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小売業(一般)(その6)(ワークマン2題(加盟店オーナーは「開店5分前出社・閉店5分後退社」でなぜ年収1000万円になるのか?、これが「4000億円の空白市場」を切り拓いたワークマン式戦略マップだ)、オーケーとH2Oのせめぎ合いは終わらない 裁判所も"待った!"関西スーパー争奪戦の泥仕合) [産業動向]

小売業(一般)については、昨年12月24日に取上げた。今日は、(その6)(ワークマン2題(加盟店オーナーは「開店5分前出社・閉店5分後退社」でなぜ年収1000万円になるのか?、これが「4000億円の空白市場」を切り拓いたワークマン式戦略マップだ)、オーケーとH2Oのせめぎ合いは終わらない 裁判所も"待った!"関西スーパー争奪戦の泥仕合)である。

先ずは、本年2月7日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した株式会社ワークマン専務取締役の土屋哲雄氏による「ワークマン加盟店オーナーは「開店5分前出社・閉店5分後退社」でなぜ年収1000万円になるのか?」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/260026
・『「高機能・低価格」という4000億円の空白市場を開拓し、10期連続最高益。ついに国内店舗数ではユニクロを抜いたワークマン。12/28「日経MJ」では「2020ヒット商品番付(ファッション編)」で「横綱」にランクインした。 急成長の仕掛け人・ワークマンの土屋哲雄専務の経営理論とノウハウがすべて詰め込まれた白熱の処女作『ワークマン式「しない経営」――4000億円の空白市場を切り拓いた秘密』が発売たちまち4刷。 「『ユニクロ』にも『しまむら』にもない勝ちパターンを発見した」(早大・内田和成教授) 「ワークマンの戦略は世紀の傑作。これほどしびれる戦略はない」(一橋大・楠木建教授) 「縄文×弥生のイノベーションは実に読みごたえがある」(BCGシニア アドバイザー・御立尚資氏) 「めちゃめちゃ面白い! 頑張らないワークマンは驚異の脱力系企業だ」(早大・入山章栄教授)など経営学の論客が次々絶賛。10/26、12/7、2/1に日経新聞に掲載され話題となっている。 このたび土屋氏と早稲田大学ビジネススクールの内田和成教授が初対談(全10回)。非常に面白い対談になったのでいち早くお伝えしよう。 ワークマン加盟店オーナーは「開店5分前出社・閉店5分後退社」でなぜ年収1000万円になるのか?』、「ワークマン」の店舗は道路沿いによく見かけるようになったが、「国内店舗数ではユニクロを抜いた」、さもありなんだ
・『オーナーの標準化は難しい  (内田和成氏の略歴はリンク先参照) 内田和成(以下、内田):前回、ワークマンの組織学習についてお聞きしましたが、土屋さんは加盟店のオーナーにも学習を期待していますか? それともオーナーは老若男女いろいろな方がいるから、極力オペレーションをシンプルにして、あまり考えなくてすむようにしていますか。 土屋哲雄(以下、土屋):オーナーにはいろいろな方がいます。かつては業績を上げるために、オーナーのみなさんに頑張りを期待したこともありました。 内田:昭和的に一律に頑張れと。 土屋:はい。でも、現在はオーナーの価値観が多様化しています。お子さんがすでに大学を卒業し、「そこそこ稼げればいい」という人もいれば、大学生のお子さんが2、3人いて「もっともっと稼ぎたい」という人もいます。シニア世代と子育て世代では、働き方の意識も異なりますよね。なかには売上が上がるより、気楽に働きたいという人もいます。 内田:オーナーの標準化はなかなか難しいですよね。どういう人がオーナーになるのですか。 土屋:最近は若い人が増えていますが、かつては早期退職の方が多かったです。45歳くらいで退職金を割増で受け取ってオーナーになり、その後、72歳まで働きます。 当時は60歳でもオーナーになれましたが、現在は50歳以下になっています。数年前まで1店舗当たりの平均売上は年間1億円で、1日当たり客数は100人でした。 コンビニがだいたい1日1000人ですから、レジ対応は10分の1程度、1時間に7、8人ということになります。品出しなど他の仕事をしながら、お客様に「レジお願いします」と言われたときにレジに入ります。比較的ゆとりのある経営で、売上1億円、税込年収も1000万円近くある店舗も増えてきました』、「当時は60歳でもオーナーになれましたが、現在は50歳以下になっています」、ずいぶん若返ったようだ。
・『オーナーの仕事を楽に。5分前入店、5分後出店  (土屋哲雄氏の略歴はリンク先参照) 内田:新業態で一般客を相手にするようになると、オーナーの仕事は忙しくなっているのではありませんか。 土屋:現在は、お客様が2倍程度になり、仕事量は増えました。その一方で、新規開店すぐから多くの売上が見込めるようになりました。若手の店長が増えているのはそのためです。 内田:オーナーの1日のすごし方も変わりますよね。 土屋:売上が今の半分くらいだった頃は、夫婦で時間を分担し、1日6時間くらいずつ働くのが標準でした。お客さんは作業員や職人さんですから、仕事前の朝と仕事後の夕方が忙しい。一方、昼間はゆとりがあって「1日に文庫本を1冊読める」と言われていました。 現在は、日中に一般のお客様がいらっしゃいます。そこでオーナーには極力、省力化で経営してもらっています。 内田:運営の仕組みをシンプルにすることによって、比較的ラクに経営できるようにしているのですか。 土屋:はい。ワークマンの店舗の大半は午前7時から午後8時まで。午後8時に店が終わったら、午後8時5分に帰ることをお願いしています。レジは翌日の午後2時までにしめればいい仕組みです。朝7時に開店しますが、店に入るのは6時55分でいいと言っています。 内田:ワークマンの「頑張らない」「しない」は加盟店まで普及しているのですね。 土屋:レジは現金とカードのみでポイントカードもありません。店長の仕事は、品出しとレジ打ちだけを理想にしています。発注については「自動発注」といって一括発注ボタンを押すだけで可能です。オーナーの負担になることは一切やらないと考えています。 内田:パパ・ママでもラクに経営できる仕組みですね。 土屋:「細く長く」がいいと思っています。ワークマンの加盟店継続率は99%で、長期的な関係を築いています。加盟店とは長期的なおつき合いをしています。みなさん72歳の定年まで続け、子どもたちに引き継いでいます。いまや親子2代はあたりまえになっています。 内田:接客はどうですか。相手が職人さんであれば、店長より服や道具のことがわかっているので任せておけばいいと思うのですが、一般客を相手にすると必ずしもそうはいかないのでしょう。そのあたりはどうされているのですか。 土屋:半分以上の来店者が製品情報を知っていることを前提にしています。 内田:店はピックアップの場として考えてほしいと。 土屋:そのためにアンバサダーマーケティングを行っています。当社のアンバサダーからのSNS発信はまだ全体の10%程度ですが、それが拡散して90%のSNS発信を誘発しています。 内田:来店前に買いたいものを調べてくる。それなら接客は不要ということですね』、「品出しとレジ打ちだけを理想にしています。発注については「自動発注」といって一括発注ボタンを押すだけで可能で加盟店とは長期的なおつき合いをしていますす。オーナーの負担になることは一切やらないと考えています」、第二の職場としては、理想的だ。
・『エクセル経営でSVのアドバイスが的確に オーナーの信頼度もうなぎ昇り  内田:加盟店の運営の仕組みを極力シンプルにするということですが、一方でSVはどうでしょうか。SVと加盟店の関わりは最近変化がありましたか。 土屋:エクセル経営をスタートしてから、SVはデータを活用してオーナーにアドバイスをしています。SVは加盟店を巡回し、正しい運営が行われているかの管理や、売上アップの改善提案を行います。データを活用することで、オーナーからの信頼度をアップさせたSVが数多くいます。 内田:データを活用する前と後ではどのような変化がありました? 土屋:研修開始から数年後に追跡調査したことがあります。 データ分析ソフトを活用している上位10人、下位10人を調査したところ、一番アクセス数の多い社員は3ヵ月間で1934回、一番アクセス数の少ない社員は3ヵ月で127回でした。この20名の営業スタイルが見たいと思い、それぞれ1日かけて加盟店まわりに同行しました。 すると、データベースにアクセスしていないグループはコミュニケーション能力が高く、仕事はできるが、やり方が属人的でした。店長と交流を深め、信頼関係で店長に提案を実行してもらっていました。 一方、データベースにアクセスしているグループは、データを活用し、それをわかりやすく説明して店長を説得していました。普通の人にはデータを使ったほうが簡単で、やはり後者が標準になっていきました。 内田:ここでもエクセル経営による学習の効果が見られたということですね。 土屋:エクセル経営をきっかけに大きく成長したSVが数多くいます。 あるSVはとても気弱で頼りない感じの人でした。以前、一緒に加盟店を回ったときは、経験豊富な店長に気後れしていました。店長の中には、流通大手で20年間靴を売っていた人や、アパレルショップでカリスマ店員だったなど優秀な人が多くいて、このSVが何か提案しても、聞き入れてもらえませんでした。 内田:データがなかったからですよね。店舗の在庫データがなければ、数字が示せないから、コミュニケーション能力を駆使してオーナーに接することになる。そうなるといくら誠実でもコミュニケーション下手だと成果が挙げにくい。 土屋:その人がデータを示しながら「この製品を仕入れると儲かります」と数字で説明できるようになりました。その結果、オーナーの信頼を勝ち取りました。 内田:加盟店にとってみれば、この人の言うことを聞くと儲かるという存在になったわけですね。 土屋:SVの仕事の標準化も進みました。SVが店舗を回る際の最大の仕事が品揃えの確認です。それが店番を入力するだけでできてしまう「未導入製品発見フォーム」というものがあります。店番号を入力するだけで、その店で扱っていない製品が一覧表示されます。しかも他店で売れている順番に出てくる。これを店長に見せると「この製品を入れていれば、もっと売上が上がっていたのか」と悔しがるのです。 内田:なるほど。 土屋:SVの仕事で一番重要なのは、店舗を巡回し、品揃えを確認し、店長に売れ筋製品を伝え、仕入の改善を促すことですが、SVは「A製品を発注しないと年間で130万円損します」と言えばよくなりました。店長は儲け話には100%乗ってくるから、「未導入で売れ筋上位の20製品をいますぐ仕入れよう」となります。 内田:まさにエクセル経営のパワーですね。 土屋:当社には約150人のSVがいますが、「未導入製品発見フォーム」の新設によって、彼らの仕事の半分はエクセルに店番号入れるだけでできるようになりました。(P4省略)』、「SVは「A製品を発注しないと年間で130万円損します」と言えばよくなりました。店長は儲け話には100%乗ってくるから、「未導入で売れ筋上位の20製品をいますぐ仕入れよう」となります。 内田:まさにエクセル経営のパワーですね」、利益実感のある数字はやはり説得力があるようだ。

次に、3月7日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した株式会社ワークマン専務取締役の土屋哲雄氏による「これが「4000億円の空白市場」を切り拓いたワークマン式戦略マップだ」の1頁目を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/258144
・『今、最も注目を集める急成長企業ワークマン。「高機能・低価格」という4000億円の空白市場を開拓し、“頑張らない経営”で10期連続最高益。「#ワークマン女子」も大人気。国内店舗数ではユニクロを抜き、12/28「日経MJ」では「2020ヒット商品番付(ファッション編)」で「横綱」にランクインした。 急成長の仕掛け人・ワークマンの土屋哲雄専務の経営理論とノウハウがすべて詰め込まれた白熱の処女作『ワークマン式「しない経営」――4000億円の空白市場を切り拓いた秘密』がたちまち4刷。 「『ユニクロ』にも『しまむら』にもない勝ちパターンを発見した」(早大・内田和成教授) 「ワークマンの戦略は世紀の傑作。これほどしびれる戦略はない」(一橋大・楠木建教授) 「縄文×弥生のイノベーションは実に読みごたえがある」(BCGシニア アドバイザー・御立尚資氏) 「めちゃめちゃ面白い! 頑張らないワークマンは驚異の脱力系企業だ」(早大・入山章栄教授) など経営学の論客が次々絶賛。10/26、12/7、2/1に日経新聞に掲載された。なぜ、「しない経営」が最強なのか? スタープレーヤーを不要とする「100年の競争優位を築く経営」とは何か。 ワークマン急成長の仕掛け人、土屋哲雄専務が初めて口を開いた(土屋哲雄の本邦初公開動画シリーズはこちら)。(構成・橋本淳司)』、「経営学の論客」の「絶賛」ぶりは確かに凄い。
・『入場券なしで殴り込んだ アウトドアウェア市場  (土屋哲雄氏の略歴はリンク先参照) アウトドアウェア市場に参入する前に、ある調査会社に市場調査を依頼すると、「ワークマンはブランド品ばかりのアウトドアウェア市場に参入できない」「ブランド力がないので購買対象にならない」という結果が出た。 アウトドアウェア市場には、ザ・ノース・フェイス、パタゴニア、コロンビア、モンベル、チャムスなど有名ブランドがずらりと揃っている。ワークマンには「作業服が安く買える」というイメージはあるが、アウトドアウェア市場の入場券は持っていない。いくつかのヒアリング調査を行っても、結果はほぼ同様だった。 私は自分の戦略に自信はあったが、一般に認知されるまでには時間がかかると考えていた。 2018年9月5日に、第1号店「ワークマンプラスららぽーと立川立飛店」を出店するとき、正直「3年は赤字覚悟、認知されるまでには苦節10年」と思っていた。 開店前日、新店舗に商品部のメンバーを集めた。 自分たちの製品陳列を確認し、その足で別フロアにあるユニクロとGUの店舗を見た。格差を認識し、反省と奮起の会を開こうと思っていた。 私はその日初めて、上下コーディネートされた当社の製品を着たマネキンを見た。 意外なことに、ユニクロやGUより派手で、見栄えもそこそこだった。 「もしかしたらいけるんじゃないか」という手応えを感じた。 大方の予想を覆くつがえし、第1号店は成功した。 店先には連日行列ができ、初年度の売上目標をわずか3ヵ月で達成した。 下の図を見てほしい。横軸にデザイン性重視と機能性重視、縦軸に高価格と低価格で分けると、左下に巨大な空白市場が見つかった。 この市場規模はどれくらいか。 フランスにデカトロンというワークマンと似た低価格が売りの会社がある。デカトロンのフランス国内の売上を、日本の人口比で計算すると4000億円近くあることがわかった。 2020年3月期のワークマンのアウトドアウェアの売上が約400億円だから市場の10%となる。 低価格アウトドアウェアの市場規模は1000億円くらいと予想していたが、実際には、4000億円の「隙間とは言えない規模の市場」だった(知っていたら、自社の実力と市場規模のギャップを考え、参入を躊躇(ちゅうちょ)した可能性がある)。 ソフトバンクグループの孫正義(そん・まさよし)会長兼社長が「4000億円のホワイトマーケットをよく見つけた」と発言されたと伝え聞いている。 ワークマンプラスの成功は、既存店のワークマンにも好影響を与えた。 新業態のワークマンプラスが広告塔となり、既存のワークマンにも一般客が押し寄せ、2019年8月には既存店売上高が前年比154.7%となった。 ワークマンは東証ジャスダック市場に上場しているが、株価も上昇した。 2019年12月17日には時価総額が一時8600億円を超え、あの外食王・日本マクドナルドを上回った』、「ワークマン」の「時価総額」は2020年7月の9940円をピークに、下落、5730円前後になった。最近の株価下落はともかく、「入場券なしで殴り込んだ アウトドアウェア市場」、変に委縮したりせず、正々堂々とやるべきことをやって、地歩を固めたことは大したものだ。ただ、最近1年の株価下落は、ダイヤモンド・オンラインで同社の経営が取上げられていただけに、不思議だ。
https://www.google.com/search?q=%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%83%9E%E3%83%B3%E6%99%82%E4%BE%A1%E7%B7%8F%E9%A1%8D&rlz=1C2FQRR_jaJP983JP983&sxsrf=AOaemvInK3A3mup8lDJQcSlMQtKSeCYqnw%3A1639219068066&source=hp&ei=fH-0Yeu_Acei2roPoN-UeA&iflsig=ALs-wAMAAAAAYbSNjH4kgqMnaz3_Pg4uV6jRcJX_5SbS&ved=0ahUKEwjr7Yjyxtv0AhVHkVYBHaAvBQ8Q4dUDCAc&oq=%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%83%9E%E3%83%B3%E6%99%82%E4%BE%A1%E7%B7%8F%E9%A1%8D&gs_lcp=Cgdnd3Mtd2l6EAwyCggAEIAEEEYQ-gE6BwgjEOoCECc6BQgAEIAEUOoaWKGPAmCKxwJoAnAAeACAAWmIAbkEkgEDNC4ymAEAoAECoAEBsAEK&sclient=gws-wiz
第三に、11月26日付け東洋経済Plus「オーケーとH2Oのせめぎ合いは終わらない 裁判所も"待った!"関西スーパー争奪戦の泥仕合」を紹介しよう。
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/28895
・『1株主の申し出で「否決」が「可決」にひっくり返る――。異例の集計作業を経て決まった経営統合に、裁判所が下した判断とは。 関西の小売り連合の誕生に、今度は司法の"待った"がかかった。 兵庫や大阪で食品スーパーを展開する関西スーパーマーケットと、同社の筆頭株主で阪急阪神百貨店を傘下に持つエイチ・ツー・オー リテイリング(H2O)。両社の経営統合案が、10月29日の臨時株主総会で可決された。 ところが関西スーパーの第3位株主で、首都圏を地盤とする格安スーパーのオーケーが11月上旬、「集計(方法)の疑義が判明した」として統合差し止めの仮処分を神戸地方裁判所へ申請。それが11月22日に認められたのだ。関西進出を狙うオーケーは、かねて統合案に反対し、否決されて中止になった場合に関西スーパーをTOB(株式公開買い付け)で完全子会社化する意向を表明していた。 同日夜、関西スーパーは「当社の主張が認められなかったことは誠に遺憾」とのコメントを発表。12月1日に想定していた経営統合を何とか実現させるべく、再審理を求めて11月24日に神戸地裁へ異議を申し立てた。 オーケーが指摘した疑義、そして地裁までもが"待った"をかける異例の展開の引き金は、ある1株主の票の取り扱いだった』、興味深そうだ。
・『否決が可決にひっくり返る  「非常に僅差です」「今しばらくお待ちください」――(総会当日、兵庫県伊丹市内のホテルの会場では、議長である関西スーパーの福谷耕治社長が釈明の言葉を繰り返した。結果の公表は当初の予定時刻から何度も後ろ倒しされ、出席していた株主の間にも徒労感が広がっていた。 総会終了後にメディアの取材に応じた関西スーパーの福谷社長(右端)。総会の議長を務め、株主に対し「用紙にマークを記入しないで提出した場合は『棄権』と扱う」と何度も呼びかけていた(記者撮影) 投票終了から2時間以上が経過した午後4時過ぎ、結果が公表された。「賛成66.68%」。特別決議として可決に必要な議決権の3分の2(66.66%超)というラインを、ごくわずかに上回る数字だった。 薄氷の勝利に、関西スーパーとH2Oの経営陣が胸をなで下ろしたのもつかの間。統合の行方を再び揺るがすきっかけとなったのが、総会に立ち会って決議方法を調査した検査役の報告書だ。 報告書では、統合案は一度「否決」という集計結果が出ていたにもかかわらず、「棄権」と取り扱っていたある株主の議決権行使内容を関西スーパーが「賛成」に変更したため、「否決」が「可決」にひっくり返っていたことが判明。この報告を受け、オーケーは「結果が恣意的に歪められたものにほかならない」と主張した。 この法人株主は、事前に提出した議決権行使書と委任状には「賛成」と記入していたが、総会当日の受付で、その場で議決権を行使しない「傍聴」ではなく「出席」を選択。会場では、関西スーパーの福谷社長が「投票用紙にマークを記入しないで提出した場合は『棄権』として扱い、『棄権』は事実上『反対』と同じ効果を持つ」と繰り返し説明していたにもかかわらず、この株主は何も記入せずに用紙を提出した。 投票用紙の回収作業終了後、結果発表までの休憩時間中に株主は、「マークシートを白紙で出したが、取り扱いがどうなっているか聞きたい」と受付に申し出た。そこで関西スーパーが「棄権」を「賛成」に変え、再集計したうえで「可決」を発表した、という流れだ』、この「関西スーパー」のやり方は素人目にも違和感がある。
・『地裁の判断に4つのポイント  「投票用紙のマークを消していたんじゃないか。(集計結果は)関西スーパーにとって都合がよすぎる」。長引いた集計作業に、当日出席した株主からはそういぶかしむ声すら聞こえた。1株主の申し出により結果が覆る、前代未聞とも言える集計過程にオーケー側が疑義を主張するのも無理はない。 関西スーパーは、賛否を切り替えた株主が「事前に行った『賛成』の意思表示の通り、議決権行使する意思である旨を(投票用紙の)回収担当者に述べていた」などとして、「株主の意思表示を正確に反映して集計した。適法性に何らの疑義もない」と主張する。 会社法が専門で、関西スーパー側の意見書を神戸地裁に提出した東京大学の田中亘教授は「決議に瑕疵はない。事件の性質は異なるが、アドバネクスの総会の高等裁判所判決では『(総会を開いた)会社において確認している株主の意思に従って議決権の行使を認めるべき』と示された。今回も、株主が不利益を負うような形で解決されるべきではない」と語る。 それでも神戸地裁は、今回の決議の方法に「法令違反または著しい不公正があるといわざるをえない」との厳しい判断を下した。判断のポイントは大きく4つある。 まず、議決権行使の方法と解釈についてだ。 神戸地裁は、今回の総会に出席した株主は投票用紙以外の方法で議決権を行使できず、用紙の回収が終わり、議場閉鎖が解除されてからは、記入内容を訂正できない点を指摘。出席株主が行った議決権行使の意味は、用紙のマークか提出・不提出という事実のみで客観的に決められ、「マークを記入せずに投票した行為は『棄権』としか解することができない」と断じた。 3点目のポイントが、意思表示の解釈だ。神戸地裁は、当該株主が受付で出席を選択した時点で事前の議決権行使(賛成)を撤回したことになり、「事前の意思表示が復活することはない」と言及。そのうえで、議場閉鎖の解除後に本来考慮してはいけない用紙以外の事情を考慮に入れ、「賛成」と扱った関西スーパーの採決手法の問題点を指摘した。 ▽総会手続きの"ルール"を重視(出席株主の議決権行使の仕方や棄権の取り扱いなど、総会の実務は会社法で細かく規定されておらず、会社側の裁量に委ねられている部分も多い。だが神戸地裁の判断では、個人の意思表示の扱い以上に、総会手続きの適正さが重くみられたと解釈できる。 総会の実務に詳しい中島茂弁護士は、「個人の意思は当然尊重されるべきだが、株主が議決権を行使するうえでは、株主総会というシステムのルールに従わなければならない。議長が議事整理権(ルールを決める権利)を行使して、『書面投票』を採用したことは、本当に重いことだという点を噛みしめるべき」と話す。 今回の騒動は、株主1人ひとりの投票が、株式会社の将来を左右しうることも改めて示した。一方で、議場での出席と傍聴の違いや、議決権行使書の使い方など、株主の十分な理解が得られていない点は少なくない。中島弁護士は、「『議決権行使書の事前提出は、選挙でいう期日前投票』『総会会場は投票所』など、一般の人がよくわかるように説明することが必要」と指摘する。 今後、仮に関西スーパーの異議申し立てが退けられた場合、同社は高裁に抗告できる。オーケーは自社の申し立てが最終的に認められ、関西連合の統合が中止されれば、関西スーパーの上場来高値である2250円でのTOBを再度提案する方針だ。 TOBへの期待感をはじめとする投資家のさまざまな思惑により、関西スーパーの株価は乱高下が続く。幕を閉じたかに見えた買収合戦は混迷を極めている』、8日に大阪高裁は「関西スーパー」の「異議申し立て」を認めたが、「オーケー」は最高裁に「異議申し立て」をしたので、「泥仕合」決着のの場はいよいよ「最高裁」に移ったことになる。さて、どうなるのだろう。 
タグ:「ワークマン加盟店オーナーは「開店5分前出社・閉店5分後退社」でなぜ年収1000万円になるのか?」 小売業(一般) (その6)(ワークマン2題(加盟店オーナーは「開店5分前出社・閉店5分後退社」でなぜ年収1000万円になるのか?、これが「4000億円の空白市場」を切り拓いたワークマン式戦略マップだ)、オーケーとH2Oのせめぎ合いは終わらない 裁判所も"待った!"関西スーパー争奪戦の泥仕合) 土屋哲雄 ダイヤモンド・オンライン 「ワークマン」の店舗は道路沿いによく見かけるようになったが、「国内店舗数ではユニクロを抜いた」、さもありなんだ 「当時は60歳でもオーナーになれましたが、現在は50歳以下になっています」、ずいぶん若返ったようだ。 「品出しとレジ打ちだけを理想にしています。発注については「自動発注」といって一括発注ボタンを押すだけで可能で加盟店とは長期的なおつき合いをしていますす。オーナーの負担になることは一切やらないと考えています」、第二の職場としては、理想的だ。 「SVは「A製品を発注しないと年間で130万円損します」と言えばよくなりました。店長は儲け話には100%乗ってくるから、「未導入で売れ筋上位の20製品をいますぐ仕入れよう」となります。 内田:まさにエクセル経営のパワーですね」、利益実感のある数字はやはり説得力があるようだ。 「これが「4000億円の空白市場」を切り拓いたワークマン式戦略マップだ」 「経営学の論客」の「絶賛」ぶりは確かに凄い。 「ワークマン」の「時価総額」は2020年の9940円をピークに、下落、5730円前後になった。最近の株価下落はともかく、「入場券なしで殴り込んだ アウトドアウェア市場」、変に委縮したりせず、正々堂々とやるべきことをやって、地歩を固めたことは大したものだ。 東洋経済Plus 「オーケーとH2Oのせめぎ合いは終わらない 裁判所も"待った!"関西スーパー争奪戦の泥仕合」 この「関西スーパー」のやり方は素人目にも違和感がある。 8日に大阪高裁は「関西スーパー」の「異議申し立て」を認めたが、「オーケー」は最高裁に「異議申し立て」をしたので、「泥仕合」決着のの場はいよいよ「最高裁」に移ったことになる。さて、どうなるのだろう。
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