏が分析する。 新型コロナの第5波が終息した理由は何だったのだろうか。 第5波のピークだった8月20日前後は全国で毎日2万5000人が感染する状況だったが、その後、急速に感染者は減少し、9月末には1000人台となっている。結果、緊急事態宣言は解除されたが、流行と抑え込みのメカニズムはいまだに分かっておらず、第6波の到来を前に、私たちはただおびえるしかない。 この謎を科学的に解くにはどうすればいいのだろうか。私は統計分析を生業としており、主に不動産や人口予測の分野でマーケティングのための様々な予測モデルを構築してきた。その知見を生かして、どういう条件で新規感染者や死亡者が増加するか、予測モデルを作成した。そこで分かったことを、ここでみなさんにお伝えしようと思う。 9月末の緊急事態宣言解除の記者会見では、当時の菅首相だけでなく、新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身会長が5つの要因を提示した。しかし、ここで挙げられた要因は、残念ながら統計的にはほぼ説明できないことばかりだった』、「尾身会長が5つの要因を提示」したが、「ここで挙げられた要因は、残念ながら統計的にはほぼ説明できないことばかりだった」、非科学的なやり方にはガッカリする。
・『感染の減少と因果関係が見えない尾身会長の説明 (1)一般市民の感染対策強化(第5波の山は高く、急降下している。この山と谷を説明するには極端な変化を伴う変数が必要だが、公開されているデータを分析する限り、そういった変数は見当たらない。自分の日常やメディアの報道を通してという限定的な範囲だが、このピークの前後で国民の日常生活が劇的に変わったという事実は見当たらない。国民の努力に対するリップサービスなのかもしれないが、因果関係は全く把握できない。 (2)人流、特に夜間の滞留人口減少(公開情報を分析したところ、人流の減少は多く見ても、直近ピーク時の2割程度というところだ。 例えば、お盆の時期の移動は東海道新幹線の乗車率の推移で分かる。それを見ると、8月の乗車率は7月以下で、お盆に例年のような大移動は起きていない。また、政府は人流を重視するが、ただの外出で感染した人がどれぐらいいるのだろうか。人流で感染拡大するのであれば、毎日、山手線でクラスターが発生していてもおかしくない。 飛沫感染が主な理由と言われていることを考えれば、外出の制限に意味があるという統計的な説明はできない。 なお、夜間の滞留人口を夜10~12時に外出している人だと定義すれば、いわゆる夜の店に行っている人が中心だろう。それは「うつるべくしてうつった人」であり、一般的な人流とは異なるのではないだろうか』、このように要因をきちんと切り分けることも重要だ。
・『ワクチン接種率40%でピークアウトと説明するには無理がある (3)ワクチン接種率の向上(第5波の山がピークアウトしたのは、2回目のワクチン接種率が40%程度の時だ。ワクチン接種率は月間で10%程度上昇しているので、ワクチン接種率が30%の頃に生まれた大きな波が40%でピークアウトすると説明するのは無理がある。 また、ワクチンに絶大な効果があるのであれば第5波の上昇を抑えられたはずだが、山はこれまで以上に高かった。ワクチンに新型コロナを抑え込む効果が一定程度あることは統計を用いて後述するが、決定的な要因にはなっていない。 (4)医療機関・高齢者施設での感染者の減少(日本国民の中で、病院や高齢者施設にいる人は1%もいない。そこでの数が倍増しようが、全体の感染者の数値に影響を与えることはない。そうした施設の話をわざわざ持ち出したのは、コロナの最前線で戦った医療機関や高齢者施設に対するリップサービスなのだろうか。少なくとも公共の電波で伝えるような要因とは思えない。 (5)気象の要因(夏が終わりに近づき、気温が下がったら感染者が減るという指摘には、全く因果関係がない。ここまで来ると、もはや滑稽な話でしかない。 ここまで、尾身会長の説明に統計的な説得力がないということを説明してきた。次に、統計的に今後の感染者数がどうなっていくのかという点について見ていこう』、なるほど。
・『日々の感染者数で1週間後は予測可能 毎日ニュースとして耳にする感染者数は、過去の推移から短期的な将来を予測することができる。 予測対象は、陽性者数→入院治療等を要する者→重症者数→死亡者数の順で相関関係が明らかに出る。つまり、陽性者が増えれば入院患者が増え、重症者が増え、死亡者が増えるという関係だ。 それゆえに、明日の陽性者数は今日の陽性者数と昨日から今日の数の変化でほぼ説明できる。昨日100人、今日110人なら、増加数10人なので、今日の110人と増加数10人の影響を受けて明日は123人──という具合に決まるような話だ。 例えば、入院治療等を要する者はその前日水準と陽性者数(過去2週間)とワクチン2回目接種率の3つの変数で説明でき、並べた順で影響力が強い。私の分析では、ワクチン接種率が10%上がると、入院等を要する者が1750人減少する。 同様に、重症者数は入院治療等を要する者(1週間前)とワクチン2回目接種率(接種率10%上がると、重症者数は70人減少)の2つの変数で説明できる。 死亡者数は、その前日水準と重症者数(1週間前)とワクチン2回目済率(10%上がると、死亡者数は10人減少)で説明できる。この2か月でワクチン接種率は20%ほど上昇したので、毎日20人の命が救われていることになる。ただ、死亡者の場合、最も効く変数は重症者数であり、ワクチン接種率ではない。 これらのモデルから分かることは、(1)毎日の動きが予測の最大の根拠となる (2)ワクチンの効果は一定程度あるが、補助的であり決定的ではない (3)このモデルでは1週間先はほぼ予測できる』、確かに「1週間先はほぼ予測できる」ようだ。
・『節目の変わるタイミングでは何が起きているか? なお、波が来ることも、ピークアウトすることも、前日との差(前週の同じ曜日と比較しての差)で予測可能だ。具体的に言えば、連続して4日同じ方向に動いた時にトレンドが転換する。つまり、4日連続で新規感染者数が増加に転じたら、第6波がやってくると考えた方がいい。 ただ、その山の高さ(感染者数の多さ)は予見することができない。実行再生産数を用いることもできるが、これは単なる仮定に過ぎず、実行再生産数自体を予測することはできない。 このように、現状では毎日変化するグラフの傾きに応じて1週間程度先を予測することくらいしかできないが、それでも1週間後に向けて事前に対処できるということに意味はあるはずだ。 第5波の教訓として語られるべきことは、山の高さをもたらした要因を正確に把握することだ。これが分かれば、第6波に備えられる。 第5波である7月、8月の感染者を見ると、20代以下が5月より+8%、6月より+4%と大幅に増えている。この年代の人々からすれば、ワクチン接種は先の話になりそうで、たとえ感染しても死亡する確率は極めて低い。そうした状況から気を緩めてしまった人によって、山が高くなったというのは明らかな傾向としてある。 この層は夜間の滞留人口と同様で、「うつるべくしてうつった人」なのかもしれない。「かもしれない」と語尾を緩めたが、データがないだけで、これは調べることができる。感染者の感染経路を全件調査し、感染パターンを類型化し、何%を占めるかを明確にすればいいのだ。 感染経路は現在4割程度しか判明していないが、この結果が有効な行動制限を確定させる決め手となる。 例えば、「マスクをせず飲み会に参加した」「カラオケでマイクの消毒をせず歌い続けた」「感染者らしき人に出くわした後に手洗いを忘れた」といった感染理由が浮上したとして、その感染パターンとは関係ないことを気をつけても仕方がない。恐らく、外出を控えても効果がないことはここから分かるだろう。自粛という形を取る以上、具体的な行動を自粛対象として告知することが端的に効果を出す何よりの方法だ』、「感染経路は現在4割程度しか判明していないが、この結果が有効な行動制限を確定させる決め手となる」、でも判明率を上げるのは困難だろう。
・『科学的とは言えない分科会メンバー 第6波が来るとしたら、10月の下旬以降になりそうだ。冬場で大流行する可能性もあり備える必要があるが、「何をすべきかが分からない」という事態は避けなければならない。そのためには、日本の科学の英知を結集することが必要だ。 2020年4月の第1回の緊急事態宣言の際は、専門家の委員会は感染病の専門家と医療関係者だけだった。その後、経済学者が入り、経済を動かす必要性を提言することになった。 現在の分科会メンバーについては、偏っていて科学的でないという印象を受ける。科学的とは、分からないことを数多く明らかにし、分からないことは分からないと明示することだ。予測モデルで因数分解したように、各要因の因果関係と影響度は統計で処理できる。これほど毎日の数字が克明に出るのに、定性的なぼんやりとした話を繰り返すのは数字を扱い、判断する能力がないと考えた方がいい。 その意味で、統計学者は委員に1人必要だろう。また、具体的な感染パターンの把握と自粛行動へのアナウンスも、人間心理に長けた心理学者が欲しいところだ。その人の役目は、人心を把握し、効果を最大化する説得力ある発信をすることにある。 まだ、コロナとの闘いは終わってはいない。菅首相が退陣を余儀なくされたように、ただ一生懸命に取り組むだけでは評価されない。リーダーたるもの、効果を見せながら、「この人の言うことは守らなければ」と思われるようにならなければならない。そこには、事実に基づいた実行性のある見識が必要である』、「分科会メンバー」には「経済学者が入り」、経済学者であれば、統計のことも分かっている筈だ。ただ、専門的な「統計学者」や「人間心理に長けた心理学者」がいる方が望ましい。彼らの助言を得て、「首相」には「事実に基づいた実行性のある見識」を示してほしいものだ。
第三に、10月26日付け東洋経済オンラインが掲載した医療ガバナンス研究所理事長の上 昌広氏による「感染急減の日本が油断大敵になってはいけない訳 ワクチン効果は徐々に薄れ、追加接種が不可欠」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/464390
・『冬の足音が聞こえてきた。多くの欧州諸国では、感染者の増加が顕著だ(図1)。日本のメディアは「規制撤廃の英国新型コロナ200人超え」(テレビ朝日10月20日)のように、感染者増を規制緩和に伴う人流増に求める論調が強いが、それは的外れだ。欧州の感染増を知れば、季節性変化の影響が大きいと考えるのが合理的だ。 図1(Daily new confirmed COVID-19 Ccases per million peopleの図はリンク先参照)』、上氏は独自の視点から筋論を展開するとして、私が注目している医者だ。「欧州の感染増を知れば、季節性変化の影響が大きいと考えるのが合理的だ」、なるほど。
・『第6波で未曾有の感染爆発が起こる可能性は残る 日本でも早晩、感染者は増加し、冬場の大流行を迎える。イギリス・オックスフォード大学が提供するデータベース「Our World in Data」によれば、昨秋、日本は10月22日の感染者数4.23人(人口100万人あたり、7日間平均)を底に、感染者数は増加の一途を辿った。ピークは1月11日の同51.14人だった。今年も、似たような推移をたどるだろうと私は予想している。 今年、注目すべきは変異株の存在だ。昨冬の流行の中心は変異がない従来株だった。今冬はデルタ株、あるいはイギリスで感染が確認されているデルタ・プラス株のような新たな変異株かもしれない。日本の足元の感染状況は1年数カ月ぶりの低水準まで収まっているが、その理由もはっきりしないだけに、今後、第6波で未曾有の感染爆発が起こる可能性も十分以上に残されていると考えたほうがいい。 では、どうすればいいのか。最優先はワクチンの追加接種だ。コロナに限らず、ワクチン接種は感染症対策の中核となる。コロナ対策でも、昨年12月にイギリスでの接種開始を振り出しに、世界各国はワクチン接種を促進してきた。接種開始が今年2月となった日本だが、その後、急速に追い上げた。10月21日現在の接種完了率は69%で、カナダ(73%)、イタリア(71%)に次いで、主要先進7カ国(G7)で第3位だ。すでにフランス(68%)、イギリス(67%)、ドイツ(66%)、アメリカ(57%)を抜いている。 ところが、それでも楽観視できない。それは、コロナワクチンは接種から時間が経てば、その効果が低減するからだ。このあたり、ワクチン接種を済ませば、ほぼ一生にわたって効果が続く麻疹ワクチンとは違い、有効期間が5カ月と言われているインフルエンザワクチンに近い。アメリカのファイザーは、デルタ株の場合、2回接種から4カ月目には感染予防効果は53%まで低下すると報告していし、アメリカ・モデルナも、ワクチン接種後約5カ月で、感染予防効果が36%低下したと報告している。 すでに日本からも同様の調査結果が報告されている。10月13日、福島県相馬市は、コロナワクチン接種を終えた相馬市民500人から採血し、中和活性を測定した結果を発表した。この研究では、中和活性は、2回目接種から30日未満で2024 AU/mL、30~90日で753 AU/mL、90日以上で106 AU/mLと急速に低下していた。10月22日には、同じく福島県南相馬市からも同様の調査結果が報告された。一連の研究をリードしたのは、坪倉正治・福島県立医科大学教授を中心とした研究チームだ』、「日本」でも「コロナワクチン接種」後の効果が日数経過と共に低下してくる研究があるというのは、初めて知った。
・『イスラエルで今夏大流行が起こったワケ ワクチンの効果が切れた段階で、コロナが流行すればどうなるのか? 参考になるのはイスラエルの経験だ。イスラエルは、世界で最も早くワクチン接種を進めた国だ。1月30日には国民の20%、2月16日には30%、5月2日には40%、そして5月17日には50%がワクチン接種を済ませている。 (図2) 日本同様、イスラエルでも6月下旬からデルタ株による感染者が増加した。夏の流行のピークは9月14日で、新規感染者数は1254人(人口100万人あたり)で、同国の冬のピーク(981.2人)を大きく上回った。日本の今夏のピークの6.8倍に当たる。今夏、イスラエルの感染者数は、G7諸国よりはるかに多かったが(図2:Daily new confirmed COVID-19 Ccases per million peopleの図はリンク先参照))、これはワクチンの効果が切れた時期に、デルタ波の流行が重なったためだろう。ワクチンの感染予防効果は、接種からの時間とともに減衰することを、認識しなければならない。 問題は感染予防だけではない。これまで、ワクチン接種を済ませておけば、たとえデルタ株であろうが、感染しても重症化しないと考えられてきた。わが国では、今夏、デルタ株が大流行したのに、第3波、第4波ほど死者数は増えなかったのもワクチン接種の恩恵と考えられている(図3)。そうなると、ワクチン接種による、このような重症化予防効果がいつまで続くかが大きなポイントになる。 (図3:Daily new confirmed COVID-19 deaths per million peopleの図はリンク先参照))) イスラエルの経験は、重症化予防効果も、意外に早く低下する可能性があることを示唆している。図4はイスラエルと日本のコロナ感染者の致死率の推移を示したものだ。イスラエルでは、今年3月から7月にかけて致死率が上昇している。特に5、6月の致死率は5%以上を維持し、5月23日には9.5%、6月14日には9.4%に達した。 (図4:Moving average case fatality rate of COVID-19の図はリンク先参照) この時期、決して死者の総数が増えた訳ではない。イスラエルの夏の流行で、死者数が増えるのは8月以降だ。以上の事実は、重症患者が増えて、病床が逼迫したため、致死率が高まった訳ではないことを意味する。なぜ、こんなことが起こるのだろうか』、何故だろう。
・『ワクチン接種を終えて4カ月後に起きた変化 私は、基礎疾患を抱える高齢者でワクチンの効果が切れ始めたためと考えている。イスラエルは2020年12月19日から、高齢者・持病を抱える人・医療従事者を対象にワクチン接種を開始した。2021年1月末の接種完了率は21%。イスラエルの高齢化率は12%だから、1月中には高齢者の接種を終えたことになる。致死率が急上昇した5月は、ワクチン接種を終えて4カ月となる。 イスラエル政府は、この致死率急上昇に焦った。7月11日には免疫力の低い人を対象に追加接種を始める方針を明かしている。注目したいのは、7月11日の人口100万人あたりの感染者数は51.4人だったことだ。その1週間前の7月4日の33.8人からはやや増加したが、イスラエルで感染者が本格的に増え始めるのは7月後半で、同月末には237.6人に達している。 イスラエル政府は、ワクチン接種を済ませた人に感染するブレイクスルー感染が増え始めて、追加接種を検討したのではない。私は、コロナワクチンの効果の持続性に当初から疑問を抱き、春以降致死率が高まってきたことを考慮したからではないかと考えている。 追加接種は著効した。6月14日の致死率9.4%から、8月15日には0.60%、9月24日には0.15%に低下している。10月7日、イスラエルの研究チームはアメリカの『ニューイングランド医学誌』に、追加接種の有効性について、追加接種から12日が経過した段階で、非接種群と比べ、追加接種群の感染率は11.3分の1、重症化率は19.5分の1まで低下したと発表している。 その後、イスラエル政府は、追加接種の対象を拡大し、12歳以上とした。そして、世界のどの国よりも速く追加接種を進めている。10月22日現在の追加接種完了率は44%で、9月12日には、イスラエル保健省高官が、4回目の追加接種に必要なワクチンの確保を進める方針を明かしている』、「4回目の追加接種に必要なワクチンの確保」とは早手回しだ。
・『高齢者や免疫抑制患者に追加接種は不可欠 イスラエルの経験は貴重だ。多くの先進国が追加接種を加速させている。10月16日現在、追加接種の完了率はアメリカ3.6%、フランス3.5%、ドイツ1.8%、イタリア1.6%だ。中国でも、すでに追加接種は始まっている。10月13日、アメリカのニューヨーク・タイムズは、武漢を含む湖北省で4万人以上が追加接種を受けたことを報じている。 高齢者や免疫抑制患者に追加接種が必要なことは、いまや世界的コンセンサスだ。9月22日、米食品医薬品局(FDA)は、ファイザー社製ワクチンの65歳以上の高齢者と重症化リスクが高い人に対する追加接種を承認し、10月20日には、米モデルナとジョンソン・エンド・ジョンソン社製ワクチンについても承認した。 FDAは、ファイザー製については、40歳以上に承認対象を拡大する予定だ。欧州でも、10月4日、イスラエル、イギリスに続き、欧州医薬品庁(EMA)がファイザー製ワクチンの18歳以上に対する追加接種を承認した。さらに、途上国でのワクチン接種を推進するため、当初、追加接種に否定的だった世界保健機関(WHO)も、10月11日、感染を防ぐ抗体が十分にできなかった人に限って推奨すると声明を発表している』、主要国は「追加接種」へと動いているようだ。
・『追加接種については、さまざまな臨床研究が進んでいる。懸念される副反応については、9月28日、米疾病対策センター(CDC)は、2回目接種後と同程度という研究成果を報告している。 効果については、イスラエルからの研究は前述のとおりだ。他には、9月30日、アメリカ・アリゾナ大学の研究チームが、固形癌で抗がん剤治療中の患者53人を対象に、追加接種の有効性を検証した論文をイギリス『ネイチャー・メディスン』に発表している。この研究によれば、追加接種により抗体価は上昇するが、細胞性免疫の活性化は軽微だった。研究者たちは、それでも免疫学的に有益である可能性が高いという結論を出している。かくのごとく、追加接種の臨床研究は急速に進んでいる』、なるほど。
・『日本はワクチンが余っているのに 日本はどうだろうか。厚生労働省は、12月から追加接種を始める方針を明かしている。これでは遅すぎる。日本で、高齢者のワクチン接種が本格化したのは5月だ。早い時期にワクチンを打った人は、接種後半年以上が経過する。免疫は低下していると考えていい。今冬、コロナに罹患すれば、重症化あるいは死亡する可能性が高まってしまう。可及的速やかに追加接種を始めたほうがいいだろう。 何がボトルネックか。日本にワクチンが足りない訳ではない。日本経済新聞は10月7日、1面トップに「先進国でワクチン余剰」という記事を掲載した。この記事では、日本の状況について、「11月ごろまでに希望者への接種がほぼ一巡し、その後は在庫が膨らむ見通し」と説明している。さらに、自治体が設置するワクチン接種会場はガラガラだ。その気になれば、いますぐにでも追加接種を始めることができる。 日本で追加接種が進まないのは、「厚労省の手続きなどの準備が間に合わない(厚労省関係者)」からだ。具体的には薬事承認、審議会での審議などだ。菅義偉・前首相のリーダーシップで、約2カ月のワクチン接種の遅れは挽回した。ところが、追加接種の準備を怠った厚労省の不作為で、また、3カ月以上の遅れができてしまった。昨年末のワクチン導入の失敗と同じことを繰り返したことになる。厚労省の奮起、岸田文雄首相のリーダーシップに期待したい』、「日本で追加接種が進まないのは、「厚労省の手続きなどの準備が間に合わない(厚労省関係者)」からだ」、「菅義偉・前首相のリーダーシップで、約2カ月のワクチン接種の遅れは挽回した。ところが、追加接種の準備を怠った厚労省の不作為で、また、3カ月以上の遅れができてしまった。昨年末のワクチン導入の失敗と同じことを繰り返したことになる」、「岸田文雄首相」は総選挙応援終了後は、直ちに取り組むべきだ。
第四に、10月28日付けNHK NEWS WEB「ワクチン3回目接種 2回終えた“全員対象”の方針 厚労省分科会」を紹介しよう。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211028/k10013326011000.html
・『新型コロナウイルスワクチンの3回目の接種について、厚生労働省の専門家の分科会は28日、2回目の接種を終えた人全員を対象とする方針で一致しました。これを受け厚生労働省は、ことし12月に医療従事者から順次、3回目の接種を始める方針です。 厚生労働省は28日、専門家でつくる分科会を開いて、新型コロナウイルスワクチンの3回目の接種の対象者について議論しました』、やはり「2月に医療従事者から順次、3回目の接種を始める方針」と悠長なことを言っているようだ。
・『感染予防の効果 2回目接種の5か月後以降には「低下」 分科会では、ファイザーのワクチンの感染を予防する効果が、2回目の接種から5か月後以降にどう変化したかが報告されました。 アメリカの研究結果として、 ▼16歳から44歳では89%が39%に、 ▼45歳から64歳では87%が50%に、 ▼65歳以上では80%が43%に それぞれ低下したとするデータが示されました」、なるほど。
・『入院予防の効果については 目立った低下は見られず 厚生労働省によりますと、入院を予防する効果については、アメリカの研究では、2回目の接種から5か月後以降にはそれぞれ次のようになり、目立った低下は見られなかったということです。 ▼16歳から44歳で88%が90%に ▼45歳から64歳で91%が90%に ▼65歳以上で84%が83%に』、「入院予防の効果については 目立った低下は見られず」、とは結構なことだ。
・『3回目接種 分かれる海外の対応 日本は「全員対象に」 続いて分科会では、海外の対応を確認したうえで、日本での対応を検討しました。 この中では、アメリカは高齢者や18歳以上の特定の疾患がある人などとしている一方、イスラエルは接種が認められている12歳以上の全員とするなど、各国で対応が分かれていることが説明されました。 これに対し、分科会の委員からは「希望する人全員に接種機会を提供すべきだ」とか「自治体の実務上、全員に打てるようにすることが現実的だ」などといった意見が出て、分科会として2回目の接種を終えた人全員を対象にする方針で一致しました。 また、高齢者など重症化を予防する効果が低下しやすい人などには、できるだけ3回目の接種を受けるよう呼びかけることも厚生労働省に求めました』、事務的には「全員対象に」が、混乱を少なくする方法だ。
・『3回目接種後の副反応は“2回目までと同程度” 分科会では、3回目の接種後の副反応についても、アメリカのデータが示されました。 それによりますと、ファイザーやモデルナのワクチンでは、報告された副反応が2回目までと同じ程度だったということです。 厚生労働省は、来月にも改めて分科会を開き、正式に方針を決めたうえで、12月に医療従事者から順次、3回目の接種を始めることにしています』、「副反応は“2回目までと同程度”」、一安心した。
・『海外の3回目接種 各国の対象者の範囲は? 海外でも新型コロナウイルスワクチンの追加接種が始まっていますが、対象者の範囲は異なっています。 厚生労働省によりますと、 +アメリカでは65歳以上の高齢者や、18歳から64歳で特定の疾患がある人や仕事などでウイルスにさらされるリスクが高い人などが追加接種の対象となります。 +イギリスでは50歳以上の人や、16歳から49歳で重症化のリスクを高める疾患がある人、介護施設の居住者や職員、それに医療従事者などです。 +カナダでは長期療養施設などに入っている高齢者です。 +フランスでは自宅で生活する65歳以上の高齢者や高齢者施設などの居住者、重症化リスクが非常に高い人、基礎疾患がある人、それに医療従事者や救急隊員などです。 +イスラエルは、当初、追加接種の対象を60歳以上としていましたが、対象を段階的に拡大し、現在は12歳以上としています』、本来であれば、第三の上氏の主張のように、主要国に遅れないようもっと早目に取り組むべきだろう。
先ずは、10月4日付けPRESIDENT Onlineが転載した「ニューズウィーク日本版」「3回接種が進んだイスラエルで感染爆発、4回目を準備 データ提供という「偉大な貢献」」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/50503
・『<ブースター接種が1回で不十分だとすれば、いったい何回打てば感染を防げるのか、ワクチンは万能薬ではないのか、世界も近く問題に直面する:サマンサ・ロック> 新型コロナウイルスのワクチン接種で世界の先陣を切ったイスラエルは、ワクチンの効果を持続させるブースター接種(3回目の接種)にもいち早く着手した。それにもかかわらず今、感染者が急増している。 9月14日には新たな感染者数が1万730人、直近7日間の平均は1万1027人だ。 「これまでの波では存在しなかった記録だ」イスラエル保健省の新型コロナ対策を率いるナフマン・アッシュは9月14日に議会の委員会にオンラインでそう語ったと、地元メディアが伝えた。 今年6月には1日の感染者数を10数人前後まで抑え込めていたが、今は過去のピークを上回る第4波の真っ只中にある。 「1週間前には明らかな減少傾向が見られたが、ここに来て下げ止まり、Rの数字が(再び)1を上回った」と、アッシュは警告した。Rとは1人の感染者が何人に感染させるかを示す実効再生産数(Rt)のこと。1を下回れば感染は収束に向かうが、上回れば拡大を続ける。「今後より顕著に減少すると思いたいが、現時点ではその兆しは見えない」』、せっかく「ブースター接種」に「着手」しても、「感染者が急増」しているようだ。
・『学生フェスや巡礼で密集 イスラエル政府のコロナ対策の最高責任者サルマン・ザルカによると、9月13日の新規感染者1万556人の半数は未成年者だ。 ザルカによれば、保健省は政府に対し、大規模な集会を規制し、サッカーの試合など大観衆が集まるイベントを禁止するよう要請してきた。だが当局の警告にもかかわらず、9月初めには港湾都市エイラートで恒例の学生フェスが実施され、全土から集まった若者たちがどんちゃん騒ぎを繰り広げた。高名なラビ(ユダヤ教の聖職者)の墓があるウクライナ中部のウマニへの巡礼も、昨年は見送られたが今年は再開され、ワクチン接種を拒む超正統派のユダヤ教徒が大挙して参加した。 今後もこうした大規模イベントが次々に実施されると見られる。 今月に入りザルカは4回目のワクチン接種に向けて準備を進める考えを示した。 「ウイルスが存在し、今後も存在し続ける以上、4回目の接種にも備える必要がある」と、ザルカは9月4日、公共ラジオの取材に応えて語ったが、実施時期は明らかにしなかった。 ザルカによれば、4回目の接種では、感染力が強いデルタ株など新たな変異株に対応した改変型のワクチンを使う予定だ。今後も新たな変異株が次々に出現し、感染拡大の「波が繰り返される」と見られるため、定期的なブースター接種が「ニューノーマルになる」と、ザルカは予告する。イスラエル保健省は、今の第4波を乗り越えても、第5波は必ず起きるとの前提で準備を進めているという。 イスラエルは昨年12月に他国に先駆けてワクチン接種を開始し、今年3月初めには国民の半数以上が2回目の接種を済ませていた。 その後保健当局は、新たなデータで時間の経過と共にワクチンの効果が低下することがわかったと発表。7月末には高齢者を対象にいち早くブースター接種を開始した。 当初は、重症化のリスクが高い60歳以上を対象に、ファイザー製ワクチンの3回目接種を行なっていたが、8月には対象年齢が40歳以上に拡大された』、「4回目のワクチン接種に向けて準備を進める」、ずいぶん手回しがいいようだ。「高名なラビ・・・の墓があるウクライナ中部のウマニへの巡礼も、昨年は見送られたが今年は再開され、ワクチン接種を拒む超正統派のユダヤ教徒が大挙して参加した」、「ワクチン接種を拒む超正統派のユダヤ教徒」とは困ったものだ。
・『米政府も追加接種を目指すが イスラエルのナフタリ・ベネット首相は先月フェイスブックの公式アカウントで、わが国は世界に先駆けてブースター接種を実施することで、グローバルなコロナとの戦いに、データ提供という「偉大な貢献」をしていると述べた。 「イスラエルはグローバルな知識に偉大な貢献をもたらそうとしている。われわれなしでは、世界はブースター接種の正確な有効性も、打つべきタイミングも、感染状況への影響も、重症化への影響も分からないだろう」 イスラエルでは早期にワクチン接種を受けた人たちの抗体レベルの低下を示すデータがあると、公衆衛生当局の責任者シャロン・アルロイプライスは述べているが、追加接種が進む今も、全土で感染者が増え続けている状況を見ると、ワクチンだけでは感染拡大は止められそうもない。 アメリカでも近々、ブースター接種が始まる。米食品医薬品局(FDA)は9月12日、臓器移植を受けた人など免疫力が低い人に限り、ファイザー製とモデルナ製ワクチンの3回目の接種を認める方針を発表した。 バイデン政権は9月末から医療従事者や高齢者を対象にブースター接種を進めたい考えだが、FDAも米疾病対策センター(CDC)も今のところ一般の人たちは2回の接種で十分に守られているとして、追加の接種は必要ないとの見解を変えていない』、「イスラエルはグローバルな知識に偉大な貢献をもたらそうとしている。われわれなしでは、世界はブースター接種の正確な有効性も、打つべきタイミングも、感染状況への影響も、重症化への影響も分からないだろう」、その通りだ。「追加接種が進む今も、全土で感染者が増え続けている状況を見ると、ワクチンだけでは感染拡大は止められそうもない」。
次に、10月8日付けJBPressが掲載したスタイルアクト(株)代表取締役・不動産コンサルタントの沖 有人氏による「政府の説明ではさっぱり分からない「なぜ第5波は終息したのか」 感染者データを用いたコロナ感染者予測モデルから分かること」を紹介しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/67233
・『コロナ第5波は終息したが、なぜ終息したかは明らかではなく、何をすれば感染減に繋がるのかという点も曖昧なまま。感染に関わる膨大なデータが日々発表されるにもかかわらず、新型コロナウイルス感染症対策分科会は科学的とは言えない説明に終始している。来たるべき第6波に備えるため、われわれは何を指標とすべきなのか──。統計解析のスペシャリスト、スタイルアクトの沖有人氏が分析する。 新型コロナの第5波が終息した理由は何だったのだろうか。 第5波のピークだった8月20日前後は全国で毎日2万5000人が感染する状況だったが、その後、急速に感染者は減少し、9月末には1000人台となっている。結果、緊急事態宣言は解除されたが、流行と抑え込みのメカニズムはいまだに分かっておらず、第6波の到来を前に、私たちはただおびえるしかない。 この謎を科学的に解くにはどうすればいいのだろうか。私は統計分析を生業としており、主に不動産や人口予測の分野でマーケティングのための様々な予測モデルを構築してきた。その知見を生かして、どういう条件で新規感染者や死亡者が増加するか、予測モデルを作成した。そこで分かったことを、ここでみなさんにお伝えしようと思う。 9月末の緊急事態宣言解除の記者会見では、当時の菅首相だけでなく、新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身会長が5つの要因を提示した。しかし、ここで挙げられた要因は、残念ながら統計的にはほぼ説明できないことばかりだった』、「尾身会長が5つの要因を提示」したが、「ここで挙げられた要因は、残念ながら統計的にはほぼ説明できないことばかりだった」、非科学的なやり方にはガッカリする。
・『感染の減少と因果関係が見えない尾身会長の説明 (1)一般市民の感染対策強化(第5波の山は高く、急降下している。この山と谷を説明するには極端な変化を伴う変数が必要だが、公開されているデータを分析する限り、そういった変数は見当たらない。自分の日常やメディアの報道を通してという限定的な範囲だが、このピークの前後で国民の日常生活が劇的に変わったという事実は見当たらない。国民の努力に対するリップサービスなのかもしれないが、因果関係は全く把握できない。 (2)人流、特に夜間の滞留人口減少(公開情報を分析したところ、人流の減少は多く見ても、直近ピーク時の2割程度というところだ。 例えば、お盆の時期の移動は東海道新幹線の乗車率の推移で分かる。それを見ると、8月の乗車率は7月以下で、お盆に例年のような大移動は起きていない。また、政府は人流を重視するが、ただの外出で感染した人がどれぐらいいるのだろうか。人流で感染拡大するのであれば、毎日、山手線でクラスターが発生していてもおかしくない。 飛沫感染が主な理由と言われていることを考えれば、外出の制限に意味があるという統計的な説明はできない。 なお、夜間の滞留人口を夜10~12時に外出している人だと定義すれば、いわゆる夜の店に行っている人が中心だろう。それは「うつるべくしてうつった人」であり、一般的な人流とは異なるのではないだろうか』、このように要因をきちんと切り分けることも重要だ。
・『ワクチン接種率40%でピークアウトと説明するには無理がある (3)ワクチン接種率の向上(第5波の山がピークアウトしたのは、2回目のワクチン接種率が40%程度の時だ。ワクチン接種率は月間で10%程度上昇しているので、ワクチン接種率が30%の頃に生まれた大きな波が40%でピークアウトすると説明するのは無理がある。 また、ワクチンに絶大な効果があるのであれば第5波の上昇を抑えられたはずだが、山はこれまで以上に高かった。ワクチンに新型コロナを抑え込む効果が一定程度あることは統計を用いて後述するが、決定的な要因にはなっていない。 (4)医療機関・高齢者施設での感染者の減少(日本国民の中で、病院や高齢者施設にいる人は1%もいない。そこでの数が倍増しようが、全体の感染者の数値に影響を与えることはない。そうした施設の話をわざわざ持ち出したのは、コロナの最前線で戦った医療機関や高齢者施設に対するリップサービスなのだろうか。少なくとも公共の電波で伝えるような要因とは思えない。 (5)気象の要因(夏が終わりに近づき、気温が下がったら感染者が減るという指摘には、全く因果関係がない。ここまで来ると、もはや滑稽な話でしかない。 ここまで、尾身会長の説明に統計的な説得力がないということを説明してきた。次に、統計的に今後の感染者数がどうなっていくのかという点について見ていこう』、なるほど。
・『日々の感染者数で1週間後は予測可能 毎日ニュースとして耳にする感染者数は、過去の推移から短期的な将来を予測することができる。 予測対象は、陽性者数→入院治療等を要する者→重症者数→死亡者数の順で相関関係が明らかに出る。つまり、陽性者が増えれば入院患者が増え、重症者が増え、死亡者が増えるという関係だ。 それゆえに、明日の陽性者数は今日の陽性者数と昨日から今日の数の変化でほぼ説明できる。昨日100人、今日110人なら、増加数10人なので、今日の110人と増加数10人の影響を受けて明日は123人──という具合に決まるような話だ。 例えば、入院治療等を要する者はその前日水準と陽性者数(過去2週間)とワクチン2回目接種率の3つの変数で説明でき、並べた順で影響力が強い。私の分析では、ワクチン接種率が10%上がると、入院等を要する者が1750人減少する。 同様に、重症者数は入院治療等を要する者(1週間前)とワクチン2回目接種率(接種率10%上がると、重症者数は70人減少)の2つの変数で説明できる。 死亡者数は、その前日水準と重症者数(1週間前)とワクチン2回目済率(10%上がると、死亡者数は10人減少)で説明できる。この2か月でワクチン接種率は20%ほど上昇したので、毎日20人の命が救われていることになる。ただ、死亡者の場合、最も効く変数は重症者数であり、ワクチン接種率ではない。 これらのモデルから分かることは、(1)毎日の動きが予測の最大の根拠となる (2)ワクチンの効果は一定程度あるが、補助的であり決定的ではない (3)このモデルでは1週間先はほぼ予測できる』、確かに「1週間先はほぼ予測できる」ようだ。
・『節目の変わるタイミングでは何が起きているか? なお、波が来ることも、ピークアウトすることも、前日との差(前週の同じ曜日と比較しての差)で予測可能だ。具体的に言えば、連続して4日同じ方向に動いた時にトレンドが転換する。つまり、4日連続で新規感染者数が増加に転じたら、第6波がやってくると考えた方がいい。 ただ、その山の高さ(感染者数の多さ)は予見することができない。実行再生産数を用いることもできるが、これは単なる仮定に過ぎず、実行再生産数自体を予測することはできない。 このように、現状では毎日変化するグラフの傾きに応じて1週間程度先を予測することくらいしかできないが、それでも1週間後に向けて事前に対処できるということに意味はあるはずだ。 第5波の教訓として語られるべきことは、山の高さをもたらした要因を正確に把握することだ。これが分かれば、第6波に備えられる。 第5波である7月、8月の感染者を見ると、20代以下が5月より+8%、6月より+4%と大幅に増えている。この年代の人々からすれば、ワクチン接種は先の話になりそうで、たとえ感染しても死亡する確率は極めて低い。そうした状況から気を緩めてしまった人によって、山が高くなったというのは明らかな傾向としてある。 この層は夜間の滞留人口と同様で、「うつるべくしてうつった人」なのかもしれない。「かもしれない」と語尾を緩めたが、データがないだけで、これは調べることができる。感染者の感染経路を全件調査し、感染パターンを類型化し、何%を占めるかを明確にすればいいのだ。 感染経路は現在4割程度しか判明していないが、この結果が有効な行動制限を確定させる決め手となる。 例えば、「マスクをせず飲み会に参加した」「カラオケでマイクの消毒をせず歌い続けた」「感染者らしき人に出くわした後に手洗いを忘れた」といった感染理由が浮上したとして、その感染パターンとは関係ないことを気をつけても仕方がない。恐らく、外出を控えても効果がないことはここから分かるだろう。自粛という形を取る以上、具体的な行動を自粛対象として告知することが端的に効果を出す何よりの方法だ』、「感染経路は現在4割程度しか判明していないが、この結果が有効な行動制限を確定させる決め手となる」、でも判明率を上げるのは困難だろう。
・『科学的とは言えない分科会メンバー 第6波が来るとしたら、10月の下旬以降になりそうだ。冬場で大流行する可能性もあり備える必要があるが、「何をすべきかが分からない」という事態は避けなければならない。そのためには、日本の科学の英知を結集することが必要だ。 2020年4月の第1回の緊急事態宣言の際は、専門家の委員会は感染病の専門家と医療関係者だけだった。その後、経済学者が入り、経済を動かす必要性を提言することになった。 現在の分科会メンバーについては、偏っていて科学的でないという印象を受ける。科学的とは、分からないことを数多く明らかにし、分からないことは分からないと明示することだ。予測モデルで因数分解したように、各要因の因果関係と影響度は統計で処理できる。これほど毎日の数字が克明に出るのに、定性的なぼんやりとした話を繰り返すのは数字を扱い、判断する能力がないと考えた方がいい。 その意味で、統計学者は委員に1人必要だろう。また、具体的な感染パターンの把握と自粛行動へのアナウンスも、人間心理に長けた心理学者が欲しいところだ。その人の役目は、人心を把握し、効果を最大化する説得力ある発信をすることにある。 まだ、コロナとの闘いは終わってはいない。菅首相が退陣を余儀なくされたように、ただ一生懸命に取り組むだけでは評価されない。リーダーたるもの、効果を見せながら、「この人の言うことは守らなければ」と思われるようにならなければならない。そこには、事実に基づいた実行性のある見識が必要である』、「分科会メンバー」には「経済学者が入り」、経済学者であれば、統計のことも分かっている筈だ。ただ、専門的な「統計学者」や「人間心理に長けた心理学者」がいる方が望ましい。彼らの助言を得て、「首相」には「事実に基づいた実行性のある見識」を示してほしいものだ。
第三に、10月26日付け東洋経済オンラインが掲載した医療ガバナンス研究所理事長の上 昌広氏による「感染急減の日本が油断大敵になってはいけない訳 ワクチン効果は徐々に薄れ、追加接種が不可欠」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/464390
・『冬の足音が聞こえてきた。多くの欧州諸国では、感染者の増加が顕著だ(図1)。日本のメディアは「規制撤廃の英国新型コロナ200人超え」(テレビ朝日10月20日)のように、感染者増を規制緩和に伴う人流増に求める論調が強いが、それは的外れだ。欧州の感染増を知れば、季節性変化の影響が大きいと考えるのが合理的だ。 図1(Daily new confirmed COVID-19 Ccases per million peopleの図はリンク先参照)』、上氏は独自の視点から筋論を展開するとして、私が注目している医者だ。「欧州の感染増を知れば、季節性変化の影響が大きいと考えるのが合理的だ」、なるほど。
・『第6波で未曾有の感染爆発が起こる可能性は残る 日本でも早晩、感染者は増加し、冬場の大流行を迎える。イギリス・オックスフォード大学が提供するデータベース「Our World in Data」によれば、昨秋、日本は10月22日の感染者数4.23人(人口100万人あたり、7日間平均)を底に、感染者数は増加の一途を辿った。ピークは1月11日の同51.14人だった。今年も、似たような推移をたどるだろうと私は予想している。 今年、注目すべきは変異株の存在だ。昨冬の流行の中心は変異がない従来株だった。今冬はデルタ株、あるいはイギリスで感染が確認されているデルタ・プラス株のような新たな変異株かもしれない。日本の足元の感染状況は1年数カ月ぶりの低水準まで収まっているが、その理由もはっきりしないだけに、今後、第6波で未曾有の感染爆発が起こる可能性も十分以上に残されていると考えたほうがいい。 では、どうすればいいのか。最優先はワクチンの追加接種だ。コロナに限らず、ワクチン接種は感染症対策の中核となる。コロナ対策でも、昨年12月にイギリスでの接種開始を振り出しに、世界各国はワクチン接種を促進してきた。接種開始が今年2月となった日本だが、その後、急速に追い上げた。10月21日現在の接種完了率は69%で、カナダ(73%)、イタリア(71%)に次いで、主要先進7カ国(G7)で第3位だ。すでにフランス(68%)、イギリス(67%)、ドイツ(66%)、アメリカ(57%)を抜いている。 ところが、それでも楽観視できない。それは、コロナワクチンは接種から時間が経てば、その効果が低減するからだ。このあたり、ワクチン接種を済ませば、ほぼ一生にわたって効果が続く麻疹ワクチンとは違い、有効期間が5カ月と言われているインフルエンザワクチンに近い。アメリカのファイザーは、デルタ株の場合、2回接種から4カ月目には感染予防効果は53%まで低下すると報告していし、アメリカ・モデルナも、ワクチン接種後約5カ月で、感染予防効果が36%低下したと報告している。 すでに日本からも同様の調査結果が報告されている。10月13日、福島県相馬市は、コロナワクチン接種を終えた相馬市民500人から採血し、中和活性を測定した結果を発表した。この研究では、中和活性は、2回目接種から30日未満で2024 AU/mL、30~90日で753 AU/mL、90日以上で106 AU/mLと急速に低下していた。10月22日には、同じく福島県南相馬市からも同様の調査結果が報告された。一連の研究をリードしたのは、坪倉正治・福島県立医科大学教授を中心とした研究チームだ』、「日本」でも「コロナワクチン接種」後の効果が日数経過と共に低下してくる研究があるというのは、初めて知った。
・『イスラエルで今夏大流行が起こったワケ ワクチンの効果が切れた段階で、コロナが流行すればどうなるのか? 参考になるのはイスラエルの経験だ。イスラエルは、世界で最も早くワクチン接種を進めた国だ。1月30日には国民の20%、2月16日には30%、5月2日には40%、そして5月17日には50%がワクチン接種を済ませている。 (図2) 日本同様、イスラエルでも6月下旬からデルタ株による感染者が増加した。夏の流行のピークは9月14日で、新規感染者数は1254人(人口100万人あたり)で、同国の冬のピーク(981.2人)を大きく上回った。日本の今夏のピークの6.8倍に当たる。今夏、イスラエルの感染者数は、G7諸国よりはるかに多かったが(図2:Daily new confirmed COVID-19 Ccases per million peopleの図はリンク先参照))、これはワクチンの効果が切れた時期に、デルタ波の流行が重なったためだろう。ワクチンの感染予防効果は、接種からの時間とともに減衰することを、認識しなければならない。 問題は感染予防だけではない。これまで、ワクチン接種を済ませておけば、たとえデルタ株であろうが、感染しても重症化しないと考えられてきた。わが国では、今夏、デルタ株が大流行したのに、第3波、第4波ほど死者数は増えなかったのもワクチン接種の恩恵と考えられている(図3)。そうなると、ワクチン接種による、このような重症化予防効果がいつまで続くかが大きなポイントになる。 (図3:Daily new confirmed COVID-19 deaths per million peopleの図はリンク先参照))) イスラエルの経験は、重症化予防効果も、意外に早く低下する可能性があることを示唆している。図4はイスラエルと日本のコロナ感染者の致死率の推移を示したものだ。イスラエルでは、今年3月から7月にかけて致死率が上昇している。特に5、6月の致死率は5%以上を維持し、5月23日には9.5%、6月14日には9.4%に達した。 (図4:Moving average case fatality rate of COVID-19の図はリンク先参照) この時期、決して死者の総数が増えた訳ではない。イスラエルの夏の流行で、死者数が増えるのは8月以降だ。以上の事実は、重症患者が増えて、病床が逼迫したため、致死率が高まった訳ではないことを意味する。なぜ、こんなことが起こるのだろうか』、何故だろう。
・『ワクチン接種を終えて4カ月後に起きた変化 私は、基礎疾患を抱える高齢者でワクチンの効果が切れ始めたためと考えている。イスラエルは2020年12月19日から、高齢者・持病を抱える人・医療従事者を対象にワクチン接種を開始した。2021年1月末の接種完了率は21%。イスラエルの高齢化率は12%だから、1月中には高齢者の接種を終えたことになる。致死率が急上昇した5月は、ワクチン接種を終えて4カ月となる。 イスラエル政府は、この致死率急上昇に焦った。7月11日には免疫力の低い人を対象に追加接種を始める方針を明かしている。注目したいのは、7月11日の人口100万人あたりの感染者数は51.4人だったことだ。その1週間前の7月4日の33.8人からはやや増加したが、イスラエルで感染者が本格的に増え始めるのは7月後半で、同月末には237.6人に達している。 イスラエル政府は、ワクチン接種を済ませた人に感染するブレイクスルー感染が増え始めて、追加接種を検討したのではない。私は、コロナワクチンの効果の持続性に当初から疑問を抱き、春以降致死率が高まってきたことを考慮したからではないかと考えている。 追加接種は著効した。6月14日の致死率9.4%から、8月15日には0.60%、9月24日には0.15%に低下している。10月7日、イスラエルの研究チームはアメリカの『ニューイングランド医学誌』に、追加接種の有効性について、追加接種から12日が経過した段階で、非接種群と比べ、追加接種群の感染率は11.3分の1、重症化率は19.5分の1まで低下したと発表している。 その後、イスラエル政府は、追加接種の対象を拡大し、12歳以上とした。そして、世界のどの国よりも速く追加接種を進めている。10月22日現在の追加接種完了率は44%で、9月12日には、イスラエル保健省高官が、4回目の追加接種に必要なワクチンの確保を進める方針を明かしている』、「4回目の追加接種に必要なワクチンの確保」とは早手回しだ。
・『高齢者や免疫抑制患者に追加接種は不可欠 イスラエルの経験は貴重だ。多くの先進国が追加接種を加速させている。10月16日現在、追加接種の完了率はアメリカ3.6%、フランス3.5%、ドイツ1.8%、イタリア1.6%だ。中国でも、すでに追加接種は始まっている。10月13日、アメリカのニューヨーク・タイムズは、武漢を含む湖北省で4万人以上が追加接種を受けたことを報じている。 高齢者や免疫抑制患者に追加接種が必要なことは、いまや世界的コンセンサスだ。9月22日、米食品医薬品局(FDA)は、ファイザー社製ワクチンの65歳以上の高齢者と重症化リスクが高い人に対する追加接種を承認し、10月20日には、米モデルナとジョンソン・エンド・ジョンソン社製ワクチンについても承認した。 FDAは、ファイザー製については、40歳以上に承認対象を拡大する予定だ。欧州でも、10月4日、イスラエル、イギリスに続き、欧州医薬品庁(EMA)がファイザー製ワクチンの18歳以上に対する追加接種を承認した。さらに、途上国でのワクチン接種を推進するため、当初、追加接種に否定的だった世界保健機関(WHO)も、10月11日、感染を防ぐ抗体が十分にできなかった人に限って推奨すると声明を発表している』、主要国は「追加接種」へと動いているようだ。
・『追加接種については、さまざまな臨床研究が進んでいる。懸念される副反応については、9月28日、米疾病対策センター(CDC)は、2回目接種後と同程度という研究成果を報告している。 効果については、イスラエルからの研究は前述のとおりだ。他には、9月30日、アメリカ・アリゾナ大学の研究チームが、固形癌で抗がん剤治療中の患者53人を対象に、追加接種の有効性を検証した論文をイギリス『ネイチャー・メディスン』に発表している。この研究によれば、追加接種により抗体価は上昇するが、細胞性免疫の活性化は軽微だった。研究者たちは、それでも免疫学的に有益である可能性が高いという結論を出している。かくのごとく、追加接種の臨床研究は急速に進んでいる』、なるほど。
・『日本はワクチンが余っているのに 日本はどうだろうか。厚生労働省は、12月から追加接種を始める方針を明かしている。これでは遅すぎる。日本で、高齢者のワクチン接種が本格化したのは5月だ。早い時期にワクチンを打った人は、接種後半年以上が経過する。免疫は低下していると考えていい。今冬、コロナに罹患すれば、重症化あるいは死亡する可能性が高まってしまう。可及的速やかに追加接種を始めたほうがいいだろう。 何がボトルネックか。日本にワクチンが足りない訳ではない。日本経済新聞は10月7日、1面トップに「先進国でワクチン余剰」という記事を掲載した。この記事では、日本の状況について、「11月ごろまでに希望者への接種がほぼ一巡し、その後は在庫が膨らむ見通し」と説明している。さらに、自治体が設置するワクチン接種会場はガラガラだ。その気になれば、いますぐにでも追加接種を始めることができる。 日本で追加接種が進まないのは、「厚労省の手続きなどの準備が間に合わない(厚労省関係者)」からだ。具体的には薬事承認、審議会での審議などだ。菅義偉・前首相のリーダーシップで、約2カ月のワクチン接種の遅れは挽回した。ところが、追加接種の準備を怠った厚労省の不作為で、また、3カ月以上の遅れができてしまった。昨年末のワクチン導入の失敗と同じことを繰り返したことになる。厚労省の奮起、岸田文雄首相のリーダーシップに期待したい』、「日本で追加接種が進まないのは、「厚労省の手続きなどの準備が間に合わない(厚労省関係者)」からだ」、「菅義偉・前首相のリーダーシップで、約2カ月のワクチン接種の遅れは挽回した。ところが、追加接種の準備を怠った厚労省の不作為で、また、3カ月以上の遅れができてしまった。昨年末のワクチン導入の失敗と同じことを繰り返したことになる」、「岸田文雄首相」は総選挙応援終了後は、直ちに取り組むべきだ。
第四に、10月28日付けNHK NEWS WEB「ワクチン3回目接種 2回終えた“全員対象”の方針 厚労省分科会」を紹介しよう。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211028/k10013326011000.html
・『新型コロナウイルスワクチンの3回目の接種について、厚生労働省の専門家の分科会は28日、2回目の接種を終えた人全員を対象とする方針で一致しました。これを受け厚生労働省は、ことし12月に医療従事者から順次、3回目の接種を始める方針です。 厚生労働省は28日、専門家でつくる分科会を開いて、新型コロナウイルスワクチンの3回目の接種の対象者について議論しました』、やはり「2月に医療従事者から順次、3回目の接種を始める方針」と悠長なことを言っているようだ。
・『感染予防の効果 2回目接種の5か月後以降には「低下」 分科会では、ファイザーのワクチンの感染を予防する効果が、2回目の接種から5か月後以降にどう変化したかが報告されました。 アメリカの研究結果として、 ▼16歳から44歳では89%が39%に、 ▼45歳から64歳では87%が50%に、 ▼65歳以上では80%が43%に それぞれ低下したとするデータが示されました」、なるほど。
・『入院予防の効果については 目立った低下は見られず 厚生労働省によりますと、入院を予防する効果については、アメリカの研究では、2回目の接種から5か月後以降にはそれぞれ次のようになり、目立った低下は見られなかったということです。 ▼16歳から44歳で88%が90%に ▼45歳から64歳で91%が90%に ▼65歳以上で84%が83%に』、「入院予防の効果については 目立った低下は見られず」、とは結構なことだ。
・『3回目接種 分かれる海外の対応 日本は「全員対象に」 続いて分科会では、海外の対応を確認したうえで、日本での対応を検討しました。 この中では、アメリカは高齢者や18歳以上の特定の疾患がある人などとしている一方、イスラエルは接種が認められている12歳以上の全員とするなど、各国で対応が分かれていることが説明されました。 これに対し、分科会の委員からは「希望する人全員に接種機会を提供すべきだ」とか「自治体の実務上、全員に打てるようにすることが現実的だ」などといった意見が出て、分科会として2回目の接種を終えた人全員を対象にする方針で一致しました。 また、高齢者など重症化を予防する効果が低下しやすい人などには、できるだけ3回目の接種を受けるよう呼びかけることも厚生労働省に求めました』、事務的には「全員対象に」が、混乱を少なくする方法だ。
・『3回目接種後の副反応は“2回目までと同程度” 分科会では、3回目の接種後の副反応についても、アメリカのデータが示されました。 それによりますと、ファイザーやモデルナのワクチンでは、報告された副反応が2回目までと同じ程度だったということです。 厚生労働省は、来月にも改めて分科会を開き、正式に方針を決めたうえで、12月に医療従事者から順次、3回目の接種を始めることにしています』、「副反応は“2回目までと同程度”」、一安心した。
・『海外の3回目接種 各国の対象者の範囲は? 海外でも新型コロナウイルスワクチンの追加接種が始まっていますが、対象者の範囲は異なっています。 厚生労働省によりますと、 +アメリカでは65歳以上の高齢者や、18歳から64歳で特定の疾患がある人や仕事などでウイルスにさらされるリスクが高い人などが追加接種の対象となります。 +イギリスでは50歳以上の人や、16歳から49歳で重症化のリスクを高める疾患がある人、介護施設の居住者や職員、それに医療従事者などです。 +カナダでは長期療養施設などに入っている高齢者です。 +フランスでは自宅で生活する65歳以上の高齢者や高齢者施設などの居住者、重症化リスクが非常に高い人、基礎疾患がある人、それに医療従事者や救急隊員などです。 +イスラエルは、当初、追加接種の対象を60歳以上としていましたが、対象を段階的に拡大し、現在は12歳以上としています』、本来であれば、第三の上氏の主張のように、主要国に遅れないようもっと早目に取り組むべきだろう。
タグ:パンデミック (医学的視点)(その23)(3回接種が進んだイスラエルで感染爆発 4回目を準備 データ提供という「偉大な貢献」、政府の説明ではさっぱり分からない「なぜ第5波は終息したのか」 感染者データを用いたコロナ感染者予測モデルから分かること、感染急減の日本が油断大敵になってはいけない訳 ワクチン効果は徐々に薄れ 追加接種が不可欠、ワクチン3回目接種 2回終えた“全員対象”の方針 厚労省分科会) PRESIDENT ONLINE ニューズウィーク日本版 「3回接種が進んだイスラエルで感染爆発、4回目を準備 データ提供という「偉大な貢献」」 せっかく「ブースター接種」に「着手」しても、「感染者が急増」しているようだ。 「4回目のワクチン接種に向けて準備を進める」、ずいぶん手回しがいいようだ。「高名なラビ・・・の墓があるウクライナ中部のウマニへの巡礼も、昨年は見送られたが今年は再開され、ワクチン接種を拒む超正統派のユダヤ教徒が大挙して参加した」、「ワクチン接種を拒む超正統派のユダヤ教徒」とは困ったものだ。 「イスラエルはグローバルな知識に偉大な貢献をもたらそうとしている。われわれなしでは、世界はブースター接種の正確な有効性も、打つべきタイミングも、感染状況への影響も、重症化への影響も分からないだろう」、その通りだ。「追加接種が進む今も、全土で感染者が増え続けている状況を見ると、ワクチンだけでは感染拡大は止められそうもない」。 JBPRESS 沖 有人 「政府の説明ではさっぱり分からない「なぜ第5波は終息したのか」 感染者データを用いたコロナ感染者予測モデルから分かること」 「尾身会長が5つの要因を提示」したが、「ここで挙げられた要因は、残念ながら統計的にはほぼ説明できないことばかりだった」、非科学的なやり方にはガッカリする。 このように要因をきちんと切り分けることも重要だ。 確かに「1週間先はほぼ予測できる」ようだ。 「感染経路は現在4割程度しか判明していないが、この結果が有効な行動制限を確定させる決め手となる」、でも判明率を上げるのは困難だろう。 「分科会メンバー」には「経済学者が入り」、経済学者であれば、統計のことも分かっている筈だ。ただ、専門的な「統計学者」や「人間心理に長けた心理学者」がいる方が望ましい。彼らの助言を得て、「首相」には「事実に基づいた実行性のある見識」を示してほしいものだ。 東洋経済オンライン 上 昌広 「感染急減の日本が油断大敵になってはいけない訳 ワクチン効果は徐々に薄れ、追加接種が不可欠」 上氏は独自の視点から筋論を展開するとして、私が注目している医者だ。「欧州の感染増を知れば、季節性変化の影響が大きいと考えるのが合理的だ」、なるほど。 「日本」でも「コロナワクチン接種」後の効果が日数経過と共に低下してくる研究があるというのは、初めて知った。 「4回目の追加接種に必要なワクチンの確保」とは早手回しだ。 主要国は「追加接種」へと動いているようだ。 「日本で追加接種が進まないのは、「厚労省の手続きなどの準備が間に合わない(厚労省関係者)」からだ」、「菅義偉・前首相のリーダーシップで、約2カ月のワクチン接種の遅れは挽回した。ところが、追加接種の準備を怠った厚労省の不作為で、また、3カ月以上の遅れができてしまった。昨年末のワクチン導入の失敗と同じことを繰り返したことになる」、「岸田文雄首相」は総選挙応援終了後は、直ちに取り組むべきだ。 NHK NEWS WEB 「ワクチン3回目接種 2回終えた“全員対象”の方針 厚労省分科会」 やはり「2月に医療従事者から順次、3回目の接種を始める方針」と悠長なことを言っているようだ。 「入院予防の効果については 目立った低下は見られず」、とは結構なことだ。 事務的には「全員対象に」が、混乱を少なくする方法だ。 「副反応は“2回目までと同程度”」、一安心した。 本来であれば、第三の上氏の主張のように、主要国に遅れないようもっと早目に取り組むべきだろう。
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