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東芝問題(その42)(紆余曲折を経て新方針が決まった 東芝が繰り出した「会社3分割」に拭えない懸念、東芝的な企業分割は案外はやりそうだが 社員には「残酷な未来」が待つ理由、不祥事の温床だった東芝…「3社分割」をした後に起きる「スゴいこと」 透明性は高まるか) [企業経営]

東芝問題については、6月30日に取上げた。今日は、(その42)(紆余曲折を経て新方針が決まった 東芝が繰り出した「会社3分割」に拭えない懸念、東芝的な企業分割は案外はやりそうだが 社員には「残酷な未来」が待つ理由、不祥事の温床だった東芝…「3社分割」をした後に起きる「スゴいこと」 透明性は高まるか)である。

先ずは、11月17日付け東洋経済Plus「紆余曲折を経て新方針が決まった 東芝が繰り出した「会社3分割」に拭えない懸念」を紹介しよう。
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/28819
・『漂流状態に陥っていた中、ようやく新たな中期経営計画が示された。事業会社をスピンオフさせる方針には課題もある。 紆余曲折の末に1つの「答え」を示した。 11月12日、東芝は新たな中期経営計画を発表し、2つの事業会社をスピンオフ(分離)させる方針を打ち出した。発送電や鉄道、ビルマネージメントなどの「インフラサービス」と、パワー半導体やHDDといった「デバイス」を担当する新会社を設立し、2023年度中に上場させる。 存続する旧「東芝」は半導体メモリー大手のキオクシアと、上場子会社である東芝テックの株式を保有する。東芝は実質的に3分割される格好だ』、様々な問題に見舞われ混乱の極致にあった「東芝」が、ようやく出した回答が「総合電機の看板を下ろす」「3分割」だ。
・『総合電機の看板を下ろす  2017年にスピンオフを円滑化する税制改正が行われて以降、日本のコングロマリット(複合企業)による初めてのケースとなる。東芝の中では、非上場化や事業の切り売りも検討されたが、総合電機の看板を下ろしての再出発を選択した。 「執行側が自信を持って提案した案だ」。東芝の綱川智社長は12日の会見で、今回の決定が大株主であるアクティビスト(モノ言う株主)から押し付けられたものではないことを強調した。一定の方向性を決めた安堵からか、4月から急きょ再登板している綱川社長の頬が緩む場面も見られた。 英投資ファンドによる買収計画の浮上や前社長の唐突な辞任に端を発した今年4月以降、東芝は漂流状態に陥った。6月には20年の定時株主総会をめぐり、経済産業省を通した株主への不当な圧力があったとの調査報告書が発表される。 直後の株主総会では、永山治議長らの取締役再任案が否決。不測の事態を受け、綱川社長が取締役会議長を務めることになった(東芝では社外取締役が議長を務める内規がある)。 こうした混乱を受け、東芝は総会後に社外取による「戦略委員会」を設置。株主と意見交換しつつ今後の方向性を決めることにした。並行して綱川社長や執行部も新たな中計の作成に取りかかることになった。 執行部は当初、一部の非中核事業を売却する形を検討していた。選択と集中を進めて株主の理解を得つつ、コングロマリットは維持する。従来路線の延長線上にある発想だった。 それに「待った」をかけたのが戦略委だ。執行部とは別に5つのプライベートエクイティー(PE)ファンドと非上場化について協議した。その場合、非上場化後に各事業をバラバラにして売却する可能性も高い。協議内容は、東芝の成長戦略から、非上場化する際の株式公開買い付けの価格水準にまで及んだ。ただ、経済安保問題やキオクシアの評価の難しさもあり、ファンドによる買収は難しいと判断したという。 一方で、執行部の提案も、「中核事業における価値創造がかなり不確実」と戦略委から評価された。過去の中計において、業績目標が未達に終わるケースが多く、信用されなかったのだ』、「執行部は当初、一部の非中核事業を売却する形を検討していた。選択と集中を進めて株主の理解を得つつ、コングロマリットは維持する・・・それに「待った」をかけたのが戦略委だ」、「社外取による」組織が効果を上げたようだ。
・『値踏みは始まったばかり  そうした中、今年9月になって浮上したのがスピンオフ案だった。ビジネスサイクルや投資形態が異なる事業を、それぞれが独立して運営したほうが「専門的かつ俊敏な経営」を実現できるとして最終決定に至った。11月12日の会見では各事業の業績目標や投資計画も発表。「次の体制」へ一気に動き出す姿勢を示した。 しかし、スピンオフには課題もある。東芝全体では3兆円超の売り上げ規模だが、個々の事業規模は数千億円程度。顧客が全世界にわたるだけに、営業や調達などはそれぞれが協力する「規模のメリット」を享受してきた。別の日系のコングロマリット企業幹部は「各事業で分かれて逆にコストがかからないか」と懐疑的な目を向ける。 東芝のスピンオフ案もそんな見方を意識してか、エネルギーとビルシステムが一体となるなど、規模の維持に腐心した跡も見受けられる。真の意味で、専門的かつ俊敏な経営を実践できるかどうかには懸念も残る。 また、スキームには生煮えの部分もある。東芝が保有する、キオクシアや東芝テックといったグループ会社の扱いが決まっていないからだ。キオクシア株は売却する方針だが、キオクシアが上場するのか、他社が買収するのか決まっていない。上場子会社の東芝テックについて、綱川社長は、「連結子会社で、キオクシアとは位置づけが違う。決まったことは何もない」と述べるにとどめた。 東芝は2022年3月までに臨時株主総会を開いて承認を求めるが、株主らは様子見だ。筆頭株主で約10%を保有するエフィッシモは11月13日、「まだ賛否は決定していない」との声明を出した。この案についての値踏みは始まったばかり。3分割を実現するまでは、まだ予断を許さない』、「2022年3月」までにこの問題を巡って議論が活発化するだろう。

次に、11月17日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員の山崎 元氏による「東芝的な企業分割は案外はやりそうだが、社員には「残酷な未来」が待つ理由」を紹介しよう。
・『東芝に米ゼネラル・エレクトリック(GE)、米ジョンソン・エンド・ジョンソンが立て続けに会社を分割する計画を発表した。筆者は、この「会社分割」が今後、案外はやるのではないかと思う。しかしそうなれば、分割される会社で働いてきた社員にとっては「残酷な未来」が待っているだろう。コストカットやリストラに対する圧力の高まりや労働強化、そして経営幹部と社員の間の格差拡大が予想されるからだ』、「分割される会社で働いてきた社員にとっては「残酷な未来」が待っている」、とは不吉な予告だ。
・『東芝もGEもJ&Jも会社分割 コングロマリットディスカウント解消へ(何かと話題の多い会社である、あの東芝が、会社を3分割する案を発表した。インフラ事業とデバイス関連事業と大手半導体メーカーであるキオクシアホールディングス(HD)の株式などを管理する会社に3分割するという。 一方、米国でもゼネラルエ・レクトリック(GE)がエネルギー、医療、航空の3事業に会社を分割すると発表したし、ジョンソン・エンド・ジョンソンも日用品や市販薬などの「消費者向け部門」と処方薬や医療機器などの「医療向け部門」に2分割すると発表した。 いずれもお題目は「コングロマリットディスカウント」の解消だ。コングロマリットディスカウントとは、複数の事業を持つ会社の時価総額が、個々の事業を上場した場合の時価総額の合計を下回ることを指す』、「GE」や「J&J」まで「「コングロマリットディスカウント」の解消」に走っているようだ。
・『株主が「会社分割」を歓迎し 経営者や銀行が避けてきた理由  例えば、異なる分野の事業A、B、Cを持つ会社があるとして、この3部門を分割して上場すると考えよう。 三つの事業を持つ状態では、一定のリスク分散効果が働いて会社は安定する。これは、お金を貸している銀行や社債の保有者には望ましい状態だが、有限責任の下でアップサイドを追求したい株主にとっては不利な要素だ。 一方、A社、B社、C社に分割して別々に経営すると、大成功する会社もあるかもしれないし、失敗して倒産に至る会社もあるかもしれない。事業A、B、Cの将来のキャッシュフローに対する期待値を一定とした場合、大成功する会社によってメリットを得ることが期待できる株主には好都合で、倒産するリスクを負わねばならなくなる債権者には不都合だ。 大まかには、債権者が保有する企業価値が低下して、その分株主が保有する企業価値が増加する。もちろん、債権者たる銀行や社債保有者は契約で会社を縛っているので、株主の自由に何でもできるわけではないが、株主は事業分割を歓迎する傾向がある。 一方、従来の経営者にとっては倒産リスクが小さい複合的な会社の方が自分の保身には好都合だし、会社が大きいことのステータス感もある。A、B、Cの事業には「シナジー効果」(相乗効果)があると説明して、コングロマリットを維持しようとする傾向が強かった』、「大成功する会社によってメリットを得ることが期待できる株主には好都合で、倒産するリスクを負わねばならなくなる債権者には不都合だ」、「従来の経営者にとっては倒産リスクが小さい複合的な会社の方が自分の保身には好都合だし、会社が大きいことのステータス感もある」、なるほど。
・『東芝のコングロマリットディスカウント解消が単なる「お題目」に思える理由  ただし今回の東芝の場合、同社の戦略委員会は以下の7点を主なコミットメントだとしている。 ・移行チームの立ち上げ ・キオクシアHD株式の現金化と株主還元 ・借入金比率の引き上げと自社株買いの実施 ・分割会社での海外人材の登用 ・事業売却を含む事業構成見直しとコスト削減 ・外部企業との提携模索 ・ガバナンス強化) いずれもいわゆるアクティビスト(物言う株主)やファンド株主の好みそうな内容である。率直に言って、コングロマリットディスカウントの解消よりも、自社株買いに、借入金比率の向上によるレバレッジの引き上げ、さらにコスト削減、株主寄りの経営の強化、といったことの効果が大きそうに見える。 「コングロマリットディスカウントの解消」はむしろ単なるお題目で、事業分割を通じた株主利益追求のための財務政策の実施が株主の望みであり、それに東芝の経営陣が呼応せざるを得ない状況なのではないか。 では、わが国で、こうした東芝的な事業分割は今後も登場するのだろうか。分割できる複数の事業分野を持つ会社は多い』、「「コングロマリットディスカウントの解消」はむしろ単なるお題目で、事業分割を通じた株主利益追求のための財務政策の実施が株主の望みであり、それに東芝の経営陣が呼応せざるを得ない状況なのではないか」、その通りなのかも知れない。
・『会社分割が案外はやるのではないか そう考える理由  筆者は、案外はやる可能性があるのではないかと思う。 今回東芝は、アクティビスト的なファンド株主に追い込まれて、このような事態を迎えているように見えるが、同社の場合は株主の構成上、時間が早く進んでしまった。しかし、アクティビストが追い込まなくても、株主の経済的な利益の方向性は一緒だ。経営者のインセンティブ構造を変化させると、事業分割は他の会社でも行われる可能性がある。 端的に言って、事業分割は、経営者に経済的メリットを与える「きっかけ」として利用できる。 例えば、A社、B社、C社に事業を分割してこれを上場させるとしよう。そのとき経営者に自社株を付与したり、ストックオプションを与えたりして、彼らが個人的にもうけられる機会を作ると、彼らが事業の分割に協力してくれる可能性は大いにあるのではないか。 現在でも多くの会社が、社外取締役の起用で体裁を整えつつ、横並び的に他社を見ながら経営幹部の報酬をじわじわと上げ続けている。しかし、経営者たちは(特にサラリーマン経営者は)もっと手っ取り早くもうけたいだろう。 事業分割は、ストックオプションなどの制度を変えたり、事業を売却してキャッシュを作ったり、株式の上場を通じる収益機会を作ったりするのに好都合なイベントとすることができる。 もちろん、株主にとってももうかるものになり得るのは前述の通りだ。 現在、日本が米国に何周か遅れて進めている「ガバナンス改革」も大いに利用できそうだ。 多くの企業が、多額のキャッシュないしキャッシュ相当の資産を保有しているし、売却できる事業を抱えている。「事業分割でひともうけ!」は、投資家、投資銀行家、経営者の利害が一致する可能性のあるたくらみである。 経営者個人の価値観が、会社の大きさや安定よりも個人の経済的メリットに傾斜するなら、大いにありそうなことだ。事業分割をうまく使うと、サラリーマン経営者にすぎない人物でも、これまでに期待できた収入よりも1桁大きな報酬を手に入れられるかもしれない。 かくして、投資家を潤しながら、一般社員と経営幹部の経済格差がより大きく広がるのではないか、というのが「経済的には自然だが、あまり美しくない未来の日本企業の姿」ではないだろうか』、「経済的には自然だが、あまり美しくない未来の日本企業の姿」、」とは言い得て妙だ。
『リストラ、コストカット、格差拡大…会社分割後の社員を待つ「厳しい未来」  社員にとって、東芝的な事業分割はどのような意味を持つのだろうか。一言で言えば、厳しいものになるだろうというのが、筆者の予想だ。 それは、前出の東芝の経営委員会のコミットメントが雄弁に物語っている。かつて、不適切会計問題につながった「チャレンジ」の洗礼を受けた東芝社員にとっても、楽な未来ではなさそうだ。 コングロマリットの解消で分割後の会社は経営的によりリスキーになるし、自己資本比率も下がりそうだ。 分割後のA社、B社、C社には待遇の差が生まれるだろうし、事業売却もあれば、事業の再編成を理由とするコストカットやいわゆるリストラ(雇用削減)もあるだろう。事業ごと提携先に吸収される可能性もあるし、海外人材の登用(例えば役員)なども一般論としては労働強化要因だ。 個々の社員としては、自分が「コスト」として目を付けられないように頑張るしかない』、「分割後の会社は経営的によりリスキーになるし、自己資本比率も下がりそうだ。 分割後のA社、B社、C社には待遇の差が生まれるだろうし、事業売却もあれば、事業の再編成を理由とするコストカットやいわゆるリストラ・・・もあるだろう。事業ごと提携先に吸収される可能性もあるし、海外人材の登用・・・・なども一般論としては労働強化要因だ」、従業員には厳しくならざるを得ないようだ。

第三に、11月17日付け現代ビジネスが掲載した経済評論家の加谷 珪一氏による「不祥事の温床だった東芝…「3社分割」をした後に起きる「スゴいこと」 透明性は高まるか」を紹介しよう』、「加谷 氏」も前向きに捉えているようだ。
・『経営再建中の東芝が3会社に分割する方針を発表した。これまで東芝はガバナンスに大きな問題を抱え、迷走に迷走を重ねてきた。3社分割について「東芝解体」と評価する声もあるが、事業を絞った方が意思決定が迅速になり、経営の透明性も高まる。今回の決断によってようやく東芝は正常化への第一歩を踏み出したといってよいだろう』、なるほど。
・『分社化は時代の必然  東芝は2021年11月12日、事業の再編を実施し、インフラサービス、各種デバイス、POSシステムを手がける3つの企業に分割すると発表した。 インフラサービス企業は発電システム、ビル管理、鉄道などいわゆる重電分野を中心とした事業領域でビジネスを行うほか、政府向けのITシステムも担当する。デバイス企業はハードディスクドライブ、半導体製造装置などエレクトロニクス関連分野を中心とした事業領域を担当し、東芝本体はフラッシュメモリーを製造するキオクシア、POSシステムなどに強みを持つ東芝テックの株式を保有する持株会社となる。 キオクシアは株式の過半数を米投資ファンドが保有しているので、東芝にとってはもはや投資先の一部でしかない。同社はいずれ再上場する可能性が高く、東芝本体は最終的に東芝テックの事業領域を担当すると考えられる。 これまで東芝は総合電機の看板を掲げて事業を行ってきたので、今回の決断は総合メーカーからの脱却となり、一部からは「東芝はいよいよ解体される」との声も聞こえてくる。 同社は米国原子力事業における巨額損失や不正会計、株主総会への介入疑惑など不祥事のオンパレードとなっており、2021年6月に行われた株主総会では、取締役会議長と監査委員の再任が反対多数で否決されるなど、前代未聞の事態となった。この総会では、いわゆるモノ言う株主だけでなく、生命保険会社など一般的な機関投資家も反対票を投じており、東芝のガバナンスは完全に崩壊したといってよい。 筆者は東芝のガバナンス欠如について、これまで何度も批判してきたが、今回の会社分割については前向きにとらえている。その理由は、無目的にコングロマリットを維持するよりも事業領域を絞った方が透明性が高まり、企業価値の向上が容易になることに加え、現在の市場環境を考えた場合、選択と集中がより重要だからである。 日本では総合メーカー(コングロマリット)であることを高く評価する風潮が根強いが、この認識は完全に時代遅れになっている。発展途上国の場合、社会が成熟していないので特定の財閥がコングロマリットを形成し、多くの事業領域を抱えるケースが散見される。だが付加価値の高いビジネス戦略が求められる先進国の企業の場合、こうしたコングロマリットはむしろ逆効果となることが多い。 今では新興国の多くが先進国の仲間入りを果たし、ネットの普及によってあらゆる領域においてイノベーションが活発になっている。こうした大競争時代においては、事業領域を絞り、その中で先鋭化した取り組みを行わななければ、他社と差別化することは不可能である。厳しい言い方になるが、コングロマリットであることだけを求めるのは、もはや牧歌的・昭和的な価値観でしかないという現実について理解する必要がある』、「コングロマリットであることだけを求めるのは、もはや牧歌的・昭和的な価値観でしかない」、なるほど。
・『企業にも投資家にもメリットが大きい  現実問題としてグループ全体で総合力を発揮するというのは、経営学的に見ても難易度が高い。東芝の事業領域のひとつである重電の分野では、米GE(ゼネラルエレクトリック)と独シーメンスが2強となっており、かつて両社は典型的なコングロマリットであった。だがITの急激な発達によって事業環境が激変し、両社はそれに対応するため、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)を活用した製造業のサービス化に舵を切った。) だが、様々な事業を抱える中で、グループ全体としてビジネス戦略を統一するのは至難の業である。結局、GEはグループ全体としての戦略立案がうまくいかず、航空、ヘルスケア、エネルギー部門を担う3つの企業に分割することになった。シーメンスは総合企業の形態は維持しているが、事業領域の再編を積極的に行っており、従来の組織を維持したわけではない。 東芝の場合、経営そのものが危ぶまれており、戦略転換以前の問題である。難易度が高いコングロマリットを維持したまま経営再建を行うのはほぼ不可能に近く、今回の3社分割は必然と考えてよいだろう。 3つの会社に分割した後、各社の経営陣には各事業の部門責任者が就任する可能性が高い。他部門との調整を行う必要がないので意思決定が迅速になるとともに、事業価値の最大化に注力できる(コングロマリットの場合、全社的な利害から事業部の利益が犠牲になるケースは枚挙にいとまがない)。 分割は株主にとってもメリットが大きい。コングロマリットの規模が大きければ大きいほど、会社から開示される部門情報は手薄になる。事業領域がハッキリしていれば、株主は詳細な情報を入手できるので、投資判断が格段に容易になるだろう。 分割は企業側にとってもメリットが大きい。情報を入手しにくいというのは株主がもっとも嫌う事態だが、そのような企業には当然の結果として資金が集まりにくくなり、資金調達条件が悪化する。明確な情報を開示できる企業は有利に資金調達できるので最終的には業績に跳ね返ってくるのだ』、「東芝の場合、経営そのものが危ぶまれており、戦略転換以前の問題である。難易度が高いコングロマリットを維持したまま経営再建を行うのはほぼ不可能に近く、今回の3社分割は必然と考えてよいだろう」、確かにその通りだ。
・『インフラ事業が示すビジョンが成否のカギを握る  では分割された3社は今後、どのような事業戦略を描くのだろうか。実際に分割が行われるのはまだ先(新設2社の上場は2023年度の予定)なので、本格的な評価は経営陣が固まり、基本戦略が提示されてからになるが、もっとも注目度が高いのはやはりインフラ企業だろう。 インフラビジネスの領域は、AI(人工知能)化と再生可能エネルギーの急拡大という、これまでの時代では考えられなかったパラダイムシフトに直面している。 従来の製造業というのは製品を製造して納入すればビジネスは終了だが、これからの時代は違う。納入した製品に搭載された部品をネット接続し、稼働状況をAIが監視。故障を起こす前に交換するなど、限りなくサービス業に近い業態に変化している。こうした時代においては高度なITとソリューション(問題解決)能力が必須であり、新しい人材を積極的に投入しなければ時代について行けない。 火力発電のタービンは重電分野におけるもっとも重要な製品のひとつだったが、国際社会は再生可能エネルギーへのシフトを急ピッチで進めており、今後は再生可能エネに関連した製品が主流になることが確実視されている。しかも再生可能エネは、火力や原子力とは異なり、集中電力システムではなく、小規模な発電プラントが網の目のように接続されるグリッド型配電網となる。 グリッド型配電網をスムーズに運用するためには、高度なITシステムとの連携が不可欠であり、この分野においてもITやAIが果たす役割は大きい。従来の重電分野における技術的常識は通用しなくなると思って良い。 今回の東芝の3分割スキームがうまく機能するのかは、新会社が上場する23年度までの間に、インフラ企業がどれだけ新しいシナリオを描けるのか、またキオクシア売却後の東芝本体がどのようなビジネスに注力するのかにかかっている。この部分について明確な方向性を示せれば、3分割スキームについて支持する投資家は多いのではないだろうか。 一方で、単体企業として再出発する以上、十分な業績を上げられなければ、容赦なく市場から叩き出される。総合メーカーという看板に甘え、ガバナンスが不十分な状態で経営を続けることはもはや許容されないだろう』、これまでのような「甘え」が許されず、「十分な業績を上げられなければ、容赦なく市場から叩き出される」、のは一般企業と同じで当然だ。
タグ:東芝問題 (その42)(紆余曲折を経て新方針が決まった 東芝が繰り出した「会社3分割」に拭えない懸念、東芝的な企業分割は案外はやりそうだが 社員には「残酷な未来」が待つ理由、不祥事の温床だった東芝…「3社分割」をした後に起きる「スゴいこと」 透明性は高まるか) 東洋経済Plus 「紆余曲折を経て新方針が決まった 東芝が繰り出した「会社3分割」に拭えない懸念」 様々な問題に見舞われ混乱の極致にあった「東芝」が、ようやく出した回答が「総合電機の看板を下ろす」「3分割」だ。 「執行部は当初、一部の非中核事業を売却する形を検討していた。選択と集中を進めて株主の理解を得つつ、コングロマリットは維持する・・・それに「待った」をかけたのが戦略委だ」、「社外取による」組織が効果を上げたようだ。 「2022年3月」までにこの問題を巡って議論が活発化するだろう。 ダイヤモンド・オンライン 山崎 元 「東芝的な企業分割は案外はやりそうだが、社員には「残酷な未来」が待つ理由」 「分割される会社で働いてきた社員にとっては「残酷な未来」が待っている」、とは不吉な予告だ。 「GE」や「J&J」まで「「コングロマリットディスカウント」の解消」に走っているようだ 「大成功する会社によってメリットを得ることが期待できる株主には好都合で、倒産するリスクを負わねばならなくなる債権者には不都合だ」、「従来の経営者にとっては倒産リスクが小さい複合的な会社の方が自分の保身には好都合だし、会社が大きいことのステータス感もある」、なるほど。 「「コングロマリットディスカウントの解消」はむしろ単なるお題目で、事業分割を通じた株主利益追求のための財務政策の実施が株主の望みであり、それに東芝の経営陣が呼応せざるを得ない状況なのではないか」、その通りなのかも知れない。 「経済的には自然だが、あまり美しくない未来の日本企業の姿」、」とは言い得て妙だ。 「大成功する会社によってメリットを得ることが期待できる株主には好都合で、倒産するリスクを負わねばならなくなる債権者には不都合だ」、「従来の経営者にとっては倒産リスクが小さい複合的な会社の方が自分の保身には好都合だし、会社が大きいことのステータス感もある」、なるほど 「「コングロマリットディスカウントの解消」はむしろ単なるお題目で、事業分割を通じた株主利益追求のための財務政策の実施が株主の望みであり、それに東芝の経営陣が呼応せざるを得ない状況なのではないか」、その通りなのかも知れない 「分割後の会社は経営的によりリスキーになるし、自己資本比率も下がりそうだ。 分割後のA社、B社、C社には待遇の差が生まれるだろうし、事業売却もあれば、事業の再編成を理由とするコストカットやいわゆるリストラ・・・もあるだろう。事業ごと提携先に吸収される可能性もあるし、海外人材の登用・・・・なども一般論としては労働強化要因だ」、従業員には厳しくならざるを得ないようだ。 現代ビジネス 加谷 珪一 「不祥事の温床だった東芝…「3社分割」をした後に起きる「スゴいこと」 透明性は高まるか」 「加谷 氏」も前向きに捉えているようだ。 「コングロマリットであることだけを求めるのは、もはや牧歌的・昭和的な価値観でしかない」、なるほど。 「東芝の場合、経営そのものが危ぶまれており、戦略転換以前の問題である。難易度が高いコングロマリットを維持したまま経営再建を行うのはほぼ不可能に近く、今回の3社分割は必然と考えてよいだろう」、確かにその通りだ。 これまでのような「甘え」が許されず、「十分な業績を上げられなければ、容赦なく市場から叩き出される」、のは一般企業と同じで当然だ。
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